JP5453902B2 - 静電チャックおよび静電チャックの製造方法 - Google Patents
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Description
また、2種以上の原料モノマーを蒸発させ、基体に原料モノマーを蒸着重合させることで絶縁材料の被膜を形成させる静電チャック部品の製造方法が提案されている(特許文献2を参照)。
D1(mm)+0.1(mm)≦Dh(mm)≦D2(mm)−0.1(mm)
D1(mm)+0.1(mm)≦Dh(mm)≦D2(mm)−0.1(mm)
D1(mm)+0.1(mm)≦Dh(mm)≦D2(mm)−0.1(mm)
この静電チャックによれば、被処理物を載置する側に形成された樹脂層の剥離抑制効果を向上させることができる。
また、この静電チャックによれば、貫通孔側または主面側から樹脂層を上方に引き上げる力がかかりにくくなるので、樹脂層の剥離抑制効果を向上させることができる。
この静電チャックによれば、樹脂層の剥離抑制効果を向上させることができるとともに、加工費用の増大を抑制したり、電極との干渉を抑制したりすることができる。
この静電チャックによれば、被処理物を載置する側に形成された樹脂層の剥離抑制効果を向上させることができる。
D4(mm)+0.2(mm)≦Do(mm)≦D3(mm)−0.05(mm)
この静電チャックによれば、誘電体基板の外縁部側または主面側から樹脂層を上方に引き上げる力がかかりにくくなるので、樹脂層の剥離抑制効果を向上させることができる。
この静電チャックによれば、樹脂層の剥離抑制効果を向上させることができるとともに、加工費用の増大を抑制したり、電極との干渉を抑制したりすることができる。
この静電チャックによれば、樹脂層の剥離抑制効果を向上させることができるとともに、加工費用の増大を抑制したり、電極との干渉を抑制したりすることができる。
この静電チャックによれば、電圧印加時の電流値が大きくなりすぎることを抑制することができる。また、吸着脱離応答性が悪化することを抑制することができる。
この静電チャックによれば、樹脂層を介して被処理物に電流が流れジョンセン−ラーベック力が増加することを抑制することができる。その結果、残留吸着力が増大して吸着脱離応答性が悪化することを抑制することができる。
この静電チャックによれば、耐食性に優れ、また、蒸着重合法などにより被覆特性に優れた樹脂層を有するものとすることができる。
この静電チャックによれば、被覆特性に優れた樹脂層を有するものとすることができる。
この静電チャックによれば、パーティクル汚染の発生を抑制することができる。また、吸着脱離応答性を向上させることができる。
D1(mm)+0.1(mm)≦Dh(mm)≦D2(mm)−0.1(mm)
この静電チャックの製造方法によれば、被処理物を載置する側に形成された樹脂層の剥離抑制効果を向上させることができる。
また、この静電チャックの製造方法によれば、貫通孔側または主面側から樹脂層を上方に引き上げる力がかかりにくくなるので、樹脂層が剥離するのを抑制することができる。
この静電チャックの製造方法によれば、樹脂層の剥離抑制効果を向上させることができるとともに、加工費用の増大を抑制したり、電極との干渉を抑制したりすることができる。
D4(mm)+0.2(mm)≦Do(mm)≦D3(mm)−0.05(mm)
この静電チャックの製造方法によれば、誘電体基板の外縁部側または主面側から樹脂層を上方に引き上げる力がかかりにくくなるので、樹脂層が剥離するのを抑制することができる。
この静電チャックの製造方法によれば、樹脂層の剥離抑制効果を向上させることができるとともに、加工費用の増大を抑制したり、電極との干渉を抑制したりすることができる。
この静電チャックの製造方法によれば、樹脂層の剥離抑制効果を向上させることができるとともに、加工費用の増大を抑制したり、電極との干渉を抑制したりすることができる。
