JP5457264B2 - 多芯筆記具 - Google Patents

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本発明は、多芯筆記具に関する。詳細には、軸筒内に複数本の筆記体を前後方向に移動可能に収容した多芯筆記具に関する。
従来、この種の多芯筆記具において、特許文献1には、軸本体を前軸と後軸とにより構成し、互いを係合固定し、後軸には、前方に複数の脚部が形成され、スライダー(本願の操作体に相当)が摺動するスリットを前軸側の端部まで形成すると共に、該スリットにスライダーが摺動する摺動溝(本願の窓孔に相当)を形成した構造が開示されている。
特許第3384187号公報
前記従来の多芯筆記具は、スライダーが摺動するスリット前軸側の端部まで形成されているため、脚部が径方向内方に撓み易い。それにより、前記従来の多芯筆記具は、前軸と後軸との結合力が弱くなり、使用時に前軸に対して後軸がぐらついたり、前軸と後軸とが分離したりするおそれがある。
本発明は前記従来の問題点を解決するものであって、前軸と後軸が強固に固定され、使用時に前軸に対して後軸がぐらついたり、前軸と後軸とが分離したりするおそれがない多芯筆記具を提供しようとするものである。
尚、本発明において、軸筒において、「前」とは前端孔側を指し、「後」とはその反対側を指し、筆記体において、「前」とはペン先側を指し、「後」とはその反対側を指す。
本願の第1の発明は、軸筒2が、前端に前端孔31を備えた前軸3と、該前軸3の後端に連結される後軸4とからなり、前記軸筒2内に複数の筆記体6を前後方向に移動可能に収容し、前記各々の筆記体6の後端に操作体7を連結し、前記各々の操作体7を後方に付勢する複数のスプリング8を軸筒2内に収容し、前記前軸3の内壁にスプリング8の前端を支持し且つ筆記体6が摺動する複数の内孔91を有するスプリング支持部9を設け、前記後軸4の側壁に前後方向に延びる複数の窓孔41を径方向に貫設し、前記各々の窓孔41から径方向外方に前記各々の操作体7を突出させ、一つの操作体7を窓孔41に沿って前方にスライドさせることにより、その一つの操作体7に連結された筆記体6のペン先61を前軸3の前端孔31から突出させるとともに、先に突出状態にあった他の筆記体6のペン先61を軸筒2内に没入させてなる多芯筆記具であって、前記前軸3の内面に複数の係合凹部32を周方向に分散状に設け、前記後軸4の前端部に軸方向に延び且つ径方向の可撓性を備えた複数の脚片42を設け、前記脚片42の径方向外面に係合凸部42aを設け、前記脚片42を前軸3の後端開口部に挿入し、前記係合凹部32と前記係合凸部42aとを係合固定させ、前記窓孔41の前端を連結壁部43によって閉鎖し、前記連結壁部43によって前記各々の脚片42間を連結してなることを要件とする。
前記第1の発明の多芯筆記具は、前記窓孔41の前端を連結壁部43によって閉鎖し、前記連結壁部43によって前記各々の脚片42間を連結してなることにより、前軸3と後軸4が強固に固定され、使用時に前軸3に対して後軸4がぐらついたり、前軸3と後軸4とが分離したりするおそれがない。尚、本発明で、前記係合凸部42aの数は、係合凹部32の数に対応した数であればよく、全ての脚片42に係合凸部42aを設ける必要はない。
本願の第2の発明は、前記第1の発明の多芯筆記具において、前記窓孔41の相互間の後軸4の側壁の内面及び連結壁部43の内面に、軸方向に延びるリブ44を一体に形成し、前記リブ44と前記脚片42とを一体に連設してなることを要件とする。
前記第2の発明の多芯筆記具は、前記窓孔41の相互間の後軸4の側壁の内面及び連結壁部43の内面に、軸方向に延びるリブ44を一体に形成し、前記リブ44と前記脚片42とを一体に連設してなることにより、窓孔41相互間の後軸4の側壁の強度を向上させることができるとともに、各々の脚片42の折れ曲がりに対する強度を向上させることができる。
