JP5453690B2 - コラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体及びその製造方法 - Google Patents

コラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、コラーゲン・キトサン複合細繊維、コラーゲン・キトサン複合繊維ゲル、及びコラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体、並びにそれらの製造方法に関する。
コラーゲンは身体の中のタンパク質の30%を占めており、骨格支持及び細胞接着などの機能において重要な役割を担っている。このコラーゲンを用いた生体材料は、細胞培養基材、再生医療用の足場材料(例えば、軟骨、骨、皮膚、及び肝臓組織の再生材料)、移植用材料(創傷被覆材料、骨補填剤、又は止血材料)、又は薬物送達担体として有用であり、特に再生医療による大型組織再生には必要不可欠である。
コラーゲンには、I型からXIII型までの多くの種類があるが、ほとんどのコラーゲンは3重らせん構造を有している。例えば、I型コラーゲンは分子量約10万のポリペプチド鎖(α鎖)が3本集まり、長さ300nm、直径1.5nmの1本の硬い棒のような3重らせん構造を形成しており、トロポコラーゲンとも呼ばれる。生体内では、このトロポコラーゲンが、更に少しずつずれながら整列し、直径が数十〜百数十nmのコラーゲン細繊維を形成している。そして、このコラーゲン細繊維が、更に集積して、骨基質又は軟骨基質中の結合組織を形成している。このトロポコラーゲンの3重らせん構造、及びトロポコラーゲンからなるコラーゲン細繊維の構造が、生体材料に用いる際の、コラーゲンの強靭さ、及び細胞への接着性等に寄与している。
コラーゲンは、牛皮やブタ皮などの家畜の組織又は魚の鱗などから抽出され、生体材料として利用されている。具体的には、牛皮などの原料から3重らせん構造を破壊しないように抽出し、得られたコラーゲンを可溶性コラーゲンとして酸性溶液に溶解させる。この可溶性コラーゲンの酸性溶液を中性に調整することによって再繊維化し、コラーゲン細繊維を形成させる(特許文献1)。この再繊維化したコラーゲン細繊維は、生体中のコラーゲンと同じ構造をしているため、生体親和性が高く、生体材料として有用である。しかしながら、コラーゲン細繊維のみからなる生体材料は、その力学特性が十分でないため、臨床現場における使用は限定されていた。
この問題を改善するため、カニの甲羅から抽出され、力学特性が高いキトサンを、コラーゲンに加えて、強度を上げる試みが行われている。例えば、酸性溶液に分散させたコラーゲンと有機酸に分散させたキトサンとを混合して、pHを1から6の範囲に調整し、凍結乾燥、及び化学架橋(グルタルアルデヒド又はカルボジイミドなど)した生体材料が作製されている(特許文献2、特許文献3、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)。しかしながら、これらの生体材料中のコラーゲンは、コラーゲン細繊維を形成していないため、生体組織中の繊維構造とは異なっている。従って、生体材料として使用する際に、生体親和性が低く、また力学特性及び操作性も十分ではなかった。
一方、生体組織と類似した繊維状構造を作製するために、コラーゲンとキトサンとを電界紡糸法(エレクトロスピニング法)により繊維化し、得られたナノ繊維からなる多孔質膜が作製されている(非特許文献4、非特許文献5、特許文献4)。しかしながら、この方法は閾値を超えた電圧を印加させ、電荷の反発力がポリマー液滴の表面張力を制御し、電場内で電荷を帯びた液滴が伸長することで強制的にコラーゲンとキトサンとを繊維化させているものであり、生体中のコラーゲン細繊維とは、根本的に異なる構造であると考えられる。また、コラーゲンやキトサンを溶解させるために、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールやトリフルオロ酢酸やジクロロメタンなどの有機溶媒が用いられており、工業的にもコストが高く、生体に与えるその毒性などに問題がある。更に、コラーゲン細繊維と異なり、その繊維密度が低いため力学強度が十分ではなく、また作製に時間がかかるなどの課題が残されている。
特開2009−5814号公報 特開2010−53080号公報 特開2010−51570号公報 特開2007−186831号公報
「バイオマテリアルズ(Biomaterials)」(イギリス)2003年、第24巻、p.2213− 「バイオマテリアルズ(Biomaterials)」(イギリス)2003年、第24巻、p.4822− 「ジャーナル・オブ・マテリアル・サイエンス:マテリアルズ・メディシン(Journal of Materials Science:Materials in Medicine)」(オランダ)2009年、第20巻、p.799− 「コロイダル・アンド・サーフェシズA:フィジコケミカル・エンジニアリング・アスペクツ(Colloids and Surfaces A:Physicochemical Engineering Aspects)」(オランダ)2008年、第313−314巻、p.183− 「マテリアルズ・レターズ(Materials Letters)」(オランダ)2007年、第61巻、p.3490−
従って、本発明の目的は、生体内のコラーゲン細繊維と類似した繊維状構造を有し、且つ力学強度の優れた生体材料及びその製造方法を提供することである。すなわち、医療現場から要望のある、生体親和性が高く、且つ十分な力学強度を有することによって操作性が改善された再生医療用足場材料、移植用材料、又は薬物送達担体などの生体材料を提供することである。
本発明者らは、細胞との親和性が高くカルボキシル基及びアミノ基をもつコラーゲン(両性高分子)とカニの甲羅から抽出され抗菌性を示すキチンを脱アセチル化することでアミノ基をもつキトサン(カチオン性高分子)とからなる複合繊維状多孔体について、鋭意研究した結果、驚くべきことに、酸性コラーゲン溶液と酢酸キトサン溶液とを混合し、更にアルカリ性緩衝溶液を加え、pH、塩濃度、及び温度をコントロールすることによって、生体内のコラーゲン細繊維と構造が類似し、コラーゲン及びキトサンが相互作用したコラーゲン・キトサン細繊維が得られることを見出した。前記コラーゲン・キトサン細繊維を含むコラーゲン・キトサン複合繊維ゲルは、コラーゲン細繊維のみからなる従来のコラーゲンと比較すると、高い粘弾性特性を示し、生体材料として十分な強度を有しており、且つ細胞接着性においても優れている。また、本発明者らは、前記コラーゲン・キトサン複合繊維ゲルを、凍結乾燥法又はキャスト法により乾燥させることにより、コラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体を作製することが可能であり、更に、熱架橋又は化学架橋されたコラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体は、優れた力学強度を有しており、生体材料として用いた場合に、操作性が改善されることを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、実質的に、コラーゲン及びN−アセチル化度60〜100%のキトサンからなる、コラーゲン・キトサン複合細繊維に関する。
