以下、図面等を用いて、本発明の実施形態について説明する。
図2を用いて、汚水中の有機酸を凝集物に変化させる本発明の方法を説明する。
まず、有機酸5を含む汚水にアミノ基を有する水溶性高分子6を添加する。有機酸5は、酸性基としてカルボキシル基を有している場合を図示している。ここで、有機酸5についてスルホン酸基を有しているものがある。本発明では、有機酸5がカルボキシル基を有している場合について説明しているが、スルホン酸基を有している場合でも同様の挙動である。有機酸5を含む汚水にアミノ基を有する水溶性高分子6を添加することにより、有機酸5とアミノ基を有する水溶性高分子6からなるイオン結合7が生成する。こうして有機酸5がアミノ基を有する水溶性高分子6にトラップされる。ここで、アミノ基を有する水溶性高分子6のアミノ基は、汚水中のカルボキシル基と1:1のイオン結合を形成する。そのため、アミノ基を有する水溶性高分子6の添加量は、アミノ基の数として考えた場合、汚水中のカルボキシル基の数より多く添加することが望ましい。
次に、カルボキシル基を有する水溶性高分子8の溶液を加える。ここでは、カルボキシル基を記しているが、スルホン酸基でも下記と同様の挙動である。カルボキシル基を有する水溶性高分子8の添加により、カルボキシル基を有する水溶性高分子8のカルボキシル基とアミノ基を有する水溶性高分子6のアミノ基からなるイオン結合9が形成される。これにより、アミノ基を有する水溶性高分子6とカルボキシル基を有する水溶性高分子8が架橋する。これにより、この架橋物は水に溶解できなくなり、有機酸5をトラップした凝集物10として析出する。有機酸5をトラップした凝集物10は、濾過槽を通すことで分離でき、結果として有機酸5を除去することが可能となる。
従来の有機酸除去で最も一般的に用いられるイオン交換樹脂では、粒子径が0.1〜2mm程度の樹脂粒子表面のアミノ基に有機酸をトラップさせる。粒子径が小さいほど粒子の表面積が大きくなるので、多くの有機酸をトラップできる。しかし、本発明におけるアミノ基を有する水溶性高分子6は水溶性である。したがって、粒子径があたかも数オングストロームのイオン交換樹脂を用いたのと同じように、高効率で有機酸5をトラップできる。そのため、従来のイオン交換樹脂を用いた場合に比べて、同じ量だけ添加した場合の有機酸をトラップできる量は格段に大きくなる。
アミノ基を有する水溶性高分子について、具体的に説明する。アミノ基を有する水溶性高分子としては、同じ分子量中でアミノ基の割合が最も大きくなる点でポリエチレンイミンが好適である。また、ポリビニルアミンやポリアリルアミン等の直鎖にアミノ基を有する水溶性高分子も、比較的安価で水に溶解しやすいので好適である。キトサンは、水に対する溶解性は低いが、かにの甲羅やえびの外骨格、カブトムシやゴキブリといった生物の外骨格の主成分であるキチンを加水分解することで得られるので、原料が生物由来という点で環境負荷が小さい特徴を持つ。ポリリシンまたはポリアルギニンは、アミノ酸由来で毒性も低い特徴がある。
アミノ基を有する水溶性高分子は、平均分子量が小さいと常温でもアミン特有の臭気を発生する。具体的には平均分子量が200未満の場合に顕著になる。そこで、アミノ基を有する水溶性高分子は平均分子量が200以上であることが好ましい。また臭気をほとんど感じなくなるようにするため、可能であれば平均分子量が500以上のものが好ましい。
一方、平均分子量が大きくなると、水溶液にしてもその粘度が高く、投入量管理,汚水への投入操作の際の扱いが難しくなる。具体的には、平均分子量が1000000を超えると、10重量%の水溶液にしても粘度は3000mPa・s以上になる。そこで、アミノ基を有する水溶性高分子の平均分子量は1000000以下が好ましい。また、10重量%水溶液にしても粘度が1000mPa・s以下となり投入量管理または汚水への投入操作の際の扱いを簡便にするためには、アミノ基を有する水溶性高分子の平均分子量は200000以下が好ましい。
なお、アミノ基を有する水溶性高分子のうち、水溶性が低い場合はアミノ基を塩酸塩構造、または硝酸塩構造にすることで水に対する溶解性を向上させることが可能である。アミノ基を有する水溶性高分子を塩酸塩構造、または硝酸塩構造とした後、汚水に添加することで、有機酸と効率良くイオン結合を形成することが可能である。
