JP2004344144A - 魚介類飼育用水浄化装置 - Google Patents
魚介類飼育用水浄化装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004344144A JP2004344144A JP2003148220A JP2003148220A JP2004344144A JP 2004344144 A JP2004344144 A JP 2004344144A JP 2003148220 A JP2003148220 A JP 2003148220A JP 2003148220 A JP2003148220 A JP 2003148220A JP 2004344144 A JP2004344144 A JP 2004344144A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- residual chlorine
- chlorine concentration
- breeding
- water
- electrolytic treatment
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Farming Of Fish And Shellfish (AREA)
- Treatment Of Water By Oxidation Or Reduction (AREA)
- Water Treatment By Electricity Or Magnetism (AREA)
Abstract
【課題】飼育水の残留塩素濃度を正確に検出して、飼育水中の残留塩素濃度を低減する制御を正確に行なうことができる魚介類飼育用水浄化装置を提供する。
【解決手段】魚介類を飼育する飼育槽1から取り出した飼育水中のアンモニア成分を電解処理によって発生する塩素類で分解し、この分解処理した飼育水を飼育槽1に循環させるようにした魚介類飼育用水浄化装置に関する。電解処理したあとの飼育水中の酸化還元電位を測定して残留塩素濃度を検出する残留塩素濃度検出手段3と、残留塩素濃度検出手段3で検出した残留塩素濃度値に応じて電解処理手段2による電解処理を制御する制御手段4を備える。残留塩素濃度検出手段3で酸化還元電位を測定することによって、飼育水中の残留塩素濃度を正確に検出することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】魚介類を飼育する飼育槽1から取り出した飼育水中のアンモニア成分を電解処理によって発生する塩素類で分解し、この分解処理した飼育水を飼育槽1に循環させるようにした魚介類飼育用水浄化装置に関する。電解処理したあとの飼育水中の酸化還元電位を測定して残留塩素濃度を検出する残留塩素濃度検出手段3と、残留塩素濃度検出手段3で検出した残留塩素濃度値に応じて電解処理手段2による電解処理を制御する制御手段4を備える。残留塩素濃度検出手段3で酸化還元電位を測定することによって、飼育水中の残留塩素濃度を正確に検出することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、飼育水を閉鎖系で循環させながら、飼育槽で魚介類を養殖したり一時的に蓄養したりするようにした魚介類飼育システムにおける、水浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
海水面から離れた陸上地点などで魚介類を飼育する飼育システムが従来から検討されている。この飼育システムでは、飼育魚介類の排泄物や残餌等を飼育槽から除去する処理を、周辺環境への排出希釈によることなく、系内で行なう必要がある。このために、飼育槽に循環経路を接続し、飼育槽の海水などの飼育水を循環経路に通して循環させる間に、飼育水中の魚介類の排泄物や残餌等を除去して浄化することが行なわれている。
【0003】
魚介類の排泄物のうち、飼育水に溶解しているアンモニア成分を分解除去するにあたって、従来は硝化細菌を用いる微生物処理で行なうのが主流であるが、電気化学処理によって分解除去する方法も提案されている。すなわち、飼育槽の循環経路に電気分解槽を電解処理手段として接続し、電気分解槽内で飼育水である海水を電解分解することによって次亜塩素酸など活性塩素種の塩素類を生成させ、そしてこの塩素類が飼育水に溶解しているアンモニア成分と反応することによって、クロラミンが生成され、さらにこのクロラミン同士が反応して、窒素が遊離されるという一連の反応で、アンモニア成分を窒素に分解して除去することができるものである(例えば特許文献1参照)。
【0004】
上記のように、電解処理で発生する塩素類は飼育水中のアンモニア成分を分解するために消費される他、飼育水中の雑菌や汚染物の除去にも消費されるが、消費されずに飼育水中に残留する塩素濃度が高いまま、飼育水が飼育槽に循環されて返送されると、塩素類による魚毒作用で飼育槽中の魚介類に悪影響を及ぼすおそれがある。そのため、電解処理した後に循環経路中の飼育水に含まれる残留塩素濃度を測定し、残留塩素濃度に応じて、電気分解槽による電気分解の強度を制御したり、塩素中和剤を飼育水に供給して中和したりすることが検討されている。そして飼育水の残留塩素濃度を測定する方法としては、ポーラログラフ方式の残留塩素濃度計を用いるのが一般的である(例えば特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−10724号公報
【特許文献2】
特開平11−290861号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ポーラログラフ方式の残留塩素濃度計は、金電極のカソードと銀電極のアノードを飼育水に浸水させ、その際の電極間の電位差から残留塩素濃度を測定するようにしたものである。すなわち、pHが5.8〜8.0の条件下での水中の遊離残留塩素は次のような平行状態にある。
【0007】
HClO ⇔ H+ + ClO−
そしてこの中で電極間に電圧を印加すると、金電極のカソードでは次のような還元反応になり、
HClO + e− → 1/2H2 + ClO−
銀電極のアノードでは次のような酸化反応になり、
Ag → Ag+ +e−
Ag+ ClO− → AgCl + 1/2O2
水中の残留塩素濃度に比例した電流が金電極のカソードから銀電極のアノードに向かって流れるので、この電流の大きさを測定することによって、水中の残留塩素濃度を検出することができるものである。
【0008】
