JP2004000543A - ポリリン酸と水溶性コラーゲンの複合体材料とその製造方法 - Google Patents

ポリリン酸と水溶性コラーゲンの複合体材料とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリリン酸の組織再生促進効果を利用した新しい生体適合性医療材料であって、医療材料としてより利用しやすく、かつポリリン酸の組織再生促進作用を有効に発揮し得るような、ポリリン酸と基材とを含む材料を提供する。
【課題手段】少なくとも1つのポリリン酸とコラーゲンとが結合してなる、ポリリン酸−コラーゲン複合体、及びその製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、骨、皮膚、内臓等の各種生体組織の組織再生を促進する生体適合性材料、及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリリン酸については、FGF等の細胞成長因子を安定化することにより、細胞増殖効果及び組織再生効果をもつことが報告されている(特許文献1)。またポリリン酸は、骨分化促進効果も併せ持ち骨再生に効果があることも報告されている(特許文献2)。また、ポリリン酸の生体に対する安全性は古くから確かめられており、生体内で無毒なリン酸に分解される生分解性物質であることがわかっている。
【0003】
一方、ポリリン酸は通常、水溶液として提供されているため、組織再生効果を生体組織に対して利用するためには、患部にポリリン酸を一定期間留めて効果を持続させることができる基材と混合することが必要となる。そこで従来は、ポリリン酸水溶液をコラーゲンスポンジやコラーゲンシート、カルボキシメチルセルロース、ポリ乳酸等の生体適合性材料(基材)にしみ込ませることで、複合材料を作製し、ポリリン酸含有組織再生材料として利用することが試みられている。
【0004】
しかしながら、ポリリン酸水溶液を基材にしみ込ませる方法では、基材に正確な量のポリリン酸を均等に含有させることが難しく、一定の品質をもったポリリン酸含有製品を作製するのが困難となる。また、ポリリン酸が基材自体に強固に付着しない性質を有するために、患部に適応した時にポリリン酸のみが簡単に基材より遊離し、分解されやすいという問題もある。また、ポリリン酸をしみ込ませる操作によって基材自体の形状が変化してしまい、患部に適応しやすい形状で基材を利用するのが難しくなることもある。逆に、ポリリン酸をしみ込ませた後で、その基材を患部に適応しやすい形に成形することも困難である。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−069961号公報
【特許文献2】
特開2000−079161号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のようなポリリン酸と基材との混合状態における問題を解決すべく、医療材料としてより利用しやすく、かつポリリン酸の組織再生促進作用を有効に発揮し得るような、ポリリン酸と基材とを含む材料を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、特定条件下でポリリン酸とコラーゲンとを混合することにより、ポリリン酸とコラーゲンとが結合した不溶性の複合体を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 少なくとも1つのポリリン酸とコラーゲンとが結合してなる、ポリリン酸−コラーゲン複合体。
但しこの複合体のポリリン酸は、一般式 (P3n+1(n+2)−(式中、nは2〜5000の整数を表す)で示される少なくとも1種のものであり得る。このポリリン酸は直鎖縮合ポリリン酸でもあり得る。該ポリリン酸は、上記式中のnが20〜2000の整数であることがより好ましい。また、上記コラーゲンは好ましくはアテロコラーゲンである。さらに、上記複合体中のポリリン酸:コラーゲンの重量比は、0.1%:99.9%〜20%:80%であることが好ましい。
[2] 上記[1]記載の複合体を含有する組織再生促進用医療材料。
[3] 上記[1]記載の複合体を含有する歯周病治療用医療材料。
[4] 濃度が0.5〜10重量%のポリリン酸溶液と、濃度が0.1〜10重量%のコラーゲン溶液とを混合し、生成される析出物を採取することを特徴とする、ポリリン酸−コラーゲン複合体の製造方法。