酸性基を有する水溶性高分子について、具体的に説明する。酸性基を有する水溶性高分子は、酸性基としてカルボキシル基またはスルホン酸基が考えられる。このうち、カルボキシル基を有する水溶性高分子としては、安価でアミノ基とイオン結合しやすい点で、ポリアクリル酸が好適である。このほか、アミノ酸由来のポリアスパラギン酸,ポリグルタミン酸等も毒性が低いという特徴がある。アルギン酸は、コンブ等海草の主成分の一種であり、原料が生物由来という点で環境負荷が小さい特徴を持つ。スルホン酸基を有する水溶性高分子としては、ポリビニルスルホン酸またはポリスチレンスルホン酸が挙げられる。これらスルホン酸基は、カルボキシル基よりも酸性度が大きいため、アミノ基とのイオン結合を形成する割合が高く、安定な凝集物を得られる点で好ましい。
なお、酸性基を有する水溶性高分子のうち、水溶性が低い場合は酸性基をアンモニウム塩構造,ナトリウム塩構造、またはカリウム塩構造にすることで、水に対する溶解性を向上させることが可能である。酸性基を有する水溶性高分子をアンモニウム塩構造,ナトリウム塩構造、またはカリウム塩構造とした後、汚水に添加することで、アミノ基を有する水溶性高分子と効率良くイオン結合を形成することが可能である。
酸性基を有する水溶性高分子の平均分子量は、低すぎると凝集物の架橋部位の数が少なくなり、凝集物の安定性が低くなる。また、凝集物が粘度の高い液状になる傾向もある。これにより、濾過では凝集物の除去は困難になる。そこで、酸性基を有する水溶性高分子の平均分子量は2000以上が望ましい。また、汚水の温度が40℃以上になると、平均分子量が2000の場合は凝集物が粘着性を有するようになる。工業排水の場合、温度が60℃程度まで高くなる場合もある。この場合は、更に平均分子量を大きくすることで高温でも凝集物を固体化することが可能となる。具体的には平均分子量を5000以上にすることで、汚水の温度が40℃でも凝集物を固体化が可能となる。よって、酸性基を有する水溶性高分子の平均分子量は5000以上がより好ましい。更に、平均分子量を10000以上にすることで、汚水の温度が60℃でも凝集物を固体化が可能となる。よって、酸性基を有する水溶性高分子の平均分子量は10000以上が更に好ましい。
また、酸性基を有する水溶性高分子の平均分子量が大きくなりすぎると、アミノ基と架橋を形成する途中で、水に対して溶解性が低下し、析出してしまう傾向がある。即ち、汚水中にある有機酸とアミノ基を有する水溶性高分子のイオン結合されたものの全てとイオン結合による架橋を形成する前に、汚水中に析出してしまう可能性があるということである。これにより、有機酸とアミノ基を有する水溶性高分子のイオン結合されたものの一部が、汚水中に溶解した状態で残ってしまう。そのため、酸性基を有する水溶性高分子の平均分子量は、200000以下であることが望ましい。
アミノ基を有する水溶性高分子または酸性基を有する水溶性高分子の溶解性向上策について、具体的に説明する。アミノ基を有する水溶性高分子の水に対する溶解性が低い場合は、アミノ基を強酸でアンモニウム塩構造にすることで、水に対する溶解性を向上できる。具体的には、塩酸,硝酸,硫酸等を添加し、塩酸塩,硝酸塩,硫酸塩等に変換することにより、水に対する溶解性は大幅に向上する。
また、酸性基を有する水溶性高分子の水に対する溶解性が低い場合は、酸性基を強塩基で塩構造にすることで水に対する溶解性を向上可能である。具体的には、水酸化ナトリウム,水酸化マグネシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物を添加し、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩等に変換することにより、水に対する溶解性は大幅に向上する。
有機酸トラップ向上のための添加剤について、具体的に説明する。有機酸の酸性基の酸性度が低い場合、アミノ基とイオン結合を形成する割合が低下する。そこで、酸性基を有する水溶性高分子を添加する前に、塩化ナトリウムや塩化カリウム等の無機の塩を汚水に添加することにより、アミノ基とイオン結合する有機酸の割合が高まる。これは、塩を添加して水中に溶解している有機物を析出させる塩析と類似の効果により、汚水中に溶解できる有機酸の許容割合を下げているのではないかと考えられる。添加する無機の塩は、塩化ナトリウム,塩化カリウム,塩化マグネシウム、または塩化カルシウム等のアルカリ金属、もしくはアルカリ土類金属の塩酸塩,硫酸ナトリウム,硫酸カリウム,硫酸マグネシウム、または硫酸カルシウム等のアルカリ金属、もしくはアルカリ土類金属の硫酸塩,硝酸ナトリウム,硝酸カリウム,硝酸マグネシウム、または硝酸カルシウム等のアルカリ金属、もしくはアルカリ土類金属の硝酸塩、等が挙げられる。
