JP5453735B2 - インクジェット記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、新規のインクジェット記録方法であり、特に、活性エネルギー線を照射する半硬化光源を備えたシングルパス方式のインクジェット記録方法であって、カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクを用いて、エネルギー線硬化反応を使用して多色印刷することが可能なインクジェット記録方法に関する。
近年、インクジェット記録方式は、グラビア印刷方式より簡便・安価に画像を作成することができるため、写真・各種印刷・マーキング・カラーフィルターといった特殊印刷等の様々な印刷分野に応用されてきている。特に、インクジェット記録方式では、微細なドットを吐出・制御するインクジェット記録装置と、色再現域・耐久性・吐出適性等を改善したインクと、インク吸収性・色材発色性・表面光沢等を飛躍的に向上させた専用紙とを組み合わせることで、銀塩写真に匹敵する画質を得ることも可能となっている。
一般にインクジェット記録装置には、搬送方向に搬送される記録媒体上に、搬送方向に対して直交する走査方向に並んだ複数の吐出口が形成されたラインヘッドからインクを吐出することにより画像記録を行うシングルパス方式と、キャリッジに搭載した記録ヘッドを走査方向に移動させて記録ヘッドの移動中に記録ヘッドの吐出口からインクを吐出することにより画像記録を行うスキャン方式がある。
スキャン方式は、家庭用インクジェット記録装置に特に広く用いられ何回かヘッドを往復させて描画をする方法であるが、一般的に低速で生産性が低い。そこで、産業用途の分野においては、最近は高速で生産性に優れるシングルパス方式が注目を浴びつつある。
しかしながら、上述したようにシングルパス方式は、一回の走査(ヘッドと記録媒体の相対移動)でプリントする方式で、高速で印刷でき生産性に優れるが、そのときの各ノズルから吐出されたインクが、搬送やノズルの精度の影響で印刷後のスジ状の欠陥が画質に大きく影響してくる。
また、今まではシングルパスは1色の印刷で、例えばラベルのモノクロ印刷などが生産されていたが、市場が拡大するにつれて、よりカラフルで高画質な多色印刷が市場から要求されつつある。
しかしシングルパス方式で多色印刷をインクジェットで行う場合は、インクの吐出、その後の定着または固化が間に合わず、そのため異なるインク色間でのインクが混ざったりするという「滲み」や、記録媒体上に着弾したインク液滴のドット径が拡がり、画像鮮鋭度を低下するという課題が発生することが判明した。すなわち、シングルパス方式のインクジェットで多色印刷をするにはスジの発生を抑える為に液滴を広げつつ、しかしスジを消すために液滴を広げすぎることなく滲みの抑制も行うという、相反する性能を制御して高精細な画像を印刷できるように工夫する必要がある。
上記課題に対し、例えば、特開2004−114688号公報には、スジの発生原因の1つであるインクの凝集を抑えるためにシングルパスの方式で印刷の解像度とインク吸収する受容層媒体に衝突した際のドットのドットサイズと拡散係数とをある関係に規定しインクが凝集しないよう工夫した技術が開示されているが、やはり実質的に非吸収性の記録媒体ではスジが発生し、多色印刷にこの方法を適用した場合には、滲みも大きく発生し、決して有効な手段であるとは言い難いものであった。
インクジェット記録装置は、インクの種類で分類することができ、従来の室温で固形のワックスインクを用いる相変化インクジェット方式、速乾性の有機溶剤を主体としたインクを用いるソルベント系インクジェット方式、紫外線の被照射により硬化する紫外線硬化型インクを用いる紫外線硬化型インクジェット方式等がある。
これらの中でも、紫外線硬化型インクジェット方式は、専用紙以外にも速乾性・インク吸収性の無い記録媒体に記録できる点で注目されシングルパス方式に広く用いられ始めている。更に、紫外線硬化型インクジェット方式に用いられるインクとしては、様々な紫外線硬化型インクジェットインクが知られており、非水系であるラジカル重合性活性エネルギー線硬化型インク及びカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクは広く用いられている。ただし、ラジカル重合性活性エネルギー線硬化型インクは酸素の影響を受けて重合阻害を起こしやすいという課題を抱えており、その様な観点より、カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクが多く用いられている。このカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクは、高感度を有し、一度紫外線照射を受けると反応が進むことから、低出力タイプの紫外線照射装置を用いた場合でも、紫外線照射を複数回行ったり、あるいは紫外線照射時間を延ばすことにより、インクを硬化させることができるという特性を有する。
近年では、これらの活性エネルギー線硬化型インクの利点を用いて活性エネルギ線硬化型インクと活性エネルギ線を照射する半硬化光源を備えたスキャン型のインクジェットの技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この技術では記録ヘッドと前記半硬化光源との距離に基づいて前記記録ヘッドからの液適量を制御することでスジ状の欠陥を低減させるように試みているが、やはり高速でかつ多色印刷のシングルパス方式を組み合わせた場合には、順番に印刷される各インクの間での滲みを抑えることはできず問題であった。
また、特開2003−285530号公報、特開2003−326691号公報等には、光硬化性インクを硬化させるための照射エネルギーの照度(mW/cm)を規定したインクジェット画像形成方法の提案がなされている。しかしながら、これら提案されている方法では、規定されている照度範囲が広く、滲みを防止することを目的とする半硬化条件として、最適な条件とは言えないのが現状である。
特に、照射エネルギー量がインクの硬化感度に対し不十分な条件では、滲みの発生を効果的に抑制することができず、また、照射エネルギー量がインクの硬化感度に対し過剰となる条件では、第1のインク液滴を半硬化させた後に、その上に第2のインク液滴を着弾させたときに、インク界面ではじきを起こし、均一で高品質の画像を得ることができなくなる。
加えて、特開2003−285530号公報、特開2003−326691号公報に記載の方法では、照射光源による照度(mW/cm)は、一般には、単位時間あたりの照射エネルギー量を示すものであるが、例えば、ラインヘッド方式のインクジェットヘッドを用い、記録媒体の搬送速度を変えた場合には、同一の照射光源であっても、記録媒体上に着弾したインク液滴に対する積算した照射エネルギー(mJ/cm)は異なることとなるため、照射時間、すなわち記録媒体の搬送速度によって、硬化の割合が変化することとなるため、半硬化させるための最適条件を得ることができない。
また、インクの硬化に有効な波長におけるインク吐出部の照度(mW/cm)をインクの硬化感度(mJ/cm)で除した値を一定の範囲に規定する画像形成方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、特許文献2に記載の発明は、インクの半硬化を目的とした照射条件ではなく、また規定されている範囲が広いため、厳密な半硬化条件を示唆しているとは言えない。
また、特開2004−203025号公報、特開2007−62268号公報には、複数のラインヘッド方式のインクジェットヘッドを備え、それぞれのインクジェットヘッドの下流側に紫外線照射装置を備えることにより、混色や滲みを防止する方法が開示されている。しかしながら、上記開示されている方法では、インクを第1のインクジェットヘッドにより記録媒体上に吐出され、該インクが硬化された後に、第2のインクジェットヘッドより第2のインクを吐出するため、両インク界面で、表面エネルギーの違いにより、第2のインクの第1のインクへの濡れ性が低下し、均一な画像膜を形成することを妨げる結果を招く。
また、色別のページ幅のフルラインヘッド間に、インク液滴を半硬化させる程度の比較的低エネルギーの紫外線照射を行う予備硬化光源を設ける一方、最終色のインクジェットヘッドの後段に、インク液滴を下流側工程のハンドリングによって画像劣化しない程度に硬化(本硬化)させるに十分なエネルギーの紫外線照射を行う本硬化光源を設けたシングルパス印刷用のプリンタが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、上記開示されているように記録ヘッドのノズルと光源が接近している場合、光源から照射された紫外線が記録媒体で散乱されてノズルに届き、ノズル口付近のインクが重合反応を開始して増粘または硬化してしまうことがある。
また、複数のインクジェットヘッドとそれに対応した光照射光源を有し、最下流にある照射光源の照射エネルギー量と、それ以外の光照射光源の照射エネルギー量を一定の範囲に規定する画像記録装置が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。また、フルカラー画像を形成するインクジェットプリンタ装置で、各インクジェットヘッドの後方に、それぞれ紫外線ランプを配置し、最下流に位置する以外の紫外線ランプの出力を50%以下としたインクジェットプリンタ装置が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。しかしながら、これら開示されている方法では、半硬化照射光源と本硬化光源を有し、それぞれの光源について、滲みの発生を抑え、色混じりや画質劣化を防止するための最適な照射条件に関する開示や示唆はなく、また活性光線硬化型インクのうち、カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インク特有の課題に対する解決手段の示唆も見られません。
特開2007−320120号公報 特開2003−305839号公報 特開2005−280346号公報 特開2004−314586号公報 特開2007−62268号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクを、シングルパス方式で高速で多色印刷するのに用いるインクジェット記録方法であって、様々な基材上に印字可能で、ドット形状、画像滲み耐性、色混じり耐性及び画像均一性に優れた画像が得られるインクジェット記録方法を提供することである。
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