本発明のコラーゲン・キトサン複合細繊維の好ましい態様においては、直径が50〜200nmであり、また前記コラーゲンが、魚類由来コラーゲンであってもよい。
また、本発明は、前記コラーゲン・キトサン複合細繊維を含むコラーゲン・キトサン複合繊維ゲルに関する。
本発明のコラーゲン・キトサン複合繊維ゲルの好ましい態様においては、1Hzにおける貯蔵弾性率が、300Pa以上である。
更に、本発明は、前記コラーゲン・キトサン複合細繊維を含むコラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体に関する。
本発明のコラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体の好ましい態様においては、前記コラーゲン・キトサン複合細繊維が架橋されている。
本発明は、コラーゲン及びキトサンを均一に混合し、pH6.0〜8.0及び塩濃度が15mM以上のコラーゲン・キトサン混合緩衝溶液を調製する工程、及び前記コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液を、繊維調整温度に上昇させることによってコラーゲン及びキトサンを繊維化する工程、を含む、コラーゲン・キトサン複合細繊維の製造方法に関する。
また、本発明は、コラーゲン及びキトサンを均一に混合し、pH6.0〜8.0及び塩濃度が15mM以上のコラーゲン・キトサン混合緩衝溶液を調製する工程、及び前記コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液を、繊維調整温度に上昇させることによってコラーゲン及びキトサンを繊維化し、コラーゲン・キトサン複合細繊維を含むゲルを調整する工程、を含む、コラーゲン・キトサン複合繊維ゲルの製造方法に関する。
また、本発明は、コラーゲン及びキトサンを均一に混合し、pH6.0〜8.0及び塩濃度が15mM以上のコラーゲン・キトサン混合緩衝溶液を調製する工程、前記コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液を、繊維調整温度に上昇させることによってコラーゲン及びキトサンを繊維化し、コラーゲン・キトサン複合繊維ゲルを調整する工程、及び前記コラーゲン・キトサン複合繊維ゲルを乾燥させる工程、を含む、コラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体の製造方法に関する。
本発明のコラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体の製造方法の好ましい態様においては、更に、前記コラーゲン・キトサン複合細繊維を架橋する工程を含む。
本明細書において、コラーゲン・キトサン複合細繊維の製造方法、コラーゲン・キトサン複合繊維ゲルの製造方法、及びコラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体の製造方法を併せて、本発明の製造方法と称することがある。
本発明のコラーゲン・キトサン複合細繊維を含むコラーゲン・キトサン複合繊維ゲル、又はコラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体によれば、従来のコラーゲン細繊維を含むゲルと比較して高い粘弾性特性を示し、生体材料として十分な強度を得ることができる。また、従来の繊維を形成していないコラーゲンとキトサンとを含む生体材料と比較すると、生体内のコラーゲン細繊維と構造が類似しており、生体親和性に優れている。
また、本発明では、特定のゲル化剤などを用いず、均質な構造を有するコラーゲン・キトサン複合細繊維を得ることができる。
コントロールの純粋なコラーゲン細繊維状ゲル(a)、実施例1(b)、実施例3(c)、及び比較例3(d)のコラーゲン・キトサン複合繊維ゲルの外観を示す写真である。 コントロールの純粋なコラーゲン細繊維状ゲル(a)、実施例1(b)、実施例3(c)、比較例2(d)及び比較例3(e)のコラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体中のコラーゲン・キトサン複合細繊維を示す、走査型電子顕微鏡写真である。 実施例1〜3及び比較例2及び3のコラーゲン・キトサン複合繊維ゲルの、製造時のpHの変化による貯蔵弾性率を示したグラフである。 実施例4〜7のコラーゲン・キトサン複合繊維ゲルの、製造時のpHの変化による貯蔵弾性率を示したグラフである。 実施例8〜11及び比較例5のコラーゲン・キトサン複合繊維ゲルの、製造時のコラーゲン及びキトサンのモル比の変化による貯蔵弾性率を示したグラフである。
[1]コラーゲン・キトサン複合細繊維
本発明のコラーゲン・キトサン複合細繊維は、コラーゲンとキトサンとがそれらの相互作用により、繊維化されたものである。
コラーゲンは、柔軟性及び生体親和性に優れているが、力学特性が低い。コラーゲンのポリペプチド鎖(以下、α鎖と称することがある)は3個のアミノ酸が並んだユニット「G−X−Y」のつながりからできており、Gはグリシンを表し、Xはプロリン、そしてYはヒドロキシプロリンであることが多い。このアミノ酸配列のためコラーゲンは、3本のα鎖からなる3重らせん構造を形成する。また、アミノ基及びカルボキシル基を有する両性高分子である。pKaは9.2であり、この等電点より低い溶液中ではアミノ基は酸性溶液でNH に帯電し、この等電点より高い溶液中ではカルボキシル基はCOOに荷電している。このためコラーゲンは、溶液のpHによりプラス又はマイナスの電荷をもつ。また、pH及び温度を調整することにより、3重らせん構造の分子が主に水素結合により会合し、コラーゲン細繊維を形成する。
キトサンは、多糖類の1種であり、力学特性が高く、熱に強いという性質を有している。また、抗菌性を有し、血液の凝集を促進するが、生体親和性は低い。キトサンは、脱アセチル化度によりpKa5.0から6.5のカチオン性高分子であり、豊富なアミノ基を有しており、pH5.0未満ではアミノ基がNH に帯電している。
本発明のコラーゲン・キトサン複合細繊維の構造は、完全に解明されているわけではないが、コラーゲンのマイナスに荷電したカルボキシル基と、キトサンのプラスに荷電したアミノ基とが、相互作用することによって、会合しているものと推定される。すなわち、コラーゲン・キトサン複合細繊維においては、3重らせん構造のコラーゲン分子とキトサン分子が、カルボキシル基とアミノ基とのイオン結合によって繊維化し、強固な細繊維構造を形成しているものと考えられる。しかしながら、本発明は前記の説明によって限定されるものではない。
前記コラーゲン・キトサン複合細繊維の直径は、特に限定されるものではないが、50〜200nmが好ましく、50〜150nmがより好ましく、70〜150nmが更に好ましい。50〜200nmのコラーゲン・キトサン複合細繊維は、力学特性が、特に上昇するからである。
