以下、本発明の一実施形態について説明する。
(1)路指示走行
本実施形態に係る車両走行制御システムは、図1に示すような、高速道路のサグ部に適用される。高速道路1のサグ部における自然渋滞の要因は、車間距離が過小であること、および、交通量が過大であることである。交通量が増加すると、車群が巨大化して車間距離が縮み、その結果、車速を安定させることができなくなる。車群のサイズが大きくなって車速が不安定になると、減速波が高速道路に沿って拡大伝播し、その結果渋滞が発生する。非特許文献1によれば、約80km/Hで走行しているときのほうが50km/H以下で走行しているときより3割以上許容交通量が多い。低速になると、道路が流せる車両数が減少する。このことが、自然発生渋滞を引き起こす。
このような渋滞は、車群サイズ、車速、車間距離の適正化を行うことにより軽減できる。このため、高速道路1上の車両にインフラ協調指令(車両の走行内容を指示する指令の一例に相当する)を送信して、交通流の制御を行うことが考えられる。しかし、インフラ協調指令に対応する機能を搭載した車両は少ないため、非搭載車両への対応が必要である。
そこで、本実施形態では、高速道路1上で渋滞が発生し易いサグ部において、高速道路1上の車両を複数の車両群2、3、4に分けて渋滞の発生を回避するため、インフラ協調指令に対応する機能を搭載した車両5〜7を高速道路1上から複数選び出し、選び出した車両5〜7を、適切な速度で追い越し車線上を走行させる。
そのために、高速道路1の追い越し車線に、車群2〜4のそれぞれの先頭車両として、車両5〜7を配置する。そして、高速道路1に沿って複数個配置された路側機8を用いて、これら車両5〜7に対して、走行速度と直前の先頭車両との車間距離の指示(インフラ協調指令に相当する)を送信する。この指示を受信した車両5〜7側では、自動または手動で、指示内容に従って追い越し車線を走行する。これにより、各車群2〜4の後続車両は、先頭車両5〜7によって追い越し車線を塞がれるので、先頭車両5〜7について走行することになる。その結果、車両5〜7をそれぞれ先頭とする複数の車両群2、3、4が形成される。このような走行を、路指示走行(または規制走行)という。
そして本実施形態においては、車両5〜7が路側機8からの指示に従って走行していることを後続車両に報知するために、車両5〜7の灯火器を、通常の操作では実現できないような形態で点滅させる。このようにすることで、後続車両が先頭車両5〜7に追従して走行する可能性が高くなる。
以下、このような車両走行制御システムの作動について詳細に説明する。図2に、本実施形態の車両走行制御システムが有する路側機8、事前路側機9、およびセンター12を示す。
路側機8および事前路側機9は、センター12から出力された送信用信号を、それぞれの通信エリア内の車両に送信し、また、それぞれの通信エリア内の車両から送信された信号を受信し、受信した信号をセンター12に出力する装置である。
また、路側機8および事前路側機9のそれぞれは、高速道路1上の自機の近傍の測定地点を繰り返し(例えば1秒に30回)撮影するカメラを有しており、これらカメラによって撮影された画像中から車両を抽出することで、各車両が当該測定地点を通過した時刻、当該車両の走行速度、および当該車両の大きさを特定し、各車両について特定した測定位置、通過時刻、走行速度、および大きさの情報を、測定データとしてセンター12に出力する。路側機直下の通過車両を超音波か赤外線を使用して計測してもよい。車速は電波を利用して計測してもよい。
図3に示すように、複数個の路側機8は、高速道路1に沿って所定の間隔(具体的には、約500m)で並んで配設されている。これら路側機8が配設される高速道路1上の制御区間10は、渋滞が多発しやすい区間11の全体を含む範囲である。
また、事前路側機9は、制御区間10よりも手前側(すなわち、車両の進行方向の反対側)に、上記の所定の間隔よりも大きい間隔(具体的には、約2km)だけ制御区間10から離して、配設されている。
センター12は、図2に示すように、インターフェース部(図中ではI/F部と記す)12a、記憶媒体12b、および制御部12cを有している。インターフェース部12aは、路側機8および事前路側機9と制御部12cとの間の情報の授受を媒介するための周知のインターフェースである。記憶媒体12bには、制御部12cが実行するための各種プログラムが記憶されており、また、路側機8、事前路側機9から受けた情報を記録するための記憶領域を有している。
制御部12cは、記憶媒体12b中のプログラムを実行することで、路側機8、事前路側機9を信号をやりとりして各種処理を実現する装置(例えばマイクロコンピュータ)である。より具体的には、制御部12cは、路側機8、事前路側機9から受けた測定データを元に、交通制御内容を決め、路側機8、事前路側機9を介して目標車速等の指示を車両に送信する。
また、高速道路1を走行する車両には、一般車両とインフラ協調車両とがある。インフラ協調車両は、路側機8、事前路側機9を介してセンター12と通信する機能、他の車両と通信する機能、および、センター12から受けた指示に応じた速度での走行を支援するための機能を備えた車載機を搭載する車両である。また、一般車両は、そのような車載機を搭載していない車両である。
図4に、このような車載機20の構成を示す。車載機20は、報知制御部21、路車・車車間通信機22、自車位置計測部23、車速計測部24、前方車間距離計測部25、スイッチ入力部26(図中ではSW入力部と記す)、運転者向け表示部27、自動速度制御部28、自動進行方向制御部29、および主制御部30を有している。
報知制御部21は、図示しないCPU、RAM、ROMを備えたマイクロコンピュータであり、CPUにROM中のプログラムを実行させることで、各種作動を実現する。より具体的には、報知制御部21は、主制御部30からの制御指示データに基づいて、車載機20が搭載される車両(以下、自車両という)に搭載される灯火器のオン・オフを制御する。制御対象の灯火器としては、前照灯、左車幅灯、右車幅灯、後退灯等がある。報知制御部21は、制御対象の灯火器の1つ1つについて、他の制御対象の灯火器とは独立に、オン・オフを制御する。
路車・車車間通信機22は、路側機8、事前路側機9を介してセンター12と通信をするための周知の無線通信装置である。なお、路車・車車間通信機22は、他の車両の車載機と通信するための周知の無線通信装置としても機能する。すなわち、路車・車車間通信機22は、センター12および他車両からの通信を受信し主制御部30に伝え、また、主制御部30からの情報をセンター12および他車両に送信する。
自車位置計測部23は、GPS受信機を有し、このGPS受信機が受信したデータに基づいて、自車両の現在位置および時刻を特定し、特定した現在位置および時刻を主制御部30および報知制御部21に通知する。なお、GPSデータに基づいて特定した時刻すなわちGPS時刻は、非常に精度が高く、かつ、他の車載機20において特定されたGPS時刻との誤差がほとんどない。
車速計測部24は、自車両の走行速度を検出し、検出した走行速度を主制御部30および報知制御部21に出力する装置である。前方車間距離計測部25は、ソナー、レーザセンサ等の、自車両と自車両前方の車両との間の車間距離を測定し、測定した車間距離を主制御部30および報知制御部21に出力する装置である。
スイッチ入力部26は、ユーザによる各種操作を受け付け、受け付けた操作に応じた信号を主制御部30および報知制御部21に出力する装置である。スイッチ入力部26は、例えば、前照灯、車幅灯のオン・オフの切り替えを受け付けるためのスイッチ等を有している。運転者向け表示部27は、自車両のドライバーに各種情報を表示するための画像表示装置および音声出力装置である。
自動速度制御部28は、アクセルペダルに踏み込み力および引き戻し力を加えることのできるハプティックアクセルを含んでおり、主制御部30から受け付けた目標車速に合わせて、このハプティックアクセルの踏み込み力または引き戻し力を制御することで、当該目標車速で自車両を走行させる。また、自動速度制御部28は、運転者のアクセル操作の内容(具体的には、アクセルの踏み込み量)を主制御部30および報知制御部21に通知する。
自動進行方向制御部29は、ステアリングハンドルに回転力を加えることのできるハプティックステアリングを含んでおり、主制御部30から受け付けた目標進行方向に合わせて、このハプティックステアリングに加える回転力を制御することで、当該目標進行方向に向けて自車両を走行させる。また、自動進行方向制御部29は、運転者のステアリング操作の内容(具体的には、ステアリングハンドルの回転量)を主制御部30および報知制御部21に通知する。
主制御部30は、図示しないCPU、RAM、ROMを備えたマイクロコンピュータであり、CPUにROM中のプログラムを実行させることで、装置21〜29を用いた各種処理を実現する。
なお、車載機20は、前方車間距離計測部25、自動速度制御部28、自動進行方向制御部29を必ずしも有していなくてもよい。これら前方車間距離計測部25、自動速度制御部28、自動進行方向制御部29を有している車載機20は、車間距離計測、自動速度制御機能付きの車載機であり、この車載機においては、センター12から受けた指示に応じた速度での走行を支援するための機能を、前方車間距離計測部25、運転者向け表示部27、自動速度制御部28、および自動進行方向制御部29が実現する。
前方車間距離計測部25、自動速度制御部28、自動進行方向制御部29を有していない車載機20は、車間距離計測、自動速度制御機能なしの車載機であり、この車載機においては、センター12から受けた指示に応じた速度での走行を支援するための機能を、運転者向け表示部27が実現する。
次に、このような構成の車両走行制御システムの作動について説明する。まず、インフラ協調車両に搭載される車載機20の主制御部30は、路車・車車間通信機22を用いて、自車両の走行状況の情報を繰り返し無線送信するようになっている。無線送信の繰り返しの周期は、あらかじめ定められた無線送信スケジュールに従っており、約0.1秒となっている。
無線送信する走行状況の情報には、自車両の車両ID、位置、車速の情報が含まれている。主制御部30は、自車両の車両IDについては、自らのROMに記録されている車両IDの情報を読み出すことで取得し、自車両の位置については、自車位置計測部23から取得し、自車両の車速については、車速計測部24から取得する。
車両の車載機20から無線送信された走行状況の情報は、当該車両の近傍に存在する路側機8(または事前路側機9)で受信され、センター12に届く。
次に、センター12の作動について説明する。センター12は、制御区間10内の交通量(具体的には1時間当たりの車両の通過数)が多い場合に、制御区間10内のインフラ協調車両のうち複数を規制走行車両に選び、選んだ規制走行車両に対して、目標車速と直前の先頭車両との車間距離を指示する信号を送信することで、制御区間10における渋滞を未然に防止するよう試みる。
このセンター12の作動を実現するため、センター12の制御部12cは、図5に示す処理を繰り返し(具体的には0.1秒周期で)実行するようになっている。制御部12cは、まずステップ110で、規制走行車両が現在あるか否かを判定する。具体的には、記憶媒体12b中の規制走行中車両リストに1つでも車両IDが含まれているか否かを判定する。
規制走行車両が現在なければ、続いてステップ120で、事前路側機9から受けた測定データに基づいて、事前路側機9の測定地点における、高速道路1の1車線当たりの現在の交通量を算出し、それが基準値αより大きいか否かを判定する。基準値αは、具体的には、1時間当たり2000台である。
現在の交通量が基準値α以下であれば、続いてステップ180で、渋滞防止走行がない旨の信号を、制御区間10中のすべてのインフラ協調車両に送信する。しかし、現在の交通量が基準値αを超えていれば、続いてステップ130で、制御区間10中のインフラ協調車両から規制走行車両を選定し、選定した規制走行車両のIDを、規制走行中車両リストに加える。
ここで、規制走行車両の選定方法について説明する。センター12は、事前路側機9および路側機8から取得した測定データに基づいて、制御区間10内を現在走行している全車両の位置および速度を推定する。この際、最後に測定地点を通過したのがt秒前となっている車両については、その測定地点の通過時の速度が秒速vメートルであった場合、現在位置は当該測定地点から高速道路1沿いにv×tメートル進んだ位置であると推定し、現在の車速はvであると推定する。
そして、制御区間10内の全車両のうちからインフラ協調車両を特定する。具体的には、路側機8を介してインフラ協調車両から受信している走行状況の情報に基づいて、制御区間10内のすべてのインフラ協調車両の現在の位置、車速、および車両IDを特定する。
そして、規制走行中車両リストに1つも規制走行車両が記録されていない場合、すなわち、渋滞防止走行を新たに開始する場合は、制御区間10の終点から始点まで順に、インフラ協調車両を抽出していく。そして、最初に抽出したインフラ協調車両は、規制走行車両として選出し、規制走行中車両リストに当該インフラ協調車両のIDを追加する。さらに、2番目以降のインフラ協調車両のそれぞれについては、1つ前方の規制走行車両と当該インフラ協調車両との間に車線数×所定台数(例えば20台)以上の車両が存在すれば、当該インフラ協調車両を規制走行車両として選出し、規制走行中車両リストに当該インフラ協調車両のIDを追加する。このようにすることで、規制走行中車両リストに1つも規制走行車両が記録されていない場合に、新たに複数のインフラ協調車両が適切な間隔を置いて制走行車両として選出される。
そして、規制走行中車両リストに規制走行車両が記録されている場合、すなわち、渋滞防止走行が既に実行されている場合は、制御区間10から規制走行車両が抜け出す等によって規制走行車両となり得なくなったインフラ協調車両のIDを規制走行中車両リストから削除する。また、制御区間10中の規制走行車両でないインフラ協調車両のそれぞれについて、規制走行車両として追加選出するか否かを判定する。具体的には、規制走行車両でないインフラ協調車両のうち、1つ前の規制走行車両までに車線数×所定台数(例えば20台)以上の車両があり、かつ、1つ後の規制走行車両までに車線数×所定台数(例えば20台)以上の車両があるようなインフラ協調車両を、規制走行車両として新たに選出し、当該インフラ協調車両のIDを規制走行中車両リストに追加する。