この静電チャックの製造方法によれば、被覆特性に優れた樹脂層を形成することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る静電チャックを例示するための模式断面図である。 また、図1(a)は静電チャックを例示するための模式断面図、図1(b)は図1(a)におけるA部の模式拡大図、図1(c)は図1(a)におけるB部の模式拡大図、図1(d)、(e)は図1(a)におけるC部の模式拡大図である。
なお、図1(d)、(e)は、誘電体基板3の被処理物を載置する側の外縁部近傍の模式拡大図であり、図1(d)はいわゆる「C面取り加工」が施された場合、図1(e)はいわゆる「R面取り加工」が施された場合を表している。
基台2の一方の主面(電極4の側の表面)には、無機材料からなる絶縁体層5が形成されている。また、誘電体基板3は、被処理物を載置する側の主面(載置面側)に形成された突起部3aと、突起部3aの周辺に形成された平面部3bと、を有している。また、突起部3aと、平面部3bとを覆うように樹脂層7が形成されている。この突起部3aの頂面における樹脂層7の表面が、半導体ウェーハ等の被処理物を載置する際に載置面となる。なお、樹脂層7の下地となる突起部3aや平面部3bの表面粗さなどに関しては後述する。また、電極4が設けられた誘電体基板3の主面と、絶縁体層5が設けられた基台2の主面とが絶縁性接着剤で接着されている。この絶縁性接着剤が硬化したものが接合層6となる。
なお、面取り加工が施された部分に形成された樹脂層7に関しては後述する。
この場合、体積抵抗率が静電チャックの使用温度領域で109Ωcm以上、1011Ωcm以下となるようにすることがより好ましい。109Ωcm未満とすれば、電圧印加時に電流値が大きくなりすぎるおそれがあるからである。また、1011Ωcmを超えるものとすれば吸着脱離応答性が悪化するおそれがあるからである。
突起部3aの水平方向断面は、任意の形状とすることができる。ただし、円などのように角部のない形状とすれば、割れや欠けなどを抑制することができる。
この場合、突起部3aと被処理物との接触面積比の計算には、前述したリング状突起部の接触面積を含めないこととする。
樹脂層7の下地の表面粗さ、すなわち、突起部3aと平面部3bとの表面粗さは、これらの上に形成される樹脂層7の表面粗さや、樹脂層7と下地との密着力(耐剥離性)に大きな影響を及ぼす。そのため、突起部3aと平面部3bとの表面粗さが所定の範囲内に収まるようにすることが重要となる。
また、表1は、図2に例示をした下地の表面粗さと密着力との関係を示す表である。
ここで、下地と樹脂層7との間の密着力の測定には、引き倒し法を用いた。具体的には、樹脂層7に対して垂直に円筒棒を接着し、円筒棒の所定の位置に樹脂層7に対して平行な方向に力を加え、円筒棒が倒れたときの力を測定した。この場合、加えた力をF(N)、円筒棒の半径寸法をR(m)、樹脂層7から力の作用点までの高さ寸法をh(m)とすると、密着力f(Pa)は、以下の(1)式で表すことができる。
そして、次のようにして密着力の測定を行った。
円筒棒としては、材料が高炭素クロム軸受け鋼材(SUJ材)、ロックウェル硬さがHRC58以上、半径寸法Rが3mm、長さ寸法が50mmのものを用いた。また、円筒棒と樹脂層7との接着には、エポキシ接着剤(エポキシレジン XD911、ナガセケムテックス製)を用いた。そして、接着乾燥の後、樹脂層7からの高さ寸法hが40mmの位置において、樹脂層7に対して平行な方向に力Fを加えた。
この場合、耐剥離性を考慮すれば、密着力が40MPa以上となるようにすることが好ましい。密着力が40MPa以上であれば、樹脂層7を形成した後にポリッシュ加工(仕上げ加工)を行う場合であっても樹脂層7が剥離するおそれが少ないからである。そのため、下地の表面粗さ(算術平均粗さRa)は、図2、表1から分かるように0.06μm以上、0.7μm以下とすることが好ましい。
また、耐久性をも考慮すれば、密着力が60MPa以上となるようにすることが好ましい。本発明者らの検討の結果、密着力が60MPa以上であれば、樹脂層7を形成した後のポリッシュ加工(仕上げ加工)などを安定して行うことができる。そのため、下地の表面粗さは、図2、表1から分かるように算術平均粗さRaで0.1μmを超え、0.7μm以下とすることがより好ましい。
