JP7401744B2 - 塩素要求量の測定方法及び測定装置 - Google Patents

塩素要求量の測定方法及び測定装置 Download PDF

Info

Publication number
JP7401744B2
JP7401744B2 JP2019195852A JP2019195852A JP7401744B2 JP 7401744 B2 JP7401744 B2 JP 7401744B2 JP 2019195852 A JP2019195852 A JP 2019195852A JP 2019195852 A JP2019195852 A JP 2019195852A JP 7401744 B2 JP7401744 B2 JP 7401744B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chlorine
concentration
added
addition
free
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019195852A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021071293A (ja
Inventor
美由貴 浦田
曜 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DKK TOA Corp
Original Assignee
DKK TOA Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by DKK TOA Corp filed Critical DKK TOA Corp
Priority to JP2019195852A priority Critical patent/JP7401744B2/ja
Publication of JP2021071293A publication Critical patent/JP2021071293A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7401744B2 publication Critical patent/JP7401744B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Non-Biological Materials By The Use Of Chemical Means (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)

Description

本発明は試料水、特に上水製造プロセス等における不連続点塩素処理の対象水の塩素要求量を求めることができる測定方法及び測定装置に関する。
塩素処理は、上水、下水、工業用水、排水、食品洗浄水、プール水等、種々の水に対して、これを消毒するために行われている。この塩素処理において使用される塩素剤は、消毒するために十分な量を消毒対象の水中に投入しなければならないが、あまり過剰に投入することは、環境に悪影響を及ぼしたり、人体に害を与えたりするため望ましくない。そこで、塩素を最適な量で投入するために、塩素要求量を測定することが行われている。
塩素要求量とは、塩素を注入し所定時間接触後において、遊離塩素(遊離残留塩素)を保持するのに必要な塩素注入率である。
なお、ジエチル-p-フェニレンジアミン法(以下「DPD法」という。)及び装置の測定誤差等を勘案した誤差が±0.1mg/L程度なので、遊離塩素濃度が0.1mg/Lとなったことを認めた時点を、遊離塩素を認め始めた時とすることが、測定上好ましい。
非特許文献1に記載されているように、アンモニア性窒素、有機性窒素などを含む水の場合は特異的な塩素消費の挙動が見られる。試料水に段階的な注入率で塩素を注入し、所定時間静置後に全塩素濃度を測定し、塩素注入率と全塩素濃度の関係を図示すると図1のようになる。I型は、精製水のような塩素要求量ゼロの水の場合である。アンモニア性窒素を含まないが還元性物質を含む水はII型、アンモニア性窒素等を含む水はIII 型となる。
注入された塩素は、II型の場合はp点まで、III 型の場合はq点まで、還元性物質(NO2-、Fe2+など)によって消費される。
II型の場合はp点を過ぎると、注入された塩素は、遊離塩素として残留する。p点を超えて、遊離塩素が認められた時の塩素注入率は塩素消費量である。II型の場合の塩素要求量は、この塩素消費量と等しい。
一方、III 型では、q点を過ぎると注入された塩素は、主として結合塩素となる。全塩素濃度は、塩素注入率の増加にしたがって増加していくが、やがて減少に転じ、その後極小となる点(r点)が生じる。この点を不連続点という。ここまでの塩素は主として結合塩素である。
III 型において、不連続点(r点)を過ぎると、注入された塩素は、遊離塩素として残留するので、不連続点を超えて、遊離塩素が認められた時の塩素注入率が、塩素要求量である。
この不連続点以上に塩素を注入する塩素処理を不連続点塩素処理という。不連続点塩素処理により、処理対象水のアンモニア性窒素が除去される。
なお、III 型において、q点を超えて、結合塩素を認め始めるのに必要な塩素注入率は、II型のp点を超えて遊離塩素が認められた時の塩素注入率と同様に塩素消費量である。
III 型におけるq点から不連続点(r点)までの塩素の特異的な変化は、下記の反応のように水中にあるアンモニア性窒素中のアンモニアが塩素によりクロラミンを作り、その後窒素ガスまで酸化されるためとされている。
すなわち、アンモニア性窒素が存在する試料に塩素を添加すると下記(a)の反応により結合塩素が生成し、その後、(b)~(d)及びその他の競合的な反応が生じて結合塩素の分解が進む。そして、総ての結合塩素が分解された点が不連続点となり、その不連続点を超えて添加された塩素は遊離塩素として残るため、不連続点以降の遊離塩素濃度は上昇する。
NH+HClO→NHCl(モノクロラミン)+HO・・・・・・(a)
NHCl+HClO→NHCl(ジクロラミン)+HO・・・・・(b)
NHCl+NHCl→N+3HCl・・・・・・・・・・・・・・(c)
2NHCl+HClO→N+HO+3HCl・・・・・・・・・・(d)
塩素要求量を自動的に測定する装置としては、食塩溶液を電解して塩素を発生させ、発生した塩素を試料水に添加し、試料水と反応後の塩素濃度が常に一定となるように、食塩溶液の電解電流をコントロールする塩素要求量測定装置が広く用いられている(非特許文献2)。
非特許文献2の装置では、電解により補充した塩素濃度が塩素要求量となるので、電解電流を測定することにより塩素要求量を求めことができる。
「上水試験方法 2011年版、II.理化学編」、社団法人日本水道協会、平成23年3月1日、p228-229 「塩素要求量計 CLD-7M型」カタログ、東亜ディーケーケー株式会社、2016年7月1日
おおよそ常温(5~35℃、JIS Z 8703)では、上記式(a)~(d)の反応の内、式(a)の反応は瞬時に終了するが、式(b)~(d)等の反応が完了するのには数時間以上を要する。
そこで、非特許文献2の装置では、反応を促進するため、予め一定の温度に加熱した試料水に塩素を添加していた。
そのため、非特許文献2の装置では、恒温槽が必要となり、装置が大型化すると共に、恒温槽を稼働させるための電力も必要とされていた。
また、添加する塩素量が塩素要求量を超え、試料水と反応後の塩素濃度が常に一定となるように、電解電流をコントロールしているため、塩素濃度の高い排液が発生してしまうという問題もあった。
本発明は、上記事情に鑑み、恒温槽を用いることなく省電力、省スペースとしながら迅速に塩素要求量を求めることができ、しかも、塩素濃度が高い排液の発生を抑制できる塩素要求量の測定方法及び測定装置を提供することを課題とする。
