JP6222651B2 - 酸化態窒素濃度の測定方法及び測定装置 - Google Patents

酸化態窒素濃度の測定方法及び測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、酸化態窒素濃度の測定方法及び測定装置に関し、より詳しくは、例えば排水処理に供される被排水処理水等に含まれる酸化態窒素成分の濃度をオンサイトで測定することができる酸化態窒素濃度の測定方法及び測定装置に関するものである。
例えば、工場から排出される排水等に含まれる酸化態窒素濃度の測定方法としては、日本工業規格(JIS)の規格番号K0102に記載された方法、イオン電極法、紫外線吸光光度法等がある。
JISに記載された方法は、基本的に計量証明事業所等のオフサイトで実施される分析方法である。この方法をオンサイト分析用に自動化した装置が市販されているが、高価であり、その装置機構も複雑で取扱いには専門の知識経験を要する。
また、イオン電極法についても、基本的にはオフサイトで実施される分析方法であるが、近年少数ながらオンサイト測定向けの工業用電極が市販されてきており、JIS法を自動化した装置よりも安価ではある。しかしながら、イオン電極法は、例えば測定対象の排水の水温と共存物質の影響を受け易く、比較的短周期で、定期的な校正や消耗部品の交換等が必要となるといった問題がある。
また、例えば酸化態窒素測定用の紫外線吸光光度法は、イオン電極法と同様にオンサイト測定用の工業用センサーが市販されている。この紫外線吸光光度法は、イオン電極法と異なり、水温の影響を受け難く、短周期での校正や消耗部品の交換等が必要にならないなどの特徴があり、価格もJIS法を自動化した装置よりも安価である。
しかしながら、紫外線吸光光度法を用いた酸化態窒素濃度の測定方法並びにその測定装置は、測定可能な濃度範囲が低濃度域に限られ、また測定波長に近い波長を吸収する共存物質が存在すると、その共存物質による影響を受けてしまうという問題がある。
JIS K 0102 窒素・りん公定測定法技術指針:環境庁水質保全局編(1983)
そこで、本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、オンサイトでの測定が可能な測定方法であって、その測定濃度範囲が比較的広く、広範囲に亘る濃度測定を行うことができる酸化態窒素濃度の測定方法及び測定装置を提供することを目的とする。
本発明に係る酸化態窒素濃度の測定方法は、被測定対象中の酸化態窒素の濃度を測定する方法であって、紫外線吸光光度法を用い、254nmを中心波長とした紫外線を照射することを特徴とする。
また、本発明に係る酸化態窒素濃度の測定装置は、被測定対象中の酸化態窒素の濃度を測定する測定装置であって、上記被測定対象中の酸化態窒素濃度を紫外線吸光光度法により測定する濃度測定部と、上記被測定対象を上記濃度測定部に供給する供給部とを備え、上記濃度測定部では、254nmを中心波長とした紫外線を照射して酸化態窒素濃度を測定することを特徴とする。
本発明によれば、オンサイトでの測定が可能であって、測定濃度範囲が広く、広範囲に亘る酸化態窒素濃度の測定を行うことができる。
また、紫外線吸光光度法による濃度測定に先立ち、所定の条件下で被測定対象に対して前処理を施すようにすることで、水温や共存物質等の影響を受けずに高い精度で酸化態窒素濃度を測定することができる。
酸化態窒素濃度の測定装置の構成を示す構成図である。 排水処理に用いられる窒素除去装置(電解処理装置)の構成図である。 窒素除去装置における電解槽の構成図である。 窒素除去装置における窒素濃度測定部の構成図である。 紫外線の中心波長が254nmの紫外線センサーと、中心波長が210nmの紫外線センサーで測定したときの硝酸態窒素濃度と吸光度の関係を示すグラフ図である。 実施例2における電解処理中の硝酸態窒素濃度をJIS法で分析した分析値の変化と、中心波長が254nmの紫外線センサーによる測定値の変化を示したグラフ図である。 比較例1における電解処理中の硝酸態窒素濃度をJIS法で分析した分析値の変化と、中心波長が254nmの紫外線センサーによる測定値の変化を示したグラフ図である。 比較例2における電解処理中の硝酸態窒素濃度をJIS法で分析した分析値の変化と、中心波長が254nmの紫外線センサーによる測定値の変化を示したグラフ図である。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態(以下、「本実施の形態」という。)について、以下の順序で詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
1.酸化態窒素濃度の測定方法
2.酸化態窒素濃度の測定装置
3.酸化態窒素含有排水に対する排水処理への適用
4.実施例
≪1.酸化態窒素濃度の測定方法≫
本実施の形態に係る酸化態窒素濃度の測定方法(以下、単に「測定方法」ともいう)は、例えば、工場等から排出され排水処理が行われる被排水処理水等に含まれる酸化態窒素成分の濃度を測定する方法であって、紫外線吸光光度法を用いる方法である。なお、以下では、酸化態窒素濃度の測定対象を「被測定対象」という。
酸化態窒素は、波長190〜230nmにおいて吸収ピークを有する成分であり、従来、通常の酸化態窒素測定用として紫外線吸光光度法において用いられていた紫外線波長は190〜230nmであった(例えば非特許文献2参照。)。しかしながら、その波長域では感度が非常に高いために、測定範囲が低濃度域、概ね100mg/L以下に限定されてしまい、広い濃度範囲でもって様々な測定対象を対象とした濃度測定ができなかった。
