JP2014166217A - コラーゲン線維無機高分子複合体及びその製造方法 - Google Patents

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朋彦 吉岡
Zhefeng Xu
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Abstract

【課題】本発明の目的は、従来の物理架橋又は化学架橋を用いることなく、変性温度が高く、そして力学特性に優れたコラーゲン線維成形体、及びその製造方法を提供することである。
【解決手段】前記課題は、本発明のコラーゲン線維及び直鎖状無機高分子を含むコラーゲン無機高分子複合体であって、コラーゲン線維及び直鎖状無機高分子の重量比が1:0.0001〜1:1であるコラーゲン線維無機高分子複合体によって解決することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、コラーゲン線維無機高分子複合体及びその製造方法に関する。本発明によれば、化学架橋又は物理架橋を行うことなしに、優れた力学特性を有するコラーゲン線維成形体を得ることができる。
コラーゲンは、生体内のタンパク質の30%を占め、骨格支持及び細胞接着などの機能を有する重要なタンパク質であり、例えば、ヒトの身体の骨・軟骨、靭帯・腱、角膜実質、皮膚、肝臓、筋肉などの組織の主要構成成分である。コラーゲンを用いた成形体は、細胞培養基材、再生医療用の足場材料(例えば、軟骨・骨・靭帯・角膜実質・皮膚・肝臓組織の再生材料)、移植用材料(創傷被覆材料、骨補填剤、止血材料、癒着防止材など)又は薬物送達担体などの生体材料として有用であり、特に再生医療による大型組織再生には必要不可欠である。しかし、その力学特性が十分でないため、臨床現場における使用は限定されていた。
また、コラーゲンが細胞培養基材、又は生体材料として機能を発揮するためには、3重らせん構造を維持していることが重要である。従って、変性温度が高く、3重らせん構造が壊れにくいコラーゲン線維が、求められていた。
従来、可溶性コラーゲンを試験管内で再線維化して得られる成形体としては、例えば、特許文献1には、魚皮由来のコラーゲンを線維化し、得られたゲルを凍結乾燥し、更に熱脱水架橋又は化学架橋(カルボジイミド、グルタルアルデヒド、又はスクシンイミドなどの水溶液)することにより、得られるコラーゲン膜を開示している。また、特許文献2には、魚皮由来コラーゲンを、線維化と同時に溶液中にて架橋剤で化学架橋させ、伸縮性のコラーゲン成形体を開示している。これらのコラーゲン線維化成形体は、架橋を行わない状態では強度が十分でなかった、従って、強度を必要とする生体材料として用いる場合には、実質的に架橋処理を必要とするものであった。
コラーゲン線維の架橋には、物理架橋、及び化学架橋が用いられる。紫外線、電子線又はガンマ線照射などは、ラジカル反応によりコラーゲン同士を架橋し、物理架橋に分類される。また、グルタルアルデヒド、水溶性カルボジイミド、ポリエポキシ化合物、又はN−ヒドロキシスクシンイミドなどは、共有結合によりコラーゲン同士を架橋し、化学架橋に分類される。更に、有機高分子であるグリコサミノグリカン(コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸など)又はε−ポリリジンなどは、イオン結合によりコラーゲン同士に架橋を生じさせ、一種の化学架橋に分類される。
しかしながら、紫外線、電子線又はガンマ線照射などの物理架橋では、コラーゲン分子のペプチド結合の切断が起こり、強度の低下につながることがある。また、共有結合による化学架橋では、架橋剤自身の毒性が報告されている。更に、有機高分子を用いたイオン結合による化学架橋では、その静電相互作用部位を制御できず、ポリイオンコンプレックスを形成するため、得られる成形体は力学的強度の低いものであった。
特表2003−534858号公報 特開2005−334625号公報 特開2004−000543号公報
本発明の目的は、従来の物理架橋又は化学架橋を用いることなく、変性温度が高く、そして力学特性に優れたコラーゲン線維成形体、及びその製造方法を提供することである。すなわち、生体にとって安全で、且つ力学特性に優れたコラーゲン線維成形体、及びその製造方法を提供することである。
本発明者は、変性温度が高く、そして力学特性に優れたコラーゲン線維成形体について、鋭意研究した結果、驚くべきことに、直鎖状無機高分子の存在下で、コラーゲン線維を形成させることにより、変性温度が高いコラーゲン線維無機高分子複合体が得られることを見出した。前記コラーゲン線維無機高分子複合体は優れた力学特性(例えば、引張強度又はヤング率)を有するものであった。すなわち、得られたコラーゲン線維無機高分子複合体が、コラーゲン線維及び直鎖状無機高分子の合計重量比が1:0.0001〜1:1であることによって、優れた力学特性を有するものであった。更に、本発明のコラーゲン線維無機高分子複合体は、強固に線維化が起こっているため、優れた変性温度を有するものであった。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
[1]コラーゲン線維及び直鎖状無機高分子を含むコラーゲン無機高分子複合体であって、コラーゲン線維及び直鎖状無機高分子の合計重量比が1:0.0001〜1:1であるコラーゲン線維無機高分子複合体、
[2]前記直鎖状無機高分子が、ポリリン酸、ポリホスファゼン、ポリシロキサン、ポリシラン、ポリシラザン、ポリカルボシラン及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される直鎖状無機高分子である、[1]に記載のコラーゲン線維無機高分子複合体、
[3]前記直鎖状無機高分子の平均鎖長が3〜200である、[1]又は[2]に記載のコラーゲン線維無機高分子複合体、
[4]無機高分子を含まないコラーゲン線維成形体と比較して、1.0℃以上高い変性温度を有する、[1]〜[3]のいずれかに記載のコラーゲン線維無機高分子複合体、
[5](1)可溶化コラーゲンを、直鎖状無機高分子存在下で線維化させ、コラーゲン線維無機高分子複合ゲルを得る、コラーゲン線維化工程であって、前記コラーゲン及び直鎖状無機高分子重量比が1:0.0001〜1:1であるコラーゲン線維化工程、(2)前記コラーゲン線維無機高分子複合ゲルから、塩を除去する工程、(3)前記コラーゲン線維無機高分子複合ゲルから脱媒することにより、乾燥させる工程、を含む、コラーゲン線維無機高分子複合体の製造方法、
[6]前記直鎖状無機高分子が、ポリリン酸、ポリホスファゼン、ポリシロキサン、ポリシラン、ポリシラザン、ポリカルボシラン及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される直鎖状無機高分子である、[5]に記載のコラーゲン線維無機高分子複合体の製造方法、