また、下地の表面粗さを算術平均粗さRaで0.17μmを超え、0.7μm以下とすれば、80MPa以上の密着力を得ることができる。そのため、耐剥離性や耐久性などをさらに向上させることができる。
また、下地の表面粗さを算術平均粗さRaで0.32μm以上、0.41μm以下とすれば、110MPa以上という非常に高い密着力を得ることができる。そのため、耐剥離性や耐久性などを大幅に向上させることができる。
前述したように、突起部3aの頂面に形成された樹脂層7の場合には、その表面粗さが算術平均粗さRaで0.01μm以上、0.1μm以下となるようにすることが好ましい。そのため、転写された凹凸が余り大きくなると、この様な表面粗さ(算術平均粗さRa)とするための加工時間(仕上げのためのポリッシュ加工時間など)が長くなり、生産性が著しく低下するおそれがある。
この場合、突起部3aの頂面の表面粗さ(例えば、算術平均粗さRa)が、平面部3bの表面粗さ(例えば、算術平均粗さRa)よりも小さくなるようにすることが好ましい。この様にすれば、突起部3aの頂面に形成された樹脂層7の表面(被処理物と接触する部分)をパーティクル発生の少ない平滑面とすることが容易となる。一方、樹脂層7と下地との密着力(耐剥離性)は、平面部3bにおいて確保することができる。この場合、突起部3aの頂面の総面積よりも平面部3bの総面積の方がはるかに大きい。そのため、密着力のより高い部分が多くなるような構造とすることができるので、樹脂層7が剥離することを効果的に抑制することができる。
誘電体基板3の外縁部分や誘電体基板3に設けられた貫通孔などの加工面は、主面と異なり、加工面の表面粗さを小さくすることが難しく、また、加工面の表面粗さを小さくするのにはコストもかかる。よって、製造における経済性を考えた場合には、外縁部分や貫通孔の加工面の表面粗さが大きい状態のままで樹脂層を形成する場合がある。そのため、前述したように、外縁部分や貫通孔の加工面における樹脂層の密着力が、主面における樹脂層の密着力より低くなり剥離を生じやすくなるおそれがある。
また、誘電体基板3の外縁部分や誘電体基板3に設けられた貫通孔などには、製造過程において加工治具、位置決め治具、寸法測定治具などが当接されたり挿入されたりする場合がある。そのため、誘電体基板3の外縁部分や貫通孔などの境界部分(エッヂ部分)に樹脂層7の端部があると、端部を起点とした剥離が発生しやすく、また、発生した剥離が進展しやすくなる。また、この様な部分に樹脂層7の端部があると、樹脂層7の形成後のポリッシュ加工(仕上げ加工)を行う際にも端部を起点とした剥離が発生しやすく、また、発生した剥離が進展しやすくなる。
以下、本発明者らの得た知見について例示をする。
その様にすれば、貫通孔側または主面(平面部3b)側から樹脂層7を上方に引き上げる力がかかりにくくなるので、樹脂層7の剥離抑制効果を向上させることができる。
面取り加工部3b1は、主面(平面部3b)とのなす角度θが30度以上、60度以下、主面(平面部3b)からの深さ寸法h1が0.3mm以上、1mm以下となるようにすることが好ましい。この場合、平面部3bとのなす角度θを30度以上、60度以下とすれば、貫通孔側及び主面(平面部3b)側からの剥離の発生やその進展を少なくすることができる。また、深さ寸法h1を0.3mm未満とすれば剥離の発生やその進展を抑制する効果が少なくなり、1mmを超えるものとすれば面取り加工部3b1の加工費用の増大を招いたり、電極4との干渉を生じたりするなどの様々な問題が発生しやすくなる。
なお、誘電体基板3は前述したセラミック焼結体からなり、樹脂層7はポリイミド系樹脂からなるものの場合である。また、表中の「×」は剥離が発生したことを表し、「○」は剥離が発生しなかったことを表している。また、面取り加工部の表面粗さは前述した平面部3bの表面粗さと同等としている。
また、Dh=D2とすれば、樹脂層7の形成後にポリッシュ加工(仕上げ加工)を行う際に樹脂層7の端部を上方に引き上げるような力がかかりやすくなる。そのため、表2に示すように、樹脂層7の端部において剥離が発生しやすく、また、発生した剥離が進展しやすくなる。