本発明の凝集方法の概略について説明する。本発明の有機酸を凝集物にする方法は、前述の図2の通りである。これを簡単に記述すると、以下の(1)〜(4)のようになる。なお、酸性基を図2ではカルボキシル基として説明しているが、スルホン酸基でも同様である。(1):有機酸を有する汚水へ、アミノ基を有する水溶性高分子を添加する。(2):汚水中の有機酸のカルボキシル基が、アミノ基を有する水溶性高分子のアミノ基とイオン結合を形成し、有機酸がアミノ基を有する水溶性高分子にトラップされる。(3):カルボキシル基を有する水溶性高分子を添加する。(4):アミノ基を有する水溶性高分子のアミノ基と、カルボキシル基を有する水溶性高分子のカルボキシル基が分子同士で多数のイオン結合し架橋する。これにより、お互い高分子であったものが水に不溶化し凝集物となる。
凝集剤の添加割合等について説明する。ここで、汚水における有機酸の酸性基の数をMA、添加するアミノ基を有する水溶性高分子のアミノ基の数をPB、添加する酸性基を有する水溶性高分子の酸性基の数をPAとする。汚水に対するアミノ基を有する水溶性高分子及び酸性基を有する水溶性高分子の添加量について、下記不等式となるよう調整することで、有機酸の除去割合を高めることができる。
PB≧MA…式(1)
PA≧PB…式(2)
式(1)は、汚水の中には有機酸の酸性基よりアミノ基を有する水溶性高分子のアミノ基の数が多くなることを意味している。本発明では、アミノ基を有する水溶性高分子のアミノ基と有機酸の酸性基のイオン結合を形成する反応は、元々平衡反応と考えられる。そのため、有機酸に比べて、アミノ基を有する水溶性高分子のアミノ基の方が過剰になれば、有機酸のトラップ割合を高くできる。仮に式(1)がPB<MAの場合は、有機酸に比べて有機酸をトラップするアミノ基が少ないので、トラップできない有機酸が汚水中に必ず残るようになる。
また、式(2)はアミノ基を有する水溶性高分子のアミノ基の数より酸性基を有する水溶性高分子の酸性基の数が多くなることを意味している。これにより、有機酸をトラップしたアミノ基を有する水溶性高分子のほとんど全てを水に不溶の凝集物として析出させることが可能になる。この不等式の添加割合から大きく外れると、水中に溶解している有機酸をトラップしたアミノ基を有する水溶性高分子が水中に溶解している有機物として検出されてしまう。したがって、水質面でもこの不等式の添加割合で汚水処理を行うことが望まれる。仮に、式(2)がPA<PBの場合は有機酸をトラップしたアミノ基を有する水溶性高分子が凝集物として析出せず、汚水中に溶解した状態で存在するため、最終的には有機酸の除去率が低下するという問題が生じる。
以上のように、上記不等式を維持するような割合を保つことが汚水中の有機酸除去効率維持にとっては重要である。また、式(1),式(2)をまとめると、
PA≧PB≧MA…式(3)
となる。汚水処理においては、式(2)の条件で処理を行うことで、水中に溶解している有機化合物の量を本発明の汚水処理によって増加させることなく処理可能となる。また、式(3)の条件で処理を行うことによって、高効率で汚水中の有機酸を除去可能となる。
上記以外の有機酸除去の向上策としては、アミノ基を有する水溶性高分子の添加量はアミノ基の数として考えた場合、汚水中のカルボキシル基の数よりなるべく多く添加する。また、酸性基を有する水溶性高分子の溶液を汚水中に添加する際、なるべく激しく攪拌することで、汚水全体に酸性基を有する水溶性高分子が行き渡り、効率良く凝集物を形成できる。したがって、酸性基を有する水溶性高分子添加の際の攪拌状態を高めることで有機酸の除去率が向上する。
その他有機酸の除去率を高める方法は、酸性基を有する水溶性高分子を添加する前に、汚水中に無機の塩を添加しておく方法が挙げられる。これは、塩析に類似の効果により除去率が高まるものと考えられる。加える無機の塩は、自然界に豊富に存在する塩化ナトリウムが好適である。特に、海底油田の汚水処理の場合は、海水中の平均塩化ナトリウム濃度が約3%なので、そのレベルまでは添加しても環境に与える影響は軽微なので特に好適である。なお、無機の塩を添加する順序としては、アミノ基を有する水溶性高分子の先でも後でも良く、凝集効果を促進するために凝集剤に無機の塩を添加しても良い。ただし、必ず酸性基を有する水溶性高分子の添加前に加えるようにする。これは、酸性基を有する水溶性高分子の添加後に加えても、これ以上は凝集しないためである。
凝集物大型化について説明する。前述のように、酸性基を有する水溶性高分子の水溶液を添加する際は、なるべく激しく攪拌する方が有機酸を凝集物に効率的にトラップできる。しかし、攪拌が激しすぎると凝集物のサイズが小さくなりすぎ、濾過槽を通す際に詰まりやすくなるので、処理速度が低下する恐れもある。そこで、凝集物を形成後、ポリ塩化アルミニウムまたはポリアクリルアミドを添加し、凝集物を大型化する。これにより、濾過槽の濾過速度を向上させ、ひいては汚水処理速度向上につなげることも可能である。