この方法における混合は、pH5.0〜8.0の条件下で行うことが好ましい。また、ここで用いるポリリン酸溶液は、ポリリン酸溶液が、一般式 (P3n+1(n+2) H(式中、nは2〜5000の整数を表す)で示される少なくとも1種のポリリン酸又はその塩の溶液であり得る。該ポリリン酸は、上記式中のnが好ましくは20〜2000の整数であるものであり得る。ポリリン酸溶液は、平均鎖長60〜70のポリリン酸又はその塩の溶液であってもよい。また、コラーゲン溶液に含まれるコラーゲンは水溶性コラーゲン、特にアテロコラーゲンであることが好ましい。さらに、製造されるポリリン酸−コラーゲン複合体のポリリン酸:コラーゲンの重量比が0.1%:99.9%〜20%:80%であることが好ましい。
[5] 濃度が0.1〜10重量%のヘキサメタリン酸溶液と、87〜100%エタノールとを2:1〜9:1の体積比で混合し、析出したポリリン酸を反応液から分離することを特徴とする、平均鎖長60〜70のポリリン酸の濃縮分離方法。ここで、「平均鎖長」とは、上記nの値の平均値を意味する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、組織再生促進作用を有するポリリン酸と基材とが結合した複合体であり、その複合体を分離して材料として使用することにより、生体組織においてポリリン酸の組織再生促進作用を発揮させることができる医療材料である。
【0010】
本発明では、ポリリン酸と基材の複合体を作製するにあたり、基材に、最も適した材料としてコラーゲンを選択した。本発明に従って、ポリリン酸溶液とコラーゲン溶液とを後述する特定の条件下で混合させることにより、不溶性のポリリン酸−コラーゲンの複合体を形成させることができる。この複合体は不溶性でゲル状の形態をとり、濾過や遠心分離により容易に溶液から分離することができる。このポリリン酸−コラーゲン複合体はゲル状形態のまま組織再生促進用材料として患部に適用することも可能であるし、乾燥させて、ブロック状やスポンジ状、シート状、繊維状、メッシュ状等に容易に成形することも可能である。また、この複合体は、ポリリン酸含有量が一定であり、さらにポリリン酸が容易に基材から遊離することがないため、均一な品質を備えた医療材料として製造することができて有用である。本発明の医療材料は、本発明にかかるポリリン酸−コラーゲン複合体に、必要に応じて他の成分(架橋剤、生物学的活性物質など)を加えたものであってもよい。また本発明の医療材料の形状は、特に限定されないが、ゲル状形態のものであってもよいし、乾燥させた後に所望の形状に成形したものであってもよい。
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
1.ポリリン酸
コラーゲンと結合して本発明の複合体を形成させるポリリン酸としては、限定するものではないが、オルトリン酸が脱水縮合して得られる直鎖縮合ポリリン酸(ヘキサメタリン酸を含む)、側鎖に有機基が導入された側鎖ポリリン酸及び環状ポリリン酸等が挙げられる。好ましくは該複合体中のポリリン酸は、一般式「(P3n+1(n+2)−」で表されるポリリン酸イオンであり、特に、2個以上のリン酸(PO)四面体が頂点の酸素原子を共有して直鎖状に連なった構造をした直鎖縮合ポリリン酸イオンである。本発明においては、上記一般式中のnは少なくとも2以上の整数であって、好ましくは2〜5,000、より好ましくは5〜5,000、更に好ましくは15〜2,000、最も好ましくは20〜2,000である。本発明において、中長鎖のポリリン酸を使用する場合には、上記一般式中のnは、好ましくは20〜1,000、より好ましくは30〜500、さらに好ましくは50〜200、なお好ましくは60〜100であり得る。本明細書中においては、ポリリン酸の鎖長とは、重合したリン酸の個数(上記一般式ではnの値)を意味するものとする。従って、「平均鎖長」とは、重合したリン酸の個数(上記一般式ではn)の平均値を表す。
【0012】
本発明のポリリン酸−コラーゲン複合体の製造においては、上記ポリリン酸イオンの供給源として、例えばオルトリン酸が脱水縮合して得られる直鎖縮合ポリリン酸(ヘキサメタリン酸を含む)、側鎖に有機基が導入された側鎖ポリリン酸若しくは環状ポリリン酸等のポリリン酸、及び/又はその塩の溶液を用いることができる。このようなポリリン酸は、一般式 (P3n+1(n+2) Hで表され、かつ式中のnが少なくとも2以上の整数であって、好ましくは2〜5,000、より好ましくは5〜5,000、更に好ましくは15〜2,000、最も好ましくは20〜2,000である化合物であることが好ましい。中長鎖のポリリン酸を使用する場合には、上記一般式中のnは、好ましくは20〜1,000、より好ましくは30〜500、さらに好ましくは50〜200、なお好ましくは60〜100である。より一般的には、本発明においてポリリン酸−コラーゲン複合体の製造に用いるポリリン酸は、重合したリン酸の個数が2〜5,000、好ましくは5〜5,000、より好ましくは15〜2,000、さらに好ましくは20〜2,000であることが好ましい。本発明において中長鎖のポリリン酸を使用する場合には、該ポリリン酸の重合したリン酸の個数は、好ましくは20〜1,000、より好ましくは30〜500、さらに好ましくは50〜200、なお好ましくは60〜100である。本発明において、「ポリリン酸の塩」とは、ポリリン酸の水酸基の水素が金属と置換した分子構造をした化合物であり、この場合の金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。