1.記録媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、それぞれ色材の異なる2種以上のカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクを該記録媒体に吐出する複数のフルライン型のインクジェットヘッドを、該記録媒体の搬送方向に直交して配列したインクジェットヘッド部と、前記複数のインクジェットヘッド同士の間に配置された一以上の半硬化光源と、前記記録媒体の搬送方向の最下流側のインクジェットヘッドの更に下流側に配置された完全硬化光源と、を有するインクジェット記録装置を用いたインクジェット記録方法であって、
前記記録媒体の搬送方向の上流側にあるインクジェットヘッド(n)から吐出したカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インク(n)を、該記録媒体上に独立したドットとして着弾させる工程と、
前記カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インク(n)の前記ドット同士の間に、該インクジェットヘッド(n)の下流側にあるインクジェットヘッド(n+1)から吐出したカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インク(n+1)を前記ドットに接するように着弾させる工程と、
前記カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インク(n+1)が着弾する前に、該カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インク(n)の前記ドットに、半硬化させるのに要する活性エネルギー線を、前記半硬化光源により照射する半硬化工程と、
前記記録媒体上に着弾した前記カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクに、前記インクを完全硬化させるのに要する活性エネルギー線を、前記完全硬化光源により照射する完全硬化工程と、を有し、
該半硬化工程が、該インクジェットヘッド(n)で吐出したカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インク(n)に、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)で測定したカチオン重合性化合物の反応率が17%以上、35%以下となる条件で、該カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インク(n)に活性エネルギー線を照射することを特徴とするインクジェット記録方法。
2.前記半硬化工程で用いる半硬化光源の照射エネルギー量が、5mJ/cm以上、32mJ/cm以下であることを特徴とする前記1に記載のインクジェット記録方法
3.記録媒体上に着弾した前記カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクは、着弾直後のドット径をφ1、半硬化光源を照射した5秒後のドット径をφ2としたとき、φ2/φ1が1.05以下であることを特徴とする前記1または2に記載のインクジェット記録方法
4.前記半硬化工程で用いる半硬化光源は、LED素子、冷陰極管、低圧水銀灯及び高圧水銀灯から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法
5.前記記録媒体の搬送速度が、200mm/sec以上、1500mm/sec以下であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法
6.前記カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクが、カチオン重合性化合物としてエポキシ化合物、オキセタン化合物及びビニルエーテル化合物から選ばれる少なくとも1種を含有する非水系インクであることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法
7.前記カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクが、水含有量が5質量%以下の非水系インクであることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法
8.前記インクジェットヘッド及び前記カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクを30〜100℃の範囲に加熱して多色印刷することを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法
9.前記カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクは、25℃における粘度が25mPa・s以上、500mPa・s以下であり、かつ50℃における粘度が8mPa・s以上、20mPa・s以下であることを特徴とする前記1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法
本発明によれば、カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクを、シングルパス方式で高速で多色印刷するのに用いるインクジェット記録方法であって、様々な基材上に印字可能で、基材への定着性、ドット形状、色混じり耐性、滲み耐性及び画像均一性に優れた画像が得られるインクジェット記録方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、
1)記録媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
2)それぞれ色材の異なる2種以上のカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクを該記録媒体に吐出する複数のフルライン型のインクジェットヘッドを、該記録媒体の搬送方向に直交して配列したインクジェットヘッド部と、
3)該記録媒体の搬送方向の上流側にあるインクジェットヘッド(n)から吐出し、該記録媒体上に着弾したカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インク(n)の上に、該インクジェットヘッド(n)の下流側にあるインクジェットヘッド(n+1)から吐出したカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インク(n+1)が着弾する前に、該カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インク(n)に、半硬化させるのに要する活性エネルギー線を照射する半硬化光源を、該複数のインクジェットヘッドの下流側にそれぞれ配置した半硬化工程と、
4)該記録媒体の搬送方向の最下流部に配置されているインクジェットヘッドの更に下流側に、記録媒体上に着弾した該カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクを完全硬化する活性エネルギー線を照射する完全硬化光源を備えた完全硬化工程を有し、
5)該半硬化工程が、該インクジェットヘッド(n)で吐出したカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インク(n)に、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)で測定したカチオン重合性化合物の反応率が17%以上、35%以下となる条件で、該カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インク(n)に活性エネルギー線を照射する、
ことを特徴とするインクジェット記録装置により、様々な基材上に印字可能で、基材への定着性、ドット形状、色混じり耐性、滲み耐性及び画像均一性に優れた画像が得られるインクジェット記録装置を実現することができることを見出し、本発明に至った次第である。
すなわち、色材の異なる2種以上のカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクを用いた画像形成において、半硬化工程と完全硬化工程とを有し、記録媒体の搬送方向の上流側にあるインクジェットヘッド(n)から吐出し、該記録媒体上に着弾したカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インク(n)の上に、該インクジェットヘッド(n)の下流側にあるインクジェットヘッド(n+1)から吐出したカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インク(n+1)が着弾する前に、それぞれのインクジェットヘッドの下流側に位置する半硬化光源により、カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクが含有するカチオン重合性化合物のフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)で測定した反応率が17%以上、35%以下となる条件で活性エネルギー線を照射して、滲みが生じないレベルまで半硬化状態させる。
図2は、2種のインク液滴を等間隔でピッチをずらして着弾した時に得られるドット形状の一例を示す模式図である。
図2のa)は、記録媒体F上に、第1色目のインクAの液滴を等間隔に独立したドットとして着弾した後、半硬化光源により、FT−IRで測定した時の反応率が35%を越える過度の照射エネルギーを照射し、次いで、第2のインクBの液滴をインクAのドット間に着弾させたときのインクBのドットの形状を示したものである。インクAに反応率が35%を越える照射エネルギーを付与すると、インクAの硬化が過度に進行する結果、インクAと着弾したインクBとの界面で、インクBがはじきを起こし、横に広がるため、均一なドット画像を得ることができない。
図2のb)は、記録媒体F上に、第1色目のインクAの液滴を等間隔に独立したドットとして着弾した後、半硬化光源により、照射エネルギーとして、本発明で規定する反応率が17%以上、35%以下となる条件で照射し、次いで、第2のインクBの液滴をインクAのドット間に着弾させたときのインクBのドットの形状を示したものである。インクAに反応率が半硬化状態として最適条件とすることにより、インクAと着弾したインクBとの界面のインクBのはじきやドットの拡大を起こすことなく、均一な画像を得ることができる。