また、コラーゲン・キトサン複合細繊維に含まれるコラーゲン及びキトサンのモル比は、コラーゲンのみからなるコラーゲン細繊維と比較して力学特性が向上している限り、限定されるものではないが、通常100:1〜1:100の範囲であり、好ましくは10:1〜1:10であり、より好ましくは5:1〜1:5であり、更に好ましくは4:1〜1:4であり、最も好ましくは1:1である。コラーゲンとキトサンとのモル比が1:1に近いと、コラーゲンのカルボキシル基とキトサン分子のアミノ基との相互作用が、最適になると考えられるからである。
(コラーゲン)
前記コラーゲン・キトサン複合細繊維を構成するコラーゲンの型は、3重らせん構造を有するものであれば特に限定されるものではなく、I型からXIII型の全てのタイプのコラーゲンを用いることができるが、入手の容易性からI型コラーゲンを用いることが好ましい。また、コラーゲンを取得する動物種の由来も、特に限定されるものではなく、例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、鶏、ダチョウ、ウサギ、ラット、及び魚類の皮膚、骨、浮袋、皮、筋肉、鱗、及び軟骨を挙げることができる。更に様々な細胞から抽出・精製されたコラーゲンや遺伝子組み換え操作により製造される人工コラーゲンなども挙げることができる。しかしながら、本発明のコラーゲン・キトサン複合細繊維を生体材料として用いる観点からは、人獣共通感染症のない魚類由来コラーゲンが好ましい。コラーゲンを取得する魚類は、特に限定されるものではなく、例えば、テラピア、タイ、ヒラメ、サメ、イワシ、マグロ、フグ、キンギョ、タラ、カレイ、コイ、クラゲ、及びサケを挙げることができる。特には、変性温度が比較的高いコラーゲンを取得できることから、水温の高い川、湖沼、又は海に生息する魚類が好ましく、例えばオレオクロミス属の魚類が好ましく、日本や中国で食用として養殖されており入手が容易であるナイルテラピア(Oreochromis niloticus)が特に好ましい。また、魚類由来コラーゲンを取得する部位も、限定されるものではなく、皮又は鱗を挙げることができるが、魚臭の原因となる脂質が少ないことから、鱗が好ましく、従って、魚鱗由来コラーゲンが好ましい。
(キトサン)
キトサンは、節足動物や甲殻類の外骨格から得られるキチン(ポリ−β→4−N−アセチルグルコサミン)を、脱アセチル化することによって、得ることができる。キチンの脱アセチル化度は、特に限定させるものではないが、60〜100%が好ましく、70〜100%がより好ましく、80〜100%が更に好ましく、90〜100%が最も好ましい。100%に近いほうが、コラーゲンのカルボキシル基と相互作用するアミノ基が多くなるからである。また、キトサンの由来も、特に限定されるものではなく、カニ、エビ、オキアミ、フジツボ、及びミジンコを挙げることができるが、カニは甲羅が大きく商業的に量産化されている点から好ましい。
[2]コラーゲン・キトサン複合繊維状ゲル
本発明のコラーゲン・キトサン複合繊維状ゲルは、分散質として前記コラーゲン・キトサン複合細繊維を含むものである。本発明のコラーゲン・キトサン複合繊維状ゲルにおける分散媒は、特に限定されるものではなく、水性の分散媒でも有機溶媒系の分散媒でもよいが、生体材料として用いる場合は人体に害のない水性の分散媒を用いるほうが好ましい。
本発明のコラーゲン・キトサン複合繊維状ゲルは、コラーゲン細繊維のみからなるゲルと比較すると、貯蔵弾性率が顕著に向上しており、300Pa(1Hz)以上である。また、コラーゲン・キトサン複合繊維状ゲルは、コラーゲン・キトサン複合細繊維が架橋されることによって、更に貯蔵弾性率が向上する。架橋は、グルタルアルデヒド又はカルボジイミドなどの架橋剤によって行うことができる。
[3]コラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体
本発明のコラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体は、前記コラーゲン・キトサン複合細繊維を含むものであり、前記コラーゲン・キトサン複合繊維状ゲルを凍結乾燥法又はキャスト法により乾燥させ、分散媒が除去されたものである。従って、コラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体を、細胞培養基材、再生医療用の足場材料(例えば、軟骨、骨、皮膚、及び肝臓組織の再生材料)、移植用材料(創傷被覆材料、骨補填剤、又は止血材料)、又は薬物送達担体として使用する場合は、そのアプリケーションに適した溶媒で膨潤させて使用することが望ましい。
また、本発明のコラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体は、熱架橋又は化学架橋により、コラーゲン・キトサン複合細繊維を架橋することによって、力学特性を更に向上させることが可能である。
(生体材料)
本発明の複合繊維状多孔体は、生体材料、例えば、細胞培養基材、再生医療用の足場材料(例えば、軟骨、骨、皮膚、及び肝臓組織の再生材料)、移植用材料(創傷被覆材料、骨補填剤、又は止血材料)、又は薬物送達担体として用いることができる。複合繊維状多孔体は、水分などの溶媒を含まないため、生体材料として用いる場合は、溶媒に浸漬させて用いることが好ましい。複合繊維状多孔体を浸漬する溶媒としては、水、アルコール、細胞培養液、リン酸緩衝溶液、炭酸緩衝溶液、及びリンゲル液などを挙げることができる。
前記コラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体を溶媒に浸漬した場合の膨潤度は、コラーゲン細繊維のみからなる多孔体と比較すると、1/3程度であり、従って、力学特性が高く、操作性も優れている。
[4]コラーゲン・キトサン複合細繊維又はコラーゲン・キトサン複合繊維状ゲルの製造方法
本発明のコラーゲン・キトサン複合細繊維の製造方法(以下、複合細繊維製造方法と称することがある)は、コラーゲン及びキトサンを均一に混合し、pH6.0〜8.0及び塩濃度が15mM以上のコラーゲン・キトサン混合緩衝溶液を調製する工程(以下、混合緩衝溶液調整工程と称する)、及び前記コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液を、繊維調整温度に上昇させることによってコラーゲン及びキトサンを繊維化する工程(以下、繊維化工程と称する)を含む。本発明の複合細繊維製造方法によって、本発明のコラーゲン・キトサン複合細繊維を製造することができるが、コラーゲン・キトサン複合細繊維の製造方法は、本発明の複合細繊維製造方法に限定されるものではない。
また、コラーゲン・キトサン複合繊維状ゲルの製造方法(以下、複合繊維状ゲル製造方法と称することがある)は、コラーゲン及びキトサンを均一に混合し、pH6.1〜7.5及び塩濃度が15mM以上のコラーゲン・キトサン混合緩衝溶液を調製する工程(以下、混合緩衝溶液調整工程と称する)、及び前記コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液を、繊維調整温度に上昇させることによってコラーゲン及びキトサンを繊維化し、コラーゲン・キトサン複合細繊維を含むゲルを調整する工程(以下、ゲル調整工程と称する)を含む。本発明の複合繊維状ゲル製造方法によって、本発明のコラーゲン・キトサン複合繊維状ゲルを製造することができるが、コラーゲン・キトサン複合繊維状ゲルの製造方法は、本発明の複合繊維状ゲル製造方法に限定されるものではない。
