JP5452380B2 - 軌道緑化ユニットおよびその固定構造 - Google Patents

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Description

この発明は、鉄道軌道床に敷いて軌道床に植物を植栽するために用いる軌道緑化マットを容器に収容した軌道緑化ユニットと、この軌道緑化ユニットを軌道床に固定するための固定構造に関するものである。
都市部の鉄道では、特に夏期に軌道床の温度が上昇しこれが1つの熱源となってヒートアイランド現象を昂進させ、また車両走行時の騒音や振動が環境悪化の原因になるという問題がある。さらに砕石やコンクリートの軌道床は美観を損ねるという意見も近年強くなってきている。
特開2005−41 特開2009−268393 特開平8−311878
そこで軌道に植物を植えて空気中に水分を蒸散させることにより周囲温度を下げると共に、騒音や振動を吸収させることによってこれらを抑制し、美観を向上させることが提案されている。
特許文献1には、路面電車の軌道間に上面が開いた皿形の緑化容器の収容し、この緑化容器の軌道(レール)に対向する辺(側壁)を高くして、植栽した植物が軌道近くまで進入して車輪が植物の根や、植栽床となる土壌などに接触して通行に支障が生じるのを防ぐことが開示されている。特許文献2には、自動給水用の栽培パレットを軌道(レール)間に配置し、このパレットの軌道に対向する縁に軌道の高さを超えない高さの遮蔽壁を設けルことが開示されている。この遮蔽壁によって植栽の茎が軌道方向に伸びることを防止し、線路間の絶縁を短絡させるなどの障害の発生を防止するものである。
また特許文献3には、垂直に近い壁面に取り付ける緑化パネルであって、無土壌培地(多孔質発泡体ポリプロピレンなどの植物の支持基盤層)の裏側に植物の育成コントロール層を設けたものが開示されている。ここに育成コントロール層は、植物の衰退と徒長を防止して初期の緑化状況を維持するためのものであり、例えば遅効性肥料と生育抑制剤とを貼着ないしは挟み込んだ不織布をアクリル多孔質合成繊維のフェルト間に挟み込んだものである(請求項1、段落0016など)。
特許文献1に示されたものは路面電車に適用することを想定したものであり、路面電車では一般にその走行速度は通勤電車などの都市交通電車に比べて著しく低速である。一方通勤電車では特に通勤時間帯では路面電車に比べてその走行間隔も一般に極めて短く、急行電車などの通過車両が通過する時には緑化植物に加わる走行風は予想以上に強いものとなる。このため緑化植物の生長が強い走行風によって阻害され、植物が傷つけられるという問題が発生する。
特許文献2に示されたものは、栽培パレットを軌道の長手方向に接続して一体化しその左右両縁に軌道に沿って遮蔽壁を設けるから、車両の走行風は遮蔽壁の間を通って流れることになる。このため栽培パレットの上に載せた栽培マットから生育する植物に、走行風が直接当たることになる。このため植物の生育が走行風によって阻害され、傷つけられるという問題が生じる。
特許文献3に示されたものは、垂直あるいは垂直に近い壁面に保持することを前提にするから、土壌でなく脱落する恐れがない無土壌培地を用い、この裏面に生育コントロール層を設けて、植物の根が充満して無土壌培地や生育コントロール層を押し出して緑化マットを傷めるのを防ぐものである。しかし、無土壌培地は通常保水力が弱いという問題があり、特に強い日光が当たる場所には設置できなかったり、設置が困難である。また別途給水設備を必要とすることもある。
この発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、電車の走行風によって緑化植物が傷められたりその生長が阻害されることが無く、土壌培地を使用して植物の良好な生育を可能にする軌道緑化ユニットを提供することを第1の目的とする。