磁気分離の適用について説明する。凝集物形成時に、凝集物内に磁性粉または鉄粉を含有させておくことで、磁気分離による凝集物除去が可能になる。ただ、酸性基を有する水溶性高分子を添加した後では、凝集物内に磁性粉または鉄粉を入れることが困難である。したがって、酸性基を有する水溶性高分子を添加する前か、酸性基を有する水溶性高分子と混合して汚水に添加することで、凝集物内に含有させることが可能になる。なお、凝集物の大型化のため。ポリ塩化アルミニウム、及びポリアクリルアミドを添加する場合がある。この場合は、酸性基を有する水溶性高分子を添加した後でも、ポリアクリルアミド添加前に磁性粉または鉄粉を添加することで、磁気分離での凝集物分離が可能となる。
(1)本発明の浄水装置の形態1
次に、本発明の浄水装置の形態について説明する。まず、本発明の浄水装置の基本構成について、図3を使って説明する。汚水はポンプ11により、配管12を通って、第一の混合槽13に投入される。この中の液体は、オーバーヘッドスターラ14によって攪拌される。ポンプ16を使って、タンク15から配管17を通ってアミノ基を有する水溶性高分子の水溶液が、第一の混合槽13に投入される。
第一の混合槽13内の液体を十分混合した後、第一の混合槽13中の液体を、ポンプ18を用いて配管19を通して第二の混合槽20に投入する。第二の混合槽20中の液体は、オーバーヘッドスターラ21によって攪拌されている。
次に、ポンプ23を用いて、タンク22から配管24を通って酸性基を有する水溶性高分子の水溶液が第二の混合槽20に投入される。これにより、第二の混合槽20中で凝集物が生成する。凝集物が混ざった状態の液体は、バルブ25aまたはバルブ25bを開けることにより、濾過部26aまたは濾過部26bに流れ込む。流れ込んだ液体は、濾過用の砂からなる濾過槽27aまたは濾過槽27bで濾過され、その後、多孔質部材28aまたは多孔質部材28bにより再度濾過され、有機酸が低減された水として出てくる。
図3では、濾過部26a及び濾過部26b有している装置を示している。始めに、濾過部26aで濾過処理を行い、濾過槽27aが詰まり、濾過速度が低下した場合は、濾過部26bで濾過処理を行うようにする。濾過部26bで濾過処理中に、濾過槽27aを交換する等の処置をすることで、濾過処理を極力滞らないようにすることが可能となる。
ところで、有機酸除去能力が低い場合は、ポンプ30によりタンク29から配管31を通って、塩化ナトリウムの水溶液を第二の混合槽20に投入する。これにより、アミノ基にトラップする有機酸の割合が大きくなり有機酸除去能力が向上する。塩化ナトリウムの代わりに、塩化カリウム等の無機の塩を用いてもかまわない。浄水装置で浄化した水を海に放流する場合は海水が塩水のため、塩化ナトリウムを用いた場合は、海洋の生態系に対する影響が軽微なので好適である。
第二の混合槽20に酸性基を有する水溶性高分子の水溶液を投入する配管24の先端32aは、ストレートではなく、扇状に広げたり、シャワーの口のように広げたり等、酸性基を有する水溶性高分子の水溶液がなるべく広範囲に第二の混合槽20中に投入するようにする。これは、酸性基を有する水溶性高分子の水溶液の投入に伴い瞬時に凝集が始まるため、狭い面積に投入すると、投入した酸性基を有する水溶性高分子の水溶液が凝集物に内包され、更なる凝集物生成に生かされないためである。第二の混合槽20に液を投入する配管24の先端32a及び配管19の先端32bについて、第二の混合槽20の液面に接触しないように、液体の投入口は液面の上に設ける。これは、第二の混合槽20で生成する凝集物が配管24の先端32a及び配管19の先端32bに付着し、先端の穴を塞ぐことを防ぐためである。
(2)本発明の浄水装置の形態2
本発明の浄水装置のうち、沈降槽を有するものの基本構成について、図4を使って説明する。図4の装置の構成は、沈降槽33を持つ。この構成により、凝集物を沈降槽下部に沈殿させ、上澄みを浄化水として得る。
(3)本発明の浄水装置の形態3
本発明の浄水装置のうち、濾過部に濾過槽の目詰まりを防止する機構を有するものの基本構成について、図5を使って説明する。濾過処理を続けていくと、濾過槽27は凝集物により表面が目詰まりを起こし、濾過速度が低下してくる。そこで、図5の装置では濾過槽27の上面付近に、表面に凹凸のあるディスクを配置し、これをモーターで回転させる濾過槽攪拌機構34を設けた。これにより、濾過槽27の上部表面を削り、凝集物による目詰まりを解消することで、濾過を円滑に行うことが可能となる。