【0013】
上記複合体の製造に用いるポリリン酸溶液は、以上説明したようなポリリン酸又はその塩の1種類のものを含むものでもよいし、複数種類のものを含むものでもよい。複数種類のポリリン酸又はその塩には、重合度の異なるポリリン酸又はその塩、分子構造の異なるポリリン酸又はその塩、及び金属イオンの異なるポリリン酸塩を包含する。また該ポリリン酸溶液は、ポリリン酸とその塩とを両方含むものでもよい。さらに、このように複数種類のポリリン酸又はその塩を含む溶液を上記複合体の製造に用いる場合、製造されるポリリン酸−コラーゲン複合体中のポリリン酸は、複数種類のポリリン酸であり得る。従って、本発明のポリリン酸−コラーゲン複合体中のポリリン酸は、1種又は複数種のものであり得る。
【0014】
ところで、ポリリン酸の組織再生促進作用の点では、鎖長が20以下の短いポリリン酸よりも、それ以上の長い鎖長のポリリン酸の方が効果が大きい。例えば、骨再生の指標となる骨芽細胞の骨分化促進を調べる実験において、骨芽細胞の培養液にポリリン酸を加える場合、その平均鎖長が15のポリリン酸(n=15)よりも、25若しくは35のポリリン酸を用いる方が骨形成促進効果が高い。従って、本発明の複合体を用いてポリリン酸の組織再生促進作用を発揮させる上では、20以上の鎖長のポリリン酸を用いることが有利である。しかしながら一般に市販されている安価なポリリン酸は、ヘキサメタリン酸塩(ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸カリウム等)であり、これは工業用もしくは食品添加物用の平均鎖長15程度の直鎖ポリリン酸である。このヘキサメタリン酸塩に含まれるポリリン酸の鎖長は20以下のものがほとんどであり、20以上の鎖長のポリリン酸の含有率はごく低い。そこで本発明では、このように安価で容易に入手可能なヘキサメタリン酸塩を用いて、鎖長が20以上の中長鎖ポリリン酸を取得する方法を新たに開発した。
【0015】
この方法ではまず、ヘキサメタリン酸塩を0.1〜10重量%、好ましくは10重量%となるように水に溶解する。このヘキサメタリン酸水溶液に、87〜100%エタノール、好ましくは96%エタノールを、ヘキサメタリン酸溶液とエタノールとの混合後の全体液量の1/10〜1/3量で、すなわちヘキサメタリン酸水溶液:エタノールが2:1〜9:1の体積比となる量で添加する。この混合溶液を十分に攪拌し、その結果析出する沈殿物を、限定するものではないが、遠心分離またはフィルター濾過等の分離方法を用いて水溶液成分と分離する。このようにして分離した沈殿物が中長鎖ポリリン酸である。このポリリン酸を続いて70%エタノールにより洗浄し、その後乾燥させる。このような分離操作で得られるポリリン酸の平均鎖長は60から70であり、10以下の短鎖ポリリン酸はほとんど含まれていない(図1、レーン1及び2並びにレーン7参照)。したがって、この方法により得られるポリリン酸は、より高い組織再生促進作用を有するものである。このように、非常に安価な市販のヘキサメタリン酸塩を利用して、高い組織再生促進作用を有する中長鎖ポリリン酸を効率よく分離、濃縮することができるため、この本発明のポリリン酸の濃縮分離方法は有用である。
【0016】
以上記載のようにして得られる中長鎖ポリリン酸、特に平均鎖長60〜70のポリリン酸は、本発明のポリリン酸−コラーゲン複合体の製造において好適に使用することができる。
【0017】
2.コラーゲン
本発明の複合体を形成するための基材としては、生体適合性をもつ材料としてコラーゲンを用いる。コラーゲンとしては、黄紋構造を有する繊維状のタンパク質であり、限定するものではないが、主として軟骨以外の組織から得られるI型コラーゲン、IIIコラーゲン及びV型コラーゲン、主として軟骨組織から得られるII型コラーゲン、並びに網目状の会合体を形成しているIV型コラーゲン及びVI型コラーゲン等の各種コラーゲンが挙げられる。本発明においては、好ましくはこれらのコラーゲンは水溶性コラーゲンとして用いる。したがって本発明では、これらのコラーゲンは、そのタンパク質繊維の両端のテロペプチドを除去したアテロコラーゲンであることが望ましい。本発明のコラーゲンとして、例えば牛、豚、鶏、及び鮭等の魚類を含む動物の組織由来の水溶性コラーゲンであればすべて使用可能である。