一方、直径寸法Dhが(2)式を満足するようにすれば、貫通孔などの内部に形成された樹脂層7を切断、除去する際、樹脂層7の形成後にポリッシュ加工(仕上げ加工)を行う際などにおいても樹脂層7の端部を上方に引き上げるような力がかかり難くなる。また、静電チャック1の使用時に加えられ得る外力などに対しても同様の効果を生じさせることができる。その結果、表2に示すように、樹脂層7の剥離抑制効果を向上させることができる。
この場合、誘電体基板3の直径寸法をD3(mm)、主面(平面部3b)と面取り加工部3b2とが交わる部分の直径寸法をD4(mm)、樹脂層7の端部位置の直径寸法(樹脂層7の周端の直径寸法)をDo(mm)とすると、樹脂層7の端部位置、すなわち、直径寸法Doが以下の(3)式を満足するようにすることが好ましい。
その様にすれば、誘電体基板3の外縁部側または主面(平面部3b)側から樹脂層7を上方に引き上げる力がかかりにくくなるので、樹脂層7の剥離抑制効果を向上させることができる。
面取り加工部3b2が、「C面取り加工」が施されたものである場合には、主面(平面部3b)とのなす角度θが30度以上、60度以下、主面(平面部3b)からの深さ寸法h1が0.3mm以上、1mm以下となるようにすることが好ましい。この場合、主面(平面部3b)とのなす角度θを30度以上、60度以下とすれば、誘電体基板3の外周端側及び主面(平面部3b)側からの剥離の発生やその進展を少なくすることができる。また、深さ寸法h1を0.3mm未満とすれば剥離の発生やその進展を抑制する効果が少なくなり、1mmを超えるものとすれば面取り加工部3b2の加工費用の増大を招いたり、電極4との干渉を生じたりするなどの様々な問題が発生しやすくなるからである。
なお、誘電体基板3は前述したセラミック焼結体からなり、樹脂層7はポリイミド系樹脂からなるものの場合である。また、表中の「×」は剥離が発生したことを表し、「○」は剥離が発生しなかったことを表している。また、面取り加工部の表面粗さは前述した平面部3bの表面粗さと同等としている。
また、Do=D4とすれば、樹脂層7の形成後にポリッシュ加工(仕上げ加工)を行う際に樹脂層7の端部を上方に引き上げるような力がかかりやすくなる。そのため、表3に示すように、樹脂層7の端部において剥離が発生しやすく、また、発生した剥離が進展しやすくなる。
一方、直径寸法Doが(3)式を満足するようにすれば、誘電体基板3の外縁部分に形成された樹脂層7を切断、除去する際、樹脂層7の形成後にポリッシュ加工(仕上げ加工)を行う際などにおいても樹脂層7の端部を上方に引き上げるような力がかかり難くなる。また、静電チャック1の使用時に加えられ得る外力などに対しても同様の効果を生じさせることができる。その結果、表3に示すように、樹脂層7の剥離抑制効果を向上させることができる。また、耐剥離性の高い樹脂層7とすることができる。
突起部3aの頂面に形成された樹脂層7の表面(載置面)に、被処理物(例えば、半導体ウェーハ等)を載置し、電源10a、電源10bにより電極4に電圧を印加する。このとき、被処理物と突起部3aの頂面近傍とにそれぞれ異なる極性の電荷が発生し、この電荷間に働くクーロン力によって被処理物が吸着固定される。また、平面部3bの上方には空間3cが形成されるため、平面部3bとその上方に保持された被処理物とにもそれぞれ異なる極性の電荷が発生し、この電荷間に働くクーロン力(空間クーロン力)によって被処理物が吸着固定される。すなわち、静電チャック1は、突起部3a部分に生じるクーロン力と、平面部3b部分に生じる空間クーロン力とによって被処理物を吸着固定する。
表4は、パーティクルの発生数の測定結果を例示するための表である。
ここで、パーティクルの発生数の測定を行った際に用いた測定方法について説明をする。
まず、直径200mmのシリコンベアウェーハ(モニターグレード)を用意する。そして、静電チャック1への吸着前に、ウェーハ裏面のパーティクル数をパーティクルカウンターで測定する。ここで、パーティクルカウンターには、KLA−Tencor社製、SFS−6220を用いた。また、レーザのゲインを4、ヘイズ測定をOFFとし、測定レンジとしては、0.16μm以上、10μm以下を5カラムに分け、10μmを超えるものについては、巨大欠陥のカウント数として転記することにした。