続いてステップ140では、路側機8を介して、規制走行中車両リスト中の規制走行車両のそれぞれに、渋滞防止走行実施依頼(インフラ協調指令の一例に相当する)の信号を送信する。渋滞防止走行実施依頼には、指示車速、1つ前方の車群を先導する規制走行車両(すなわち先導車両)のID、および、その先導車両までの指示距離の情報を含める。指示車速としては、例えば、時速83kmであってもよい。また、前車群の先導車両までの指示距離は、例えば、37.7m×車群サイズ/車線数であってもよい。また、指示車速および指示距離については、路側機8、事前路側機9から取得した測定データに基づいて交通制御内容を決定し、その交通制御内容に応じた指示車速および指示距離を決定するようになっていてもよい。
続いてステップ150では、路側機8を介して、規制走行車両以外の制御区間10内のインフラ協調車両に対し、渋滞防止走行がない旨の信号を送信する。ステップ150の後は、所定の実行タイミングを待ち、その実行タイミングにおいて再度ステップ110を実行する。
ステップ110で、規制走行中車両リストに規制走行車両のIDが含まれていると判定した場合、続いてステップ160で、路側機8および事前路側機9から受けた測定データに基づいて、路側機8、事前路側機9の測定地点における、高速道路1の1車線当たりの現在の交通量を算出し、それらのすべての交通量が基準値β以下か否かを判定する。基準値βは、基準値αより小さい値であり、具体的には、1時間当たり1800台である。
路側機8および事前路側機9のいずれかにおいて、現在の交通量が基準値βを超えていれば、続いてステップ130で、規制走行車両を選定し、続いてステップ140で、規制走行車両に渋滞防止走行実施依頼の信号を送信し、続いてステップ150で、渋滞防止走行がない旨の信号を、他のインフラ協調車両に送信する。
路側機8および事前路側機9のすべてにおいて、現在の交通量が基準値β以下となると、続いてステップ170で、規制走行中車両リストをクリアする。すなわち、規制走行中車両リスト中の車両IDをすべて削除する。
続いてステップ180では、制御区間10内のすべてのインフラ協調車両に、渋滞防止走行がない旨の信号を送信する。ステップ180の後は、所定の実行タイミングを待ち、その実行タイミングにおいて再度ステップ110を実行する。
このように、センター12の制御部12cは、制御区間10内の交通量が少ない間は(ステップ110→120→NO参照)、規制走行車両を選出せず、制御区間10内の交通量が多くなると(ステップ110→120→YES参照)、インフラ協調車両から規制走行車両を選出する(ステップ130参照)。
そして、制御区間10内の交通量が多い間は(ステップ110→160→NO参照)、規制走行車両のリストを更新し(ステップ130参照)、規制走行車両に渋滞防止走行実施依頼を送信する(ステップ140参照)が、制御区間10内の交通量が少なくなると(ステップ110→160→YES参照)、規制走行中車両リストをクリアすることで規制走行車両をなくす(ステップ170参照)。
そして、制御部12cは、規制走行中車両リスト中に記録された規制走行車両がある場合は、その規制走行車両に、渋滞防止走行実施依頼(インフラ協調指令の一例に相当する)を送信する(ステップ140参照)。そして、規制走行車両以外の制御区間10中のインフラ協調車両には、渋滞防止走行がない旨の信号を送信する(ステップ150、180参照)。
次に、センター12から送信された信号を受信する側の車載機20における主制御部30の作動について説明する。主制御部30は、センター12から送信されるインフラ協調指令を受信するために、図6にフローチャートで示す処理を、繰り返し(例えばは0.1秒に1回)実行する。
この処理において主制御部30は、まずステップ210で、路側機8、事前路側機9を介してセンター(路側)12からインフラ協調指令を受信するまで待ち、受信すると続いてステップ220で、受信したインフラ協調指令が渋滞防止走行実施依頼であるか、あるいは渋滞防止走行がない旨の信号であるかを判定する。
そして、受信したのが、渋滞防止走行がない旨の信号であれば、続いてステップ230で、制御指示データを報知制御部21に出力する。この制御指示データには、制御種別、指示位相、後退灯点滅の有無、前照灯点滅の有無のデータを含める。制御種別のデータは、「路指示走行」、「車群走行」、「無し」のいずれかの値を取るデータである。指示位相は、後述する点滅タイミングのパターンの位相のずれ量(単位は0.1秒)を示すデータであり、その値は0.0から0.9までの0.1刻みの値のいずれかとなる。
ステップ230において出力する制御指示データについては、制御種別のデータの値を「無し」とし、指示位相のデータの値を「0.0」とする。また、後退灯点滅の有無のデータの値、および、前照灯点滅の有無のデータの値は、あらかじめ決められた値であってもよいし、スイッチ入力部26を用いたユーザの設定操作の内容に応じて主制御部30が決定した値であってもよい。
また、受信したのが渋滞防止走行実施依頼であれば、続いてステップ240で、その渋滞防止走行実施依頼に記録された指示車速、1つ前方の車群の先導車両のID、先導車両の位置、および、その先導車両までの指示距離に従って自車両が走行するための支援処理を実行する。
具体的には、車載機20が車間距離計測、自動速度制御機能なしの車載機であった場合、例えば、指示車速と自車両の走行速度とを比較することで、指示車速を実現するために自車両を加速すべきか減速すべきかを決定し、その決定に従って、運転者向け表示部27を用いて加速または減速の依頼メッセージをドライバーに表示する。そして、ドライバーは、その依頼メッセージに従って自車両を運転する。
また、車載機20が車間距離計測、自動速度制御機能ありの車載機であった場合、例えば、指示車速を実現するよう、自動速度制御部28を制御して、アクセルペダルに踏み込み方向の付勢力を加える。ただし、指示車速を実現していても、自車位置と1つ前方の車群の先導車両の位置の情報に基づいて、両者の間の車間距離を算出し、その車間距離が指示距離より短い場合は、アクセルペダルに踏み込み方向と反対の方向の付勢力を加えることで、車両を減速させる。
ステップ240に続いては、ステップ250で、制御指示データを報知制御部21に出力し、その後再度ステップ210で受信を待つ。
ステップ250において出力する制御指示データについては、制御種別のデータの値を「路指示走行」とし、指示位相のデータの値を「0.0」とする。また、後退灯点滅の有無のデータの値、および、前照灯点滅の有無のデータの値は、あらかじめ決められた値であってもよいし、スイッチ入力部26を用いたユーザの設定操作の内容に応じて主制御部30が決定した値であってもよい。
主制御部30から制御指示データを取得する報知制御部21は、直近に受けた制御指示データの内容に基づいて灯火器の制御を行うために、図7にフローチャートで示すような処理を繰り返し(具体的には0.1秒周期で)実行する。この処理において報知制御部21は、まずステップ255で、自車位置計測部23のGPS受信機によって算出された現在のGPS時刻の秒以下の部分を、変数Tに代入する。
続いてステップ260では、最後に主制御部30から受けた制御指示データを読み出し、制御種別の値が「無し」を示していれば続いてステップ265を実行し、「路指示走行」を示していれば続いてステップ270を実行し、「車群走行」を示していれば続いてステップ275を実行する。
ステップ265では、変数IR、IL、IK、IFのそれぞれの値をゼロに設定する。これら変数IR、IL、IK、IFは、それぞれ右車幅灯、左車幅灯、後退灯、および前照灯の点灯および消灯を制御するための変数である。ステップ270の路指示走行処理、および、ステップ275の車群走行距離においても、これら変数IR、IL、IK、IFのそれぞれに0または1の値が適宜代入される。路指示走行処理および車群走行距離については後述する。
ステップ265、270、または275に続くステップ280では、変数IR、IL、IK、IFに基づいて、報知制御部21を制御して自車両の灯火器を制御する。
具体的には、右車幅灯については、車幅灯制御フラグと変数IRとの排他的論理和(XOR)を算出し、その算出結果が1ならば右車幅灯を点灯させるか、または、既に点灯していればその点灯を継続させる。また、その算出結果が0ならば右車幅灯を消灯させるか、または、既に消灯していればその消灯を継続させる。
また、左車幅灯については、車幅灯制御フラグと変数ILとの排他的論理和(XOR)を算出し、その算出結果が1ならば左車幅灯を点灯させるか、または、既に点灯していればその点灯を継続させる。また、その算出結果が0ならば左車幅灯を消灯させるか、または、既に消灯していればその消灯を継続させる。
ここで、車幅灯制御フラグとは、車幅灯が通常の使用目的のために現在使用されているか否かを示すフラグである。具体的には、車両の車幅灯制御スイッチに対して、車幅灯使用開始の旨の操作が行われると、報知制御部21は、車幅灯制御フラグをオンにし、車幅灯制御スイッチに対して、車幅灯使用終了の旨の操作が行われると、報知制御部21は、車幅灯制御フラグをオフにする。
したがって、車幅灯が通常の目的のために使用されていない場合は、IRの値が1のとき右車幅灯が点灯状態にあり、IRの値が0のとき右車幅灯が消灯状態にあり、また、ILの値が1のとき左車幅灯が点灯状態にあり、ILの値が0のとき左車幅灯が消灯状態にある。すなわち、変数IR、IL共に、1の値が点灯状態に相当し、0の値が消灯状態に相当する。しかし、車幅灯が通常の目的のために使用されている場合は、変数IR、ILの値と点灯、消灯の状態との関係が反転する。すなわち、変数IR、IL共に、0の値が点灯状態に相当し、1の値が消灯状態に相当する。
また、後退灯については、後退灯制御フラグと変数IKとの論理和(OR)を算出し、その算出結果が1ならば後退灯を点灯させるか、または、既に点灯していればその点灯を継続させる。また、その算出結果が0ならば後退幅灯を消灯させるか、または、既に消灯していればその消灯を継続させる。
ここで、後退灯制御フラグとは、後退灯が通常の使用目的のために現在使用されているか否かを示すフラグである。具体的には、ドライバーの車両運転操作によって車両のシフトレバーの位置が後退位置に変化すれば、報知制御部21は、後退灯制御フラグをオンにし、ドライバーの操作によって車両のシフトレバーの位置が後退位置から他の位置に変化すれば、報知制御部21は、後退灯制御フラグをオフにする。
したがって、後退灯が通常の目的のために使用されていない場合は、IKの値が1のとき後退幅灯が点灯状態にあり、IKの値が0のとき後退灯が消灯状態にある。すなわち、変数IKの1の値が点灯状態に相当し、0の値が消灯状態に相当する。しかし、後退灯が通常の目的のために使用されている場合は、変数IKの値によらず、後退灯は点灯状態にある。
また、前照灯については、前照灯制御フラグと変数IFとの排他的論理和(XOR)を算出し、その算出結果が1ならば前照灯を点灯させるか、または、既に点灯していればその点灯を継続させる。また、その算出結果が0ならば前照幅灯を消灯させるか、または、既に消灯していればその消灯を継続させる。
ここで、前照灯制御フラグとは、前照灯が通常の使用目的のために現在使用されているか否かを示すフラグである。具体的には、車両の前照灯制御スイッチに対して、前照灯使用開始の旨の操作が行われると、報知制御部21は、前照灯制御フラグをオンにし、前照灯制御スイッチに対して、前照灯使用終了の旨の操作が行われると、報知制御部21は、前照灯制御フラグをオフにする。
したがって、前照灯が通常の目的のために使用されていない場合は、IFの値が1のとき前照幅灯が点灯状態にあり、IFの値が0のとき前照灯が消灯状態にある。すなわち、変数IFの1の値が点灯状態に相当し、0の値が消灯状態に相当する。しかし、前照灯が通常の目的のために使用されている場合は、変数IFの値と点灯、消灯の状態との関係が反転する。すなわち、変数IFの0の値が点灯状態に相当し、1の値が消灯状態に相当する。
制御指示パラメータが「無し」を示している場合は、ステップ265でIR、IL、IK、IFの値がゼロに設定されるので、車幅灯、後退灯、前照灯のいずれも通常の目的に使用されていない状態(以下、基本状態という)においては、車幅灯、後退灯、前照灯のすべてが消灯状態になる。
ここで、ステップ270の路指示走行処理の詳細について説明する。報知制御部21は、路指示走行処理として、図8にフローチャートで示すような処理を実行する。この処理を実行することで、報知制御部21は、基本状態において図9に示すようなパターンのタイミングで右車幅灯、左車幅灯、および後退灯を点滅させる。
この図8の路指示走行処理においては、まずステップ305で、GPS時刻を秒単位で表して小数点以下1桁未満を、切り捨て、四捨五入等の方法で丸め、その丸めた値を変数Tとし、その変数Tを10倍した結果の整数の、40を法とする剰余C1を算出する。さらに、剰余C1の20を法とする剰余C2を算出する。
したがって、剰余C1は、4秒という時間周期を40個の時間スロットに均等に分割したときに、現在時刻がどの時間スロットにいるかを示す値である。
そして報知制御部21は、剰余C2が0または1である場合(ステップ310参照)、すなわち、現在時刻が1番目、2番目、21番目、22番目の時間スロットのいずれかに属する場合、ステップ315で、IR、IL、IK,IFに、それぞれ1、0、0、0の値を代入する。
また報知制御部21は、剰余C2が2である場合(ステップ320参照)、すなわち、現在時刻が3番目、23番目の時間スロットのいずれかに属する場合、ステップ325で、IR、IL、IK,IFに、それぞれ1、1、0、0の値を代入する。
また報知制御部21は、剰余C2が3から6のいずれかである場合(ステップ330参照)、すなわち、現在時刻が4番目〜7番目、24番目〜27番目の時間スロットのいずれかに属する場合、ステップ335で、IR、IL、IK,IFに、それぞれ0、1、0、0の値を代入する。
また報知制御部21は、剰余C2が7である場合(ステップ340参照)、すなわち、現在時刻が8番目、28番目の時間スロットのいずれかに属する場合、ステップ345で、IR、IL、IK,IFに、それぞれ1、1、0、0の値を代入する。
また報知制御部21は、剰余C2が8または9である場合(ステップ350参照)、すなわち、現在時刻が9番目、10番目、29番目、30番目の時間スロットのいずれかに属する場合、ステップ355で、IR、IL、IK,IFに、それぞれ1、0、0、0の値を代入する。
また報知制御部21は、剰余C2が10から13のいずれかである(ステップ360参照)場合、すなわち、現在時刻が11番目〜14番目、31番目〜34番目の時間スロットのいずれかに属する場合、ステップ365で、IR、IL、IK,IFに、それぞれ0、0、0、0の値を代入する。
また報知制御部21は、剰余C2が14または15である場合(ステップ370参照)、すなわち、現在時刻が15番目、16番目、35番目、36番目の時間スロットのいずれかに属する場合、ステップ375で、IR、IL、IK,IFに、それぞれ0、0、1、0の値を代入する。