そこで、本実施の形態に係る酸化態窒素濃度の測定方法では、紫外線吸光光度法を用いた濃度測定において、その測定波長を254nm付近へずらすことを特徴とする。すなわち、この測定方法においては、被測定対象に対して、254nmを中心波長とした紫外線を照射して酸化態窒素の濃度を測定する。なお、254nmを中心波長とした紫外線とは、254nmを中心として、その付近の波長範囲を含んだ紫外線であることを意味する。
このようにして、中心波長が254nmの紫外線を照射することによって、この波長における吸収感度が下がり、その分、測定濃度範囲を広げることができる。これにより、低濃度域に限らず、広い濃度範囲に亘って、被測定対象中の酸化態窒素の濃度を測定することができ、様々な測定対象物を対象として濃度測定することができる。
また、254nmを中心とする波長は、紫外線吸光光度法の中で酸化態窒素測定用以外の用途として使用されてきており、汎用の光源やセンサーを有効に使用することができ、オンサイトで酸化態窒素の濃度を効果的に測定することができる。
(測定対象について)
被測定対象としては、酸化態窒素成分を含有するものであれば特に限定されない。本実施の形態に係る測定方法では、上述したように、中心波長が254nmの紫外線を使用することによって広い濃度範囲に亘る濃度測定を行うことができるので、様々な被測定対象の酸化態窒素濃度を測定することができる。
具体的には、例えば、工場等から排出され、硝酸態窒素や亜硝酸態窒素等の酸化態窒素成分を含有する排水であって、排水処理が行われる被排水処理水(工場排水)を用いることができる。被排水処理水は、例えば、工場プラント等から排出されると、排水処理槽に送液されて、系外に排出するための排水処理(無害化処理)が行われる。この被排水処理水に対する排水処理としては、例えば電気分解処理等が施され、その被排水処理水に含まれる酸化態窒素が電気的に還元されて除去される。
このような電解処理に基づく排水処理においては、窒素成分の除去処理過程で被排水処理水中の窒素成分濃度を測定しながら、その濃度測定結果に基づいて、排水処理(窒素除去処理)に要する薬剤の添加制御を行うことが重要となる。その点、このような排水処理に際しての濃度測定方法として、本実施の形態に係る酸化態窒素濃度の測定方法を適用することによって、広い濃度範囲に亘って正確な濃度測定を行うことができるので、窒素成分濃度が徐々に変化する処理過程における窒素濃度の変化を正確に捉えることができ、効率的かつ効果的な排水処理を行うことが可能となる。
(前処理について)
また、本実施の形態に係る酸化態窒素濃度の測定方法においては、濃度測定対象に含まれる共存物質を分解又は除去する前処理を行うようにすることができる。ここで、共存物質とは、被測定対象中に含まれる酸化態窒素成分と共存する物質であって、酸化態窒素の濃度を254nmを中心波長とした紫外線による吸光光度法を用いて測定するに際して測定阻害を生じさせる可能性のある物質をいう。
例えば、上述した工場等から排出され排出処理が施される排水においては、その排水処理の過程で、硝酸態窒素や亜硝酸態窒素等の酸化態窒素の他に、これら成分と共存する物質(化合物)が生じることがある。具体的には、排水処理に供される排水(被排水処理水)中には、例えば電解処理等による排水処理過程においてアンモニアと次亜塩素酸とが反応して、モノクロラミン(NHCl)、ジクロラミン(NHCl)、トリクロラミン(NCl)といったクロラミン類が中間生成物として発生し、酸化態窒素と共に被排水処理水中に含有されることとなる。このクロラミン類は、紫外線吸光光度法による窒素濃度測定の測定波長である254nm近傍に吸収ピークを持つ物質である。そのため、被排水処理水中にこのようなクロラミン類が存在する場合には、そのクロラミン類が酸化態窒素の濃度測定に際して、吸収ピークの干渉を生じさせることがあり、正確に濃度測定を行うことができない可能性がある。
そこで、本実施の形態に係る酸化態窒素の測定方法では、クロラミン類のような、測定中心波長である254nm、またはその近傍に吸収ピークを持つ共存物質が含まれる被測定対象に対しては、その酸化態窒素に対する吸光度測定に先立ち、共存物質を分解又は除去する前処理を行うようにする。これにより、共存物質による測定阻害を生じさせることなく、的確に窒素濃度を測定することができる。
前処理方法としては、特に限定されず、測定の中心波長である254nm、またはその近傍に吸収ピークを持つ共存物質を分解又は除去することができる方法であればよい。具体的には、例えば、上述したクロラミン類が共存している被排水処理水に対しては、活性炭を充填させたカラムにその被排水処理水を通液させる活性炭処理等を前処理として行うようにすることができる。クロラミン類を含有する被排水処理水に対して活性炭処理を行うと、その活性炭によりクロラミン類が分解され、カラム通過後の被排水処理水中にはクロラミン類が存在していない状態となる。これにより、共存物質であるクロラミン類による測定阻害を生じさせることなく、的確に酸化態窒素の濃度を測定することができる。
(前処理のための処理条件の調整について)
また、前処理においては、測定対象中に含まれる共存物質を分解又は除去するのに最適な条件に、その被測定対象を調整した上で処理することが好ましい。具体的には、例えば、上述したようにクロラミン類が共存する被排水処理水に対して活性炭処理等を行う場合には、被排水処理水を活性炭に通液させるにあたり、その被排水処理水のpHを所定の範囲に調整しておくことが好ましい。
より具体的に、クロラミン類を分解するにあたっては、例えば硫酸等の酸性溶液を用いて、被排水処理水のpHを3.0以下に調整し、またそのpHを維持させるようにすることが好ましい。このように、共存物質を分解するための最適な条件に調整し維持させて前処理を行うことによって、共存物質を確実に分解して濃度測定における干渉の影響を排除することができ、より正確な酸化態窒素濃度の測定を行うことができる。
