JP5458551B2 - 水系処理剤の濃度制御方法及び該制御方法を用いた水系の殺菌方法 - Google Patents

水系処理剤の濃度制御方法及び該制御方法を用いた水系の殺菌方法 Download PDF

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Description

本発明は、酸化剤濃度の制御方法に関する。より詳しくは、水系の殺菌を行うために酸化剤濃度を制御する技術、該技術を用いた水系処理剤の濃度制御方法、並びに水系の殺菌方法に関する。
各種工場のプラント冷却水系、排水処理水系、鉄鋼水系、紙パルプ水系、切削油水系等では、細菌や糸状菌や藻類等が原因となりスライム等が水系内に発生する。このスライム等は、熱効率の低下、通水配管等の閉塞、配管金属材質の腐食等の障害を引き起こす。
このような障害を防ぐために、冷却水系等ではスライムコントロール剤等として次亜塩素酸塩などの酸化剤が用いられる。例えば、特許文献1には、冷却水系のスライム剥離処理に関するものとして、前段でヒドラジンを冷却水に含有させ、後段で(ア)次亜塩素酸やその塩、(イ)次亜臭素酸やその塩等を冷却水に含有させる技術が開示されている。
また、塩素剤として結合塩素剤(安定化塩素剤)が用いられていることも多い。結合塩素剤を用いる場合、水系内で消耗されると塩素安定化剤として残留する。しかし、結合塩素剤は、冷却水負荷や周囲の環境等によって水系内での消耗速度が変化する場合がある。そのため、バッチタイマーや補給水比例等によって結合塩素剤の注入量を制御しようとしても、安定した濃度を維持することが難しいといった問題がある。
このように、結合塩素の消耗量が多い系等では、実際の添加量に対して水系内での検出濃度が低下する傾向にある。そこで、有効な検出濃度を確保するために、薬剤の添加量を増やしたりするが、これによってコストがかかったり、水系内で消耗された結合塩素剤は塩素安定化剤として多量に残留してしまうことがあった。
特開2004−012042号公報
上記の問題を解決するために、本願発明者らは、先に、結合塩素剤を効果的に用いることができる水系処理剤の濃度制御方法として、遊離塩素を水系に発生させて、該水系の結合塩素の量を制御する水系処理剤の濃度制御方法を見出した。すなわち、水系内に遊離塩素を発生させることで、水系内に残留している塩素安定化剤と結合させて結合塩素とすることができ、その結果、残留している塩素安定化剤を効果的に活用することができる方法である。この際、水系内の遊離塩素などの酸化剤濃度を一定範囲に制御することができれば、水系処理剤の濃度をより正確に制御し、水系の効率的な殺菌を行うことができる。
そこで、本発明では、水系内の酸化剤濃度をより正確に制御する新規な方法を提供することを主目的とする。
本願発明者らは、水系内の酸化剤濃度を制御する方法を鋭意研究した結果、金属の自然電位に着目することにより、より正確に酸化剤濃度を操作し得る方法を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明ではまず、水系に浸漬した金属の自然電位を測定する第1自然電位測定工程と、
該第1自然電位測定工程において測定した前記自然電位に基づいて、前記水系に酸化剤を発生させる酸化剤発生工程と、
を少なくとも行う水系における酸化剤濃度の制御方法を提供する。
金属の自然電位は、酸化剤濃度と正の相関性を有するため、金属の自然電位を測定し、この自然電位を一定に保つことで、酸化剤濃度を所定の範囲に制御することが可能である。
本発明に係る制御方法では、前記第1自然電位測定工程を行う前に、前記金属の自然電位と前記酸化剤の濃度との相関関係を解析する解析工程を更に行い、この相関関係に基づいて酸化剤を発生させることにより、酸化剤濃度の制御が容易になる。
