以下、本発明を遊技機の一種であるパチンコ遊技機に具体化した一実施形態を図1〜図12に基づいて説明する。
図1には、パチンコ遊技機10が略示されており、パチンコ遊技機10の機体の外郭をなす外枠11の開口前面側には、各種の遊技用構成部材をセットする縦長方形の中枠12が開放及び着脱自在に組み付けられているとともに、中枠12の前面側には前枠14が開閉及び着脱自在に組み付けられている。前枠14は、図1に示すようにパチンコ遊技機10を機正面側から見た場合において、中枠12に重なるように組み付けられている。前枠14は、遊技球を貯留可能な上皿15を一体成形した構成とされているとともに、裏面側には、機内部に配置された遊技盤13を保護するガラス支持枠が組み付けられている。また、中枠12の前面側であって前枠14の下部には、上皿15から溢れ出た遊技球を貯留する下皿16が装着されているとともに、下皿16の右方には、遊技球を遊技盤13に発射させる際に遊技者によって回動操作される遊技球発射用の発射ハンドル17が装着されている。また、パチンコ遊技機10には、発光演出を行う電飾表示部(装飾ランプ)18と、各種音声を出力して音声演出を行う複数のスピーカ19が配置されている。
次に、遊技盤13の構成について図2にしたがって詳しく説明する。
遊技盤13のほぼ中央には、各種の表示装置や各種の飾りを施した表示枠体(センター役物)21が装着されている。表示枠体21の略中央には、正面視横長矩形に開口するセット口21aが形成されており、当該セット口21aに整合して表示枠体21には、液晶ディスプレイ型の画像表示部GHを有する表示手段としての演出表示装置22が装着されている。演出表示装置22には、複数列(本実施形態では3列)の図柄列を変動させて行う図柄変動ゲームを含み、該ゲームに関連して実行される各種の表示演出(遊技演出)が画像表示されるようになっている。本実施形態において演出表示装置22の図柄変動ゲームでは、複数列(本実施形態では3列)の図柄からなる図柄組み合わせを導出する。なお、演出表示装置22の図柄変動ゲームは、表示演出を多様化するための飾り図柄(演出図柄)を用いて行われる。
図2に示すように、表示枠体21の左下の遊技領域には、7セグメント型の特別図柄表示装置23が設けられている。特別図柄表示装置23では、複数種類の特別図柄を変動させて表示する図柄変動ゲームが行われる。特別図柄は、大当りか否かの内部抽選(大当り抽選)の結果を示す報知用の図柄である。
そして、特別図柄表示装置23では、図柄変動ゲームの開始により同時に特別図柄の変動表示が開始され、該ゲームの終了と同時に特別図柄が確定停止表示される。また、演出表示装置22では、図柄変動ゲームの開始により同時に飾り図柄の変動表示が開始され、該ゲーム終了前に飾り図柄が一旦停止表示され、該ゲームの終了と同時に各列の飾り図柄が確定停止表示される。「変動表示」とは、図柄を表示する表示装置に定める表示領域内において表示される図柄の種類が変化している状態であり、「一旦停止表示」とは、前記表示領域内において図柄がゆれ変動状態で表示されている状態である。また、「確定停止表示」とは、前記表示領域内において図柄が確定停止している状態である。なお、特別図柄表示装置23と演出表示装置22では、同時に図柄変動ゲームと図柄変動ゲームに係わる表示演出が開始され、同時に終了する(すなわち、同時に特別図柄と飾り図柄が確定停止表示される)。
本実施形態において特別図柄表示装置23には、複数種類の特別図柄の中から、大当り抽選の抽選結果(大当り又ははずれ)に対応する1つの特別図柄が選択され、その選択された特別図柄が図柄変動ゲームの終了によって確定停止表示される。本実施形態における複数種類の特別図柄は、大当りを認識し得る大当り図柄と、はずれを認識し得るはずれ図柄とに分類される。また、大当り図柄が表示された場合、遊技者には、大当り遊技が付与される。本実施形態の大当り遊技については後で詳細に説明する。
また、本実施形態において演出表示装置22には、各列毎に[0]〜[9]の10種類の数字が飾り図柄として表示されるようになっている。そして、本実施形態においては、演出表示装置22の表示領域(画像表示面)を特別図柄表示装置23の表示領域よりも遥かに大きく形成し、演出表示装置22を遊技者の正面に目立つように配置している。このため、遊技者は、特別図柄表示装置23よりも自身の目の前で多彩な画像によって表示演出(リーチ演出や予告演出)が行われる演出表示装置22の表示内容に注目し、該演出表示装置22の図柄変動ゲームで導出されて確定停止表示される図柄組み合わせから大当り又ははずれを認識することになる。演出表示装置22に停止表示された全列の図柄が同一図柄の場合には、その図柄組み合わせ([222][777]など)から大当り遊技が付与される大当りを認識できる。この大当りを認識できる図柄組み合わせが飾り図柄による大当りの図柄組み合わせ(大当り表示結果)となる。大当りの図柄組み合わせが確定停止表示されると、遊技者には、図柄変動ゲームの終了後に大当り遊技が付与される。一方、演出表示装置22に確定停止表示された全列の図柄が異なる種類の場合、又は1列の図柄が他の2列の図柄とは異なる種類の場合には、その図柄組み合わせ([122][767]など)からはずれを認識できる。このはずれを認識できる図柄組み合わせが飾り図柄によるはずれの図柄組み合わせ(はずれ表示結果)となる。
また、本実施形態において、演出表示装置22における各列は、図柄変動ゲームが開始すると、予め定めた変動方向(縦スクロール方向)に沿って飾り図柄が変動表示されるようになっている。そして、図柄変動ゲームが開始すると(各列の飾り図柄が変動を開始すると)、演出表示装置22において遊技者側から見て左列(左図柄)→右列(右図柄)→中列(中図柄)の順に飾り図柄が一旦停止表示されるようになっている。そして、一旦停止表示された左図柄と右図柄が同一図柄の場合には、その図柄組み合わせ([1↓1]など、「↓」は変動中を示す)からリーチ状態を認識できる。リーチ状態は、複数列のうち、特定列(本実施形態では左列と右列)の飾り図柄が同一図柄となって一旦停止表示され、かつ前記特定列以外の列(本実施形態では中列)の飾り図柄が変動表示されている状態である。このリーチ状態を認識できる図柄組み合わせが飾り図柄によるリーチの図柄組み合わせとなる。
また、演出表示装置22には、特別図柄表示装置23の表示結果に応じた図柄組み合わせが表示されるようになっている。特別図柄表示装置23に表示される特別図柄と、演出表示装置22に表示される飾り図柄による図柄組み合わせが対応されており、図柄変動ゲームが終了すると、特別図柄と飾り図柄による図柄組み合わせが対応して確定停止表示されるようになっている。例えば、特別図柄表示装置23に大当り図柄が確定停止表示される場合には、演出表示装置22にも[222]や[444]などの大当りの図柄組み合わせが確定停止表示されるようになっている。また、特別図柄表示装置23にはずれ図柄が確定停止表示される場合には、演出表示装置22にも[121]や[345]などのはずれの図柄組み合わせが確定停止表示されるようになっている。なお、特別図柄に対する飾り図柄の図柄組み合わせは一対一とは限らず、1つの特別図柄に対して複数の飾り図柄による図柄組み合わせの中から1つの飾り図柄による図柄組み合わせが選択されるようになっている。以上のように、本実施形態の演出表示装置22では、図柄変動ゲームに係わる表示演出(3列の図柄を変動表示させて図柄の組み合わせを表示させる図柄変動ゲーム)が行われるようになっている。
図2の説明に戻り、表示枠体21の左下の遊技領域であって、特別図柄表示装置23の左下方には、複数個(本実施形態では4個)の特別図柄保留発光部を備えた特別図柄保留記憶表示装置Raが設けられている。そして、特別図柄保留記憶表示装置Raは、機内部で記憶した特別図柄用の始動保留球の記憶数(以下、「保留記憶数」と示す)を遊技者に報知する。本実施形態のパチンコ遊技機10は、表示枠体21の下方に配置される始動入賞口(上始動入賞口25と下始動入賞口26)へ遊技球が入球した場合、その入球した遊技球を始動保留球として記憶し、その始動保留球の個数を特別図柄用の保留記憶数として機内部(主制御基板35の主制御用RAM35c)で記憶するようになっている。特別図柄用の保留記憶数は、保留中(図柄変動ゲーム待機中)の図柄変動ゲームの回数を示している。特別図柄用の保留記憶数は、前記始動入賞口に遊技球が入球することで1加算され、図柄変動ゲームの開始により1減算される。したがって、図柄変動ゲーム中に始動入賞口へ遊技球が入球すると、特別図柄用の保留記憶数は更に加算され、所定の上限数(本実施形態では4個)まで累積されるようになっている。そして、特別図柄保留記憶表示装置Raは、特別図柄保留発光部の点灯個数により保留中の図柄変動ゲームの回数(始動保留球の個数)を遊技者に報知する構成となっている。
また、表示枠体21の左下の遊技領域であって、特別図柄表示装置23の左方には、普通図柄表示装置24が配設されている。この普通図柄表示装置24では、複数種類の普通図柄を変動させて1つの普通図柄を導出する普通図柄変動ゲームが行われるようになっている。本実施形態において普通図柄表示装置24は、図示しない発光体(LEDやランプなど)をレンズカバー(図2では表面に「○(丸)」と「×(ばつ)」を装飾したもの)で覆って構成した複数個(本実施形態では2個)の普通図柄表示部から構成されている。普通図柄表示装置24では、大当りか否かの大当り抽選とは別に行う普図当りか否か(開閉羽根27の開動作により下始動入賞口26を開放するか否か)の内部抽選(普図当り抽選)の抽選結果を表示する。そして、本実施形態の普通図柄表示装置24では、普図当り抽選で普図当りを決定している場合には普通図柄変動ゲームで普通図柄からなる普図当り用の図柄が確定停止表示(本実施形態では「○(丸)」側の普通図柄表示部が点灯)される。一方、本実施形態の普通図柄表示装置24では、普図当り抽選で普図はずれを決定している場合には普通図柄変動ゲームで普通図柄からなる普図はずれ用の図柄が確定停止表示(本実施形態では「×(ばつ)」側の普通図柄表示部が点灯)される。
また、表示枠体21の左下の遊技領域であって、特別図柄表示装置23と普通図柄表示装置24の間には、複数個(本実施形態では4個)の普通図柄保留発光部を備えた普通図柄保留記憶表示装置Rbが設けられている。そして、普通図柄保留記憶表示装置Rbは、機内部で記憶した普通図柄用の始動保留球の記憶数(以下、「保留記憶数」と示す)を遊技者に報知する。本実施形態のパチンコ遊技機10は、表示枠体21の左方に配置される普通図柄作動ゲート30へ遊技球が入球した場合、その入球した遊技球を始動保留球として記憶し、その始動保留球の個数を普通図柄用の保留記憶数として機内部(主制御基板35の主制御用RAM35c)で記憶するようになっている。普通図柄用の保留記憶数は、保留中(普通図柄変動ゲーム待機中)の普通図柄変動ゲームの回数を示している。普通図柄用の保留記憶数は、普通図柄作動ゲート30に遊技球が入球することで1加算され、普通図柄変動ゲームの開始により1減算される。したがって、普通図柄変動ゲーム中に普通図柄作動ゲート30へ遊技球が入球すると、普通図柄用の保留記憶数は更に加算され、所定の上限数(本実施形態では4個)まで累積されるようになっている。そして、普通図柄保留記憶表示装置Rbは、普通図柄保留発光部の点灯個数により保留中の普通図柄変動ゲームの回数(始動保留球の個数)を遊技者に報知する構成となっている。