また軌道緑化ユニットが走行風によって移動したり、まくれ上がるのを確実に防ぐことができる軌道緑化ユニットの固定構造を提供することを第2の目的とする。
この発明によれば第1の目的は、鉄道軌道床に敷き込んで軌道床に植物を育成するために用いる軌道緑化マットを有する軌道緑化ユニットにおいて、左右の軌道の間に収容可能な底板と、この底板の周縁から起立する側壁とを有する略皿状の容器と、この容器に収容された軌道緑化マットとを備え、前記容器の軌道に非平行な側壁の上縁を前記軌道緑化マットの上面よりも高くしたことを特徴とする軌道緑化ユニット、により達成される。
第2の目的は、請求項1の軌道緑化ユニットを軌道床に固定するために用いる軌道緑化ユニット固定構造であって、軌道の外側で軌道床に敷かれた補助緑化マットを備え、前記軌道緑化ユニットと前記補助緑化マットとを、軌道の下方を通して結合したことを特徴とする軌道緑化ユニットの固定構造、によって達成される。
第1の発明によれば、略皿状の容器が持つ側壁のうち、軌道に非平行な側壁の上縁を軌道緑化マットの上面よりも高くしたものであるから、車両の走行風はこの高い側壁によって弱められ、軌道緑化マットから生育する植物に走行風が直接当たるのを防ぎ、また植物に当たる走行風を弱めることができる。このため走行風が植物の生育に障害とならず、走行風によって植物が傷められることがなく、植物がきれいに揃って生育する。また植物がこの高い側壁より高くなると、逆に走行風が植物の先端に当たってその生長を妨げることになり、植物の高さが揃いやすく、美観が向上する。
第2の発明によれば、軌道間に敷いた軌道緑化ユニットを、軌道の外に敷いた補助軌道緑化マットと軌道の下方を通して結合して固定したものであるから、軌道緑化ユニットが鉄道車両の走行風によって移動したりまくれ上がったりするのを確実に防ぐことができる。またこれらを軌道に固定しないから、車両の走行の障害になることもない。
本発明の一実施例を示す分解斜視図 容器の分解斜視図 軌道緑化マットの構造を示す図 軌道緑化ユニットの分解斜視図 軌道緑化ユニットの斜視図 軌道緑化ユニットの延出シートの取付構造を示す側断面図 軌道緑化ユニットの軌道床への設置状態を示す平面図 同じく図7におけるVIII-VIII線側断面図 同じく緑化ユニットの固定構造を示す図7におけるIX-IX線断面図 弱耐根層の他の実施例を示す図
軌道緑化マットは、上下2層の植栽基板層の間に弱耐根層を設けたものとすることができる(請求項2)。この緑化マットによれば、植栽植物の根が弱耐根層によって下層の植栽基板層に進入しにくくなり、進入しても進入根が肥大化しにくくなり、養分吸収が確実になるまでに時間的遅れが生じる。このため植物根は上層植栽基板層に容易に根圏を拡大し、弱耐根層は下層への伸長を遅らせることとなる。時間経過と共に上層植栽基板層に根圏が充満し、成長の余地が無くなると根は弱耐根層を通って下層植栽基板層に根圏を求めて伸長を行う。このように弱耐根層は、限られた土壌容積を生育に併せて有効に振り分ける作用をもつ。このため根が張りすぎて緑化マットが破けるなどの損傷を受けたり植物が生長しすぎて背が高くなりすぎる、などの問題を防ぐことができる。
また弱耐根層の下に下層植栽基板層を設けているので、上層植栽基板層との協働によって保水力を大幅に向上させることができる。すなわち上層植栽基板層には、直射日光が当たって特に夏期の乾燥が著しく進むが、下層植栽基板層はその上の弱耐根層および上層植栽基板層によって水分の蒸発が抑制され、また植物の根はこの下層植栽基板層には入りにくいので植物からの蒸散も抑制される。このため保水力が向上する。
緑化マットと容器との間に耐根シートを敷き込んでおいても良い(請求項3)。容器自身は根が容器の外に伸びるのを防ぐ機能(耐根機能)を持っているが、別に耐根シートを敷き込んでおけばこの容器に排水溝や通気孔を設けた場合に、根がこれらから外に伸びるのを防ぐことができる。