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]アンモニア性窒素を含む試料水に種々の添加濃度となるように添加量を変化させながら塩素を添加し、前記添加濃度に応じた添加後3分以内の結合塩素濃度を測定して、前記添加濃度に対する結合塩素濃度の関係を求め、
下式(1)に基づき塩素要求量Yを求める塩素要求量の測定方法。
Y=k(x-x)+x ・・・(1)
(ただし、式(1)において、xは前記添加濃度に応じて結合塩素を検出したときの添加濃度、xは前記添加濃度に応じて結合塩素濃度が増加しなくなったときの添加濃度で、x>x≧0、kは定数。)
[2]前記試料水が上水製造プロセスにおける不連続点塩素処理の対象水であり、kが2.0~4.0である、[1]に記載の塩素要求量の測定方法。
[3]前記試料水に塩素要求量を超える塩素を添加し、添加後1時間以上経過後の遊離塩素濃度を測定して、前記kの値を補正する[1]または[2]に記載の塩素要求量の測定方法。
[4]前記結合塩素濃度の測定方法が、無試薬式ポーラログラフ法、無試薬式吸光度測定法、及びジエチル-p-フェニレンジアミン法から選択される1以上である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の塩素要求量の測定方法。
[5]前記添加濃度を、無試薬式ポーラログラフ法、無試薬式吸光度測定法、及びジエチル-p-フェニレンジアミン法から選択される1以上の方法に基づき測定する、[1]~[4]のいずれか一項に記載の塩素要求量の測定方法。
[6]アンモニア性窒素を含む試料水に種々の添加濃度となるように添加量を変化させながら塩素を添加し、前記添加濃度に応じた添加後3分以内の結合塩素濃度を測定する結合塩素測定部と、演算部とを備え、
前記演算部は、前記添加濃度に対する結合塩素濃度の関係を求め、
下式(1)に基づき塩素要求量Yを求める塩素要求量測定装置。
Y=k(x-x)+x ・・・(1)
(ただし、式(1)において、xは前記添加濃度に応じて結合塩素を検出したときの添加濃度、xは前記添加濃度に応じて結合塩素濃度が増加しなくなったときの添加濃度で、x>x≧0、kは定数。)
[7]前記試料水が上水製造プロセスにおける不連続点塩素処理の対象水であり、kが2.0~4.0である、[6]に記載の塩素要求量測定装置。
[8]さらに、前記試料水に塩素要求量を超える塩素を添加した過剰添加水を保管する保管容器と、添加後1時間以上経過後に前記過剰添加水の遊離塩素濃度を測定する遊離塩素測定部とを備え、前記演算部が、前記遊離塩素測定部の測定結果に基づき、前記kの値を補正する[6]または[7]に記載の塩素要求量測定装置。
[9]前記結合塩素測定部が、無試薬式ポーラログラフ法、無試薬式吸光度測定法、及びジエチル-p-フェニレンジアミン法から選択される1以上の方法に基づく、[6]~[8]のいずれか一項に記載の塩素要求量測定装置。
[10]さらに、前記添加濃度を、無試薬式ポーラログラフ法、無試薬式吸光度測定法、及びジエチル-p-フェニレンジアミン法から選択される1以上の方法に基づき測定する添加塩素量測定部を備える、[6]~[9]のいずれか一項に記載の塩素要求量測定装置。
本発明の塩素要求量の測定方法によれば、恒温槽を用いることなく省電力、省スペースとしながら迅速に塩素要求量を求めることができ、しかも、塩素濃度が高い排液の発生を抑制できる。
また、本発明の塩素要求量の測定装置によれば、装置を大型化させることなく、迅速に塩素要求量を求めることができ、しかも、塩素濃度が高い排液の発生を抑制できる。
塩素注入率と残留塩素濃度との関係を示すグラフである。 本発明の第1実施形態に係る塩素要求量測定装置の構成図である。 本発明の第2実施形態に係る塩素要求量測定装置の構成図である。 HClO添加濃度と20時間後のDPD法による残留塩素濃度の関係を示すグラフである。 HClO添加濃度と添加直後のDPD法による結合塩素濃度及び電極出力との関係を示すグラフである。 結合塩素を含む場合と含まない場合の、印加電圧と電極出力との関係を示すグラフである。 アンモニア濃度の違いによるHClO添加濃度と電極出力との関係を示すグラフである。 図7のX3の求め方の説明図である。 DPD法による遊離塩素と結合塩素の濃度に応じた吸光度スペクトルである。 DPD法による結合塩素濃度と波長245nmにおける吸光度との関係を示すグラフである。 DPD法による遊離塩素濃度と波長290nmにおける吸光度との関係を示すグラフである。 HClO添加濃度と添加直後のDPD法による結合塩素濃度及び波長245nmにおける吸光度との関係を示すグラフである。
<塩素要求量の測定方法>
本発明の塩素要求量の測定方法は、アンモニア性窒素を含む試料水に種々の添加濃度で塩素を添加し、添加後3分以内の結合塩素濃度を測定して、前記添加濃度に対する結合塩素濃度の関係を求め、下式(1)に基づき塩素要求量Yを求める方法である。
Y=k(x-x)+x ・・・(1)
(ただし、式(1)において、xは前記添加濃度に応じて結合塩素を検出したときの添加濃度、xは前記添加濃度に応じて結合塩素濃度が増加しなくなったときの添加濃度で、x>x≧0、kは定数。)
添加濃度に対する結合塩素濃度の関係を求めるにあたって、アンモニア性窒素を含む試料水に種々の添加濃度となるように添加量を変化させながら塩素を添加するが、添加濃度は、添加濃度xとして予想される値の前後から、添加濃度xとして予想される値を多少超えると思われる範囲まで変化させる。また、添加濃度xが、実質的にゼロである等、一定している場合は、添加濃度xとして予想される値の前後で変化させる。
また、添加後3分以内の結合塩素濃度の測定方法としては、無試薬式ポーラログラフ法、無試薬式吸光度測定法、及びDPD法から選択される1以上が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
ここで、「添加濃度に応じて結合塩素濃度が増加」とは、添加濃度の変化量と結合塩素濃度の変化量がほぼ一致していることを意味し、例えば、添加濃度が0.1mg/L増加すれば、結合塩素濃度も0.1mg/L増加し、添加濃度が0.5mg/L増加すれば、結合塩素濃度も0.5mg/L増加するような関係をいう。
したがって、「添加濃度に応じて結合塩素を検出したときの添加濃度x」は、塩素の添加に応じて結合塩素が検出されたときの添加濃度である。
また、「添加濃度に応じて結合塩素濃度が増加しなくなったときの添加濃度x」は、結合塩素濃度の変化量が、添加濃度の変化量とほぼ一致した状態から、添加濃度の変化量から乖離した状態になり始めたときの添加濃度である。
前記式(1)において、xは結合塩素を検出したときの塩素添加濃度であるので、図1のq点、すなわち、アンモニア性窒素等を含むIII 型の試料水の塩素消費量に対応する。
一方、xは、前記(a)の反応が総て完了するのに必要な塩素添加濃度に対応する。
本発明者は、前記(b)~(d)等の反応が完了するのには数時間以上を要するが、前記(a)の反応は瞬時に終了することに着目し、前記(a)の反応が総て完了するのに必要な塩素添加濃度から塩素要求量を予測することに想到した。
(a)の反応は瞬時に終了し、かつ、添加後短時間しか経過していない時点では、(b)~(d)等の反応は殆ど進行していないので、(a)の反応が総て完了するのに必要な塩素添加濃度は、添加後短時間の内に、具体的には、添加後3分以内の結合塩素濃度を測定することにより確認することができる。
塩素添加結合塩素濃度を測定するタイミングは、添加後2分以内であることが好ましく、添加後1~2分であることがより好ましい。
(a)の反応は、アンモニアと塩素から結合塩素(モノクロラミン)が生成する反応であり、塩素添加量が(a)の反応によりアンモニアの全量を結合塩素(モノクロラミン)にするのに必要な塩素濃度に満たない間は、塩素添加濃度に応じて全塩素濃度は増加する。一方、塩素添加量が(a)の反応に必要な塩素濃度を超えると、(b)~(d)等の結合塩素が分解する反応が生じ、塩素添加濃度が増加しても、全塩素濃度は増加しなくなり、減少に向かう。