また、図2に示すように、表示枠体21の下方の遊技領域には、遊技球の入球口25aを有する上始動入賞口25と遊技球の入球口26aを有する下始動入賞口26が上下方向に並ぶように配置されている。上始動入賞口25は、常時遊技球の入球を許容し得るように入球口25aを常時開放させた構成とされている。一方で、下始動入賞口26は普通電動役物とされ、図示しないアクチュエータ(ソレノイド、モータなど)の作動により開閉動作を行う開閉羽根27を備えており、開閉羽根27が開動作することにより遊技球の入球を許容し得るように入球口26aを開放させる構成とされている。換言すれば、下始動入賞口26は、開閉羽根27が開動作して入球口26aが開放されない限り、遊技球の入球を不能とする構成とされている。
上始動入賞口25と下始動入賞口26の各奥方には、入球した遊技球を検知する始動口スイッチSW1,SW2(図4に示す)が配設されている。上始動入賞口25と下始動入賞口26は、入球した遊技球を検知することにより、図柄変動ゲームの始動条件と予め定めた個数の賞球としての遊技球の払出条件を付与し得る。下始動入賞口26は開閉羽根27が開動作すると、入口が拡大されて遊技球が入球し易い状態とされる一方で、開閉羽根27が閉動作すると、入口が拡大されずに遊技球の入球が不能となる状態とされる。
また、図2に示すように、下始動入賞口26の下方の遊技領域には、図示しないアクチュエータ(ソレノイド、モータなど)の作動により開閉動作を行う大入賞口扉28を備えた大入賞口(特別電動役物)29が配設されている。大入賞口29の奥方には、入球した遊技球を検知するカウントスイッチSW3(図4に示す)が配設されている。大入賞口29は、入球した遊技球を検知することにより、予め定めた個数の賞球としての遊技球の払出条件を付与し得る。そして、大当り遊技が付与されると、大入賞口扉28の開動作によって大入賞口29が開放されて遊技球の入球が許容されるため、遊技者は、賞球を獲得できるチャンスを得ることができる。そして、この大当り遊技は、内部抽選で大当りを決定し、図柄変動ゲームにて大当り図柄が確定停止表示されることを契機に付与される。
また、図2に示すように、表示枠体21の左方の遊技領域には、普通図柄作動ゲート30が配設されている。普通図柄作動ゲート30の奥方には、該普通図柄作動ゲート30へ入球し通過した遊技球を検知する普通図柄変動スイッチSW4(図4に示す)が設けられている。普通図柄作動ゲート30は、遊技球の通過を契機に、普通図柄変動ゲームの始動条件のみを付与し得る。
また、遊技盤13の遊技領域の最下方(大入賞口29よりも下方)には、遊技領域に発射された後、何れの入賞口にも入球しなかった遊技球をアウト球として機外に排出するためのアウト球口31が形成されている。アウト球口31を通過した遊技球は、パチンコ遊技機10の設置設備(遊技島)に配設されたアウト球タンク(図示しない)に排出される。
また、本実施形態のパチンコ遊技機10は、確率変動(以下、「確変」と示す)機能を備えている。確変機能は、確変大当りに当選したことを条件として、大当り遊技終了後に大当りの抽選確率状態を低確率抽選状態(本実施形態では4/1471)から高確率抽選状態(本実施形態では36/1471)に変動させる確変状態(確率変動状態)を付与する機能である。また、確変状態は、次回の大当りが生起される迄の間、付与される。このように、確変状態が付与されると、大当りの抽選確率が高確率に変動して大当りが生起され易くなるため、確変状態は遊技者にとって有利であり、遊技者は確変大当りになることを期待しつつ遊技を行っている。
本実施形態では、大当り遊技終了後に確変状態を付与する大当りが確変大当りとなり、大当り遊技終了後に確変状態が付与されない(非確変状態が付与される)大当りが非確変大当りとなる。
また、本実施形態のパチンコ遊技機10は、変動時間短縮(以下、「変短」と示す)機能を備えている。変短機能は、普通図柄変動ゲームの変動時間が短縮されるとともに、普通図柄作動ゲート30の通過に基づく普通図柄変動ゲームの抽選確率状態(普通当りの当選確率)が低確率抽選状態から高確率抽選状態に変動する変短状態を特典として付与する機能である。また、変短状態が付与されている場合と変短状態が付与されていない場合とで下始動入賞口26の開閉羽根27は、普通図柄変動ゲームにおいて当選した際、異なる動作パターンで開閉動作するようになっている。すなわち、変短状態が付与されていない時に普通図柄変動ゲームに当選する場合には、開閉羽根27が第1回数(例えば1回)分開放し、開放してから第1開放時間(例えば、300ms)経過するまで開放状態を維持するようになっている。一方、変短状態が付与されている時に普通図柄変動ゲームに当選する場合には、開閉羽根27が開放する回数が増加(例えば、3回)して第1回数よりも多い第2回数となり、1回の開放において開放してから第1開放時間よりも長い第2開放時間(例えば、1800ms)が経過するまで開放状態を維持するようになっている。すなわち、開閉羽根27は、変短状態が付与されている場合、変短状態が付与されていない状態に比較して、遊技者にとって有利に動作するように設定されている。変短状態中は、開閉羽根27が遊技者にとって有利に動作し、単位時間当りの下始動入賞口26への遊技球の入球率が向上するので、変短状態は入球率向上状態となる。そして、変短状態は、予め定めた回数の図柄変動ゲームが行われる迄の間、又は前記回数に達する前に大当りが生起される迄の間、付与される。すなわち、変短状態は、予め定めた回数に相当する図柄変動ゲームの終了時迄の間、又は前記回数に達する前に大当りが生起される図柄変動ゲームの終了時迄の間、付与される。
本実施形態では、大当り遊技の終了後における開閉羽根27の単位時間あたりの開放時間を増加させる変短状態が、開放時間増加状態となる。一方、大当り遊技の終了後における開閉羽根27の単位時間あたりの開放時間を増加させない非変短状態が、開放時間非増加状態となる。なお、変短状態(開放時間増加状態)中は、1回の普図当りによって開閉羽根27が開放される時間の合計が、非変短状態時よりも増加する。
以下、本実施形態のパチンコ遊技機10に規定する大当り遊技について、図3をもとに詳しく説明する。
本実施形態のパチンコ遊技機10では、大当り抽選に当選した場合、3種類の大当り遊技の中から1つの大当り遊技の種類が決定され、その決定された大当り遊技が付与されるようになっている。そして、3種類の大当り遊技のうち、何れの大当り遊技を付与するかは、大当り抽選に当選した際に決定する特別図柄(大当り図柄)の種類に応じて決定されるようになっている。本実施形態において100種類の特別図柄の大当り図柄は、図3に示すように、図柄a、図柄b、及び図柄cの3種類に分類されている。そして、図柄aには60種類の大当り図柄が、図柄bには17種類の大当り図柄が、図柄cには23種類の大当り図柄が、それぞれ属している。
図柄a及び図柄bに基づく大当り遊技は、規定ラウンド数が「15回」に設定されているとともに、大当り遊技終了後に確変状態を付与する15ラウンド大当り遊技である。以下、図柄aに基づく大当り遊技を「確変15R大当り遊技」と示す一方で、図柄bに基づく大当り遊技を「100回変短付き確変15R大当り遊技」と示す。確変15R大当り遊技及び100回変短付き確変15R大当り遊技では、1回のラウンド遊技の入球上限個数(カウント数)が「9球」に設定されている。また、確変15R大当り遊技及び100回変短付き確変15R大当り遊技における15回のラウンド遊技では、各ラウンド遊技において大入賞口29を「1回」開放させるように設定されている。また、確変15ラウンド大当り遊技では、大当り抽選の当選時における遊技状態に関係なく、大当り遊技終了後に確変状態と、その確変状態の終了時まで変短状態を付与するようになっている。なお、図3では、確変状態の終了時まで変短状態を付与する場合を「リミットなし」と表記している。一方、100回変短付き確変15R大当り遊技では、大当り抽選の当選時における遊技状態に関係なく、大当り遊技終了後に確変状態と、予め定めた回数(本実施形態では100回)を上限回数として変短状態を付与するようになっている。
図柄cに基づく大当り遊技は、規定ラウンド数が「15回」に設定されているとともに、大当り遊技終了後に確変状態を付与しない(非確変状態を付与する)15ラウンド大当り遊技である。以下、図柄cに基づく大当りを「非確変15R大当り遊技」と示す。なお、非確変15R大当り遊技では、確変状態が付与されない点以外は、100回変短付き確変15R大当り遊技と同一態様となっている。このため、100回変短付き確変15R大当り遊技と非確変15R大当り遊技は、大入賞口扉28の開閉動作態様や時間からその差異を遊技者が判別不能となっている。すなわち、遊技者は、100回変短付き確変15R大当り遊技及び非確変15R大当り遊技の何れが付与されたのかを大入賞口扉28の開閉動作や時間からは判別し得ない。
これらの各大当り遊技では、オープニング時間、1回のラウンド遊技のラウンド遊技時間及びエンディング時間が、図3に示すように、それぞれ設定されている。各ラウンド遊技は、入球上限個数分の遊技球が入球することにより終了する場合もあることから、図3に示す1回のラウンド遊技のラウンド遊技時間は最大時間となる。
そして、本実施形態のパチンコ遊技機10は、最終停止図柄及び遊技状態に基づき、演出モードが設定されるようになっている。前記演出モードは、遊技状態を遊技者に対して示唆する演出であり、本実施形態では、3つの演出モードが存在する。本実施形態の演出モードには、遊技者に確変状態が付与されていない確率が高いことを認識させる通常モードがある。本実施形態の通常モードにおいては、演出表示装置22にて、「通常モード中」という文字列が表示されるようになっている。
また、演出モードには、変短状態が付与されているときに設定され、高確率抽選状態及び低確変率抽選確率状態のいずれの状態であっても移行可能な確変潜伏モードがある。本実施形態の確変潜伏モードにおいては、演出表示装置22にて、「チャンスモード中」という文字列が表示されるようになっている。また、前記演出モードには、変短状態及び確変状態が付与されているときに設定され、確変状態が付与されていることが、遊技者に確定的に報知されている場合のみ移行可能な確変確定モードがある。本実施形態の確変確定モードにおいては、演出表示装置22にて、「確変確定モード中」という文字列が表示されるようになっている。本実施形態のパチンコ遊技機10では、「通常モード」及び「確変潜伏モード」を確変状態及び非確変状態の何れの状態もあり得るモードとし、「確変確定モード」を確変状態が確定するモードとして位置付けている。
そして、本実施形態では、確変15R大当り遊技に当選した場合、確変確定モードに移行するようになっている。一方、100回確変15R大当り遊技又は非確変15R大当り遊技に当選した場合、確変潜伏モードに移行するようになっている。そして、確変潜伏モード移行後、100回の図柄変動ゲームが終了すると、確変潜伏モードから通常モードに移行するようになっている。
次に、パチンコ遊技機10の制御構成について図4に基づき説明する。
パチンコ遊技機10の機裏側には、パチンコ遊技機10全体を制御する主制御基板35が装着されている。主制御基板35は、パチンコ遊技機10全体を制御するための各種処理を実行し、該処理結果に応じて遊技を制御するための各種の制御指令としての制御信号(制御コマンド)を演算処理し、該制御信号(制御コマンド)を出力する。また、機裏側には、サブ統括制御基板36と、演出制御基板37が装着されている。
サブ統括制御基板36は、主制御基板35が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、演出制御基板37を統括的に制御する。演出制御基板37は、主制御基板35とサブ統括制御基板36が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、演出表示装置22の表示態様(図柄、背景、文字などの表示画像など)、電飾表示部18の発光態様(点灯(点滅)/消灯のタイミングなど)及びスピーカ19の音声出力態様(音声出力のタイミングなど)を制御する。