[7]前記直鎖状無機高分子の平均鎖長が3〜200である、[5]又は[6]に記載のコラーゲン線維無機高分子複合体の製造方法、及び
[8]前記乾燥が、側面脱水法、又は凍結乾燥法である[5]〜[7]のいずれかに記載のコラーゲン線維無機高分子複合体の製造方法、
に関する。
なお、特許文献3の実施例において、ポリリン酸水溶液とコラーゲンとを混合させることにより、ゲル状の析出物を得たことが記載されている。しかしながら、ここで調製されているポリリン酸−コラーゲン複合体におけるコラーゲンは、線維化したものではない。特許文献3のコラーゲンは、イオン性高分子であるポリリン酸と、イオンコンプレックスと呼ばれる強い静電相互作用によるポリマーを形成しているものと考えられる。この場合、コラーゲン分子は線維を形成しておらず、得られた複合体は力学的強度の低いものであると考えられた。
本発明のコラーゲン線維無機高分子複合体によれば、直鎖状無機高分子を含まないコラーゲン成形体と比較して、優れた力学特性(引張強度、及びヤング率)を得ることができる。また、本発明のコラーゲン線維無機高分子複合体によれば、コラーゲン線維の変成温度を1℃以上上昇させることができる。また、得られたコラーゲン線維無機高分子複合体は、天然コラーゲン線維と類似した縞状構造を呈しており、その生物機能を保持していると考えられる。
コラーゲン線維無機高分子複合ゲルの外観を示した写真である。短鎖(平均鎖長15)、中鎖(平均鎖長40)、長鎖(平均鎖長85)のポリリン酸を、0.01重量%(A)、0.1重量%(B)、及び1重量%(C)のポリリン酸溶液として用いて調製したコラーゲン線維−ポリリン酸複合ゲルを示す。(D)は、ポリリン酸を含まないコラーゲン線維ゲル(A)の外観を示している。 コラーゲン線維無機高分子複合膜の外観を示した写真である。 0.01重量%の短鎖、中鎖、及び長鎖ポリリン酸溶液を用いて調製されたコラーゲン線維−ポリリン酸複合膜の赤外線分光スペクトルを示した図である。 引張強度試験に用いたコラーゲン線維−ポリリン酸複合膜の形状を示した図である。 コラーゲン線維無機高分子複合ゲルの外観を示した写真である。短鎖、中鎖、長鎖のポリリン酸を、0.01重量%(A)、0.05重量%(B)、及び0.1重量%(C)のポリリン酸溶液として用い、炭酸緩衝溶液で線維化することによって調製したコラーゲン線維−ポリリン酸複合ゲルを示す。(D)は、ポリリン酸を含まないコラーゲン線維ゲル(A)の外観を示している。
[1]コラーゲン線維無機高分子複合体
本発明のコラーゲン線維無機高分子複合体は、コラーゲン線維及び直鎖状無機高分子を含み、コラーゲン線維及び直鎖状無機高分子の重量比が1:0.0001〜1:1である。
コラーゲンは、身体の中で線維構造を形成することでその生物機能を発現する。例えば、I型コラーゲンは、分子量約10万のポリペプチド鎖が3本集まって「3重らせん構造(トロポコラーゲン)」を作っており、分子量は約30万である。長さ300nmで、直径1.5nmの1本の硬い棒のような形態をしている。I型コラーゲンやII型コラーゲンが特異な「3重らせん構造(トロポコラーゲン)」を作るのは、ポリペプチド鎖のアミノ酸の配列が関与している。ポリペプチド鎖は3個のアミノ酸が並んだユニット「G−X−Y」のつながりからできている。Gはグリシンを表し、Xはプロリン、そしてYはヒドロキシプロリンであることが多い。ヒドロキシプロリンは、通常のタンパク質に含まれておらず、コラーゲンに特有のアミノ酸であるが、ヒドロキシプロリンの水酸基と水和水との水素結合によって3重らせん構造が安定すると考えられている。コラーゲンは、アミノ基及びカルボキシル基を有する両性高分子であり、酸性溶液中でプラスに帯電し、アルカリ溶液中でマイナスに帯電する性質があり、更に中性付近では見掛け上、中性の電荷となる。3重らせん構造(トロポコラーゲン)のコラーゲン分子は、塩濃度、塩の種類や温度に強く依存するが、中性付近で、トロポコラーゲンが少しずつずれて集まったコラーゲン細線維を形成する。更に、結合組織内において、多くのコラーゲン細繊維が集まり、強大な線維(膠原線維)を形成することがある。
本発明のコラーゲン線維無機高分子複合体は、例えばコラーゲンの再線維化の工程において、直鎖状無機高分子を存在させることによって得ることができる。通常の再線維化工程においては、3本のポリペプチド鎖が3重らせん構造を形成しトポコラーゲンとなり、更にトポコラーゲンが集合して、コラーゲン細線維を形成する。
本発明のコラーゲン線維無機高分子複合体の構造は、限定されるものではないが、以下のように考えることができる。コラーゲン線維無機高分子複合体に含まれる直鎖状無機高分子は、トポコラーゲンを形成するポリペプチド鎖の間に存在し、静電相互作用によりポリペプチド鎖と結合し、ポリペプチド鎖間の結合を強固にしているものと考えられる。また、直鎖状無機高分子は、トポコラーゲンとトポコラーゲンとの間に存在し、静電相互作用により、トポコラーゲンと結合し、トポコラーゲン間の結合を強固にしているものと考えられる。前記グリコサミノグリカンなどの有機高分子の場合、カルボキシル基又はアミノ基と、静電相互作用しているが、本発明に用いる直鎖状無機高分子は、コラーゲン線維のペプチド結合と静電相互作用していると考えられる。
(直鎖状無機高分子)
本発明のコラーゲン線維無機高分子複合体に含まれる直鎖状無機高分子は、特に限定されるものではないが、ポリリン酸、ポリホスファゼン、ポリシロキサン、ポリシラン、ポリシラザン、又はポリカルボシランを挙げることができる。本発明のコラーゲン線維無機高分子複合体は、前記直鎖状高分子を1種、又は2種以上組み合わせて、含むことができる。
直鎖状無機高分子の繰り返し単位の平均鎖長(平均重合残基数)は、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、下限は3以上が好ましく、7以上がより好ましく、10以上が更に好ましい。平均鎖長の上限は200以下が好ましく、170以下がより好ましく、100以下が更に好ましく、60以下が更に好ましく、30以下が更に好ましい。平均鎖長が5〜200であることにより、特に得られたコラーゲン線維無機高分子複合体の変性温度を上昇させることができる。更に、平均鎖長が5〜200であることにより、複合体の機械的強度を向上させることができる。具体的には、コラーゲン線維無機高分子複合膜の引張強度及びヤング率を向上させることができる。
なお、本明細書において、「短鎖」とは、平均鎖長が5以上30未満の鎖長を意味し、「中鎖」とは平均鎖長が30〜60の鎖長を意味し、「長鎖」とは平均鎖長が60を超えて200以下の鎖長を意味する。
本発明のコラーゲン線維無機高分子複合体に含まれる直鎖状ポリリン酸(以下、PPと称することがある)は、一般式(1)
HO−[POHO]−H (1)