しかしながら、本発明で用いるコラーゲンは天然由来のものに限定されるものではなく、動物の生体組織から得られるものであってもよいし、遺伝子工学的手法を用いて微生物又は培養細胞におけるタンパク質製造により人工的に得られるものであってもよい。ヒトの体内に適用する場合には、抗原性及び微生物感染の危険性などを考慮し、ヒト由来又はヒト由来の遺伝子組換え体を用いることが好ましい。さらに、本発明で用いるコラーゲンは、後述するポリリン酸−コラーゲン複合体の形成を妨害しない限り、誘導体であってもよい。コラーゲン誘導体としては、エステル、エーテル、アミド、ウレタン、ウレア等の化学結合により、例えば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、チオール基、飽和若しくは不飽和アルキル基、ベンゼン環、又は複素環構造を有する基等の各種官能基がコラーゲンに導入されているものが挙げられる。
【0018】
3.ポリリン酸−コラーゲン複合体の製造
上記のポリリン酸とコラーゲンとを用いて、本発明の複合体を製造する方法について以下に述べる。
複合体のポリリン酸イオンの供給源として使用する上記記載のポリリン酸又はその塩は、ポリリン酸溶液の状態で用いる。このポリリン酸溶液は、滅菌蒸留水に溶解したものでもよいし、Tris塩酸緩衝液又はリン酸緩衝液等の緩衝液に溶解したものでもよい。このときポリリン酸の濃度は0.5〜10重量%であり、好ましくは1〜5重量%である。このような濃度のポリリン酸溶液と、0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜2重量%のコラーゲン溶液とを混合する。ここで、ポリリン酸溶液及びコラーゲン溶液の濃度は、溶解させたポリリン酸若しくはその塩、又はコラーゲンのそれぞれの乾燥重量の、各溶液の全重量に対するパーセンテージで示す。この混合を行う際には、pHが5.0〜8.0であることが好ましく、特にpH7.0〜8.0であることがより好ましい。このような条件下でポリリン酸とコラーゲンとを混合すると、不透明なゲル状物質が析出してくる。この析出物がポリリン酸−コラーゲン複合体である。
【0019】
この複合体を、例えば遠心分離を行うか又はメッシュで濾過する等の任意の分離方法により水溶液成分と分離し、続いて何度か滅菌蒸留水で洗浄する。洗浄後のゲル状物質は、そのままでポリリン酸−コラーゲン複合体材料として利用することができる。あるいはこのポリリン酸−コラーゲン複合体は、乾燥させて使用及び保存することができる。この場合、例えば種々の形状の型に入れて凍結真空乾燥させることにより、所望の形状のポリリン酸−コラーゲン複合体材料とすることもできる。なお、このようなポリリン酸−コラーゲン複合体の析出は、ここに述べた溶液濃度範囲及びpH条件下で、限定的に生ずる現象である。これまでに、本明細書で述べた方法でポリリン酸−コラーゲン複合体を形成させること及び複合体そのものに関する報告はされていない。
【0020】
以上の方法により得られるポリリン酸−コラーゲン複合体は、ポリリン酸:コラーゲン=0.1%:99.9%〜20%:80%、好ましくは4.1%:95.9%の乾燥後重量比を有する。この乾燥後重量比は、従来公知の手法により測定・算出することができる。例えばプラズマ発光分光分析法により乾燥させた複合体中のリン原子及び窒素原子の含有率を測定することができ、その複合体中のリン原子及び窒素原子の含有率からポリリン酸及びタンパク質であるコラーゲンの含有率を算出することができる。また、複合体の合成に用いたコラーゲンのみの乾燥重量を生成されたポリリン酸−コラーゲン複合体の乾燥重量から差し引くことによって、複合体の形成に寄与しているポリリン酸の乾燥重量を算出できる。このようにして算出される複合体の形成に寄与しているポリリン酸の重量と、複合体の合成に用いたコラーゲンのみの重量とについて、生成されたポリリン酸−コラーゲン複合体の重量に対するパーセンテージを算出し、それらの値を比の形で表すことによって、ポリリン酸−コラーゲン複合体中のポリリン酸:コラーゲンの重量比を求めることができる。このようにして測定される乾燥後重量比は、一定の条件範囲で本発明におけるポリリン酸−コラーゲン複合体製造を行う限り、得られるポリリン酸−コラーゲン複合体について均一な値が得られる。すなわち、本発明のポリリン酸−コラーゲン複合体は、コラーゲンに対して一定量のポリリン酸が結合している均一な物質である。
【0021】
4.ポリリン酸−コラーゲン複合体を含有する組織再生促進用医療材料
上記の方法で製造されたポリリン酸−コラーゲン複合体は、生体適合性材料として様々な用途に使用することができる。特に、本発明のポリリン酸−コラーゲン複合体は、ポリリン酸の組織再生促進作用を利用して種々の組織再生促進用医療材料として使用することが可能である。