しかし、このようにポーラログラフ方式では銀電極を用いることが必須であるが、飼育水にはアンモニアが存在しており、アンモニアは銀と錯体を作り易いので、銀電極のアノードが正常に作用しなくなるおそれがある。従って、アンモニアが存在することを前提とする魚介類飼育水の残留塩素濃度をポーラログラフ方式で測定する場合、残留塩素濃度を正確に検出することが難しいものであり、このように検出された残留塩素濃度に基づいて残留塩素濃度を低減する制御を正確に行なうことは困難であるという問題があった。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、飼育水の残留塩素濃度を正確に検出して、飼育水中の残留塩素濃度を低減する制御を正確に行なうことができる魚介類飼育用水浄化装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る魚介類飼育用水浄化装置は、魚介類を飼育する飼育槽から取り出した飼育水中のアンモニア成分を電解処理によって発生する塩素類で分解し、この分解処理した飼育水を飼育槽に循環させるようにした魚介類飼育用水浄化装置において、電解処理したあとの飼育水中の酸化還元電位を測定して残留塩素濃度を検出する残留塩素濃度検出手段と、残留塩素濃度検出手段で検出した残留塩素濃度値に応じて電解処理手段による電解処理を制御する制御手段を備えて成ることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の請求項2に係る魚介類飼育用水浄化装置は、魚介類を飼育する飼育槽から取り出した飼育水中のアンモニア成分を電解処理によって発生する塩素類で分解し、この分解処理した飼育水を飼育槽に循環させるようにした魚介類飼育用水浄化装置において、電解処理したあとの飼育水中の酸化還元電位を測定して残留塩素濃度を検出する残留塩素濃度検出手段と、電解処理した飼育水に塩素中和剤を供給する塩素中和剤供給手段と、残留塩素濃度検出手段で検出した残留塩素濃度値に応じて塩素中和剤供給手段による塩素中和剤の供給量を制御する制御手段を備えて成ることを特徴とするものである。
【0012】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、電解処理したあとの飼育水中のpHを測定するpH測定手段を備え、残留塩素濃度検出手段で測定された酸化還元電位の値と、pH測定手段で測定されたpH値に基づいて、飼育水中の残留塩素濃度を検出するようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
図1は本発明の実施の形態の一例を示すものであり、魚介類が飼育される飼育水槽1に循環経路9が接続してあり、循環経路9に設けた循環ポンプ10を作動させることによって、飼育槽1中の海水などの飼育水を循環経路9を通して循環させるようにしてある。そしてこの循環経路9には、飼育水の流れの方向に沿った順で、循環ポンプ10、電解処理手段2、残留塩素濃度検出手段3が接続してある。電解処理手段2は、一対の電極を内装した電気分解槽によって形成してあり、電極に直流電流を通電することによって、飼育水である海水を電気分解することができるようにしてある。また残留塩素濃度検出手段3は、飼育水の酸化還元電位を測定する酸化還元電位計によって形成してある。
【0015】
上記のように形成される閉鎖循環式の魚介類飼育システムにあって、飼育魚介類の排泄物などを含む飼育槽1内の飼育水は循環経路9に取り出され、電解処理手段2に送られて電解処理される。電解処理手段2で飼育水である海水を電解分解すると、次亜塩素酸など活性塩素種の塩素類が飼育水中に発生し、この塩素類が飼育水に溶解しているアンモニア成分と反応することによって、クロラミンが生成され、さらにこのクロラミン同士が反応して、窒素が遊離されるという一連の反応で、飼育水中のアンモニア成分を窒素に分解して除去することができるものである。このようにアンモニア成分を除去して浄化した飼育水は循環経路9を通して飼育槽1に返送されるようになっている。
【0016】
ここで、上記のように電解処理手段2で飼育水を電解処理すると、飼育水中に塩素類が生成され、塩素類がアンモニア成分の分解等に消費されるが、飼育水中に含まれるアンモニア成分に対して過剰に塩素類が電解処理手段2で生成されていると、余剰の塩素類が残留塩素(遊離塩素)として飼育水に含有されることになる。そこでまず、電解処理手段2で電解処理された飼育水の残留塩素濃度を残留塩素濃度測定手段3で検出する。残留塩素濃度測定手段3は上記のように酸化還元電位計によって形成してあり、飼育水の酸化還元の電位差を測定することによって得られる酸化還元電位の値によって、飼育水中の残留塩素濃度を検出することができるようにしてある。すなわち、予め、酸化還元電位と残留塩素濃度との相関関係を求めて相関式や換算表を作成しておき、残留塩素濃度測定手段3で測定された酸化還元電位の値を、この相関式や換算表に代入して演算処理することによって、残留塩素濃度を検出することができるものである。そして、残留塩素濃度検出手段3を構成する酸化還元電位計は、ポーラログラフ方式の場合のような銀電極を用いる必要がないので、飼育水にアンモニア成分が含有されていても、飼育水の酸化還元電位の値を正確に測定することができるものであり、従って、飼育水中の残留塩素濃度を正確に検出することができるものである。
【0017】
残留塩素濃度検出手段3はCPU、メモリー、制御回路等を備えて形成される制御手段4に電気的に接続してあり、残留塩素濃度検出手段3で検出された残留塩素濃度のデータが制御手段4に入力されるようになっている。また制御手段4は電解処理手段2に電気的に接続してある。そして残留塩素濃度検出手段3で検出された残留塩素濃度値が設定された基準値を超えると、制御手段4が作動して電解処理手段2の電極への電流供給をOFFにして電解処理を停止するようにしてあり、また残留塩素濃度検出手段3で検出された残留塩素濃度値が設定された基準値を下回ると、制御手段4が作動して電解処理手段2の電極への電流供給をONにして電解処理が再開されるようにしてある。このように残留塩素濃度検出手段3で検出された残留塩素濃度値に応じて、制御手段4で電解処理手段2による電解を制御することによって、電解で生成される塩素類によるアンモニア成分の分解作用を最適に維持しつつ、飼育水中の残留塩素濃度を低減することができるものである。
【0018】
尚、残留塩素濃度検出手段3で検出された残留塩素濃度値に応じて、電解処理手段2の電極への電流供給量を制御手段4で制御し、電気分解の強度を調整するようにすることも可能である。また、測定された酸化還元電位に基づいて残留塩素濃度を演算するのは、残留塩素濃度検出手段3で行なうようにしてもよく、あるいは残留塩素濃度検出手段3で測定された酸化還元電位のデータを制御手段4に入力し、制御手段4において酸化還元電位に基づいて残留塩素濃度を演算するようにしてもよい。
【0019】