また、複合細繊維製造方法における混合緩衝溶液調整工程と、複合繊維状ゲル製造方法における混合緩衝溶液調整工程とは、基本的に同じ条件で行うことができる。更に複合細繊維製造方法における繊維化工程及び複合繊維状ゲル製造方法におけるゲル調整工程も、基本的に同じ条件で行うことができる。従って、以下の説明は複合細繊維製造方法及び複合繊維状ゲル製造方法に共通するものである。
(混合緩衝溶液調整工程)
本発明の製造方法においては、コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液のpH及び塩濃度を調整することが重要である。すなわち、コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液のpHを6.0〜8.0に調整し、塩濃度を15mM以上に調整することによって、後述の繊維化工程及びゲル調整工程において、混合緩衝溶液を、繊維調整温度に上昇させた場合に、力学特性の優れたコラーゲン・キトサン複合細繊維が形成される。
コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液のpHは、前記のようにpH6.0〜8.0であり、好ましくはpH6.0〜7.5であり、最も好ましくはpH6.0〜7.0である。pH6.0未満では、コラーゲン及びキトサンが可溶性であり、塩濃度や温度を調整しても、細繊維を形成することが困難であり、また、pH8.0を超えると温度を上昇させる前に繊維化が始まることがあるからである。更に、特にpH6.0〜7.0においては、力学特性の優れたコラーゲン・キトサン複合繊維状ゲルを得ることができるからである。
コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液の塩濃度は、前記のように15mM以上であり、好ましくは20mM以上であり、最も好ましくは25mM以上である。塩濃度が15mM以上であると、含まれる陰イオンがキトサンと相互作用して緩やかに反応を引き起こし、コラーゲン・キトサン複合細繊維を形成させることができるからである。また、塩濃度の上限は、特に限定されるものではないが、好ましくは200mM以下であり、より好ましくは100mM以下であり、最も好ましくは70mM以下である。
前記コラーゲン・キトサン複合細繊維の形成には、pHが低い領域、例えばpH6.0〜pH6.5程度においては、一定以上の塩濃度、例えば15mM以上の塩濃度が必要となる。一方、pH6.5〜8.0の領域では、コラーゲン・キトサン複合細繊維の形成には、塩濃度よりもpHの作用の影響が大きいが、15mM以上でコラーゲン・キトサン複合細繊維の形成を行うことができる。
また、後述の実施例で示したように、魚類由来のI型コラーゲンにおいては、コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液のpHを6.0〜8.0に調整し、塩濃度を15mM以上に調整することによって、コラーゲン・キトサン複合細繊維が形成される。コラーゲンのタイプ(I型コラーゲン〜XIII型コラーゲン)及びコラーゲンの由来する動物種によっては、コラーゲン・キトサン複合細繊維が形成することのできるpH及び/又は塩濃度が、若干変動することがある。しかしながら、本発明の属する分野の当業者であれば、本明細書の記載に従って、pH及び塩濃度の下限、又は上限を適宜決定することが可能であり、その決定されたpH及び塩濃度の下限又は上限は、本発明の範囲に属するものである。
前記コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液の温度は、混合緩衝溶液の状態でコラーゲン・キトサン複合細繊維の繊維化が開始しない温度である限り、限定されるものではないが、1℃〜25℃が好ましく、1℃〜15℃がより好ましく、1℃〜10℃が更に好ましく、2℃〜6℃が最も好ましい。1℃未満では混合緩衝溶液が、凍結することがあり、25℃を超えると、コラーゲン・キトサン複合細繊維の繊維化が開始する可能性があるからである。
混合緩衝溶液調整工程において、コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液を作成する手順は、混合緩衝溶液のpHが急激にアルカリ性になることがなく、そして温度が25℃を超えることなしに、目的のpH及び塩濃度に調整される限り、特に限定されるものではない。しかしながら、コラーゲン及びキトサンは、酸性の溶液に溶解したほうが安定である。従って、好適な混合緩衝溶液調整工程としては、以下のような手順が考えられる。例えば、予めコラーゲンの溶解したコラーゲン酸性溶液、及びキトサンの溶解したキトサン酸性溶液を調整し、これらを混合してコラーゲン・キトサン混合溶液を作成して、これにアルカリ性の緩衝液を添加する手順、又はコラーゲン及びキトサンの溶解したコラーゲン・キトサン混合溶液を作製して、これにアルカリ性の緩衝液を添加する手順などである。
例えば、前者の手順に従えば、混合緩衝溶液調整工程は、コラーゲン酸性溶液及びキトサン酸性溶液を混合し、コラーゲン・キトサン混合溶液を作製する工程、及びコラーゲン・キトサン混合溶液にアルカリ性緩衝液を添加する工程の2つの工程に分けて行うことができる。
コラーゲン酸性溶液に用いる酸は、無機酸又は有機酸を用いることができる。無機酸としては、塩酸、リン酸、硝酸、及び硫酸を挙げることができ、有機酸としては、酢酸、ギ酸、クエン酸及びシュウ酸を挙げることができる。また、コラーゲン酸性溶液のpHは、pH2.0〜4.0が好ましい。
キトサン酸性溶液に用いる酸は、無機酸又は有機酸を用いることができるが、好ましくは有機酸である。有機酸としては、酢酸、ギ酸、クエン酸及びシュウ酸を挙げることができる。また、キトサン酸性溶液のpHは、pH2.0〜5.0が好ましい。
コラーゲン酸性溶液及びキトサン酸性溶液を混合し、コラーゲン・キトサン混合溶液を作製する。次に、コラーゲン・キトサン混合溶液に、pHが急激に上昇しないように注意しながら、アルカリ性緩衝液を少しずつ添加する。アルカリ性緩衝液にコラーゲン・キトサン混合溶液を添加すると、局所的にコラーゲン・キトサン混合溶液のpHが上昇し、コラーゲン・キトサン複合細繊維の繊維化が開始することがあり、好ましくない。得られたコラーゲン・キトサン混合溶液は、0.5〜12時間程度、25℃未満、より好ましくは1℃〜15℃、更に好ましくは1℃〜10℃、最も好ましくは2℃〜6℃で撹拌し、均一に混合させる。コラーゲン及びキトサンが均一に混合されることにより、得られたコラーゲン・キトサン複合細繊維の力学特性が上昇するからである。
