JP5455577B2 - コモンモードノイズ低減装置 - Google Patents
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Description
本発明の目的は、電源側に流れ込むコモンモード電流を低減できるコモンモードノイズ低減装置を提供することにある。
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1のコモンモードノイズ低減装置を適用したモータ駆動回路図である。実施例1のモータ駆動回路は、電源1、電力変換装置であるインバータ(電力変換装置)2、インバータ2により駆動されるモータ3およびコモンモードノイズ低減装置4を備える。
電源1は、車両の強電バッテリである。なお、実施例1の車両は、電動車両またはハイブリッド車両とし、電源1は、車両後方側に配置されている。
モータ3は、駆動輪である前輪を駆動するためのモータ・ジェネレータであり、車両前方側に配置されている。
Yコンデンサ8は、コモンモード電流のループ経路を短くするためのEMIフィルタであり、2つのコンデンサ素子8a,8bを備える。Yコンデンサ8は、一対の給電ライン5a,5bと電流出力手段9を介して終端が接地された中間接地線8cの始端とをそれぞれコンデンサ素子8a,8bを介してY字型に接続したものである。
電流出力手段9は、電流トランス7の検出電流に基づいて、電源1側の浮遊容量C1に流れるコモンモード電流を打ち消す電流をYコンデンサ8に流すものである。電流出力手段9は、中間接地線8c上に配置され、かつ、電流トランス7の出力ライン10と接続されている。
電流トランス7は、図3に示すように、磁気コア7aと1次巻線7b,7cと2次巻線7dを有する。1次巻線7b,7cは、一対の給電ライン5a,5b上に設けられている。2次巻線7dは、一端を電流出力手段9のグランド側と接続され、他端を出力ライン10と接続されている。電流出力手段9のグランド側は、モータ3の筐体3aの近くの共通グランド電位(車体ボディ)と接続されている。出力ライン10には、コンデンサ11が介装されている。実施例1では、各巻線7b,7c,7dは、磁気コア7aに対して同一巻数(例えば、2回)で巻回されている。ここで、巻数とは、巻線が磁気コア内側を通る回数である。なお、各巻線7b,7c,7dの極性は図2に示したドット表示(極性表示)の通りである。
1次巻線7b,7cに流れるノーマルモード電流により、磁気コア7aには2つの磁界が発生するが、両1次巻線7b,7cに流れるノーマルモード電流は、互いに逆向きに流れているため、1次巻線7bに流れる電流によって発生する磁界と1次巻線7cに流れる電流によって発生する磁界とが互いに打ち消し合うことで、電磁誘導は生じず、2次巻線7dには電流が流れない。
一方、コモンモード電流は1次巻線7b,7cを同一方向に流れるため、コモンモード電流によって磁気コア7aに発生する磁界により、電磁誘導が起き、2次巻線に電流が誘起される。
まず、実施例1のコモンモードノイズ低減装置4の動作について説明する。
コモンモード電流がゼロのとき、電流出力手段9では、常時、直流電流負荷13,16から電流が流れている。このとき、直流電流負荷13,16からの電流と、トランジスタ12,15を流れる電流とが等しいため、電流トランス7やYコンデンサ8からの電流の出入りはない。
実施例1のコモンモードノイズ低減装置4にあっては、以下に列挙する効果を奏する。
(1) モータ3と電源1との間の一対の給電ライン5a,5b上に1次巻線7b,7cを配置すると共に2次巻線7dの始端を接地させ、1次巻線7b,7cを流れるコモンモード電流に応じた電流を2次巻線に励起させる電流トランス7と、一対の給電ライン5a,5bと終端が接地された中間接地線8cの始端とをそれぞれコンデンサ素子8a,8bを介してY字型に接続したYコンデンサ8と、中間接地線8c上に配置すると共に2次巻線7dの終端と接続し、2次巻線7dに誘起された電流に基づいて電源1側の浮遊容量C1に流れるコモンモード電流を打ち消す電流をYコンデンサ8に流す電流出力手段9と、を備えた。これにより、電流トランス7側から見たYコンデンサ8の駆動点インピーダンスにかかわらず、電源1側の浮遊容量C1に流れるコモンモード電流を打ち消す電流をYコンデンサ8に流すことができる。この結果、電源側に流れ込むコモンモード電流を低減できる。
(3) 電流出力手段9は、2次巻線7dに電流が誘起されていないとき、中間接地線8cを遮断するため、グランド側に流れる電流を、コモンモード電流の大きさ以下に制限できる。よって、放電により大電流が車体ボディに流れるのを防止できる。
(4) 電流出力手段9は、第2巻線7dに流れる電流により参照電流が増減させ、当該増減分に応じた複製電流を生成し、中間接地線8cに流すカレントミラー回路を備える。これにより、簡単な回路でもって検出電流に基づきYコンデンサ8にコモンモード電流を流す構成を実現できる。
図4は、実施例2のコモンモードノイズ低減装置21の回路図である。
実施例2のコモンモードノイズ低減装置21は、電流トランス22と電流出力手段23の構成が実施例1と異なる。
実施例2の電流トランス22は、図5に示すように、1次巻線7b,7cは磁気コア7aの内側を通過させただけであり、2次巻線7dは磁気コア7aに4回巻回している。このため、実施例2では、1次側(1次巻線7b,7c)と2次側(2次巻線7d)の巻数比は1:4となる。