≪2.酸化態窒素濃度の測定装置≫
次に、上述した測定方法を実施するため酸化態窒素濃度の測定装置(以下、単に「測定装置」ともいう)について説明する。図1は、この測定装置の構成を示す構成図である。
図1に示すように、測定装置10は、濃度測定の対象(被測定対象)を採取するための採取機構11と、被測定対象中の酸化態窒素濃度を測定する濃度測定部12とを備える。また、測定装置10は、被測定対象中に含まれる共存物質を分解又は除去するための前処理部13と、被測定対象に対する前処理条件を調整する調整部14とをさらに備える。
(採取機構)
採取機構11は、酸化態窒素を含有する被測定対象を採取する。被測定対象は、例えば酸化態窒素を含有する工場排水であって排水処理が行われる被排水処理水等である。採取機構11は、例えばその被排水処理水を、排水処理が行われる排水処理槽や排水処理の条件を調整する調整槽から採水し、後述する濃度測定部12に供給する。
この採取機構11の具体的な構成としては、特に限定されないが、例えば吸引ポンプ(採取ポンプ)等を挙げることができる。採取機構11としての吸引ポンプは、例えば被測定対象が上述したような被排水処理水の場合、その被排水処理水を排水処理槽や調整槽等から所定量を吸引して汲み取る。またそのほか、採取機構11としては、例えば、被測定対象が収容された貯液槽から濃度測定のための所定量の被測定対象をオーバーフローさせて濃度測定部12に取り入れる機構としたり、スコップ形状のサンプリング手段等により構成され所定量の被測定対象を汲み上げる機構としてもよい。
(濃度測定部)
濃度測定部12は、採取機構11から供給された所定量の被測定対象を取り入れ、その被測定対象に含まれる酸化態窒素の濃度を測定する。本実施の形態における測定装置10では、この濃度測定部12において、紫外線吸光光度法を用いた濃度測定を行い、照射する紫外線の測定中心波長を254nmとする。
この測定装置10では、このように中心波長が254nmの紫外線を照射して、その紫外線吸光度により濃度を測定することによって、オンサイトでの測定を可能にするとともに、測定濃度範囲を広くすることができ、広範囲の濃度を正確に測定することができる。
(前処理部)
前処理部13は、濃度測定部12の前段に設置され、採取機構11により採取した被測定対象中に共存物質が含まれる場合に、その共存物質を選択的に分解又は除去する。共存物質とは、上述したように、被測定対象中に含まれる酸化態窒素成分と共存する物質であって、濃度測定部12における酸化態窒素濃度の測定に際して測定阻害を生じさせる可能性のある物質をいう。
例えば、被測定対象として工場等から排出された被排水処理水を用いる場合には、その被排水処理水中には酸化態窒素成分と共に、電解処理等の排水処理過程で中間生成物として生じたクロラミン類が含まれている。このクロラミン類は、濃度測定部12における紫外線吸光光度法による測定中心波長である254nm近傍に吸収ピークを持つ物質である。このため、このクロラミン類が共存している状態で被排水処理水の酸化態窒素濃度を測定した場合、吸収ピークの干渉が起こり、正確に酸化態窒素の濃度を測定することができない可能性がある。
したがって、前処理部13では、濃度測定部12における濃度測定に先立ち、採取した被測定対象中に含まれる共存物質を分解又は除去する処理を行う。前処理部13における前処理方法としては、特に限定されないが、例えば上述したクロラミン類が共存物質として共存している被排水処理水に対しては、活性炭等を用いた処理を行うことができる。
具体的に、前処理部13としては、図1に示すように、活性炭等を充填させたカラムとすることができる。被排水処理水等の被測定対象は、採取機構11によって採取された後、活性炭等を充填させたカラムからなる前処理部13に通液される。カラム内では、通液された被測定対象中に含まれるクロラミン類等の共存物質が選択的に分解されて、その被測定対象中から除去される。クロラミン類等の共存物質が除去された被測定対象は、濃度測定部12に送られ、その濃度測定部12において酸化態窒素成分のみが254nmの紫外線を吸収することによって、その濃度が算出されることになる。
なお、前処理部13の構成としては、上述したカラム構造のものに限られるものではなく、被測定対象中の共存物質を分解又は除去することができるものであればよい。
(調整部)
調整部14は、前処理部13の前段に設置され、被測定対象に対する前処理条件を調整する。すなわち、調整部14では、採取機構11により採取された被測定対象に対して共存物質を分解又は除去する前処理を前処理部13にて行うに先立ち、その前処理に適した条件、つまり共存物質を分解又は除去するための最適条件に被測定対象を調整する。
この調整部14は、例えば調整槽等の構成からなる。調整する前処理条件としては、被測定対象のpH、温度等が挙げられる。具体的には、例えば、調整槽からなる調整部14に被測定対象を収容させて、その被測定対象に酸溶液やアルカリ溶液等を添加することによって、被測定対象のpHを所定の範囲に調整する。または、その調整槽に冷却ジャケットや温度ヒータ等を覆い、収容された被測定対象の温度を所定の範囲に調整する。
例えば、被測定対象としてクロラミン類を含有する被排水処理水を例に挙げると、その被排水処理水に対しては、前処理部13において、例えば活性炭による活性炭処理が行われる。クロラミン類を活性炭により分解するにあたっては、そのクロラミン類を含有する被排水処理水のpHを適切に調整することが重要となる。具体的には、被排水処理水のpHを3.0以下に調整し維持させることが好ましい。pHが3.0を超えた条件で活性炭処理を施すと、活性炭によるクロラミン類の分解が十分に起こらず、活性炭を充填させたカラムを通過した被排水処理水中には、未だ多量のクロラミン類が残存した状態となる。すると、共存物質が残存した状態の被排水処理水が濃度測定部12に送られて濃度測定に供されることになり、吸収ピークの干渉を生じさせることになる。