本発明に係る制御方法に用いる金属は、水系処理に影響のない金属であれば特に限定されないが、本発明では特に、ステンレス鋼、銅が好ましい。これらは、単独で用いても良いが、併用することも可能である。
また、前記金属以外の金属材料より成る電極を前記水系に浸漬し、該電極の自然電位を測定する第2自然電位測定工程を更に行い、前記金属の自然電位と合わせて、この電極の自然電位にも基づいて、酸化剤を発生させることで、より正確に酸化剤濃度の制御を行うことができる。
この場合に用いる金属材料として、例えば、水系の配管材料または水と接する構成機器と同一の金属材料を用いれば、配管や水と接する構成機器の腐食発生を防止することが可能となる。
例えば、第2自然電位測定工程を行う前に、前記電極の腐食発生電位を求める腐食発生電位測定工程を更に行い、この腐食発生電位より低い値に前記電極の自然電位を保つことで、配管材料や水と接する構成機器の腐食を防止することが可能である。
本発明に係る酸化剤濃度の制御方法を用いて、水系の酸化剤の量を正確に制御することで、水系処理剤の濃度制御が可能である。
このとき、制御する酸化剤の種類は、水系の殺菌に用いることができるものであれば特に限定されないが、例えば、遊離ハロゲンである場合、水系内にハロゲン安定化剤を存在させることで、遊離ハロゲンとハロゲン安定化剤とを結合させ、結合ハロゲンとすることで水系処理剤の正確な濃度制御が実現できる。
そして、水系処理剤の正確な濃度制御を行うことにより、水系の殺菌が可能である。
本発明に係る酸化剤濃度の制御方法によれば、酸化剤濃度を正確に制御することが可能であるため、水系内の水系処理剤の濃度制御も正確に行うことができる。その結果、水系の効率的かつ有効的な殺菌が可能である。
以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
図1は、本発明に係る酸化剤濃度の制御方法1のフロー図である。本発明に係る酸化剤濃度の制御方法は、第1自然電位測定工程11と、酸化剤発生工程12と、を少なくとも行う方法である。また、必要に応じて、解析工程13、第2自然電位測定工程14、腐食発生電位測定工程15、をそれぞれ行うことが可能である。以下、それぞれの工程について詳細に説明する。
(1)第1自然電位測定工程11
第1自然電位測定工程11は、水系に浸漬した金属の自然電位を測定する工程である。金属の自然電位は、酸化剤濃度と正の相関性を有するため、第1自然電位測定工程11において金属の自然電位を測定し、この自然電位を一定に保つように、後述する酸化剤発生工程で酸化剤を発生させることで、酸化剤濃度を所定の範囲に制御することが可能である。
用いることのできる金属は、水系処理に影響のない金属であれば特に限定されず、公知の金属を1種または2種以上、自由に選択して用いることができる。例えば、ステンレス鋼、銅、金、白金、チタン、銅合金、ニッケル基合金などが挙げられる。この中でも本発明では特に、ステンレス鋼、銅が好ましい。
前記の通り、金属の自然電位は、酸化剤濃度と正の相関性を有するが、その反応性は金属の種類によって異なる。例えば、後述する実施例1の結果を示す図2に示す通り、銅は遊離塩素などの酸化剤に鋭敏に反応するのに対して、ステンレス鋼は、比較的ゆっくりと反応する。そのため、水系内の酸化剤濃度の変化が緩やかな場合には、ステンレス鋼のような反応性の緩やかな金属の自然電位に基づいて、酸化剤濃度の制御を行うことが可能である。一方、酸化剤濃度の振幅が大きく変化する水系では、銅のような反応性の鋭敏な金属を用いたり、反応性の鋭敏な金属と反応性の穏やかな金属の両方を併用したりすることが有効である。
用いる金属は、1種でも問題ないが、一定の電位以上に到達すると金属の腐食が発生する結果、電位が下降し、酸化剤濃度の正確な制御が難しくなる場合があるため、2種以上の金属を用いることが好ましい。本発明においては、例えば、銅のような反応性の鋭敏な金属と、ステンレス鋼のような反応性の穏やかな金属を併用することにより、水系内の酸化剤濃度の動向を把握することができるとともに、銅のような反応性の鋭敏な金属の腐食が生じたことを検知することも可能である。