アルカリ性緩衝液は、特に限定されるものではなく、炭酸緩衝液、リン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液、HEPES緩衝液、及びグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液などを用いることができるが、得られるコラーゲン・キトサン複合細繊維、コラーゲン・キトサン複合繊維状ゲル、及びコラーゲン・キトサン複合細繊状多孔体を生体材料として用いる場合は、炭酸緩衝液、又はリン酸緩衝液が好ましい。特に、炭酸緩衝液は、pH制御範囲が広く、炭酸イオンはキトサンと反応しpHを酸性側にシフトさせることができるため、より好ましい。
本発明の製造方法に用いるコラーゲンとしては、前記「コラーゲン・キトサン複合細繊維」に記載のコラーゲンを用いることができる。また、本発明の製造方法に用いるキトサンとしては、前記「コラーゲン・キトサン複合細繊維」に記載のキトサンを用いることができる。なお、キトサンの脱アセチル化度は、特に限定されるものではないが、60〜100%のものを用い、70〜100%がより好ましく、80〜100%が更に好ましく、90〜100%が最も好ましい。100%に近いほうが、コラーゲンのカルボキシル基と相互作用する、アミノ基が多くなるからである。
コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液中の、コラーゲンとキトサンとのモル比は、特に制限されるものではないが、通常100:1〜1:100の範囲であり、好ましくは10:1〜1:10であり、より好ましくは5:1〜1:5であり、更に好ましくは4:1〜1:4であり、最も好ましくは1:1である。コラーゲンとキトサンとのモル比が1:1に近いと、コラーゲンのカルボキシル基とキトサン分子のアミノ基との相互作用が、最適になり、貯蔵弾性率が上昇するからである。
(繊維化工程、及びゲル調整工程)
本発明の製造方法における繊維化工程、及びゲル調整工程では、前記コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液を、繊維調整温度に上昇させることによって、コラーゲン及びキトサンを繊維化し、コラーゲン・キトサン複合細繊維を得ることができ、またコラーゲン・キトサン複合細繊維が分散質として、水系の分散媒などに含まれたコラーゲン・キトサン複合繊維状ゲルを得ることができる。
繊維化工程、及びゲル調整工程においては、コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液を、繊維調整温度に上昇させることによって、コラーゲン及びキトサンの相互作用が始まり、コラーゲン・キトサン複合細繊維が形成する。
本発明の製造方法において、前記混合緩衝溶液調整工程における上限温度(保持温度)、並びに繊維化工程及びゲル調整工程における繊維調整温度は、コラーゲン・キトサン複合細繊維の繊維化を行う上で重要である。一般的に、混合緩衝溶液調整工程における上限温度(保持温度)は、繊維化を起こさないために、室温以下、例えば25℃以下が好ましく、20℃以下がより好ましい。一方、繊維調整温度は繊維化を開始し、且つコラーゲンの3重らせん構造を破壊させないために、室温から各コラーゲンの変性温度が好ましく、各コラーゲンの「(変性温度−15℃)〜変性温度」が更に好ましく、「(変性温度−10℃)〜(変性温度−4℃)」がより好ましく、例えば、20℃〜35℃で繊維化をすることができる。
前記混合緩衝溶液調整工程における上限温度(保持温度)、及び繊維調整温度は、用いるコラーゲンの由来によって繊維化を開始する温度及び変性温度が異なるため、例えば哺乳類のコラーゲンを用いた場合は高く、魚類のコラーゲンを用いた場合は低い。従って、混合緩衝溶液調整工程におけるコラーゲン・キトサン混合緩衝溶液の上限温度(保持温度)及び繊維調整温度は用いるコラーゲンによって適宜決定することができる。以下の表1にコラーゲンの由来による「混合緩衝溶液調整工程における上限温度(保持温度)」及び「繊維調整温度」の例を纏めた。なお、繊維調整温度の上限が、それぞれのコラーゲンの変性温度である。
なお、本発明の複合細繊維製造法及び複合繊維状ゲル製造方法においては、コラーゲンの3重らせん構造が破壊され、コラーゲンの変性が起きない温度で、混合緩衝溶液調整工程、繊維化工程、及びゲル調整工程を行う必要がある。変性温度以上になると、3重らせん構造が壊れ、コラーゲンがゼラチンとなるからである。
また、本発明の複合繊維状ゲル製造方法におけるゲル調整工程においては、更に前記コラーゲン・キトサン複合細繊維を架橋してもよい。ゲル調整工程における架橋は、化学架橋が好ましく、得られたゲルをグルタルアルデヒド溶液又はカルボジイミド溶液に浸漬することによって、コラーゲン・キトサン複合細繊維が架橋され、複合繊維状ゲルの力学特性が、更に向上する。
[5]コラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体の製造方法
本発明のコラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体の製造方法(以下、複合繊維状多孔体製造方法と称することがある)は、コラーゲン及びキトサンを均一に混合し、pH6.0〜8.0及び塩濃度が15mM以上のコラーゲン・キトサン混合緩衝溶液を調製する工程(以下、混合緩衝溶液調整工程と称する)、前記コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液を、繊維調整温度に上昇させることによってコラーゲン及びキトサンを繊維化し、コラーゲン・キトサン複合繊維ゲルを調整する工程(以下、ゲル調整工程と称する)、及び前記コラーゲン・キトサン複合繊維ゲルを乾燥させる工程(以下、乾燥工程と称する)を含む。本発明の複合繊維状多孔体製造方法によって、本発明のコラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体を製造することができるが、コラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体の製造方法は、本発明の複合繊維状多孔体製造方法に限定されるものではない。
また、複合繊維状多孔体製造方法における混合緩衝溶液調整工程及びゲル調整工程は、それぞれ、複合繊維状ゲル製造方法における混合緩衝溶液調整工程及びゲル調整工程と共通であり、前記複合繊維状ゲル製造方法において説明した操作等を用いることができる。
(乾燥工程)
前記乾燥工程におけるコラーゲン・キトサン複合繊維ゲルを乾燥させる方法としては、コラーゲンの3重らせん構造が破壊される変性温度以上の温度を使用しない限り、限定されるものではなく、例えば凍結乾燥法、キャスト法、風乾法、及び自然乾燥法を用いることができる。例えば、凍結乾燥法を用いる場合、得られたコラーゲン・キトサン複合繊維ゲルを、−20℃〜−80℃程度で急速に凍結し、凍結したコラーゲン・キトサン複合繊維ゲルを、真空状態で水分を昇華させることによって、乾燥したコラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体を得ることができる。
本乾燥工程において、分散媒を含んだコラーゲン・キトサン複合繊維ゲルの状態において、変性温度以上の熱が加わった場合、コラーゲンの3重らせん構造が破壊され、得られるコラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体の強度が低下するため、好ましくない。