そこで、調整部14では、前処理部13における前処理に先立って被測定対象を所望とする前処理条件に調整し、これにより確実に被測定対象中の共存物質を分解又は除去することができるようにする。
以上のように、本実施の形態に係る酸化態窒素濃度の測定装置では、濃度測定部12において、中心波長が254nmの紫外線を照射して吸光光度法により酸化態窒素の濃度を測定する。このような中心波長が254nmの紫外線吸光度によって濃度を測定することで、測定濃度範囲を広くすることができ、広範囲の濃度を正確に測定することができる。
また、254nm近傍の波長に紫外線吸収ピークを有する共存物質が存在する場合においては、濃度測定部12における濃度測定に先立って、その共存物質を分解又は除去するための前処理を行う前処理部13や、前処理条件を調整する調整部14をさらに備えるようにすることで、濃度測定阻害を生じさせることなく、高い精度で酸化態窒素濃度を測定することができる。
なお、上述した説明では、調整部14において、前処理部13における前処理に先立って被測定対象を前処理するための最適な条件に調整する態様について示したが、これに限られるものではない。すなわち、前処理にあたっての最適な分解条件、除去条件への調整は、調整部14にて行うことに限られず、前処理部13に対して直接行うようにしてもよい。例えば、前処理部13が、上述したような活性炭を充填したカラムの場合には、そのカラム内に直接的に硫酸溶液等を添加して所望とするpHに調整するようにしてもよい。これにより、最適条件をより継続的に維持しながら、前処理を行うことができる。
≪3.酸化態窒素含有排水に対する排水処理への適用≫
<3−1.排水処理方法(窒素除去方法)について>
次に、本実施の形態に係る酸化態窒素濃度の測定方法を、酸化態窒素を含有する排水に対する排水処理(窒素除去処理)に際しての濃度測定手段として適用した場合を例に挙げた適用例について具体的に説明する。
工場等から排出された、塩化物イオンと共に硝酸態窒素や亜硝酸態窒素等の酸化態窒素を含む排水の排水処理においては、その排水(被排水処理水)に対して電気分解処理を施すことによって、その酸化態窒素成分を電気化学的に還元処理して除去する方法がある。
この電気化学的な還元処理による除去方法は、陽極及び陰極を有する電解槽に被排水処理水を収容し、その電極に電圧を印加して通電することによって、陽極では塩化物イオンを酸化して次亜塩素酸を生成させ、陰極では酸化態窒素成分を還元してアンモニアを生成させるものである。そして、発生した次亜塩素酸とアンモニアとを反応させることによって酸化態窒素を窒素ガスとして除去する。
このような排水処理方法(窒素除去方法)においては、例えば、窒素成分の除去処理過程で被排水処理水中の酸化態窒素成分の濃度を測定し、その濃度測定結果に基づいて、陰極における主たる反応機構を推定し、推定した反応機構に応じて、窒素除去処理に要する所定の薬剤の添加を制御するという方法等が好ましく用いられる。
そして、このような窒素除去方法では、窒素成分の除去処理過程において濃度が刻々と次第に変化する酸化態窒素成分の濃度を正確に測定することが重要となり、その測定結果に基づいて薬剤の添加制御を効率的に行うことが望まれる。すなわち、幅広い濃度領域に亘って正確に酸化態窒素の濃度を測定することができる酸化態窒素濃度の測定方法を、この排水処理に適用することが望まれる。
そこで、本実施の形態における排水処理では、排水処理に供される被排水処理水中の酸化態窒素の濃度測定に関して、中心波長が254nmである紫外線を用いた紫外線吸光光度法を用いて、この紫外線の吸光度に基づいて濃度を測定するようにする。
このような酸化態窒素の濃度測定方法を用いることによれば、低濃度の測定領域だけでなく、広い濃度領域に亘った濃度測定を行うことができ、除去処理過程で次第に変化する被排水処理水中の酸化態窒素の濃度を正確に且つ効率的に測定することができる。そして、排水処理においては、この濃度測定方法による測定結果に基づいて陰極における主たる反応機構を推定し、推定した反応機構に応じて、その時点における窒素除去処理に要する薬剤の添加を制御することで、効率的な反応制御を行うことが可能となり、安定的に被排水処理水中の酸化態窒素を除去することができる。
<3−2.窒素除去装置について>
ここで、図2に、排水処理に用いられる窒素除去装置(電解処理装置、排水処理装置)の概略構成図の一例を示す。この窒素除去装置20は、被排水処理水30中に含まれる酸化態窒素成分を電解処理により除去するものである。
図2に示すように、窒素除去装置20は、陽極と陰極とを備え、酸化態窒素成分を含有する被排水処理水30を収容する電解槽21と、陽極と陰極の間に直流電流を供給する直流電源22と、被排水処理水30の水質を調整する調整槽23と、電解槽21と調整槽23の間で被排水処理水30を循環させる循環機構24(24a,24b)とを具備する。
また、窒素除去装置20は、被排水処理水30のpHや次亜塩素酸濃度を測定する測定部25と、被排水処理水30中の窒素濃度を測定する窒素濃度測定部10Aとを具備する。この窒素濃度測定部10Aが、上述した酸化態窒素濃度の測定方法を適用した測定装置10に対応する構成である。
さらに、窒素除去装置20は、窒素除去処理に要する薬剤を供給する薬剤供給部26と、薬剤供給部26から供給される薬剤供給量を制御する制御部27とを具備する。
(電解槽)