図2のc)は、記録媒体F上に、第1色目のインクAの液滴を等間隔に独立したドットとして着弾した後、半硬化光源により、FT−IRで測定した時の反応率が17%未満の半硬化としては過小の照射エネルギーを照射し、次いで、第2のインクBの液滴をインクAのドット間に着弾させたときのインクBのドットの形状を示したものである。インクAへの照射エネルギーがインクAの半硬化するための条件に満たない場合には、インクAとインクBが、共にドットの拡大(記録媒体の水平方向への拡がり)を起こすため、色混じり等を引き起こし、鮮鋭性に欠けた画像となる。
図3は、第1のインクでベタ画像を形成し、半硬化処理を行った後に着弾した第2のインクの画像状態の一例を示す模式図である。
図3のa)は、記録媒体F上に、第1色目のインクAでベタ画像を形成した後、半硬化光源により、FT−IRで測定した時の反応率が35%を越える過度の照射エネルギーを照射し、次いで、第2のインクBでベタ画像を形成したときの状態を示したものである。インクAに反応率が35%を越える照射エネルギーを付与すると、インクAの硬化が過度に進行する結果、インクAと着弾したインクBとの界面で、インクBがはじきを起こし、横に広がるため、均一なベタ画像を形成することができず、スジ等の画像故障が発生する。
図3のb)は、記録媒体F上に、第1色目のインクAでベタ画像を形成した後、半硬化光源により、照射エネルギーとして、本発明で規定する反応率が17%以上、35%以下となる条件で照射し、次いで、第2のインクBでベタ画像を形成したときの状態を示したものである。インクAの反応率を半硬化状態として最適条件とすることにより、インクAのベタ画像と着弾したインクBとの界面のインクBのはじきやドットの拡大を起こすことなく、均一なベタ画像を得ることができる。
図3のc)は、記録媒体F上に、第1色目のインクAでベタ画像を形成した後、半硬化光源により、照射エネルギーとして、17%未満の半硬化としては過小の照射エネルギーを照射し、次いで、第2のインクBでベタ画像を形成したときの状態を示したものである。インクAへの照射エネルギーがインクAの半硬化するための条件に満たない場合には、未硬化状態のインクAのベタ画像とインクBが、共にドットの拡大(記録媒体の水平方向への拡がり)を起こすため、色滲み等を引き起こし、鮮鋭性に欠けた画像となる。
《インクジェット記録装置》
はじめに、図面を参照して、本発明のインクジェット記録装置について、その詳細に説明する。なお、本発明は、以下に例示する図に示す構成にのみ限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の一例を示す全体構成図である。
図1に示したように、インクジェット記録装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各インクに対応して設けられた複数のラインヘッド方式のインクジェットヘッド(以下、単にヘッドともいう)12Y(イエロー)、12M(マゼンタ)、12C(シアン)、12K(ブラック)と、各ヘッドに供給するカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インク(以下、単にインクともいう)を貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、各ヘッドの下流側にそれぞれ配置された半硬化光源16A、16B、16C、16Dと有する。
最終ヘッド(図1のヘッド12K)の下流には、完全硬化光源18が配置されている。なお、本発明においては、図1に示す構成において、最下流側に位置するヘッド12Kに対応する半硬化光源16Kは、印字条件によっては省略しても良い。
また、記録媒体搬送部は、ロール状に積層した記録媒体22を供給する給紙部32と、繰り出された記録媒体20のカールを除去するアンチカール処理部24と、各ヘッド12Y、12M、12C、12Kのノズル面(インク吐出面)及び各半硬化光源16A〜16Dの光出射面に対向して配置され、記録媒体20の平面性を保持しながら記録媒体20を搬送する吸着ベルト搬送部26と、記録済みの記録媒体(プリント物)を外部に排紙する排紙部28とを備えている。
本発明に係るカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクは、主には、活性ネルギー線、例えば、紫外線エネルギーの付与によって硬化(重合化)するカチオン重合性化合物成分(モノマー、オリゴマー、又は低分子量ホモポリマー、コポリマーなどの紫外線硬化性成分)と重合開始剤と、必要に応じて各色調を有する色材とを含むインクであり、紫外線を受光すると重合を開始し、重合の進行とともに増粘し、やがて硬化する性質を有する。
一般に、紫外線硬化型インクとしては、重合性モノマーや光重合開始剤等としてラジカル重合化合物を含むラジカル重合系インクや、カチオン重合性化合物を含むカチオン重合系インク等が知られているが、本発明では、上記のような構成からなるカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクを用いることを特徴とする。カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクは、ラジカル重合系インクと異なり、空気中の酸素により重合反応は阻害されないが、インクに紫外線が照射されると照射された紫外線の光量分だけ重合反応が進行するという特性がある。
インク貯蔵/装填部14は、各ヘッド12Y、12M、12C、12Kに対応する色のインクを貯蔵するインクタンク14Y、14M、14C、14Kを有し、各タンクは所要の管路30を介して各ヘッド12Y、12M、12C、12Kと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(不図示、例えば、表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
図1において、給紙部32の一例としては、記録媒体20がロール状態(連続用紙)に積層した記録媒体22を収納したマガジンとして示したが、紙幅や記録媒体の紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール状のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット状のものが積層装填されたカセットによって供給してもよい。
複数種類の記録媒体を利用可能な構成にした場合、記録媒体の種類等の識別情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される記録媒体の種類等の識別情報を自動的に判別し、記録媒体の種類等の識別情報に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部32から送り出される記録媒体20はマガジンにロール状に積層した記録媒体22の状態で装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、アンチカール処理部24においてマロール状に積層した記録媒体22の巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム34で記録媒体20に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御することもできる。
ロール状で使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター38が設けられており、該カッター38によって記録媒体は所望のサイズにカットされる。カッター38は、記録媒体20の搬送路幅以上の長さを有する固定刃38Aと、該固定刃38Aに沿って移動する丸刃38Bとから構成される。
アンチカール処理後、カットされた記録媒体20は、吸着ベルト搬送部26へと送られる。吸着ベルト搬送部26は、ローラ41、42間に無端状のベルト43が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも各ヘッド12Y、12M、12C、12Kのノズル面に対向する部分が平面をなすように構成されている。
ベルト43は、記録媒体20の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引穴(図示省略)が形成されている。ローラ41、42間に掛け渡されたベルト43の内側には、吸着チャンバなどを設けてファンで吸引して負圧にすることによって記録媒体20がベルト43上に吸着保持されるようにしても良い。
ベルト43が巻かれているローラ41、42の少なくとも一方にモータ(図示省略)の動力が伝達されることにより、ベルト43は図1上で反時計回り方向に駆動され、ベルト43上に保持された記録媒体20は図1の矢印方向で示される搬送方向(副走査方向A)に沿って右から左へと搬送される。
各ヘッド12Y、12M、12C、12Kは、当該インクジェット記録装置10が対象とする記録媒体20の最大紙幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズの記録媒体20の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている。
ヘッド12Y、12M、12C、12Kは、記録媒体20の送り方向に沿って上流側からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、の色順に配置され、それぞれのヘッド12Y、12M、12C、12Kが記録媒体20の搬送方向と略直交する方向(主走査方向)に沿って延在するように配置される。なお、ヘッド配列順序は、本発明の効果を損なわなければ、硬化感度やインクの透過率を鑑みて、必要に応じて最適の順番に並べてもよい。
吸着ベルト搬送部26により記録媒体20を搬送しつつ各ヘッド12Y、12M、12C、12Kから各色のインクを吐出することにより記録媒体20上にカラー画像を形成し得る。
このように、シングルパス方式のインクジェット記録装置10は、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッドのイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)を色別に設ける構成によれば、記録媒体20の搬送方向について記録媒体20をヘッド12Y、12M、12C、12Kに対して相対移動させる動作を1回行うという、シングルパス操作により、記録媒体20の全面に画像を記録することができる。