(2)酸化剤発生工程12
酸化剤発生工程12は、前記第1自然電位測定工程11において測定した自然電位に基づいて、水系に酸化剤を発生させる工程である。酸化剤を水系に発生させることで、後述する水系処理剤の制御や水系の殺菌のために、水系内に残留する所定の安定化剤と結合させることができる。これにより、水系処理剤を再生させ、水系の殺菌を効率的かつ有効的に行うことができる。
酸化剤発生工程12では、酸化剤の発生は、前記第1自然電位測定工程11において測定した自然電位の測定値に基づいて行うことを特徴としている。前述の通り、金属の自然電位は、酸化剤濃度と正の相関性を有するからである。例えば、水系に浸漬した金属の自然電位を一定に保つように酸化剤の発生/停止を行えば、水系内の酸化剤濃度も一定に保つことが可能である。
金属の自然電位の測定値に基づいて酸化剤を発生させることで、ポーラログラフィー、吸光光度法、DPD(N,N-diethylphenylenediamine)法、などを連続的に行うことにより測定した酸化剤濃度の測定値に基づいて酸化剤を発生させる方法に比べ、測定機器類が廉価であり、測定用試薬の供給などの煩雑性を軽減することが可能である。
また、金属の自然電位は、後述する実施例2に示す通り、酸化剤濃度に対する測定値の安定性が高いため、金属の自然電位の測定値に基づいて酸化剤を発生させることで、水系内の酸化還元電位(Oxidation-reduction Potential ; ORP)の測定値に基づいて酸化剤を発生させる方法に比べ、長期的に安定した酸化剤の管理が可能である。
なお、金属の自然電位の測定値に基づいて酸化剤濃度の制御を少なくとも行っていれば、本発明に包含され、より確実を期すために、ポーラログラフィー、吸光光度法、DPD(N,N-diethylphenylenediamine)法による酸化剤濃度の測定値や、酸化還元電位の測定値に基づいて酸化剤濃度の制御を行う方法を併用することも可能である。
本発明において水系に発生させる酸化剤の種類は、特に限定されず、水系の殺菌に効果を奏するものであれば自由に選択して発生させることができる。例えば、遊離ハロゲン、オゾン、過酸化水素、などを挙げることができる。この中でも特に、本発明においては、遊離ハロゲンが好ましい。水系に存在するハロゲン安定化剤と結合させて結合ハロゲンとすることにより、水系処理剤を再生させ、水系の殺菌を効率的かつ有効的に行うことができるからである。遊離ハロゲンの具体的一例として、本発明においては、遊離塩素を好適に用いることができる。
酸化剤を水系に生成させる方法は、特に限定されず、公知の方法を自由に選択して用いることができる。例えば、薬剤を水系に薬注する方法や、食塩水や塩化カリウム水溶液等の電解反応を利用して次亜塩素酸イオンなどの酸化剤を発生させる方法、などが挙げられる。
具体的な一例として、薬注によって酸化剤の一つである遊離塩素を生成させる際に用いることができる薬剤等としては、次亜塩素酸又はその塩、亜塩素酸又はその塩、塩素酸又はその塩、過塩素酸又はその塩、塩素化イソシアヌル酸又はその塩、塩素ガス、二酸化塩素等が挙げられる。より具体的な塩としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム等の次亜塩素酸アルカリ金属塩、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸バリウム等の次亜塩素酸アルカリ土類金属塩、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム等の亜塩素酸アルカリ金属塩、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム等の亜塩素酸アルカリ土類金属塩、亜塩素酸ニッケル等の他の亜塩素酸金属塩、塩素酸アンモニウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウム等の塩素酸アルカリ金属塩、塩素酸カルシウム、塩素酸バリウム等の塩素酸アルカリ土類金属塩等を挙げることができる。