電解槽21は、陽極21a及び陰極21bを1対とする1組以上から構成されている。図3は、この電解槽21の正面図(A)と側面図(B)である。図3に示すように、電解槽21内には、酸化態窒素等の窒素成分を含有する被排水処理水30が収容され、被排水処理水30中に少なくとも一部が浸漬するように、例えば薄板状の陽極21aと陰極21bとが配置されている。また、その各電極21a,21bには、後述する直流電源22が接続されおり、直流電源22から印加された直流電流を陽極21aと陰極21bに通電することによって被排水処理水30中の窒素成分を電解除去する。
この電解槽21は、例えば、陽極21aと陰極21bとの間をイオン交換膜等の隔膜によって区画しない無隔膜電解槽である。この無隔膜の電解槽21では、上述したように、陽極21aにて発生した次亜塩素酸と陰極21bにて発生したアンモニアとが均一に混合され、その場で反応して、窒素ガスとなって除去される。なお、陽極21aと陰極21bとの間を隔膜で区画しない無隔膜電解槽では、被排水処理水30中に含まれる硬度成分が隔膜に目詰まりするといった問題が発生せず原水管理等の負荷がない。
陽極21aとしては、一般的に用いられている不溶性電極を用いることができる。陽極21aでは、被排水処理水に含有される塩化物イオンから次亜塩素酸を生成させるために、不溶性電極の中でも塩素発生効率が高い電極を採用することが望ましい。塩素発生効率が高いということは、陽極で塩化物イオンから次亜塩素酸イオンへの酸化反応が他の反応に優先して起こることを意味している。これは、陰極21bで還元された酸化態窒素が、再び酸化されることを防止することにつながる。
陰極21bは、上述のように、被排水処理水中の酸化態窒素等の窒素成分を電気分解により除去するために用いられるものであって、酸化態窒素に対して還元性能を有する金属からなる電極を用いることができる。具体的には、例えば、酸化態窒素に対して還元性能を有する鉄−クロム系合金等の合金をアモルファス状態でコーティングしてなるアモルファス電極を用いることができる。このようなアモルファス電極を用いることにより、直流電流が通電されても、その陰極21bを構成する金属成分が溶液中に溶出することなく、還元性能を維持して電解処理を行うことができる。
(直流電源)
直流電源22は、電解槽21に設けられた陽極21a及び陰極21bの間に直流電流を供給印加する。この直流電源22においては、後述する制御部27と接続させて信号の送受信を可能とし、被排水処理水30の水質や薬剤供給量等に応じて、供給する直流電流の通電量等を制御可能にしてもよい。
(調整槽)
調整槽23は、電解槽21にて電解処理を施す被排水処理水30を、電解槽21から後述する循環機構24(24a)を介して定期的に取り込んで、その被排水処理水30のpHや次亜塩素酸濃度等の水質の調整を行う。
具体的に、調整槽23は、pH調整剤供給部26aや余剰次亜塩素酸スカベンジャー供給部26b等からなる薬剤供給部26に接続されており、後述する測定部25における被排水処理水30のpHや次亜塩素酸濃度の測定結果、また窒素濃度測定部10Aにおける被排水処理水30中の酸化態窒素濃度の測定結果に基づいて、その被排水処理水30に対してpH調整剤や余剰次亜塩素酸スカベンジャー等の窒素除去処理に要する薬剤が供給添加され、被排水処理水30の水質が調整される。すなわち、被排水処理水30のpHを電解処理に好適な範囲に調整し、また陽極21aにて発生した余剰の次亜塩素酸を次亜塩素酸スカベンジャーにより分解する。
なお、この調整槽23に送液されて必要に応じて薬剤が添加された被排水処理水30は、循環機構24(24b)を介して再び電解槽21に循環されて収容される。
(循環機構)
循環機構24は、例えば、主として、電解槽21から取り出される被排水処理水30を調整槽23に移送する循環配管24aと、調整槽23からの被排水処理水30を再び電解槽21に戻し入れる循環配管24bとからなっている。循環機構24では、被排水処理水30を例えばポンプ28によって循環させる。
(測定部)
測定部25は、例えば、上述した循環機構24を構成する循環配管24a上に設けられており、電解槽21から取り込まれた被排水処理水30のpHを測定するpH測定装置や、陽極21aにて発生した次亜塩素酸濃度を測定する次亜塩素酸濃度測定装置等からなっている。このように測定部25は、窒素除去処理過程における被排水処理水30の水質を測定する。
また、この測定部25は、後述する制御部27に接続されており、この測定部25における被排水処理水30のpHや次亜塩素酸濃度の測定結果の信号を制御部27に送信可能となっている。そして、制御部27では、それらpH等の水質の測定結果から、調整槽23において被排水処理水30に対する薬剤供給が行われる。すなわち、制御部27では、測定部25から受信した被排水処理水30のpH等の測定結果に基づいて、薬剤供給部26からの薬剤の供給量を調整し、その薬剤供給部26を介して必要となる薬剤を調整槽23内の被排水処理水30に添加する。
(窒素濃度測定部)
窒素濃度測定部10Aは、調整槽23内に収容された被排水処理水30を取り込んで、その被排水処理水30中の酸化態窒素の濃度を測定する。この窒素濃度測定部10Aが、上述した酸化態窒素濃度の測定装置10を適用した構成である。
図4に、窒素濃度測定部10Aの構成図を示す。具体的に、窒素濃度測定部10Aは、濃度測定の対象である被排水処理水30を採水するための採取機構11Aと、被排水処理水30中の酸化態窒素濃度を測定する濃度測定部12Aとを備える。また、窒素濃度測定部10Aは、被排水処理水30中に含まれる共存物質を分解又は除去するための前処理部13Aと、被排水処理水30に対する前処理条件を調整する調整部14Aとを備える。