(式中、nは平均重合リン酸残基数を意味する)で表される化合物である。nは限定されるものではないが、3以上が好ましく、7以上がより好ましく、10以上が更に好ましい。平均鎖長の上限は200以下が好ましく、170以下がより好ましく、100以下が更に好ましく、60以下が更に好ましく、30以下が更に好ましい。本発明のコラーゲン線維無機高分子複合体の製造方法においては、ポリリン酸塩(例えば、ポリリン酸ナトリウム、又はポリリン酸カリウム)を用いることができる。
また、前記ポリリン酸の酸素原子(O)は、置換されていてもよい。具体的には、アルキル基、アミノアルキル基、ハロアルキル基、チオアルキル基、チオアリール基、アルコキシ起、ハロアルコキシ基、アリールオキシ基、ハロアリールオキシ基、アルキルチオレート基、アリールチオレート基、アルキルスルホニル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、又は水素原子からなる群から、各々独立して選択される基に置換されてもよい。また、前記アルキル基、及びアミノアルキル基などに含まれるアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜3であり、更に好ましくは炭素数1〜2である。
本発明のコラーゲン線維無機高分子複合体に含まれる直鎖状ポリホスファゼンは、一般式(2)
R−[P(RR)=N]−R (2)
(式中、nは平均重合残基数を意味する)で表される化合物である。nは限定されるものではないが、5以上が好ましく、7以上がより好ましく、10以上が更に好ましい。平均鎖長の上限は200以下が好ましく、170以下がより好ましく、100以下が更に好ましく、60以下が更に好ましく、30以下が更に好ましい。式中、Rは、それぞれ独立して、アルキル基、アミノアルキル基、ハロアルキル基、チオアルキル基、チオアリール基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アリールオキシ基、ハロアリールオキシ基、アルキルチオレート基、アリールチオレート基、アルキルスルホニル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、水酸基、塩素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子もしくは水素原子から選択される基である。また、前記アルキル基、及びアミノアルキル基などに含まれるアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜3であり、更に好ましくは炭素数1〜2である。
本発明のコラーゲン線維無機高分子複合体に含まれる直鎖状ポリシロキサンは、一般式(3)
R−[Si(RR)O]−R (3)
(式中、nは平均重合残基数を意味する)で表される化合物である。nは限定されるものではないが、5以上が好ましく、7以上がより好ましく、10以上が更に好ましい。平均鎖長の上限は200以下が好ましく、170以下がより好ましく、100以下が更に好ましく、60以下が更に好ましく、30以下が更に好ましい。式中、Rは、それぞれ独立して、アルキル基、アミノアルキル基、ハロアルキル基、チオアルキル基、チオアリール基、アルコキ基シ、ハロアルコキシ基、アリールオキシ基、ハロアリールオキシ基、アルキルチオレート基、アリールチオレート基、アルキルスルホニル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、水酸基、塩素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子もしくは水素原子から選択される基である。また、前記アルキル基、及びアミノアルキル基などに含まれるアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜3であり、更に好ましくは炭素数1〜2である。
本発明のコラーゲン線維無機高分子複合体に含まれる直鎖状ポリシランは、一般式(4)
R−[Si(RR)]−R (4)
(式中、nは平均重合残基数を意味する)で表される化合物である。nは限定されるものではないが、5以上が好ましく、7以上がより好ましく、10以上が更に好ましい。平均鎖長の上限は200以下が好ましく、170以下がより好ましく、100以下が更に好ましく、60以下が更に好ましく、30以下が更に好ましい。式中、Rは、それぞれ独立して、アルキル基、アミノアルキル基、ハロアルキル基、チオアルキル基、チオアリール基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アリールオキシ基、ハロアリールオキシ基、アルキルチオレート基、アリールチオレート基、アルキルスルホニル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、水酸基、塩素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子もしくは水素原子から選択される基である。また、前記アルキル基、及びアミノアルキル基などに含まれるアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜3であり、更に好ましくは炭素数1〜2である。
本発明のコラーゲン線維無機高分子複合体に含まれる直鎖状ポリシラザンは、一般式(5)
R−[Si(RR)NR]−R (5)
(式中、nは平均重合残基数を意味する)で表される化合物である。nは限定されるものではないが、5以上が好ましく、7以上がより好ましく、10以上が更に好ましい。平均鎖長の上限は200以下が好ましく、170以下がより好ましく、100以下が更に好ましく、60以下が更に好ましく、30以下が更に好ましい。式中、Rは、それぞれ独立して、アルキル基、アミノアルキル基、ハロアルキル基、チオアルキル基、チオアリール基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アリールオキシ基、ハロアリールオキシ基、アルキルチオレート基、アリールチオレート基、アルキルスルホニル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、水酸基、塩素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子もしくは水素原子から選択される基である。また、前記アルキル基、及びアミノアルキル基などに含まれるアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜3であり、更に好ましくは炭素数1〜2である。
本発明のコラーゲン線維無機高分子複合体に含まれる直鎖状ポリカルボシランは、一般式(6)
R−[Si(RR)CH−R (6)