また報知制御部21は、剰余C2が16から19のいずれかである場合(ステップ370→NO参照)、すなわち、現在時刻が17番目〜20番目、37番目〜40番目の時間スロットのいずれかに属する場合、ステップ385で、IR、IL、IK、IFに、それぞれ0、0、0、0の値を代入する。
続いてステップ388では、剰余C1と剰余C2とが同じであるか否かを判定する。すなわち、現在の時間スロットが1〜20番目か、あるいは、21〜40番目かを判定する。現在の時間スロットが1〜20番目であればステップ390をバイパスしてステップ393を実行する。現在の時間スロットが21〜40番目であればステップ390で、変数ILの値と変数IRの値とを入れ替える。すなわち、左右の車幅灯のオン、オフの状態を交換する。ステップ390に続いては、ステップ393を実行する。
ステップ393では、後退灯を点滅させるか否かを、最後に主制御部30から受けた制御指示データ中の後退灯点滅の有無の値が「有り」であるか「無し」であるかによって判定する。後退灯点滅設定フラグは、スイッチ入力部26に対するユーザの操作に基づいて切り替え可能なようになっていてもよい。
後退灯を点滅させる場合、続いてステップ395をバイパスして路指示走行処理を終了する。後退灯を点滅させない場合、続いてステップ395で変数IKにゼロを代入し、続いて路指示走行処理を終了する。
図7および図8に示したような処理を報知制御部21が0.1秒周期で実行するので、その結果、報知制御部21は、基本状態において、4秒周期で左右の車幅灯および後退灯を図9に示すようなパターンで点滅させる。すなわち、車幅灯については、前半の2秒の間に、右車幅灯で0.3秒の点灯を2回実行すると共に左車幅灯で0.6秒の点灯を1回実行し、後半の2秒の間に、左車幅灯で0.3秒の点灯を2回実行すると共に右車幅灯で0.6秒の点灯を1回実行する。つまり、4秒の間に、左右交互に2回の0.3秒間点灯と、1回の0.6秒間点灯を繰り返す。また、後退灯を点滅させる場合は、2秒周期で後退灯を0.2秒間点灯させる。このとき、後退灯と共に図示しない制動灯を点滅させてもよい。このような4秒の周期が、GPS時刻の秒の値が0、4、8等の場合に開始される。
このような、左右の車幅灯がタイミングをずらして点滅するような作動は、従来の車両の操作では実現不能であった。また、後退していないにもかかわらず後退灯が点滅するような作動は、従来の車両の操作では実現不能であった。また、従来の車幅灯および後退灯は、制動灯、方向指示器などと異なり、運転により頻繁に点灯状態が変化しない。したがって、規制走行車両の後方を走行する一般車両のドライバーは、規制走行車両がセンター12の指示に従って走行していることを容易に把握することができる。
また、夕方、夜間等に車幅灯が通常の目的に使用されている場合は、左右車幅灯の点灯、消灯のタイミングが図9とは逆になる。つまり、左右車幅灯の点滅タイミングのオンオフのパターンが反転する。
このようになっていることで、通常の目的以外の目的(すなわち、車両の外部から車両の走行内容を指示する指令を受信して路指示走行していることを周囲の他車両のドライバーに報知する)で灯火器を使用しているときにも、通常の目的以外の目的と、通常の目的(周囲が暗いときに車両の車幅を強調する)を共に実現しつつ、それら灯火器を使用することができる。
なお、自車両のドライバーがスイッチ入力部26を用いて渋滞防止走行を終了する旨の操作を行った場合、渋滞防止走行を終了するために、渋滞防止走行終了を実行する。また、自車両が高速道路のサービスエリアに入る走行を行った場合、渋滞防止走行を終了するために、渋滞防止走行終了処理を実行する。なお、自車両がサービスエリアに入ったか否かは、自車位置計測部23からの出力に基づいて特定した自車位置と、サービスエリアが存在する地理範囲の情報との比較に基づいて特定する。このために、車載機20は、地図データを記憶する記憶媒体を有し、その地図データ中に、サービスエリアが存在する地理範囲の情報が含まれるようになっていてもよい。
渋滞防止走行終了処理においては、主制御部30は、運転者向け表示部27に渋滞防止走行終了の旨を表示させ、自動速度制御部28、自動進行方向制御部29の作動を停止し、さらに、制御種別が「無し」のいずれかの値を取る制御指示データを、報知制御部21に出力する。これにより、報知制御部21は、車幅灯の点滅、後退灯の点滅、前照灯の点滅を終了する。
(2)車群走行
また、本実施形態の複数のインフラ協調車両の車載機20は、センター12からの指示に従った走行を行う以外にも、これら車載機20間で車車間通信を行い、その車車間通信を利用して、これらインフラ協調車両によって隊列を組んだ走行(以下、車群走行という)を実現するための処理を行う。図10に、高速道路1上においてそれぞれ車群走行を行っている車群51〜53を例示する。各車群51〜53を構成する車両は、すべてインフラ協調車両であり、かつ、車車間通信を行う機能を有する車両である。以下、車車間通信を行う機能を有するインフラ協調車両を、車車間協議車両という。本実施形態の車載機20は、車車間通信を行うための路車・車車間通信機22を有している。したがって、車載機20を搭載するインフラ協調車両は、車車間協議車両である。
このような複数の車車間協議車両それぞれ搭載された車載機20の主制御部30が車群走行のために実行する処理のフローチャートを、図11〜図15に示す。これらのフローチャートに従って、車群走行のための主制御部30の作動について説明する。
まず、各主制御部30は、センター12のみならず、自車両の周囲の車両にも、走行状況の情報を繰り返し送信し、その走行状況には、自車両の車両ID、位置、車速の情報に加え、自車両が属している車群に関する情報、路指示走行(規制走行)に自車両が参加しているか否かの情報等が含まれている。自車両が属している車群に関する情報には、自車両が属する車群のID、当該車群の車群リスト、および、当該車群に割り当てられた指示位相の情報が含まれている。車群リストについては後述する。
次に、車群の形成過程について説明する。車載機20の主制御部30は、図11に示す車群走行処理を、0.1秒周期で繰り返し実行する。ただし、今回の車群走行処理が、開始後0.1秒が経過しても終了していないときは、終了した後に新たな回の車群走行処理を実行する。
この図11の処理を実行することで、高速道路1を走行する1台の車車間協議車両Xに搭載された主制御部30は、路(すなわちセンター12)から渋滞防止走行実施依頼がなく(図11のステップ405→NO参照)、現在自車両Xが車群走行をしておらず(ステップ415→NO参照)、車群結成依頼(車両の走行内容を指示する指令の一例に相当する)を受信しておらず(ステップ425→NO参照)、かつ、高速道路1内の前後100m以内に自車両Xが参加可能な車群がない場合(ステップ435→NO参照)、高速道路1内の自車両Xの前後100m以内に車群走行可能かつ車群走行していない車車間協議車両Yがあるか否かを判定し(ステップ445参照)、そのような車車間協議車両Yがあれば、続いてステップ450で車群結成依頼送信処理を実行する。
他の車車間協議車両の位置は、当該車車間協議車両から送信される走行状況の情報に含まれる位置情報に基づいて特定する。また、他の車車間協議車両が車群走行可能であるか否かは、当該車車間協議車両から送信される走行状況の情報に基づいて、当該車車間協議車両が路指示走行に参加していれば、車群走行不可能であると判定し、路指示走行に参加していなければ、車群走行可能であると判定する。また、他の車車間協議車両が車群走行しているか否かは、当該車車間協議車両から送信される走行状況の情報に基づいて、当該車車間協議車両が、属している車群の車群IDが走行状況の情報に含まれているか否かで判定する。
車群結成依頼送信処理においては、図12に示すように、ステップ510で自車両Xが車群走行可能であるか否かを、スイッチ入力部26に対するドライバーの選択操作に基づいて判定する。
ドライバーの選択操作は、ステップ510の段階において受け付けてもよい。その場合、主制御部30は、ステップ510において車群走行可否の選択を促す表示を運転者向け表示部27を用いて行い、その上で、スイッチ入力部26に対する選択操作を待つ。また、ドライバーの選択操作は、ステップ510の段階よりも前にあらかじめ受け付け、主制御部30の状態として記憶するようになっていてもよい。
また、車群走行拒否の操作をドライバーが行ったときは、その10分間は、ステップ510においては車群走行拒否であると自動的に(すなわちドライバーの操作を待たずに)判定するようになっていてもよい。このようにすることで、ドライバーは、頻繁に車群走行可否選択を要求されない。ただし、このような自動拒否の機能を無効にするよう、ドライバーが設定することもできる。
自車両Xが車群走行可能でなければ、車群結成依頼のデータを車車間協議車両Yに送信しないまま、車群結成依頼送信処理を終了する。すなわち、他の車車間協議車両に車群結成の呼びかけをしない。自車両Xが車群走行可能であれば、続いてステップ520で、路車・車車間通信機22を用いて、所定の車群結成依頼のデータを車車間協議車両Yに送信し、続いてステップ530で、車車間協議車両Yからの応答を待つ。なお、この車群結成依頼のデータには、自車両XのIDを含める。
このような車群結成依頼のデータを受信した車車間協議車両Yの車載機20においては、当該車載機20に含まれる主制御部30が、図11のステップ425で、車群結成依頼を受信したと判定し、続いてステップ430で、車群結成依頼受信時処理を実行する。
車群結成依頼受信時処理において当該主制御部30は、図13に示すように、まずステップ550で、自車両Yが車群走行可能であるか否かを、図12のステップ510と同じ方法で判定する。
自車両Yが車群走行可能でなければ、続いてステップ560で、所定の車群結成拒否のデータを車車間協議車両Xに送信し、その後、車群結成依頼受信時処理を終了する。車群結成拒否のデータが車車間協議車両Xに送信された場合、車車間協議車両Xの主制御部30は、図12のステップ530で車群結成拒否のデータを受信したことに基づいて、車車間協議車両Yとの車群を結成しないまま、車群結成依頼送信処理を終了する。なお、ステップ530では、所定時間以上車車間協議車両Yからの応答がない場合も、タイムアウトであるとみなして、車群を結成しないまま車群結成依頼送信処理を終了する。
また、図13のステップ550で、自車両Yが車群走行可能であると判定した場合は、続いてステップ570で、所定の車群結成許可(車両の走行内容を指示する指令の一例に相当する)のデータを車車間協議車両Xに送信する。さらに続いてステップ580で、車群結成のための処理を行い、その後、車群結成依頼受信時処理を終了する。
車群結成許可のデータが車車間協議車両Xに送信された場合、車車間協議車両Xの主制御部30は、図12のステップ530で車群結成許可のデータを受信したことに基づいて、続いてステップ540で、車群結成のための処理を行い、その後、車群結成依頼送信処理を終了する。
ここで、図12のステップ540および図13のステップ580の車群結成処理の内容について説明する。この車群結成処理においては、車車間協議車両Xまたは車車間協議車両Yの主制御部30は、車群リストの作成、周辺報知設定、および車内報知を行う。
車群リストの作成においては、主制御部30は、車群を構成する車車間協議車両Xと車車間協議車両Yの車両IDを含んだ車群リストを、自らが有するRAM中に作成する。すなわち、車車間協議車両Xと車車間協議車両Yから成る車群を形成する。
なお、車群リストを形成する際、車群リストに含まれる車両のうち1つを、車群代表車両に選出する。具体的には、その車群結成の原因となった車群結成依頼の送信元の車車間協議車両X(すなわち、車群結成を呼びかけた車車間協議車両X)を、車群代表車両に選出する。そして、車群リストに含まれる当該車両の車両IDに、車群代表車両である旨を示すフラグを関連付けて記録する。車群の車群代表車両の車両IDは、車群の車群IDとしても用いられる。
また、周辺報知設定においては、主制御部30は、結成した車群に属さない周辺の他車両への報知を実現するために、図6のステップ230、250で説明した制御指示データを、報知制御部21に出力する。ただし、ここで出力する制御指示データ中の制御種別のデータの値は「車群走行」とする。
また、出力する制御指示データ中の指示位相のデータの値は、1つの車群内では同じ値として共有し、高速道路1中で1つ前方または1つ後方にいる車群とは異なる値とする。このようにすることで、1つの車群に属する全車両の灯火器は同期して点滅し、異なる車群間では灯火器の点滅タイミングの位相がずれる。
このような指示位相を実現するために、車群代表車両Xに搭載された主制御部30は、車車間通信を利用し、1つ前の車群に属する車両から送信された走行状況の情報中の指示位相と、1つ後の車群に属する車両から送信された走行状況の情報中の指示位相とを取得し、それらと異なる指示位相を、自車両Xの指示位相として選択する。そして、選択した指示位相のデータを、車群リスト中の他の車両Yに送信する。この指示位相のデータを受信した車両Yの主制御部30では、当該指示位相のデータを、報知制御部21への制御指示データに含める指示位相のデータとして採用する。このようになっていることで、同じ車群中に属する各車両の指示位相の値は同じとなる。なお、どの車群が1つ前の車群で、どの車群が1つ後ろの車群かは、各車両から送信される走行状況の情報中の、車群IDおよび位置情報に基づいて決定する。
また、出力する制御指示データ中の後退灯点滅の有無の値は、結成した車群の中で自車両が最後尾であるなら、「後退灯の点滅有り」とし、結成した車群の中で自車両が最後尾でないなら、「後退灯の点滅無し」とする。
また、出力する制御指示データ中の前照灯点滅の有無の値は、結成した車群の中で自車両が先頭であるなら、「前照灯の点滅有り」とし、結成した車群の中で自車両が先頭でないなら、「前照灯の点滅無し」とする。
なお、車群中で自車両が先頭または最後尾にいるか否かは、同じ車群を形成する車両から送信された走行状況の情報中の位置情報に基づいて決定する。
また、車内報知においては、主制御部30は、運転者向け表示部27を用いて、自車両内のドライバーに、車群走行を開始する旨の報知を行う。
ここで、1つの車群が車間距離計測、自動速度制御機能無しの車載機20を有する車車間協議車両のみから成る場合における、各車載機20の車群走行支援処理の内容について説明する。