したがって、xは、前記(a)の反応が総て完了するのに必要な塩素添加濃度に対応する。
また、本発明者は、前記式(1)において、同等の試料水であれば、kはほぼ一定であることを見いだした。
したがって、試料水の性状に応じたkの値を求めておけば、xの値、すなわち、(a)の反応が総て完了するのに必要な塩素添加濃度と、xの値から、式(1)に基づき塩素要求量を求めることができる。
例えば、試料水が上水製造プロセスにおける不連続点塩素処理の対象水の場合、kは2.0~4.0であり、通常は2.5~3.2の範囲にある。
kの値は、試料水に塩素要求量を若干超えると思われる量の塩素を添加した試料水(以下「過剰添加水」という。)について、(b)~(d)等の反応がほぼ完了したとみなせる時点、具体的には、1時間以上経過後、好ましくは2時間以上経過後、さらに好ましくは8時間以上経過後に遊離塩素を測定することにより、補正することができる。
具体的には、過剰添加水を得るために添加した塩素濃度がs、(b)~(d)等の反応がほぼ完了したとみなせる過剰添加水の遊離塩素濃度がtとすれば、kの値は下式(3)で補正される。
Y=(s-t) ・・・(2)
Y=k(x-x)+xなので、kは、以下の式(3)から求められる。
k={(s-t)-x}/(x-x) ・・・(3)
過剰添加水の遊離塩素の測定方法は、添加後3分以内の結合塩素濃度の測定方法と同じ方式であっても異なる方式であってもよい。
過剰添加水の遊離塩素の測定方法は、無試薬式ポーラログラフ法でも、無試薬式吸光度測定法でもDPD法でもよい。
試料水に添加する塩素の濃度は、その都度測定することが好ましい。また、測定せずに、濃度既知の塩素を用いて計算により求めてもよいし、食塩溶液の電解により得られた塩素を添加する場合は、電解に要した電気量から計算により求めてもよい。
測定精度を高めるためには、試料水に添加する直前に測定することが好ましい。
試料水に添加する塩素濃度の測定方法に特に限定はないが、無試薬式ポーラログラフ法、無試薬式吸光度測定法、及びDPD法から選択される1以上であることが好ましい。
試料水に添加する塩素濃度の測定方法は、添加後3分以内の結合塩素濃度の測定方法と同じ方式であっても異なる方式であってもよい。
試料水に添加する塩素濃度の測定方法は、無試薬式ポーラログラフ法でも、無試薬式吸光度測定法でもDPD法でもよい。
本発明の測定方法によれば、試料水を加熱しなくても3分以内に得られる測定データを複数取得することで塩素要求量を予測できる。そのため、大型の装置を用いることなく、省電力で、迅速に塩素要求量を求めることができる。また、塩素要求量に満たない塩素添加量(試料水が上水製造プロセスにおける不連続点塩素処理の対象水の場合、塩素要求量の約1/3)で測定を終了することができる。そのため、塩素濃度が高い排液の発生を抑制できる。
<第1実施形態の測定装置>
本発明の第1実施形態に係る塩素要求量測定装置について図2を用いて説明する。本実施形態の塩素要求量測定装置は、無試薬式ポーラログラフ法による測定装置である。本実施形態の塩素要求量測定装置は、分析流路F1と、分析流路F1に設けられた第1フローセルA1及び第2フローセルA2と、分析流路F1の第1フローセルA1と第2フローセルA2の間に設けられた反応槽Rを備えている。
また、塩素剤を塩素供給源から第1フローセルA1を経由して反応槽Rに供給する塩素添加用ポンプP1と、試料水を試料水入口から反応槽Rに供給する試料水用ポンプP2を備えている。
塩素供給源としては、食塩溶液を電解して下記の式(e)、(f)により、塩素を発生させる塩素発生装置が、電解電流をコントロールすることにより、容易に試料水に対する塩素の添加量を変化させることができるので好ましい。
2NaCl+2HO→2NaOH+H+Cl・・・・・・・・・ (e)
O+Cl→HOCl+HCl・・・・・・・・・・・・・・・・(f)
なお、塩素供給源は、塩素剤を収容したタンクであってもよい。
また、分析流路F1の第2フローセルA2の下流側において分岐するサンプリング流路F2が設けられており、サンプリング流路F2にはサンプリング容器T(本発明における保管容器)が設けられている。また、サンプリング流路F2のサンプリング容器Tの下流側には、サンプリング容器Tにサンプリングされた過剰添加水を第1フローセルA1に供給するためのサンプリング用ポンプP3が設けられている。
また、第1フローセルA1には、第1検出電極B1が挿入されており、第1フローセルA1内に導入された塩素剤又はサンプリング容器Tから戻された過剰添加水の遊離塩素濃度に応じた酸化還元電流を検出するようになっている。
また、第2フローセルA2には、第2検出電極B2が挿入されており、第2フローセルA2内に導入された塩素添加後の試料水の結合塩素濃度に応じた酸化還元電流を検出するようになっている。
また、第1実施形態に係る塩素要求量測定装置は、制御部Mを備えており、制御部Mに、第1検出電極B1と第2検出電極B2が接続されている。
制御部Mは、第1検出電極B1と第2検出電極B2の各々に所定の印加電圧を付与する加電圧機構と、第1検出電極B1と第2検出電極B2から各々得られる電流値を測定する電流計と、得られた電流値から反応槽Rにおける遊離塩素濃度及び結合塩素濃度を求め、本発明の測定方法に従って、塩素要求量を演算する演算部を有している。
第1検出電極B1としては、遊離塩素について無試薬での検出に適した材質の検知極と対極を有するものが使用され、制御部Mから、遊離塩素の検出に適した電圧が印加されるようになっている。
具体的には、検知極が金、対極が銀/塩化銀である電極を用いることができる。その場合、-200~200mVの印加電圧、例えば-100mVの印加電圧を印加することにより、第1フローセルA1内の塩素剤の遊離塩素濃度を測定できる検出電極となる。
第1検出電極B1としては、検知極が金、対極が白金である電極を用いてもよい。その場合、700~900mVの印加電圧、例えば800mVの印加電圧を印加することにより、第1フローセルA1内の塩素剤の遊離塩素濃度を測定できる検出電極となる。
第2検出電極B2としては、結合塩素について、無試薬での検出に適した材質の検知極と対極を有するものが使用され、制御部Mから、結合塩素の検出に適した電圧が印加されるようになっている。
具体的には、検知極が金、対極が白金である電極を用いることができる。その場合、700~900mVの範囲内で、2種類の印加電圧(第1印加電圧と第2印加電圧)、例えば750mVと850mVの印加電圧を印加した時の出力の差を検出することにより、第2フローセルA2内に導入された塩素添加後の試料水の結合塩素濃度を測定できる検出電極となる。
本実施形態において、本発明における添加塩素量測定部は、第1フローセルA1、第1検出電極B1、及び制御部Mとで構成されている。
本実施形態において、本発明における結合塩素測定部は、第2フローセルA2、第2検出電極B2、及び制御部Mとで構成されている。
本実施形態において、本発明における過剰添加濃度を測定する遊離塩素測定部は、第1フローセルA1、第1検出電極B1、及び制御部Mとで構成されている。
第1実施形態の測定装置で塩素要求量を測定する場合、塩素添加用ポンプP1と試料水用ポンプP2を連続的に動作させる。すなわち、試料水と塩素剤の双方を連続的に分析流路F1に流す。
塩素添加用ポンプP1と試料水用ポンプP2の流量は、反応槽Rで試料水に塩素剤が混合されてから、塩素が添加された試料水が第2フローセルA2に到達するまでの時間が3分以内となるように設定される。
そして、制御部Mの演算部は、第1検出電極B1で測定した第1フローセルA1内の塩素剤の遊離塩素濃度と、塩素添加用ポンプP1の流量と試料水用ポンプP2の流量とから、そのときの塩素の添加濃度を計算する。