【0022】
本発明のポリリン酸−コラーゲン複合体を各種材料として使用する際には、ゲル状の該複合体にさらに任意の添加剤等を適宜加えてもよい。例えば、該複合体に架橋剤を添加することにより、材料の柔軟性を変化させることができる。この場合、例えばポリフェノール系の架橋剤を添加することによって、複合体中のコラーゲンを架橋することもできる。このようなポリフェノール系架橋剤としては、生体適合性の観点から、タンニン酸、リグニン等の生体関連物質が好適である。このような架橋剤の使用量は、架橋によりコラーゲンのゲル化が阻害されないようにするには、コラーゲンに対して0.05%〜5%であることが好ましい。また、上記複合体に紫外線を照射することによって、複合体中のポリリン酸を架橋することもできる。さらに、例えばポリリン酸の末端もしくは鎖の途中に適当な化合物を共有結合させ、その化合物を介して架橋する等の、当業者には公知の任意の架橋方法を、本発明の複合体に対して用いることができる。
【0023】
また、添加剤として、本発明の複合体に生物学的活性を有する物質をさらに添加してもよい。このような添加剤としては、コラーゲンの合成を活性化するアスコルビン酸、リン酸カルシウム及びヒドロキシアパタイト等の生体適合性人工骨成分、ペニシリン系、セフェム系及びテトラサイクリン系製剤等の抗生物質、TGF−βスーパーファミリー等の形質転換増殖因子、BMP−1、BMP−2及びBMP−3等の骨形態形成タンパク質等が挙げられる。
【0024】
以上記載のように材料として適宜調製した本発明のポリリン酸−コラーゲン複合体は、組織再生促進用医療材料、例えば歯周病治療用医療材料、骨再生促進用医療材料、人工臓器形成促進材料等として、有利に使用できる。
【0025】
特に歯周組織の再生においては、ゲル状の上記複合体を歯周ポケット内に例えば0.05〜0.5 ml程度注入することにより、歯周病のために破壊された歯槽骨や歯周靱帯、セメント質等の組織を積極的に修復する機能を発揮させることができる。また、乾燥させてシート状に成形した上記複合体を、細菌による汚染部位を除去した後の歯周ポケットに埋め込むことによって、ENAP手術、フラップ手術、GTR法において組織再生を促すために非常に有用に使用することができる。このようなシート状の上記複合体は、例えば厚さ0.1〜3mm、0.25〜100 cmに成形したものを、幹部の歯周ポケットの形状に合わせて適宜切断・変形して用いればよい。また、該複合体を繊維状に形成し、該繊維を用いて布状若しくはメッシュ状の複合体材料を作製することもできる。このようにして作製した複合体材料は、シート状の複合体材料と同様、患部の面積、形状に合わせて適宜切断したり、変形させたりして使用すればよい。
【0026】
本発明の複合体は、歯周組織再生促進材料としてだけでなく、その他の組織再生にも好適に使用できる。骨再生促進用には、本発明のゲル状の複合体をそのまま骨折部の隙間に塗り込むことによって骨再生の促進が期待できる。塗り込む複合体の量は、骨折部の面積に合わせて適宜決定すればよい。また、該複合体をブロック状形態もしくは患部の骨欠損部位に合わせた形態に成形し、そのまま骨欠損部位の修復促進用材料として利用することも可能である。例えば骨肉腫等の疾患において治療の結果骨の一部を欠損するケースにおいて、欠損部位を補い、骨再生を促進する目的で、欠損骨部位に適用して使用することができる。このような骨欠損部位の修復促進用材料は、例えば0.1〜100 gの円筒形に成形したものであり得る。
【0027】
また、本発明の複合体は、組織再生を促進するための人工皮膚又は人工臓器等の材料としても利用可能である。人工皮膚の場合は、該複合体材料をシート状又はメッシュ状に加工したものを火傷の患部等に適用することにより、真皮及び表皮の細胞の増殖を促し、傷口の早期治癒に貢献することが可能である。この場合、シート状又はメッシュ状の複合体材料は、患部全体が覆われるような面積及び形に裁断して使用すればよい。また傷が切り傷等であれば、ゲル状のものを直接患部に塗布し、組織再生を促進することも可能である。この場合の用量は患部の面積に合わせて適宜決定できるが、患部10cm当り0.1〜1gが好ましい。
【0028】
【実施例】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0029】
[実施例1] 中長鎖ポリリン酸の濃縮分離