また、測定には、外径寸法が300mm、双極電極タイプ、突起部の直径寸法が0.5mm、突起部の配設ピッチ寸法が略5mm、突起部の高さ寸法が10μm、ポリイミド系樹脂からなる樹脂層7の厚み寸法が10μmの静電チャック1を用いた。
シリコンベアウェーハの吸着条件としては、印可電圧を±800VDCとし、減圧雰囲気(10−2Pa以下)中において30秒間の静電吸着を行なうものとした。
そして、静電吸着の後、ウェーハ裏面のパーティクル数を再度測定し、吸着前のパーティクル数を差し引いたものをパーティクルの発生数として表4にまとめた。
表6は、突起部3aの頂面に形成された樹脂層7の成膜直後(樹脂層7の形成直後)の表面粗さ(算術平均粗さRa)と、ポリッシュ加工後の表面粗さ(算術平均粗さRa)とを例示するための表である。
表6からわかるように、ポリッシュ加工を行えば、突起部3aの頂面に形成された樹脂層7表面(被処理物との接触面)の表面粗さ(算術平均粗さRa)を前述した範囲内(0.01μm以上、0.1μm以下)に収めることができる。
表7からわかるように、突起部3aの配設ピッチを前述した範囲内(2mm以上、15mm以下)に収めれば、吸着力が大きい場合であっても被処理物(半導体ウェーハ)の撓み量(1.55μm以下)を前述した突起部3aの高さ寸法(2μm以上、15μm以下)より小さくすることができる。そのため、被処理物の表面と平面部3bの上方に形成された樹脂層7の表面との接触を防止することができる。
図3は、静電チャックの製造方法を例示するためのフローチャートである。
最初に誘電体基板3の形成方法を例示する。
誘電体基板3の形成に用いられる原材料(顆粒粉)は、以下のようにして製造することができる。
例えば、原材料(顆粒粉)の製造においては、まず、原料として平均粒子径0.1μm、純度99.99%以上のアルミナ原料粉末を用い、これに0.2wt%を超え、0.6wt%以下の酸化チタン(TiO2)を混合する。次に、混合したものを粉砕し、アクリル系バインダーを添加する。そして、調整後にスプレードライヤーで造粒し、顆粒粉を製造する。
HIP処理の条件は、Arガス1000気圧以上とし、温度は焼成温度と同じ1150℃〜1350℃とする。このような条件とすれば、相対密度が99%以上、構成粒子の平均粒子径が2μm以下、20±3℃のときの体積抵抗率が108〜1011Ωcm、熱伝導率が30W/mK以上の誘電体基板3が得られる。
プラニメトリック法により粒子径を求める場合には、まず、走査型電子顕微鏡(SEM;scanning electron microscope)で誘電体基板3の写真を撮る。次に、この写真上に、既知の面積Sの円を描く。そして、円内の粒子数ncと円周にかかった粒子数niとを算出し、下記の(4)式によって単位面積当たりの粒子数NGを求める。
ここで、mは写真の倍率である。
次に、誘電体基板3の一方の主面を研削加工する。そして、研削加工がされた面に前述のチタンまたはチタン化合物などからなる導電膜を形成する。導電膜の形成には、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やPVD(Physical Vapor Deposition)法などを用いることができる。この形成された導電膜を所定の形状に加工することで、所望の形状の電極4を形成する。導電膜の加工には、サンドブラスト法やエッチング法などを用いることができる。(ステップS2)
なお、電極4には電線9が適宜配線される。
次に、誘電体基板3の被処理物を載置する側となる主面を研磨する。(ステップS4)主面を研磨する際には、その表面粗さを算術平均粗さRaで0.06μm以上、0.3μm以下にする。
次に、貫通孔の開口部分に面取り加工部3b1を形成する。(ステップS5)
次に、誘電体基板3の主面の外縁部分に面取り加工部3b2を形成する。(ステップS6)
次に、誘電体基板3の被処理物を載置する側となる主面(電極4が形成された面と対向する面)に、サンドブラスト法を用いて突起部3aと平面部3bとを形成する。(ステップS7)