(4)本発明の浄水装置の形態4
本発明の浄水装置のうち、磁気分離方式を利用したものの基本構成について図6を使って説明する。汚水はポンプ36により、配管35を通って第一の混合槽37に投入される。この中の液体は、オーバーヘッドスターラ38によって攪拌される。ここで、ポンプ40により、タンク39から配管41を通って、アミノ基を有する水溶性高分子水溶液が第一の混合槽37に投入される。
第一の混合槽37内の液体を十分混合した後、ポンプ42を用いて、第一の混合槽37中の液を、配管43を通して第二の混合槽44に投入する。この中の液体は、オーバーヘッドスターラ45によって攪拌されている。
次に、タンク46からポンプ47により、配管48を通って酸性基を有する水溶性高分子の水溶液と磁性粉の混合された液体が、第二の混合槽44に投入される。これにより、第二の混合槽44中で凝集物が生成する。凝集物は磁性粉が混ざった状態である。この凝集物は、表面がメッシュ状で磁気を帯びているドラム49に付着する。ドラム49は、図6では時計回りに回転し、表面に付着した凝集物は、スクレイパー50によってドラム49のメッシュから剥がされる。剥がされた凝集物は、下面がメッシュ状になった凝集物集積容器51に集められる。集められたばかりの凝集物は、かなりの水分を含んでいるので、凝集物集積容器下面のメッシュから排水される。
一方、ドラム49のメッシュを通り抜けた水は、メッシュにより凝集物が除かれた状態になっている。この水は、低減された水としてドラム49の中心部分にある配管52を通って出てくる。
有機酸除去能力が低い場合は、ポンプ54により、タンク53から配管55を通って、塩化ナトリウムの水溶液を第一の混合槽37に投入する。これにより、アミノ基にトラップする有機酸の割合が大きくなり、有機酸除去能力が向上する。塩化ナトリウムの代わりに、塩化カリウム等の無機の塩を用いてもかまわない。しかし、浄水装置で浄化した水を海に放流する場合は、海水が塩水のため、塩化ナトリウムを用いる方が、海洋の生態系に対する影響が軽微である点で好適である。
第二の混合槽44に液体を投入する配管48の先端56aは、扇状に広げたり、シャワーの口のように広げたり等、酸性基を有する水溶性高分子の水溶液がなるべく広範囲に第二の混合槽44中に投入するようにする。これは、投入に伴い、瞬時に凝集が始まるため、狭い面積に投入すると、投入した酸性基を有する水溶性高分子の水溶液が凝集物に内包され、更なる凝集物生成に生かされないためである。
第二の混合槽44に液体を投入する配管48の先端56a及び配管43の先端56bについて、第二の混合槽44の液面に接触しないように、液体の投入口は液面の上に設ける。これは、第二の混合槽44で生成する凝集物が配管48の先端56a及び配管43の先端56bに付着し、先端の穴を塞ぐことを防ぐためである。
タンク46内は、酸性基を有する水溶性高分子の水溶液と磁性粉を混合するためのオーバーヘッドスターラ57(タンク内にある羽根等は図示していない)を設ける。
なお、酸性基を有する水溶性高分子の水溶液と磁性粉は、第二の混合槽44に別々に入れることも可能である。しかし、凝集物に含有する磁性粉の単位体積あたりの密度に偏りが生じる傾向があるので、本装置のようにあらかじめ混合後に第二の混合槽44へ投入する方法が望ましい。
この装置では、磁気分離するためのドラム49を設けず、凝集物を沈降後、濾過する機構を設けても良い。凝集物は磁性粉を含有しているため、比重が大きくなり、沈みやすくなる。そこで、大半の凝集物を第二の混合槽44の下に沈め、上澄みを濾過することにより、磁気分離を行わなくても水の浄化が可能となる。
(5)本発明の浄水装置の形態5
本発明の浄水装置のうち、磁気分離方式でドラムを2個備えたものの基本構成について図7を使って説明する。この装置は、表面がメッシュのドラム49上に凝集物を集めた後、ドラム内部から少量の水を吹き出す。これにより、凝集物をドラム49のメッシュ上から剥がし、ドラム58の方に飛ばし、ドラム58の表面に付着させる。このドラム58の表面はメッシュではなく金属板である。凝集物を剥がす際、メッシュ表面をスクレイパー50で擦るが、この時メッシュにスクレイパー50が引っかかり、メッシュを破損することがある。しかし、本装置ではスクレイパー50で凝集物を剥がす際、接触するのはメッシュに比べて丈夫な金属板であるため、スクレイパー50による破損を起こしにくいため好適である。
(6)本発明の浄水装置の形態6