図2は本発明の他の実施の形態の一例を示すものであり、電解処理手段2と残留塩素濃度検出手段3の間において循環経路9に塩素中和剤供給手段5が接続してある。塩素中和剤供給手段5は、チオ硫酸ナトリウムなどの塩素中和剤を貯溜する塩素中和剤貯溜槽12と、塩素中和剤貯溜槽12に貯溜された塩素中和剤を送り出すポンプなどで形成される供給器13と、供給器13で送り出された塩素中和剤を電解処理の後の飼育水と混合する混合槽14とからなるものである。また制御手段4は残留塩素濃度検出手段3と塩素中和剤供給手段5に電気的に接続してある。その他の構成は図1のものと同じである。
【0020】
図2の魚介類飼育システムにあって、図1の場合と同様に電解処理手段2で飼育水である海水を電気分解することによって塩素類を生成させ、この塩素類の作用で飼育水中のアンモニア成分を窒素に分解して除去することができる。このようにアンモニア成分を除去して浄化した飼育水は循環経路9を通して飼育槽1に返送されるようになっている。そして飼育水中に含まれるアンモニア成分に対して過剰に塩素類が電解処理手段2で生成されていると、余剰の塩素類が残留塩素として飼育水に含有されることになる。
【0021】
そこでまず、電解処理手段2で電解処理された飼育水の残留塩素濃度を残留塩素濃度測定手段3で上記と同様にして検出する。そして残留塩素濃度検出手段3で検出された残留塩素濃度値が設定された基準値を超えると、制御手段4が作動して塩素中和剤供給手段5の供給器13を作動させて飼育水に塩素中和剤を供給し、飼育水1を中和して余剰の塩素による魚毒作用を消すようにしてある。また残留塩素濃度検出手段3で検出された残留塩素濃度値が設定された基準値を下回ると、制御手段4が作動して塩素中和剤供給手段5の供給器13を停止させ、塩素中和剤の供給を停止させるようにしてある。このように残留塩素濃度検出手段3で検出された残留塩素濃度値に応じて、制御手段4で塩素中和剤供給手段5による塩素中和剤の供給を制御することによって、塩素中和剤の無駄な供給を防ぎつつ、飼育水中の残留塩素濃度を低減することができるものである。
【0022】
尚、残留塩素濃度検出手段3で検出された残留塩素濃度値に応じて、塩素中和剤供給手段5の供給器13による塩素中和剤の供給量を制御手段4で制御し、飼育水への塩素中和剤の供給量を調整することも可能である。また、測定された酸化還元電位に基づいて残留塩素濃度を演算するのは、残留塩素濃度検出手段3で行なうようにしてもよく、あるいは残留塩素濃度検出手段3で測定された酸化還元電位のデータを制御手段4に入力し、制御手段4において酸化還元電位に基づいて残留塩素濃度を演算するようにしてもよい。
【0023】
図3は本発明の他の実施の形態の一例を示すものであり、電解処理手段2と残留塩素濃度検出手段3の間において循環経路9にpH測定手段6が接続してある。pH測定手段6としてはpH電極を備えて形成されるpH計などで形成することができる。このpH測定手段6は制御手段4に電気的に接続してある。その他の構成は図1と同じである。
【0024】
このものにあって、電解処理手段2で電解処理された飼育水のpHをpH測定手段6で測定し、測定されたpH値のデータは制御手段4に入力されるようになっている。また、電解処理手段2で電解処理された飼育水の残留塩素濃度を残留塩素濃度測定手段3で上記と同様にして検出し、この残留塩素濃度のデータは制御手段4に入力されるようになっている。そしてこのように残留塩素濃度測定手段3から制御手段4に入力された残留塩素濃度は、pH測定手段6から入力されたpH値によって補正される。飼育水の酸化還元電位と残留塩素濃度の相関関係は飼育水のpH値によって変動するので、pH値によって補正することによって、正確な残留塩素濃度を検出することができるものである。すなわち、予め、種々のpH値の飼育水について、酸化還元電位と残留塩素濃度との相関関係を求めて、pH値と残留塩素濃度の関係式を作成しておき、測定されたpH値をこの関係式に代入して演算処理することによって、残留塩素濃度をpH値に応じて補正することができるものである。そしてこのように補正した残留塩素濃度に基づいて、制御手段4で電解処理手段2による電解を制御することによって、飼育水中の残留塩素濃度を低減することができるものである。
【0025】
図4は本発明の他の実施の形態の一例を示すものであり、塩素中和剤供給手段5と残留塩素濃度検出手段3の間において循環経路9にpH計などで形成されるpH測定手段6が接続してある。このpH測定手段6は制御手段4に電気的に接続してあり、その他の構成は図2と同じである。
【0026】
このものにあって、上記と同様に残留塩素濃度測定手段3から制御手段4に入力された残留塩素濃度は、pH測定手段6から入力されたpH値によって補正されるようになっている。そしてこのように補正した残留塩素濃度に基づいて、制御手段4で塩素中和剤供給手段5による塩素中和剤の供給を制御することによって、飼育水中の残留塩素濃度を低減することができるものである。
【0027】
尚、上記の図3及び図4の実施の形態にあって、上記の例では測定された酸化還元電位に基づいて残留塩素濃度検出手段3で残留塩素濃度を演算するようにしたが、残留塩素濃度検出手段3で測定された酸化還元電位のデータを制御手段4に入力し、制御手段4において酸化還元電位に基づいて残留塩素濃度を演算するようにしてもよい。後者の場合、予め、種々のpH値の飼育水について、酸化還元電位と残留塩素濃度との相関関係を求めて相関式や換算表を作成しておき、そしてpH測定手段6から制御手段4にpH値が入力されると、そのpH値の飼育水について作成された相関式や換算表に酸化還元電位の値を代入して演算処理することによって、残留塩素濃度を補正された値として検出することができるものである。
【0028】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0029】
直径6mの飼育槽1にひらめの稚魚(全長10cmサイズ)を2000匹投入し、毎日一回約600gの飼料を決まった時刻に与えた。また循環経路9による循環水量は80リットル/minに設定し、電解処理槽からなる電解処理手段2で飼育水を電解処理しながら運転した。
【0030】
そして図1のシステムにおいて、残留塩素濃度検出手段3としてポーラログラフ式残留塩素濃度計を用い、電解処理手段2で電解処理された飼育水の残留塩素濃度を測定し、ポーラログラフ式残留塩素濃度計で測定された残留塩素濃度が0.5ppmに達すると、電解処理手段2による電解処理を停止するように制御を行なった。このように制御を行ないながら30日間運転し、循環経路9から飼育槽1に返送される飼育水のアンモニア性窒素濃度(NH3−N(ppm))、残留塩素濃度(遊離塩素濃度(ppm))及び水素イオン濃度(pH)を測定した。結果を図5(a)に示す。尚、飼育槽1に返送される飼育水の残留塩素濃度の測定は、比色法(オルトトリジン法)で行なった(後述の図5(b)及び図5(c)の場合も同じ)。
【0031】