本例では、YMCKの標準色(4色)インクの組み合わせによる構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせは本実施形態には限定されず、色数が2種以上であれば良く、必要に応じて淡インク、濃インク、白インク、透明インク等を追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能である。
各ヘッド間に配置されている半硬化光源16A〜16Cは、ヘッドと同様に記録媒体20の最大紙幅に対応する長さを有し、記録媒体20の搬送方向と略直交する方向に延在するように固定されている。半硬化光源16A〜16Cは、LED素子、冷陰極管、低圧水銀灯及び高圧水銀灯から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。なお、半硬化光源16A〜16C及び完全硬化光源18の中心波長や発光波長領域は使用されるインクの設計に応じて選択される。
本発明においては、記録媒体上にヘッドより吐出着弾したインク液滴に対し、第1ステップとして、半硬化光源によりインク液滴を半硬化状態として滲み、色混じり等を抑制し、全てのヘッドよりインクを吐出して半硬化状態のカラー画像を形成したのち、第2ステップとして、完全硬化光源により形成されたカラー画像の完全硬化を行う画像形成方法において、半硬化工程においては、n番目のインクジェットヘッド(n)よりインク(n)を吐出した後、n+1番目のインクジェットヘッド(n+1)よりインク(n+1)を吐出する前に、インクジェットヘッド(n)とインクジェットヘッド(n+1)の間に設置した半硬化光源(n)より、記録媒体上に着弾したインク(n)が含有するカチオン重合性化合物のフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)で測定した反応率が17%以上、35%以下となる条件で活性エネルギー線を照射することを特徴とする。
本発明でいう完全硬化とは、形成した画像中のカチオン重合性化合物の反応率を、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR、例えば、島津製作所社製のIR Prestige−21、IRAffinity−1等)を用いて測定し、反応率が70%以上であれば完全硬化と判定する。逆に、70%未満であれば半硬化状態であるといえるが、本発明においては、半硬化工程においては、反応率を17%以上、35%以下となるように制御する。また、形成されたカラー画像部が完全硬化している状態とは、完全硬化光源及び加熱部で保温処理を施した後、搬送ハンドリングにおいても、形成画像にインクこすれ等による画質劣化を起こさない程度に硬化されている状態をいう。
本発明においては、半硬化光源の照射エネルギー量が、それぞれ5mJ/cm以上、32mJ/cm以下であることが好ましい。
各半硬化光源16は、隣接する2つのヘッド12間にそれぞれ配置され、搬送方向の上流側にある一方のインクジェットヘッドから吐出されて前記記録媒体上に着弾した第1のインクの上に前記搬送方向の下流側にある他方のインクジェットヘッドから吐出された第2のインクが着弾する前に、第1のインクを半硬化させる活性エネルギー線を照射する。
記録媒体20が上流のヘッドを通過して、次のヘッド下に入る前に、半硬化光源16A〜16Cから光を照射して、記録媒体20上のインクを半硬化状態にし、次ステップの色相が異なるインクを充填したヘッドによる吐出を行うようになっている。
図1の例では、イエローヘッド12Yによる吐出を行い、半硬化光源16Aによる光照射を経てイエローインクを半硬化させてから、マゼンタヘッド12Mによる吐出を行う。同様に、マゼンタヘッド12Mによる吐出した後は、半硬化光源16Bによる光照射を経てシアンヘッド12Cによる吐出を行い、その後、半硬化光源16Cによる光照射を経てブラックヘッド12Kによる吐出を行う。
記録媒体20の搬送方向に沿って上流側に存在するヘッドから吐出されたインクは、各半硬化光源による活性エネルギー線(例えば、紫外線)の照射によって半硬化し、記録媒体20上で半硬化状態を維持することが可能となる。
上記半硬化工程により半硬化状態としたカラー画像は、その下流側に配置された完全硬化工程で、完全硬化光源18及び加熱部17により完全硬化される。
完全硬化光源18は、特に制限はなく、LED、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ等から選択して用いることができる。
こうして、完全硬化光源18による完全硬化処理(搬送ハンドリングにおいてもインクこすれ等による画質劣化を起こさない程度に硬化定着させる処理)を経て生成されたプリント物は排紙部28から排出される。なお、図1には示さないが、排紙部28には、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
次に、半硬化光源について説明する。
半硬化光源16は、遮光囲い(図示せず)がされた複数の半硬化光源がライン状に並べられて配置されている。
遮光囲いされた半硬化光源の底部には光出射口となるスリット状の開口部(図示せず)などが形成される。各素子の発光量を制御することより、紫外線の照射エリアについて所望の照射範囲及び光量(強度)分布を実現することができる。
この際に、記録媒体20のサイズやヘッド12によるインクの吐出範囲及びインク量に応じて半硬化光源の発光位置及び発光量を適切に制御すると共にヘッド12への悪影響(ノズル内インクの硬化など)を極力抑制するようにして必要な発光を行うことができる。
なお、半硬化光源には、LED素子(好ましい波長範囲:240〜370nm)、冷陰極管及び低圧水銀灯から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
以上のように構成されたインクジェット記録装置10によれば、半硬化光源16が各ヘッド12の間にそれぞれ設けられているため、上流側のインクが半硬化した後に次の下流側のインクが吐出されているため、インク間の混じりが無くなり、色のにじみが発生せず、鮮明な画像を記録することができる。また、1つのヘッド12により吐出されたインクに対して半硬化を行うため、1つ当たりの半硬化光源16の活性エネルギー線の照射量が少なくても十分に半硬化作用を実現できる。また、最下流のヘッド12Kのみによる画像記録であれば、その隣接する完全硬化光源18の駆動だけで硬化を行うことができる。
半硬化光源16の光量は、完全硬化光源18の光量よりも少ないことが好ましい。半硬化光源16に隣接するヘッド12への影響も少なく、ノズル近傍のインクの硬化を防止する効果が高めることができる。
記録媒体の搬送速度は、200mm/sec〜1500mm/secが好ましい。搬送速度が1500mm/secを超えると、色混じりやサテライトが発生しドット形状の乱れが生じやすくなる。
搬送速度が1500mm/secを超えるほど速くなると記録媒体の搬送に伴う気流の影響が大きくなり、色混じりやサテライトが発生しやすくなるものと考えられる。
搬送速度が200mm/sec未満であると、1色目のドットの上に2色目のドットが乗らずにはじかれることによるドット形状の乱れが生じやすくなる。これは、搬送速度が200mm/sec未満と遅くなると、1色目のインクに照射される半硬化光源からの照射光量が多くなるので、1色目のインクの硬化が進行し、2色目のインクがはじかれやすくなるものと考えられる。
このように、ノズル面12及びその吐出口のインクの増粘や硬化を防止して、ノズル11の吐出不良を生じ難くできるので、インクの安定吐出を長期にわたって行うことができる。
また、本発明のインクジェット記録装置においては、半硬化工程におけるドット径の拡がり特性として、記録媒体上に着弾した本発明に係るカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクの着弾直後のドット径をφ1、半硬化光源を照射した後、5秒経過した時のドット径をφ2としたとき、φ2/φ1が1.05以下であることが好ましい。なお、本発明に係るφ2/φ1は、23℃、50%RH環境下で測定する。
本願発明で規定するφ2/φ1が1.05以下とする方法は、半硬化工程における照射エネルギー条件として、本発明で規定するように、カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクの半硬化工程における半硬化光源の照射エネルギー量として、カチオン重合性化合物のフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)で測定した反応率が17%以上、35%以下となる条件とすることにより、実現することができる。
《カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インク》
本発明のインクジェット記録装置においては、画像形成を行うインクとしてカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクを用いることを特徴とし、2種以上の色相の異なるカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクにより、インクセットを構成し、カラー画像を形成することが好ましい。
本発明に係るインクセットを構成するインクとしては、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクから選ばれる少なくとも2種であることが好ましく、更にはイエローインク、マゼンタインク、シアンインク及びブラックインクの4種を含むことが好ましい。また、必要に応じて、本発明に係るインクセットでは、淡色インク(例えば、ライトマゼンタインク、ライトシアンインク、ライトブラックインク等)や白色顔料を用いたホワイトインク、色材を含有しない透明インク等を加えた構成であっても良い。
本発明に係るカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクは、主には、カチオン重合性化合物(以下、単に重合性化合物ともいう)、光重合開始剤群の構成化合物及び色材から構成される。本発明でいう光重合開始剤群の構成とは、単一の光重合開始剤、複数種の光重合開始剤、光重合開始剤と増感剤との組み合わせ及び光重合開始剤と増感剤と開始助剤との組み合わせをいい、これらの光重合開始剤群の構成が、少なくとも2種のインク間で異なることを特徴とするものである。
〔カチオン重合性化合物〕