また、制御部Mの演算部は、例えば、第1印加電圧と第2印加電圧における第2検出電極B2で得られる電流値の差から、第2フローセルA2内に導入された塩素添加後の試料水の結合塩素濃度を求める。
そして、塩素添加後の試料水の結合塩素濃度を、前記計算により求めた塩素の添加濃度と紐付けて記憶する。
制御部Mの演算部は、斯かる作業を、試料水に対する塩素の添加量を変化させながら、添加濃度xを検出するまで継続して行う。
試料水に対する塩素の添加量は、塩素供給源から供給される塩素剤の濃度を変化させることにより行うことが好ましい。
塩素供給源が、食塩溶液を電解して塩素を発生させる塩素発生装置であれば、電解電流をコントロールすることにより、容易に試料水に対する塩素の添加量を変化させることができる。
試料水に対する塩素の添加量は、塩素添加用ポンプP1の流量を変更することにより行ってもよい。
試料水に対する塩素の添加量は、ゼロに近いところから、徐々に増していくことが好ましい。
試料水に対する塩素の添加量は、添加濃度xを検出する前後では、精度を高めるため、少しずつ増して行くことが好ましい。例えば、前回の添加濃度よりも、添加濃度が0.1mg/Lまたは0.05mg/L高くなるように増して行くことが好ましい。
一方、試料水の性状が安定していて、添加濃度xの凡その値が予測できる場合は、添加濃度xまでにある程度近づく以前は、試料水に対する塩素の添加量の変化幅を大きくすることが可能である。例えば、前回の添加濃度よりも、添加濃度が1.0mg/Lまたは1.5mg/L高くなるように増して行くことも可能である。
添加量は、反応槽Rで試料水に塩素剤が混合されてから、塩素が添加された試料水が第2フローセルA2に到達するまでの時間と電極の応答時間を考慮して、適切なタイミングで切り替える。例えば、3分ごとに添加量を増して行くことができる。
制御部Mの演算部は、塩素の添加濃度とその添加濃度に紐付けられた塩素添加後の試料水の結合塩素濃度との複数の組み合わせから、添加濃度xと添加濃度xとを求め、予め求めたkの値を用いて、式(1)に基づき、塩素要求量を計算する。
また、kの値を補正する場合は、添加濃度x検出後に0.5mg/L程度過剰の塩素を添加し、得られた過剰添加水を排液せずに、サンプリング用ポンプP3でサンプリング流路F2に引き込み、サンプリング容器Tに保管する。そして、1時間以上、好ましくは2~8時間、より好ましくは8~12時間放置した後、サンプリング容器Tの過剰添加水を第1フローセルA1に供給する。そして、第1検出電極B1で過剰添加水の遊離塩素濃度を測定する。
過剰添加水の遊離塩素濃度を用いたkの補正方法は、塩素要求量の測定方法の項で説明したとおりである。
本実施形態の測定装置によれば、試料水を加熱することなく、3分以内に得られる測定データを複数取得することで塩素要求量を予測できる。そのため、装置を大型化させることなく、省電力で迅速に塩素要求量を求めることができる。また、塩素要求量に満たない塩素添加量(試料水が上水製造プロセスにおける不連続点塩素処理の対象水の場合、塩素要求量の約1/3)で測定を終了することができる。そのため、塩素濃度が高い排液の発生を抑制できる。
また、添加する塩素剤の濃度を測定しているので、添加する塩素剤の添加濃度と結合塩素濃度との関係を正確に対応づけることができる。
また、遊離塩素測定部の測定結果に基づきkの補正ができることから、試料水の性状が多少変動しても、塩素要求量を正確に求めることができる。
<第2実施形態の測定装置>
本発明の第2実施形態に係る塩素要求量測定装置について図3を用いて説明する。本実施形態の塩素要求量測定装置は、無試薬式吸光度測定法による測定装置である。本実施形態の塩素要求量測定装置は、分析流路F1と、分析流路F1に設けられた第1測定セルC1及び第2測定セルC2を備えている。
また、塩素剤を塩素供給源から第1測定セルC1に供給する塩素添加用ポンプP1と、試料水を試料水入口から第1測定セルC1と第2測定セルC2の間に供給する試料水用ポンプP2を備えている。
塩素供給源としては、第1実施形態と同様のものを使用できる。
分析流路F1では、試料水と塩素剤が混合されるようになっている。すなわち、試料水に塩素が添加されるようになっている。
また、分析流路F1の第2測定セルC2の下流側において分岐するサンプリング流路F2が設けられており、サンプリング流路F2にはサンプリング容器T(本発明における保管容器)が設けられている。また、サンプリング流路F2のサンプリング容器Tの下流側には、サンプリング容器Tにサンプリングされた過剰添加水を第1測定セルC1に供給すためのサンプリング用ポンプP3が設けられている。
また、第1測定セルC1を挟んで、第1光源L1と第1検出器D1が配置されており、第1測定セルC1内に導入された塩素剤又はサンプリング容器Tから戻された過剰添加水の遊離塩素濃度に応じた吸光度を測定するようになっている。
また、第2測定セルC2を挟んで、第2光源L2と第2検出器D2が配置されており、第2測定セルC2内に導入された塩素添加後の試料水の結合塩素濃度に応じた吸光度を測定するようになっている。
また、第2実施形態に係る塩素要求量測定装置は、制御部Mを備えており、制御部Mに、第1検出器D1と第2検出器D2が接続されている。
制御部Mは、第1検出器D1と第2検出器D2から各々得られる吸光度から遊離塩素濃度及び結合塩素濃度を求め、本発明の測定方法に従って、塩素要求量を演算する演算部を有している。
第1光源L1と第1検出器D1としては、無試薬で遊離塩素を検出するのに適した波長における吸光度を測定できるものが使用される。第1検出器D1で検出する光の波長としては、260~320nmが好ましく、280~300nmがより好ましく、例えば290nmとすることができる。
第1光源L1としては、例えばキセノンランプ、LEDを使用できる。
第1検出器D1としては、例えばフォトダイオード、イメージセンサを使用できる。
第1光源L1と第1検出器D1との間には、バンドパスフィルタ、回折格子等の適宜の光学素子を配置してもよい。
第2光源L2と第2検出器D2としては、無試薬で結合塩素を検出するのに適した波長における吸光度を測定できるものが使用される。第2検出器D2で検出する光の波長としては、230~260nmが好ましく、235~255nmがより好ましく、例えば245nmとすることができる。
第2光源L2としては、例えばキセノンランプ、LEDを使用できる。
第2検出器D2としては、例えばフォトダイオード、イメージセンサを使用できる。
第2光源L2と第2検出器D2との間には、バンドパスフィルタ、回折格子等の適宜の光学素子を配置してもよい。
本実施形態において、本発明における添加塩素量測定部は、第1測定セルC1、第1光源L1、第1検出器D1。及び制御部Mとで構成されている。
本実施形態において、本発明における結合塩素測定部は、第2測定セルC2、第2光源L2、第2検出器D2と制御部Mとで構成されている。
本実施形態において、本発明における過剰添加濃度を測定する遊離塩素測定部は、第1測定セルC1、第1光源L1、第1検出器D1、及び制御部Mで構成されている。
第2実施形態の測定装置で塩素要求量を測定する場合、塩素添加用ポンプP1と試料水用ポンプP2を連続的に動作させる。すなわち、試料水と塩素剤の双方を連続的に分析流路F1に流す。
塩素添加用ポンプP1と試料水用ポンプP2の流量は、分析流路F1で試料水に塩素剤が混合されてから、塩素が添加された試料水が第2測定セルC2に到達するまでの時間が3分以内となるように設定される。
そして、制御部Mの演算部は、第1検出器D1で測定した吸光度に基づく第1測定セルC1内の塩素剤の遊離塩素濃度と、塩素添加用ポンプP1の流量と試料水用ポンプP2の流量とから、そのときの塩素の添加濃度を計算する。
また、制御部Mの演算部は第2測定セルC2内に導入された塩素添加後の試料水の結合塩素濃度を、第2検出器D2で測定した吸光度に基づいて求める。