すなわち、誘電体基板3の被処理物を載置する側となる主面に所望の形状のマスクを設け、サンドブラスト法を用いてマスクにより覆われていない部分を除去することで平面部3bを形成するとともに突起部3aを形成する。
なお、後述するように平面部3bを形成することで、突起部3aが形成されることになる。
すなわち、平面部3bが形成される部分にはマスクがなく露出した状態とされ、突起部3aが形成される部分はマスクにより覆われるようにする。マスクにより覆われる部分が突起部3aの頂面となるので、突起部3aの頂面の表面粗さが前述した範囲内(算術平均粗さRaで0.06μm以上、0.3μm以下)となる。
この場合、除去が行われた部分が平面部3bとなる。
このようにサンドブラスト法により突起部3aと平面部3bとの形成を行うようにすれば、突起部3aの高さの寸法精度を向上させることができる。そのため、平面部3bの表面から被処理物までの寸法のばらつきを抑えることができるので、発現させる静電気力(空間クーロン力)のばらつきを抑制することができる。
なお、平面部3bの形成をサンドブラスト法により行うことで、表5に示すように、その表面粗さが前述した範囲内(算術平均粗さRaで0.06μm以上、0.7μm以下)となるようにすることができる。
次に、マスクを除去する。(ステップS7c)
なお、必要に応じて、突起部3aの頂部のエッヂを除去するようにしてもよい。
樹脂層7の材料は、例えば、ポリイミド系樹脂とすることができる。なお、少なくともポリイミド系樹脂を含むものとすることもできる。また、樹脂層7の厚み寸法を5μm以上、15μm以下とする。この場合、樹脂層7の形成には、蒸着重合法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スピンコート法などの各種の成膜法を用いることができる。この場合、樹脂層7の厚み寸法のばらつきを−10%以上、+10%以下とするためには、蒸着重合法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いるようにすることが好ましい。
すなわち、面取り加工部3b1において、貫通孔が開口するように樹脂層7を除去する。また、面取り加工部3b2において、樹脂層7を除去する。
また、切断の方法は、カッター等の刃物を用いる方法、レーザ加工またはウォータージェット加工等のエネルギービームによる方法等を適宜選択することができる。この場合、樹脂層7の浮き上りを生じないような加工方法を選択することが好ましい。
そして、切断の後、余分な樹脂層7を除去する。
面取り加工部の形状寸法や樹脂層7の端部の位置が不適切であると、樹脂層7の除去中や後述するポリッシュ加工中、洗浄中、洗浄後のエアブロー時、あるいは静電チャックの使用時などにおいて剥離が発生しやすくなるおそれがある。
本実施の形態においては、面取り加工部の形状寸法や樹脂層7の端部の位置を前述した範囲内に収め、樹脂層7を浮き上りなく切断し、除去するようにしている。そのため、製造過程における樹脂層7の剥離を抑制することができるとともに、耐剥離性の高い静電チャックを得ることができる。
この際、突起部3aの頂面に形成された樹脂層7の表面粗さが前述した範囲内(算術平均粗さRaで0.01μm以上、0.1μm以下)に収まるようにする。例えば、ポリッシュ加工を行うことによりそのような表面粗さとすることができる。
この場合、基台2の全面に絶縁体層5を形成するようにすることもできる。また、流路8は、必要に応じて設けるようにすればよい。
絶縁体層5は、溶射法やエアロゾルデポジション法などを用いて形成することができる。
この際、電極4と電源10a、電源10bとが、電線9で接続できるように、基台2を貫通するようにして電線9を通しておく。絶縁性接着剤が硬化したものが接合層6となる。
この場合、例えば、中性洗剤を用いた洗浄が行われた後にIPA(Isopropyl Alcohol)を用いた超音波洗浄が行われ、その後に超純水を用いた超音波洗浄が行われるようにすることができる。
以上のようにして本実施の形態に係る静電チャック1を製造することができる。
図5は、図4に例示をした静電チャック1aの製造方法を例示するためのフローチャートである。