なお、上述したように、窒素濃度測定部10Aが酸化態窒素濃度の測定装置10に対応し、各構成についても、構成に付した符号の数字が共通するもの同士が対応する。また、この図4では、窒素除去装置20における調整槽23を含めた構成として示し、調整槽23から取り出された被排水処理水30の酸化態窒素濃度を測定する態様の構成を示す。
採取機構11Aは、窒素除去装置20を構成する調整槽23に収容された被排水処理水30を吸引して汲み取る吸引ポンプからなっている。このポンプを介して所定量の被排水処理水30が汲み上げられて、濃度測定部12Aの方向に送液される。
濃度測定部12Aは、採取機構11Aにより汲み上げられて供給された被排水処理水30に含まれる酸化態窒素の濃度を測定する。この濃度測定部12Aでは、紫外線吸光光度法を用いた濃度測定が行われ、特に中心波長が254nmの紫外線を用い、その波長の吸光度を測定することによって濃度を算出する。この中心波長である254nmの波長は、酸化態窒素の吸収はあるがアンモニアの吸収はないという特徴がある波長であり、酸化態窒素の窒素濃度を有効に測定することができる。
前処理部13Aは、濃度測定部12Aの前段に設置され、被排水処理水30中の酸化態窒素濃度を測定するに先立って、その被排水処理水30中に酸化態窒素と共存する共存物質を分解又は除去する。この前処理部13Aは、活性炭を充填させたカラムからなり、カラム内の被排水処理水30を通液させる。カラム内では、充填させた活性炭により、被排水処理水30に含まれるクロラミン類が選択的に分解され、カラム通液後の被排水処理水30内にはクロラミン類が存在していない状態となる。
調整部14Aは、前処理部13Aの前段に設置され、被排水処理水30に対する前処理に先立って、その前処理が効率的に且つ効果的に行われるようにするための前処理条件の調整が行われる。具体的に、この調整部14Aは、被排水処理水30を収容する槽(調整槽)からなり、その調整槽内に収容された被排水処理水30に対して硫酸等の酸溶液を添加して、クロラミン類を分解するための分解条件を最適化する。より具体的には、その被排水処理水30のpHを3.0以下に調整する。
なお、調整部14Aにおいて最適な前処理条件に調整することに限られず、前処理部13Aに対して直接的に硫酸溶液等を添加する等して処理条件を調整してもよい。
以上のような窒素濃度測定部10Aを備えるようにすることにより、低濃度域に限らず、広い濃度範囲に亘って、被排水処理水30中の酸化態窒素濃度を測定することができ、刻々と変化する酸化態窒素の濃度についても高い精度で測定することができる。
なお、窒素濃度測定部10Aは、窒素除去装置20を構成する制御部27に接続されており、濃度測定部12Aにおける被排水処理水30中の酸化態窒素濃度の測定結果を制御部27に送信可能となっている。なお、制御部27では、その酸化態窒素濃度の測定結果に基づいて、薬剤供給部26からの被排水処理水30に対する薬剤供給を制御する。
また、濃度測定部12Aにて酸化態窒素成分の濃度が測定されると、その被排水処理水30は再び調整槽23に戻し入れられ、電解処理のために電解槽21に循環移送される。なお、調整槽23に戻し入れた被排水処理水30に対しては、適宜pH調整剤を添加して、そのpHを電解処理に好適な範囲に調整する。
(薬剤供給部)
薬剤供給部26は、例えば、pH調整剤供給部26aや余剰次亜塩素酸スカベンジャー供給部26b等からなり、被排水処理水30中の酸化態窒素を分解除去する処理に要する薬剤を供給する。この薬剤供給部26は、後述する制御部27に接続されており、循環配管24aの循環経路上に設けられた測定部25における被排水処理水30のpH等の水質の測定結果や、窒素濃度測定部10Aにおける酸化態窒素濃度の測定結果に基づいて、制御部27により薬剤供給量等の薬剤供給が制御される。
窒素除去装置20においては、処理対象の被排水処理水30のpHを所定の範囲に維持制御しながら酸化態窒素を除去する。具体的には、上述したように、被排水処理水30のpHを概ね4.0〜10.0、好ましくは5.0〜9.0に維持制御しながら酸化態窒素を除去する。したがって、窒素除去装置20では、電解槽21から取り込んで循環させる被排水処理水30のpHを測定部25にて常時測定し、その測定結果に基づいてpH調整剤供給部26aからのpH調整剤の使用量を変化させ、被排水処理水30のpHを所定範囲に維持制御する。
より具体的には、電解槽21の陰極21bにおける反応機構が変化して、発生するHの量が増加すると、被排水処理水30のpHが酸性側に変化する。このような場合には、測定部25における被排水処理水30のpH測定結果(pHが低下したという測定結果)に基づいて、pH調整剤供給部26aからのpH調整剤の使用量を増加させるようにし、これによって、被排水処理水30のpHを所定の範囲の維持させるように制御する。
(制御部)
制御部27は、薬剤供給部26から供給される薬剤供給量を制御する。この制御部27は、循環配管24aの循環経路上に設けられた測定部25において測定された被排水処理水30のpH等の測定結果や、窒素濃度測定部10Aにおける酸化態窒素濃度の測定結果を受信し、それらの測定結果に基づいて、薬剤供給部26からの薬剤の供給量等を制御する。
≪4.実施例≫
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。なお、下記のいずれかの実施例に本発明の範囲が限定されるものではない。
[実施例1]
<酸化態窒素濃度の測定波長の検証>
測定波長による相違を確認するために、濃度既知の硝酸態窒素含有溶液を、紫外線の中心波長が254nmの紫外線センサー(紫外線吸光光度法センサー)と、210nmの紫外線センサー(紫外線吸光光度法センサー)で測定し、それぞれの硝酸態窒素濃度と紫外線吸光度の関係を比較した。