本願の第3の発明は、前記第1または第2の発明の多芯筆記具において、前記後軸4の後端に、窓孔41を後方に開放させる開閉自在の開口部45を設け、前記開口部45を介して筆記体6及び操作体7を、軸筒2内から取り外し可能且つ軸筒2内に挿入可能に構成したことを要件とする。
前記第3の発明の多芯筆記具は、後軸4の後端に、窓孔41を後方に開放させる開閉自在の開口部45を設け、前記開口部45を介して筆記体6及び操作体7を、軸筒2内から取り外し可能且つ軸筒2内に挿入可能に構成したことにより、窓孔41の前端を連結壁部43によって閉鎖しても、筆記体6及び操作体7を容易に交換することができる。
本発明の多芯筆記具は、前軸と後軸が強固に固定され、使用時に前軸に対して後軸がぐらついたり、前軸と後軸とが分離したりするおそれがない。
本発明の多芯筆記具の実施の形態の縦断面図である。 図1の要部拡大縦断面図である。 図2のA−A線断面図である。 図2のB−B線断面図である。 図1の前軸の斜視図である。 図1の前軸の斜視図である。 図1の後軸の斜視図である。 図7の要部拡大斜視図である。 図1の後軸の斜視図である。 図9の要部拡大斜視図である。 図1の筆記体の交換時を示す縦断面図である。
図1乃至図11に本発明の実施の形態を示す。
本実施の形態の多芯筆記具1は、軸筒2内に複数本(具体的には5本)の筆記体6が前後方向に移動可能に収容されている。前記各々の筆記体6は、各々の弾発体(具体的には圧縮コイルスプリング)により、後方に付勢されている。本実施の形態では、軸筒2内に収容する筆記体6の本数は、5本であるが、これ以外にも、例えば、2本、3本、4本、6本であってもよい。
(軸筒)
前記軸筒2は、先細円筒状の前軸3と、該前軸3の後端に連結される円筒状の後軸4とからなる。
(前軸)
前記前軸3は合成樹脂成形体または金属加工体により得られる。
前記前軸3は、前部材3aと、該前部材3aの後端部に連結される後部材3bとからなる。
前記前軸3の前端(前部材3aの前端)には、前端孔31が前後方向に貫設される。前記前軸3(前部材3a)の外面は、弾性材料からなる把持部が設けられる。前記前軸3(後部材3b)の後端開口部内面には、複数(例えば3個)の係合凹部32が周方向に分散状に設けられる。前記係合凹部32は、本実施の形態では、径方向に貫通される孔(即ち径方向外方に開口する孔)が採用されているが、これ以外に、貫通されていない窪みであってもよい。前記係合凹部32が径方向に貫通される孔の場合、金型による樹脂成形や孔加工により容易に係合凹部32が得られる。
前記前軸3(後部材3b)の後端開口部内面には、前後方向に延びる複数本の溝33が、周方向に等間隔に形成される。前記各々の溝33に、前記係合凹部32が形成される。即ち、前記各々の溝33に、複数(例えば2個)の係合凹部32が前後に配設される。
前記前軸3(即ち後部材3b)の内壁には、スプリング8の前端を支持するスプリング支持部9が一体に形成される。前記スプリング支持部9は、各々の筆記体6が摺動する複数の内孔91を有する。
(後軸)
前記後軸4は、合成樹脂成形体または金属加工体により得られる。前記後軸4の側壁には、前後方向に延びる複数(例えば5本)の窓孔41が径方向に貫設される。前記窓孔41の前端は、連結壁部43によって閉鎖される。即ち、前記窓孔41の前端は、前方に切り欠き状に開口していない。
前記後軸4の前端部には、軸方向に延び且つ径方向の可撓性を備えた複数本(例えば5本)の脚片42が一体に形成される。前記各々の脚片42間が、前記連結壁部43によって連結される。前記脚片42の径方向外面には、係合凸部42aが一体に形成される。前記脚片42の径方向外面には、前記係合凸部42aが、前後に複数個所(例えば前後に2箇所)に配設される。本実施の形態では、5本の脚片42のうち、3本の脚片42の径方向外面に係合凸部42aが設けられる。