以下、主制御基板35、サブ統括制御基板36及び演出制御基板37について、その具体的な構成を説明する。
主制御基板35には、制御動作を所定の手順で実行することができる主制御用CPU35aと、主制御用CPU35aの制御プログラムを格納する主制御用ROM35bと、必要なデータの書き込み及び読み出しができる主制御用RAM35cが設けられている。主制御用CPU35aには、主制御用ROM35bと主制御用RAM35cが接続されている。また、主制御用CPU35aには、上始動入賞口25に入球した遊技球を検知する上始動口スイッチSW1と、下始動入賞口26に入球した遊技球を検知する下始動口スイッチSW2が接続されている。また、主制御用CPU35aには、大入賞口29に入球した遊技球を検知するカウントスイッチSW3と、普通図柄作動ゲート30を通過した遊技球を検知する普通図柄変動スイッチSW4が接続されている。また、主制御用CPU35aには、特別図柄表示装置23、普通図柄表示装置24、特別図柄保留記憶表示装置Ra、及び普通図柄保留記憶表示装置Rbが接続されている。
また、主制御用CPU35aは、大当り判定用乱数、特図振分用乱数や変動パターン振分用乱数などの各種乱数の値を所定の周期毎に更新する乱数更新処理(乱数生成処理)を実行する。大当り判定用乱数は、大当りとするか否かの大当り抽選(大当り判定)で用いる乱数である。特図振分用乱数は、大当り図柄を決定する際に用いる乱数である。変動パターン振分用乱数は、変動パターンを選択する際に用いる乱数である。また、主制御用CPU35aはタイマ機能を搭載しており、所定のタイミング(例えば、図柄変動ゲームを開始するタイミング)で時間を計測する。また、主制御用RAM35cには、パチンコ遊技機10の動作中に適宜書き換えられる各種情報(乱数値、タイマ値、フラグなど)が記憶(設定)されるようになっている。
主制御用ROM35bには、パチンコ遊技機10全体を制御するためのメイン制御プログラムが記憶されている。また、主制御用ROM35bには、メイン制御プログラムに加え、複数種類の変動パターンが記憶されている。変動パターンは、演出表示装置22及び特別図柄表示装置23において図柄の変動開始による図柄変動ゲームが開始してから、演出表示装置22及び特別図柄表示装置23において図柄が確定停止表示されて図柄変動ゲームが終了するまでの間の遊技演出(表示演出、発光演出、音声演出)のベースとなるパターンを示すものである。すなわち、変動パターンは、特別図柄が変動開始してから特別図柄が確定停止表示されるまでの間の図柄変動ゲームの演出内容及び演出時間(変動時間)を特定することができる。そして、変動パターンは、大当り演出用、はずれリーチ演出用及びはずれ演出用からなる変動内容毎に分類されている。
大当り演出用の変動パターンに基づき行われる大当り演出は、図柄変動ゲームが、リーチ演出を経て、最終的に大当りの図柄組み合わせを確定停止表示させるように展開される演出である。また、はずれリーチ演出用の変動パターンに基づき行われるはずれリーチ演出は、図柄変動ゲームが、リーチ演出を経て、最終的にはずれの図柄組み合わせを確定停止表示させるように展開される演出である。また、はずれ演出用の変動パターンに基づき行われるはずれ演出は、図柄変動ゲームが、リーチ演出を経ることなく最終的にはずれの図柄組み合わせを確定停止表示させるように展開される演出である。リーチ演出は、演出表示装置22の飾り図柄による図柄変動ゲームにおいて、リーチの図柄組み合わせが形成されてから、最終的に図柄組み合わせ(大当りの図柄組み合わせ又ははずれの図柄組み合わせ)が導出される迄の間に行われる演出である。また、特別図柄表示装置23では、図柄変動ゲームが開始されると、リーチ演出を行うことなく、変動時間の経過時まで図柄の変動が継続される。また、はずれ演出用の変動パターンに基づき行われるはずれ演出は、図柄変動ゲームの開始後、各列の図柄を予め定めた変動停止順序(例えば、左列→右列→中列)にしたがって変動を停止させて各列に図柄を導出させる演出である。
図8は、本実施形態のパチンコ遊技機10において用意された一部の変動パターンを示している。
変動パターンP1は、変動内容として「通常変動」を特定可能なパターンとなっている。通常変動は、図柄変動ゲームの開始後、各列の変動を予め定めた図柄列の変動停止順序(本実施形態では左列→右列→中列)にしたがって変動を停止させて各列に図柄を導出させるはずれ演出である。
変動パターンP2は、変動内容として「短縮変動」を特定可能な変動パターンとなっているとともに、変動パターンP3は、変動内容として「超短縮変動」を特定可能な変動パターンとなっている。短縮変動及び超短縮変動は、図柄変動ゲームの開始後、各列の変動をほぼ同一のタイミングで停止させて各列に図柄を導出させるはずれ演出である。そして、「短縮変動」は、「通常変動」よりも変動時間が短く設定されているとともに、「超短縮変動」は、「短縮変動」よりも変動時間が短く設定されている。
また、変動パターンP4は、はずれリーチ演出用の変動パターンであるとともに、変動パターンP5は、大当り演出用の変動パターンである。そして、変動パターンP4,P5は、リーチ演出として「リーチR1」を含む変動パターンとされている。なお、変動パターンP5は、確変15R大当り遊技に当選した場合のみ選択され得る変動パターンである。また、変動パターンP6,P7は、大当り演出用の変動パターンである。変動パターンP6では、リーチR2の内容として、遊技者自身を投影する味方のキャラクタが特定の課題に挑戦し、当該課題に成功する内容が特定されるようになっている。一方、変動パターンP7では、味方のキャラクタが前記課題に失敗する内容が特定されるようになっている。そして、変動パターンP6は、確変15R大当り遊技又は100回変短付き確変15R大当り遊技に当選した場合に選択され得る変動パターンである。一方、変動パターンP7は、100回変短付き確変15R大当り遊技又は非確変15R大当り遊技に当選した場合に選択され得る変動パターンである。
また、主制御用ROM35bには、大当り判定値が記憶されている。大当り判定値は、大当りか否かの大当り抽選(大当り判定)で用いる判定値であり、大当り判定用乱数の取り得る数値(0〜1470までの全1471通りの整数)の中から定められている。さらに、大当り判定値は、遊技状態が非確変状態(低確率抽選状態)の時の大当り抽選で用いる低確率用の大当り判定値と、遊技状態が確変状態(高確率抽選状態)の時の大当り抽選で用いる高確率用の大当り判定値とがある。そして、確変状態時の大当り判定値の数(本実施形態では36個)は、非確変状態時の大当り判定値の数(本実施形態では4個)よりも多く設定されている。このため、本実施形態のパチンコ遊技機10では、非確変状態における大当り抽選で大当りに当選する確率が、1471分の4(=367.75分の1)となり、確変状態における大当り抽選で大当りに当選する確率が、1471分の36(=40.86分の1)となる。
また、主制御用ROM35bには、リーチ判定値が記憶されている。リーチ判定値は、はずれを決定する場合にはずれリーチ演出を実行するか否かの内部抽選(リーチ判定)で用いる判定値であり、リーチ判定用乱数の取り得る数値(0〜240までの全241通りの整数)の中から定められている。
また、主制御用ROM35bには、普図当り判定値が記憶されている。普図当り判定値は、普図当りか否かの内部抽選(普図当り抽選)で用いる判定値であり、普図当り判定用乱数の取り得る数値(0〜106までの全107通りの整数)の中から定められている。なお、普図当り判定値は、変短状態が付与されているか否かでその数が異なっており、変短状態が付与されている時の普図当り判定値の数(本実施形態では106個)は、変短状態が付与されていない時の普図当り判定値の数(本実施形態では2個)よりも多く設定されている。
次に、サブ統括制御基板36について説明する。
サブ統括制御基板36には、制御動作を所定の手順で実行することができる統括制御用CPU36aと、統括制御用CPU36aの統括制御プログラムを格納する統括制御用ROM36bと、必要なデータの書き込み及び読み出しができる統括制御用RAM36cが設けられている。統括制御用CPU36aには、統括制御用ROM36bと統括制御用RAM36cが接続されている。そして、統括制御用CPU36aはタイマ機能を搭載しており、所定のタイミング(例えば、図柄変動ゲームを開始するタイミング)で時間を計測する。また、統括制御用ROM36bには、統括制御プログラムに加え、各種演出を決定する際に参照する各種テーブルが記憶されている。なお、各種テーブルについての詳細は、後述する。
次に、演出制御基板37について説明する。
演出制御基板37には、制御動作を所定の手順で実行することができる演出制御用CPU37aと、演出制御用CPU37aの制御プログラムを格納する演出制御用ROM37bと、必要なデータの書き込み及び読み出しができる演出制御用RAM37cが設けられている。演出制御用CPU37aには、演出表示装置22、電飾表示部18、及びスピーカ19が接続されている。また、本実施形態の演出制御用CPU37aはタイマ機能を搭載しており、所定のタイミング(例えば、図柄変動ゲームを開始するタイミング)で時間を計測する。また、演出制御用ROM37bには、各種の画像データ(図柄、背景、文字、キャラクタなどの画像データ)が記憶されている。また、演出制御用ROM37bには、音声演出用の音声データ(音楽用データ)や発光演出用の発光データが記憶されている。
以下、主制御基板35、サブ統括制御基板36及び演出制御基板37が実行する制御内容を説明する。
最初に、主制御基板35について説明する。
まず、図柄変動ゲームの制御に係る処理について説明する。
主制御基板35の主制御用CPU35aは、上始動入賞口25又は下始動入賞口26へ遊技球が入球し、該遊技球を検知した始動口スイッチSW1,SW2が出力する検知信号を入力すると、主制御用RAM35cに記憶されている特別図柄用の保留記憶数が上限数(本実施形態では4)未満であるか否かの保留判定を行う。保留判定の判定結果が肯定(特別図柄用の保留記憶数<4)の場合、主制御用CPU35aは、特別図柄用の保留記憶数を1加算(+1)し、特別図柄用の保留記憶数を書き換える。また、主制御用CPU35aは、特別図柄用の保留記憶数の書き換えに伴って該書き換え後の前記保留記憶数に対応する数の保留ランプを点灯させる。また、主制御用CPU35aは、保留判定を肯定判定している場合、大当り判定用乱数の値と特図振分用乱数の値を主制御用RAM35cから取得し、その値を特別図柄用の保留記憶数に対応付けて主制御用RAM35cの所定の記憶領域に格納する。なお、主制御用CPU35aは、保留判定の判定結果が否定(保留記憶数=4)の場合、上限数を超える特別図柄用の保留記憶数の書き換えを行わないとともに、大当り判定用乱数の値と特図振分用乱数の値も取得しない。