図5に測定結果を示す。図5に示されるように、硝酸態窒素濃度の変化に対し、中心波長が210nmの紫外線を用いた場合には、およそ100mg/L以下の低濃度領域での感度が高く(図の傾きが大きい)、この領域での濃度測定には適しているものの、その100mg/Lを超える領域では吸光度の変化がほとんどなく濃度測定には適さないことが分かる。
一方で、中心波長が254nmの紫外線を用いた場合では、中心波長が210nmの紫外線を用いた場合よりも感度は低いものの、広範囲の濃度領域で直線性が保たれており、210nmの波長よりも測定可能な濃度範囲が広いことが分かる。
このことから、酸化態窒素の濃度測定においては、254nmを測定中心波長とした紫外線を用いることによって、広い濃度範囲に亘って被排水処理水中の酸化態窒素の濃度を測定することができることが分かった。
[実施例2]
<酸化態窒素濃度の測定>
硝酸とアンモニアとが共存する系(被排水処理水)で、次亜塩素酸を使用して酸化態窒素成分を除去する排水処理を行い、その排水処理において被排水処理水中に含まれる酸化態窒素の濃度測定を行った。
この排水処理においては、アンモニアと次亜塩素酸とが反応して窒素ガスが生成するが、その過程で中間生成物であるクロラミン類が生成する。クロラミン類は、254nm近傍の波長を吸収し、そのクロラミン類を前処理により除去しなければ、干渉して被排水処理水中の酸化態窒素濃度を正確に測定することができない。
そこで、酸化態窒素濃度測定の前処理として、被排水処理水に対して活性炭を用いた活性炭処理を行い、クロラミン類のみを選択的に分解し、紫外線吸光光度計(紫外線吸光光度法センサー)への干渉を防止することとした。
具体的に、この実施例2における排水処理としては、図2に示した窒素除去装置(電解処理装置)20を用いた酸化態窒素成分の電気分解による除去処理を行った。
窒素除去装置20において、電解槽21には、陽極21aとしては市販のソーダ電解用不溶性電極を用い、陰極21bとしてはチタン板の表面に鉄−クロム系合金をアモルファス状態でコーティングした電極(アモルファス電極)を用いた。そして、この電解槽21に硝酸性窒素濃度5000mg/Lの被排水処理水を収容し、直流電源22から陽極21aと陰極21bの間に直流電流を流し、酸化態窒素を含有する被排水処理水に対して5時間の電解処理を行った。陽極21a及び陰極21bの通電部分の面積を共に0.01mとし、通電する電流量を12Aとして試験を実施した。
なお、電解槽21内に収容した硝酸性窒素濃度5000mg/Lの被排水処理水に対し、余剰次亜塩素酸スカベンジャーとして塩化アンモニウムを添加後のアンモニア態窒素濃度として10000mg/L添加した溶液600mlを窒素除去装置20内の調整槽23に投入して余剰次亜塩素酸を分解しながら電解処理を行った。また、電解中においては電解反応によって被排水処理水のpHが変動するため、その変動に対応するためpH調整用薬剤である苛性ソーダを調整槽23に逐次添加して、被排水処理水のpHを4.0〜10.0の範囲に調整した。
この電解処理においては、被排水処理水中の酸化態窒素(硝酸態窒素)の濃度を測定した。窒素濃度測定は、調整槽23から濃度測定用の水(被排水処理水)を吸引ポンプで採水し、活性炭を充填させたカラムへ通水した後、活性炭カラム出口液を紫外線吸光方式の酸化態窒素測定用センサーへ導入した。この紫外線センサーの測定中心波長は254nmとした。また、活性炭カラム内へは希硫酸液を添加して、濃度測定対象の被排水処理水のpHを2.0以下に維持するようにした。
図6は、電解処理中の硝酸態窒素濃度を、別途サンプリングしてJIS法で分析した分析値の変化と、中心波長が254nmの紫外線を用いた紫外線センサー(紫外線吸光光度法センサー)による測定値の変化を示したグラフである。この図6のグラフから分かるように、分析値とセンサー測定値とはよく一致しており、クロラミン類の影響を排除して酸化態窒素の濃度を測定できていることが分かる。
[比較例1]
比較例1では、被排水処理水中の酸化態窒素濃度の測定にあたり、採水した被排水処理水を活性炭カラムに通さずに測定用センサー(中心波長が254nmの紫外線センサー)へ導入したこと以外は、実施例2と同じ条件で試験を実施した。
図7は、電解処理中の被排水処理水の窒素濃度を、別途サンプリングしてJIS法で分析した分析値の変化と、中心波長が254nmの紫外線を用いた紫外線センサー(紫外線吸光光度法センサー)による測定値の変化を示したグラフである。この図7のグラフに示されるように、分析値とセンサー測定値と全く一致せず、電解処理開始と同時にセンサー測定値は上昇してしまった。これは、電解処理によって生成した中間生成物であるクロラミン類の影響により、酸化態窒素成分の濃度のみを選択的に測定することができなかったためと考えられる。
[比較例2]
被排水処理水中の酸化態窒素濃度の測定にあたり、被測定水(被排水処理水)を活性炭カラムに通したものの、その被測定水に対してはpH調整用の希硫酸を添加せずに測定用紫外線センサーに導入したこと以外は、実施例2と同じ条件で試験を実施した。
図8は、電解処理中の被排水処理水の窒素濃度を、別途サンプリングしてJIS法で分析した分析値の変化と、中心波長が254nmの紫外線を用いた紫外線センサー(紫外線吸光光度法センサー)による測定値の変化を示したグラフである。この図8のグラフに示されるように、分析値とセンサー測定値は途中までは一致しているが、電解時間が経過するにつれて分析値とセンサー測定値との差が拡がる傾向にあることが分かる。これは、電解処理によって生成したクロラミン類の影響が、初期段階では排除されているものの、pHの調整を行わなかったためにクロラミン類の分解条件が最適化されず、時間の経過に伴ってクロラミン類が活性炭カラム出口へリークし始め、測定値へ影響を及ぼしたと考えられる。
[実施例3]