また図1のシステムにおいて、残留塩素濃度検出手段3として酸化還元電位計(セントラル科学社製「pH/ORPメーター UC−23」)を用い、電解処理手段2で電解処理された飼育水の残留塩素濃度を測定し、酸化還元電位計で測定された残留塩素濃度が0.5ppmに達すると、電解処理手段2による電解処理を停止するように制御を行なった。このように制御を行ないながら30日間運転し、循環経路9から飼育槽1に返送される飼育水のアンモニア性窒素濃度(NH3−N(ppm))、残留塩素濃度(遊離塩素濃度(ppm))及び水素イオン濃度(pH)を測定した。結果を図5(b)に示す。
【0032】
また、図3のシステムにおいて、残留塩素濃度検出手段3として酸化還元電位計(セントラル科学社製「pH/ORPメーター UC−23」)を用いると共に、pH測定手段6としてpH計(セントラル科学社製「pH/ORPメーターUC−23」)を用い、電解処理手段2で電解処理された飼育水の残留塩素濃度を酸化還元電位計で測定すると共に、pH計で測定されたpH値で残留塩素濃度を補正し、補正された残留塩素濃度が0.5ppmに達すると、電解処理手段2による電解処理を停止するように制御を行なった。このように制御を行ないながら30日間運転し、循環経路9から飼育槽1に返送される飼育水のアンモニア性窒素濃度(NH3−N(ppm))、残留塩素濃度(遊離塩素濃度(ppm))及び水素イオン濃度(pH)を測定した。結果を図5(c)に示す。
【0033】
残留塩素濃度検出手段3としてポーラログラフ式残留塩素濃度計を用いた場合には、図5(a)にみられるように、飼育水中のアンモニア性窒素濃度(NH3−N(ppm))は上昇している。これは、飼育水中の残留塩素濃度が図5(a)のように低いにも拘わらず、ポーラログラフ式残留塩素濃度計は残留塩素濃度を0.5ppm以上と誤認識し、電解処理手段2による電解処理を停止してアンモニア成分を処理できない状態が続いたからである。
【0034】
これに対して、残留塩素濃度検出手段3として酸化還元電位計を用いた場合には、図5(b)にみられるように、飼育水中のアンモニア性窒素濃度(NH3−N(ppm))は上昇せず、酸化還元電位計による残留塩素濃度の検出は正確に行なわれていることがわかる。特にpH計を併用してpH値で残留塩素濃度を補正した場合には、図5(c)にみられるように、アンモニア成分の処理はさらに効率良く行なわれることがわかる。
【0035】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係る魚介類浄化装置によれば、残留塩素濃度検出手段で酸化還元電位を測定することによって、飼育水中の残留塩素濃度を正確に検出することができるものであり、この残留塩素濃度の検出値に基づいて電解処理手段による飼育水の電解処理を制御することができ、飼育水中の残留塩素濃度を低減する制御を正確に行なうことができるものである。
【0036】
また本発明の請求項2に係る魚介類浄化装置によれば、残留塩素濃度検出手段で酸化還元電位を測定することによって、飼育水中の残留塩素濃度を正確に検出することができるものであり、この残留塩素濃度の検出値に基づいて塩素中和剤供給手段による飼育水への塩素中和剤の供給量を制御することができ、飼育水中の残留塩素濃度を低減する制御を正確に行なうことができるものである。
【0037】
また請求項3の発明によれば、残留塩素濃度検出手段で測定された酸化還元電位に基づいて残留塩素濃度を検出するにあたって、pH測定手段で測定されたpH値によって残留塩素濃度を補正することができ、飼育水中の残留塩素濃度を正確に検出することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の他の実施の形態の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の他の実施の形態の一例を示す概略図である。
【図4】本発明の他の実施の形態の一例を示す概略図である。
【図5】飼育水のアンモニア性窒素濃度、残留塩素濃度及び水素イオン濃度の測定値の経日変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 飼育槽
2 電解処理手段
3 残留塩素濃度検出手段
4 制御手段
5 塩素中和剤供給手段
6 pH測定手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、飼育水を閉鎖系で循環させながら、飼育槽で魚介類を養殖したり一時的に蓄養したりするようにした魚介類飼育システムにおける、水浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
海水面から離れた陸上地点などで魚介類を飼育する飼育システムが従来から検討されている。この飼育システムでは、飼育魚介類の排泄物や残餌等を飼育槽から除去する処理を、周辺環境への排出希釈によることなく、系内で行なう必要がある。このために、飼育槽に循環経路を接続し、飼育槽の海水などの飼育水を循環経路に通して循環させる間に、飼育水中の魚介類の排泄物や残餌等を除去して浄化することが行なわれている。
【0003】
魚介類の排泄物のうち、飼育水に溶解しているアンモニア成分を分解除去するにあたって、従来は硝化細菌を用いる微生物処理で行なうのが主流であるが、電気化学処理によって分解除去する方法も提案されている。すなわち、飼育槽の循環経路に電気分解槽を電解処理手段として接続し、電気分解槽内で飼育水である海水を電解分解することによって次亜塩素酸など活性塩素種の塩素類を生成させ、そしてこの塩素類が飼育水に溶解しているアンモニア成分と反応することによって、クロラミンが生成され、さらにこのクロラミン同士が反応して、窒素が遊離されるという一連の反応で、アンモニア成分を窒素に分解して除去することができるものである(例えば特許文献1参照)。
【0004】
上記のように、電解処理で発生する塩素類は飼育水中のアンモニア成分を分解するために消費される他、飼育水中の雑菌や汚染物の除去にも消費されるが、消費されずに飼育水中に残留する塩素濃度が高いまま、飼育水が飼育槽に循環されて返送されると、塩素類による魚毒作用で飼育槽中の魚介類に悪影響を及ぼすおそれがある。そのため、電解処理した後に循環経路中の飼育水に含まれる残留塩素濃度を測定し、残留塩素濃度に応じて、電気分解槽による電気分解の強度を制御したり、塩素中和剤を飼育水に供給して中和したりすることが検討されている。そして飼育水の残留塩素濃度を測定する方法としては、ポーラログラフ方式の残留塩素濃度計を用いるのが一般的である(例えば特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−10724号公報
【特許文献2】