これらの塩素系酸化剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明においては、これらの中でも特に、取り扱いの容易性の面から次亜塩素酸塩を好適に用いることができる。
また、例えば、酸化剤として遊離塩素を発生させる場合、その水系内の好適な遊離塩素濃度の下限値は、0.05mg−Cl/L以上、より好ましくは0.1mg−Cl/L以上、更に好ましくは0.4mg−Cl/L以上である。かかる遊離塩素濃度とすることで、後述する水系処理剤の制御や水系の殺菌のために、水系内に残留する塩素安定化剤と更に効率よく結合させることができる。その結果、結合塩素を更に効率よく再生させ、水系の殺菌を効率的かつ有効的に行うことができる。一方、遊離塩素濃度の上限値は、水系内の金属の腐食を防止する観点等から、5mg−Cl/L以下であることが好ましく、1mg−Cl/L以下であることがより好ましい。
(3)解析工程13
解析工程13は、前記第1自然電位測定工程11を行う前に、前記金属の自然電位と前記酸化剤の濃度との相関関係を解析する工程である。この相関関係に基づいて、前記酸化剤発生工程12におけて酸化剤を発生させることにより、酸化剤濃度の制御が容易になる。
具体的な自然電位の値は水系や使用する金属により異なるが、例えば、後述する実施例1の場合では、遊離塩素濃度を約0.8mg/Lに保つためのステンレス鋼の自然電位は33〜35mV、銅の自然電位は140〜160mVであることが分かる。この相関関係を予め求めておくことで、遊離塩素などの酸化剤濃度を定期的にモニタリングする手間を省くことができる。
(4)第2自然電位測定工程14
第2自然電位測定工程14は、第1自然電位測定工程で用いる金属と異なる金属材料より成る電極を前記水系に浸漬し、該電極の自然電位を測定する工程である。第1自然電位測定工程で用いる金属の自然電位と合わせて、この電極の自然電位にも基づいて、酸化剤を発生させることで、より正確に酸化剤濃度の制御を行うことができる。
用いる金属材料は、第1自然電位測定工程で用いる金属と異なる金属材料であって、水系処理に影響を及ぼさないものであれば、自由に選択して用いることができる。例えば、水系の配管材料または水と接する構成機器と同一の金属材料を好適に用いることができる。配管材料や水と接する構成機器への影響を加味した酸化剤濃度の制御が可能となるからである。
例えば、水系の配管材料または水と接する構成機器には、ステンレス鋼、炭素鋼、チタン、銅、銅合金、などの金属が用いられることが多いが、用いる配管材料や構成機器の種類に応じて、同一の金属材料より成る電極を用いることで、配管材料や構成機器の腐食の発生などの影響を加味した酸化剤濃度の制御が可能となる。
本発明では、第2自然電位測定工程14を行って、配管材料や構成機器と同一の金属電極の自然電位にも基づいて酸化剤を発生させることで、残留酸化剤濃度を一定範囲に維持することだけに着目した制御に比べ、配管材料や構成機器への影響が生じる電位を超えてしまうことを確実に防止することができる。
(5)腐食発生電位測定工程15
腐食発生電位測定工程15は、第2自然電位測定工程14を行う前に、前記電極の腐食発生電位を求める工程である。この腐食発生電位より低い値に前記電極の自然電位を保つことで、配管材料や水と接する構成機器の腐食を防止することが可能である。