なお、静電チャック1aは、基台2が設けられていない点を除いては、図1において例示をした静電チャック1と同様であるため、その構成の説明は省略する。
次に、図3のステップS2と同様にして、誘電体基板3の一方の主面に電極を形成する。(ステップS22)
また一方で、絶縁体層5を形成する。(ステップS23)
そして、図3のステップS12と同様にして、誘電体基板3の電極4が設けられた主面と、絶縁体層5の主面と、を絶縁性接着剤を用いて接合する。(ステップS24)
次に、図3のステップS3と同様にして、誘電体基板3の被処理物を載置する側となる主面に開口する貫通孔などを形成する。(ステップS25)
次に、図3のステップS4と同様にして、誘電体基板3の被処理物を載置する側となる主面を研磨する。(ステップS26)
次に、図3のステップS5と同様にして、貫通孔の開口部分に面取り加工部3b1を形成する。(ステップS27)
次に、図3のステップS6と同様にして、誘電体基板3の主面の外縁部分に面取り加工部3b2を形成する。(ステップS28)
次に、図3のステップS7aと同様にして、研磨された面にレジストフィルムを貼り付け、感光、除去を行い所望の形状のマスクを形成する。(ステップS29a)
次に、図3のステップS7bと同様にして、サンドブラスト法を用いてマスクにより覆われていない部分を除去する。(ステップS29b)
次に、図3のステップS7cと同様にして、マスクを除去する。(ステップS29c)
次に、図3のステップS8と同様にして、突起部3aと平面部3bとを覆うように樹脂を被覆することで樹脂層7を形成する。(ステップS30)
次に、図3のステップS9と同様にして、誘電体基板3の外縁部分や貫通孔などにおける余分な樹脂層7を切断、除去する。(ステップS31)
次に、図3のステップS10と同様にして、突起部3aの頂面に形成された樹脂層7の表面(被処理物との接触面)が滑らかとなるように仕上げる。(ステップS32)
次に、図3のステップS13と同様にして、必要に応じて樹脂層7の表面などの洗浄を行う。(ステップS33)
なお、各ステップにおける内容は、図3において例示をしたものと同様のためその説明は省略する。
Claims (17)
- セラミック焼結体からなる誘電体基板と、
前記誘電体基板の第1の主面に開口する貫通孔の開口部分に形成された第1の面取り加工部と、
前記第1の主面に形成され、前記貫通孔が開口する位置に開口部を有する樹脂層と、
を備え、
前記樹脂層の開口部の周端は、前記第1の面取り加工部に形成されており、
前記貫通孔の直径寸法D1(mm)と、
前記第1の主面と前記第1の面取り加工部とが交わる部分の直径寸法D2(mm)と、
前記樹脂層の開口部の直径寸法Dh(mm)と、が、以下の関係を満足すること、を特徴とする静電チャック。
D1(mm)+0.1(mm)≦Dh(mm)≦D2(mm)−0.1(mm) - 前記第1の面取り加工部は、前記第1の主面とのなす角度θが30度以上、60度以下、
前記第1の主面からの深さ寸法が0.3mm以上、1mm以下となるように形成されていること、を特徴とする請求項1記載の静電チャック。 - 前記誘電体基板の第1の主面の外縁部分に形成された第2の面取り加工部をさらに備え、
前記樹脂層の周端は、前記第2の面取り加工部に形成されていること、を特徴とする請求項1または2に記載の静電チャック。 - 前記誘電体基板の直径寸法D3(mm)と、
前記第1の主面と前記第2の面取り加工部とが交わる部分の直径寸法D4(mm)と、
前記樹脂層の周端の直径寸法Do(mm)と、が、以下の関係を満足すること、を特徴とする請求項3記載の静電チャック。
D4(mm)+0.2(mm)≦Do(mm)≦D3(mm)−0.05(mm) - 前記第2の面取り加工部は、前記第1の主面とのなす角度θが30度以上、60度以下、前記第1の主面からの深さ寸法が0.3mm以上、1mm以下となるように形成されていること、を特徴とする請求項3または4に記載の静電チャック。
- 前記第2の面取り加工部は、凸状の曲面を有し、前記曲面の半径寸法が0.3mm以上、1mm以下となるように形成されていること、を特徴とする請求項3または4に記載の静電チャック。