他の構成は実施例1と同じであるため、説明を省略する。
実施例2の電流トランス22では、1次側と2次側の巻数比を1:4としているため、電流トランス22の1次巻線7b,7bにコモンモード電流が流れたとき、電流トランス22の2次巻線7dに誘起される電流の大きさは、コモンモード電流の約1/4となる。よって、出力ライン10を流れる電流の大きさは、コモンモード電流の約1/4となる。
実施例2のコモンモードノイズ低減装置21にあっては、実施例1の効果(1)〜(4)に加え、以下の効果を奏する。
(5) 1次巻線7b,7cの巻数を1、2次巻線7dの巻数を4とし、カレントミラー回路の参照電流と複製電流の比を1:4としたため、電流トランス22をより理想的な動作状態に近づけることができる。また、給電ライン5a,5bを磁気コア7aに巻き付ける必要がないため、組み付け性の向上および小型化を実現できる。
図6は、実施例3のコモンモードノイズ低減装置31の回路図であり、コモンモードノイズ低減装置31は、電流出力手段32の構成が実施例1と異なる。
電流出力手段32は、2つのカレントミラー回路33,34を用いた多段型である。第1カレントミラー回路33は、参照側と複製側にNPN型のトランジスタ35,36を用い、第2カレントミラー回路34は、参照側と複製側にPNP型のトランジスタ37,38を用いている。
他の構成は実施例1と同一であるため、説明を省略する。
コモンモード電流による誘起電圧によって電流トランス7の2次巻線7dに図6の矢印方向へ検出電流が流れるとき、当該検出電流は第1カレントミラー回路33のトランジスタ35側のコレクタ35cに入力し、これによりエミッタ35bの電流が増加する。この参照電流の増加に応じて、トランジスタ36側に複製電流が流れる。この複製電流は、Yコンデンサ8を介して給電ライン5a,5bから供給される。これにより、給電ライン5a,5bからグランド(モータ3の筐体3a)にコモンモード電流を還流させることができる。
実施例3の電流出力手段32では、コモンモード電流がゼロのとき、第1カレントミラー回路33および第2カレントミラー回路34に電流が流れない。つまり、スタンバイ電流をゼロにできるため、一定のスタンバイ電流を流す実施例1,2の電流出力手段と比較して、消費電力を大幅に低減できる。
他の作用効果は実施例1と同一であるため、説明を省略する。
本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施例1では、電源と電力変換装置とを結ぶ一対の給電ラインにトランスを配置し、かつ、Yコンデンサを接続した例を示したが、電力変換装置と負荷とを結ぶ一対の給電ラインにトランスを配置し、かつ、Yコンデンサを接続してもよい。
また、定電流負荷の構成も任意である。図8に定電流負荷である直流電流負荷13の一例を示す。図8において、抵抗60の抵抗値を変えることで、直流電流負荷13,16に流れる電流値を調整できる。
2 インバータ(電力変換装置)
3 モータ(負荷)
4 コモンモードノイズ低減装置
5a,6a 給電ライン
7 電流トランス
7a 磁気コア
7b,7c 1次巻線
7d 2次巻線
8 Yコンデンサ
8a,8b コンデンサ素子
8c 中間接地線
21 コモンモードノイズ低減装置
22 電流トランス
23 電流出力手段
C1 電源側浮遊容量
Claims (4)
- 負荷と電源との間に配置された電力変換装置のスイッチングに起因するコモンモードノイズを低減するコモンモードノイズ低減装置であって、
前記負荷と前記電源との間の一対の給電ライン上に1次巻線を配置すると共に2次巻線の始端を接地させ、1次巻線を流れるコモンモード電流に応じた電流を2次巻線に励起させるトランスと、
前記一対の給電ラインと終端が接地された中間接地線の始端とをそれぞれコンデンサ素子を介してY字型に接続したYコンデンサと、
前記中間接地線上に配置すると共に前記2次巻線の終端と接続し、2次巻線に誘起された電流に基づいて前記電源側に流れ込むコモンモード電流を打ち消す電流を前記Yコンデンサに流す電流出力手段と、
を備え、
前記電流出力手段は、前記第2巻線に流れる電流により参照電流を増減させ、当該増減分に応じた複製電流を生成し、前記中間接地線に流すカレントミラー回路を備えることを特徴とするコモンモードノイズ低減装置。 - 請求項1に記載のコモンモードノイズ低減装置において、
前記電流出力手段は、前記Yコンデンサよりも前記トランスに対するインピーダンスが低いことを特徴とするコモンモードノイズ低減装置。 - 請求項1または請求項2に記載のコモンモードノイズ低減装置において、
前記電流出力手段は、前記2次巻線に電流が誘起されていないとき、前記中間接地線を遮断することを特徴とするコモンモードノイズ低減装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のコモンモードノイズ低減装置において、
前記トランスの前記1次巻線と前記2次巻線の巻数比を1:nとし、
前記カレントミラー回路の前記参照電流と前記複製電流の比を1:nとしたことを特徴とするコモンモードノイズ低減装置。
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