本発明では、腐食発生電位測定工程15を行って、配管材料や構成機器と同一の金属電極の腐食発生電位より低い値に前記電極の自然電位を保つように酸化剤を発生させることで、残留酸化剤濃度を一定範囲に維持することだけに着目した制御に比べ、配管材料や構成機器の腐食を確実に防止することができる。
以上説明した本発明に係る酸化剤濃度の制御方法を用いて、水系の酸化剤の量を正確に制御することで、水系処理剤の正確な濃度制御が可能である。水系内で水系処理剤(例えば、結合塩素)が消耗されることによって、所定の安定化剤(例えば、塩素安定化剤)が生じ得るが、本発明では酸化剤(例えば、遊離塩素)を該安定化剤(例えば、塩素安定化剤)と反応させることで、水系処理剤(例えば、結合塩素)として再生させることができる。水系に残留する所定の安定化剤(例えば、塩素安定化剤)は、酸化剤(例えば、遊離塩素)と結合することにより結合塩素のような水系処理剤となるが、余剰分は酸化剤(例えば、遊離塩素)として水系内に存在することとなる。この酸化剤(例えば、遊離塩素)の濃度を一定範囲内に正確にコントロールすることで、水系処理剤(例えば、結合塩素)の再生を効率よく行うことができ、水系処理剤の正確な濃度制御を実現することができる。これによって水系内に存在する各種安定化剤を有効利用することが可能となる。
なお、塩素安定化剤のような所定の安定化剤と遊離塩素のような酸化剤とを水系に添加し、水系内で結合塩素のような水系処理剤を発生させる場合にも、本発明に係る酸化剤濃度の制御方法を適用することが可能である。
また、本発明に係る酸化剤濃度の制御方法を用いれば、水系の水系処理剤の量を正確に制御することができるため、薬剤の添加量を低減することもできる。特に、水系処理剤としてマルチ薬剤を用いる場合には、薬剤の添加量が増加することによる他の成分の過剰注入や過剰残留等も防止できる。
本発明に係る水系処理剤の濃度制御方法おいて、水系処理剤は、所定の安定化剤と酸化剤が結合することにより生成させることができる。本発明において用いることができる水系処理剤の種類は限定されず、水系処理に用いることが可能な水系処理剤を1種または2種以上、自由に選択して用いることができる。例えば、水系処理剤として結合塩素を用いる場合、その種類としては、クロラミン−T(N−クロロ−4−メチルベンゼンスルホンアミドのナトリウム塩)、クロラミン−B(N−クロロ−ベンゼンスルホンアミドのナトリウム塩)、N−クロロ−パラニトロベンゼンスルホンアミドのナトリウム塩、トリクロロメラミン、モノ−若しくはジ−クロロメラミンのナトリウム塩又はカリウム塩、トリクロロ−イソシアヌレート、モノ−若しくはジ−クロロイソシアヌール酸のナトリウム塩又はカリウム塩、モノ−若しくはジ−クロロスルファミン酸のナトリウム塩又はカリウム塩、モノクロロヒダントイン若しくは1,3−ジクロロヒダントイン又はその5,5−アルキル誘導体等が挙げられる。
水系処理剤として結合塩素を用いる場合、結合塩素を生成するために用いることができる塩素安定化剤の種類も限定されず、塩素安定化効果のある剤を1種または2種以上、自由に選択して用いることができる。例えば、スルファミン酸、ヒダントイン等が挙げられる。本発明においては、この中でも特に、スルファミン酸化合物を用いることが好ましい。ヒドラジン等に比べて、安全性が高いからである。
このようなスルファミン酸化合物としては、例えば、N−メチルスルファミン酸、N,N−ジメチルスルファミン酸、N−フェニルスルファミン酸等を挙げることができる。本発明に用いるスルファミン酸化合物のうち、この化合物の塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩、マンガン塩、銅塩、亜鉛塩、鉄塩、コバルト塩、ニッケル塩等の他の金属塩、アンモニウム塩及びグアニジン塩等を挙げることができ、具体的には、スルファミン酸ナトリウム、スルファミン酸カリウム、スルファミン酸カルシウム、スルファミン酸ストロンチウム、スルファミン酸バリウム、スルファミン酸鉄、スルファミン酸亜鉛等を挙げることができる。スルファミン酸及びこれらのスルファミン酸塩は、1種を単独で用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