本発明に適用可能なカチオン重合性化合物としては、例えば、カチオン重合により高分子化することができる化合物を挙げることができるが、その中でも、オキシラン基を有する化合物、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、特開2001−40068号、特開2001−55507号、特開2001−310938号、特開2001−310937号、特開2001−220526号に例示されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられるが、特に、エポキシ化合物、オキセタン化合物及びビニルエーテル化合物から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
エポキシ化合物には、以下の芳香族エポキシド、脂環式エポキシド及び脂肪族エポキシド等が挙げられる。
芳香族エポキシドとして好ましいものは、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノール或いはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジ又はポリグリシジルエーテルであり、例えば、ビスフェノールA、あるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールA或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、並びにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセン又はシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましい。
脂肪族エポキシドの好ましいものとしては、脂肪族多価アルコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル又は1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリン或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。
ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
これらのエポキシドのうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。
本発明では、上記エポキシドの1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
また、本発明においてはAMES及び感作性などの安全性の観点から、オキシラン基を有するエポキシ化合物としては、エポキシ化脂肪酸エステル、エポキシ化脂肪酸グリセライドの少なくとも一方であることが特に好ましい。
エポキシ化脂肪酸エステル、エポキシ化脂肪酸グリセライドは、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセライドにエポキシ基を導入したものであれば、特に制限はなく用いられる。
エポキシ化脂肪酸エステルとしては、オレイン酸エステルをエポキシ化して製造されたもので、エポキシステアリン酸メチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル等が用いられる。また、エポキシ化脂肪酸グリセライドは、同様に、大豆油、アマニ油、ヒマシ油等をエポキシ化して製造されたもので、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ヒマシ油等が用いられる。
また、本発明においては、更なる硬化性及び吐出安定性の向上のために、光重合性化合物として、オキセタン環を有する化合物を30〜95質量%、オキシラン基を有する化合物を5〜70質量%、ビニルエーテル化合物0〜40質量%とを含有することが好ましい。
本発明で用いることのできるオキセタン化合物としては、特開2001−220526号、同2001−310937号に記載されているような公知のあらゆるオキセタン化合物を使用できる。
本発明で用いることのできるビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジ又はトリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。本発明では、上記ビニルエーテル化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
〔光重合開始剤群の構成〕
本発明にかかる光重合開始剤群を構成する添加剤としては、カチオン重合開始剤、開始助剤、増感剤等が包含される。これらの光重合開始剤群のインク中への添加量はインク全体の1〜10質量部が必要となる。
本発明にかかる光重合開始剤群は公知の様々な化合物を使用することができるが、上記重合性化合物に溶解するものから選択する。
(カチオン重合開始剤)
本発明に係る活性エネルギー線硬化性インクにおいては、カチオン重合性化合物と共に、光重合開始剤としてカチオン重合開始剤を含有することが好ましい。
カチオン重合開始剤としては、具体的には光酸発生剤等を挙げることができ、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に好適な化合物の例を以下に挙げる。
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウム等の芳香族オニウム化合物のB(C 、PF 、ASF 、SBF 、CFSO 塩を挙げることができる。
本発明で用いることのできるオニウム化合物の具体的な例を以下に示す。
Figure 0005453735
第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができ、その具体的な化合物を以下に例示する。
Figure 0005453735
第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができ、以下にその具体的な化合物を例示する。
Figure 0005453735
第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
Figure 0005453735
(増感剤)
本発明に係るインクにおいては、300nmよりも長波長に紫外線スペクトル吸収を有する増感剤を用いることが好ましく、例えば、置換基として水酸基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基またはアルコキシ基を少なくとも1つ有する多環芳香族化合物、カルバゾール誘導体、チオキサントン誘導体等を挙げることができる。
本発明で用いることのできる多環芳香族化合物としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体が好ましい。置換基であるアルコキシ基としては、炭素数1〜18のものが好ましく、特に炭素数1〜8のものが好ましい。アラルキルオキシ基としては、炭素数7〜10のものが好ましく、特に炭素数7〜8のベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基が好ましい。
本発明に用いることのできるこれらの増感剤を例示すると、カルバゾール、N−エチルカルバゾール、N−ビニルカルバゾール、N−フェニルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、1−ナフトール、2−ナフトール、1−メトキシナフタレン、1−ステアリルオキシナフタレン、2−メトキシナフタレン、2−ドデシルオキシナフタレン、4−メトキシ−1−ナフトール、グリシジル−1−ナフチルエーテル、2−(2−ナフトキシ)エチルビニルエーテル、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジメトキシナフタレン、1,1′−チオビス(2−ナフトール)、1,1′−ビ−2−ナフトール、1,5−ナフチルジグリシジルエーテル、2,7−ジ(2−ビニルオキシエチル)ナフチルエーテル、4−メトキシ−1−ナフトール、ESN−175(新日鉄化学社製のエポキシ樹脂)またはそのシリーズ、ナフトール誘導体とホルマリンとの縮合体等のナフタレン誘導体、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9−メトキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジエトキシアントラセン、9−エトキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、9−イソプロポキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジベンジルオキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン、9−ベンジルオキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、9−(α−メチルベンジルオキシ)−10−メチルアントラセン、9,10−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ジ(2−カルボキシエトキシ)アントラセン等のアントラセン誘導体、1,4−ジメトキシクリセン、1,4−ジエトキシクリセン、1,4−ジプロポキシクリセン、1,4−ジベンジルオキシクリセン、1,4−ジ−α−メチルベンジルオキシクリセン等のクリセン誘導体、9−ヒドロキシフェナントレン、9,10−ジメトキシフェナントレン、9,10−ジエトキシフェナントレン等のフェナントレン誘導体等を挙げることができる。これら誘導体の中でも、特に、炭素数1〜4のアルキル基を置換基として有していてもよい9,10−ジアルコキシアントラセン誘導体が好ましく、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基が好ましい。
また、チオキサントン誘導体としては、例えば、チオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン2−クロロチオキサントン等を挙げることができる。
(開始助剤)
開始助剤とは、光照射により、電子供与、電子吸引、熱の発生等により開始剤にエネルギーを供与して、開始剤のラジカルまたは酸の発生効率を向上させる増感色素として作用する物質であり、開始剤と組み合わせて適用される。