上層の植栽基板層の上面には植生マットを保持しておくのがよい(請求項4)。この植生マットはポリエステル繊維の織布または不織布に植物(セダム類など)を予め適切な大きさまで生育させたものであり(請求項11)、この場合には緑化マットを軌道間に設置した後で植栽基板層に種をまいたり苗を植えたりするのに比べて、植物の生長が確実で最初から適切な美観が得られる。またこの植生マットは、その下の植栽基板層から培土が流出するのを防止できる効果もある。
容器は軟質樹脂シートで作るのがよい(請求項5)。ここに用いる軟質樹脂シートは、加硫ゴム系、非加硫ゴム系、塩化ビニル樹脂系、エチレン酢酸ビニル樹脂系、熱可塑性エラストマー、ウレタンフォーム、発泡ポリエチレン、シリコンゴム、ブチルゴム、酢酸ビニル樹脂、オレフィン樹脂、のいずれかに可塑剤、充填剤を添加したシートとすることができる(請求項6)。
このような軟質シートで作れば、この容器を砕石軌道床に載せた場合に、容器の底が軌道床の凹凸によく追随して変形し、軌道床との間にできる間隙を小さくでき、あるいは間隙ができなくなる。このため車両走行に伴う軌道床から拡散する騒音の発生を減少させることができる。
植栽基板層は、三次元繊維構造に形成された樹脂繊維、不織布、フェルト、のいずれかからなる基板に軽量培土、肥料を充填あるいは詰め込んで所定寸法のマット状に成形したものがよい(請求項7)。弱耐根層は、下層の植栽基板層の上層部に粒径が大きい軽量培土層を分離して、この大粒径の層を弱耐根層としても良い(請求項8)。この場合は、大粒径の層は水分の吸い上げ機能が悪いから、この現象を利用して根に対する水分の供給を制限することによって根の成長を制限する。このように大粒径の層を形成するためには、樹脂繊維などの基板に粒径が異なる軽量培土を載せて基板を加震すればよい。震動によって細かい培土が基板内で下層に集まり、大径の培土が基板の上層に集まって容易に粒径が異なる層を分けて形成することができる。
弱耐根層は、適切な寸法以下の開口を有し根の成長を物理的に制限する強度を有するシートや(請求項9)、根の成長を制限する開口寸法と強度を有する不織布からなる透水性シートが適する(請求項10)。このようなシートは、防草シートとして知られたものが適する。例えばカーボンブラックを含有するポリオレフィン系樹脂から成形されるフラットヤーンを緻密に織成した織布(特開平10−42720)、ココヤシ繊維(特開2001−320984)、開孔率を一定以下にした熱可塑性樹脂シート(特開2002−266248)、遮光性と透水性と耐候性をそれぞれ所定範囲とした防草シート(特開2004−73146)、などを用いることができる。
植生マットは、ポリエステル繊維の織布あるいは不織布に植物を生育させたものであり、培土の流出を防止できるものが適する(請求項11)。容器には、隣接するまくら木の上面を覆って、他の軌道緑化ユニットに達する幅広の延出シートを設けておくことができる(請求項12)。この延出シートは他の軌道緑化ユニットの下に延出させたりここに紐で結んで固定することができるので、軌道緑化ユニットの移動を防止できる。またまくら木を覆っているので、まくら木から騒音が周囲に発散されるのを防ぐことができる。
軌道緑化ユニットを固定するために用いる補助緑化マットは、軌道緑化ユニットと同様に略皿状の容器に収容しておいても良い。この場合は軌道を挟んだ容器同志を結合すればよいので結合構造が単純になる。しかしこの補助緑化マットは容器が無くても良く、この場合は補助緑化マット全体をネットで包み、このネットまたはこのネットに結合したバンドなどを軌道の下方を通して緑化ユニットに結合すればよい。補助緑化マットは、まくら木の間からまくら木の長手方向の端部を囲むように平面視略L字状に形成し、その一端を軌道の下方を通して軌道緑化ユニットに結合し、他端を隣接する補助緑化マットに結合することができる(請求項14)。この場合は、軌道床を覆う緑化ユニットおよび緑化マットの被覆面積が広くなり、軌道緑化の効果が大きくなる。