特開平11−290861号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ポーラログラフ方式の残留塩素濃度計は、金電極のカソードと銀電極のアノードを飼育水に浸水させ、その際の電極間の電位差から残留塩素濃度を測定するようにしたものである。すなわち、pHが5.8〜8.0の条件下での水中の遊離残留塩素は次のような平行状態にある。
【0007】
HClO ⇔ H+ + ClO−
そしてこの中で電極間に電圧を印加すると、金電極のカソードでは次のような還元反応になり、
HClO + e− → 1/2H2 + ClO−
銀電極のアノードでは次のような酸化反応になり、
Ag → Ag+ +e−
Ag+ ClO− → AgCl + 1/2O2
水中の残留塩素濃度に比例した電流が金電極のカソードから銀電極のアノードに向かって流れるので、この電流の大きさを測定することによって、水中の残留塩素濃度を検出することができるものである。
【0008】
しかし、このようにポーラログラフ方式では銀電極を用いることが必須であるが、飼育水にはアンモニアが存在しており、アンモニアは銀と錯体を作り易いので、銀電極のアノードが正常に作用しなくなるおそれがある。従って、アンモニアが存在することを前提とする魚介類飼育水の残留塩素濃度をポーラログラフ方式で測定する場合、残留塩素濃度を正確に検出することが難しいものであり、このように検出された残留塩素濃度に基づいて残留塩素濃度を低減する制御を正確に行なうことは困難であるという問題があった。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、飼育水の残留塩素濃度を正確に検出して、飼育水中の残留塩素濃度を低減する制御を正確に行なうことができる魚介類飼育用水浄化装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る魚介類飼育用水浄化装置は、魚介類を飼育する飼育槽から取り出した飼育水中のアンモニア成分を電解処理によって発生する塩素類で分解し、この分解処理した飼育水を飼育槽に循環させるようにした魚介類飼育用水浄化装置において、電解処理したあとの飼育水中の酸化還元電位を測定して残留塩素濃度を検出する残留塩素濃度検出手段と、残留塩素濃度検出手段で検出した残留塩素濃度値に応じて電解処理手段による電解処理を制御する制御手段を備えて成ることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の請求項2に係る魚介類飼育用水浄化装置は、魚介類を飼育する飼育槽から取り出した飼育水中のアンモニア成分を電解処理によって発生する塩素類で分解し、この分解処理した飼育水を飼育槽に循環させるようにした魚介類飼育用水浄化装置において、電解処理したあとの飼育水中の酸化還元電位を測定して残留塩素濃度を検出する残留塩素濃度検出手段と、電解処理した飼育水に塩素中和剤を供給する塩素中和剤供給手段と、残留塩素濃度検出手段で検出した残留塩素濃度値に応じて塩素中和剤供給手段による塩素中和剤の供給量を制御する制御手段を備えて成ることを特徴とするものである。
【0012】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、電解処理したあとの飼育水中のpHを測定するpH測定手段を備え、残留塩素濃度検出手段で測定された酸化還元電位の値と、pH測定手段で測定されたpH値に基づいて、飼育水中の残留塩素濃度を検出するようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
図1は本発明の実施の形態の一例を示すものであり、魚介類が飼育される飼育水槽1に循環経路9が接続してあり、循環経路9に設けた循環ポンプ10を作動させることによって、飼育槽1中の海水などの飼育水を循環経路9を通して循環させるようにしてある。そしてこの循環経路9には、飼育水の流れの方向に沿った順で、循環ポンプ10、電解処理手段2、残留塩素濃度検出手段3が接続してある。電解処理手段2は、一対の電極を内装した電気分解槽によって形成してあり、電極に直流電流を通電することによって、飼育水である海水を電気分解することができるようにしてある。また残留塩素濃度検出手段3は、飼育水の酸化還元電位を測定する酸化還元電位計によって形成してある。
【0015】
上記のように形成される閉鎖循環式の魚介類飼育システムにあって、飼育魚介類の排泄物などを含む飼育槽1内の飼育水は循環経路9に取り出され、電解処理手段2に送られて電解処理される。電解処理手段2で飼育水である海水を電解分解すると、次亜塩素酸など活性塩素種の塩素類が飼育水中に発生し、この塩素類が飼育水に溶解しているアンモニア成分と反応することによって、クロラミンが生成され、さらにこのクロラミン同士が反応して、窒素が遊離されるという一連の反応で、飼育水中のアンモニア成分を窒素に分解して除去することができるものである。このようにアンモニア成分を除去して浄化した飼育水は循環経路9を通して飼育槽1に返送されるようになっている。
【0016】
ここで、上記のように電解処理手段2で飼育水を電解処理すると、飼育水中に塩素類が生成され、塩素類がアンモニア成分の分解等に消費されるが、飼育水中に含まれるアンモニア成分に対して過剰に塩素類が電解処理手段2で生成されていると、余剰の塩素類が残留塩素(遊離塩素)として飼育水に含有されることになる。そこでまず、電解処理手段2で電解処理された飼育水の残留塩素濃度を残留塩素濃度測定手段3で検出する。残留塩素濃度測定手段3は上記のように酸化還元電位計によって形成してあり、飼育水の酸化還元の電位差を測定することによって得られる酸化還元電位の値によって、飼育水中の残留塩素濃度を検出することができるようにしてある。すなわち、予め、酸化還元電位と残留塩素濃度との相関関係を求めて相関式や換算表を作成しておき、残留塩素濃度測定手段3で測定された酸化還元電位の値を、この相関式や換算表に代入して演算処理することによって、残留塩素濃度を検出することができるものである。そして、残留塩素濃度検出手段3を構成する酸化還元電位計は、ポーラログラフ方式の場合のような銀電極を用いる必要がないので、飼育水にアンモニア成分が含有されていても、飼育水の酸化還元電位の値を正確に測定することができるものであり、従って、飼育水中の残留塩素濃度を正確に検出することができるものである。
【0017】
残留塩素濃度検出手段3はCPU、メモリー、制御回路等を備えて形成される制御手段4に電気的に接続してあり、残留塩素濃度検出手段3で検出された残留塩素濃度のデータが制御手段4に入力されるようになっている。また制御手段4は電解処理手段2に電気的に接続してある。そして残留塩素濃度検出手段3で検出された残留塩素濃度値が設定された基準値を超えると、制御手段4が作動して電解処理手段2の電極への電流供給をOFFにして電解処理を停止するようにしてあり、また残留塩素濃度検出手段3で検出された残留塩素濃度値が設定された基準値を下回ると、制御手段4が作動して電解処理手段2の電極への電流供給をONにして電解処理が再開されるようにしてある。このように残留塩素濃度検出手段3で検出された残留塩素濃度値に応じて、制御手段4で電解処理手段2による電解を制御することによって、電解で生成される塩素類によるアンモニア成分の分解作用を最適に維持しつつ、飼育水中の残留塩素濃度を低減することができるものである。