前記係合凸部42aは、前面に傾斜面を備え、後面が軸線に対して垂直面となっている。それにより、前記係合凸部42aと前記係合凹部32とのスムーズな係合取付と、前記係合凸部42aと前記係合凹部32との強固な係合状態を得られる。
前記窓孔41の相互間の後軸4の側壁の内面及び連結壁部43の内面に、軸方向に延びるリブ44を一体に形成し、前記リブ44と前記脚片42とを一体に連設してなる。それにより、窓孔41相互間の後軸4の側壁の強度を向上させることができるとともに、各々の脚片42の折れ曲がりに対する強度を向上させることができる。
前記後軸4の窓孔41は、互いに、円周方向に等間隔に配置される。前記窓孔41の相互間の後軸4の一つの側壁には、クリップが設けられる。
(前軸と後軸の連結)
前記各々の脚片42を前記前軸3の後端開口部に各々の溝33に沿って挿入し、前記各々の係合凹部32と前記各々の係合凸部42aとを係合固定させる。それにより、前記前軸3と前記後軸4とが前後に連結され、軸筒2が構成される。前記軸筒2の内部に複数の筆記体6を収容した際、前記各々の脚片42が前記筆記体6の相互間の軸筒2内面(前軸3内面の溝)に接触する。
(筆記体)
前記各々の筆記体6は、ボールペンレフィルであり、前端にボールが回転可能に抱持されたボールペンチップ(即ちペン先61)と、該ボールペンチップを前端に備え且つ後端が開口されたインキ収容管62とからなる。前記インキ収容管62の内部には、剪断減粘性を有する水性ゲルインキ、低粘度の水性インキ、低粘度の油性インキ、または高粘度の油性インキからなるインキが収容される。前記インキが、剪断減粘性を有する水性ゲルインキ、低粘度の水性インキ、または低粘度の油性インキの場合、インキ収容管62内のインキの後端には、インキの消費に伴い前進する高粘度流体からなる追従体が充填される。
(操作体)
前記各々の筆記体6の後端(即ちインキ収容管62の後端開口部)には、操作体7が取り付けられる。前記各々の操作体7の操作部71が、前記各々の窓孔41から径方向外方に突出される。前記操作部71を前方に押圧操作することにより、ペン先61が突出状態となり、他の筆記体6のペン先突出状態が解除される。
(蓋部)
図7、8に示すように、前記各々の窓孔41の後端は、軸筒2の後端(即ち後軸4の後端)より後方に切り欠き状に開口する開口部45が形成される。前記軸筒2の後端には、前記開口部45を開閉自在にする蓋部5が設けられる。前記軸筒2の開口部45を介して、前記筆記体6と操作体7とを互いに連結状態で、交換することができる。前記蓋部5は、ヒンジ部に回動自在に取り付けられる。前記蓋部5前面には、当接壁部51が形成される。前記当接壁部51に、没入状態の筆記体6の後端に連結された各々の操作体7の後端が当接される。
前記蓋部5の前面には、係合部52(具体的には係合孔)が設けられ、前記後軸4の後端には、前記係合部52と係合可能な被係合部46(具体的には係合突起)が設けられる。前記係合部52と前記被係合部46とは、蓋部5が開口部45を閉鎖した際、互いに係合状態にあり、弾発体の後方への付勢による操作体7と蓋部5前面の当接壁部51との当接では、その係合状態は解除されず、蓋部5が開くことはない。
(スプリング支持部)
前軸3の内壁(即ち後部材3bの内壁)には、スプリング支持部9が一体に形成される。前記スプリング支持部9には、各々の筆記体6が挿通される複数(具体的には5個)の内孔91が軸方向に貫設されている。前記スプリング支持部9の後面と各々の操作体7との間には、スプリング8が配置される。前記各々のスプリング8の内部に各々の筆記体6が遊挿される。