この場合、各車載機20の主制御部30は、所定の第1の速度(例えば時速80km)で所定の第1の車間距離(例えば30m)で左側車線を一列に走行するよう、運転者向け表示部27を用いてドライバーに指示を与える。例えば、当該第1の速度で走行するよう促す表示を行い、また、1つ前の車両と第1の車間距離を空けて走行するよう促す表示を行い、また、左側車線を走行するよう促す表示を行う。また、同じ車群を形成する車両群の位置情報を車車間通信によって取得し、その位置情報に基づいて、自車両と他車両との位置関係を表す道路図を表示するようになっていてもよい。また、同じ車群を形成する自車両が、前方の他車両に所定以上の相対速度で所定以下の距離まで近づいた場合、自車両が当該他車両を追い越す可能性があると判定し、追い越しをやめるよう促す表示を行うようになっていてもよい。
車群は、車間距離計測、自動速度制御機能無しの車両のみからなるものと、車間距離計測、自動速度制御機能付きの車両のみからなるものの2種類があるとする。1つの車群が車間距離計測、自動速度制御機能付きの車載機20を有する車車間協議車両から成る場合における、各車載機20の車群走行支援処理の内容について説明する。
この場合、各車載機20の主制御部30は、自動速度制御部28、自動進行方向制御部29を制御して、自車両が、第1の速度よりも速い所定の第2の速度(例えば時速100km)で、第1の車間距離よりも短い第2の車間距離(例えば15m)で左側車線を同車群の他車両と一列に走行させる。
他の車両の車載機20が、車間距離計測、自動速度制御機能付きであるか否かは、その車両との通信によって特定する。例えば、車間距離計測、自動速度制御機能付きの車載機20を有しているか否かで、車両IDの所定の部分の値が決まるようになっている場合、当該車両の走行状況の情報中の、当該所定の部分の値に基づいて、当該車両の車載機20が、車間距離計測、自動速度制御機能付きであるか否かを判定する。
次に、既に存在する車群(車両Xと車両Yが属する)に車車間協議車両Zが参加する場合の作動について説明する。高速道路1を走行する車車間協議車両Zに搭載された主制御部30は、路から渋滞防止走行実施依頼がなく(図11のステップ405→NO参照)、現在自車両Xが車群走行をしておらず(ステップ415→NO参照)、車群結成依頼を受信していない場合(ステップ425→NO参照)、高速道路1内の前後100m以内に自車両Xが参加可能な車群があるか否かを判定し(ステップ435参照)、そのような車群があれば、続いてステップ440で車群走行参加処理を実行する。
なお、自車両Zから車群までの距離は、当該車群に属する車両から送信される走行状況のデータ中の位置情報に基づいて判定する。また、ある車群に自車両Zが参加可能か否かは、以下のようにして判定する。自車両Zに搭載された車載機20が、車間距離計測、自動速度制御機能なしの車載機20であったとき、主制御部30は、ある車群が車間距離計測、自動速度制御機能付きの車載機20から成る場合、その車群に自車両Zが参加できないと判定する。また、自車両Zに搭載された車載機20が、車間距離計測、自動速度制御機能なしの車載機20であったとき、主制御部30は、ある車群が車間距離計測、自動速度制御機能なしの車両で構成されている場合、その車群に自車両Zが参加できないと判定する。
車群走行参加処理において車両Zの主制御部30は、図14に示すように、まずステップ610で、自車両Zが車群走行可能であるか否かを、図12のステップ510と同じ方法で判定する。
自車両Zが車群走行可能でなければ、車群に参加しないまま車群走行参加処理を終了する。自車両Zが車群走行可能であれば、続いてステップ620で、車群参加希望のデータを、当該車群の車群代表車両X(あるいは当該車群に属する他の車両Y)に送信する。この車群参加希望のデータには、参加を希望する対象の車群の車群ID、および、自車両Zの車両IDを含める。なお、車群代表車両XのIDは、当該車群に属する車両X、Yから送信された走行状況データ中の車群リストに基づいて特定する。
この車群参加希望のデータを受信した車群代表車両Xの主制御部30は、車群リストにIDが記載された車両台数が所定の上限値以上であれば、送信元の車両Zに対し車群参加拒絶のデータを送信し、当該上限値未満であれば、送信元の車両Zに対し車群参加許可(車両の走行内容を指示する指令の一例に相当する)を送信すると共に、車群参加希望データの送信元の自車両ZのIDを、車群リストに追加する。
なお、上記の上限値は、固定値(例えば10)であってもよいし、自車両Xが属する車群の種別に応じて変化するようになっていてもよい。例えば、自車両Xが属する車群が、車間距離計測、自動速度制御機能付きの車載機20を有する車両のみから成る合は、そうでない場合よりも、上限値を高くするようになっていてもよい。
車両Zの主制御部30は、ステップ620で車群参加希望のデータを送信した後、ステップ630で、その応答を待ち、車群参加拒絶のデータを受けた場合、または、送信して以降所定の待ち時間が経過しても応答がない場合は、車群に参加しないまま、車群走行参加処理を終了する。
また、ステップ630で、車群参加許可のデータを受信した場合、続いてステップ640で、車群参加の処理を行い、その後、車群走行参加処理を終了する。車群参加の処理においては、車車間協議車両Zの主制御部30は、車群リストの作成、周辺報知設定、および車内報知を行う。
車群リストの作成においては、主制御部30は、これから参加する車群に属する車両から送信された車群リストに、自車両のIDを追加し、それを自らのRAMに記録する。これによって、車群への参加が実現する。
また、周辺報知設定においては、主制御部30は、参加した車群に属さない周辺の他車両への報知を実現するために、図12のステップ540および図13のステップ580で説明した制御指示データを、報知制御部21に出力する。ここで出力する制御指示データ中の制御種別のデータの値は「車群走行」とする。また、出力する制御指示データ中の指示位相のデータの値として、参加した車群の車群代表車両Xから受信した指示位相のデータの値を採用する。このようになっていることで、同じ車群中に属する各車両の指示位相の値は同じとなる(すなわち共有される)。このようになっていることで、車群の外部からは、1つの車群を形成する車両を他の車両を明確に見分けることができる。
また、出力する制御指示データ中の後退灯点滅の有無の値は、参加した車群の中で自車両Zが最後尾であるなら、「後退灯の点滅有り」とし、結成した車群の中で自車両Zが最後尾でないなら、「後退灯の点滅無し」とする。
また、出力する制御指示データ中の前照灯点滅の有無の値は、参加した車群の中で自車両Zが先頭であるなら、「前照灯の点滅有り」とし、結成した車群の中で自車両Zが先頭でないなら、「前照灯の点滅無し」とする。
なお、車両Zが参加した車群中の他の車両X、Yの主制御部30も、自車両の位置関係を逐次更新し、上記のように、出力する制御指示データ中の後退灯点滅の有無の値、前照灯滅の有無の値を更新し、更新後の制御指示データを報知制御部21に出力する。
次に、1つの車群を形成して車群走行を行っている車両X、Y、Zの作動について説明する。車群走行を行っている車両X、Y、Zの主制御部30は、図11のステップ415で自車両が車群走行中であると判定すると、続いてステップ420で、車群走行中処理を実行する。
車群走行中処理において主制御部30は、図15に示すように、まずステップ710で、所定の車群代表車両変更のデータを受信したか否かを判定し、受信していれば、続いてステップ720で、車群代表車両を変更し、その後、車群走行中処理を終了する。なお、車群代表車両変更のデータは、後述するように、車群代表車両Xが車群を離脱する際に、車群代表車両Xから送信される。
ステップ720における車群代表車両の変更は、以下のように行う。すなわち、現在の車群内で、現在の車群代表車両の車両IDよりも大きく、かつ当該車両IDに最も近い車両IDを持つ車両を、次の車群代表車両とする。なお、IDの大小は、サイクリックに比較する。つまり、一番大きい車両IDの次に大きい車両IDは一番小さい車両IDであるとみなす。
所定の車群代表車両変更のデータを受信していない場合は、続いてステップ730で、所定の車群離脱のデータを受信したか否かを判定し、受信していれば、続いてステップ740に進み、受信していなければ、続いてステップ770に進む。なお、車群代表車両変更のデータは、後述するように、車群に属する車両が車群を離脱する際に、当該車両から送信される。
ステップ740では、現在の車群リストに記録された車両IDの数から1を減算した数、すなわち、車群離脱のデータの送信元の車両が車群から離脱した時点で当該車群に属する車両の数が、2以上であるか否かを判定する。2以上であれば、続いてステップ750で、車群離脱のデータの送信元の車両のIDを、車群リストから削除する。また、2未満(すなわち1)であれば、車群走行を終了する。すなわち、車群リストを削除し、制御指示データの制御種別を「無し」に変更し、変更後の制御指示データを報知制御部21に出力する。ステップ750、760の後は、車群走行中処理を終了する。
ステップ770では、車群離脱検査処理を実行する。この車群離脱検査処理においては、主制御部30は、自車両が他の車群まで100m以内に近づいた場合、車群から離脱するために、車群離脱処理を実行する。また、車群内の車両間の通信が困難になったら車群を解消する。すなわち、ステップ760と同様、車群走行を終了する。また、同じ車群内の他の車両から200m以上離れたら、車群から離脱するために、車群離脱処理を実行する。また、自車両のドライバーがスイッチ入力部26を用いて車群より離脱する旨の操作を行った場合、車群から離脱するために、車群離脱処理を実行する。また、自車両が高速道路のサービスエリアに入る走行を行った場合、車群から離脱するために、車群離脱処理を実行する。なお、自車両がサービスエリアに入ったか否かは、自車位置計測部23からの出力に基づいて特定した自車位置と、サービスエリアが存在する地理範囲の情報との比較に基づいて特定する。このために、車載機20は、地図データを記憶する記憶媒体を有し、その地図データ中に、サービスエリアが存在する地理範囲の情報が含まれるようになっていてもよい。
車群離脱処理において主制御部30は、図16に示すように、まずステップ860で、自車両が車群代表車両であるか否かを判定し、車群代表車両でなければ続いてステップ870で車群離脱のデータを、同じ車群に属する他の車両に送信する。また、車群代表車両であれば続いてステップ880で、車群代表車両変更のデータと、車群離脱のデータを、同じ車群に属する他の車両に送信する。なお、送信する車群離脱のデータおよび車群代表車両変更のデータには、自車両のIDを含める。ステップ870、880に続いては、図15のステップ760と同様に、車群走行を終了し、その後、車群離脱処理を終了する。
また、図11のステップ410で主制御部30は、路(センター12)から渋滞防止走行実施依頼等の指示を受けたと判定した場合、図15のステップ760と同様、車群走行(すなわち、車々間協議車群走行)を終了する。
なお、車群離脱処理を行った場合、および、車群走行を終了する場合は、主制御部30は、制御種別が「無し」のいずれかの値を取る制御指示データを、報知制御部21に出力する。これにより、報知制御部21は、車幅灯の点滅、後退灯の点滅、前照灯の点滅を終了する。
なお、上記の例では、車車間通信によって車群が生成されるようになっているが、路車間通信によって車群が形成されるようになっていてもよい。例えば、センター12の制御部12cが、高速道路1上のインフラ協調車両の位置に基づいて、それらインフラ協調車両中から1つの車群を形成する車両を複数抽出し、抽出した車両のIDから成る車群リストを生成し、その車群リストを、抽出した各車両に送信するようになっていてもよい。この際、制御部12cは、抽出した車両から車群代表車両を選び出し、車群リスト中の当該車群代表車両の車両IDに、車群代表車両である旨を示すフラグを関連付けて記録する。また、制御部12cは、車群リストと共に制御指示データを送信するようになっていてもよい。送信する制御指示データ中の制御種別のデータの値は「車群走行」とする。
このような車群リストおよび制御指示データを受信した各車両の主制御部30は、受信した制御指示データを報知制御部21に出力し、受信した車群リストを自身のRAMに記録することで、車群を形成し、その後は、車車間通信で車群を形成した場合と同様、図11の処理を繰り返し実行する。
また、報知制御部21は、既述の通り、図7にフローチャートで示したような処理を繰り返し(具体的には0.1秒周期で)実行しており、また、報知制御部21は、自車両が車群走行中である間は、制御種別のデータの値が「車群走行」となっている制御指示データを主制御部30から受信する。したがって、報知制御部21は、図7のステップ260で、制御指示データの制御種別のデータの値が「車群走行」となっていると判定し、続いてステップ275で、車群走行処理を実行する。
なお、車群走行中に、車群の指示位相が変化する場合がある。具体的には、ある車群の車群代表車両に搭載された主制御部30は、自車群に属する車両および他の車群に属する車両のそれぞれから送信された走行状況のデータを繰り返し受信する。そして、他の車群に属する車両から送信された走行状況のデータに基づいて、各車群の位置および指示位相の最新情報を取得して記録する。
そして、車群代表車両の主制御部30は、自車群に属する車両および他の車群に属する車両のいずれかから送信された走行状況のデータを受信する度に、前回の指示位相の修正時から1秒以上経過しているか否かを判定し、経過している場合は、自車群に最も近い2つの車群の指示位相A、Bを抽出する。そして、自車群の指示位相Cと2つの車群の指示位相A、Bとの位相差が大きくなるような方向に、自車群の指示位相を0.1だけ(すなわち0.1秒分だけ)変化させる。
ここで、自車群の指示位相Cと2つの車群の指示位相A、Bとの位相差の具体例として、例えば、「自車群の指示位相Cと指示位相Aの差」、および、「自車群の指示位相Cと指示位相Bの差」の、総和を用いてもよい。
なお、指示位相の値は、0.0、0.1、0.2、…、0.9、0.0、0.1…と巡回するサイクリックな数として扱う。したがって、指示位相の値が0.9であるとき、その指示位相を大きい方に0.1だけ変化させると、変化後の指示位相の値は0.0となる。また、指示位相Mと指示位相Nの差は、指示位相Mを大きい方に0.1だけ変化させる処理を繰り返して指示位相Nに到達するときの繰り返し回数をKとし、指示位相Mを小さい方に0.1だけ変化させる処理を繰り返して指示位相Nに到達するときの繰り返し回数をLとすると、KとLのうち小さい方であるとする。