開始助剤としては、例えば、キサンテン、チオキサントン色素、ケトクマリン、チオキサンテン色素、シアニン、フタロシアニン、メロシアニン、ポルフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ポリメチンアクリジン、クマリン、ケトクマリン、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体等が適用できる。
また、開始助剤としては、上述の化合物の他、「高分子添加剤の開発技術」(シーエムシー出版、大勝靖一監修)等の文献で増感色素として作用することが周知になっている物質を適用することとしてもよい。なお、開始助剤は光重合開始剤の一部をなす構成要素とみなすこともできる。
これらの光開始剤に加え、光重合(硬化)反応を促進するため促進助剤を添加することもできる。これらの例として、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
(含水量)
本発明に係るカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクにおいては、含水率が5質量%以下の非水系インクであることが好ましく、更に好ましくは含水率が0.1質量%以上、5質量%以下である。本発明に係るカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクにおいては、水は、インク保存時の重合禁止剤として作用するため、上記の記載の様な微量の水分を含有していることが好ましい。
〔色材〕
本発明に係るカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクに用いる色材は、顔料あるいは染料を用いることができるが、画像の耐候性の観点から顔料を用いることが好ましい。
本発明に用いる顔料としては、カーボンブラック、カーボンリファインド、およびカーボンナノチューブのような炭素系顔料、鉄黒、コバルトブルー、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化クロム、および酸化鉄のような金属酸化物顔料、硫化亜鉛のような硫化物顔料、フタロシアニン系顔料、金属の硫酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、およびリン酸塩のような塩からなる顔料、並びにアルミ粉末、ブロンズ粉末、および亜鉛粉末のような金属粉末等の無機顔料、ニトロ顔料、アニリンブラック、ナフトールグリーンBのようなニトロソ顔料、ボルドー10B、レーキレッド4Rおよびクロモフタールレッドのようなアゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む。)、ピーコックブルーレーキおよびローダミンレーキのようなレーキ顔料、フタロシアニンブルーのようなフタロシアニン顔料、多環式顔料(ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラノン顔料など)、チオインジゴレッドおよびインダトロンブルーのようなスレン顔料、キナクリドン顔料、キナクリジン顔料、並びにイソインドリノン顔料のような有機系顔料を使用することもできる。
顔料の具体例としては、 C.I Pigmen Yellow−1、2、3、12、13、14、16、17、42、73、74、75、81、83、87、93、95、97、98、109、114、120、128、129、138、150、151、154、180、185、 C.I Pigmen Orange−16、36、38、 C.I Pigmen Red−5、7、22、38、48:1、48:2、48:4、49:1、53:1、57:1、63:1、101、112、122、123、144、146、168、184、185、202、 C.I Pigmen Violet−19、23、 C.I Pigmen Blue−1、2、3、15:1、15:2、15:3、15:4、18、22、27、29、60、 C.I Pigmen Green−7、36、 C.I Pigmen White−6、18、21、 C.I Pigmen Black−7、等を挙げることができる。
上記顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。また、顔料の分散を行う際に、分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、高分子分散剤を用いることが好ましく、高分子分散剤としては、例えば、Avecia社のSolsperseシリーズや、味の素ファインテクノ社のPBシリーズが挙げられる。また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤および分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。分散媒体は、溶媒または重合性化合物を用いて行うが、本発明の光硬化型インクでは、印字後に反応、硬化させるため、無溶媒であることが好ましい。溶媒が硬化画像に残ってしまうと、耐溶媒性の劣化、残留する溶媒のVOCの問題が生じる。よって、分散媒体は溶媒では無く重合性化合物、その中でも最も粘度の低いモノマーを選択することが分散適性上好ましい。
顔料の分散は、顔料粒子の平均粒径を0.08〜0.5μmとすることが好ましく、最大粒径は0.3〜10μm、好ましくは0.3〜3μmとなるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を適宜設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性および硬化感度を維持することができる。本発明に係るインクにおいては、色材濃度としては、インク全体の1〜10質量%とすることが好ましい。
本発明に係るインクにおいては、色材濃度としては、インク全体の1質量%乃至30質量%であることが好ましい。白以外のインクにおいては1質量%乃至10質量%が更に好ましい。
〔その他の添加剤〕
本発明に係るインクには、保存性を高める観点から、重合禁止剤を200〜20000ppm添加することができる。本発明に係るインクは40〜80℃の範囲で加熱、低粘度化して射出することが好ましいので、熱重合によるヘッド詰まりを防ぐためにも重合禁止剤を入れることが好ましい。
この他に、必要に応じて界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することができる。
本発明に係るインクを用いたインクジェット記録方法においては、インクジェットヘッド及び前記カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクを30〜100℃の範囲に加熱して多色印刷することが好ましい。
また、インクの液物性として、吐出時の駆動電圧や吐出安定性の観点から、50℃における粘度が8mPa・s以上、20mPa・s以下であることが好ましく、また、25℃における粘度は、着弾後の液滴の定着のしやすさから25mPa・s以上、500mPa・s以下が好ましい。インクの自由表面張力は30mN/m以下が着弾後の後退が少なく線の輪郭の描画性が良く好ましい。
記録媒体との接触角は、液寄りによる着弾後の後退が少なく線の輪郭の描画性が良く、かつ記録媒体での定着しやすさから、前述のように10〜30°が好ましい。
本実施形態においては、紫外線を照射することにより硬化するインクを用いて画像記録を行うものとしたが、インクは必ずしもこれには限定されず、例えば、電子線、X線、可視光線、赤外線等の電磁波といった紫外線以外の活性化エネルギー線を照射することにより硬化するインクであってもよい。この場合、インクには、紫外線以外の活性化エネルギー線で重合して硬化する重合性化合物と、紫外線以外の活性化エネルギー線で重合性化合物同士の重合反応を開始させる光開始剤とが適用される。また、紫外線以外の活性化エネルギー線で硬化する光硬化性のインクを用いる場合は、紫外線光源に代えて、その活性化エネルギー線を照射する光源を適用する。
また、インクジェットヘッド12のインク滴の吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)等を具体的な例として挙げることができる。本発明はいずれの吐出方式であってもよい。
《記録媒体》
本発明で用いることのできる記録媒体としては、通常の非コート紙、コート紙などの他、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性のプラスチックおよびそのフィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、延伸ポリスチレン(OPS)フィルム、延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、延伸ナイロン(ONy)フィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム等を挙げることができる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、ポリビニルアルコール(PVA)、ゴム類などが使用できる。また、金属類や、ガラス類にも適用可能である。これらの記録媒体の中でも、特に熱でシュリンク可能な、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルムへ画像を形成する場合に、本発明の構成は有効となる。これらの基材は、インクの硬化収縮、硬化反応時の発熱などにより、フィルムのカール、変形が生じやすいばかりでなく、インク膜が基材の収縮に追従し難い。
これらの各種プラスチックフィルムの表面エネルギーは大きく異なり、記録媒体によってインク着弾後のドット径が変わってしまうことが、従来から問題となっていた。本発明の活性エネルギー線硬化性インクジェットプリントシステムにおいては、表面エネルギーの低いOPPフィルム、OPSフィルムや表面エネルギーの比較的大きいPETまでを含む、表面エネルギーが35〜60mN/mの広範囲の記録媒体に良好な高精細な画像を形成できる。
本発明において、包装の費用や生産コスト等の記録媒体のコスト、プリントの作成効率、各種のサイズのプリントに対応できる等の点で、長尺(ウェブ)な記録媒体を使用する方が有利である。
本発明においては、記録媒体の記録面の白色度が、JIS P−8123に規定されている測定方法で、60%以上、98%以下であることが好ましい。白色度が60%よりも低すぎると、画像に不要な影響を与える。逆に、白色度が98%を超えると、1次反射される紫外線の光量増加し、ノズルの詰まりに対して悪影響を与える。