そして、塩素添加後の試料水の結合塩素濃度を、前記計算により求めた塩素の添加濃度と紐付けて記憶する。
制御部Mの演算部は、斯かる作業を、試料水に対する塩素の添加量を変化させながら、添加濃度xを検出するまで繰り返し行う。
試料水に対する塩素の添加量を変化させる方法と、変化の程度や間隔等は、第1実施形態と同様である。
制御部Mの演算部は、塩素の添加濃度とその添加濃度に紐付けられた塩素添加後の試料水の結合塩素濃度との複数の組み合わせから、添加濃度xと添加濃度xとを求め、予め求めたkの値を用いて、式(1)に基づき、塩素要求量を計算する。
また、求めたkの値を補正する場合は、添加濃度x検出後に0.5mg/L程度過剰の塩素を添加し、得られた過剰添加水を第1実施形態と同様にサンプリング容器Tに保管する。そして、1時間以上、好ましくは2~8時間、より好ましくは8~12時間放置した後、サンプリング容器Tの過剰添加水を第1測定セルC1に供給する。そして、第1検出器D1で測定した吸光度に基づき、過剰添加水の遊離塩素濃度を測定する。
過剰添加水の遊離塩素濃度を用いたkの補正方法は、塩素要求量の測定方法の項で説明したとおりである。
なお、吸光度はpHの影響を受けるので、予めpH調整して、試料水のpHを6~9とすることが好ましく、7~8とすることがより好ましい。
pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、硫酸が挙げられる。
pH調整せずに、測定したpH値で次亜塩素酸の測定値を補正することも可能である。
本実施形態の測定装置によれば、試料水を加熱することなく、3分以内に得られる測定データを複数取得することで塩素要求量を予測できる。そのため、装置を大型化させることなく、省電力で、迅速に塩素要求量を求めることができる。また、塩素要求量に満たない塩素添加量(試料水が上水製造プロセスにおける不連続点塩素処理の対象水の場合、塩素要求量の約1/3)で測定を終了することができる。そのため、塩素濃度が高い排液の発生を抑制できる。
また、添加する塩素剤の濃度を測定しているので、添加する塩素剤の添加濃度と結合塩素濃度との関係を正確に対応づけることができる。
また、遊離塩素測定部の測定結果に基づきkの補正ができることから、試料水の性状が多少変動しても、塩素要求量を正確に求めることができる。
<その他の形態の測定装置>
上記第1実施形態では、総ての塩素濃度測定を無試薬式ポーラログラフ法で行う装置とし、第2実施形態では、総ての塩素濃度測定を無試薬式吸光度測定法で行う装置としたが、異なる方式の測定方法を組み合わせた装置であってもよい。
本発明の塩素要求量測定装置における添加塩素量測定部、結合塩素測定部としては、種々の方式の物を採用でき、例えば、無試薬式ポーラログラフ法、無試薬式吸光度測定法、及びDPD法から選択される1以上の方式を採用できる。
例えば、第1実施形態の測定装置を、第1フローセルA1と第1検出電極B1の部分のみを、第2実施形態の測定装置における第1測定セルC1、第1光源L1、及び第1検出器D1に代えてもよい。
また、第1実施形態及び第2実施形態において、サンプリング容器T内にサンプリングされた過剰添加水を分析流路F1に戻すサンプリング用ポンプP3を設けず、サンプリングされた過剰添加水は、測定装置外において、DPD法により測定するようにしてもよい。
以下、本発明の効果を明らかにするための実験例を示す。なお、以下の実験例は、総て常温で行った。
<DPD値>
各実験例で求めたDPD値(DPD法による測定値)は、水道法施行規則第十七条第二項の規定に従い、以下の試薬を用い、以下の方法により求めた。
(a)DPD試薬
関東化学(株)製DPD指示薬(cat.No10466)。N,N-ジエチル-p-フェニレンジアミン(硫酸塩)の1.0gと無水硫酸ナトリウムの24gを混合した試薬。
(b)りん酸緩衝液
関東化学(株)製りん酸緩衝液DPD法用(cat.No33050)。0.2mol/Lりん酸二水素カリウム溶液の100mL、及び0.2mol/L水酸化ナトリウム溶液の35.4mLを混合した後、これに、1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸(1水塩)の0.13gを溶解させた溶液。
(c)遊離塩素濃度の測定
りん酸緩衝液2.5mlを、容量50mLの共栓付き比色管に採り、これにDPD試薬0.5gを加える。次に、試料水を加えて50mLとし、混和後、呈色を残留塩素標準比色列と側面から比色して、試料水中の遊離塩素濃度を求める。
(d)全塩素濃度の測定
上記(c)で発色させた溶液にヨウ化カリウム約0.5gを加えて溶かし、約3分間静置後の呈色を遊離塩素標準比色列と側面から比色して、試料水中の全塩素濃度を求める。
(e)結合塩素濃度の測定
全塩素濃度と遊離塩素濃度との差から、試料水中の結合塩素濃度を算定する。
<塩素剤原液>
有効塩素濃度約12%の次亜塩素酸ナトリウム溶液を塩素剤原液として用いた。
<脱塩素水>
脱塩素水は、水道水を活性炭で処理して、塩素を除去した水を用いた。
<塩化アンモニウム溶液>
塩化アンモニウムを、脱塩素水に溶解して調製した。なお、以下の実験例における塩化アンモニウム溶液の濃度は、アンモニア性窒素としての濃度である。
<実験例1>
0.24mg/Lの塩化アンモニウム溶液に、塩素剤原液を、添加後の濃度(HClO添加濃度)が異なるように種々の量で添加し、HClO添加濃度毎に、添加後20時間経過後の全塩素濃度、結合塩素濃度、遊離塩素濃度を、DPD法により測定した。結果を図4に示す。
図4に示すように全塩素濃度は、図1のIII 型の変化を示した。
図4において、「a」で示した領域では、全塩素濃度とHClO添加濃度がほぼ一致していた。この領域では、前記(a)の反応が進行しており、前記(b)~(d)等の反応は、実質的に進行していないと考えられる。
また、「bcd」で示した領域では、全塩素濃度がHClO添加濃度から乖離し、「e」で示した領域との境界で極小となった。また、「bcd」で示した領域では、全塩素の大部分は結合塩素であった。この領域では、前記(a)の反応は実質的に完了しており、前記(b)~(d)等の反応が進行していると考えられる。
また、「e」で示した領域では、全塩素濃度が添加濃度に応じて増加した。また、全塩素の大部分は遊離塩素であった。この領域では、前記(a)~(d)の反応は実質的に完了し、結合塩素濃度が実質的にゼロになっていると考えられる。
<実験例2>
0.24mg/Lの塩化アンモニウム溶液に、塩素剤原液を、添加後の濃度(HClO添加濃度)が異なるように種々の量で添加し、HClO添加濃度毎に、添加後1~2分後の結合塩素濃度を、DPD法により測定した。結果を図5において「結合塩素(DPD)」として示す(図5の右目盛参照)。
図5に示すように、変異点Xまでの領域では、結合塩素(DPD)とHClO添加濃度がほぼ一致していた。一方、変異点X以降の領域では、結合塩素濃度がほぼ一定し、HClO添加濃度から乖離した。また、変異点Xの位置は、図4における「a」で示した領域と「bcd」で示した領域との境界と良く一致していた。
このことから、前記(a)の反応に必要な塩素濃度は、添加後短時間(3分以内)反応させれば検出できることが確認できた。
なお、変異点X以降では、前記(b)~(d)等の反応が生じ得るが、添加後短時間(3分以内)では、実質的にこれらの反応は進行していないと思われる。
<実験例3>
検知極としては直径2mmの金電極を用い、線速度で約100cm/sが得られる程度の回転を与えた。対極は白金電極とした。この検知極と対極を用いて、印加電圧を650mV、750mV、又は850mVとした場合の酸化還元電流を測定し、印加電圧と酸化還元電流との関係(V/I特性)を調べた。
試料としては、ほぼ総ての塩素が遊離塩素である試料と、ほぼ総ての塩素が結合塩素である試料を用いた。結果を図6に示す。