そして車群代表車両の主制御部30は、このようにして更新した指示位相を含む制御指示データを、報知制御部21に出力する。またこの主制御部30は、このようにして更新した指示位相を、希望位相のデータとして、走行状況のデータに含めて繰り返し送信する。そして、車群代表車両と同じ車群に属する車両の主制御部30は、この走行状況のデータを受信し、受信した走行状況のデータに含まれる指示位相(希望位相)を抽出し、抽出した指示位相を含む制御指示データを、報知制御部21に出力する。このように、1つの車群において、車群代表車両が指示位相を変化させ、車群代表車両以外の車両が、その変化した指示位相を受信して採用することで、1つの車群に属する車両全体で一致して指示位相が変化する。
以下、車群走行処理の詳細について説明する。報知制御部21は、自車両が属する車群(以下、自車群という)の構成に応じて、2種類の車群構成処理のうちいずれかを実行する。具体的には、自車群が車間距離計測、自動速度制御機能なしの車載機のみから構成されている場合は、図17にフローチャートで示すような第1の車群走行処理を実行し、また、自車群が車間距離計測、自動速度制御機能付きの車載機のみから構成されている場合は、図18にフローチャートで示すような第2の車群走行処理を実行する。
第1の車群走行処理において報知制御部21は、まずステップ905で、GPS時刻を秒単位で表して小数点以下1桁未満を丸め、その丸めた値を変数Tとし、その変数Tから位相変数PHを減算して10倍し、その結果の整数の10を法とする剰余C1を算出する。したがって、剰余C1は、1秒という時間周期を10個の時間スロットに均等に分割したときに、現在時刻からPHを減算した値がどの時間スロットにいるかを示す値である。
そして報知制御部21は、剰余C1が0または1である場合(ステップ910→YES参照)、すなわち、現在時刻が1番目、2番目の時間スロットのいずれかに属する場合、ステップ915で、IR、IL、IK,IFに、それぞれ1、1、0、0の値を代入する。
また報知制御部21は、剰余C1が2から9のいずれかである場合(ステップ910→NO参照)、すなわち、現在時刻が3〜10番目の時間スロットのいずれかに属する場合、ステップ920で、IR、IL、IK,IFに、それぞれ0、0、0、0の値を代入する。
図7および図17に示したような処理を報知制御部21が0.1秒周期で実行するので、その結果、報知制御部21は、基本状態において、1秒周期で左右の車幅灯を図19に示すようなオンオフのパターン(以下、単にパターンという)で点滅させる。すなわち、左右の車幅灯を1秒周期で0.2秒間点灯させる。現在時刻を表す変数Tが位相変数PHに等しくなった時点で介するようになっている。このように、報知制御部21は、所定の長さの期間を1周期とし、その1周期内で所定のタイミングの点滅パターンで灯火器を点滅させ、各周期の開始タイミングは、位相変数PHによって決まる。
ここで、位相変数PHについて説明する。この位相変数PHは、主制御部30から受けた指示位相を反映させるための変数である。この位相変数PHは、自車両が車群走行を開始した後初めてステップ905を実行するときにのみ、主制御部30が初期化する。この初期化においては、位相変数PHを、指示位相に一致させる。
そして、上述の通り、指示位相が変化した場合、報知制御部21は、ステップ920で、剰余C1が3である場合、位相変数PHの調整を行う。この「ステップ920で、剰余C1が3である場合」とは、図17の車群走行処理が複数回実行されるなか、その複数回のうち3回(時間で言えば0.3秒)以上連続して、灯火器の点灯、消灯の状態が変化しない期間があれば、その期間の最初の回に相当する。このような回を選んで位相変数PHを調整することで、車両外から見て、灯火器の点滅パターンの変化が、点滅パターンの乱れがなく実現するように見える。
この位相変数PHの調整において、報知制御部21は、位相変数PHを、指示位相に0.1だけ近づけるよう、変化させる。ここで、位相変数PHの値も、指示位相と同様、0.0、0.1、0.2、…、0.9、0.0、0.1…と巡回するサイクリックな数として扱う。したがって、位相変数PHの値が0.9であるとき、その指示位相を大きい方に0.1だけ変化させると、変化後の指示位相の値は0.0となる。
そして、「指示位相に0.1だけ近づけるよう、位相変数PHを変化させる」とは、具体的には、位相変数PHを大きい方に0.1だけ変化させる処理を繰り返して指示位相に到達するときの繰り返し回数をKとし、位相変数PHを小さい方に0.1だけ変化させる処理を繰り返して指示位相に到達するときの繰り返し回数をLとすると、KがL以下であれば、位相変数PHを0.1だけ増大させ、LがK未満であれば、位相変数PHを0.1だけ減少させる。
このような位相変数PHの調整は、位相変数PHが指示位相に一致するまで続く。したがって、ある車群の車群代表車両が指示位相を変化させたときに、その車群に属する各車両において、灯火器の点滅パターンの位相が、指示位相まで、徐々に、かつ、点滅パターンが大きく乱れることなく、変化する。
次に、第2の車群走行処理について、図18を用いて説明する。なお、図18と図8において同一の符号が付されたステップは、互いに同一の処理を行うものであり、ここではそれらの詳細についての説明は省略する。
第2の車群走行処理において報知制御部21は、まずステップ1005で、GPS時刻を秒単位で表して小数点以下1桁未満を丸め、その丸めた値を変数Tとし、その変数Tから位相変数PHを減算して10倍し、その結果の整数の40を法とする剰余C1を算出する。さらに、剰余C1の20を法とする剰余C2を算出する。したがって、剰余C1は、4秒という時間周期を40個の時間スロットに均等に分割したときに、現在時刻から位相PHを減算した値がどの時間スロットにいるかを示す値である。
剰余C2が3から6のいずれかであった場合に実行するステップ1035では、図8のステップ335と同様、IR、IL、IK,IFに、それぞれ0、1、0、0の値を代入する。ただし、剰余C2が3である回は、図18の車群走行処理が複数回実行されるなか、その複数回のうち3回以上連続して、灯火器の点灯、消灯の状態が変化しない期間の最初の回に相当する。したがって、剰余C2が3である場合は、報知制御部21はステップ1035において、図17のステップ920と同様に、位相変数PHを、指示位相に0.1だけ近づけるよう、変化させる。
剰余C2が10から13のいずれかであった場合に実行するステップ1065では、図8のステップ365と同様、IR、IL、IK,IFに、それぞれ0、0、0、0の値を代入する。ただし、剰余C2が10である回は、図18の車群走行処理が複数回実行されるなか、その複数回のうち3回以上連続して、灯火器の点灯、消灯の状態が変化しない期間の最初の回に相当する。したがって、剰余C2が10である場合は、報知制御部21はステップ1065において、図17のステップ920と同様に、位相変数PHを、指示位相に0.1だけ近づけるよう、変化させる。
剰余C2が14または15であった場合に実行するステップ1075では、図8のステップ375と同様、IR、IL、IKに、それぞれ0、0、1の値を代入する。ただし、ステップ1075では、IFに1の値を代入する。これは、車群の先頭車両に前照灯を点滅させるための設定である。
剰余C2が16から19のいずれかであった場合に実行するステップ1085では、図8のステップ385と同様、IR、IL、IK,IFに、それぞれ0、0、0、0の値を代入する。ただし、剰余C2が16である回は、図18の車群走行処理が複数回実行されるなか、その複数回のうち3回以上連続して、灯火器の点灯、消灯の状態が変化しない期間の最初の回に相当する。したがって、剰余C2が16である場合は、報知制御部21はステップ1085において、図17のステップ920と同様に、位相変数PHを、指示位相に0.1だけ近づけるよう、変化させる。
ステップ388で肯定判定があった後、および、ステップ390を実行した後は、続いてステップ1091で、前照灯を点滅させるか否かを、最後に主制御部30から受けた制御指示データ中の前照灯点滅の有無の値が「有り」であるか「無し」であるかによって判定する。既述の通り、車群の先頭車両に搭載された報知制御部21においては、前照灯点滅の有無の値が「有り」であり、それ以外の報知制御部21においては、前照灯点滅の有無の値が「無し」である。
後退灯を点滅させる場合、続いてステップ1092をバイパスしてステップ393を実行する。後退灯を点滅させない場合、続いてステップ1092で変数IFにゼロを代入し、続いてステップ395を実行する。
ステップ393では、後退灯を点滅させるか否かを、最後に主制御部30から受けた制御指示データ中の後退灯点滅の有無の値が「有り」であるか「無し」であるかによって判定する。既述の通り、車群の最後尾の車両に搭載された報知制御部21においては、後退灯点滅の有無の値が「有り」であり、それ以外の報知制御部21においては、後退灯点滅の有無の値が「無し」である。
後退灯を点滅させる場合、続いてステップ395をバイパスして路指示走行処理を終了する。後退灯を点滅させない場合、続いてステップ395で変数IKにゼロを代入し、続いて路指示走行処理を終了する。
図7および図18に示したような処理を報知制御部21が0.1秒周期で実行するので、その結果、報知制御部21は、基本状態において、4秒周期で左右の車幅灯および後退灯を図9に示したようなパターンで点滅させる。また、自車両が車群の最後尾の車両であれば、2秒周期で後退灯を0.2秒間点灯させる。また、図9には示していないが、自車両が車群の先頭車両であれば、後退灯と同期して前照灯を2秒周期で0.2秒間点灯させる。
このとき、このような4秒の周期の開始時期は、指示位相を反映する位相変数PHによって決まる。そして、既述の通り、指示位相および位相変数PHは、同じ車群内では一致しており、異なる車群間では異なる。つまり、1つ車群における灯火器を用いた報知表示では、その車群中の全車両が同期して点滅し、他車群では点滅周期の位相が異なる。
しかも、各車群において、近くにある車群とは指示位相が大きく離れるように指示位相が変化する。したがって、車群を構成しない一般車両のドライバーは、灯火器の点灯タイミングのずれで車群の違いを見分け易くなる。これにより、例えば、一般車両のドライバーにとっては、前方にいるのは2つの車群で、近い方の車群を追越せば、左車線に入ることが可能などの判断が容易となる。
このような、左右の車幅灯がタイミングをずらして点滅するような作動は、従来の車両の操作では実現不能であった。また、後退していないにもかかわらず後退灯が点滅するような作動は、従来の車両の操作では実現不能であった。また、従来の車幅灯、前照灯、後退灯は、制動灯、方向指示器などと異なり、運転により頻繁に点灯状態が変化しない。したがって、規制走行車両の後方を走行する一般車両のドライバーは、規制走行車両がセンター12の指示に従って走行していることを容易に把握することができる。
また、夕方、夜間等に車幅灯および前照灯が通常の目的に使用されている場合は、左右車幅灯および前照灯の点灯、消灯のタイミングが基本状態とは逆になる。つまり、左右車幅灯および前照灯の点滅タイミングのオンオフのパターンが反転する。
このようになっていることで、通常の目的以外の目的(すなわち、車両の外部から車両の走行内容を指示する指令を受信して路指示走行していることを周囲の他車両のドライバーに報知する)で灯火器を使用しているときにも、通常の目的以外の目的と、通常の目的(周囲が暗いときに車両の車幅を強調する)を共に実現しつつ、それら灯火器を使用することができる。
(変形例)
ここで、上記実施形態の変形例について説明する。上記実施形態においては、報知制御部21が周期的な点滅パターンおよび点滅パターンの位相を制御した灯火器として、車幅灯、前照灯、後退灯が示されているが、これら以外にも、番号灯または制動灯の周期的な点滅パターンおよび点滅パターンの位相を制御するようになっていてもよい。
また、上記実施形態においては、車群走行時に、灯火器の周期的な点滅パターンの位相を、車群間で異なるよう、制御している。しかし、路指示走行時にも、灯火器の周期的な点滅パターンの位相を、規制走行車両間で異なるよう、制御するようになっていてもよい。
(実施形態の補足説明)
以下、上記実施形態を補足説明する。
<<解決すべき課題>>
1.高速道路渋滞:車群サイズ、車間距離の劣化
高速道路サグ部などでの自然渋滞には車間距離過小、車群過大が影響する。
交通流が増加すると、車群サイズの巨大化、車速を安定させることができない車間距離となって来る。車群のサイズが大きくて車間距離が不安定になると減速波が拡大伝播して渋滞を引き起こす。文献「西村光司 : 高速道路サグ部における交通現象の解析、日本大学大学院理工学研究科修士論文、2000年3月.」によれば約80km/Hで走行しているときのほうが50km/H以下で走行しているときより3割以上交通量が多い。低速になると、道路が流せる車両数が減少する。このことが、自然発生渋滞を引き起こす。この渋滞は、車群サイズ、車速、車間距離の適正化を行うことにより軽減できる。このため、インフラ協調を利用して、交通流の制御を行うことが考えられる。しかし、インフラ協調機能を搭載した車両は少なく、非搭載の車両が多いため、非搭載車両への対応が必要である。
2.インフラ協調車両交通流制御走行中の表示
インフラ協調機能を搭載した車両が交通流を制御すべく車速を落とし車間距離を増やすと、インフラ協調機能非搭載車両に不信感を抱かせ、無理な追い越などが発生する危険がある。これを防ぐためには、インフラ協調車両が交通流制御走行を行っていることを周辺車両に知らせると良い。前記の目的で専用の表示機を車両に搭載すると、コストアップとデザイン性の低下を引き起こす。
<<解決方法>>
1.高速道路渋滞防止:車群サイズ、車間距離の適正化
路側インフラで車両密度、車速、車間距離を計測。更に、インフラ協調車両の台数、位置、目的地と能力(車間距離計測器機能、自動速度制御機能、自動進行方向制御機能の有無)を収集。交通量が少なく、渋滞発生の可能性が少ないときは、交通の制御は行わない。交通量が多く、渋滞発生の可能性が高いときは、インフラ協調車両を制御し車群サイズを適正値にする。この車群サイズの適正化で、減速波が渋滞を起こすほど拡大する前に車群から抜けてしまうようにする。
車群間距離と車速は路側インフラで決める。この車群間距離により、前の車群から増幅して放出された減速波を車群間距離の中で減衰させる。車群サイズが大きいときは車群間距離を大きくする。
車速は80km/H程度とする。これは、運転者の特性と路の環境により適正値が変動するので、過去のデータを蓄積し、そのデータより指令値を決める。路側インフラは通信手段を使用して、この指令を、インフラ協調車両に出す。この指令に従い、インフラ協調車両が交通を制御する。このとき、路側インフラは「交通量増大のため交通制御中」であることを路側掲示板などで表示する。
2.インフラ協調車両交通流制御走行中の表示