図1において、符号10、10は左右一対の軌道(レール)であり、軌道10の長手方向に所定間隔で並べられた多数のまくら木12に保持されている。まくら木12は砕石軌道床14(図8,9)に載せられている。軌道10,10は、まくら木12に固定した公知のタイプレート16に載せられ、このタイプレート16に板ばね18によって固定されている。
20は軌道緑化ユニット(構造体)であり、隣接するまくら木12と左右の軌道10,10に囲まれる空間に入る寸法に作られている。この軌道緑化ユニット20は図3〜6に示すように、略皿状の容器22と、この容器22に収容された軌道緑化マット24とで構成される。軌道緑化マット(以下単に緑化マットとも言う。)24は図3に示すように、上層植栽基板層26と、下層植栽基板層28と、これらの間にはさまれた弱耐根層30とを積層して一体化したものである。
植栽基板層26、28は、多孔質の基板に軽量培土と肥料を充填あるいは詰め込んで所定寸法のマット状に成形したものである。ここに用いる基板には、三次元繊維構造を持つ樹脂繊維、不織布、フェルトなどを使用できる。三次元繊維構造の基板は、例えば特開2000−64166に開示されているものであり、鞘芯型、偏心鞘芯型、並列型、海島型などの熱融着性複合繊維と、熱可塑性繊維とを所定割合で混繊し、繊維交点を熱接合して不織布としたものであり、表面から裏面にかけて繊維が貫通されて三次元分散による絡合構造としたものである。
軽量培土は、鹿沼土、多孔質の火山石、シラス(火山噴火物)とセメントを混ぜて成型したブロックを砕いたもの、あるいはこれらの混合物あるいはこれに土を混合したものなどであり、適度な大きさ(粒度)と保水性を有する。またこの軽量培土は、無機質多孔材や有機質を原料としたものなどであってもよい。ここに無機質多孔材は、パーライト、パミス、バーミキュウライト、ボラ土、煉瓦破砕品などの内部に空隙を有する無機質材料、溶融した無機質原料を発泡させた多孔質材などである。有機質を原料とするものとしては、発泡ポリスチレン、スポンジ類、中空に成形された樹脂材、木チップ、木材などを原料とした比重1以下の加工品、などである。
弱耐根層30は前記した防草シートなどである。この弱耐根層30は、上層植栽基板層26の下面に固定(接着など)しておいても良いし、下層植栽基板層28の上面に固定しておいても良い。
この軌道緑化マット24は上方および周縁が植生マット32で覆った状態で軟質樹脂シート製の容器22に収容される。また緑化マット24と容器22との間に耐根シート25(図3)を敷き込んでもよい。なお以下の説明では、植生マット32で覆ったり耐根シート25を敷いた状態の軌道緑化マット24を、単に軌道緑化マット24とも呼び、植生マット32と軌道緑化マット24(耐根シート25を有する場合はこれを含めて)を容器22に収納したものを単に軌道緑化ユニット20と呼ぶこともある。容器22には緑化マット24の上方を横断して緑化マット24を植生マット32の上から容器22に固定するための適宜数の固定紐(あるいはバンド)34を取り付けておき、緑化マット24と植生マット32の脱落、剥離を防止するのがよい。
容器22は図2に示すように、軟質樹脂シートからなる底板36、その4辺から起立する側壁38(38a〜d)とを適宜数のアングル材40で接着し全体を浅い皿状にしたものである。ここに4つの側壁38のうち軌道10に平行となる2辺に接着する側壁38a、38cは他の2辺の側壁38b、38dよりも低い。また側壁38b、38dは、前記緑化マット24および植生マット32よりも上方へ高くなるようにその高さ方向の寸法が設定されている。