図6における「Free0.65mg/L」は、脱塩素水に、塩素剤原液を添加後の塩素濃度が0.65mg/Lとなる量で添加した試料(ほぼ総ての塩素が遊離塩素である試料)についてのデータである。
図6における「Free0.65mg/L+NH0.24mg/L」は、0.24mg/Lの塩化アンモニウム溶液に、塩素剤原液を添加後の塩素濃度が0.65mg/Lとなる量で添加した試料(ほぼ総ての塩素が結合塩素、特にモノクロラミンである試料)についてのデータである。
図6に示すように、ほぼ総ての塩素が遊離塩素である場合は、印加電圧750mV~850mVの範囲で、プラトー領域(印加電圧が若干変化しても、電流がほとんど変化しない領域)が得られた。
一方、ほぼ総ての塩素が結合塩素(モノクロラミン)である場合は、ほぼ総ての塩素が遊離塩素である場合と比較して、酸化還元電流は小さくなり、かつ、印加電圧750mV~850mVの範囲で、大きく変化した。
このことから、印加電圧850mVにおける酸化還元電流と印加電圧750mVにおける酸化還元電流の差を求めることにより、遊離塩素濃度の影響をあまり受けずに、結合塩素濃度、特にモノクロラミン濃度を求められることがわかった。
<実験例4>
0.24mg/Lの塩化アンモニウム溶液に、塩素剤原液を、添加後の濃度(HClO添加濃度)が異なるように種々の量で添加し、HClO添加濃度毎に、添加後1~2分後の電極出力を調べた。検知極としては直径2mmの金電極を用い、線速度で約100cm/sが得られる程度の回転を与えた。対極は白金電極とした。
この検知極と対極を用いて得た、印加電圧が850mVのときの酸化還元電流から、印加電圧が750mVのときの酸化還元電流を引いた値を、図5において「電極出力(850-750)」として示す(図5の左目盛参照)。
図5に示すように、変異点Xまでの領域では、「電極出力(850-750)」がHClO添加濃度の増加に応じて直線的に増加した。一方、変異点X以降の領域では、「電極出力(850-750)」が増加せず、変異点Xまでの「電極出力(850-750)」に沿った直線から乖離した。
このことから、前記(a)の反応は、添加後短時間(3分以内)における印加電圧が850mVのときの酸化還元電流と印加電圧が750mVのときの酸化還元電流との差による変異点Xから検出できることが確認できた。
なお、変異点X以降の領域で「電極出力(850-750)」がやや減少するのは、前記(b)の反応が若干進行し、結合塩素が減少したためと考えられる。
<実験例5>
HClO添加濃度毎に、添加後1~2分後における印加電圧850mVにおける酸化還元電流と印加電圧750mVにおける酸化還元電流の差(「電極出力(850-750)」)を測定した。検知極としては直径2mmの金電極を用い、線速度で約100cm/sが得られる程度の回転を与えた。対極は白金電極とした。
試料としては、水道水に、塩素剤原液を添加後の濃度(HClO添加濃度)が異なるように種々の量で添加した試料と、種々の濃度の塩化アンモニウム溶液に、塩素剤原液を添加後の濃度(HClO添加濃度)が異なるように種々の量で添加した試料を用いた。結果を図7に示す。
図7における「水道水」は、水道水に、塩素剤原液を添加後の遊離塩素濃度が図7の左目盛の濃度となる量で添加した試料についてのデータである。
図7における「NH0.06mg/L」は、0.06mg/Lの塩化アンモニウム溶液に、塩素剤原液を添加後の塩素濃度が図7の左目盛の濃度となる量で添加した試料についてのデータである。
図7における「NH0.12mg/L」は、0.12mg/Lの塩化アンモニウム溶液に、塩素剤原液を添加後の塩素濃度が図7の左目盛の濃度となる量で添加した試料についてのデータである。
図7における「NH0.24mg/L」は、0.24mg/Lの塩化アンモニウム溶液に、塩素剤原液を添加後の塩素濃度が図7の左目盛の濃度となる量で添加した試料についてのデータである。
図7に示すように、塩化アンモニウム溶液をベースとする試料では、アンモニア濃度が異なっている試料においても、いずれも(「電極出力(850-750)」)と「HClO添加濃度」の関係が、図7において「結合塩素」として示した直線(検量線)に沿う領域が存在した。
アンモニアがすべて結合塩素になったのち、さらにHClO添加濃度が増すと過剰の塩素は結合塩素の分解に寄与するため、結合塩素濃度が減少する。それに従い電極出力(850-750)」も低下した。
さらに「電極出力(850-750)」は、アンモニアの存在しない「水道水」と同様に、HClO添加濃度が増すに従い、図7において「遊離塩素」として示した直線に沿って増加したことから、遊離塩素が存在していることが確認できる。
「NH0.24mg/L」の試料について、表1に実測データを示す。
Figure 0007401744000001
具体的な変異点Xは、例えば、図8のようにして求めることができる。図8における直線は、試料No.3~試料No.6までのデータを用いて最小自乗法によって求めた直線である。この直線が、N-N=0と交叉する点を変異点Xとしてもよいが、測定精度を考慮し、[N-N]が0.05mg/Lを超えた試料No.3のHClO添加濃度(N)をXとすることが好ましい。
<実験例6>
種々の濃度で遊離塩素と結合塩素を含む試料について、吸光度スペクトルを得た。結果を図9に示す。なお、吸光度スペクトルは、各試料調製後1~2分後に測定した。
図9において、「1:2 F0.02 C0.43」で示す試料は、次亜塩素酸とアンモニアとを、モル比1:2で混合して得た試料であり、そのDPD法で測定した遊離塩素濃度は、0.02mg/L、DPD法で測定した結合塩素濃度は、0.43mg/Lである。
また、「1:4 F0.08 C0.73」で示す試料は、次亜塩素酸とアンモニアとを、モル比1:4で混合して得た試料であり、そのDPD法で測定した遊離塩素濃度は、0.08mg/L、DPD法で測定した結合塩素濃度は、0.73mg/Lである。
また、「1:8 F0.32 C0.30」で示す試料は、次亜塩素酸とアンモニアとを、モル比1:8で混合して得た試料であり、そのDPD法で測定した遊離塩素濃度は、0.32mg/L、DPD法で測定した結合塩素濃度は、0.30mg/Lである。
また、「1:10 F0.45 C0.16」で示す試料は、次亜塩素酸とアンモニアとを、モル比1:10で混合して得た試料であり、そのDPD法で測定した遊離塩素濃度は、0.45mg/L、DPD法で測定した結合塩素濃度は、0.16mg/Lである。
図9に示すように、波長245nm付近に、結合塩素濃度に対応する吸光度変化が見られた。また、波長290nm付近に、遊離塩素濃度に対応する吸光度変化が見られた。
波長245nmの吸光度と、結合塩素濃度との関係をプロットすると、図10に示すように、良好な直線関係が得られた。
また、波長290nmの吸光度と、遊離塩素濃度との関係をプロットすると、図11に示すように、良好な直線関係が得られた。
以上の結果から、波長245nm付近の吸光度から結合塩素濃度を、波長290nm付近の吸光度から遊離塩素濃度を求められることが確認できた。
また、図9における各試料について、HClO添加濃度に対する結合塩素濃度(DPD法)と245nmの吸光度の関係を示すと図12のようになる。
図12に示すように、245nmの吸光度のデータは、DPD法による結合塩素濃度と同様に変化するので、塩素添加後3分以内の245nmにおける吸光度のデータによって、変異点Xを検出できることが確認できた。
F1 分析流路
F2 サンプリング流路
A1 第1フローセル
A2 第2フローセル
B1 第1検出電極
B2 第2検出電極
R 反応槽
T サンプリング容器
P1 塩素添加用ポンプ
P2 試料水用ポンプ
P3 サンプリング用ポンプ
M 制御部
C1 第1測定セル
C2 第2測定セル
L1 第1光源
L2 第2光源
D1 第1検出器
D2 第2検出器