記録媒体の表面を白色着色することによって、上記の範囲の白色度を達成することができる。
本発明において、記録媒体の表面を白色に着色する方法として、特に制限はなく、例えば、白色顔料を表面に塗設する方法、表面を粗面化して白色乱反射状態とする方法等を用いることができる。本発明においては、記録媒体表面の白色着色は、全面に施されることが好ましい。
本発明において用いることのできる白色顔料としては、主として二酸化チタン(アナターゼ型、およびルチル型)が使用されるが、この他には、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、カオリン、クレーおよびタルク等がいずれも使用できる。これらの白色顔料は、適当なバインダーとともに記録媒体表面に塗設されるが、前述の表面親水化や表面張力調整に適用される親水性物質をバインダーとすることが好ましい。
以下、本発明の効果を実施例に基づいて例証するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《インクの調製》
〔分散液の調製〕
(分散液Aの調製)
下記の各化合物をステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間加熱撹拌溶解した。
PB822(味の素ファインテクノ社製分散剤) 8部
テトラエチレングリコールジアクリレート(TEGDA、二官能) 72部
室温まで冷却した後、これにPigment Black 7(三菱化学社製#52)を20部加えて、直径0.3mmのジルコニアビーズ200gと共にガラス瓶に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて4時間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去し、分散液Aを調製した。
(分散液B〜Dの調製)
上記分散液Aの調製において、顔料をPigment Black 7に代えて、それぞれPigment Blue 15:4(山陽色素社製Cyanine Blue 4044)、Pigment Red 122(大日精化社製CFR321)、Pigment Yellow 180(大日精化社製CFY313−2)を用いた以外は同様にして、分散液B、分散液C、分散液Dを調製した。
(分散液Eの調製)
下記の各化合物をステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間加熱撹拌溶解した。
PB821(味の素ファインテクノ社製分散剤) 9部
OXT221(東亜合成社製オキセタン化合物) 71部
室温まで冷却した後、これにPigment Black 7(三菱化学社製#52)を20部加えて、直径0.3mmのジルコニアビーズ200gと共にガラス瓶に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて4時間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去し、分散液Eを調製した。
(分散液F〜Hの調製)
上記分散液Eの調製において、顔料をPigment Black 7に代えて、それぞれPigment Blue 15:4(山陽色素社製Cyanine Blue 4044)、Pigment Red 122(大日精化社製CFR321)、Pigment Yellow 180(大日精化社製CFY313−2)を用いた以外は同様にして、分散液F、分散液G、分散液Hを調製した。
《インクセットの調製》
〔インクセット1の調製〕
上記調製した分散液A〜D(ラジカル重合性化合物)を用いて、表1に記載の構成からなるインク1K、1C、1M及び1Yを調製し、これをインクセット1とした。
インクセット1を構成するインク粘度は、25℃で108〜113mPa・sの範囲であり、50℃における粘度が14.9〜16.2mPa・sの範囲であった。
Figure 0005453735
〔インクセット2の調製〕
上記調製した分散液E〜H(カチオン重合性化合物)を用いて、表2に記載の構成からなるインク2K、2C、2M及び2Yを調製し、これをインクセット2とした。
インクセット2を構成するインク粘度は、25℃で112〜118mPa・sの範囲であり、50℃における粘度が16.4〜20.9mPa・sの範囲であった。
Figure 0005453735
〔インクセット3の調製〕
上記調製した分散液E〜H(カチオン重合性化合物)を用いて、表3に記載の構成からなるインク3K、3C、3M及び3Yを調製し、これをインクセット3とした。
インクセット3を構成するインク粘度は、25℃で110〜115mPa・sの範囲であり、50℃における粘度が17.0〜21.3mPa・sの範囲であった。
Figure 0005453735
なお、上記表1〜3に記載の数値は、質量部を表す。
また、表1〜3に略称で記載の化合物の詳細は、以下の通りである。
(ラジカル重合性化合物)
RA:ラウリルアクリレート
TEGDA:テトラエチレングリコールジアクリレート
A−400:NKエステル 新中村化学工業製
(カチオン重合性化合物)
〈エポキシ化合物〉
S3000:セロキサイド3000、脂環式二官能エポシキ化合物、ダイセル化学工業社製
AOEX68:単官能エポキシ化合物、ダイセル化学工業社製
〈オキセタン化合物〉
OXT−221:二官能オキセタン化合物、東亞合成社製
OXT−211:単官能オキセタン化合物、東亞合成社製
〈ビニルエーテル化合物〉
CHVE:ビニルエーテル化合物、アイエスピー・ジャパン社製
DVE−3:ビニルエーテル化合物、アイエスピー・ジャパン社製
(変性シリコーンオイル)
SDX−1843:変性シリコーンオイルSDX−1843、旭電化工業社製
(光重合開始剤)
I−907:イルガキュア907、チバ・ジャパン(株)社製
UVI6992:トリアリールスルホニウム塩、UVI6992、ダウケミカル社製
E1187:ESACURE1187、日本シーベルヘグナー社製
I−907:イルガキュア907 チバ・ジャパン(株)社製
(増感剤)
IPTX:イソプロピルチオキサントン
(塩基性化合物)
EDEA:N−エチルジエタノールアミン
IPA:トリイソプロピルアルコール
《画像形成》
〔画像1の形成〕
ピエゾ型のインクジェットヘッド12を備えた図1に記載の構成からなるライン方式のインクジェット記録装置に、上記調製した表1に記載のインクセット2(インク2K、2C、2M、2Y)を装填し、記録媒体として、巾600mm、長さ20m、厚さ40μmの長尺の白色ポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、搬送速度200mm/秒で、下記の条件で吐出した。インク供給系は、インクタンク14、供給パイプ、ヘッド直前の前室インクタンク、フィルター付き配管、ピエゾ型のヘッドからなり、前室タンクからヘッド部分まで断熱して50℃の加温を行った。なお、各インクの粘度にあわせてヘッド部を加温し、360dpi×360dpi(dpiとは、2.54当たりのドットの数を表す。)の解像度で吐出できるよう駆動して、上記各インクを連続吐出して、各2次色のベタ画像と文字画像を印字した。全色のインクを吐出した後、完全硬化光源として、高圧水銀灯VZero085(INTEGRATION TECHNOLOGY社製)のみを用い、150mJ/cmの条件で記録媒体上に着弾したインクを、一度に硬化して、画像1を形成した。
各インクジェットヘッドは、シェアモードタイプのヘッド(AL=3μsec、ノズルピッチ:180dpi、ノズル数:256、ノズルテーパー角6度、ノズル直径26μm、インク液滴量:7pl)を各2個ずつ用意した。各ヘッドのノズル列が、相互に1/4ピッチずらされ、千鳥状に配置するように貼り合わせ各インクジェットヘッドのそれぞれが180dpiのヘッドであるので、ノズルのピッチを互いに1/2ずらせることで、360dpiの記録ヘッドを作製した。また、インクジェット画像の形成は、気温23℃湿度30%で行った。
上記方法で完全硬化させたカラー画像中におけるカチオン重合性化合物の反応率を、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR、島津製作所社製のIR Prestige−21)を用いて測定した結果、78%であった。
〔画像2の形成〕
上記画像1の形成において、図1に記載の構成からなるライン方式のインクジェット記録装置を用い、1色目のインク(2Y)が着弾した後、下記半硬化光源16A(低圧水銀灯)より活性エネルギー線を照射し、瞬時(着弾後0.5秒未満)に半硬化させた。次いで、半硬化した1色目のインクの上に2色目のインク(2M)が着弾した後、下記の半硬化光源(低圧水銀灯)より活性エネルギー線を照射し、瞬時(着弾後0.5秒未満)に半硬化させた。次いで、半硬化した2色目のインクの上に3色目のインク(2C)が着弾した後、下記の半硬化光源(低圧水銀灯)より活性エネルギー線を照射し、瞬時(着弾後0.5秒未満)に半硬化させ、最後に、半硬化した3色目のインクの上に4色目のインク(2K)が着弾した後、下記の半硬化光源(低圧水銀灯)より活性エネルギー線を照射し、瞬時(着弾後0.5秒未満)に半硬化させ、次いで、完全硬化光源(前記高圧水銀灯VZero085)より活性エネルギー線を照射し、完全硬化させた以外は、画像1の形成と同様にして、画像2を形成した。
半硬化用低圧水銀灯:インク2Y、2M、2C、2K用の低圧水銀灯(半硬化光源16)は、低圧水銀灯(ピーク波長:254nm、照度:25〜150mW/cm)を使用し、18mJ/cmの条件で照射した。
上記方法で半硬化工程及び完全硬化工程におけるカラー画像中のカチオン重合性化合物の反応率を、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR、島津製作所社製のIR Prestige−21)を用いて測定した結果、半硬化工程における反応率は25.0%、完全硬化工程における反応率は82%であった。
〔画像3の形成〕
上記画像2の形成において、インクセット2(カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インク)に代えて、インクセット1(ラジカル重合性活性エネルギー線硬化型インク)を用いた以外は同様にして、画像3を形成した。
〔画像4の形成〕
上記画像2の形成において、インクセット2(エポキシ化合物及びオキセタン化合物含有のカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インク)に代えて、インクセット3(エポキシ化合物及びビニルエーテル化合物含有のカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インク)を用いた以外は同様にして、画像4を形成した。