インフラ協調車両が交通を制御するための走行をしているときは、車幅灯を左右交互に点滅したり、複数の車両が同期して車両灯火器を点滅させたりする。これにより、新たな表示用灯火器を車載することなく、インフラの指示による走行中であることを周辺車両に報知表示できる。
<<表示の例>>
1.路指示走行
路からの指示で走行していることを周辺車両に報知表示するための灯火点滅例を図20に示す。4秒周期で左右の車幅灯を点灯。2秒の間に0.3秒の点灯を2回と、2秒の間に0.6秒の点灯を左右交互に点灯する。GPS時刻と同期して点滅。上記4秒周期が、GPS時刻の0,4,8,・・・の時刻から開始する。左右の車幅灯が同時以外に点滅は、車両操作では実現不能。車幅灯は制動灯、方向指示器などと異なり、運転により頻繁に点灯状態が変化しない。夕方などで車幅灯を付けた状態のときは、上のon/offを逆にする。
2.規制走行
路からの指示での走行で、周辺車両への規制を目的とする走行時の灯火点滅例を図21に示す。「路指示走行」表示に後退灯の点滅(2秒周期で0.2秒点灯)を追加する。後退灯と一緒に制動灯を点滅しても良い。車幅灯点灯状態での車幅灯点滅は図21からon/offを逆にする。後退灯は図21通りとする。
3.通常車群走行
高速道路内で、車々間通信手段を備え、車間距離計測器機能、自動速度制御機能の無い車両が車群走行を行うときの灯火点滅例を図22に示す。1秒周期で0.2秒点灯する。GPS時刻から位相指示で決められた時間だけ遅れた時刻で点滅を行う。位相が0.5秒なら、GPS時刻0.5、1.5、2.5・・・秒から点滅を開始する。同じ車群では、同じ位相で点滅する。車幅灯点灯状態での車幅灯点滅は図22からon/offを逆にする。
4.自動の車群走行
高速道路内で、車々間通信手段を備え、車間距離計測器機能、自動速度制御機能が付いた車両が車群走行を行うときの灯火点滅例を図23に示す。規則対応規制走行」に類似のパターン。GPS時刻から位相指示で決められた時間だけ遅れた時刻で点滅を行う。位相が1秒なら、GPS時刻1、5、9・・・秒から点滅を開始する。同じ車群では、同じ位相で点滅する。先頭車両は前照灯も点滅。最後尾車両は後退灯も点滅。先頭車両の前照灯、最後尾車両の後退灯以外の前照灯と後退灯は消燈。車幅灯点灯状態での車幅灯点滅は図23からon/offを逆にする。前照灯点灯状態での前照灯点滅は図23からon/offを逆にする。
<<実施例:本考案利用システム>>
1.高速道路渋滞防止:車群サイズ、車速、車間距離の適正化
図24で示すように、高速道路サグ部など渋滞多発部に路側インフラを設置し、車両密度、車速、車間距離を計測する。更に、インフラ協調車両の台数、位置、目的地と能力(車間距離計測器機能、自動速度制御機能、自動進行方向制御機能の有無)を検出する。
事前計測部では交通量とインフラ協調車両の位置を計測する。制御区間の約2Km前に設置する。制御区間には約500m間隔で路側機を設置し、インフラ協調車両との通信と交通状態の計測を行う。路側インフラは路側機より得た最新の状態に基づいた情報でインフラ協調車両への指示を求め、車両に指示を送る。更に、交通量、車速など交通情報を記録し、将来の制御最適化に備える。位置による交通状況の変化が激しいところ、高い精度で制御を行わなければいけないところなどには路側機を高密度で設置する。
交通量が少ないときは(文献「西村光司 : 高速道路サグ部における交通現象の解析、日本大学大学院理工学研究科修士論文、2000年3月.」のデータから求めると車線当り2,000台/H以下)交通流制御は行わない。路側インフラがこれ以上の交通量になることを予想したら、車群を先導するインフラ協調車両を選定する。車両側ではインフラ協調用通信装置を取り付けたとき、車両を始動したときや高速道路に入る前などに車群先導走行の許可/拒否を設定し、車両側より路側インフラに通知する。前記車群を先導するインフラ協調車両の選定は設定と車両の目的地への経路が交通制御対象の道路かを加味する。車群のサイズは車線数×20以上で、可能な範囲で小型にする。
路側インフラは後述の図57に示す処理を繰り返し実行する。事前路側機の計測で車線当りの交通量が2000台を超えたら、インフラ協調車両に規制走行を行わせ、車群を小型化する。規制走行車両が、途中でサービスエリアに入るなどで、規制走行から離脱することがある。車群の中の車両が、規制走行車両を左側から追越すこと、低速走行車両が現車群から脱落して後ろの車群に移ることなどが発生し、車群のサイズは刻々と変動する。このため、繰り返し、全路側機で最新のデータを収集し、規制走行を行う車両を決める必要がある。この処理により、路側インフラはインフラ協調車両に規制走行を行うように指令を出す。
現状では、通信指示に従った制御や自動制御の車間距離は、人間が指示なしに制御する車間距離より大きい。このため、規制走行車両が多くなると、平均車間距離が大きくなる。車群サイズの下限を設けるのは、この平均車間距離増加による交通量が減ることを防ぐためである。
交通規則か宣伝により、左側からの追い越を禁止し、規制を行うインフラ協調車両は一番右側の車線を走行する。車速は83km/Hを基本とする。同時に路側インフラは路側表示器により全車両に「交通量増大のため交通制御中」を通知する。
この結果、図25のように車群の分断と車間距離の確保が実現する。これにより、前の車群で発生し、拡大伝播した減速波は、インフラ協調車両が作った大きな車間距離の中に吸収され、次の車群には伝わらない。車群の中に過大車間距離確保など異常運転を行う車両が多数存在し、車群長が予定車群頭間隔より大きくなったときは、前の車群で発生した減速波が次の車群に伝わるが、通常は次の車群との間で吸収される。
ここでは、2車線の高速道路を仮定しており、最大の交通量は2700台/H/車線(83km/H)、渋滞時交通量は2000台/H/車線(33.3km/H)とする。制御目標は2200台/H/車線(83km/H)、車群サイズは40台590m、車群頭距離は754m(前の車群最後尾の車両と次の車群先頭車両との間の距離は164m)としている。この制御により、渋滞を回避し、渋滞時の2倍以上の速度で、少ない加減速で、低燃費で走行できる。
車群頭距離は車々間通信を利用して、前の車群を先導しているインフラ協調車両の位置を入手し、自車との位置の差より求める。この車群頭距離を一定になるように制御する。これにより、車群の速度変化が低遅延時間で後続の車群に伝わり、車群と車両の速度制御を安定化できる。事故などによる渋滞からの復帰が短時間・広域・円滑に実現できる。
インフラ協調車両が、今後、路側インフラから通信不可能なエリアに入る恐れがあるため、インフラ協調車両に与えた指示の有効時間・距離も通知する。
インフラ協調車両が車群規制走行を始める前に、相互の位置を調整するのも良い。その理由はインフラ協調車両を適切な位置に配置し、規制車群のサイズを適正にするためである。
車間距離計測機能と自動速度制御機能のある車両は、路側インフラから指示車速と前車群先導インフラ協調車両のIDとその先導車両までの指示距離情報を受け、前の車群先導インフラ協調車両から車両位置と速度を入手する。インフラ協調車両は自動で走行し、指示車速走行を原則とする。ただし、車間距離の減少か前車群先導インフラ協調車両との間隔減少が発生したときは減速する。左側の車線を指示車速以下で走行している車両は追越す。
自動速度制御機能の無い車両も、路側インフラから指示車速と前車群先導インフラ協調車両のIDとその先導車両までの指示距離情報を受け、前の車群先導インフラ協調車両から車両位置と速度を入手する。車両は前記情報を加工して加速か減速の依頼を運転者に表示する。運転者はそれに合わせて走行する。ただし、車載装置も路側インフラも前車群の最後尾に追突しないような援助は行えない。このため、追突防止は運転者が行う。
有効時間・距離の超過か路側インフラからの指示で規制走行が終了したときは、車両より運転者にその旨を音と表示で通知し、これに従い運転者は通常走行を開始する。これにより、車両は周辺車両に対する報知表示を終了し、自動速度制御などは路側インフラからの制御を終了する。サービスエリアに入るなど路側インフラへの申告と異なる走行を行うときも規制走行は終了する。路側インフラへの申告と異なる行動を取るときはSW押下などにより、早めに路側インフラに予告し、路側インフラが円滑な移行指示を他のインフラ協調車両にできるようにすると良い。
インフラ協調車両が規制走行を行っていると、後続の一般車両から、前車との車間距離が空いているのに車速を上げないインフラ協調車両の動きを不審に思い、無謀な追越しなどを試みる可能性が高まる。この不審感を取除くために、路からの指示で走行しているインフラ協調走行中車両であることを報知表示する必要がある。このときは、図21のように車幅灯などを、通常時には起きないパターンで点滅させて、これを報知表示する。
これらインフラ協調車両の高速道路渋滞防止走行の処理フロー(フローチャート。以下同じ)は後述の図47〜図58に示す。
左追い越し禁止が徹底されていないときは、図26に示すようにインフラ協調車両が2車線に跨って走行すると良い。2車線以上の道路では複数のインフラ協調車量が横一列になって規制走行を行う必要がある。
インフラ協調車両が2車線に跨って走行中に無謀追い越が多発するときは図27に示すように、インフラ協調車両を全車線横一列に配置して規制走行を行うと良い。
このときは、後続車両による追い越しは困難となるため、インフラ協調車両が規制走行中であることを周辺車両に知らせる表示は図20でよい。
横一列インフラ協調車に先導された車群が、異常低速車両を追越すときは、図28で示すように、インフラ協調車両が連携し、一般車に先立って低速車両を追越し、再度横一列になって一般車両の先導を行う。車群の左側最後尾の車両は右側に移り、右側走行車両は左側が空いたら左側に移動することにより、異常低速車両をやり過ごすと良い。
1車線道路で交通集中時には、図29で示すように、インフラ協調車の先導で2列走行を行う。
このときは車速を60km程度にし、追越し禁止とし、危険無く2列走行できるようにする。路側の電光掲示板などで2列走行指示中を示すと良い。インフラ協調車両で車群分割ができているため、車群の途中で1列走行と2列走行の指示が変わることが無い。このときは、図20のように車幅灯などを、通常時には起きないパターンで点滅させて、これを報知表示する。
一般車両が2列走行中であっても、大型車は2台分の幅を利用して1列で走行する。原則として追越し禁止であるが、2列走行中に異常低速車両が居たときは、図30に示すように、車群の左側最後尾の車両は右側に移り、右側走行車両は左側が空いたら左側に移動することを許可・推奨し、異常低速車両をやり過ごすことを周知すると良い。
車群の前に異常低速車両が居たときは、図28の方法で追い越すか、追い越しを行わず、その車両についていき、登坂車線などの2車線区間で追越す。
1車線区間の途中に登坂車線、追越し車線があれば、路側インフラの管制機能は、そこを区切りとして1列走行か2列走行を選択する。故障車が路肩駐車している区間では2列走行は行わない。これにより、インフラ協調車を利用して片側1車線の高速道路での渋滞を安全に防止できる。
インフラ協調車両の数が少ないと、車群の細分化が困難になるが、インフラ協調車両無しのときよりは渋滞を防ぐことができる。インフラ協調機能付きパトカーなどを走らせ、渋滞を防ぐのも良い。
インフラ協調車両は路側インフラからの指示が安全のため減速が中心となる。このため、通常の車両より遅くしか走れなくなる可能性が高い。これでは、購入・使用する動機が少ない。そこで、インフラ協調車両の高速道路使用料を割引く、車両税を割引く、車両が指定している口座などに補助金かポイントを付与するなどして、インフラ協調車用を増やすと良い。
ポイント・補助金は
・規制走行の実施回数、距離
・規制走行参加で規制実施中の制御区間を走行した回数、距離
・規制走行参加で渋滞予想時間帯に制御区間を走行した回数、距離
・規制走行参加で制御区間を走行した回数、距離
・規制走行参加で走行した距離
などで決めると良い。インフラ協調車再起を装着することに対して助成金を出すのも良い。
自動速度制御機能、自動進行方向制御機能付きインフラ協調車両はハプティックアクセルペダルを装着すると良い。規定値以上の力で踏み込みか踏み戻しを行わないと、車両の決めたアクセル量で加減速を行う。規定値以上の力を加えて自動速度制御を無効にすると、路からの指示と異なった走行を希望したと認識し、インフラ協調走行中で無いことを、運転者と周辺車両に知らせる。サービスエリアに入るなど路側インフラに申告した走行から離脱するときは、その意思をSW操作などで事前に車両と路側インフラに伝えるのが好ましい。これにより、インフラ協調走行の他インフラ協調車両への引継ぎと自車両の離脱を路側インフラが制御し、円滑な離脱を実現できる。インフラ協調走行から抜け、他の自動速度制御(一定速走行など)も行わないときは、ハプティックアクセルペダルからアクセル操作量を誘導する力が消え、通常のアクセルペダルにする。このアクセルペダルは、図31で示すように、踏み込みだけではなく、踏み戻しもできるものである。
2.高速道路合流部の渋滞防止
インフラ協調を利用して、高速道路合流部での渋滞発生を防ぐ方式である。
図32で示すように、インフラ協調車両を使って合流車線と本線の車群を制御し、本線走行車線部に空きスペースを作り、そこに合流車線からの車群を同期挿入することにより、円滑な合流を実現する。
このときは、図20のように車幅灯などを、通常時には起きないパターンで点滅させて、これを報知表示する。
インフラ協調対応車両が少ないときは、合流車線側に信号を作り、合流車線側の車群を制御すると良い。本線側の合流点より上流側は左への車線変更を禁止することにより、確実に合流車線から来る車両を挿入できる空間を確保すると良い。
交通量が多いときは、車群のサイズを大きくして、本線車群と合流車群の間にできる空スペースの影響を減らす。交通量が少ないときは、両方の車群を小さくし、車群形成時の渋滞感を減少させる。交通流が制御不要なだけ少ないときは、本制御自体を行わない。
3.高速道路内通常車群走行
車々間通信手段を備え、車間距離計測器機能、自動速度制御機能の無い車両が車群走行を行うとき、ブレーキ操作などの情報を共有すると良い。これにより、通信による情報共有ができない車両と一緒に走るより安全且つ円滑な走行が可能となる。
車群の標準としては、7台が車頭30m間隔(全長180m強)で80km/Hで走行を考える。車群の中では、どの車両とも通信可能とする。このときは、図22のように車幅灯などを、通常時には起きないパターンで点滅させて、周辺車両に車群走行を行っていることを報知表示する。これにより、周辺車両は車群内の個別車両の走行を車群として見ることができ、単独では異常と思える走行も理解でき、車群の間に割り込むことを避けるようになる。