(式中、nは平均重合残基数を意味する)で表される化合物である。nは限定されるものではないが、5以上が好ましく、7以上がより好ましく、10以上が更に好ましい。平均鎖長の上限は200以下が好ましく、170以下がより好ましく、100以下が更に好ましく、60以下が更に好ましく、30以下が更に好ましい。式中、Rは、それぞれ独立して、アルキル基、アミノアルキル基、ハロアルキル基、チオアルキル基、チオアリール基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アリールオキシ基、ハロアリールオキシ基、アルキルチオレート基、アリールチオレート基、アルキルスルホニル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、水酸基、塩素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子もしくは水素原子から選択される基である。また、前記アルキル基、及びアミノアルキル基などに含まれるアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜3であり、更に好ましくは炭素数1〜2である。
本発明のコラーゲン線維無機高分子複合体の形状は、特に限定されるものではないが、例えば膜、多孔体、粒子、チューブ、又は糸を挙げることができる。すなわち、コラーゲン線維無機高分子複合体は、コラーゲン線維無機高分子複合膜、コラーゲン線維無機高分子複合多孔体、コラーゲン線維無機高分子複合粒子、コラーゲン線維無機高分子複合チューブ、又はコラーゲン線維無機高分子複合糸を含むことができる。
(コラーゲン線維及び直鎖状無機高分子の重量比)
本発明のコラーゲン線維無機高分子複合体において、コラーゲン線維及び直鎖状無機高分子の重量比が1:0.0001〜1:1であり、コラーゲン線維1に対する直鎖状無機高分子の重量比の下限は0.0001以上であり、0.0005以上が好ましく、0.001以上がより好ましく、0.005以上が更に好ましい。また、コラーゲン線維1に対する直鎖状無機高分子の重量比の上限は、1以下であり、0.5以下が好ましく、0.1以下が好ましく、0.05以下が更に好ましい。ここで、コラーゲン線維及び直鎖状無機高分子の合計重量は、乾燥重量を意味する。
コラーゲン線維及び直鎖状無機高分子の重量は、公知の測定法により計算することができる。例えば、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法により、コラーゲン線維無機高分子複合体中のリン原子及び窒素原子の含有率を測定することができる。そして、複合体中のリン原子及び窒素原子の含有率からリンを含むポリリン酸と、窒素を含有するコラーゲンの重量比を算出することができる。
また、フーリエ変換赤外分光法(Fourier Transform Infrared Spectroscopy)により、本発明に用いる直鎖状無機高分子の繰り返し単位を測定することが可能である。また、コラーゲン中の特定の基を測定することが可能であり、それによって、例えばポリリン酸と、コラーゲンの重量比とを算出することができる。
更に、RAMAN散光分光法により、直鎖状無機高分子と、コラーゲンの重量比を算出することも可能である。
(変性温度)
コラーゲンは、温度が上昇すると3本のポリペプチドからなる「3重らせん構造」が解けて、3本のポリペプチドがばらばらになり、ゼラチンとなる。コラーゲンからゼラチンへの変化を変性と呼び、一度変性が起きると、再び温度を低下させても「3重らせん構造」に戻すことは困難である。コラーゲンの変性温度は、通常そのコラーゲンが由来する生物の棲息温度より、若干高い程度である。例えば、水中に生息している魚類の鱗のコラーゲンの変性温度は、低いものが多い。
コラーゲンは、身体の中で線維構造を形成することでその生物機能を発現する。従って、コラーゲン線維が変性しゼラチンとなった場合、コラーゲン線維の用途によっては、機能が低下することが考えられる。すなわち、コラーゲン線維の変性温度は、高いほうが好ましい。
本発明のコラーゲン線維無機高分子複合体の変性温度は、限定されるものではないが、無機高分子を含まないコラーゲン線維成形体の変性温度と比較して、高いものが好ましい。具体的には、本発明のコラーゲン線維無機高分子複合体の変性温度は、無機高分子を含まないコラーゲン線維成形体の変性温度より、好ましくは1.0℃以上高く、より好ましくは1.5℃以上高く、更に好ましくは2℃以上高く、更に好ましくは3℃以上高いものである。なお、比較する無機高分子を含まないコラーゲン線維成形体は、無機高分子を含まない以外は、同様の方法で製造されたものが好ましいが、変性温度の比較が可能である限りにおいて、限定されるものではない。また、便宜的にテラピアコラーゲン線維の変性温度に対して、好ましくは1.0℃以上高く、より好ましくは1.5℃以上高く、更に好ましくは2℃以上高く、更に好ましくは3℃以上高いものでもよい。
変性温度の測定方法は、限定されるものではないが、実施例に記載のDSC曲線を用いた測定方法を用いることができる。
(コラーゲン)
本発明のコラーゲン線維無機高分子複合体に含まれるコラーゲンは、線維型コラーゲンである限り、限定されるものではないが、例えばI型コラーゲン、II型コラーゲン、III型コラーゲン、V型コラーゲン又はこれらの2つ以上の組み合わせを挙げることができる。
また、本発明のコラーゲン線維無機高分子複合体は、本発明の効果が得られる限りにおいて、非線維型コラーゲンであるIV型コラーゲン、VI型コラーゲン、VII型コラーゲン、VIII型コラーゲン、IX型コラーゲン、X型コラーゲン、又はその組み合わせを含むことができる。
コラーゲンを取得する動物種も、特に限定されるものではなく、例えば、哺乳類(例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、又はサル)、鳥類(例えば、ニワトリ、ガチョウ、アヒル、又はダチョウ)、爬虫類(例えば、ワニ)、両生類(例えば、カエル)、魚類(例えば、テラピア、タイ、ヒラメ、サメ、又はサケ)、又は無脊椎動物(例えば、クラゲ)を挙げることができる。またコラーゲンを得る部位も限定されるものではなく、例えば、皮膚、骨、皮、筋肉、軟骨、鱗、又は浮袋等を挙げることができる。
以下に、人獣共通感染症がほとんどなく、生体材料又は化粧品の材料として好ましい魚類由来コラーゲンについて説明する。魚類由来コラーゲンの由来としては、例えば、テラピア、ゴンズイ、ラベオ・ロヒータ、カトラ、コイ、チョウザメ、ライギョ、ピラルク、タイ、ヒラメ、サメ、及びサケなどを挙げることができるが、変性温度の観点から、水温の高い川、湖沼、又は海に生息する魚類が好ましい。このような魚類として、具体的には、オレオクロミス属の魚類を挙げる事ができ、特にはテラピアが好ましい。オレオクロミス属の魚類からは、変性温度が比較的高いコラーゲンを取得でき、例えば中国、東南アジアや南アメリカで食用として養殖されているナイルテラピア(Oreochromis niloticus)は入手が容易であり、大量のコラーゲンを取得することができる。更に、中国で食用またはキャビアの生産のために養殖されているチョウザメは各種臓器が入手可能であり、大量のコラーゲンを取得することができる。