この容器22には、一方の高い側壁38dに、幅広の延出シート42が接着されている。この延出シート42は軟質樹脂シートであり、この緑化ユニット20を軌道10、10間に設置した状態で隣接するまくら木12の上面を覆って他の軌道緑化ユニットの下方に延出可能である。図8はこの設置した状態を示している。この延出シート42を設ける場合は、側壁38dを省いて延出シート42にこの側壁38dの機能をもたせても良い。なお容器22には適宜の排水溝、排水孔を設けておいても良い。また保水のための空隙を設けておいても良い。
図1、7において50は補助緑化マットである。補助緑化マット50は軌道の外側で軌道床14に敷設されるものであり、その1辺は軌道10に外側から近接する。すなわち軌道10を挟んで、前記緑化ユニット20の側壁38a、38cとこの補助緑化マット50が対向する。これらは軌道10の下方を通して図10に示すように互いに連結される。ここに補助緑化マット50は、緑化ユニット20の軌道緑化マット24と同じものであり、これを容器20と同様に浅い皿状の容器52に収納したものである。またこの容器52に変えてこれをネットで包んだものでも良い。
容器22と52は、軌道10の下を通した樹脂製のバンド54の両端に固定される。すなわち、軌道10に対向する側壁38aまたは38cと、容器52の側壁とが結合される。バンド54の両端を容器22、52に設けた結合孔に通して結合することもできる。ここに容器52の軌道10に非平行となる側壁の高さを、前記容器22の側壁38b、38dと同様に高くしておくのが望ましい。
このように構成された緑化ユニット20は図7(A)に示すように、まくら木12、12と軌道10、10で囲まれる空間に設置され、補助緑化マット50は軌道10の外側でまくら木12,12の間に設置され、これらは軌道10の下方を通した結合バンド54によって結合される。
この実施例によれば、電車の走行に伴う走行風は軌道10の長手方向に流れるが、緑化ユニット20と補助緑化マット50の容器22,52は軌道10と非平行な側壁が、すなわち走行風に交差する向きの側壁が緑化マット24,50の上面よりも高くしてあるので、緑化マット24,50の上面から生育する植物に当たる走行風の勢いが弱められる。このため植物の生育が走行風によって妨げられない。また植物が走行風によって傷つけられることが無く、きれいに生育できる。また植物が容器22,52の軌道10に非平行な側壁よりも高くなると、逆に植物の先端に走行風が当たってその生育が妨げられることになり、植物の高さが揃いやすく、美観が向上する。
またこの実施例では弱耐根層30の下に下層植栽基板層28を設けているので、上層植栽基板層26との協働によって保水力を大幅に向上させることができる。すなわち上層植栽基板層26には、直射日光が当たって特に夏期の乾燥が進むが、下層植栽基板層28はその上の上層植栽基板層26によって水分の蒸発が抑制され、また植物の根はこの下層植栽基板層28には入りにくいので植物からの蒸散も抑制されるからである。
前記実施例1では、弱耐根層30を植栽基板層26、28とは別体に形成したが、弱耐根層は下層の植栽基板層と一体に形成しても良い。図10はこのような実施例を示す。この実施例2では、下層植栽基板層28Aとなる基板60に粒度が異なる軽量培土を詰め込み、基板60に震動を加えることによって上層に粒径が大きい培土を、下層に粒径が小さい培土を集めて分離する。上層の培土の粒径は大きいので、水の吸い上げ作用が弱くなり、このため根はこの層では成長せず弱耐根層として機能する。
この実施例によれば、弱耐根層として特別なシートを用意することなく、下層植栽基板28に弱耐根層30Aを形成するから、使用する素材数が減り、コストを下げることができる。
図7(B)は補助緑化マット50の他の実施例を示す。この実施例の補助緑化マット50Aは、まくら木12,12の間からまくら木12の長手方向の端部を囲むように平面視略L字状に形成され、その一端が軌道10の下方を通して軌道間に敷かれた軌道緑化マット20に結合バンド54で結合され、他端がまくら木12の長手方向の端部を囲んで隣接する補助緑化マット50Aに結合バンド54Aで結合されている。補助緑化マット50Aは前記実施例50と同様に容器に収容したものであっても良いし、容器が無く全体をネットなどで包んだものであっても良い。