例えば、遊離塩素とスルファミン酸を水系に共存させると、水系内で結合してクロロスルファミン酸化合物となり結合塩素として再生させることができる。例えば、塩素系酸化剤とスルファミン酸化合物、あるいは塩素系酸化剤とスルファミン酸化合物からなるクロロスルファミン酸系結合塩素剤等を被処理水に共存せしめた場合、酸性域からアルカリ性域にわたる広範なpH範囲であっても、被処理水中における遊離塩素濃度が大きく変化しないという特徴がある。
また、例えば、水系処理剤として結合塩素を発生させる場合、その水系内の好適な結合塩素濃度としては、下限値が0.1mg−Cl/L以上であることが好ましく、上限値が50mg−Cl/L以下であることが好ましい。この場合の結合塩素濃度はDPD法によって測定することが可能である。
以上のように、本発明に係る酸化剤濃度の制御方法によれば、酸化剤濃度を正確に制御することが可能であるため、水系内の酸化剤の量に基づく水系処理剤の濃度制御も正確に行うことができる。その結果、水系の効率的かつ有効的な殺菌が可能である。
本発明に係る殺菌方法を適用し得る水系は特に限定されず、例えば、各種工場のプラント冷却水系、スクラバー、廃水処理水系、排水処理水系、鉄鋼水系、切削油水系等が挙げられ、これらの装置、通水配管等へのスライム付着の防止や、装置、通水配管等へ付着したスライム構成物等の剥離を、効率的かつ有効的に行うことができる。
水系としては循環水系に好適に用いることができる。循環水系を長期運転させると、塩素安定化剤のような安定化剤が水系内に多量に残留してしまいやすいが、本発明によれば各種安定化剤から水系処理剤を効率的に再生することができるので好適である。更には、開放循環冷却水系等が好適である。例えば、レジオネラ菌等の細菌は、開放式循環冷却塔等の水温、特に冷却塔内に発生する藻類に囲まれた環境を好み、かかる条件の水系において発生しやすい。しかし本発明に係る殺菌方法を用いれば、とりわけ開放循環冷却水系等に対して効率的、効果的、長期的に水系の殺菌を行うことが可能である。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するとともに、本発明の効果を検証する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
実施例1では、水系に浸漬した金属の自然電位と酸化剤濃度との相関関係を調べるとともに、金属の自然電位に基づいて酸化剤濃度の制御を行った。なお、本実施例では、酸化剤の一例として遊離塩素を、金属の一例としてステンレス鋼と銅を用いた。
開放冷却水系に、ステンレス鋼と銅を浸漬し、自然電位を測定しながら、遊離有効塩素を添加した。
遊離塩素注入直後の濃度変化の急激な部分に関しては、鋭敏な反応を示す銅の自然電位に基づいて遊離塩素の添加の制御を行い、その後の緩やかな反応の部分に関しては、ステンレス鋼の自然電位に基づいて遊離塩素の添加の制御を行った。
結果を図2に示す。
図2に示す通り、ステンレス鋼と銅の自然電位は、遊離塩素濃度と相関関係を示すことが分かった。
また、遊離塩素注入直後の濃度変化の急激な部分に関しては、鋭敏な反応を示す銅の自然電位に基づいて遊離塩素濃度の制御が可能であり、その後の緩やかな反応の部分に関しては、ステンレス鋼の自然電位に基づいて遊離塩素濃度の制御が可能であることが分かった。更に、遊離塩素濃度を約0.8mg/Lに保つためのステンレス鋼の自然電位は33〜35mV、銅の自然電位は140〜160mVであることが分かった。
実施例1の結果より、金属の自然電位は、酸化剤濃度と相関関係を示すこと、および金属の自然電位に基づいて酸化剤濃度の制御が可能であることが分かった。また、用いる金属を工夫することで、酸化剤濃度変化が一定でない水系においても、正確に酸化剤の濃度を制御することができることが分かった。