車々間通信手段を備え、車間距離計測器機能、自動速度制御機能の無い車両同士が接近したとき、車両は車群形成の同意を運転者に聞く。両方の車両運転者がSWなどの操作で、車両に車群形成に同意/非同意を伝える。事前に車両運転者が車両に車群形成の同意か非同意を設定しておくことも良い。両車両が車群結成を合意すると、車両が車群走行状態になったと認識し、車両は通常車群走行の報知表示を開始し、その旨を車両は運転者に表示などで通知する。このとき、自車両と他車両の位置関係も表示する。後続車両運転者は前方仲間車両の直後を追従して走るように運転する。車群走行は最も左側の走行車線上を一般車両より少し遅い速度で走るのが望ましい。
車群に属さない車々間通信手段を備え、車間距離計測器機能、自動速度制御機能の無い車両が車々間通信手段を備え、車間距離計測器機能、自動速度制御機能の無い車群に接近したとき、車両は車群形成の同意を運転者に聞く。車両運転者がSWなどの操作で、車両に車群形成に同意/非同意を伝える。事前に車両運転者が車両に車群形成の同意か非同意を設定しておくことも良い。車群形成同意となると、車両が車群に参加したと認識し、車両は他車両などに向け通常車群走行の報知表示を開始し、その旨を車両は運転者に表示などで通知する。
車群のサイズは余り大きくしない。10台以下が望ましい。車両が車群のサイズが設定値を越えないように、新規車両の車群への追加を認めなくする。
車間距離計測器機能、自動速度制御機能の無い車両の車群同士の追越しは行わず、車群が入り組まないように、車両は運転者に警告を提示する。前の車群を追越す必要がある車両や現在の車群についていくことを止めたい車両は、現在の車群から抜ける。
車群の報知表示は全車両が同期して点滅する。別車群は点滅周期の位相をずらす。これも、車々間通信を利用し、一般車両が別車群であることを認識しやすい位相差を選ぶ。これにより、一般車両は、前方に居るのは2つの車群で、近い方の車群を追越せば、左車線に入ることが可能などの判断が可能となる。
走行車線走行中に、異常低速車両に追いついたときは、先頭車両が右の方向指示器を点滅させる。これを車々間通信で受信し、運転者は車群の異常低速車両追越しを理解する。このときは、最初に最後尾の車両が右車線に移り、前の車両の車線変更を援助する。このとき、後続車両は右車線に移った車両が加速しないことに不快感を持つ可能性がある。しかし、図22に示すような、車群走行中の報知表示があれば、状況を理解でき、不快感の解消に役立つ。最後尾の前の車両は暫く左車線を走り、車群が低速車の追越しを断念して、左車線に戻ることを可能にする。これらは、各車両の運転者の判断で行う。
交通集中が発生したり、インターチェンジに近づいたりして、渋滞防止走行が必要と路が判断したときは、路よりインフラ協調車両にその旨が伝えられ、車群走行を中止し、分かれて渋滞防止走行に移る。
車群内の車々間通信は0.1秒周期で400チャンネルを時分割で使用して行う。各無線端末(車両)は自身で受信を行った結果の空きチャンネルを使用する。使用チャンネル数は車群内の車両数より2割ほど余分に確保し、各車両で順に使用チャンネルを回していく。例として、図33に、3台が4チャンネルを使用する場合を示す。
ここでは、a,b,c,dの4チャンネルを1,2,3の3台の車両(端末)で使用しており、0.3秒で4回通信を行っている。各端末からの報知データの中に、別端末からのデータが正常に受信できたかを示すフラグを含める(この例では2bit)。これにより全端末で正常に通信できないチャンネルが出たら、そのチャンネルの使用を止め、別の空きチャンネルを探して、そこに移る。各端末は、送信タイミング以外は受信を行っており、他の端末がどのチャンネルに移っても確実に受信を行う。これにより、高信頼、高速のテータ通信を確立する。
4.高速道路内自動速度制御車群走行
車々間通信手段を備え、車間距離計測器機能、自動速度制御機能が付いた車両が車群走行を行うと、短車間距離で安全・高密度の走行が可能となる。車群内の全車両のブレーキなどの情報を車々間通信により共有し、より安全な走行にする。
技術の向上と運転者の感覚の変化により人間が運転するときより車間距離を減少させ、高密度走行を実現すると良い。
ここでは、高級普通車11台が車頭15m間隔(全長150m強)で100km/Hで走行を考える(通常の2倍強の密度)。車群の中では、どの車両とも通信可能とする。
自動速度制御車群は通常車群を追越すことを許すと良い。自動速度制御車群同士の追越しは禁止する。
自動進行方向制御機能付きの車両では、車群の車線変更が無い間は先行車両の軌跡をトレースするように走行する。自動進行方向制御はハプティックステアリングを使用し、規定値以上の力を加えないと車両が希望する方向に進行するようにすると望ましい。自動進行方向制御機能が必要とされている間は、車両が希望する方向にステアリングを引き込む力を発生させる。車群から抜け且つ他の自動進行方向制御も使用しなるなどで、自動進行方向制御機能が不要となると、進行方向を誘導する力はなくす。車群が車線変更を行うときなど自動進行方向制御を継続できなくなるときは、事前に運転者に警告を開始し、運転者がステアリングを押すなどの操作で自動進行方向制御中止了解を伝えると警告を解除する。
自動走行では、運転者の覚醒度が低下する危険が有る。車群内の全車両を定期的に先頭車に入れ替え、運転者の覚醒度を向上させる。車群の構成上、入れ替えが困難なときは、時々単独で別車線を自動制御無しで走らせとも良い。車群は左走行車線を一列になって走行することを基本とする。
インターチェンジ出口に近づいたら、複数車線を使用して車群を短くし、一般車が出口に侵入することを妨害しないようにする。車群が大きすぎ、複数車線を利用しても長さを十分短縮できないときは、全車線を利用して一般車が車群の右を走らないようにする。
自動速度制御車群は高密度なため、車群の解除はさける。これは車群の解除が、交通流の増加と同じ効果を及ぼし、渋滞を誘導する可能性があるからである。このため、最低限の分割ですます。渋滞防止の動作も、単独の車両ではなく、車群で行う。
車群が複数車線を占拠するときは、各々の車線で先頭になる車両は先頭車両の報知表示を最後尾車両は最後尾車両の報知表示を行う。これは車線移行開始時点から始まる。一般車に割り込まれ、車群が分かれたときは、分かれた車群の先頭と最後尾も同様な報知表示を行う。
車群の車線変更は、最後尾の車両が最初に車線を変更し、移る先の車線を確保し、最後尾前の車両が元の車線を確保して、車線を移る。車線変更に不具合が発生したときは、元の車線に戻る。
右側車線を走行中の一般車が左の方向指示を点滅させたときは、一般車の左前方の車群車間距離を大きく開け、一般車が左車線・出口などに移れるようにする。登坂車線を走行中の車両が右の方向指示を点滅させたときも同様にする。
インターチェンジなどの合流地点に近づいたら、路と連動して、左車線を空け、合流部の渋滞防止動作を取る。
インターチェンジから出口に向かうなど車群から離脱するときは、車群と別の車線に移るまで、自動速度制御を続ける。これは、車間距離が短く、運転者からの干渉で車間距離制御が乱されることを防ぐためである。
自動速度制御車群走行では車間距離が短く、運転者の視界が悪い。そこで、カメラを利用して車群周辺の画像を撮り、通信でその画像を共有し、運転者に表示すると良い。レーダの情報を重ねて表示すると、更に効果的となる。図34にしめすように、先頭車両は前方画像、中間車両は側面画像、最後尾車両は後方画像を撮る。
各車両の現在と過去の前方画像より自車が走っている部分を含めた道路画像を得て道路の画像も共有する。このとき、現在見えている部分はカラーで、過去の画像より生成した部分は白黒で表示する。図35にしめすように、各車両の位置も、車両の外形を道路に投影した図で表示する。
この例では上に後方を見た絵、下真ん中は前方の絵、下の左右には車群全体の左右の絵を表示している。車群走行中の仲間の車両は、道路に張り付いた四角で示している。この例では、自車の前に3台、後ろに2台の仲間の車両が車群となって走行している。この表示により、車群全体の周辺状況が分かり、視界が不良な車群での運転が楽になる。
車群の中にカメラ付きとカメラ無しの車両が混在したときは、先頭車両・最後尾車両・等間隔に中間車両をカメラ付きにして、有効な画像を増やす。
車群の構成はカメラの有無ではなく、車両のサイズ順(小型車、中型車、大型車)にするのもある。大型車の真ん中に小型車が短車間距離で挟まれて走るのを防ぐためである。
レーダで周辺の障害物の距離と大きさを認識する機能を持っている車両は、周辺の障害物を四角形で近似して他車両に送ることにより、通信データを減らすと良い。
5.信号交差点円滑走行
路車間通信により路側から信号色の変化時刻を入手し、減速・停止や加速を最小限にして信号交差点を通過することができる。このときも、後続の一般車両から、前車との車間距離が空いているのに車速を上げないインフラ協調車両の動きを不審に思い、無謀な追越しなどを試みる可能性が高まる。この不審感を取除くために、路からの指示で走行しているインフラ協調走行中車両であることを他車両に向けて報知表示する。
車速は、運転者への表示などの提示で制御しても良いし、自動車速制御付き車両では自動で行っても良い。
直進、右左折により交差点への進行速度が異なるときは、本制御は行わない。これにより、右折車両が低速走行を行い、直進車の走行を妨害するなどを防ぐ。片側複数車線の道路で、他方向に行く車両を妨害する可能性が低いときは、運転者に円滑に走行できる速度の表示を行い、他車両に向けたインフラ協調走行中の報知表示は行わない。進行方向別車線に入ったら、車速の制御を始め、報知表示も開始する。渋滞などで希望通りの走行が不可能なときは、路は本動作の中止を指示する。
6.事前整列交差点円滑走行
右折車両が交差点を塞ぎ、渋滞を作ることがある。路車通信で右左折車両を集めて交差点に進入させて、効率的に交通させることができる。このために、交差点手前の道路拡張が容易な部分に、図36にしめすように、インフラ協調車専用の車線を設け、インフラ協調機能を持った右左折車両を集める。目的地設定を行っていないインフラ協調車両は本制御の対象とはできないので、本サービスを受けるときは、目的地を設定し、指示通りに走る必要がある。
右折車両が多く、退避車線の容量が少ないときは、左折車両は一部しか集めないかまったく集めない。これは、交差点の形状にもよる。図28に示すような交差点進入道路形状が右左折車両同時投入、同時右左折可能なときは、右左折両方の車両を集めると良い。
しかし、図38のような、右左折両方の車両を集めても、交差点を流せる車両数が変わらない交差点のときは、右折車両だけを集めた方が良い。
この車群を路からの指示で交差点への進入を開始させ、この車群が交差点に到着と同期して信号色を直進禁止に変え、効率的に車両を流す。朝夕などのラッシュ時には交通のネックになる交差点では右折禁止にして、インフラ協調で整列した車両のみ右折を許可する。事前整列は道路状況、車の流れなどから、片方向だけでも良いし、両方向行っても良い。信号色とインフラ協調車両が交差点に進入するのとの完全な同期は困難。特に、両方向とも事前整列を行い、事前整列場所から信号交差点までの距離が長いときは誤差が出やすい。このような時は、早く来すぎたインフラ協調車に信号交差点で右折待ちをさせることで解消できる。信号が直進不可・左折可になったら右折インフラ協調車は進行を始める。これにより、インフラ協調車両が効率的に交差点を通過することができる。バスにインフラ協調機能を入れ、バス路線にインフラの整備を行い、この制御を行うと良い。
6.交差点円滑発進
インフラ協調車両が赤信号で停車するとき、適切な車間距離を持って停車し、青信号に変わったら、適切なタイミングで車間距離を詰める形で発進し、後続車の発進遅れを防止し、急加速無しに、青信号の間に通過する車両を増加させる。
目標を10m/S(36km/H)車頭間距離10m、交通量3600台/Hとすると、停止位置は「前にいる車両台数×10m」、発進タイミングは青信号になったと同時、交差点通過速度は10m/Sとなる。交差点信号青への変化は、路車通信によって知らせ、見通しが悪いときでも良好な発進ができるようにする。安全最高交通量は地域、時刻、天候などにより異なるので、それらに順応した制御を行うと良い。
<<機能>>
1.道路を高効率・円滑・安心・安全に路車・車々間通信を利用して走行する。
2.交通を高効率・円滑・安心・安全に誘導するように、周辺車両に走行状態が分かるように灯火器を点滅する。
3.道路の効率改善をポイント付与などで路車・車々間通信機能付き車両に還元する。
<<効果>>
1.渋滞の解消、円滑交通により、道路の価値を低コストで向上する。
2.渋滞を解消することにより、車両運転者は急加減速無く円滑低燃費で目的地への短時間到着が可能となる。
3.道路が交通の改善で得た利益のポイントなどでの還元で、路車・車々間通信機能付き車両の所有者が利益を得る。
以下、図面について説明する。車載機の構成例を図39に示す。各ブロックの機能は以下である。
・路車・車々間通信機
路及び他車からの通信を受信し主制御に伝える。
主制御からの情報を路及び他車に送信する。
・自車位置計測
自車位置を計測し、主制御に通知する。
・車速計測
車速を計測し、主制御に通知する。
・SW入力
運転者のSW操作を、主制御に通知する。
・運転者向け表示
主制御からの情報を表示し、運転者に伝える。
・主制御
本装置の基本制御を行う。
・報知制御
主制御からの指示に従い、後退灯制御入力を加味して、後退灯などの点灯を制御する。
・後退灯制御
本装置がないときの後退灯点灯信号。
・車幅灯制御
本装置がないときの車幅灯点灯信号。
・前照灯制御
本装置がないときの前照灯点灯信号。
車間距離計測、自動速度制御機能付きの車載機の構成例を図40に示す。図39に前方車間距離計測、自動速度制御と自動進行方向制御を追加したものである。図39に無いブロックの説明を以下に示す。
・前方車間距離計測
先行車との車間距離を計測し、主制御に通知する。
・自動速度制御
ハプティックアクセルを内蔵。
主制御から送られてくる目標車速に合わせて、アクセルを制御する。
運転者のアクセル操作を主制御に通知する。
・自動進行方向制御
ハプティックステアリングを内蔵。
主制御から送られてくる目標進行方向に合わせて、ステアリングを制御する。
運転者のステアリング操作を主制御に通知する。
路側インフラの構成例を図41に示す。
各ブロックの機能は以下である。
・路側機
道路上の測定地点を走行する車両の速度、大きさ、通過時刻の計測
付近のインフラ協調車量との通信
・センター
路側機の測定データを元に、交通制御内容を決め、路側機を通して指示をインフラ協調車両に送る。
図39及び図40の報知制御ブロックのフローを図42に示す。ステップ2010は報知制御ブロックで実施される。ここでは、主制御から報知制御への指示データは、IR、IL、IK、IFとしている。