【0018】
尚、残留塩素濃度検出手段3で検出された残留塩素濃度値に応じて、電解処理手段2の電極への電流供給量を制御手段4で制御し、電気分解の強度を調整するようにすることも可能である。また、測定された酸化還元電位に基づいて残留塩素濃度を演算するのは、残留塩素濃度検出手段3で行なうようにしてもよく、あるいは残留塩素濃度検出手段3で測定された酸化還元電位のデータを制御手段4に入力し、制御手段4において酸化還元電位に基づいて残留塩素濃度を演算するようにしてもよい。
【0019】
図2は本発明の他の実施の形態の一例を示すものであり、電解処理手段2と残留塩素濃度検出手段3の間において循環経路9に塩素中和剤供給手段5が接続してある。塩素中和剤供給手段5は、チオ硫酸ナトリウムなどの塩素中和剤を貯溜する塩素中和剤貯溜槽12と、塩素中和剤貯溜槽12に貯溜された塩素中和剤を送り出すポンプなどで形成される供給器13と、供給器13で送り出された塩素中和剤を電解処理の後の飼育水と混合する混合槽14とからなるものである。また制御手段4は残留塩素濃度検出手段3と塩素中和剤供給手段5に電気的に接続してある。その他の構成は図1のものと同じである。
【0020】
図2の魚介類飼育システムにあって、図1の場合と同様に電解処理手段2で飼育水である海水を電気分解することによって塩素類を生成させ、この塩素類の作用で飼育水中のアンモニア成分を窒素に分解して除去することができる。このようにアンモニア成分を除去して浄化した飼育水は循環経路9を通して飼育槽1に返送されるようになっている。そして飼育水中に含まれるアンモニア成分に対して過剰に塩素類が電解処理手段2で生成されていると、余剰の塩素類が残留塩素として飼育水に含有されることになる。
【0021】
そこでまず、電解処理手段2で電解処理された飼育水の残留塩素濃度を残留塩素濃度測定手段3で上記と同様にして検出する。そして残留塩素濃度検出手段3で検出された残留塩素濃度値が設定された基準値を超えると、制御手段4が作動して塩素中和剤供給手段5の供給器13を作動させて飼育水に塩素中和剤を供給し、飼育水1を中和して余剰の塩素による魚毒作用を消すようにしてある。また残留塩素濃度検出手段3で検出された残留塩素濃度値が設定された基準値を下回ると、制御手段4が作動して塩素中和剤供給手段5の供給器13を停止させ、塩素中和剤の供給を停止させるようにしてある。このように残留塩素濃度検出手段3で検出された残留塩素濃度値に応じて、制御手段4で塩素中和剤供給手段5による塩素中和剤の供給を制御することによって、塩素中和剤の無駄な供給を防ぎつつ、飼育水中の残留塩素濃度を低減することができるものである。
【0022】
尚、残留塩素濃度検出手段3で検出された残留塩素濃度値に応じて、塩素中和剤供給手段5の供給器13による塩素中和剤の供給量を制御手段4で制御し、飼育水への塩素中和剤の供給量を調整することも可能である。また、測定された酸化還元電位に基づいて残留塩素濃度を演算するのは、残留塩素濃度検出手段3で行なうようにしてもよく、あるいは残留塩素濃度検出手段3で測定された酸化還元電位のデータを制御手段4に入力し、制御手段4において酸化還元電位に基づいて残留塩素濃度を演算するようにしてもよい。
【0023】
図3は本発明の他の実施の形態の一例を示すものであり、電解処理手段2と残留塩素濃度検出手段3の間において循環経路9にpH測定手段6が接続してある。pH測定手段6としてはpH電極を備えて形成されるpH計などで形成することができる。このpH測定手段6は制御手段4に電気的に接続してある。その他の構成は図1と同じである。
【0024】
このものにあって、電解処理手段2で電解処理された飼育水のpHをpH測定手段6で測定し、測定されたpH値のデータは制御手段4に入力されるようになっている。また、電解処理手段2で電解処理された飼育水の残留塩素濃度を残留塩素濃度測定手段3で上記と同様にして検出し、この残留塩素濃度のデータは制御手段4に入力されるようになっている。そしてこのように残留塩素濃度測定手段3から制御手段4に入力された残留塩素濃度は、pH測定手段6から入力されたpH値によって補正される。飼育水の酸化還元電位と残留塩素濃度の相関関係は飼育水のpH値によって変動するので、pH値によって補正することによって、正確な残留塩素濃度を検出することができるものである。すなわち、予め、種々のpH値の飼育水について、酸化還元電位と残留塩素濃度との相関関係を求めて、pH値と残留塩素濃度の関係式を作成しておき、測定されたpH値をこの関係式に代入して演算処理することによって、残留塩素濃度をpH値に応じて補正することができるものである。そしてこのように補正した残留塩素濃度に基づいて、制御手段4で電解処理手段2による電解を制御することによって、飼育水中の残留塩素濃度を低減することができるものである。
【0025】
図4は本発明の他の実施の形態の一例を示すものであり、塩素中和剤供給手段5と残留塩素濃度検出手段3の間において循環経路9にpH計などで形成されるpH測定手段6が接続してある。このpH測定手段6は制御手段4に電気的に接続してあり、その他の構成は図2と同じである。
【0026】
このものにあって、上記と同様に残留塩素濃度測定手段3から制御手段4に入力された残留塩素濃度は、pH測定手段6から入力されたpH値によって補正されるようになっている。そしてこのように補正した残留塩素濃度に基づいて、制御手段4で塩素中和剤供給手段5による塩素中和剤の供給を制御することによって、飼育水中の残留塩素濃度を低減することができるものである。
【0027】
尚、上記の図3及び図4の実施の形態にあって、上記の例では測定された酸化還元電位に基づいて残留塩素濃度検出手段3で残留塩素濃度を演算するようにしたが、残留塩素濃度検出手段3で測定された酸化還元電位のデータを制御手段4に入力し、制御手段4において酸化還元電位に基づいて残留塩素濃度を演算するようにしてもよい。後者の場合、予め、種々のpH値の飼育水について、酸化還元電位と残留塩素濃度との相関関係を求めて相関式や換算表を作成しておき、そしてpH測定手段6から制御手段4にpH値が入力されると、そのpH値の飼育水について作成された相関式や換算表に酸化還元電位の値を代入して演算処理することによって、残留塩素濃度を補正された値として検出することができるものである。