食品添加物規格のヘキサメタリン酸ナトリウム20gを精製水200mlに溶解し、これに96%のエタノール32mlを徐々に加えた。これをよく攪拌し室温で30分ほど放置した後,遠心分離(10,000×g、20分、25℃)を行い、水溶液成分と沈殿物とを分離した。水溶液成分を廃棄し、回収した沈殿物に70%エタノールを加えて洗浄し、真空乾燥した。このようにして、9.2gの中長鎖ポリリン酸塩を沈殿物として得た(収量46.0%)。さらに、このポリリン酸塩をポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、その分子量を分析した。電気泳動には15%ポリアクリルアミドゲルを用い、電気泳動後のゲルをトルイジンブルーによって染色して観察した。試料に含まれるポリリン酸の平均鎖長(平均分子量)は、既知鎖長のポリリン酸を鎖長マーカーとして同時に電気泳動し、その電気泳動結果と対比することによって、およその値を見積もった。この分析の結果である分子量分布は図1に示した。レーン1〜5は鎖長マーカーであり、レーン1は平均鎖長5、レーン2は平均鎖長15、レーン3は平均鎖長35、レーン4は平均鎖長45、レーン5は平均鎖長65のポリリン酸を示す。試料としては、レーン6には溶媒分割による中長鎖ポリリン酸分離前のヘキサメタリン酸ナトリウムを、レーン7には溶媒分割により分離した中長鎖ポリリン酸をロードした。
【0030】
図1に示す通り、アルコールを用いた溶媒分割により食品添加物規格のヘキサメタリン酸ナトリウム(分離前;平均鎖長15程度、図1、レーン6)から抽出されたポリリン酸は、レーン5に示された平均鎖長65の鎖長マーカーポリリン酸とほぼ同等の移動度を示している(分離後;図1、レーン7)ことから、平均鎖長60以上の中長鎖ポリリン酸を含むものであることが示された。従って、本発明の中長鎖ポリリン酸の濃縮分離方法により、ヘキサメタリン酸塩から平均鎖長60以上の中長鎖ポリリン酸塩を抽出・分離することができることが示された。
【0031】
[実施例2] ポリリン酸−コラーゲン複合体の製造
ヘキサメタリン酸ナトリウムより実施例1に述べた方法で分離した中長鎖ポリリン酸塩10.0 gを滅菌蒸留水1,000 mlに溶解した。その後、室温で鶏由来のアテロコラーゲン(アテロヘルゲン)286 g(固形分1.72 g)を加え、ゲル状の析出物を得た。これをメッシュで濾過し70%エチルアルコールで洗浄した結果、湿重量129.3 gの複合体を得た。さらにこれを真空乾燥機で乾燥することによって、乾燥重量2.74 gの乾燥ポリリン酸−コラーゲン複合体を得ることができた。
【0032】
このようにして製造したポリリン酸−コラーゲン複合体に含まれるリン原子の含有率をプラズマ発光分光分析法により定量分析した。その結果、該複合体に含まれるリン原子の割合は約4.5%であった。該複合体製造時に使用したコラーゲン中のリン原子量は検出限界値以下であったことから、ポリリン酸がコラーゲンと結合し、複合体を形成していることが証明された。また使用したポリリン酸塩のリン原子含有率は同様にプラズマ発光分光分析法により29.8%と測定され、理論値である29.5%とほぼ同等の結果が得られている。さらに、複合体製造時に使用するポリリン酸濃度を変化させても、得られた複合体に含まれるリン原子の含有率、すなわち複合体中のポリリン酸の含有率は変化しなかった。従って本発明のポリリン酸−コラーゲン複合体は、コラーゲンに一定量のポリリン酸が結合しているものであることが判明した。また、本実施例で得られたポリリン酸−コラーゲン複合体におけるポリリン酸:コラーゲンの乾燥重量比を、次の算出法により求めた。すなわち、複合体の合成に用いたコラーゲンのみの乾燥重量をポリリン酸−コラーゲン複合体の乾燥重量から差し引くことにより該複合体の形成に寄与しているポリリン酸の乾燥重量を算出し、算出されたこのポリリン酸の乾燥重量と、複合体の合成に用いたコラーゲンのみの乾燥重量とについて、ポリリン酸−コラーゲン複合体の乾燥重量に対するパーセンテージを算出し、それらの値を比の形で表すことによって、複合体中のポリリン酸:コラーゲンの重量比を求めた。その結果本実施例で製造されたポリリン酸−コラーゲン複合体におけるポリリン酸:コラーゲンの重量比は、4.1%:95.9%と求められた。
【0033】
[実施例3] ポリリン酸−コラーゲン複合体の組織再生促進効果
次に、製造したポリリン酸−コラーゲン複合体の歯周組織再生効果を確認するために、ラットを用いて、歯周組織の再生実験をおこなった。Wister系雄ラット(8週齢、計18匹)を麻酔し、1/2ラウンドバーを使用して下顎第一、第二臼歯の頬側歯槽骨頂より約2mmを削除し、人工的な歯周ポケット(歯肉溝)を形成した。処理群(9匹)においては、シリンジを用いて、そのように形成した歯肉溝に実施例2で製造したポリリン酸−コラーゲン複合体を約0.1 ml注入した。また、比較群(9匹)には、コラーゲンのみを注入した。この注入操作は歯肉溝作製のための手術翌日から毎日行い、最長で3週間続行した。
【0034】