Claims (10)

  1. アンモニア性窒素を含む試料水に種々の添加濃度となるように添加量を変化させながら塩素を添加し、前記添加濃度に応じた添加後3分以内の結合塩素濃度を測定して、前記添加濃度と結合塩素濃度の関係を求め、
    下式(1)に基づき塩素要求量Yを求める塩素要求量の測定方法。
    Y=k(x-x)+x ・・・(1)
    (ただし、式(1)において、xは前記添加濃度に応じて結合塩素を検出したときの添加濃度、xは前記添加濃度に応じて結合塩素濃度が増加しなくなったときの添加濃度で、x>x≧0、kは定数。)
  2. 前記試料水が上水製造プロセスにおける不連続点塩素処理の対象水であり、kが2.0~4.0である、請求項1に記載の塩素要求量の測定方法。
  3. さらに、前記試料水に塩素要求量を超える塩素を添加し、添加後1時間以上経過後の遊離塩素濃度を測定することにより、前記kの値補正される請求項1または2に記載の塩素要求量の測定方法。
  4. 前記結合塩素濃度の測定方法が、無試薬式ポーラログラフ法、無試薬式吸光度測定法、及びジエチル-p-フェニレンジアミン法から選択される1以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の塩素要求量の測定方法。
  5. 前記添加濃度を、無試薬式ポーラログラフ法、無試薬式吸光度測定法、及びジエチル-p-フェニレンジアミン法から選択される1以上の方法に基づき測定する、請求項1~4のいずれか一項に記載の塩素要求量の測定方法。
  6. アンモニア性窒素を含む試料水に種々の添加濃度となるように添加量を変化させながら塩素を添加し、前記添加濃度に応じた添加後3分以内の結合塩素濃度を測定する結合塩素測定部と、演算部とを備え、
    前記演算部は、前記添加濃度に対する結合塩素濃度の関係を求め、
    下式(1)に基づき塩素要求量Yを求める塩素要求量測定装置。
    Y=k(x-x)+x ・・・(1)
    (ただし、式(1)において、xは前記添加濃度に応じて結合塩素を検出したときの添加濃度、xは前記添加濃度に応じて結合塩素濃度が増加しなくなったときの添加濃度で、x>x≧0、kは定数。)
  7. 前記試料水が上水製造プロセスにおける不連続点塩素処理の対象水であり、kが2.0~4.0である、請求項6に記載の塩素要求量測定装置。
  8. さらに、前記試料水に塩素要求量を超える塩素を添加した過剰添加水を保管する保管容器と、添加後1時間以上経過後に前記過剰添加水の遊離塩素濃度を測定する遊離塩素測定部とを備え、前記演算部が、前記遊離塩素測定部の測定結果に基づき、前記kの値を補正する請求項6または7に記載の塩素要求量測定装置。
  9. 前記結合塩素測定部が、無試薬式ポーラログラフ法、無試薬式吸光度測定法、及びジエチル-p-フェニレンジアミン法から選択される1以上の方法に基づく、請求項6~8のいずれか一項に記載の塩素要求量測定装置。
  10. さらに、前記添加濃度を、無試薬式ポーラログラフ法、無試薬式吸光度測定法、及びジエチル-p-フェニレンジアミン法から選択される1以上の方法に基づき測定する添加塩素量測定部を備える、請求項6~9のいずれか一項に記載の塩素要求量測定装置。
JP2019195852A 2019-10-29 2019-10-29 塩素要求量の測定方法及び測定装置 Active JP7401744B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019195852A JP7401744B2 (ja) 2019-10-29 2019-10-29 塩素要求量の測定方法及び測定装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019195852A JP7401744B2 (ja) 2019-10-29 2019-10-29 塩素要求量の測定方法及び測定装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021071293A JP2021071293A (ja) 2021-05-06
JP7401744B2 true JP7401744B2 (ja) 2023-12-20