本発明の浄水装置のうち、磁気分離方式で凝集物除去槽59を別に設けたものの基本構成について図8を使って説明する。これは、第二の混合槽44で形成した凝集物を、同じ槽中で磁気分離するのではなく、別の槽(凝集物除去槽59)に移し、そこで磁気分離を行うものである。凝集物除去槽59に入れる処理水の量は、バルブ60で制御する。この構成にすることで、磁気分離前にかなりの割合の凝集物が第二の混合槽44中に残り、磁気分離で除去する凝集物の量が少なくなる。そのため、ドラム49のメッシュが詰まりにくくなり、メッシュへのメンテナンスの軽減が図れるため、好適である。
(7)本発明の浄水装置の形態7
本発明の浄水装置のうち、磁気分離方式でドラムが1個で且つ凝集物除去槽61を別に設けたものの基本構成について、図9を使って説明する。これは、凝集物除去槽61の底とドラム58との距離を小さくすることで、凝集物をドラム58にほぼ完全に付着させる。こうしてドラム1個で浄化を行う。ドラム58に付着した凝集物はスクレイパー50で取り除く。この方式は、ドラム58が1個で浄化できるため凝集物除去槽61、ひいては装置の省スペース化が図れるため、好適である。
本発明の実施例を、以下に示す。
有機酸として、安息香酸が110ppm溶解している試験水1リットル(安息香酸としては1mmol)を攪拌中に、アミノ基を有する水溶性高分子としてポリエチレンイミン(平均分子量は70000)の10重量%水溶液1g(アミノ基の数としては2.33mmol)を加える。次に、カルボキシル基を有する水溶性高分子としてポリアクリル酸(平均分子量は25000)の10重量%水溶液2g(カルボキシル基の数としては2.78mmol)を加えると、凝集物が析出する。この凝集物を濾取し、濾過液の安息香酸量を液体クロマトグラフィで定量したところ、濾過液中の安息香酸濃度は10ppmに低下した。よって、アミノ基を有する水溶性高分子とカルボキシル基を有する水溶性高分子を用いることで、水に溶解している有機酸を除去できることが確かめられた。
安息香酸が110ppm溶解している試験水1リットルの代わりに、酢酸が60ppm溶解している試験水1リットルを用いる以外は実施例1と同様の試験を試みたところ、濾過液中の酢酸濃度は8ppmに低下した。よって、アミノ基を有する水溶性高分子とカルボキシル基を有する水溶性高分子を用いることで、水に溶解している有機酸を除去できることが確かめられた。
ポリエチレンイミン(平均分子量は70000)の10重量%水溶液1gの代わりに、ポリアリルアミン(平均分子量は10000)の10重量%水溶液1.2g(アミノ基の数としては2.16mmol)を用いる以外は実施例1と同様の試験を試みたところ、濾過液中の安息香酸濃度は11ppmに低下した。よって、アミノ基を有する水溶性高分子とカルボキシル基を有する水溶性高分子を用いることで、水に溶解している有機酸を除去できることが確かめられた。
ポリアリルアミン(平均分子量は10000)の10重量%水溶液1.2gの代わりに、ポリアリルアミン塩酸塩(平均分子量は10000)の10重量%水溶液2g(アミノ基が塩酸塩になった構造の数としては2.14mmol)を用い、ポリアクリル酸(平均分子量は25000)の10重量%水溶液2gの代わりに、ポリアクリル酸ナトリウムの10重量%水溶液3g(カルボキシル基がナトリウム塩になった構造の数としては3.16mmol)を用いる以外は実施例3と同様の試験を試みたところ、濾過液中の安息香酸濃度は12ppmに低下した。よって、アミノ基及びカルボキシル基が塩構造に変換された高分子
を用いても、水に溶解している有機酸を除去できることが確かめられた。
ポリアクリル酸ナトリウムの10重量%水溶液3gの代わりに、ポリメタクリル酸ナトリウムの10重量%水溶液3g(カルボキシル基がナトリウム塩になった構造の数としては2.75mmol)を用いる以外は実施例4と同様の試験を試みたところ、濾過液中の安息香酸濃度は12ppmに低下した。よって、カルボキシル基を有する水溶性高分子として、ポリアクリル酸の代わりにポリメタクリル酸を用いても、水に溶解している有機酸を除去できることが確かめられた。
ポリアクリル酸ナトリウムの10重量%水溶液3gの代わりに、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの10重量%水溶液6g(スルホン酸基がナトリウム塩になった構造の数としては2.91mmol)を用いる以外は実施例4と同様の試験を試みたところ、濾過液中の安息香酸濃度は12ppmに低下した。よって、酸性基を有する水溶性高分子としてスルホン酸基を有する水溶性を用いても、水に溶解している有機酸を除去できることが確かめられた。