一定期間処理したラットは吸入麻酔法(エンフルラン)にて安楽死させ、環流固定により組織の固定を行った。環流固定は生理食塩水300 mlを流し、その後10%中性緩衝ホルマリン液(pH 7.4, 500 ml)を血管中に流すことで行った。環流固定後、下顎骨を切断し、上記の10%中性緩衝ホルマリン液を用いて、4℃で24時間浸透固定した。その後10%エチレンジアミン四酢酸溶液を用いて、4℃で約2週間脱灰した。脱灰終了後、第二臼歯で切除することによって標本のトリミングを行い、割面を下にして包埋し、−80℃で凍結させた。凍結状態で組織切片を作製し、染色して光学顕微鏡下で観察した。また歯槽骨の骨再生面積に関して、切片上での骨面積を画像処理によって積算して、骨形成面積として測定した。
【0035】
図2には、ポリリン酸−コラーゲン複合体(処理群)又はコラーゲンのみ(比較群)を注入したラットの組織染色の結果を示した。処理群においては歯槽骨の顕著な再生が認められ、骨改造も顕著であった。一方、比較群においては歯肉溝の治癒が認められただけで、歯槽骨の増加は認められなかった。
【0036】
図3には骨形成面積の変化を示した。●はポリリン酸−コラーゲン複合体で処理した処理群、○はコラーゲンのみで処理した比較群(コントロール群)である。*印は、ポリリン酸−コラーゲン複合体で処理した処理群の歯槽骨再生促進効果が、同週の比較群に対してP<0.05で有意であることを示す。ポリリン酸−コラーゲン複合体処理群(●)においては、コラーゲンのみで処理した比較群(○)のものと比べて、歯槽骨再生面積の著しい増大が示された。ポリリン酸−コラーゲン複合体処理群では、処理後1週間目においてすでに歯槽骨再生面積が比較群の2倍近くに達しており、歯槽骨再生が顕著に促進されていた。このように、ポリリン酸−コラーゲン複合体は、優れた骨再生促進効果を顕著かつ早期に発揮することができることが示された。
【0037】
[実施例4] 歯槽骨再生促進効果におけるポリリン酸鎖長の影響
平均鎖長15、35、75のポリリン酸ナトリウム(phosphate glass、シグマ社製)を用いて、3種のポリリン酸−コラーゲン複合体を作製した。まず、各平均鎖長のポリリン酸ナトリウム1gを、pH 7.5の条件下で滅菌蒸留水100 mlに溶解して、3種のポリリン酸溶液を調製した。その後、室温で鶏由来のアテロコラーゲン(アテロヘルゲン)28.6 g(固形分0.172 g)をそれぞれの溶液に加え、ゲル状の析出物を得た。それらをメッシュで濾過し70%エチルアルコールで洗浄することにより、平均鎖長15、35、75のポリリン酸をそれぞれ含有する3種のポリリン酸−コラーゲン複合体を得た。
【0038】
次に、製造した3種のポリリン酸−コラーゲン複合体を用いて、ラットにおける歯周組織再生実験を行った。実施例3と同様にして、Wister系雄ラット(8週齢)を麻酔し、1/2ラウンドバーを使用して下顎第一、第二臼歯の頬側歯槽骨頂より約2mmを削除し、人工的な歯周ポケット(歯肉溝)を形成した。処理群においては、シリンジを用いて、そのように形成した歯肉溝に上記のポリリン酸−コラーゲン複合体のうち1種を約0.1 ml注入した。処理群としては、平均鎖長15のポリリン酸を含むポリリン酸−コラーゲン複合体で処理した群を処理群1、平均鎖長35のポリリン酸を含むポリリン酸−コラーゲン複合体で処理した群を処理群2、平均鎖長75のポリリン酸を含むポリリン酸−コラーゲン複合体で処理した群を処理群3とした。また比較群としては、コラーゲンのみで処理する群を比較群1、リン酸ナトリウム緩衝液とコラーゲンの混合液で処理する群を比較群2とし、それぞれの群で歯肉溝への注入(約0.1 ml)を処理群と同様に行った。全ての群にはそれぞれ3匹ずつのラットを用いた。なおこの注入は歯肉溝作製のための手術の翌日から毎日1回ずつ、14日間継続して行った。
【0039】
上記処理後、歯肉溝作製のための手術の15日後に、各群のラットから実施例3と同様の手順で組織切片の標本を作製し、歯槽骨形成面積を測定した。3つの処理群及び2つの比較群に含まれるラット個体において測定された歯槽骨再生面積は、表1の通りであった。
【0040】
【表1】
Figure 2004000543
【0041】
図4には、上記の歯槽骨再生面積の測定結果をグラフで示した。それぞれのポリリン酸−コラーゲン複合体で処理した処理群において、歯槽骨再生促進効果は、コラーゲンのみで処理した比較群1に対してP<0.01で有意に高かった(*印)。
【0042】
以上の結果は、ポリリン酸−コラーゲン複合体処理群においては、注入されるポリリン酸−コラーゲン複合体を構成するポリリン酸の平均鎖長が長いほど歯槽骨再生面積が大きくなることを示している。すなわち、平均鎖長のより長いポリリン酸を含む本発明のポリリン酸−コラーゲン複合体は、組織再生を促進する上でより高い効果を有することが証明された。
【0043】
【発明の効果】