(架橋)
本発明の複合繊維状多孔体の製造方法は、更にコラーゲン・キトサン複合細繊維を架橋する工程を含むことができる。架橋は、コラーゲン・キトサン複合細繊維内部の、コラーゲンの3重らせん構造(トロポコラーゲン)同士の間、及びコラーゲンの3重らせん構造(トロポコラーゲン)及びキトサンの間で起こってもよく、コラーゲン・キトサン複合細繊維同士の間で起こってもよい。
架橋方法は、公知の方法を用いることが可能であり、例えば、物理架橋又は化学架橋を挙げることができる。物理架橋としては、熱架橋(熱脱水(DHT)架橋)、紫外線(UV)照射、又はγ線照射を挙げることができ、化学架橋に用いる架橋剤としては、グルタルアルデヒド(GA)、ポリエポキシ化合物、カルボジイミド、イソシアネート、又はゲニピンなどの化学架橋剤を用いることができる。化学架橋の場合は、架橋剤を溶媒に溶解させ、複合繊維状多孔体を浸漬することによって、架橋を行う。GA溶液を用いる場合は、濃度0.5〜2.0%の範囲を用いると均一に架橋を導入することが可能である。また、熱架橋の場合は、複合繊維状多孔体を100℃〜140℃の真空中において、1〜12時間処理することによって、架橋することができる。更に熱架橋を行った後に、前記化学架橋処理を施したり、25%GA溶液やそれを希釈した溶液をデシケーター内に入れて熱架橋した複合繊維状多孔体をいれて20℃〜50℃の温度で1時間から24時間処理を施したり、することで均一に内部まで架橋を導入することが可能である。
架橋を行うことによって、複合繊維状多孔体の強度は、3〜10倍程度向上する。
《コラーゲン・キトサン複合細繊維の構造》
コラーゲンは、酸性溶液中でプラスに帯電し、アルカリ溶液中でマイナスに帯電する性質があり、更に中性付近では見掛け上、中性の電荷となる。コラーゲン分子は、300nm×1.5nmの大きさからなる3重らせん構造を持つ棒状の分子であり、塩濃度、塩の種類や温度に強く依存するが、中性付近でコラーゲン細繊維を形成する。一方、脱アセチル化度が高いキトサンは、酸性溶液中ではアミノ基がプラスに帯電している。
本発明のコラーゲン・キトサン複合細繊維においては、コラーゲン分子とキトサン分子との静電気的相互作用を、制御することにより、均一なコラーゲンとキトサンとからなるコラーゲン・キトサン複合細繊維の形成が可能となることを見出した。すなわち、例えば炭酸緩衝液を用いて、pH、塩濃度、及び温度を制御することで、均質で高い粘弾性特性をもつ新規なコラーゲン・キトサン複合細繊維を形成する合成方法を見出した。
コラーゲンとキトサンとからなるコラーゲン・キトサン複合細繊維は、炭酸イオン濃度(pH)を変えることにより、得られる繊維の直径が変化する。pHを8以上で制御すると、繊維直径が30〜40nmとなり、pH6.5〜7.5では直径約80〜90nmであった。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《貯蔵弾性率の測定方法》
後述の実施例及び比較例において得られたコラーゲン・キトサン複合繊維状ゲルの貯蔵弾性率は、以下の方法により行った。測定に用いたゲルのサイズは、25mm×5mmである。温度23℃、周波数1Hz、初期歪み1Nの条件下で、動的粘弾性装置RheoStress1(Haake社製)を用いて、測定を行った。
《実施例1》
(コラーゲン・キトサン複合細繊維及びコラーゲン・キトサン複合繊維状ゲルの製造)
テラピアのウロコから抽出したI型アテロコラーゲンを、pH3の塩酸に2wt%になるように加え、コラーゲン酸性溶液を調整した。また、脱N−アセチル化度93%のキトサンを0.09Mの酢酸に1.6wt%になるように加え、キトサン酸性溶液を調整した。二つの溶液を等量ずつ加え混合し、20時間以上4℃で攪拌し、コラーゲン・キトサン混合溶液を得た。この際、コラーゲンとキトサンのモル数が同じになる比率で調整した。
次に、1mol/Lの炭酸ナトリウム(pH11.5)と1mol/Lの炭酸水素ナトリウム(pH8.7)を調整し、等量混合して炭酸緩衝溶液(pH9.6)を調整した。この溶液を希釈し、0.3mol/Lの炭酸緩衝溶液(pH9.6)とした。
次いで、コラーゲン・キトサン混合溶液に、炭酸緩衝溶液を体積比率9:1になるように滴下し、20時間以上4℃で攪拌し、pH6.6、塩濃度30mMのコラーゲン・キトサン混合緩衝溶液を得た。このコラーゲン・キトサン混合緩衝溶液を、更に28℃の乾燥器中に3時間静置して繊維化を生じさせた。
炭酸緩衝溶液滴下では、得られたコラーゲン・キトサン混合緩衝溶液は透明で、28℃に温度を上昇させることで白濁した繊維状ゲルが得られた。得られた繊維状ゲルの外観を図1に示す。また、コントロールとしてダルベッコスリン酸緩衝溶液(D−PBS)を用いて、同じ条件で作製した純粋なコラーゲン細繊維状ゲルの外観も図1に示す。更に、得られた繊維状ゲルの貯蔵弾性率を測定した結果を、表2及び図3に示す。
(複合繊維状多孔体の製造)
白濁した繊維状ゲルを、更にエタノールシリーズ(50%、60%、75%、90%、100%)を用いて脱水し、最後にt−ブタノールで置換後、冷蔵庫で凍結させて、Virtis AdvantageのAD2.0−EL−SCを用いて凍結乾燥を行い、複合繊維状多孔体を得た。作製した複合繊維状多孔体の走査型電子顕微鏡像を図2に示す。
なお、コントロールとして前記の純粋なコラーゲン細繊維状ゲルから得た多孔体のコラーゲン繊維の顕微鏡像を示す。
更に、凍結乾燥により作製した複合繊維状多孔体を130℃の真空中で3時間処理することによって、熱架橋をコラーゲン・キトサン複合繊維内に導入することができた。
《実施例2》
炭酸緩衝溶液の濃度を0.3mol/Lに代えて、0.4mol/Lとした以外は、実施例1の操作を繰り返した。コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液はpH6.8、塩濃度は40mMである。
炭酸緩衝溶液滴下では、得られたコラーゲン・キトサン混合緩衝溶液は透明で、28℃に温度を上昇させることで白濁した繊維状ゲルが得られた。得られた繊維状ゲルの貯蔵弾性率を測定した結果を、表2及び図3に示す。
なお、実施例2においては、複合繊維状多孔体は製造しなかった。
《実施例3》
炭酸緩衝溶液の濃度を0.3mol/Lに代えて、0.6mol/Lとした以外は、実施例1の操作を繰り返した。コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液はpH7.5、塩濃度は60mMである。
炭酸緩衝溶液滴下では、得られたコラーゲン・キトサン混合緩衝溶液は透明で、28℃に温度を上昇させることで白濁した繊維状ゲルが得られた。得られた繊維状ゲルの外観を図1に示す。更に、得られた繊維状ゲルの貯蔵弾性率を測定した結果を、表2及び図3に示す。作製した複合繊維状多孔体の走査型電子顕微鏡像を図2に示す。
《比較例1》
炭酸緩衝溶液の濃度を0.3mol/Lに代えて、0.1mol/Lとした以外は、実施例1の操作を繰り返した。コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液はpH5.9、塩濃度は10mMである。炭酸緩衝溶液滴下では、得られたコラーゲン・キトサン混合緩衝溶液は透明で、繊維状ゲルは得られなかった。