そして、主制御用CPU35aは、図柄(特別図柄及び飾り図柄)が変動表示中ではなく、大当り遊技中ではないときに、特別図柄用の保留記憶数が「0」よりも大きいか否か判定する。そして、この判定結果が肯定の場合、主制御用CPU35aは、特別図柄用の保留記憶数を1減算(−1)し、特別図柄用の保留記憶数を書き換える。そして、主制御用CPU35aは、特別図柄用の保留記憶数に対応付けられて主制御用RAM35cの所定の記憶領域に格納した大当り判定用乱数の値を読み出し、該値と主制御用ROM35bに記憶されている大当り判定値とを比較し、大当りか否かの大当り判定(大当り抽選)を行う。なお、大当り判定において主制御用CPU35aは、遊技状態が非確変状態(当選確率が低確)である場合には、低確率用の大当り判定値と大当り判定用乱数の値を比較し、遊技状態が確変状態(当選確率が高確)である場合には、高確率用の大当り判定値と大当り判定用乱数の値を比較する。大当り判定の判定結果が肯定(大当り判定用乱数の値と大当り判定値とが一致)の場合、主制御用CPU35aは、大当りを決定する。大当りを決定した主制御用CPU35aは、主制御用RAM35cの所定の記憶領域に格納した特図振分用乱数の値を読み出し、該値に基づいて特別図柄表示装置23で行われる図柄変動ゲームで確定停止表示させる特別図柄として大当り図柄を決定する。特別図柄の大当り図柄は、前述したように大当り遊技の種類毎に設定されていることから、大当り図柄を決定することによって遊技者に付与する大当り遊技の種類を決定したことになる。また、大当りを決定した主制御用CPU35aは、変動パターン振分用乱数の値を主制御用RAM35cから取得し、その取得した値をもとに変動パターンを選択し、決定する。
また、主制御用CPU35aは、大当り判定の判定結果が否定(大当り判定用乱数の値と大当り判定値とが不一致)の場合、はずれを決定する。そして、主制御用CPU35aは、特別図柄表示装置23で行われる図柄変動ゲームで確定停止表示させる特別図柄としてはずれ図柄を決定する。また、はずれを決定した主制御用CPU35aは、リーチ判定用乱数の値を主制御用RAM35cから取得し、その取得した値と主制御用ROM35bに記憶されているリーチ判定値とを比較し、はずれリーチ演出を実行するか否かを決定するリーチ判定を実行する。
そして、リーチ判定の判定結果が肯定(はずれリーチ演出を実行する)の場合、主制御用CPU35aは、変動パターン振分用乱数の値を主制御用RAM35cから取得し、その取得した値をもとに、はずれリーチ演出用の変動パターンを選択し、決定する。一方、リーチ判定結果が否定(はずれリーチ演出を実行しない)の場合、主制御用CPU35aは、変動パターン振分用乱数の値を主制御用RAM35cから取得し、その取得した値をもとに、はずれ演出用の変動パターンを選択し、決定する。
特別図柄及び変動パターンを決定した主制御用CPU35aは、所定の制御コマンドを生成し、その生成した制御コマンドを所定のタイミングでサブ統括制御基板36(統括制御用CPU36a)に出力する。具体的に言えば、主制御用CPU35aは、変動パターンを指示するとともに図柄変動ゲームの開始を指示する変動パターン指定コマンドを生成し、該変動パターン指定コマンドを図柄変動ゲームの開始に際して最初に出力する。また、主制御用CPU35aは、特別図柄を指示する特別図柄用の停止図柄指定コマンドを生成し、該停止図柄指定コマンドを変動パターン指定コマンドの出力後、次に出力する。そして、主制御用CPU35aは、指示した変動パターンに定められている変動時間の経過時に図柄変動ゲームの終了(図柄の確定停止)を指示する図柄停止コマンドを生成し、該図柄停止コマンドを前記変動時間の経過に伴って出力する。
また、主制御用CPU35aは、図柄変動ゲームの開始に伴って特別図柄表示装置23の表示内容を制御する。すなわち、主制御用CPU35aは、図柄変動ゲームの開始により特別図柄の変動を開始させ、決定した変動パターンに定められている変動時間の経過時に決定した特別図柄(大当り図柄又ははずれ図柄)を確定停止表示させる。
また、主制御用CPU35aは、大当り遊技の開始時にオープニングコマンドを出力するとともに、各ラウンド遊技の開始時にラウンドコマンドを出力し、さらに終了時にエンディングコマンドを出力する。オープニングコマンドはオープニングの開始を指示し、ラウンドコマンドはラウンド遊技の開始を指示し、エンディングコマンドはエンディングの開始を指示する。また、主制御用CPU35aは、各大当り遊技において、各ラウンド遊技の開始時に、大入賞口29を開放させるための開放信号を出力する。開放信号は、大入賞口扉28のアクチュエータに対して出力され、前記開放信号によって前記アクチュエータが作動し、大入賞口扉28が開動作される。また、主制御用CPU35aは、各大当り遊技において、ラウンド遊技毎に予め定めたラウンド遊技時間を計測するとともに、大入賞口29に配設されたカウントスイッチ(図示しない)からの検知信号を入力してラウンド遊技中に入球した遊技球の入球個数をカウントする。そして、主制御用CPU35aは、各大当り遊技において、ラウンド遊技時間が経過したこと、及び入球上限個数の遊技球が入球したことの何れかの終了条件を満たすことにより、大入賞口29を閉鎖させるための閉鎖信号を出力する。閉鎖信号は、大入賞口扉28のアクチュエータに対して出力され、前記閉鎖信号によって前記アクチュエータが作動し、大入賞口扉28が閉動作される。
また、各大当り遊技を終了させた主制御用CPU35aは、大当り遊技終了後に確変状態を付与するか否かの状態移行判定の判定結果に基づき、前記判定結果が肯定の場合には確変状態を付与し、前記判定結果が否定の場合には確変状態を付与しない。本実施形態では、確変15R大当り遊技及び100回変短付き確変15R大当り遊技に当選している場合、前記状態移行判定が肯定判定される。そして、主制御用CPU35aは、大当り遊技の終了後、遊技状態を確変状態とする場合には、確変状態を付与することを示す確変フラグに「1」を設定するとともに、確変状態を付与することを示す確変コマンドを出力する。また、主制御用CPU35aは、大当り遊技の終了後に非確変状態を付与する場合、確変フラグに「0」を設定する。この場合、主制御用CPU35aは、非確変状態を付与することを示す非確変コマンドを出力する。同様に、主制御用CPU35aは、大当り遊技の終了後に変短状態を付与する場合、変短状態を付与することを示す作動フラグに「1」を設定する。この場合、主制御用CPU35aは、変短状態を付与することを示す変短コマンドを出力する。なお、100回変短付き確変15R大当り遊技又は非確変15R大当り遊技に当選している場合、主制御用CPU35aは、作動回数に100回を設定し、図柄変動ゲームが実行される毎に作動回数を1減算し、作動回数が「0(零)」になると、変短状態を終了させ、作動フラグに「0」を設定する。この場合、主制御用CPU35aは、非変短状態を付与することを示す非変短コマンドを出力する。
また、確変フラグ及び作動フラグは、大当り遊技が付与された場合にクリアされる(「0」が設定される)ようになっている。この場合、主制御用CPU35aは、大当りが生起された場合、大当り遊技の開始に伴って確変状態を終了させる。また、確変フラグ及び作動フラグは、主制御用RAM35cの所定の記憶領域に記憶されるようになっている。これら確変コマンド、非確変コマンド、変短コマンド、非変短コマンドにより、統括制御用CPU36aは、現在、確変状態であるか非確変状態であるか、又は変短状態であるか非変短状態であるかを把握することができる。
次に、サブ統括制御基板36の統括制御用CPU36aが統括制御プログラムに基づき実行する各種処理について説明する。
まず、図柄変動ゲームに係る処理について説明する。
サブ統括制御基板36の統括制御用CPU36aは、変動パターン指定コマンドを入力すると、該コマンドを演出制御基板37に出力する。また、統括制御用CPU36aは、特別図柄用の停止図柄指定コマンドを入力すると、該コマンドに対応する特別図柄の停止図柄指定に応じて演出表示装置22に確定停止表示させる飾り図柄を決定し、決定した飾り図柄を指示する飾り図柄用の停止図柄指定コマンドを演出制御基板37に出力する。また、統括制御用CPU36aは、図柄停止コマンドを入力すると、該コマンドを演出制御基板37に出力する。
また、統括制御用CPU36aは、確変コマンドや変短コマンドを入力すると、確変状態や変短状態が付与されたことを示す情報(フラグなど)を統括制御用RAM36cに設定する。そして、統括制御用CPU36aは、確変コマンドを入力すると確変状態が付与されることを統括制御用RAM36cに設定し、非確変コマンドを入力すると非確変状態が付与されることを統括制御用RAM36cに設定する。また、統括制御用CPU36aは、変短コマンドを入力すると変短状態が付与されていることを統括制御用RAM36cに設定し、非変短コマンドを入力すると非変短状態が付与されていることを統括制御用RAM36cに設定する。そして、統括制御用CPU36aは、確変コマンド、非確変コマンド、変短コマンド、及び非変短コマンドを入力するまで現在の設定内容を統括制御用RAM36cに記憶維持させる。統括制御用CPU36aは、統括制御用RAM36cの前記設定内容によって、パチンコ遊技機10の遊技状態が確変状態であるか否か、変短状態であるか否かを把握している。また、統括制御用CPU36aは、確変コマンド、非確変コマンド、変短コマンド及び非変短コマンドのこれらコマンドを入力すると、それぞれのコマンドを演出制御基板37に出力する。
また、統括制御用CPU36aは、変動パターン指定コマンド及び特別図柄用の停止図柄指定コマンドを入力すると、変動パターン指定コマンドにより指定された変動パターン及び特別図柄用の停止図柄指定コマンドにより指定された最終停止図柄(特別図柄)に基づき、演出表示装置22に表示させる飾り図柄による図柄組み合わせを決定する。
統括制御用CPU36aは、特別図柄用の停止図柄指定コマンドで指定された停止図柄(特別図柄)が、大当り図柄の場合、飾り図柄の図柄組み合わせとして、大当りを認識し得る図柄組み合わせを決定する。
具体的に言えば、統括制御用CPU36aは、停止図柄(特別図柄)が確変15R大当り遊技となる図柄の場合、確定停止表示させる飾り図柄として、確変確定の大当り図柄(本実施形態では[777])を決定する。一方、統括制御用CPU36aは、停止図柄(特別図柄)が100回変短付き確変15R大当り遊技又は非確変15R大当り遊技となる図柄の場合、確定停止表示させる飾り図柄として、確変非確定の大当り図柄を決定する。本実施形態では、[000]〜[666]、[888][999]が確変非確定の大当り図柄となる。
また、統括制御用CPU36aは、停止図柄(特別図柄)が、はずれ図柄の場合、はずれを認識し得る図柄組み合わせを決定する。このとき、統括制御用CPU36aは、はずれリーチ演出用の変動パターンが指示されている場合、リーチの図柄組み合わせ(リーチ形成図柄)を含むはずれを認識し得る図柄組み合わせを決定する。一方、統括制御用CPU36aは、はずれ演出用の変動パターンが指示されている場合、リーチの図柄組み合わせ(リーチ形成図柄)を含まないはずれを認識し得る図柄組み合わせを決定する。
そして、統括制御用CPU36aは、決定した飾り図柄の種類を統括制御用RAM36cの所定のワークエリアに記憶する。また、統括制御用CPU36aは、決定した飾り図柄による図柄組み合わせを確定停止表示させるように、飾り図柄を指示する飾り図柄用の停止図柄指定コマンドを生成し、当該コマンドを演出制御基板37に出力する。
次に、大当り遊技に係る処理について説明する。
統括制御用CPU36aは、オープニングコマンド、ラウンドコマンド及びエンディングコマンドを入力すると、これらのコマンドに応じてオープニング演出の演出内容、当該ラウンド遊技が行われていることを示すラウンド演出の演出内容、及びエンディング演出の演出内容を決定する。そして、統括制御用CPU36aは、決定した演出内容(ラウンド遊技数を含む)を指示する演出指示コマンドを演出制御基板37に出力する。
次に、演出モードに係る制御内容を説明する。