試験水1リットルに、ポリエチレンイミンの10重量%水溶液1gを加えた後、ポリアクリル酸の10重量%水溶液2gを加える前に、5.85重量%の塩化ナトリウム水溶液を加える以外は実施例1と同様の試験を試みたところ、濾過液中の安息香酸濃度は8ppmに低下した。よって、塩化ナトリウムを添加することにより、添加しない場合に比べて、試験水中の安息香酸濃度を低減できることが確かめられた。
5.85重量%の塩化ナトリウム水溶液の添加量を1gから10gにする以外は実施例7と同様の試験を試みたところ、濾過液中の安息香酸濃度は4ppmに低下した。更に、5.85重量%の塩化ナトリウム水溶液の添加量を1gから100gにする以外は実施例7と同様の試験を試みたところ、濾過液中の安息香酸濃度は2ppmに低下した。よって、添加する塩化ナトリウム量を大きくすることで、安息香酸濃度をより低減できることが確かめられた。
5.85重量%の塩化ナトリウム水溶液1gの代わりに、7.45重量%の塩化カリウム水溶液1gを用いる以外は実施例7と同様の試験を試みたところ、濾過液中の安息香酸濃度は8ppmに低下した。また、5.85重量%の塩化ナトリウム水溶液1gの代わりに、6重量%の硫酸マグネシウム水溶液2gを用いる以外は実施例7と同様の試験を試みたところ、濾過液中の安息香酸濃度は6ppmに低下した。よって、種々の無機の塩を添加することで、安息香酸濃度をより低減できることが確かめられた。
有機酸として、安息香酸が110ppm溶解している試験水1リットル(安息香酸としては1mmol)を攪拌中にアミノ基を有する水溶性高分子としてポリエチレンイミン(平均分子量は70000)の10重量%水溶液を、表1に示す量だけ加える。次に、カルボキシル基を有する水溶性高分子として、ポリアクリル酸(平均分子量は25000)の10重量%水溶液2g(カルボキシル基の数としては2.78mmol)を加えると、凝集物が析出する。この凝集物を濾取し、濾過液の安息香酸量を液体クロマトグラフィで定量したところ、濾過液中の安息香酸濃度は表1のような結果になった。
この結果より、汚水中の有機酸の酸性基の数(MA)と、アミノ基を有する水溶性高分子のアミノ基の数(PB)の関係が、PB<MAの時は有機酸の除去率が低いことが確かめられた。即ち、上記式(1)の不等式のように、アミノ基を有する水溶性高分子のアミノ基の数(PB)が汚水中の有機酸の酸性基の数(MA)以上、つまりPB≧MAとすることで、有機酸の除去率の向上することが確かめられた。
有機酸の酸性基とアミノ基を有する水溶性高分子のアミノ基とのイオン結合は、平衡反応であると考えられる。そのため、アミノ基を過剰にすることで、トラップ量(イオン結合数)が大きくなるものと考えられる。
有機酸として、安息香酸が110ppm溶解している試験水1リットル(安息香酸としては1mmol)を攪拌中にアミノ基を有する水溶性高分子としてポリエチレンイミン(平均分子量は70000)の10重量%水溶液1g(アミノ基の数としては2.33mmol)を加える。次に、カルボキシル基を有する水溶性高分子として、ポリアクリル酸(平均分子量は25000)の10重量%水溶液を、表2で示す量だけ加えると、凝集物が析出する。この凝集物を濾取し、濾過液の安息香酸量を液体クロマトグラフィで定量したところ、濾過液中の安息香酸濃度は表2のような結果になった。
この結果より、アミノ基を有する水溶性高分子のアミノ基の数(PB)と、酸性基を有する水溶性高分子の酸性基の数(PA)の関係が、PA<PBの時は有機酸の除去率が低いことが確かめられた。即ち、有機酸の除去効率を高めるには、PA≧PBであることが重要である。この理由は、PA<PBの場合、有機酸をトラップしたアミノ基を有する水溶性高分子が凝集物として析出せず、汚水中に溶解した状態で存在するため、濾過では有機酸が十分除けず、結果的に有機酸の除去率が低下したものと考えられる。
用いるポリアクリル酸の平均分子量を25000ではなく、800,1600,2000、または3000とする以外は実施例1と同様に実験を行った。すると、平均分子量が800、及び1600のポリアクリル酸を用いた場合は、凝集物が液状になり、濾過時に濾紙表面に広がるようにこびりつき、濾紙の目をすぐに詰まらせた。そこで、複数の濾紙を使用し濾過を行った。平均分子量が2000及び3000のポリアクリル酸を用いた場合は、凝集物は固体状態となったため、濾紙の目は詰まりにくかった。よって、凝集物形成の際加えられるポリアクリル酸の平均分子量は2000以上であることが望まれる。