Family

ID=75712825

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019195852A Active JP7401744B2 (ja) 2019-10-29 2019-10-29 塩素要求量の測定方法及び測定装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7401744B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015034741A (ja) 2013-08-08 2015-02-19 東亜ディーケーケー株式会社 残留塩素測定装置および残留塩素測定方法
JP2017032503A (ja) 2015-08-05 2017-02-09 東亜ディーケーケー株式会社 残留塩素測定システム、残留塩素測定方法、及びプログラム
US20170122922A1 (en) 2015-10-30 2017-05-04 Hach Company Storage stable standards for aqueous chlorine analysis

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS533277B2 (ja) * 1973-11-14 1978-02-04
JPS586284A (ja) * 1981-07-03 1983-01-13 Toshiba Corp 水質の塩素必要量を測定する方法およびその装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015034741A (ja) 2013-08-08 2015-02-19 東亜ディーケーケー株式会社 残留塩素測定装置および残留塩素測定方法
JP2017032503A (ja) 2015-08-05 2017-02-09 東亜ディーケーケー株式会社 残留塩素測定システム、残留塩素測定方法、及びプログラム
US20170122922A1 (en) 2015-10-30 2017-05-04 Hach Company Storage stable standards for aqueous chlorine analysis

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021071293A (ja) 2021-05-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Simka et al. Influence of anode material on electrochemical decomposition of urea
US20090057145A1 (en) Apparatus for Monitoring Chlorine Concentration in Water
Vacca et al. On the formation of bromate and chlorate ions during electrolysis with boron doped diamond anode for seawater treatment
KR102249269B1 (ko) 차아염소산나트륨 광학 농도분석을 통한 실시간 부산물 정량 측정장치
US10473618B2 (en) Residual chlorine measuring apparatus and method of measuring residual chlorine
KR101129622B1 (ko) 수처리장치 및 이를 구비한 선박
JP7401744B2 (ja) 塩素要求量の測定方法及び測定装置
CN104977393A (zh) 一种船舶压载水处理系统用在线有效氯检测仪及检测方法
US8999139B2 (en) Oxidation/reduction measurement
JP4085821B2 (ja) 塩素濃度制御装置
WO2015157088A1 (en) Kinetic chlorine measurement
JP2015516073A (ja) 水溶液中の電解活性種濃度を測定及び制御する方法及び装置
Saputro et al. Oxidation of chromium (III) by free chlorine in tap water during the chlorination process studied by an improved solid-phase spectrometry
JP2011007508A (ja) 遊離残留塩素濃度の測定方法及びこれを用いた次亜塩素酸の生成方法
Hosseini et al. Spectrophotometric determination of chlorate ions in drinking water
JP2017032503A (ja) 残留塩素測定システム、残留塩素測定方法、及びプログラム
JP7231814B2 (ja) 残留塩素測定装置の校正方法
US20160369318A1 (en) Method of determining the concentration of pathogens or oxidizable organic compounds using an ozone titration sensor
JP2000221165A (ja) 残留塩素濃度計測装置
JP7350784B2 (ja) 酸素センサを使用して殺生物剤で処理されたプロセス水を監視するためのシステムおよび方法
EP1739421A1 (en) Electrochemical analyser for the selective measurement of chlorites in water
JP2017032502A (ja) 残留塩素測定システム及びプログラム
JPH06249832A (ja) 亜塩素酸イオンの測定方法
JP7177341B2 (ja) 無試薬式残留塩素測定装置及び無試薬式残留塩素測定方法
US20230002252A1 (en) Method for optical activation of the sensor surface, in particular for zero chlorine sensors

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221021

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230711

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230714

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230824

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20231107

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20231120

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7401744

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150