JP5459494B2 - 磁気記録媒体膜形成用スパッタリングターゲットおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
従来、このFePt磁気記録膜は、例えば原料となる単体金属の純Fe粉末と純Pt粉末との混合粉末をホットプレス法等により合金の焼結体としたスパッタリングターゲットを用いてDCスパッタ法により作製することが知られている(特許文献1参照)。
すなわち、純Fe粉末と純Pt粉末との混合粉末をホットプレス法等により合金の焼結体としたターゲットを用いてマグネトロンスパッタリングを行う場合、ターゲットがFePt合金相の均一な組織となっており、ターゲット内で磁気回路が形成される結果、漏れ磁束密度(PTF)が低く、スパッタレートが低いという不都合があった。
また、純Fe粉末と純Pt粉末との混合粉末をホットプレス法等により合金の焼結体とする場合、酸化により発熱し易く爆発の危険もある純Fe粉末の取り扱いが難しいという問題もあった。
また、Feリッチ領域を上記面積率範囲に設定した理由は、Feリッチ領域が5面積%未満である場合又は40面積%を超えている場合、充分なPTFが得られないためである。
すなわち、この磁気記録媒体膜形成用スパッタリングターゲットでは、漏れ磁束密度が50%以上であるので、高いスパッタレートで良好なFePt膜を成膜することができる。
すなわち、この磁気記録媒体膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法では、Fe:90〜95原子%を含有すると共にD50が25〜100μmのFePt合金アトマイズ粉と、Pt粉と、の混合粉末を、真空または不活性ガス雰囲気中でホットプレスするので、純Fe粉に比べて酸化されにくいFePt合金アトマイズ粉により、原料粉末の取り扱い時の危険性が排除され、安全に上記本発明のターゲットを作製することができる。
また、FePt合金アトマイズ粉を上記粒径範囲に設定した理由は、D50が25μm未満であると、充分なPTFが得られず、100μmを超えると、密度が上がり難いためである。
すなわち、本発明に係る磁気記録媒体膜形成用スパッタリングターゲットによれば、FePt合金相が、純Pt相中に局所的に点在し、Fe濃度が70原子%以上であるFeリッチ領域が、5〜40面積%分散形成されているので、PTFが高くなってスパッタレートが向上する。
また、本発明の磁気記録媒体膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法によれば、Fe:90〜95原子%を含有すると共にD50が25〜100μmのFePt合金アトマイズ粉とPt粉との混合粉末をホットプレスするので、安全に上記本発明のターゲットを作製することができる。
したがって、本発明の磁気記録媒体膜形成用スパッタリングターゲットを用いてマグネトロンスパッタリングにより磁気記録媒体膜を成膜することで、高い生産性をもってHDD用の高密度磁気記録媒体に適用される磁気記録膜、特に垂直磁気記録媒体に適用される良好な磁気記録膜を得ることができる。
さらに、この磁気記録媒体膜形成用スパッタリングターゲットは、ASTM F2086−01の規格に基づいて測定した漏れ磁束密度(PTF)が、50%以上である。
(イ)まず、図1に示すように、フィールドエミッションEPMA(電子線マイクロプローブアナライザ)により200倍のCOMPO像(組成像)をモノクロ撮影する。この際、Fe濃度の高い(原子量の小さい)領域ほど黒く表示される。
(ロ)次に、この画像の各画素の輝度(明るさ)に対してFe濃度70原子%に相当するしきい値を設け、図2に示すように、画像を二値化処理してFe濃度が70原子%以上のFeリッチ領域(黒い領域)と70原子%未満の領域(白い領域)との2つの領域に分割する。
(ハ)さらに、ターゲット上の異なる箇所で上記(イ)(ロ)の操作を5回繰り返し、Fe濃度70原子%以上の画像領域(黒色部分:Feリッチ領域)の全領域に対する割合を平均し、これを面積率とする。なお、上記図2におけるFeリッチ領域の面積率は、16.6面積%である。
次に、このFePt合金アトマイズ粉と所定粒径範囲のPt粉とを所定の組成となるように秤量し、これらを容器に粉砕媒体となる酸化ジルコニウム等のボールとともに投入し、この容器をボールミルにより所定時間回転させ、原料を混合して混合粉末とする。
こうして得られた焼結体を、バッキングプレートに接合してターゲットとする。
これら本実施例および比較例について、Feリッチ領域(濃度70原子%以上領域)の面積率、PTFおよび密度比を測定した結果を、表1に示す。なお、面積率は上述した手順で測定し、PTFは、ASTM F2086−01の規格に基づいて測定した。また、密度比は、アルキメデス法によって求めた。
Claims (3)
- Fe:30〜70原子%を含有し、
残部:Ptおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、
その組織が、純Pt相とFePt合金相とで構成され、かつ前記FePt合金相が前記純Pt相中に局所的に点在し、
Fe濃度が70原子%以上であるFeリッチ領域が、5〜40面積%の面積率で分散形成されていることを特徴とする磁気記録媒体膜形成用スパッタリングターゲット。 - 請求項1に記載の磁気記録媒体膜形成用スパッタリングターゲットにおいて、
ASTM F2086−01の規格に基づいて測定した漏れ磁束密度が、50%以上であることを特徴とする磁気記録媒体膜形成用スパッタリングターゲット。 - 請求項1または2に記載の磁気記録媒体膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法であって、
Fe:90〜95原子%を含有すると共に粒径(D50)が25〜100μmのFePt合金アトマイズ粉と、Pt粉と、の混合粉末を、真空または不活性ガス雰囲気中でホットプレスする工程を有していることを特徴とする磁気記録媒体膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法。
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