《比較例2》
炭酸緩衝溶液の濃度を0.3mol/Lに代えて、0.8mol/Lとした以外は、実施例1の操作を繰り返した。コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液はpH8.4、塩濃度は80mMである。炭酸緩衝溶液滴下直後に白濁が生じた。得られた繊維状ゲルの貯蔵弾性率を測定した結果を、表2及び図3に示す。作製した複合繊維状多孔体の走査型電子顕微鏡像を図2に示す。
《比較例3》
炭酸緩衝溶液の濃度を0.3mol/Lに代えて、1.0mol/Lとした以外は、実施例1の操作を繰り返した。コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液はpH9.0である。炭酸緩衝溶液滴下直後に白濁が生じた。得られた繊維状ゲルの外観を図1に示す。更に、得られた繊維状ゲルの貯蔵弾性率を測定した結果を、表2及び図3に示す。作製した複合繊維状多孔体の走査型電子顕微鏡像を図2に示す。
(ゲルの外観)
図1に、実施例1(pH6.6)、実施例3(pH7.5)及び比較例3(pH9.0)で作製した繊維状ゲルの外観を示す。図から明らかなように、コントロールである純粋なコラーゲンゲルでは端の形状が保たれていないが、キトサンを混合することで形状が保持できることが分かる。更に比較例3(pH9.0)のゲルも端の形状が維持できず、外観からも明らかなように繊維状ゲルの強度が異なることが分かる。
(複合繊維状多孔体の繊維)
図2に実施例1(pH6.6)、実施例3(pH7.5)、比較例2(pH8.4)及び比較例3(pH9.0)の複合繊維状多孔体の走査型電子顕微鏡像を示す。いずれの複合繊維状多孔体も、繊維が観察された。キトサンを混合して作製した実施例1及び3の繊維は、直径が80nmから90nm程度であり、更にpHが高い条件で作製した比較例2及び3の繊維は、40nm以下と明らかに直径が小さくなることが分かる。
(貯蔵弾性率)
実施例1〜3、及び比較例2と3の繊維状ゲルの貯蔵弾性率を図3に示す。pH6.5付近で作製した繊維状ゲル(実施例1)では、800Paであったが、pHが高くなるにつれて貯蔵弾性率が小さくなることが明らかであった。また、D−PBSで作製したコントロールの純粋なコラーゲンゲルでは、貯蔵弾性率は30Paであり、キトサンを混合することで明かに繊維状ゲルの強度が向上することが分かる。
(熱架橋)
実施例1、実施例2、及び実施例3において、複合繊維状多孔体を130℃の真空中で3時間処理することによって、熱架橋をコラーゲン・キトサン複合繊維内に導入した。熱架橋を行うことによって、複合繊維状多孔体の強度が上昇した。
《実施例4》
実施例4〜7では、炭酸緩衝溶液の効果を確かめるため、塩濃度を30mMにして、繊維状ゲルを作製した。
0.3mol/Lの炭酸ナトリウム(pH11.5)と0.3mol/Lの炭酸水素ナトリウム(pH8.7)を調整し、二液を混合して0.3mol/Lになるように炭酸緩衝溶液(pH9.2)を調整した。
次いで、実施例1で用いたコラーゲン・キトサン混合溶液(コラーゲンとキトサンのモル数が同じ)に、炭酸緩衝溶液を体積比率9:1(最終炭酸濃度:30mmol)になるように滴下し、4℃で攪拌後、28℃の乾燥器中に3時間静置して繊維化を生じさせた。コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液はpH6.24である。作製したコラーゲン・キトサン混合緩衝溶液のpH、及び塩濃度などの条件、並びに得られたゲル繊維の貯蔵弾性率を表2に示す。
《実施例5》
炭酸緩衝液をpH9.2から、pH9.6に変更した以外は、実施例4の操作を繰り返した。コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液はpH6.40である。
《実施例6》
炭酸緩衝液をpH9.2から、pH10.6に変更した以外は、実施例4の操作を繰り返した。コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液はpH6.85である。
《実施例7》
炭酸緩衝液のpH9.2から、pH11.5の炭酸ナトリウムに変更した以外は、実施例4の操作を繰り返した。コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液はpH7.04である。
《比較例4》
コラーゲン・キトサン混合溶液における、コラーゲンとキトサンとのモル比を1:1から1:0に変更したことを除いては、実施例7の操作を繰り返した。コラーゲンの緩衝溶液は、pH6.24である。
(貯蔵弾性率)
実施例4〜7で得られた繊維状ゲルの粘弾性測定を行い、その貯蔵弾性率を表2及び図4に示す。図に示すように、pH6.4に調整したコラーゲン・キトサン複合繊維ゲル(実施例5)が最も高い値、1800Paを示した。このことから調整したコラーゲン・キトサン混合緩衝溶液の最終pHが複合繊維状ゲルの粘弾性特性に大きく影響していることが分かる。
《実施例8》
実施例8〜11及び比較例5では、コラーゲンへのキトサンの混合比率の影響を調べるため、コラーゲンとキトサンとのモル比を変えて、得られたコラーゲン・キトサン複合繊維ゲルの粘弾性特性を調べた。
0.09mol/Lの酢酸溶液にキトサン濃度を1.6wt%となるように調整し、キトサン酸性溶液とした。コラーゲン酸性溶液は、pH3の酢酸溶液に2wt%になるように調整した。2つの溶液を当量ずつ混合し、20時間以上4℃で攪拌し、コラーゲン・キトサン混合溶液を得た。コラーゲンとキトサンとのモル比は、1:1になるように調整した。
0.3mol/Lの炭酸ナトリウム(pH11.5)と0.3mol/Lの炭酸水素ナトリウム(pH8.7)を調整し、二液を混合して0.3mol/Lになるように炭酸緩衝溶液(pH9.6)を調整した。
コラーゲン・キトサン混合溶液に炭酸緩衝溶液を滴下し、コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液を得た。得られたコラーゲン・キトサン混合緩衝溶液を、28℃の乾燥器中に3時間静置することで白濁・繊維化が生じた。なお、コラーゲン・キトサン混合溶液のpHは、5.5であり、コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液はpH6.60である。
《実施例9》
キトサン濃度を1.6wt%から1.2wt%に変更したことを除いては、実施例8の操作を繰り返した。コラーゲンとキトサンとのモル比は、1:3/4(1:0.75)になるように調整し、コラーゲン・キトサン混合溶液は、pH4.8であり、コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液はpH6.24である。
《実施例10》
キトサン濃度を1.6wt%から0.8wt%に変更したことを除いては、実施例8の操作を繰り返した。コラーゲンとキトサンとのモル比は、1:1/2(1:0.5)になるように調整し、コラーゲン・キトサン混合溶液は、pH4.5であり、コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液はpH6.09である。