魚類由来コラーゲンを取得する魚の部位も、限定されるものではない。例えば、鱗、皮、骨、軟骨、ひれ、及び臓器(例えば、浮き袋)等を挙げることができるが、鱗が好ましい。鱗は、魚臭の原因となる脂質が少ないからである。また、魚類の鱗由来のI型コラーゲンは、他のコラーゲンと比較して線維化しやすく、線維形成速度が著しく速い。
[2]コラーゲン線維無機高分子複合体の製造方法
本発明のコラーゲン線維無機高分子複合体の製造方法は、(1)可溶化コラーゲンを、直鎖状無機高分子存在下で線維化させ、コラーゲン線維無機高分子複合ゲルを得る、コラーゲン線維化工程であって、前記コラーゲン及び直鎖状無機高分子重量比が1:0.0001〜1:1であるコラーゲン線維化工程(以下、線維化工程(1)と称する)、(2)前記コラーゲン線維無機高分子複合ゲルから、塩を除去する工程(以下、塩除去工程(2)と称する)、及び(3)前記コラーゲン線維無機高分子複合ゲルから脱媒することにより、乾燥させる工程(以下、脱媒・乾燥工程(3)と称する)を含む。本発明のコラーゲン線維無機高分子複合体は、限定されるものではないが、コラーゲン線維無機高分子複合体の製造方法によって製造することができる。
また、本発明の製造方法においては、前記「[1]コラーゲン線維無機高分子複合体」の項に記載の「コラーゲン」及び「直鎖状無機高分子」を用いることができる。
《線維化工程(1)》
線維化工程において、可溶化コラーゲン溶液中のコラーゲンを、直鎖状無機高分子存在下において線維化することによって、コラーゲン線維無機高分子複合ゲルを得る。線維化のために、コラーゲンと直鎖状無機高分子との混合は、コラーゲン線維無機高分子複合ゲルが得られる限りにおいて、限定されるものではなく、コラーゲンと直鎖状無機高分子とを、1つの溶液に溶解しながら線維化してもよいが、可溶化コラーゲン溶液及び直鎖状無機高分子溶液を調製し、それらを混合することによって、コラーゲン線維無機高分子複合ゲルを得ることが好ましい。
可溶化コラーゲン溶液は、コラーゲンを酸性もしくは中性の水性溶媒に溶解して得ることができる。例えば、水性溶媒に、無機酸又は有機酸を混合し、コラーゲンを溶解させて調製することができる。無機酸としては、塩酸、リン酸、硝酸、炭酸、及び硫酸を挙げることができ、有機酸としては、酢酸、ギ酸、クエン酸及びシュウ酸を挙げることができる。可溶化コラーゲン溶液のpHは、pH2.0〜4.0が好ましい。
直鎖状無機高分子溶液は、直鎖状無機高分子を水性溶媒に溶解して、得ることができる。水性溶媒としては、特に限定されるものではなく、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、Tris等の緩衝能を有する塩水溶液を用いることができるが、可溶化コラーゲン溶液及び直鎖状無機高分子溶液を混合した場合に、生理条件と類似した塩濃度及びpHになるように調整することが好ましい。すなわち、可溶化コラーゲン溶液と混合した場合に、線維化が起こる目的のイオン強度(塩濃度)及びpHとなる塩水溶液を適宜選択することが好ましい。特に、中性の緩衝液であり、安価、生体に毒性を示さない、そしてコラーゲンの線維化を他の中性の緩衝液よりも活発に起こす点において、リン酸緩衝液(例えば、ダルベッコ−PBS、又はリン酸ナトリウム水溶液)と炭酸緩衝溶液が好ましい。
前記可溶化コラーゲン溶液及び直鎖状無機高分子溶液を混合し、目的のイオン強度(塩濃度)及びpHとすることにより、コラーゲンを直鎖状無機高分子と一緒に線維化させ、コラーゲン線維無機高分子複合ゲルを得る。目的のイオン強度(塩濃度)及びpHへの調整は、予め可溶化コラーゲン溶液及び直鎖状無機高分子溶液の塩濃度及びpHを調整し、可溶化コラーゲン溶液及び直鎖状無機高分子溶液の混合のみによって行うことが好ましい。しかしながら、可溶化コラーゲン溶液及び直鎖状無機高分子溶液を混合した後に、適当な緩衝液を添加することによって、行ってもよい。
コラーゲンの線維化に適する目的のpHは、コラーゲンの種類によって変化するが、pH5〜9の範囲が好ましく、pH6〜9がより好ましく、pH7〜9が更に好ましい。また、コラーゲンの線維化に適する目的のイオン強度(塩濃度)もコラーゲンの種類によって変化するが、例えば5mMから500mMの範囲が好ましく、10mM〜300mMがより好ましく、10mM〜200mMが更に好ましい。
また、混合する可溶化コラーゲン溶液及び直鎖状無機高分子溶液の温度は、特に限定されるものではないが、低温で混合及び分散させ、コラーゲン線維が形成しやすい温度まで上昇させることが好ましい。ここで、可溶化コラーゲン溶液及び直鎖状無機高分子溶液を混合する「低温」とは、好ましくは1〜10℃であり、より好ましくは2〜8℃であり、更に好ましくは、3〜5℃である。また、「コラーゲン線維が形成しやすい温度」とは、コラーゲンの種類によって、適宜選択することが可能であるが、例えば15〜40℃であり、好ましくは17〜35℃であり、更に好ましくは20〜30℃である。
(コラーゲン及び直鎖状無機高分子の濃度及び重量比)
線維化工程におけるコラーゲンの最終的な濃度は、限定されるものではないが、0.01〜10重量%が好ましく、0.05〜5重量%が好ましく、0.1〜3重量%がより好ましく、0.5重量%〜2重量%が最も好ましい。また、直鎖状無機高分子の最終的な濃度も、限定されるものではないが、0.0001〜10重量%が好ましく、0.001〜5重量%が好ましく、0.01〜3重量%がより好ましく、0.01重量%〜1重量%が最も好ましい。
最終混合液におけるコラーゲン及び直鎖状無機高分子の重量比は、1:0.0001〜1:1である。コラーゲン1に対する直鎖状無機高分子の重量比の下限は0.0001以上であり、0.0005以上が好ましく、0.001以上がより好ましく、0.005以上が更に好ましい。また、コラーゲン線維1に対する直鎖状無機高分子の重量比の上限は、1以下であり、0.5以下が好ましく、0.1以下が好ましく、0.05以下が更に好ましい。
また、限定されるものではないが、線維化工程においてコラーゲン及び直鎖状無機高分子重量比が1:0.0001〜1:1であれば、混合液に含まれる可溶化コラーゲン及び直鎖状無機高分子は、ほとんど溶液中に残存することなく、コラーゲン線維無機高分子複合ゲルに含まれると考えられる。この理由は、コラーゲン及び直鎖状無機高分子が静電相互作用により、相互に引き付けられるためと考えられる。
《塩除去工程(2)》