統括制御用CPU36aは、主制御用CPU35aが出力する特別図柄用の停止図柄指定コマンドで指示された大当り図柄の種類と、確変状態の有無、及び変短状態の作動/非作動(終了)に係る各指定コマンドと、演出モードフラグの設定値をもとに、演出モードの移行態様を制御する。演出モードフラグは、現在滞在している演出モードを識別可能な情報で構成されており、統括制御用RAM36cに設定される。統括制御用CPU36aは、演出モードフラグを設定すると、滞在中の演出モードを指示するモード指定コマンドを演出制御基板37に出力する。
統括制御用CPU36aは、滞在中の演出モードの種類にかかわらず、確変15R大当り遊技を指示する特別図柄用の停止図柄指定コマンドを入力すると、大当り遊技終了後の演出モードを「確変確定モード」に設定し、移行させる。一方、統括制御用CPU36aは、滞在中の演出モードの種類にかかわらず、100回変短付き確変15R大当り遊技又は非確変15R大当り遊技を指示する特別図柄用の停止図柄指定コマンドを入力すると、大当り遊技終了後の演出モードを「確変潜伏モード」に設定し、移行させる。また、統括制御用CPU36aは、「確変潜伏モード」に移行してから100回の図柄変動ゲームが終了すると、101回目の図柄変動ゲームの開始に伴って、移行先の演出モードを「通常モード」に設定し、移行させる。
次に、演出制御基板37の演出制御用CPU37aが表示制御プログラムに基づき実行する各種処理について説明する。
まず、図柄変動ゲームに係る処理について説明する。
演出制御基板37の演出制御用CPU37aは、変動パターン指定コマンドを入力すると、当該コマンドに指示される変動パターンに対応する演出内容(変動内容)をもとに、画像表示用データ、発光データ、及び音声データを選択する。演出制御用CPU37aは、画像表示用データをもとに図柄変動ゲームを画像表示させるように演出表示装置22の表示内容を制御するとともに、発光データをもとに電飾表示部18の発光態様を制御し、さらに音声データをもとにスピーカ19の音声出力態様を制御する。そして、演出制御用CPU37aは、図柄変動ゲーム中に図柄停止コマンドを入力すると、飾り図柄用の停止図柄指定コマンドで指示された飾り図柄を演出表示装置22に確定停止表示させるように表示内容を制御し、図柄変動ゲームを終了させる。そして、演出制御用CPU37aは、図柄変動ゲームの開始からの経過時間を計時し、その計時した時間と表示用データをもとに演出表示装置22に映し出す画像を所定の制御周期毎(例えば、4ms毎)に切り替える。また、演出制御用CPU37aは、図柄停止コマンドを入力すると、図柄変動ゲームの終了に伴って音声演出及び発光演出を終了させる。
次に、背景変化演出の態様を図5(a)〜(e)に従って説明する。
本実施形態のパチンコ遊技機10では、確変潜伏モード中、図柄変動ゲームの開始と同時(各列の図柄の変動開始と同時)に画像表示部GHの背景画像が切り替え可能に構成されている。なお、背景画像とは、図5(a)に示すように、演出表示装置22に確定停止表示、一旦停止表示、又は変動中の図柄の背後に表示されている画像を指す。本実施形態における背景画像は、静止画とされている。
また、本実施形態における背景画像は、複数種類設定されているとともに、大当り抽選の抽選確率状態が高確率抽選状態となっている可能性を示す確変期待度の違いによって分類されている。なお、本実施形態における背景画像は、図9〜図11に示す背景画像GA1〜GA8,GB1〜GB5,GC1〜GC3,GD1の17種類である。そして、これらの背景画像は、図9〜図11に示すように、グループGA〜グループGDで示す4つのグループに分類可能となっている。なお、図9〜図11では、グループ毎の区切りを太線で表記している。グループGAには、GA1〜GA8で示す計8個の背景画像が分類されているとともに、グループGBには、GB1〜GB5で示す計5個の背景画像が分類されている。また、グループGCには、GC1〜GC3で示す計3個の背景画像が分類されているとともに、グループGDには、GD1で示す1個の背景画像が分類されている。
これらの背景画像GA2〜GA8,GB1〜GB5,GC1〜GC3,GD1には、各背景画像を指定する指示データとしての背景指定コマンド「9060H」〜「906FH」が夫々対応付けられている。背景指定コマンドは、上位バイト(1バイト目)と下位バイト(2バイト目)からなる2バイトの制御データで構成されている。そして、これらの背景指定コマンドでは、「9060H」を先頭とし、「9060H」を構成する下位バイトから一定値(+1)ずつオフセットすることで、次の背景指定コマンドが特定されるように序列されている。なお、背景画像GA1は、初期設定値(デフォルト)となっており、確変潜伏モード移行後、最初の図柄変動ゲームでは、必ず背景画像GA1が表示されるようになっている。
そして、本実施形態における17種類の背景画像を指定する背景指定コマンドでは、グループ単位で上位バイトを区別しておらず、背景画像GA2〜GD1を指定する背景指定コマンドとして、同一の上位バイト(90H)を設定した上で、下位バイトをそれぞれ異ならせている。これにより、本実施形態における17種類の背景画像は、同一グループ内における背景指定コマンドが連番となっているとともに、各グループ間の境目に位置する背景指定コマンドも連番となっている。例えば、グループGAに分類される背景画像GA8を指定する背景指定コマンドとして「9066H」が設定されているのに対し、グループGBに分類される背景画像GB1を指定する背景指定コマンドとして、「9070H」や「9160H」が設定されているのではなく、「9067H」が設定されている。また、本実施形態におけるグループ内での背景画像の序列には規則性がない。例えば、背景画像GA1が「ひよこ」であった場合、背景画像GA2は「ひよこ」に関連した「にわとり」ではなく、「すずめ」となる。
さらに、本実施形態では、背景画像の周囲を囲む枠(本実施形態では枠W1〜W4)の色を、グループ毎に設定している。具体的には、グループGAに分類される背景画像の枠として、枠W1(例えば、黒色)が設定されている一方で、グループGBに分類される背景画像の枠として、枠W2(例えば、銅色)が設定されている。また、グループGCに分類される背景画像の枠として、枠W3(例えば、銀色)が設定されている一方で、グループGDに分類される背景画像の枠として、図示しない枠W4(例えば、金色)が設定されている。そして、本実施形態では、枠W1<枠W2<枠W3<枠W4の順に確変期待度が高くなるように設定している。これにより、本実施形態では、グループ単位で枠の色を変化させることで、枠の色によって、表示されている背景画像が分類されるグループを特定することができる。その結果、枠の色によって、グループ毎に設定した確変期待度の高低を認識することができる。
そして、本実施形態のパチンコ遊技機10における背景画像は、直方体を模した表示体Cの各面(6面)に表示されるようになっており、表示体Cが遊技者から視認して上方向、下方向、左方向、又は右方向に90°回転することで背景画像が変化するようになっている。なお、図5(a)では、遊技者から視認して正面に面Caが位置するように表示されている。
そして、本実施形態における背景変化演出では、前回の背景画像の消去動作(遊技者から見て徐々に視認不能な位置への移行)と今回の背景画像の表示動作(遊技者から見て徐々に視認可能な位置への移行)が同時に実行されるようになっている。なお、前回の背景画像の消去動作と今回の背景画像の表示動作における背景画像の単位時間当たりの変化量は、同一量となっている。つまり、前回の背景画像が消去された分だけ今回の背景画像が表示されるようになっている。そして、背景変化演出は、このような変更前の背景画像と変更後の背景画像を差し替える差し替え動作を伴って実行されるようになっている。
例えば、図5(b)に示すように、前回の背景画像が遊技者から視認して正面に位置する面Caに表示されている(枠W1とする)場合に、表示体Cが、遊技者から見て下方向に回転軸Jを中心に90°回転したとする。この場合、表示体Cの回転に伴い、前回の背景画像が表示されている面Caが、遊技者から視認して奥行き方向に傾き表示されることによって徐々に視認不能になる。それと同時に、その変化量と同じ量だけ今回の背景画像が表示されている面Cbが、遊技者から視認して手前方向に傾き表示されることによって徐々に視認可能となる。そして、遊技者から見て下方向に回転軸Jを中心に表示体Cが90°回転すると、図5(c)に示すように、今回の背景画像が表示されている面Cbが、遊技者から視認して正面に位置するようになっている。
同様に、例えば、図5(d)に示すように、前回の背景画像が面Caに表示されている(枠W1とする)場合に、表示体Cが、遊技者から見て左方向に回転軸Jを中心に90°回転したとする。この場合、表示体Cの回転に伴い、前回の背景画像が表示されている面Caが、遊技者から視認して左方向に傾き表示されることによって徐々に視認不能になる。それと同時に、その変化量と同じ量だけ今回の背景画像が表示されている面Ccが、遊技者から視認して手前方向に傾き表示されることによって徐々に視認可能となる。そして、表示体Cが、遊技者から見て左方向に回転軸Jを中心に90°回転すると、図5(e)に示すように、今回の背景画像が表示されている面Ccが、遊技者から視認して正面に位置するようになっている。
なお、ここでは図示しないが、表示体Cが、遊技者から視認して上方向に回転軸Jを中心に90°回転する場合、図5(b)とは逆方向に回転することになる。一方、表示体Cが、遊技者から視認して右方向に回転軸Jを中心に90°回転する場合、図5(d)とは逆方向に回転することになる。
以下、統括制御用CPU36aが実行する背景画像決定処理について図6及び図7に従って説明する。本実施形態では、背景画像決定処理を行う統括制御用CPU36aが、選択手段、変換手段、判定手段、再選択手段として機能する。また、統括制御用RAM36cが、記憶手段として機能する。
本実施形態において統括制御用CPU36aは、確変潜伏モード中、図柄変動ゲームの開始時に該ゲームで表示させる背景画像の種類を決定する。そして、統括制御用CPU36aは、決定した背景画像を指定する背景指定コマンドを、演出制御基板37にする。つまり、背景画像決定処理は、確変潜伏モード滞在中のみ実行する処理となる。
背景画像決定処理において統括制御用CPU36aは、最初に、入力した変動パターン指定コマンドで指定される変動パターンを読み出す(ステップS10)。その後、統括制御用CPU36aは、統括制御用RAM36cに設定した情報(フラグなど)を読み出し、現在の抽選確率状態を確認する(ステップS11)。そして、統括制御用CPU36aは、ステップS10で読み出した変動パターンと、ステップS11で確認した抽選確率状態に応じて、図8に示す回転方向決定テーブルを参照して、乱数抽選によって当該図柄変動ゲームにおける表示体Cの回転方向を決定する(ステップS12)。
図8に示す回転方向決定テーブルでは、背景画像決定処理の実行時における抽選確率状態に応じてテーブルが分けられている。さらに、変動パターンP1〜P7に対して、「右回転」、「左回転」、「下回転」、及び「上回転」のうちいずれか1つを選択可能なように回転方向決定用乱数の値(0〜100までの全101通りの整数)が所定個数ずつ振分けられている。なお、前述した「右回転」、「左回転」、「下回転」、及び「上回転」は、何れも遊技者側から視認した場合の回転方向を示している。例えば、低確率抽選状態の場合、変動パターンP6には、「右回転」に30個の乱数値が、「左回転」に30個の乱数値が、「下回転」に35個の乱数値が、「上回転」に6個の乱数値が振分けられている。その一方で、高確率抽選状態の場合、変動パターンP6には、「右回転」に20個の乱数値が、「左回転」に30個の乱数値が、「下回転」に36個の乱数値が、「上回転」に15個の乱数値が振分けられている。回転方向決定用乱数は、統括制御用CPU36aによって所定の周期毎に順次更新される乱数であり、統括制御用CPU36aは、更新後の値を統括制御用RAM36cの設定領域に設定して更新前の値を書き換えている。なお、図8に示す「T1〜T8」は、後に詳述する図9〜図11に示す各テーブルに対応している。