本発明のポリリン酸−コラーゲン複合体により、医療材料として利用しやすく、かつ組織再生促進作用を有効に発揮することのできる材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の中長鎖ポリリン酸濃縮分離法によって得られたポリリン酸の、ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分子量分布の解析結果を示す。レーン1から5はポリリン酸の鎖長マーカーである。レーン1:平均鎖長5、レーン2:平均鎖長15、レーン3:平均鎖長35、レーン4:平均鎖長45、レーン5:平均鎖長65。レーン6:溶媒分割による中長鎖ポリリン酸分離前のヘキサメタリン酸ナトリウム(平均鎖長15)。レーン7:溶媒分割により分離した中長鎖ポリリン酸(平均鎖長60以上)。
【図2】図2は、ポリリン酸−コラーゲン複合体(処理群:右側パネル)又はコラーゲン(比較群:左側パネル)によって処理したラットにおける歯槽骨再生の様子を示す組織染色写真である。
【図3】図3は、ポリリン酸−コラーゲン複合体(処理群)又はコラーゲン(比較群)によって処理したラットにおける歯槽骨再生面積の変化を示すグラフである。●はポリリン酸−コラーゲン複合体で処理した処理群、○はコラーゲンのみで処理した比較群(コントロール群)である。*印は、ポリリン酸−コラーゲン複合体で処理した処理群の歯槽骨再生促進効果が、同週の比較群に対してP<0.05で有意であることを示す。
【図4】図4は、平均鎖長の違うポリリン酸を用いて作製したポリリン酸−コラーゲン複合体により処理したラットにおける歯槽骨再生面積を示すグラフである。処理群1は平均鎖長15のポリリン酸を含むポリリン酸−コラーゲン複合体で処理した群、処理群2は平均鎖長35のポリリン酸を含むポリリン酸−コラーゲン複合体で処理した群、処理群3は平均鎖長75のポリリン酸を含むポリリン酸−コラーゲン複合体で処理した群、比較群1はコラーゲンのみで処理した群、比較群2はリン酸緩衝液とコラーゲンの混合液で処理した群を示す。*印は、当該群における歯槽骨再生促進効果が、比較群1における該効果と比較してP<0.01で有意に高いことを示す。

Claims (17)

  1. 少なくとも1つのポリリン酸とコラーゲンとが結合してなる、ポリリン酸−コラーゲン複合体。
  2. ポリリン酸が、一般式 (P3n+1(n+2)−(式中、nは2〜5000の整数を表す)で示される少なくとも1種のものである、請求項1記載の複合体。
  3. ポリリン酸が直鎖縮合ポリリン酸である請求項2記載の複合体。
  4. 式中のnが20〜2000の整数である、請求項2又は3記載の複合体。
  5. コラーゲンがアテロコラーゲンである、請求項1〜4のいずれか1項記載の複合体。
  6. ポリリン酸:コラーゲンの重量比が0.1%:99.9%〜20%:80%である、請求項1〜5のいずれか1項記載の複合体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載の複合体を含有する組織再生促進用医療材料。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項記載の複合体を含有する歯周病治療用医療材料。
  9. 濃度が0.5〜10重量%のポリリン酸溶液と、濃度が0.1〜10重量%のコラーゲン溶液とを混合し、生成される析出物を採取することを特徴とする、ポリリン酸−コラーゲン複合体の製造方法。
  10. pH5.0〜8.0の条件下で混合を行う、請求項9記載の方法。
  11. ポリリン酸溶液が、一般式 (P3n+1(n+2) H(式中、nは2〜5000の整数を表す)で示される少なくとも1種のポリリン酸又はその塩の溶液である、請求項9又は10記載の方法。
  12. 式中のnが20〜2000の整数である、請求項11記載の方法。
  13. ポリリン酸溶液が平均鎖長60〜70のポリリン酸又はその塩の溶液である、請求項9〜11のいずれか1項記載の方法。
  14. コラーゲン溶液に含まれるコラーゲンが水溶性コラーゲンである、請求項9〜13のいずれか1項記載の方法。
  15. コラーゲン溶液に含まれるコラーゲンがアテロコラーゲンである、請求項14記載の方法。
  16. ポリリン酸−コラーゲン複合体のポリリン酸:コラーゲンの重量比が0.1%:99.9%〜20%:80%である、請求項9〜15のいずれか1項記載の方法。
  17. 濃度が0.1〜10重量%のヘキサメタリン酸溶液と、87〜100%エタノールとを2:1〜9:1の体積比で混合し、析出したポリリン酸を反応液から分離することを特徴とする、平均鎖長60〜70のポリリン酸の濃縮分離方法。
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