【0028】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0029】
直径6mの飼育槽1にひらめの稚魚(全長10cmサイズ)を2000匹投入し、毎日一回約600gの飼料を決まった時刻に与えた。また循環経路9による循環水量は80リットル/minに設定し、電解処理槽からなる電解処理手段2で飼育水を電解処理しながら運転した。
【0030】
そして図1のシステムにおいて、残留塩素濃度検出手段3としてポーラログラフ式残留塩素濃度計を用い、電解処理手段2で電解処理された飼育水の残留塩素濃度を測定し、ポーラログラフ式残留塩素濃度計で測定された残留塩素濃度が0.5ppmに達すると、電解処理手段2による電解処理を停止するように制御を行なった。このように制御を行ないながら30日間運転し、循環経路9から飼育槽1に返送される飼育水のアンモニア性窒素濃度(NH3−N(ppm))、残留塩素濃度(遊離塩素濃度(ppm))及び水素イオン濃度(pH)を測定した。結果を図5(a)に示す。尚、飼育槽1に返送される飼育水の残留塩素濃度の測定は、比色法(オルトトリジン法)で行なった(後述の図5(b)及び図5(c)の場合も同じ)。
【0031】
また図1のシステムにおいて、残留塩素濃度検出手段3として酸化還元電位計(セントラル科学社製「pH/ORPメーター UC−23」)を用い、電解処理手段2で電解処理された飼育水の残留塩素濃度を測定し、酸化還元電位計で測定された残留塩素濃度が0.5ppmに達すると、電解処理手段2による電解処理を停止するように制御を行なった。このように制御を行ないながら30日間運転し、循環経路9から飼育槽1に返送される飼育水のアンモニア性窒素濃度(NH3−N(ppm))、残留塩素濃度(遊離塩素濃度(ppm))及び水素イオン濃度(pH)を測定した。結果を図5(b)に示す。
【0032】
また、図3のシステムにおいて、残留塩素濃度検出手段3として酸化還元電位計(セントラル科学社製「pH/ORPメーター UC−23」)を用いると共に、pH測定手段6としてpH計(セントラル科学社製「pH/ORPメーターUC−23」)を用い、電解処理手段2で電解処理された飼育水の残留塩素濃度を酸化還元電位計で測定すると共に、pH計で測定されたpH値で残留塩素濃度を補正し、補正された残留塩素濃度が0.5ppmに達すると、電解処理手段2による電解処理を停止するように制御を行なった。このように制御を行ないながら30日間運転し、循環経路9から飼育槽1に返送される飼育水のアンモニア性窒素濃度(NH3−N(ppm))、残留塩素濃度(遊離塩素濃度(ppm))及び水素イオン濃度(pH)を測定した。結果を図5(c)に示す。
【0033】
残留塩素濃度検出手段3としてポーラログラフ式残留塩素濃度計を用いた場合には、図5(a)にみられるように、飼育水中のアンモニア性窒素濃度(NH3−N(ppm))は上昇している。これは、飼育水中の残留塩素濃度が図5(a)のように低いにも拘わらず、ポーラログラフ式残留塩素濃度計は残留塩素濃度を0.5ppm以上と誤認識し、電解処理手段2による電解処理を停止してアンモニア成分を処理できない状態が続いたからである。
【0034】
これに対して、残留塩素濃度検出手段3として酸化還元電位計を用いた場合には、図5(b)にみられるように、飼育水中のアンモニア性窒素濃度(NH3−N(ppm))は上昇せず、酸化還元電位計による残留塩素濃度の検出は正確に行なわれていることがわかる。特にpH計を併用してpH値で残留塩素濃度を補正した場合には、図5(c)にみられるように、アンモニア成分の処理はさらに効率良く行なわれることがわかる。
【0035】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係る魚介類浄化装置によれば、残留塩素濃度検出手段で酸化還元電位を測定することによって、飼育水中の残留塩素濃度を正確に検出することができるものであり、この残留塩素濃度の検出値に基づいて電解処理手段による飼育水の電解処理を制御することができ、飼育水中の残留塩素濃度を低減する制御を正確に行なうことができるものである。
【0036】
また本発明の請求項2に係る魚介類浄化装置によれば、残留塩素濃度検出手段で酸化還元電位を測定することによって、飼育水中の残留塩素濃度を正確に検出することができるものであり、この残留塩素濃度の検出値に基づいて塩素中和剤供給手段による飼育水への塩素中和剤の供給量を制御することができ、飼育水中の残留塩素濃度を低減する制御を正確に行なうことができるものである。
【0037】
また請求項3の発明によれば、残留塩素濃度検出手段で測定された酸化還元電位に基づいて残留塩素濃度を検出するにあたって、pH測定手段で測定されたpH値によって残留塩素濃度を補正することができ、飼育水中の残留塩素濃度を正確に検出することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の他の実施の形態の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の他の実施の形態の一例を示す概略図である。
【図4】本発明の他の実施の形態の一例を示す概略図である。
【図5】飼育水のアンモニア性窒素濃度、残留塩素濃度及び水素イオン濃度の測定値の経日変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 飼育槽
2 電解処理手段
3 残留塩素濃度検出手段
4 制御手段
5 塩素中和剤供給手段
6 pH測定手段
Claims (3)
- 魚介類を飼育する飼育槽から取り出した飼育水中のアンモニア成分を電解処理によって発生する塩素類で分解し、この分解処理した飼育水を飼育槽に循環させるようにした魚介類飼育用水浄化装置において、電解処理したあとの飼育水中の酸化還元電位を測定して残留塩素濃度を検出する残留塩素濃度検出手段と、残留塩素濃度検出手段で検出した残留塩素濃度値に応じて電解処理手段による電解処理を制御する制御手段を備えて成ることを特徴とする魚介類飼育用水浄化装置。
- 魚介類を飼育する飼育槽から取り出した飼育水中のアンモニア成分を電解処理によって発生する塩素類で分解し、この分解処理した飼育水を飼育槽に循環させるようにした魚介類飼育用水浄化装置において、電解処理したあとの飼育水中の酸化還元電位を測定して残留塩素濃度を検出する残留塩素濃度検出手段と、電解処理した飼育水に塩素中和剤を供給する塩素中和剤供給手段と、残留塩素濃度検出手段で検出した残留塩素濃度値に応じて塩素中和剤供給手段による塩素中和剤の供給量を制御する制御手段を備えて成ることを特徴とする魚介類飼育用水浄化装置。