塩除去工程において、精製水/低級アルコールの混合溶液を用いて、コラーゲン線維無機高分子複合ゲルから塩を除去する。具体的には、精製水/低級アルコールの混合比率を変化させた水/低級アルコール階段混合液を用いて、コラーゲン線維無機高分子複合ゲル中の塩を含む溶媒を、低級アルコールに置換する。低級アルコールとしては、炭素数1〜4の低級アルコール(すなわち、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、又はtert−ブチルアルコール)を用いることができる。また、精製水/低級アルコール階段混合液における、精製水と低級アルコールとの混合比は、適宜決定することができる。例えば、精製水/低級アルコール階段混合液として、50容量%エタノール水溶液、70容量%エタノール水溶液、90容量%エタノール水溶液及び100%エタノールを用いることができ、最終的にコラーゲン線維無機高分子複合ゲルの溶媒を、100%エタノールに置換する。
溶媒を低級アルコールに置換することによって、以下の乾燥工程において、速やかに乾燥を行うことが可能である。
《脱媒・乾燥工程(3)》
脱媒・乾燥工程(3)において、コラーゲン線維ゲルからの精製水及び/又は低級アルコールの除去及び乾燥を行う。この乾燥工程によって、コラーゲン線維無機高分子複合ゲルの密度が上昇し、機械的強度を向上させることができる。
乾燥の方法は、従来公知の方法を制限なく用いることができるが、例えば膜の場合、ゲルの上面及び下面を、水及びアルコール等が通過しない平滑なプレートなどで覆い、側面からのみ徐々に脱媒させることにより行うことができる。また、平滑なプレートで覆うことによって、得られる魚類由来コラーゲン線維膜の膜厚を均一にすることができ、機械的強度を上昇させることが可能である。プレートは、特に限定されるものではないが、ポリスチレン、シリコーン、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル又はガラスを挙げることができるが、得られた魚類由来コラーゲン線維膜との解離性がよいことから、ポリスチレンが好ましい。
脱媒・乾燥の時間は、精製水及びアルコールが90%以上除去される時間であれば、特に限定されないが、1時間〜13日が好ましく、3時間〜7日がより好ましく、5時間〜24時間が最も好ましい。
また、乾燥の方法として、凍結乾燥法を用いることもできる。所望の大きさ及び形態の成形容器を用意し、コラーゲン線維無機高分子複合ゲルを流し込む。成形容器の材料は、冷凍機による凍結、及び凍結乾燥機における減圧に耐えることができる限り、限定されるものではないが、例えば、シリコーンゴムなどを用いることができ、任意の大きさ及び形態の成形容器を作製することが可能である。成形容器中のコラーゲン線維無機高分子複合ゲルは、冷凍機により、例えば−80〜0℃で凍結される。凍結されたコラーゲン線維無機高分子複合ゲルは、凍結乾燥機に入れ、例えば棚温度−30〜40℃で、水分がなくなるまで、凍結乾燥を行う。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
実施例では、直鎖状無機高分子として、ポリリン酸を用い、コラーゲン線維無機高分子複合体を調製した。
《実施例1》
(1)コラーゲン線維無機高分子複合ゲルの調製
ポリリン酸ナトリウム(PP)は、−[OPONa]−の式で表され、nは平均重合リン酸残基数(平均鎖長)を意味する。本実施例では、平均重合リン酸残基数が15分子(短鎖)のPPを用い、コラーゲンの線維化時の最終濃度が0.01重量%となるように調整した。
短鎖PPの50重量%水溶液を調製した。pHは4.92であった。この短鎖PPの50重量%水溶液を、0.2重量%になるように超純水にて希釈した。ダルベッコリン酸緩衝溶液(PBS;1L中8gの塩化ナトリウム、1150mgリン酸一水素ナトリウム(無水)、200mg塩化カリウム、200mgリン酸二水素カリウム(無水))の20倍濃縮溶液(20−PBS)を準備した。20−PBSと、前記PPの0.2重量%水溶液とを容積比1:1で混合し、短鎖PP−10PBS溶液を調製した。
一方、テラピアうろこから抽出したI型アテロコラーゲン凍結乾燥物を、1.11wt%になるようにpH4.0(0.0001mol/L)の塩酸に溶解させた(Col溶液)。
4℃に冷やしたCol溶液と短鎖PP−10PBSとを、容積比が9:1になるように4℃に保持しながら十分にピペッティングにより撹拌及び混合させた。その後、4℃に30分保持した後、厚さ2.5mm、外形25mmのシリコーンゴムに内径20mmの穴をあけた型にCol−短鎖PP−PBSを0.785g〜0.800gの重量になるように流し込んだ。6wellの細胞培養皿に各シリコーンゴム(Col−短鎖PP−PBS)をいれ、蒸発を防ぐため上蓋をして、28℃で3時間保持させた。コラーゲンの線維化が進行し、コラーゲン線維無機高分子複合ゲルを得た。コラーゲンの最終濃度は1.0重量%、短鎖PPの最終濃度は0.01重量%であった。コラーゲン及び直鎖状無機高分子の重量比は、1:0.01であった。得られたコラーゲン線維無機高分子複合ゲルを5分間、50%エタノールに浸漬後、取り出したゲルの外観を図1に示す。
(2)コラーゲン線維無機高分子複合膜の調製
得られたコラーゲン線維無機高分子複合ゲルに含まれる塩を除くため、エタノールシリーズに含浸させた。50%エタノールに15分間浸漬させてゲルを型から取り除き、更にゲルを70%エタノールには35分間、90%エタノールには60分間、100%エタノールでは60分間ずつ、三回溶媒を取り換えて脱塩及び脱水を行った。浸漬する際にはゲルを撹拌させながら行った。その後、上下面をポリスチレンで溶媒の蒸発を防ぎ、ゲルの側面からのみの脱媒処理を行った。
《実施例2》
短鎖PPの最終濃度を0.1重量%となるようにしたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。コラーゲン及び直鎖状無機高分子の重量比は、1:0.1であった。コラーゲン線維無機高分子複合ゲルを図1に示す。
《実施例3》
短鎖PPの最終濃度を1重量%となるようにしたことを除いては、実施例1及び実施例2の操作を繰り返した。コラーゲン及び直鎖状無機高分子の重量比は、1:1であった。コラーゲン線維無機高分子複合ゲルを図1に、コラーゲン線維無機高分子複合膜を図2に示す。
《実施例4》
短鎖PPに代えて、平均重合リン酸残基数が40分子(中鎖)のポリリン酸ナトリウム(中鎖PP)を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。コラーゲン及び直鎖状無機高分子の重量比は、1:0.01であった。調製された中鎖PPの50重量%水溶液のpHは、4.90であった。コラーゲン線維無機高分子複合ゲルを図1に示す。
《実施例5》
中鎖PPの最終濃度を0.1重量%となるようにしたことを除いては、実施例4の操作を繰り返した。コラーゲン及び直鎖状無機高分子の重量比は、1:0.1であった。コラーゲン線維無機高分子複合ゲルを図1に示す。