- 静電チャックの使用温度領域における前記誘電体基板の体積抵抗率は、109Ωcm以上、1011Ωcm以下であること、を特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の静電チャック。
- 前記樹脂層の25℃における体積抵抗率は、1014Ωcm以上であること、を特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の静電チャック。
- 前記樹脂層は、ポリイミド系樹脂を含むこと、を特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の静電チャック。
- 前記樹脂層は、蒸着重合法を用いて形成されること、を特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の静電チャック。
- 前記誘電体基板の第1の主面の側に形成された複数の突起部と、
前記複数の突起部の周辺に形成された平面部と、
を有し、
前記樹脂層は、前記複数の突起部と、前記平面部と、を覆うように形成されていること、を特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の静電チャック。 - セラミック焼結体からなる誘電体基板の第1の主面に開口する貫通孔を形成する工程と、
前記第1の主面を研磨する工程と、
前記貫通孔の開口部分に第1の面取り加工部を形成する工程と、
前記誘電体基板の第1の主面の外縁部分に第2の面取り加工部を形成する工程と、
前記第1の主面に所望の形状のマスクを設け、サンドブラスト法を用いて前記マスクにより覆われていない部分を除去することで平面部を形成するとともに突起部を形成する工程と、
前記突起部と、前記平面部と、を覆うように樹脂を被覆することで樹脂層を形成する工程と、
前記第1の面取り加工部において、前記貫通孔が開口するように樹脂層を除去する第1の除去工程と、
前記第2の面取り加工部において、樹脂層を除去する第2の除去工程と、
前記突起部の頂面に形成された前記樹脂層の表面をポリッシュ加工する工程と、
を備え、
前記第1の除去工程において、
前記貫通孔の直径寸法D1(mm)と、
前記第1の主面と前記第1の面取り加工部とが交わる部分の直径寸法D2(mm)と、
前記樹脂層の開口部の直径寸法Dh(mm)と、が、以下の関係を満足するように前記樹脂層が除去されることを特徴とする静電チャックの製造方法。
D1(mm)+0.1(mm)≦Dh(mm)≦D2(mm)−0.1(mm) - 前記第1の面取り加工部を形成する工程において、
前記第1の面取り加工部は、前記第1の主面とのなす角度θが30度以上、60度以下、前記第1の主面からの深さ寸法が0.3mm以上、1mm以下となるように形成されること、を特徴とする請求項12記載の静電チャックの製造方法。 - 前記第2の除去工程において、
前記誘電体基板の直径寸法D3(mm)と、
前記第1の主面と前記第2の面取り加工部とが交わる部分の直径寸法D4(mm)と、
前記樹脂層の周端の直径寸法Do(mm)と、が、以下の関係を満足するように前記樹脂層が除去されること、を特徴とする請求項12または13に記載の静電チャックの製造方法。
D4(mm)+0.2(mm)≦Do(mm)≦D3(mm)−0.05(mm) - 前記第2の面取り加工部を形成する工程において、
前記第2の面取り加工部は、前記第1の主面とのなす角度θが30度以上、60度以下、前記第1の主面からの深さ寸法が0.3mm以上、1mm以下となるように形成されること、を特徴とする請求項12〜14のいずれか1つに記載の静電チャックの製造方法。 - 前記第2の面取り加工部を形成する工程において、
前記第2の面取り加工部は、凸状の曲面を有し、前記曲面の半径寸法が0.3mm以上、1mm以下となるように形成されること、を特徴とする請求項12〜15のいずれか1つに記載の静電チャックの製造方法。 - 前記樹脂層を形成する工程において、
前記樹脂層は、蒸着重合法を用いて形成されること、を特徴とする請求項12〜16のいずれか1つに記載の静電チャックの製造方法。
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