〔画像5〜11の形成〕
上記画像2の形成において、半硬化工程におけるインク中のカチオン重合性化合物の反応率をそれぞれ6%、14%、18%、24%、28%、32%、40%となるように、半硬化用低圧水銀灯光源(インク2Y、2M、2C、2K用の低圧水銀灯)のエネルギー照射量を、それそれ1mJ/cm、3mJ/cm、6mJ/cm、15mJ/cm、20mJ/cm、25mJ/cm、35mJ/cmに変更した以外は同様にして、画像5〜11を形成した。
〔画像12の形成〕
上記画像2の形成において、完全硬化光源を高圧水銀灯を、LED光源(ピーク波長:365nm、照度:1〜2.5W/cm)に変更した以外は同様にして、画像12を形成した。
〔画像13の形成〕
上記画像2の形成において、完全硬化光源を高圧水銀灯を、冷陰極管(マルカ電機工業 DC12V 170mA)に変更した以外は同様にして、画像13を形成した。
〔画像14の形成〕
上記画像2の形成において、半硬化用低圧水銀灯に代えて、下記の冷陰極管を用い、同じ照射エネルギー量とした以外は同様にして、画像14を形成した。
冷陰極管:マルカ電機工業 DC12V 170mA
〔画像15の形成〕
上記画像2の形成において、半硬化用低圧水銀灯光源に代えて、下記のLED光源(ピーク波長:365nm、照度:1〜2.5W/cm)を用い、同じ照射エネルギー量とした以外は同様にして、画像15を形成した。
〔画像16〜20の形成〕
上記画像2の形成において、半硬化工程におけるインクの反応率をそれぞれ15%、20%、25%、32%、55%、半硬化用低圧水銀灯(ピーク波長:254nm、照度:45mW/cm、インク2Y、2M、2C、2K用の低圧水銀灯)のエネルギー照射量を、それぞれ4mJ/cm、8mJ/cm、16mJ/cm、24mJ/cm、48mJ/cmとなるように搬送速度を変化させた以外は同様にして、画像16〜20を形成した。
Figure 0005453735
《形成画像の評価》
以上により形成した形成した各画像について、下記に示す各評価を行った。
〔ドットの評価〕
(ドット拡大率の測定)
各画像の形成において、記録媒体上に、ドット径が160μmとなる条件で各インク液滴を独立した状態で吐出し、記録媒体に着弾し、半硬化光源を照射し、照射時間毎のインク液滴のドット径(μm)を撮影し、着弾直後(半硬化光源直後)のドット径φ1と、半硬化光源を照射した5秒後のドット径φ2を測定し、φ2/φ1を求めた。
図4は、半硬化光源照射後のドット径の拡がりを測定したグラフである。
図4では、横軸を半硬化光源の照射した後の経過時間t(秒)とし、縦軸を各経過時間毎のドット径(μm)をプロットしたグラフで、代表例として、インク2を用いて、半硬化工程におけるカチオン重合性化合物の反応率を、それぞれ、6%(画像番号5)、14%(画像番号6)、18%(画像番号7)、28%(画像番号9)、32%(画像番号10)、40%(画像番号11)の水準の測定結果を示す。
〔画像滲み耐性の評価〕
上記形成した各画像の2次色のベタ画像及び文字画像での色間の滲み(色混じり)の状態を目視観察し、下記の基準に従って画像滲み耐性の評価を行った。
○:いずれの画像でも、色間の滲みが無く、文字画像も鮮明である
△:シアン、ブラックを中心に混色部で色間の滲みが僅かに認められるが、文字画像はほぼ鮮明である
×:色間での滲みの発生が顕著であり、その結果、中間色にノイズが入り、文字画像も不鮮明である
〔画像均一性の評価〕
上記各2次色画像における「インクはじきの発生」等を目視観察し、下記の基準に従って画像均一性の評価を行った。
○:インクはじきの発生がなく、極めて均一の画像である
△:一部で弱いインクはじきは認められるが、実用上は許容される品質である
×:2色目に印字したインクの強いはじきが認められ、均一性に乏しい画像である
以上により得られた結果を、表5に示す。
Figure 0005453735
表5に記載の結果より明らかな様に、本発明のインクジェット記録装置を用いて形成した画像は、比較例に対し、各インクにより形成した画像のドット形状に優れ、トッドの拡がりが少なく、画像滲み耐性、画像均一性及び画像定着性が良好であることがわかる。
実施例2
実施例1に記載の画像1〜20の形成において、記録媒体として、厚さ40μmの長尺の白色ポリエチレンテレフタレートフィルムに代えて、PVC(polyvinyl chioride)、PETシュリンクフィルム(熱シュリンクポリエチレンテレフタレート、相模ゴム工業株式会社製)、PVCシュリンクフィルム(熱シュリンク塩化ビニル、相模ゴム工業株式会社製)を用い以外は同様にして画像形成を行い、各画像の評価を行った結果、表5と同様の結果を得ることができた。
本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の一例を示す全体構成図である。 2種のインク液滴を等間隔でピッチをずらして着弾した時に得られるドット形状の一例を示す模式図である。 第1のインクでベタ画像を形成し、半硬化処理を行った後に着弾した第2のインクの画像状態の一例を示す模式図である。 実施例で、半硬化光源照射後のドット径の拡がりを測定したグラフである。
符号の説明
10 インクジェット記録装置
12Y、12C、12M、12K ヘッド
14 インク貯蔵/装填部
16、16A、16B、16C,16D 半硬化光源
18 完全硬化光源
20 記録媒体
22 給紙部
26 吸着ベルト搬送部
32 給紙部
45 搬送ローラ

Claims (9)

  1. 記録媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、それぞれ色材の異なる2種以上のカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクを該記録媒体に吐出する複数のフルライン型のインクジェットヘッドを、該記録媒体の搬送方向に直交して配列したインクジェットヘッド部と、前記複数のインクジェットヘッド同士の間に配置された一以上の半硬化光源と、前記記録媒体の搬送方向の最下流側のインクジェットヘッドの更に下流側に配置された完全硬化光源と、を有するインクジェット記録装置を用いたインクジェット記録方法であって、
    前記記録媒体の搬送方向の上流側にあるインクジェットヘッド(n)から吐出したカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インク(n)を、該記録媒体上に独立したドットとして着弾させる工程と、
    前記カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インク(n)の前記ドット同士の間に、該インクジェットヘッド(n)の下流側にあるインクジェットヘッド(n+1)から吐出したカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インク(n+1)を前記ドットに接するように着弾させる工程と、
    前記カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インク(n+1)が着弾する前に、該カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インク(n)の前記ドットに、半硬化させるのに要する活性エネルギー線を、前記半硬化光源により照射する半硬化工程と、
    前記記録媒体上に着弾した前記カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクに、前記インクを完全硬化させるのに要する活性エネルギー線を、前記完全硬化光源により照射する完全硬化工程と、を有し、
    該半硬化工程が、該インクジェットヘッド(n)で吐出したカチオン重合性活性エネルギー線硬化型インク(n)に、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)で測定したカチオン重合性化合物の反応率が17%以上、35%以下となる条件で、該カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インク(n)に活性エネルギー線を照射することを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記半硬化工程で用いる半硬化光源の照射エネルギー量が、5mJ/cm以上、32mJ/cm以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 記録媒体上に着弾した前記カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクは、着弾直後のドット径をφ1、半硬化光源を照射した5秒後のドット径をφ2としたとき、φ2/φ1が1.05以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記半硬化工程で用いる半硬化光源は、LED素子、冷陰極管、低圧水銀灯及び高圧水銀灯から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記記録媒体の搬送速度が、200mm/sec以上、1500mm/sec以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクが、カチオン重合性化合物としてエポキシ化合物、オキセタン化合物及びビニルエーテル化合物から選ばれる少なくとも1種を含有する非水系インクであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクが、水含有量が5質量%以下の非水系インクであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記インクジェットヘッド及び前記カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクを30〜100℃の範囲に加熱して多色印刷することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記カチオン重合性活性エネルギー線硬化型インクは、25℃における粘度が25mPa・s以上、500mPa・s以下であり、かつ50℃における粘度が8mPa・s以上、20mPa・s以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
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