そして、回転方向決定テーブル(図8)では、背景画像決定処理の実行時における抽選確率状態が低確率抽選状態となっている場合よりも高確率抽選状態となっている場合において、「上回転」及び「下回転」が選択される割合が高くなるように設定されている。一方、回転方向決定テーブル(図8)では、背景画像決定処理の実行時における抽選確率状態が高確率抽選状態となっている場合よりも低確率抽選状態となっている場合において、「右回転」及び「左回転」が選択される割合が高くなるように設定されている。また、大当り抽選に当選した場合、「下回転」及び「上回転」が選択されるようになっている。これにより、表示体Cの回転方向によって、大当り抽選に当選したか否か、又は高確率抽選状態となっているか否かに対して推測することが可能となる。また、変動パターンP6が選択されるとともに、表示体Cの回転方向として「上回転」が決定されたとする。この場合、表示体Cが上回転した後にリーチR2の内容で演出が実行されると、この時点で大当り遊技終了後に確変状態が付与されることを認識する。一方、変動パターンP7が選択された場合、リーチR2の内容から大当り遊技が付与されることは認識し得るものの、確変状態が付与されるか否かは判別し得ない。
従って、統括制御用CPU36aは、ステップS12において、回転方向決定テーブル(図8)を参照して、統括制御用RAM36cから取得した回転方向決定用乱数に対応する回転方向を決定することになる。
その後、統括制御用CPU36aは、当該図柄変動ゲームにおける背景画像を決定するために実行する次回背景決定処理を実行する(ステップS13)。
次回背景決定処理において統括制御用CPU36aは、最初に、前回の背景画像、抽選確率状態、当該図柄変動ゲームにおける表示体Cの回転方向、及び変動パターンに応じて、図9〜図11に示す背景決定テーブルを参照して、当該図柄変動ゲームにおける背景画像が分類されるグループを決定する(ステップS20)。なお、統括制御用CPU36aは、今回の図柄変動ゲームで表示させる背景画像を決定した場合、当該背景画像を指定する背景指定コマンドを統括制御用RAM36cにおける送信用バッファに設定するとともに、所定のワークエリアに設定する。そして、統括制御用CPU36aは、次の図柄変動ゲームにおける背景画像を決定した場合、統括制御用RAM36cのワークエリアに設定した背景指定コマンドを、前回の背景画像を指定するコマンドとして取り扱うことになる。
すなわち、本実施形態における背景変化演出では、直方体を模した表示体Cが遊技者から視認して上方向、下方向、左方向、又は右方向に90°回転することで背景画像が変化するようになっている。そして、背景変化演出では、前回の背景画像の消去動作と今回の背景画像の表示動作が同時に実行されるようになっている。このような変化態様を採用しているからこそ、背景画像の変化時に前回の背景画像を記憶しておかないと、表示体Cの回転動作に伴って消去されていく前回の背景画像が、本来表示されるべき背景画像と一致しなくなってしまう。例えば、前回の背景画像が背景画像GA1であったにもかかわらず、背景変化演出の実行時において、前回の背景画像が背景画像GA2となっている場合などである。したがって、背景変化演出の実行時には、当該図柄変動ゲームにおける背景画像だけでなく、前回の背景画像も記憶しておかなければならないのである。また、当該図柄変動ゲームが、確変潜伏モード移行後最初のゲームである場合、前回の背景画像は初期設定値により背景画像GA1となる。
図9(a)に示す背景決定テーブルT1は、抽選確率状態にかかわらず、「上回転」が決定されるとともに、変動パターンP6が選択された際に参照されるテーブルを指す。図9(b)に示す背景決定テーブルT2は、抽選確率状態にかかわらず、「上回転」が決定されるとともに、変動パターンP5が選択された際に参照されるテーブルを指す。図10(a)に示す背景決定テーブルT3は、低確率抽選状態であって、「下回転」が決定されるとともに、変動パターンP6,P7が選択された際に参照されるテーブルを指す。図10(b)に示す背景決定テーブルT4は、高確率抽選状態であって、「下回転」が決定されるとともに、変動パターンP6,P7が選択された際に参照されるテーブルを指す。図10(c)に示す背景決定テーブルT5は、抽選確率状態にかかわらず、「下回転」が決定されるとともに、変動パターンP5が選択された際に参照されるテーブルを指す。
図11(a)に示す背景決定テーブルT6は、低確率抽選状態であって、「右回転」又は「左回転」が決定されるとともに、変動パターンP1〜P4,P6,P7が選択された際に参照されるテーブルを指す。図11(b)に示す背景決定テーブルT7は、高確率抽選状態であって、「右回転」又は「左回転」が決定されるとともに、変動パターンP1〜P4,P6,P7が選択された際に参照されるテーブルを指す。図11(c)に示す背景決定テーブルT8は、抽選確率状態にかかわらず、「右回転」又は「左回転」が決定されるとともに、変動パターンP5が選択された際に参照されるテーブルを指す。なお、図9〜図11に示す各テーブルでは、前回の背景画像(図中、変化前背景と示す)毎に、今回の背景画像(図中、変化後背景と示す)として選択可能な背景画像に乱数値が所定個数ずつ振分けられている。
そして、各背景決定テーブルには、前回の背景画像に応じて背景画像GA1〜GA8,GB1〜GB5,GC1〜GC3,GD1のうちいずれか1つを選択可能なように背景決定用乱数の値(0〜1998までの全1999通りの整数)が所定個数ずつ振分けられている。例えば、図9(a)に示す背景決定テーブルT1では、前回の背景画像の種類にかかわらず、グループGCが選択可能となるように、より詳しくは、背景画像GC1〜GC3のいずれかが選択可能となるように乱数値が振分けられている。また、図9(b)に示す背景決定テーブルT2では、前回の背景画像の種類にかかわらず、グループGC又はグループGDが選択可能となるように、より詳しくは、背景画像GC1〜GC3,GD1のいずれかが選択可能となるように乱数値が振分けられている。
また、図10(a)に示す背景決定テーブルT3では、前回の背景画像がグループGA,GBに分類される画像の場合、グループGB又はグループGCが選択可能となるように、より詳しくは、背景画像GB1〜GB5,GC2,GC3のいずれかが選択可能となるように乱数値が振分けられている。また、前回の背景画像がグループGCに分類される画像の場合、グループGBが選択可能となるように、より詳しくは、背景画像GB1〜GB5のいずれかが選択可能となるように乱数値が振分けられている。また、図10(b)に示す背景決定テーブルT4では、前回の背景画像の種類にかかわらず、グループGB又はグループGCが選択可能となるように、より詳しくは、背景画像GB1〜GB5,GC2,GC3のいずれかが選択可能となるように乱数値が振分けられている。また、図10(c)に示す背景決定テーブルT5では、前回の背景画像の種類にかかわらず、グループGB〜GDのいずれかが選択可能となるように、より詳しくは、背景画像GB1〜GB5,GC1〜GC3,GD1のいずれかが選択可能となるように乱数値が振分けられている。
また、図11(a)に示す背景決定テーブルT6では、前回の背景画像がグループGA,GBに分類される画像の場合、グループGA〜GCのいずれかが選択可能となるように、より詳しくは、背景画像GA1〜GA8,GB1〜GB5,GC2,GC3のいずれかが選択可能となるように乱数値が振分けられている。また、前回の背景画像がグループGCに分類される画像の場合、グループGA又はグループGBが選択可能となるように、より詳しくは、背景画像GA1〜GA8,GB1〜GB5のいずれかが選択可能となるように乱数値が振分けられている。また、図11(b)に示す背景決定テーブルT7では、前回の背景画像の種類にかかわらず、グループGA〜GCのいずれが選択可能となるように、より詳しくは、背景画像GA1〜GA8,GB1〜GB5,GC1〜GC3のいずれかが選択可能となるように乱数値が振分けられている。また、図11(c)に示す背景決定テーブルT8では、前回の背景画像の種類にかかわらず、グループGA〜GDのいずれかが選択可能となるように、より詳しくは、背景画像GA1〜GA8,GB1〜GB5,GC1〜GC3,GD1のいずれかが選択可能となるように乱数値が振分けられている。なお、背景決定用乱数は、統括制御用CPU36aによって所定の周期毎に順次更新される乱数であり、統括制御用CPU36aは、更新後の値を統括制御用RAM36cの設定領域に設定して更新前の値を書き換えている。
このようなテーブル構成により、当該図柄変動ゲームにおける背景画像として背景画像GD1が選択された場合、当該図柄変動ゲームが大当りとなるとともに、大当り遊技終了後に確変状態が付与されることになる。また、当該図柄変動ゲームにおける表示体Cの回転方向が上方向又は下方向の場合、背景画像の種類として、グループGB以上のグループに分類される背景画像が選択されることになる。
従って、統括制御用CPU36aは、ステップS20において、図9〜図11で示す回転方向決定テーブルを参照して、当該図柄変動ゲームにおける背景画像が分類されるグループを決定することになる。
その後、統括制御用CPU36aは、ステップS20において決定したグループの中から、統括制御用RAM36cから取得した背景決定用乱数に対応する背景画像を乱数抽選によって決定する(ステップS21)。本実施形態において統括制御用CPU36aは、当該図柄変動ゲームにおける背景画像を決定するに当たって、前回の背景画像が分類されるグループと同一のグループを選択可能としているとともに、乱数抽選によってランダムに決定しているので、前回の背景画像と同一の背景画像を決定する場合もあり得る。したがって、統括制御用CPU36aは、ステップS21で決定した背景画像を指定する背景指定コマンドを、所定のワークエリアに設定するとともに、当該コマンドと、ワークエリアに前回の背景画像を指定するコマンドとして設定した背景指定コマンドを比較し、同一か否かを判定する(ステップS22)。ステップS22の判定結果が否定(同一ではない)の場合、統括制御用CPU36aは、ステップS25に示すコマンド設定処理に移行する。一方、ステップS22の判定結果が肯定(同一である)の場合、統括制御用CPU36aは、ステップS21で決定した背景指定コマンドの下位バイトを1加算(+1)する(ステップS23)。例えば、背景指定コマンドが「9064H(背景画像GA6)」であった場合、下位バイトを1加算することにより、「9065H」となる。これにより、背景画像GA6ではなく背景画像GA7が特定されることになる。
その後、統括制御用CPU36aは、ステップS23の処理によって得られた背景指定コマンドとステップS21で決定した背景指定コマンドが同一のグループであるか否かを判定する(ステップS24)。ステップS24の判定結果が肯定(同一グループである)の場合、統括制御用CPU36aは、ステップS25に移行する。ちなみに、ステップS24が肯定判定される例には、ステップS21で決定した背景画像が、背景画像GA1〜GA7,GB1〜GB4,GC1,GC2である場合が含まれる。これらの背景画像が選択された場合、当該背景画像を指定する背景指定コマンドに1加算した後のコマンドで指定される背景画像は、1加算前の背景指定コマンドで指定される背景画像と同一のグループに分類されるからである。