《実施例11》
キトサン濃度を1.6wt%から0.4wt%に変更したこと、及びpH9.6の炭酸緩衝溶液を、pH10.6炭酸緩衝溶液に変更したことを除いては、実施例8の操作を繰り返した。コラーゲンとキトサンとのモル比は、1:1/4(1:0.25)になるように調整し、コラーゲン・キトサン混合溶液は、pH4.1であり、コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液はpH6.60である。
《比較例5》
キトサン濃度を1.6wt%から0wt%に変更したこと、及びコラーゲン・キトサン混合溶液における、コラーゲンとキトサンとのモル比を1:1/4から1:0に変更したことを除いては、実施例11の操作を繰り返した。コラーゲン・キトサン混合溶液のpHは、3.5であり、コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液はpH6.03である。
(貯蔵弾性率)
実施例8〜11及び比較例5で得られた繊維状ゲルの粘弾性測定を行った。図5に28℃の乾燥器中で繊維状ゲルの貯蔵弾性率を示す。線形粘弾性領域において周波数を走査させて粘弾性測定を行った。コラーゲンとキトサンの比率が1:1で作製した繊維状ゲルからキトサンの比率が小さくなるに従って貯蔵弾性率が小さくなることが明らかであった。このように、キトサン含有量を変化させることで複合繊維状ゲルの弾性的性質を制御できることを明らかとなった。
《膨潤度の測定》
実施例1、実施例3、比較例2で得られた未架橋の複合繊維状多孔体、及びD−PBSを用いて作製した純粋なコラーゲン繊維からなる多孔体について、膨潤度を測定した。凍結乾燥させた試料の重量を電子天秤により秤量し、D−PBS中にそれぞれ浸漬させた。所定時間後に試料を取り出し、キムタオル上で10秒間静置して余剰の水分を除去してからその重量を測定した。膨潤度=[(膨潤試料の重量(g)−凍結乾燥試料の重量(g))/凍結乾燥試料の重量(g)]として算出した。その結果、コラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体では、浸漬後約3時間後に平衡に達したが、コラーゲン繊維からなる多孔体では平衡に達するのに6時間必要であった。25時間後では、コラーゲン繊維からなる多孔体は膨潤度が17となったが、形状を維持することが困難であるほど力学特性が低下した。コラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体は、pHが低い条件で作製した試料が最も低い膨潤度、5倍となり、作製したpHに依存して膨潤度が高くなった。pH7.5とpH9.0の試料では、約8倍、10倍といった膨潤度を示した。このことからも、最適なpHで作製した試料では、コラーゲンとキトサンの相互作用が向上しており、膨潤度が低くなることが明らかとなった。
本発明のコラーゲン・キトサン複合細繊維を含むコラーゲン・キトサン複合繊維ゲル、又はコラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体は、生体材料、すなわち細胞培養基材、再生医療用の足場材料(例えば、軟骨、骨、皮膚、及び肝臓組織の再生材料)、移植用材料(創傷被覆材料、骨補填剤、又は止血材料)、又は薬物送達担体として用いることができる。また、本発明のコラーゲン・キトサン複合細繊維の製造方法、コラーゲン・キトサン複合繊維ゲルの製造方法、及びコラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体の製造方法によれば、前記コラーゲン・キトサン複合細繊維を含むコラーゲン・キトサン複合繊維ゲル、又はコラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体を簡便に製造することができる。

Claims (11)

  1. 実質的に、コラーゲン及びN−アセチル化度60〜100%のキトサンからなる、コラーゲン・キトサン複合細繊維。
  2. 直径が50〜200nmである、請求項1に記載のコラーゲン・キトサン複合細繊維。
  3. 前記コラーゲンが、魚類由来コラーゲンである、請求項1又は2に記載のコラーゲン・キトサン複合細繊維。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のコラーゲン・キトサン複合細繊維を含む、コラーゲン・キトサン複合繊維ゲル。
  5. 1Hzにおける貯蔵弾性率が、300Pa以上である、請求項4に記載のコラーゲン・キトサン複合繊維ゲル。
  6. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のコラーゲン・キトサン複合細繊維を含む、コラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体。
  7. 前記コラーゲン・キトサン複合細繊維が架橋されている、請求項6に記載のコラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体。
  8. コラーゲン及びキトサンを均一に混合し、pH6.0〜8.0及び塩濃度が15mM以上のコラーゲン・キトサン混合緩衝溶液を調製する工程、及び
    前記コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液を、繊維調整温度に上昇させることによってコラーゲン及びキトサンを繊維化する工程、
    を含む、コラーゲン・キトサン複合細繊維の製造方法。
  9. コラーゲン及びキトサンを均一に混合し、pH6.0〜8.0及び塩濃度が15mM以上のコラーゲン・キトサン混合緩衝溶液を調製する工程、及び
    前記コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液を、繊維調整温度に上昇させることによってコラーゲン及びキトサンを繊維化し、コラーゲン・キトサン複合細繊維を含むゲルを調整する工程、
    を含む、コラーゲン・キトサン複合繊維ゲルの製造方法。
  10. コラーゲン及びキトサンを均一に混合し、pH6.0〜8.0及び塩濃度が15mM以上のコラーゲン・キトサン混合緩衝溶液を調製する工程、
    前記コラーゲン・キトサン混合緩衝溶液を、繊維調整温度に上昇させることによってコラーゲン及びキトサンを繊維化し、コラーゲン・キトサン複合繊維ゲルを調整する工程、及び
    前記コラーゲン・キトサン複合繊維ゲルを乾燥させる工程、
    を含む、コラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体の製造方法。
  11. 更に、前記コラーゲン・キトサン複合細繊維を架橋する工程を含む、請求項10に記載のコラーゲン・キトサン複合繊維状多孔体の製造方法。
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