実施例3では、酸化態窒素のうち硝酸態窒素と亜硝酸態窒素とが共存して含有する被測定水を例に挙げて、この被測定水中の酸化態窒素濃度の測定を行った。
硝酸態窒素と亜硝酸態窒素は、波長254nm近傍で双方が類似した紫外線吸収を示すことが知られている。この実施例3では、亜硝酸態窒素のみを選択的に分解した後に、中心波長が254nmの紫外線による吸光度を測定することで硝酸態窒素濃度を測定した。
先ず、亜硝酸態窒素のみを選択的に分解するために、硝酸態窒素濃度500mg/L、亜硝酸態窒素濃度500mg/Lに調整された被測定水を吸引(採水)ポンプで反応槽へ導入した。反応槽では、採水した被測定水にスルファミン酸溶液を添加し、下記反応式(i)の反応によって亜硝酸窒素のみを選択的に分解させた。なお、反応式(i)の反応は、pH3.0以下で進行するため、反応槽内のpHを3.0以下に維持するために硫酸を添加して行った。
NO2− + NHSOH → N + HSO4− + HO ・・・(i)
次に、亜硝酸窒素を分解させた後の液を、紫外線吸光光度法を利用した紫外線センサーへ導入し、中心波長を254nmとして吸光度を求めて硝酸態窒素の濃度を測定した。
下記表1に、紫外線吸光光度法による硝酸態窒素濃度の測定結果(センサー測定値)を示す。この表1に示すように、センサー測定値は、硝酸態窒素の分析値とほぼ一致していることが確認された。
[比較例3]
比較例3では、被測定水を紫外線センサーへ直接導入したこと以外は、実施例3と同様の試験を行った。つまり、被測定水中に含まれる亜硝酸態窒素を選択的に分解させる処理を行わずに、そのまま紫外線センサーによる濃度測定を行った。
下記表1に、紫外線吸光光度法による窒素濃度の測定結果(センサー測定値)を示す。表1に示すように、センサー測定値は、硝酸態窒素の分析値と一致しなかった。これは、被測定水中の亜硝酸態窒素を分解せずに、中心波長が254nmの紫外線を照射して濃度測定を行ったために、亜硝酸態窒素成分を含んだ酸化態窒素の濃度値が得られたためと考えられる。
Figure 0006222651
10 酸化態窒素濃度の測定装置、11 採取機構、12 濃度測定部、13 前処理部、14 調整部、20 窒素除去装置、21 電解槽、21a 陽極、21b 陰極、22 直流電源、23 調整槽、24 循環機構、24a 循環配管、24b 循環配管、25 測定部、26 薬剤供給部、26a 調整剤供給部、26b 余剰次亜塩素酸スカベンジャー供給部、27 制御部、30 被排水処理水

Claims (11)

  1. 被測定対象中の、波長190〜230nmにおいて吸収ピークを有する酸化態窒素の濃度を測定する酸化態窒素濃度の測定方法であって、
    紫外線吸光光度法を用い、254nmを中心波長とした紫外線を照射し、上記酸化態窒素による該中心波長の紫外線の吸収によって酸化態窒素濃度を測定することを特徴とする酸化態窒素濃度の測定方法。
  2. 上記酸化態窒素は、硝酸態窒素であることを特徴とする請求項1に記載の酸化態窒素濃度の測定方法。
  3. 上記被測定対象は、工場等から排出され排水処理が行われる被排水処理水であり、該被排水処理水中の酸化態窒素の濃度を測定することを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化態窒素濃度の測定方法。
  4. 紫外線吸光光度法による酸化態窒素濃度の測定に先立ち、上記被測定対象中の共存物質を分解又は除去する前処理を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の酸化態窒素濃度の測定方法。
  5. 上記共存物質は、クロラミン類であり、該クロラミン類を活性炭により分解する前処理を行うことを特徴とする請求項4に記載の酸化態窒素濃度の測定方法。
  6. 上記被測定対象に酸溶液を添加しpHを3.0以下に調整して上記前処理を行うことを特徴とする請求項5に記載の酸化態窒素濃度の測定方法。
  7. 被測定対象中の、波長190〜230nmにおいて吸収ピークを有する酸化態窒素の濃度を測定する酸化態窒素濃度の測定装置であって、
    上記被測定対象を採取するための採取機構と、
    上記被測定対象中の酸化態窒素濃度を紫外線吸光光度法により測定する濃度測定部と、
    を備え、
    上記濃度測定部では、254nmを中心波長とした紫外線を照射し、上記酸化態窒素による該中心波長の紫外線の吸収によって酸化態窒素濃度を測定することを特徴とする酸化態窒素濃度の測定装置。
  8. 上記被測定対象は、工場等から排出され排水処理が行われる被排水処理水であり、
    上記採取機構は、排水処理槽から上記被排水処理水を採水して上記濃度測定部に供給することを特徴とする請求項7に記載の酸化態窒素濃度の測定装置。
  9. 上記被測定対象中の共存物質を分解又は除去するための前処理部をさらに備え、
    上記濃度測定部では、上記前処理部において上記共存物質が分解又は除去された被測定対象中の酸化態窒素の濃度を測定することを特徴とする請求項7又は8に記載の酸化態窒素濃度の測定装置。
  10. 上記前処理部における上記被測定対象に対する前処理に先立ち、該被測定対象の前処理条件を調整する調整部をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の酸化態窒素濃度の測定装置。
  11. 上記共存物質は、クロラミン類であり、
    上記調整部では、クロラミン類を含有する被測定対象に酸溶液を添加してpHを3.0以下に調整し、
    上記前処理部では、上記クロラミン類を活性炭により分解する前処理を行うことを特徴とする請求項10に記載の酸化態窒素濃度の測定装置。
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