一方、ステップS24の判定結果が否定(同一グループではない)の場合、統括制御用CPU36aは、ステップS21で決定した背景画像が分類されるグループにおける序列が最初に設定されている背景指定コマンドに対応する背景画像を決定する(ステップS26)。ちなみに、ステップS24が否定判定される例には、ステップS21で決定した背景画像が、背景画像GA8,GB5,GC3である場合が含まれる。これらの背景画像が選択された場合、当該背景画像を指示する背景指定コマンドに1加算した後のコマンドで指定される背景画像は、1加算前の背景指定コマンドで指定される背景画像と異なるグループに分類されるからである。例えば、グループの違いを考慮せず、背景画像GA8を指定する背景指定コマンド「9066H」の下位バイトに1加算すると、「9067H」となり、背景画像GB1が特定されることになる。この場合、1加算前の背景指定コマンドで指定される背景画像が分類されるグループと1加算後の背景指定コマンドで指定される背景画像が分類されるグループが異なってしまう。したがって、ステップS24の判定結果が否定の場合、統括制御用CPU36aは、ステップS21で決定した背景画像が分類されるグループにおける序列が最初に設定されている背景指定コマンドに対応する背景画像を決定する。これにより、例えば、前回の背景画像が背景画像GA8であるとともに、今回の背景画像として背景画像GA8が選択された場合、変更後の背景画像は背景画像GB1ではなく背景画像GA1が特定されることになる。また、前回の背景画像が背景画像GB5であるとともに、今回の背景画像として背景画像GB5が選択された場合、変更後の背景画像は背景画像GC1ではなく背景画像GB1が特定されることになる。また、前回の背景画像が背景画像GC3であるとともに、今回の背景画像として背景画像GC3が選択された場合、変更後の背景画像は背景画像GD1ではなく背景画像GC1が特定されることになる。つまり、統括制御用CPU36aは、変更前の背景画像が分類されるグループの中から変更後の背景画像を再選択することになる。そして、統括制御用CPU36aは、ステップS25に移行する。
ステップS25に移行した統括制御用CPU36aは、前回の背景画像を指定する背景指定コマンドとして、統括制御用RAM36cにおける所定のワークエリアに設定したコマンドの下位バイトを16減算(−16)して、前回背景指定コマンドを生成する(変換処理)。例えば、今回の背景画像を指定する背景指定コマンドが「9064H」であった場合、前回背景指定コマンドは「9054H」となる。なお、前回背景指定コマンドも、背景指定コマンド「9064H」と同じく、背景画像GA6を指定するコマンドとなる。つまり、統括制御用RAM36cに設定した背景指定コマンドと前回背景指定コマンドは、一義的に対応付けられていることになる。
そして、統括制御用CPU36aは、ステップS25において、統括制御用RAM36cにおける送信用バッファに、前回背景指定コマンドと、当該図柄変動ゲームにおける背景画像を指定する背景指定コマンドと、回転方向を指示する回転方向指定コマンドを設定し、次回背景決定処理を終了する。なお、ステップS22を否定判定(同一ではない)してステップS25に移行した場合、統括制御用CPU36aは、当該図柄変動ゲームにおける背景画像を指定する背景指定コマンドとして、ステップS21で決定したコマンドを送信用バッファに設定する。また、ステップS24を肯定判定(同一グループである)してステップS25に移行した場合、統括制御用CPU36aは、当該図柄変動ゲームにおける背景画像を指定する背景指定コマンドとして、ステップS23の処理によって得られた背景指定コマンドを送信用バッファに設定する。また、ステップS26を経てステップS25に移行した場合、統括制御用CPU36aは、当該図柄変動ゲームにおける背景画像を指定する背景指定コマンドとして、各グループにおいて先頭に設定されている背景指定コマンドを設定する。なお、背景画像GA1は、デフォルトとなる。
その後、統括制御用CPU36aは、所定の出力タイミングに到達したことによって、送信用バッファに設定した前回背景指定コマンドと、当該図柄変動ゲームにおける背景画像を指定する背景指定コマンドと、回転方向指定コマンドとを演出制御基板37に出力する。
そして、前回背景指定コマンド、背景指定コマンド、及び回転方向指定コマンドを入力した演出制御用CPU37aは、これらのコマンドで指定される演出内容を選択する。そして、演出制御用CPU37aは、該演出内容で図柄変動ゲーム中の所定時期(本実施形態では、図柄の変動開始と同時)に背景変化演出を実行させるように演出表示装置22の表示内容を制御する。
例えば、演出制御用CPU37aは、回転方向指定コマンドとして「下回転」を指定するコマンドと、前回背景指定コマンドとして背景画像GA2を指定するコマンド「9050H」と、当該図柄変動ゲームにおける背景画像を指定する背景指定コマンドとして背景画像GA3を指定するコマンド「9061H」を入力したとする。この場合、演出制御用CPU37aは、表示体Cを、遊技者から見て下方向に回転軸Jを中心に90°回転させるように演出表示装置22の表示内容を制御する。これにより、表示体Cの回転に伴い、前回の背景画像GA2が表示されている面が、遊技者から視認して奥行き方向に傾き表示されることによって徐々に視認不能となる。それと同時に、その変化量と同じ量だけ今回の背景画像GA3が表示されている面が、遊技者から視認して手前方向に傾き表示されることによって徐々に視認可能となる。そして、表示体Cが、遊技者から見て下方向に回転軸Jを中心に90°回転すると、今回の背景画像GA3が表示されている面が、遊技者から視認して正面に位置することになる。本実施形態では、演出制御用CPU37aが、演出実行制御手段として機能する。
次に、本実施形態のパチンコ遊技機10における背景変化演出の態様を図12にしたがって説明する。なお、図12(a)〜(c)は、前回の背景画像が背景画像GA2であって、当該図柄変動ゲームにおける背景画像として背景画像GA2が選択された際の態様を示している。一方、図12(d)〜(f)は、前回の背景画像が背景画像GB5であって、当該図柄変動ゲームにおける背景画像として背景画像GB5が選択された際の態様を示している。また、図12(a)〜(c)では、現在の遊技状態が低確率抽選状態であって、当該図柄変動ゲームの演出内容を特定する変動パターンとして変動パターンP1が選択されたことに基づき、表示体Cの回転方向として左回転が決定されたことを前提とする(背景決定テーブルT6)。一方、図12(d)〜(f)では、現在の遊技状態が低確率抽選状態であって、当該図柄変動ゲームの演出内容を特定する変動パターンとして変動パターンP6が選択されたことに基づき、表示体Cの回転方向として下回転が決定されたことを前提とする(背景決定テーブルT3)。
統括制御用CPU36aは、前回の背景画像が背景画像GA2であるときに、当該図柄変動ゲームにおける背景画像として背景画像GA2を選択したとする。この場合、前回の背景画像と今回の背景画像が同一となるので、統括制御用CPU36aは、背景画像GA2を指定する背景指定コマンド(「9060H」)の下位バイトに1加算することにより、「9061H」を生成する。このとき、1加算前の背景指定コマンドで指定される背景画像が分類されるグループと、1加算後の背景画像で特定される背景画像が分類されるグループは、同一となる。したがって、統括制御用CPU36aは、今回の背景画像として背景画像GA3を決定することになる。これにより、演出表示装置22では、背景画像GA2が、遊技者から視認して正面に表示されている状態(図12(a))から、表示体Cが、遊技者から見て左方向に回転軸Jを中心に90°回転される。そして、表示体Cの回転に伴い、前回の背景画像GA2が表示されている面が、遊技者から視認して奥行き方向に傾き表示されることによって徐々に視認不能となる。それと同時に、その変化量と同じ量だけ今回の背景画像GA3が表示されている面が、遊技者から視認して手前方向に傾き表示されることによって徐々に視認可能となる(図12(b))。そして、表示体Cが、遊技者から見て左方向に回転軸Jを中心に90°回転すると、今回の背景画像GA3が表示されている面が、遊技者から視認して正面に位置することになる(図12(c))。
また、統括制御用CPU36aは、前回の背景画像が背景画像GB5であるときに、当該図柄変動ゲームにおける背景画像として背景画像GB5を選択したとする。この場合、前回の背景画像と今回の背景画像が同一となるので、統括制御用CPU36aは、背景画像GB5を指定する背景指定コマンド(「906BH」)の下位バイトに1加算することにより、「906CH」を生成する。このとき、1加算前の背景指定コマンドで指定される背景画像が分類されるグループと、1加算後の背景画像で特定される背景画像が分類されるグループは、異なるグループとなってしまう。したがって、統括制御用CPU36aは、当該図柄変動ゲームにおける背景画像として背景画像GB1を決定することになる。これにより、演出表示装置22では、背景画像GB5が、遊技者から視認して正面に表示されている状態(図12(d))から、表示体Cが、遊技者から見て下方向に回転軸Jを中心に90°回転される。そして、表示体Cの回転に伴い、前回の背景画像GB5が表示されている面が、遊技者から視認して奥行き方向に傾き表示されることによって徐々に視認不能となる。それと同時に、その変化量と同じ量だけ今回の背景画像GB1が表示されている面が、遊技者から視認して手前方向に傾き表示されることによって徐々に視認可能となる(図12(e))。そして、表示体Cが、遊技者から見て下方向に回転軸Jを中心に90°回転すると、今回の背景画像GB1が表示されている面が、遊技者から視認して正面に位置することになる(図12(f))。
以上詳述したように、本実施形態は、以下の効果を有する。
(1)統括制御用CPU36aは、ランダムに選択した背景画像が、統括制御用RAM36cにおいて前回の背景画像として記憶されている背景画像と同一であった場合、異なる背景画像を再選択する。そして、統括制御用CPU36aは、再選択後の背景画像を当該図柄変動ゲームにおける背景画像とし、差し替え動作を伴わせて背景変化演出を行う。これにより、同一の背景画像が連続して表示されることに対する遊技者の飽きを抑制することができる。
(2)統括制御用CPU36aは、新たに背景画像を選択し直す場合、変更前の背景画像が分類されるグループと同一グループに分類される背景画像を再選択する。これにより、異なるグループに分類される背景画像が選ばれることなく、当該背景画像が表示されたことによる遊技者に付与される付加価値(本実施形態では、確変期待度)への期待度を保つことができる。
(3)統括制御用CPU36aは、新たに背景画像を選択し直す場合、変更前の背景画像を指定する背景指定コマンドに一定値(本実施形態では「1」)を加算することで、加算後の背景指定コマンドに対応する新たな背景画像を再選択する。このように、背景画像の再選択にあたって、変更前の背景画像を指定する背景指定コマンドに一定値を加算するだけで背景画像を再選択することができるので、背景画像の再選択に係る処理を簡略化することができる。