実施例2では、水系内の酸化剤濃度に対する金属の自然電位の変化を調べた。なお、本実施例では、実施例1と同様に、酸化剤の一例として遊離塩素を、金属の一例としてステンレス鋼と銅を用いた。
一定濃度の遊離塩素を添加したビーカーに、ステンレス鋼から成る電極と銅から成る電極を浸漬し、それぞれの電位の経時変化を測定した。同時に、銀−塩化電極(Ag-AgCl電極)を用いて、水系内の酸化還元電位(Oxidation-reduction Potential ; ORP)も測定した。
結果を表1に示す。
表1に示す通り、遊離塩素濃度に対する酸化還元電位(ORP)に比べて、遊離塩素濃度に対するステンレス鋼の自然電位および銅の自然電位の方が、安定性が高い結果となった。
実施例2の結果より、酸化剤濃度に対する酸化還元電位(ORP)に比べて、酸化剤濃度に対する金属の自然電位の方が安定性が高いため、金属の自然電位を用いることで、酸化剤濃度を長期的に安定した酸化剤濃度の管理ができることが分かった。
本発明に係る酸化剤濃度の制御方法1のフロー図である。 実施例1において、ステンレス鋼と銅の自然電位の測定結果、および水系内の遊離塩素濃度の測定結果を示す図面代用グラフである。
符号の説明
1 酸化剤濃度の制御方法1
11 第1自然電位測定工程
12 酸化剤発生工程
13 解析工程
14 第2自然電位測定工程
15 腐食発生電位測定工程

Claims (7)

  1. 遊離塩素塩素安定化剤とが結合した水系処理剤を用いて水系を殺菌する方法における前記水系処理剤濃度の制御方法であって、
    前記水系に浸漬した金属の自然電位を測定する第1自然電位測定工程と、
    該第1自然電位測定工程において測定した前記自然電位に基づいて、前記水系に0.05mg−Cl/L以上1mg−Cl/L以下の遊離塩素を発生させる酸化剤発生工程と、
    を少なくとも行って水系に存在する遊離塩素濃度を制御することにより、前記水系処理剤の濃度を制御する水系処理剤の濃度制御方法。
  2. 前記第1自然電位測定工程を行う前に、前記金属の自然電位と前記遊離塩素の濃度との相関関係を解析する解析工程を更に行い、
    前記酸化剤発生工程において、前記相関関係に基づいて、前記水系に遊離塩素を発生させる請求項1記載の水系処理剤の濃度制御方法。
  3. 前記金属は、ステンレス鋼および/または銅である請求項1または2に記載の水系処理剤の濃度制御方法。
  4. 前記金属と異なる金属材料より成る電極を前記水系に浸漬し、該電極の自然電位を測定する第2自然電位測定工程を更に行い、
    前記酸化剤発生工程において、第2自然電位測定工程において測定した前記自然電位に基づいて、前記水系に遊離塩素を発生させる請求項1から3のいずれか一項に記載の水系処理剤の濃度制御方法。
  5. 前記金属材料は、前記水系の配管材料または水と接する構成機器と同一の金属材料である請求項4記載の水系処理剤の濃度制御方法。
  6. 前記第2自然電位測定工程を行う前に、前記電極の腐食発生電位を求める腐食発生電位測定工程を更に行い、
    前記酸化剤発生工程において、腐食発生電位測定工程において測定した前記腐食発生電位に基づいて、前記水系に遊離塩素を発生させる請求項4または5に記載の水系処理剤の濃度制御方法。
  7. 請求項1からのいずれか一項に記載の水系処理剤の濃度制御方法を用いた、前記水系の殺菌方法。
JP2008292043A 2008-11-14 2008-11-14 水系処理剤の濃度制御方法及び該制御方法を用いた水系の殺菌方法 Expired - Fee Related JP5458551B2 (ja)

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