また、用いるポリアクリル酸の平均分子量を25000ではなく、100000,200000,250000、または1000000とする以外は、実施例1と同様に実験を行った。すると、平均分子量が100000、及び200000のポリアクリル酸を用いた場合は、10重量%の水溶液として2gを加え、生成した凝集物を濾過し、濾液中の安息香酸濃度を測定したところ、10ppmであった。対して、平均分子量が250000及び1000000のポリアクリル酸を同量だけ用いたところ、濾液中の安息香酸濃度はそれぞれ30ppm及び80ppmであった。なお、平均分子量が高くなると、その水溶液は粘度が高くなり、加える量を正確に制御することが難しくなった。そこで、平均分子量が250000及び1000000のポリアクリル酸は、2重量%のものを10gずつ用いた。
次に、加えるポリアクリル酸の量を平均分子量が250000の場合は2倍、平均分子量が1000000の場合は4倍まで増やすと、濾液中の安息香酸濃度はどちらも10ppmになった。これは、ポリアクリル酸の平均分子量が大きくなると、ポリエチレンイミンのアミノ基とわずかにイオン結合を形成するだけで、水に不溶の凝集物を形成してしまう傾向があるためと考えられる。そのため、平均分子量の小さなポリアクリル酸(平均分子量が25000,100000、または200000)を加えた場合に比べて、ポリエチレンイミンと安息香酸からなるイオン結合物のかなりの割合が水中に溶解したままとなり、結果として、安息香酸の除去率を高めてしまったものと考えられる。
以上より、凝集物形成の際の酸性基を有する水溶性高分子の使用量を低減できるという点で、酸性基を有する水溶性高分子の平均分子量は、200000以下が好適であると判断される。まとめると、本実施例より、本発明で用いる酸性基を有する水溶性高分子の平均分子量は、2000〜200000が好適であることが示された。
実施例1において、ポリアクリル酸の10重量%水溶液を加える際、攪拌はオーバーヘッドスターラを用い、その際の回転数は200rpmとした。すると、生成する凝集物のサイズは1〜3mm程度であった。そこで、本実施例では、オーバーヘッドスターラの回転数を500rpmとしたところ、生成する凝集物のサイズは0.01〜0.3mmであり、粒子径のばらつきも大きかった。そのため、種々の目のサイズの濾紙の目を詰まらせやすくなるため、処理の効率が低くなる。
そこで、この細かな凝集物の生成した試験水に汚濁微粒子を大きな凝集物にする際、ポリ塩化アルミニウム(PAC)の1重量%水溶液を1.5g加え、攪拌後、ポリアクリルアミドの0.1重量%の水溶液を1g加え、更に、オーバーヘッドスターラの回転数を200rpmに下げて攪拌し続けたところ、凝集物のサイズが1〜3mm程度まで大きくなった。凝集物が大きくなったため、濾紙を用いての凝集物の濾取において、濾紙の目をほとんど詰まらせずに容易に行えるようになった。よって、凝集物が小さい場合は、ポリ塩化アルミニウム及びポリアクリルアミドを加えて凝集物のサイズを大型化し、濾過をしやすくすることが可能となった。
実施例1において、ポリアクリル酸の水溶液を加える前に、試験水にフェライト系の磁性粉を100mg添加した。その後、ポリアクリル酸の水溶液を加え、凝集物が生成後、試験水内に永久磁石を入れ、30秒後に引き上げると、凝集物の約90%が磁石表面に付着した。残りは、試験水を入れた容器の表面、またはオーバーヘッドスターラの試験水に浸っている表面にこびり付いていた。試験水中の安息香酸の濃度は、10ppmであった。以上より、磁性粉及び磁石を用いることにより、濾過を行わなくとも試験水中から有機酸を除去できることが確認された。
実施例14において、磁性粉の量を半分の50mgにする以外は同様の実験を行ったところ、磁性粉に付着した凝集物は全体の50%程度であった。約40%の凝集物は、磁石には付着せず試験水中を漂っていた。つまり、この方法では、磁性粉量が凝集物の除去には不十分であることを示している。しかし、磁性粉をポリアクリル酸水溶液に混合後、試験水中に加えた場合、つまり、ポリアクリル酸と磁性粉を同時に試験水に加えた場合は、磁性粉に付着した凝集物は全体の90%であった。また、この方法で試験水を処理したところ、安息香酸の濃度は10ppmになった。以上より、磁性粉を試験水に加える際は、磁性粉と酸性基を有する水溶性高分子を同時に加えることで、必要な磁性粉の量を低減できることが示された。
試験水及びポリアクリル酸水溶液に比べて、磁性粉は比重が大きいため、試験水の攪拌速度をかなり高めても試験水中に均一には存在しにくい。そのため、凝集物中に含有される磁性粉の割合は、凝集物によって差がつきやすい。そこで、磁性粉をポリアクリル酸水溶液と一緒に加えることで、磁性粉が生成する凝集物に対してほぼ均一に含有され、結果として、少量の磁性粉で磁石に付着させることが可能になったと考えられる。