《実施例6》
中鎖PPの最終濃度を1重量%となるようにしたことを除いては、実施例4の操作を繰り返した。コラーゲン及び直鎖状無機高分子の重量比は、1:1であった。コラーゲン線維無機高分子複合ゲルを図1に示す。
《実施例7》
短鎖PPに代えて、平均重合リン酸残基数が85分子(長鎖)のポリリン酸ナトリウム(長鎖PP)を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。コラーゲン及び直鎖状無機高分子の重量比は、1:0.01であった。調製された長鎖PPの50重量%水溶液のpHは、5.70であった。コラーゲン線維無機高分子複合ゲルを図1に示す。
《実施例8》
長鎖PPの最終濃度を0.1重量%となるようにしたことを除いては、実施例7操作を繰り返した。コラーゲン及び直鎖状無機高分子の重量比は、1:0.1であった。コラーゲン線維無機高分子複合ゲルを図1に示す。
《実施例9》
長鎖PPの最終濃度を1重量%となるようにしたことを除いては、実施例7の操作を繰り返した。コラーゲン及び直鎖状無機高分子の重量比は、1:1であった。コラーゲン線維無機高分子複合ゲルを図1に示す。
《比較例1》
PPの50重量%水溶液に代えて、PPを含まない10倍のPBSを用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。コラーゲン線維ゲルを図1に示す。
《外観》
コラーゲン線維無機高分子複合ゲルの外観は、図1に示したように、PPの最終濃度及びPPの重合度に関係なく、いずれも真白な均一なゲル状物質であった。
また、最終的に得られたコラーゲン線維無機高分子複合膜の性状(厚さ、膜の直径、重さ、及び密度)を表1に示す。
なお、長鎖PPを用いて、最終PP濃度が0.01重量%の場合は、乾燥過程で収縮が起きたため、密度が大きくなった。一方、PPの最終濃度が1.0重量%で作製したコラーゲン線維無機高分子複合膜は、密度の大きな変化は無いが、いずれも重さが多く、厚くなっていた。
《変性温度の測定》
得られたコラーゲン線維無機高分子複合膜のコラーゲン線維の変性温度を測定した。膜を細かく切断してアルミニウムパンに入れ、更に20μLのPBSを加え、アルミニウム蓋をした。37℃で24時間処理した後、示差走査型熱量計(DSC)によるコラーゲンの変性温度を窒素雰囲気下で測定した。−30℃まで冷却し、30分間保持してから、3℃/分の昇温速度で行った。比較例1で作製したコラーゲン膜のピークトップ温度(変性温度)は、46.5℃であった。各実施例により作製したコラーゲン線維無機高分子複合膜の変性温度を表2に示す。PPを加えることにより、短鎖及び中鎖PPを用いた場合、優位に変性温度が上昇していることが分かる。一方、長鎖PPを用いた場合は変性温度がわずかに上昇した。このことは、PPの分子鎖の長さがコラーゲン変性温度に影響していることを示している。すなわち、コラーゲン分子鎖の安定性に影響していることを示している。更にPPの最終濃度が1重量%で作製したコラーゲン線維無機高分子複合膜では、DSC測定による変性温度が明瞭ではなかったが、DSC曲線は、0.01重量%及び0.01重量%のものに類似していた。
《赤外分光スペクトル分析》
得られたコラーゲン線維無機高分子複合膜の赤外分光スペクトルを、全反射法により測定した。測定条件は、650から4000cm−1の範囲を、分解能4cm−1にて256回積算した。図3に実施例1、4、及び7で得られたコラーゲン線維無機高分子複合膜、並びに比較例1のコラーゲン線維膜の赤外線分光スペクトルを示す。比較例1のコラーゲン線維膜の場合、アミドI、アミドII、アミドIIIに相当するピークが1650cm−1、1550cm−1と1237cm−1にそれぞれ検出できた(図3最下段)。比較例1で作製したコラーゲン線維膜に20重量%の中鎖PPを滴下し、乾燥した後に全反射法による赤外分光スペクトルも図3に示す(図3二段目)。PPに帰属されるP−O−Pの振動に由来するピークは、1250cm−1、1080cm−1と863cm−1に検出できた。また、実施例1(図3三段目)、4(図3四段目)、及び7(図3五段目)のコラーゲン線維無機高分子複合膜では、1080cm−1に、PPに帰属できるピークが検出された。1550cm−1に検出されたアミドIIのピークは、コラーゲン線維無機高分子複合膜では1513cm−1に肩が検出され、レッドシフトしていることが明らかとなった。この結果から、作製したCol膜材料には、PPがペプチド結合のN−HとPPのリン酸イオンとの相互作用(結合)によりCol分子を安定化させていることが示唆された。そのため、変性温度が向上したと考えられる。
《引張試験》
実施例1及び2、並びに比較例1の方法で得られたコラーゲン線維無機高分子複合膜の引張強度及びヤング率を測定した。引張強度試験は、図4に示す形状のシリコーンゴム型を用いて作製した膜材料に対して行った。試料調製は、実施例1及び2、並びに比較例1と同じ方法で行い、図4に示す形状のコラーゲン線維無機高分子複合膜、及びコラーゲン線維膜を得た。引張試験は、ロードセル50N、ギャップ長さ10mm、速度0.5mm/分で行った。最大破断引張強度及び応力−歪曲線の線形領域から求めたヤング率を表3に示す。純粋なコラーゲン膜材料(比較例1)では51.3±0.8MPaであった。これと比較すると、実施例1、及び4のコラーゲン線維無機高分子複合膜は、引張強度が有意に高くなり、比較例1で作製した純粋なコラーゲン膜材料(比較例1)と比較して、約1.5倍の強度(実施例1:82.5±3.0MPa、実施例4:82.4±2.1MPa)を示すことを明らかとした。一方、純粋なコラーゲン膜材料(比較例1)のヤング率では0.729±0.004GPaであった。これと比較すると、実施例1及び4のコラーゲン線維無機高分子複合膜は、ヤング率が有意に高くなり、比較例1で作製した純粋なコラーゲン膜材料と比較して約1.5倍のヤング率(実施例1:1.02±0.05GPa)を示すことを明らかとした。
《形態観察》
実施例1〜9で作製したコラーゲン線維無機高分子複合膜、及び比較例1で作製したコラーゲン線維膜の走査型電子顕微鏡像を図5に示す。各試料は、スパッタ―により白金を20nmコーティングし、加速電圧10kVにて観察を行った。比較例1で作製したコラーゲン線維膜、及び実施例1、4で作製したコラーゲン線維無機高分子複合膜はコラーゲン線維径が均一であった。これに対して、PPの最終濃度0.1重量%並びに1.0重量%で作製したコラーゲン線維無機高分子複合膜は、コラーゲン線維径が不均一となり、細いコラーゲン線維と太いコラーゲン線維からできていた。
《実施例10》
本実施例では、ポリリン酸ナトリウム(PP)のリン酸残基数が15から20分子(短鎖)のPPを用い、コラーゲンの線維化時の最終濃度が0.01重量%となるように調整した。