この実施例によれば、補助緑化マット50Aは軌道緑化ユニット20と両隣の2つの補助緑化マット50Aとに合計3ヶ所で固定できることになり、軌道緑化ユニット20と補助緑化マット50Aの固定を確実にして、これらの移動を防止し、走行風によるまくり上がりを確実に防止できる。
10 軌道
12 まくら木
14 軌道床
20 緑化ユニット
22、52 容器
24、50 軌道緑化マット
26 上層植栽基板層
28 下層植栽基板層
30、30A 弱耐根層
32 植生マット
36 底板
38 側壁
50、50A 補助緑化マット
60 基板

Claims (14)

  1. 鉄道軌道床に敷き込んで軌道床に植物を育成するために用いる軌道緑化マットを有する軌道緑化ユニットにおいて、
    左右の軌道の間に収容可能な底板と、この底板の周縁から起立する側壁とを有する略皿状の容器と、この容器に収容された軌道緑化マットとを備え、前記容器の軌道に非平行な側壁の上縁を前記軌道緑化マットの上面よりも高くしたことを特徴とする軌道緑化ユニット。
  2. 軌道緑化マットは、上下2層の植栽基板層と、前記2層の植栽基板層の間に挟まれた弱耐根層とを備える請求項1の軌道緑化ユニット。
  3. 軌道緑化マットと容器との間に耐根シートが敷き込まれている請求項1または2の軌道緑化ユニット。
  4. 軌道緑化マットの上面には植生マットが保持されている請求項1の軌道緑化ユニット。
  5. 容器は、軟質樹脂シートで作られている請求項1の軌道緑化ユニット。
  6. 軟質樹脂シートは、加硫ゴム系、非加硫ゴム系、塩化ビニル樹脂系、エチレン酢酸ビニル樹脂系、熱可塑性エラストマー、ウレタンフォーム、発泡ポリエチレン、シリコンゴム、ブチルゴム、酢酸ビニル樹脂、オレフィン樹脂、のいずれかに可塑剤、充填剤を添加したシートである請求項5の軌道緑化ユニット。
  7. 植栽基板層は、三次元繊維構造に成形された樹脂繊維、不織布、フェルト、のいずれかからなる基板に軽量培土、肥料を充填して所定寸法のマット状に成形したものである請求項1の軌道緑化ユニット。
  8. 弱耐根層は、下層の植栽基板層となる基板の上層部に分けて形成された粒径が大きく水分の供給を制限する軽量培土層で形成されている請求項1の軌道緑化ユニット。
  9. 弱耐根層は、適切な寸法以下の開口を有し根の成長を物理的に制限する強度を有するシートである請求項1の軌道緑化ユニット。
  10. 弱耐根層は根の成長を制限する開口寸法と強度を有する不織布からなる透水性シートである請求項1の軌道緑化ユニット。
  11. 植生マットは、ポリエステル繊維の織布または不織布に植物を生育させたものであり、培土の流出を防止できるものである請求項4の軌道緑化ユニット。
  12. 容器の少なくとも1つの側壁には、この側壁からこれに隣接するまくら木の上面を覆って他の軌道緑化ユニットに達する幅広の延出シートが設けられている請求項1の軌道緑化ユニット。
  13. 請求項1の軌道緑化ユニットを軌道床に固定するために用いる軌道緑化ユニット固定構造であって、
    軌道の外側で軌道床に敷かれた補助緑化マットを備え、前記軌道緑化ユニットと前記補助緑化マットとを、軌道の下方を通して結合したことを特徴とする軌道緑化ユニットの固定構造。
  14. 補助緑化マットは、2つのまくら木の間からまくら木の長手方向の端部を囲むように平面視略L字状に形成され、この補助緑化マットの一端が軌道の下方を通して軌道間に敷かれた軌道緑化ユニットに結合され、他端が隣接する補助緑化マットに結合されている請求項13の軌道緑化ユニットの固定構造。
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