前記スプリング支持部9に後面には、各々の操作体7との間に配置され、ペン先出没操作に伴って各々の操作体7と係合可能なカム部材10が固定される。前記カム部材10の後端部が、径方向に変位可能なカム部を備える。本実施の形態では、前記各々のスプリング8の前端がスプリング支持部9に係止され、一方、前記各々のスプリング8の後端が操作体7に係止される。
本実施の形態の多芯筆記具1は、前記窓孔41の前端を連結壁部43によって閉鎖し、前記連結壁部43によって前記各々の脚片42間を連結してなることにより、前軸3と後軸4が強固に固定され、使用時に前軸3に対して後軸4がぐらついたり、前軸3と後軸4とが分離したりするおそれがない。
本実施の形態の多芯筆記具1は、前記窓孔41の相互間の後軸4の側壁の内面及び連結壁部43の内面に、軸方向に延びるリブ44を一体に形成し、前記リブ44と前記脚片42とを一体に連設してなることにより、窓孔41相互間の後軸4の側壁の強度を向上させることができるとともに、各々の脚片42の折れ曲がりに対する強度を向上させることができる。
本実施の形態の多芯筆記具1は、後軸4の後端に、窓孔41を後方に開放させる開閉自在の開口部45を設け、前記開口部45を介して筆記体6及び操作体7を、軸筒2内から取り外し可能且つ軸筒2内に挿入可能に構成したことにより、窓孔41の前端を連結壁部43によって閉鎖しても、筆記体6及び操作体7を容易に交換することができる。
1 多芯筆記具
2 軸筒
3 前軸
31 前端孔
32 係合凹部
33 溝
3a 前部材
3b 後部材
4 後軸
41 窓孔
42 脚片
42a 係合凸部
43 連結壁部
44 リブ
45 開口部
46 被係合部
5 蓋部
51 当接壁部
52 係合部
6 筆記体
61 ペン先(ボールペンチップ)
62 インキ収容管
7 操作体
71 操作部
8 スプリング
9 スプリング支持部
91 内孔
10 カム部材

Claims (3)

  1. 軸筒が、前端に前端孔を備えた前軸と、該前軸の後端に連結される後軸とからなり、前記軸筒内に複数の筆記体を前後方向に移動可能に収容し、前記各々の筆記体の後端に操作体を連結し、前記各々の操作体を後方に付勢する複数のスプリングを軸筒内に収容し、前記前軸の内壁にスプリングの前端を支持し且つ筆記体が摺動する複数の内孔を有するスプリング支持部を設け、前記後軸の側壁に前後方向に延びる複数の窓孔を径方向に貫設し、前記各々の窓孔から径方向外方に前記各々の操作体を突出させ、一つの操作体を窓孔に沿って前方にスライドさせることにより、その一つの操作体に連結された筆記体のペン先を前軸の前端孔から突出させるとともに、先に突出状態にあった他の筆記体のペン先を軸筒内に没入させてなる多芯筆記具であって、
    前記前軸の内面に複数の係合凹部を周方向に分散状に設け、前記後軸の前端部に軸方向に延び且つ径方向の可撓性を備えた複数の脚片を設け、前記脚片の径方向外面に係合凸部を設け、前記脚片を前軸の後端開口部に挿入し、前記係合凹部と前記係合凸部とを係合固定させ、前記窓孔の前端を連結壁部によって閉鎖し、前記連結壁部によって前記各々の脚片間を連結してなることを特徴とする多芯筆記具。
  2. 前記窓孔の相互間の後軸の側壁の内面及び連結壁部の内面に、軸方向に延びるリブを一体に形成し、前記リブと前記脚片とを一体に連設してなる請求項1記載の多芯筆記具。
  3. 前記後軸の後端に、窓孔を後方に開放させる開閉自在の開口部を設け、前記開口部を介して筆記体及び操作体を、軸筒内から取り外し可能且つ軸筒内に挿入可能に構成した請求項1または2記載の多芯筆記具。
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