GPS受信時は「GPSの時刻」、GPS受信不能時は「最後にGPS受信時の時刻から内部時計で経過時間を加えた時刻」が100mSで割切れる時刻になったときに起動される100mS周期処理。車幅灯などの点滅を制御する。
図42の路指示走行処理の詳細を図43に示す。路からの指示に従って走行するときの車幅灯等の点灯を決める処理である。4秒周期で点滅するが、前半2秒と後半2秒は車幅灯の左右を入れ替えればよいため、先ず2秒周期の点滅をもとめる。次に、後半2秒のときは車幅灯の左右を入れ替えている。
図42での車群走行処理の詳細を図44に示す。これは、車間距離計測器機能、自動速度制御機能の無い車両の報知制御ブロックのフローである。図42での車群走行処理の詳細でもある。現在の位相をPHとしている。指示された位相での点滅を目指す。PHと指示された位相が異なるときは、PHを変え、指示された位相に合わす。PHは3回以上(つまり、0.3秒以上)点灯/消灯が続くときに0.1だけ変更する。つまり、その点灯/消灯を0.1秒だけ延長/短縮することで調整することになる。PHは指示位相にサイクリックに近づける。PHが0.1で指示位相が0.9のときは、0.1→0.0→0.9と変化する。
図44において、位相初期化は、車群走行開始時にはPHの値を指示位相値にする処理である。これは、通常車群走行、自動速度制御車群走行とも同じである。また、位相調整は、3回以上連続して同じ報知表示を行うときの最初(例:通常群走行処理でC1が2のとき)PHを指示位相値に0.1だけ近づける。ただし、サイクリックに近づける。つまり、通常車群走行処理でPHが0.1で指示位相値が0.9ならPHを0.0にする。これは、自動車速制御車群走行処理でも同じである。
図42での車群走行処理の詳細を図45に示す。これは、車間距離計測器機能、自動速度制御機能付きの車両の報知制御ブロックのフローである。車間距離計測器機能、自動速度制御機能付きの車両の車群走行時の車幅灯の点滅制御処理を示している。図42での車群走行処理の詳細でもある。4秒周期での車幅灯などの点滅パターンを生成する。
図39及び図40の主制御ブロックが路車・車々間通信機を通して自車の走行状況を送信する処理のフローを図46に示す。これは、自車の走行状況を送信する処理である。無線送信スケジュールに従って約0.1秒周期で起動される。走行状況には、走行中道路ID、車線も含む。また、車群代表車両のIDを車群IDとする。車群位相はGPS受信時刻(周期で割った値が0のときの時刻)から報知表示が開始するまでの遅れで示す。
図39及び図40の主制御ブロックが高速道路上で路車・車々間通信機を通して路より渋滞防止指示を受けたときの処理フローを図47に示す。これは、無線機により「高速道路渋滞防止指示」を受信したときに起動される処理である。高速道路渋滞防止指示が無効になるまで処理を継続する。また、図47は、図39及び図40の主制御ブロックが高速道路上で渋滞防止指示に従って走行中に、運転者がSAに入りたくなったりして渋滞防止走行離脱SWを押下したときの処理フローでもある。
図48〜図57で使用する変数を以下に示す。
・V後尾速:前車群最後尾車両の速度:m/S
これは、車間距離計測と自車両速度より計算で得た値である。検出不能時はV指示車速にする。
・V後尾加速度:前車群最後尾車両の加速度:m/S2
これは、V後尾速より計算で得た値である
・V前車群速:前の車群先導車速度:m/S
これは、車々間通信で得た値である。
・V車速:この車両の車速:m/S
・V指示車速:m/S
これは、路側インフラより指示された値である。
・V目標加速度:m/S2
これは、自動速度制御に送る目標加速度である。
・V車間距離:前車群最後尾車両までの距離:m
これは、車間距離計測で得るか、路側インフラからの通知で得た値である。検出不能時は200mとする。
・V車群頭間隔:前の車群先導車との距離:m
これは、自車位置と車々間通信で得た前車群先導車位置より得た値である。
・V指示車群頭間隔:m
これは、路側インフラより指示された値である。
・V減速中:減速中を記憶するフラグで初期値は0
これは、車載装置の内部記憶である。
・V前加速度:前回(0.1秒前)の目標加速度:m/S2
車間距離計測器機能、自動速度制御機能付き車両の高速道路渋滞防止走行処理を図48に示す。この処理は、0.1秒周期で実施する。先ず目標減速度を計算し、減速不要のときは目標加速度を計算。この目標加減速度を自動速度制御に通知する。減速度は「前車群最後尾に追突しない」、「前車群先導車との車間距離を路からの指示に合わせる」と「路からの指示車速以上にしない」より決める。加速度は「前車群最後尾との車間距離が十分」、「前車群先導車との距離が十分」で「現速度が路からの指示速度以下」のときに計算する。
フロー図48での減速度計算の詳細フローを図49に示す。前車群最後尾との距離を45m以上にするために1m/S2以上の減速が必要か調べ、1m/S2以上の減速が不要の場合は通常減速度計算を行い、1m/S2以上の減速が必要な場合は前車群最後尾との距離を5m以上にする減速度(ただし、計算結果が1m/S2以下のときは1m/S2:これは車間距離を45mから5mと変えている為に発生)を求める。
フロー図49での「F減速」関数のフローを図50に示す。これは、距離、速度差より減速度を計算する関数のフローである。また、図49等のF減速(Ps、Pl)関数の詳細でもある。この関数は、車速差Ps、減速区間Plのときの必要減速度を求める関数である。
フロー図49での通常減速度計算のフローを図51に示す。これは、急減速ではないときの減速度計算処理のフローである。
ここで、図49等の通常減速度計算の詳細を示す。以下の処理を行っている
1:前車群最後尾との車間距離確保のための減速度算出
前車群最後尾車両との速度差と車間距離より車間距離50mを確保するための減速度(V50)を求める。減速中のときはV50が正の間、V50を目標減速度とする。減速中でないときは、V50が0.2m/S2以下では減速を開始しない。V50は0.2〜1.0m/S2の範囲に収めるように制限をかける。
2:前車群先導車との距離確保のための減速度算出
前車群先導車との速度差と距離より距離が「路からの指示 − 50m」を確保するための減速度(Vc)を求める。現在減速中かとこのVcより車群間隔を確保するためには0.2m/S2の減速を行うべきかを決め、その結果をVcに入れる。
3:前述の車間距離と車群距離確保減速度より目標加速度を求める
V50とVcの内の大きい方をここでの減速度とする。この値が正のときは、この値に−1を掛けたものを目標加速度とし、減速中とする。この値が負のときは減速中ではないとする。
フロー図48での加速度計算のフローを図52に示す。これは、加速度計算処理であり、図48での加速度計算の詳細を示している。「現在の車速が路からの指示車速より低い」、「前車群最後尾との車間距離が十分にある」且つ「前車群先導車との距離が十分」のとき1秒後に指示車速になるように加速する。加速の上限は、0.2m/S2とし加速度の変化は1秒当たり1.0m/S2とする。
車間距離計測器機能、自動速度制御機能無し車両の高速道路渋滞防止走行処理を図53に示す。これは、車間距離計測器機能、自動速度制御機能無し車両の高速道路渋滞防止走行処理であり、0.1秒周期で実施する。車群間隔、車群速度制御のみが対象で、前車群最後尾との車間距離確保は運転者にまかせる。0.1m/S2の加減速で目標±50mになるように運転者向け加減速依頼を提示する。
車速・車群間距離平面での依頼提示を図54に示す。この指示に従って、0.1m/S2の加減速を行うときの車両の車速・車群間距離遷移を考える。前車群が路からの指示速度より速く走行しており、自車両が前車群より早いときの遷移を図55に示す。
自車両のほうが高速のため、車群間距離は徐々に減少し、減速依頼が出る。この減速依頼が出たり消えたりして、前車群速度と一緒になったところで落ち着く。
前車群が路からの指示速度より遅く走行しており、自車両が前車群より早いときの遷移を図56に示す。
自車両のほうが高速のため、車群間距離は徐々に減少し、減速依頼が出る。この指示に従って0.1m/S2の減速を行っても、前車群速度が遅いため、減速エリア内に食い込んで減速が行われ、オーバーシュートして減速エリアから出る。減速エリアから出ると表示無しとなるので、加減速を行わない。この状態では、減速しすぎのため、徐々に車群間隔は開いていく。そして、加速エリアにはいる。ここで加速依頼が出たり消えたりして、前車群速度と一緒になったところで落ち着く。
高速道路の路側インフラが渋滞防止走行の指示を出す処理を図57に示す。これは、高速道路の路側インフラが渋滞防止走行の指示を出す処理であり、0.1秒周期で実施する。事前路側機で2000台/h以上の交通量になったら渋滞防止動作を開始し、全路側機で1800台/h以下になったら渋滞防止動作を終了する。
図57の規制走行車両選定の詳細を図58以下に示す。図58は、規制走行車両を選定する処理を示しており、図57の規制走行車両選定の詳細でもある。
図39及び図40の主制御ブロックが高速道路上で車々間通信を使用して、車群走行を行うときの処理を図59に示す。これは0.1秒周期で実施する。但し、前の車群走行処理が終了していないときは実施しない。また、高速道路走行中のみ実施する。路から渋滞防止などの指示を受けたときは車々間協議車群走行は中止する。
100m以内に車群が居れば参加できる。100m以内に単独走行車両が居れば車群を結成できる。車群への参加は、運転者の希望による。これは、事前にモードとして設定しておくか、車群に参加の機会が発生したときにSWなどで選択する。SWなどで車群走行拒絶を指示したときは、自動的に10分間は車群走行拒絶とし、頻繁に車群走行可否選択を要求しない。ただし、運転者が10分拒絶を無効にする操作を行ったときは、これに従う。
図59内の車群走行中処理の詳細を図60に示す。車群のIDとして、車群代表車両のIDを使用する。これは、最初に車群結成を呼びかけた車両を代表とする。この車両が車群から抜けるときは、車群内で車両IDが代表車両より大きく、かつ近い車両を次の車群代表車両とする。IDの大小はサイクリックに比較する。つまり、一番大きいIDの上は一番小さいIDとする。
図60内の車群離脱検査処理の詳細を図61に示す。車群同士の接近混乱を避けるため、他車群に100m以上近づいた車両は車群から外す。車群内の車両間の通信が困難になったら車群を解消する。車群内の他車両から200m以上離れたら、車群から抜ける。運転者が車群より離脱するSWを押下したら、車群から抜ける。
図61内の車群離脱処理の詳細を図62に示す。図59内の車群結成依頼受信時処理の詳細を図63に示す。図59内の車群走行参加処理の詳細を図64に示す。図59内の車群結成依頼送信処理の詳細を図65に示す。
図39及び図40の主制御ブロックが高速道路上で車々間通信を使用して、自車群車両及び他車群車両の走行状況送信を受信した時の処理を図66に示す。これは、自車群車両及び他車群車両の走行状況送信を受信した時の処理であり、対象車両の走行状況送信を受信したときに実施し、車群構成車両全体で付近車群情報を取り込み、他車群が200m以内に接近したら警告を運転者に表示する。車群の位相は車群代表車両が決める。この位相を各車両が受信し、それを希望位相として、各車両の報知表示用位相を追従させる。
図40の主制御ブロックが高速道路上で路車間通信を使用して、車群走行指示を受信した時の処理を図67に示す。これは、路から車群走行指示を受信した時の処理であり、路から車群走行指示を受信したときに開始し、路から車群走行指示が解除されたときに終了する。路からの車群走行指示が受信不能で受信タイムアウトを発生したときは、最新の路指示の有効時間、距離で指示の有効性を検査し、無効のときは処理を終了する。
図39及び図40の主制御ブロックが一般路上で路車間通信を使用して、信号情報を受信した時の処理を図68に示す。これは路から信号情報を受信した時の処理である。信号情報よりブレーキ操作無し省燃費走行可能な速度を表示自車が走行しているレーンの後続車両も上記速度で走行するとブレーキ操作無しとなるときは、報知表示を行う。自車が交差点右折で右折レーンが始まっていない場所で、右折用の速度指示が出ているときなどは、報知表示は行わない。なお、運転者は他車両の妨害にならない範囲でノンブレーキ走行を行う。また、規制表示中は、後続車両に追従を推奨する。
図39及び図40の主制御ブロックが一般路上で路車間通信を使用して、事前整列指示を受信した時の処理を図69に示す。これは、路から事前整列指示を受信した時の処理であり、路からの指示に従い運転者への表示と周辺車両への報知表示を行う。なお、退避車線への進入、退避車線からの発進、右折は、路からの指示に従って行う。
以上説明したとおり、インフラ協調システムにおいて、車両がインフラからの指示に従って走行していることを報知表示できるようにする。例えば、バックライトを点滅するなど、通常の車両操作では起きない表示を行う。インフラ協調システムで交通流などを制御するときに、インフラ協調で走行していることをアピールし、低速・長車間距離になっても後続車に不要な不安を起こさせないようにする。
特徴としては、以下のようなものが考えられる。
(1)交通状況を検出する機能と車両と通信する機能を備えた路側機と、路側機と通信する機能と他の車両と通信する機能を備えた車両により構成されたシステムで、路側機が通信機能を備えた車両の走行に対する指示を出すことによる交通の制御
(2)他の車両と通信する機能を備えた車両が他の車両と通信して走行することによる交通の制御
(3)上記(1)で車両が交通制御のための走行を行ったとき、車両に利益を与えるビジネスモデル
(4)上記(1)、(2)で一群の車両が周期的に通信を行うとき、構成車両数より多くのチャンネルを確保し、各車両が順に前回と違うチャンネルで送信する車載機
(5)上記(1)、(2)で自動速度制御機能を装備した車両で、アクセルペダルが踏み込みと引き戻しが出来き、自動速度制御中はアクセルペダルを閾値以上の踏み込みか引き戻しを行うことにより自動速度制御を解除できる機能をもった車載機
(6)上記(1)、(2)で自動方向制御を装備した車両で、自動方向制御中はステアリングを閾値以上の力で回転することにより自動方向制御を解除できる機能を持った車載機
(7)上記(1)、(2)の走行で他の車両の周辺状況を通信で入手し、表示する機能を持った車載機
(8)(1)、(2)で交通制御のための走行を行っているとき、車両の灯火器を通常の操作では困難なパターンで点滅させる車載機
通常の操作では困難な報知表示
後退灯、制動灯の交互点灯、点滅
車幅灯、前照灯、番号灯の点滅
(9)(1)、(2)で交通制御のための走行を行っているとき、車両の灯火器を他の車両と同期したパターンで点滅させる車載機
同期した点滅
車両位置に応じ点滅の位相をずらし、流れを表現した点滅