- 電解処理したあとの飼育水中のpHを測定するpH測定手段を備え、残留塩素濃度検出手段で測定された酸化還元電位の値と、pH測定手段で測定されたpH値に基づいて、飼育水中の残留塩素濃度を検出するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の魚介類飼育用水浄化装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003148220A JP2004344144A (ja) | 2003-05-26 | 2003-05-26 | 魚介類飼育用水浄化装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003148220A JP2004344144A (ja) | 2003-05-26 | 2003-05-26 | 魚介類飼育用水浄化装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004344144A true JP2004344144A (ja) | 2004-12-09 |
Family
ID=33534525
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003148220A Withdrawn JP2004344144A (ja) | 2003-05-26 | 2003-05-26 | 魚介類飼育用水浄化装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004344144A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006112521A1 (ja) * | 2005-04-15 | 2006-10-26 | Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. | アンモニア性窒素含有廃水の電解処理方法及び装置 |
JP2010166933A (ja) * | 2010-04-19 | 2010-08-05 | Kakei Gakuen | 人工飼育水 |
JP2010193902A (ja) * | 2010-04-19 | 2010-09-09 | Kakei Gakuen | 人工飼育水 |
JP2016022458A (ja) * | 2014-07-24 | 2016-02-08 | 株式会社日立製作所 | 圧入水生産システム |
US9756838B2 (en) | 2014-03-31 | 2017-09-12 | Kitz Corporation | Circulation type aquaculture method and circulation type aquaculture device |
-
2003
- 2003-05-26 JP JP2003148220A patent/JP2004344144A/ja not_active Withdrawn
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006112521A1 (ja) * | 2005-04-15 | 2006-10-26 | Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. | アンモニア性窒素含有廃水の電解処理方法及び装置 |
JP2006297206A (ja) * | 2005-04-15 | 2006-11-02 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | アンモニア性窒素含有廃水の電解処理方法及び装置 |
JP4671743B2 (ja) * | 2005-04-15 | 2011-04-20 | 三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社 | アンモニア性窒素含有廃水の電解処理方法及び装置 |
JP2010166933A (ja) * | 2010-04-19 | 2010-08-05 | Kakei Gakuen | 人工飼育水 |
JP2010193902A (ja) * | 2010-04-19 | 2010-09-09 | Kakei Gakuen | 人工飼育水 |
US9756838B2 (en) | 2014-03-31 | 2017-09-12 | Kitz Corporation | Circulation type aquaculture method and circulation type aquaculture device |
JP2016022458A (ja) * | 2014-07-24 | 2016-02-08 | 株式会社日立製作所 | 圧入水生産システム |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2178801B1 (en) | Method and system for treating ballast water | |
EP3017696B1 (en) | Method of producing sterile aquaculture water, and method using same of fish aquaculture using flowing sterile water | |
US11577974B2 (en) | Ballast water management system | |
WO2015151984A1 (ja) | 循環型養殖方法及び循環型養殖装置 | |
US20240002032A1 (en) | Ballast Water Treatment and Neutralization | |
JP5593439B2 (ja) | バラスト水及びフィルタ処理用の方法並びにシステム | |
CN103370282A (zh) | 减少水流中过氧化氢和过氧乙酸含量的设备和方法 | |
JP2004344144A (ja) | 魚介類飼育用水浄化装置 | |
JP2009279532A (ja) | 二酸化塩素による水処理方法及び装置 | |
JP2004160349A (ja) | 魚介類用水浄化装置 | |
JP3840189B2 (ja) | 魚介類の養殖装置 | |
JP2019076813A (ja) | 海水処理方法、海水処理装置及び海水利用構造物の防汚装置 | |
JP2024527248A (ja) | 淡水を再循環させる水産養殖施設 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051121 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Effective date: 20061222 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 |