短鎖PP粉末を、0.1mol/Lの炭酸ナトリウム及び0.1mol/Lの炭酸水素ナトリウムを混合してpH10.54に調整した炭酸緩衝溶液に1重量%になるように溶解させた(短鎖PP−CB)。
一方、テラピアうろこから抽出したI型アテロコラーゲン凍結乾燥物を、1.11重量%になるようにpH4.0(0.0001mol/L)の塩酸水溶液に溶解させた(Col溶液)。更に、2.0重量%になるように塩化ナトリウムを加えた。
4℃に冷やしたCol溶液と短鎖PP−CBとを、容積比が9:1になるように調整し、これを泡取り練太郎により、回転数2000rpm、脱泡回転数2200rpmにて混合した。これを、厚さ2.0mm、外形20mmのシリコーンゴムに内径15mmの穴をあけた型にCol−短鎖PP−CBを400μLずつ分注した。その後、6wellの細胞培養皿に各シリコーンゴム(Col−短鎖PP−CB)をいれ、蒸発を防ぐため上蓋をして、28℃で72時間保持させた。コラーゲンの線維化が進行し、コラーゲン線維無機高分子複合ゲルを得た。コラーゲンの最終濃度は1.0重量%、短鎖PPの最終濃度は0.01重量%であった。コラーゲン及び直鎖状無機高分子の重量比は、1:0.01であった。更に実施例1(2)と同様の操作を行うことで、コラーゲン線維無機高分子複合膜を得た。
《実施例11》
短鎖PPの最終濃度を0.05重量%となるようにしたことを除いては、実施例10の操作を繰り返した。コラーゲン及び直鎖状無機高分子の重量比は、1:0.05であった。これにより、コラーゲン線維無機高分子複合膜を得た。
《実施例12》
短鎖PPの最終濃度を0.1重量%となるようにしたことを除いては、実施例10の操作を繰り返した。コラーゲン及び直鎖状無機高分子の重量比は、1:0.1であった。これにより、コラーゲン線維無機高分子複合膜を得た。
《実施例13》
短鎖PPに代えて、重合リン酸残基数が25から30分子(中鎖)のポリリン酸ナトリウム(中鎖PP)を用いたことを除いては、実施例10の操作を繰り返した。コラーゲン及び直鎖状無機高分子の重量比は、1:0.01であった。これにより、コラーゲン線に無機高分子複合膜を得た。
《実施例14》
中鎖PPの最終濃度を0.05重量%となるようにしたことを除いては、実施例13の操作を繰り返した。コラーゲン及び直鎖状無機高分子の重量比は、1:0.05であった。これにより、コラーゲン線維無機高分子複合膜を得た。
《実施例15》
中鎖PPの最終濃度を0.1重量%となるようにしたことを除いては、実施例11の操作を繰り返した。コラーゲン及び直鎖状無機高分子の重量比は、1:0.1であった。これにより、コラーゲン線維無機高分子複合膜を得た。
《変性温度の測定》
得られたコラーゲン線維無機高分子複合膜の変性温度を測定した。約3mgのコラーゲン線維無機高分子複合膜をアルミニウムパンに入れ、更に20μLのPBSを加え、アルミニウム蓋をした。室温で24時間静置した後、示差走査型熱量計(DSC)によるコラーゲンの変性温度を窒素雰囲気下で測定した。−10℃まで10℃/分で冷却し、30分間保持してから、3℃/分の昇温速度で100℃まで計測した。基準試料には、アルミパンにPBSを20μL入れて密閉したものを用いた。実施例10〜15で作製したコラーゲン線維無機高分子複合膜の変性温度を表4に示す。PPを加えることにより、短鎖及び中鎖PPを用いた場合、優位に比較例4で作製したコラーゲン線維膜の変性温度46.5℃と比較して、変性温度が向上したことが分かる。すなわち、コラーゲン分子鎖の安定性に影響していることを示している。
《引張試験》
実施例10〜15で作製したコラーゲン線維無機高分子複合膜の引張強度及びヤング率を測定した。引張強度試験は、図4に示す形状のシリコーンゴム型を用いて、作製した膜材料に対して行った。試料調製は、実施例10〜15と同じ方法で行い、図4に示す形状のコラーゲン線維無機高分子複合膜、及びコラーゲン線維膜を得た。引張試験は、ロードセル50N、ギャップ長さ10mm、速度0.5mm/分で行った。最大破断引張強度を表5に示す。比較例4で作製したコラーゲン膜材料では51.3±0.8MPaであった。
これと比較すると、実施例10、11、13、及び14のコラーゲン線維無機高分子複合膜は、引張強度が有意に高くなり、比較例1で作製したコラーゲン膜材料と比較して、約1.5倍の強度を示すことを明らかとした。
本発明のコラーゲン線維無機高分子複合体は、細胞培養基材、再生医療用の足場材料(例えば、軟骨・骨・靭帯・角膜実質・皮膚・肝臓組織の再生材料)、移植用材料(創傷被覆材料、骨補填剤、止血材料、癒着防止材など)又は薬物送達担体として、用いることができる。

Claims (8)

  1. コラーゲン線維及び直鎖状無機高分子を含むコラーゲン無機高分子複合体であって、コラーゲン線維及び直鎖状無機高分子の重量比が1:0.0001〜1:1であるコラーゲン線維無機高分子複合体。
  2. 前記直鎖状無機高分子が、ポリリン酸、ポリホスファゼン、ポリシロキサン、ポリシラン、ポリシラザン、ポリカルボシラン及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される直鎖状無機高分子である、請求項1に記載のコラーゲン線維無機高分子複合体。
  3. 前記直鎖状無機高分子の平均鎖長が3〜200である、請求項1又は2に記載のコラーゲン線維無機高分子複合体。
  4. 無機高分子を含まないコラーゲン線維成形体と比較して、1.0℃以上高い変性温度を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコラーゲン線維無機高分子複合体。
  5. (1)可溶化コラーゲンを、直鎖状無機高分子存在下で線維化させ、コラーゲン線維無機高分子複合ゲルを得る、コラーゲン線維化工程であって、前記コラーゲン及び直鎖状無機高分子重量比が1:0.0001〜1:1であるコラーゲン線維化工程、
    (2)前記コラーゲン線維無機高分子複合ゲルから、塩を除去する工程、
    (3)前記コラーゲン線維無機高分子複合ゲルから脱媒することにより、乾燥させる工程、
    を含む、コラーゲン線維無機高分子複合体の製造方法。
  6. 前記直鎖状無機高分子が、ポリリン酸、ポリホスファゼン、ポリシロキサン、ポリシラン、ポリシラザン、ポリカルボシラン及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される直鎖状無機高分子である、請求項5に記載のコラーゲン線維無機高分子複合体の製造方法。
  7. 前記直鎖状無機高分子の平均鎖長が3〜200である、請求項5又は6に記載のコラーゲン線維無機高分子複合体の製造方法。
  8. 前記乾燥が、側面脱水法、又は凍結乾燥法である請求項5〜7のいずれか一項に記載のコラーゲン線維無機高分子複合体の製造方法。
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