(4)統括制御用CPU36aは、変更前の背景画像を指示する制御データがグループにおける序列が最後に設定されている背景指定コマンドであった場合、当該グループにおける序列が最初に設定されている背景画像を選択する。これにより、変更前の背景画像が分類されるグループと同一グループに分類される背景画像を再選択するので、異なるグループに分類される背景画像が選ばれることなく、当該背景画像が表示されたことによる遊技者に付与される付加価値(本実施形態では、確変期待度)への期待度を保つことができる。
(5)統括制御用RAM36cに記憶された背景指定コマンドを、変換前の背景画像を指示する前回背景指定コマンドとして変換する場合、両背景指定コマンドを1対1で対応付けた。これにより、変更前の背景指定コマンドの選択に係る処理を簡略化することができる。
(6)統括制御用RAM36cに記憶された背景指定コマンドを演算処理することにより、前回背景指定コマンドを生成するようにした。これにより、前回背景指定コマンド単体で設定しなくても演算処理によって前回背景指定コマンドを生成することができるので、サブ統括制御基板36の使用容量を削減することができる。
(7)統括制御用CPU36aは、当該図柄変動ゲームにおける背景変化演出に際し、最初に、変動パターン及び背景画像決定処理実行時における抽選確率状態に基づいて、表示体Cの回転方向を決定する。その後、統括制御用CPU36aは、背景画像を決定する。このような決定方法を採用することにより、表示体Cの回転方向及び背景画像を対応させて記憶する場合よりも、サブ統括制御基板36における記憶容量の容量圧縮に貢献し得る。つまり、本実施形態では、表示体Cの回転方向として4種類が設定されているとともに、背景画像の種類として17種類が設定されているので、表示体Cの回転方向と背景画像を対応させて記憶させるとなると、4×17=68種類のデータ数を記憶しなければならない。ところが、本実施形態のような決定方法を採用することにより、記憶しておかなければならないデータ数は、4+17=21種類で済む。
(8)背景変化演出では、直方体を模した表示体Cが遊技者から視認して上方向、下方向、左方向、又は右方向に90°回転することで背景画像が変化するようになっている。そして、背景変化演出では、前回の背景画像の消去動作と今回の背景画像の表示動作が同時に実行されるようになっている。このような変化態様を採用しているからこそ、背景画像の変化時に、前回の背景画像を記憶しておかないと、表示体Cの回転動作に伴って消去されていく前回の背景画像が、本来表示されるべき背景画像と一致しなくなってしまう。具体的には、図12(a)のように、遊技者から視認して正面に背景画像GA2が表示されているとする。このとき、表示体Cが遊技者から視認して左方向に90°回転するとともに、当該図柄変動ゲームで表示させる背景画像として背景画像GA3が決定されているとすると、本来ならば、図12(b)に示すように、表示体Cの左回転に伴い、背景画像GA2は、遊技者から視認して表示体Cにおける左側面に表示されていなければならない。ところが、前回の背景画像を記憶しておかない場合は、表示体Cの左回転に伴い、背景画像GA3が表示体Cにおける右側面に表示されるものの、左側面には、前回の背景画像GA2とは異なる背景画像が表示されることになり、表示体Cの回転動作と前回の背景画像がかみ合わなくなってしまう。したがって、前回背景指定コマンド及び当該図柄変動ゲームにおける背景指定コマンドの両コマンドに基づいて背景変化演出を実行することにより、表示体Cの回転動作と背景変化演出が合致した演出を実現でき、遊技者に不自然な印象を与えることがない。
(9)グループ単位で枠の色を変化させることで、枠の色によって表示されている背景画像が分類されるグループを特定できるようにした。これにより、背景画像を視認しただけでは、確変期待度の高低が認識できない場合や、変化前と変化後の背景画像の関連性が分からない場合であっても、枠の色によって、グループ毎に設定した確変期待度の高低を認識することができる。
(10)グループ内における背景画像の序列に規則性を設けず、ランダムなものとした。これにより、前回の背景画像と今回の背景画像の変化にはランダム性が生じることになるとともに、背景画像の決定方法は、前回の背景画像と今回の背景画像が同一となり得る方法となる。したがって、本実施形態のような再選択方法が有効なものとなる。
なお、上記実施形態は以下のように変更しても良い。
・ 実施形態において、前回背景指定コマンドそのものを設定した上で、統括制御用RAM36cに記憶された背景指定コマンドと、前回背景指定コマンドとを1対1で対応付けても良い。
・ 実施形態において、前回背景指定コマンドを生成するに際し、生成前の背景指定コマンドと前回背景指定コマンドにおいて、上位バイトを変更した上で、下位バイトを同一にしても良い。例えば、生成前の背景指定コマンドを「9060H」とした場合、前回背景指定コマンドを「9160H」としても良い。この場合、下位バイトとして「00H」〜「FFH」で示す256通りのコマンドを設定することができるので、背景画像の種類を最大256種類まで設定することが可能となる。
・ 実施形態では、背景指定コマンドに1加算することで、新たな背景画像を指定する背景指定コマンドを生成していたが、−1加算(1減算)するようにしても良い。また、加算数(減算数)は、「1」に限られない。
・ 実施形態では、グループGA〜グループGDに亘って、背景指定コマンドを序列させていたが、グループ内においてのみ序列するようにし、グループ間では背景指定コマンドが序列していなくても良い。例えば、グループGAでは、背景指定コマンドとして「9060H」〜「9066H」を設定する一方で、グループGBでは、背景指定コマンドとして「9070H」〜「9074H」を設定しても良い。この場合、例えば、前回の背景画像及び当該図柄変動ゲームにおける背景画像として選択した背景画像を指定する背景指定コマンドが「9066H」であった場合、1加算後の背景指定コマンドが「9067H」となったのであれば、「9060H」を選択するようにしても良い。また、前回の背景画像及び当該図柄変動ゲームにおける背景画像として選択した背景画像を指定する背景指定コマンドが「9066H」であるか否かを判定し、当該判定結果が肯定の場合に、「9060H」を選択するようにしても良い。
・ 実施形態では、背景画像の選択方法として、背景指定コマンドに1加算する方法を採用していたが、予め定めた背景画像を1対1で対応付けても良い。例えば、背景画像GA3が選択された場合は、背景画像GA6を選択し直すように一義的に対応付けても良い。また、前回の背景画像と今回の背景画像が同一であった場合、異なる背景画像が選択されるまで乱数抽選を行うようにしても良い。
・ 実施形態では、前回の背景画像がグループにおける序列が最後に設定された背景画像であって、かつ当該図柄変動ゲームにおける背景画像として前回の背景画像と同一の背景画像を選択した場合、前回の背景画像が分類されるグループにおける序列が最初に設定されている背景画像が再選択されるようにした。その変更例として、前回の背景画像が分類されるグループにおける序列が最初に設定されている背景画像に限られず、同一のグループ内であればその他の背景画像に変更するようにしても良い。
・ 実施形態において、例えば、グループGCに分類される背景画像を背景画像GC1〜GC5の5種類に設定し、特定の背景決定テーブルでは、背景画像GC3〜GC5のみに背景決定用乱数の値を振分けるようにしても良い。そして、前回の背景画像として背景画像GC5が選択され、かつ今回の背景画像としても背景画像GC5が選択されたとする。この場合、本来ならば、今回の背景画像として背景画像GC1が選択されることになるが、当該背景決定テーブルでは、背景画像GC1,GC2に乱数値を振分けていないので、背景画像GC1,GC2を選択することができない。したがって、このような場合には、今回の背景画像が分類されるグループにおいて選択可能な背景画像の中で序列が先のもの(この例では、背景画像GC3)を選択できるまで、背景コマンドに1加算し続けるようにしても良い。
・ 実施形態における付加価値は、確変期待度の違いとしたが、当該図柄変動ゲームが大当りか否かの期待度を示唆する大当り期待度の違いとしても良いし、大当り抽選に当選した際に付与される大当り遊技を構成するラウンド遊技数の違いとしても良い。また、遊技者が滅多に見ることができない背景画像のプレミア度の違いなどとしても良い。
・ 実施形態において、前回の背景画像と今回の背景画像が同一であった場合、演出制御用CPU37aが、当該図柄変動ゲームにおける背景画像を再選択するようにしても良い。この場合、統括制御用CPU36aから背景指定コマンドが出力されるが、演出制御用CPU37aが、入力した背景コマンドで指示される背景画像とは異なる背景画像を決定することになる。このような場合、演出制御用CPU37aが、再選択手段として機能する。
・ 実施形態では、前回背景コマンドへの変換タイミングを、当該ゲームにおける背景画像を指定する背景指定コマンドの送信タイミングと同一としたが(図7のステップS25)、変換対象となる背景画像の選択直後、つまり、現在表示中の背景画像を選択した時点で、前回背景コマンドに変換するようにしても良い。
・ 実施形態において、遊技者に付与される付加価値の違いによってグループ分けをせず、前回の背景画像と今回の背景画像が同一となった場合、異なる背景画像を選択するようにしても良い。
・ 実施形態では、直方体を模した表示体Cを回転動作させることにより背景変化演出を実行させたが、平面的に表示されている変更前の背景画像の前面に、平面的に表示されている変更後の背景画像を挿入(フェードイン)させることで背景変化演出を実行するようにしても良い。また、平面的に表示されている変更前の背景画像を、表示領域からフェードアウトさせて、徐々に平面的に表示されている変更後の背景画像を表示させることで背景変化演出を実行するようにしても良い。また、実施形態における表示体Cそのものを設定せず、画像表示部GH全体に背景画像を表示させるようにしても良い。そのようにした上で、前回の背景画像と今回の背景画像の差し替え動作を伴った背景変化演出をすることで、あたかもブロック体の回転によって背景画像が変化しているかのように視認させる演出を実行しても良い。
・ 実施形態において、表示体として平面的な表示体を採用し、表面に変更前の背景画像を表示するとともに、裏面に変更後の背景画像を表示するようにし、平面的に表示されている表示体を回転させることで裏面と表面を逆転させる変化態様としても良い。
・ 実施形態における背景画像を、その流れが一般的に想定し得るもの(例えば、四季や月日など)に変更し、本実施形態のような背景画像の選択方法を採用しても良い。
・ 実施形態における背景画像を静止画としたが、その変更例として、背景画像を動画としても良い。
・ 実施形態において、演出制御基板37の演出制御用RAM37cにおいて、現在の背景画像を記憶させるようにしても良い。この場合、演出制御用CPU37aが、演出制御用RAM37cに記憶された背景画像とは異なる背景画像を再選択することになる。このような場合、演出制御用RAM37cが記憶手段として機能するとともに、演出制御用CPU37aが、再選択手段として機能する。
・ 実施形態において、演出制御用CPU37aが、演出制御用RAM37cに記憶されている背景画像を変更前の背景画像として変換し、演出表示装置22に表示させるようにしても良い。この場合、演出制御用CPU37aが変換手段として機能する。
・ 実施形態において、サブ統括制御基板36を省略し、サブ統括制御基板36で実行する処理を演出制御基板37で実行するようにしても良い。
・ 実施形態において、1回の図柄変動ゲームで何回も背景画像が変化するようにしても良い。
・ 実施形態は、それぞれ異なる図柄変動ゲームの対象となる複数種類の特別図柄を用いるパチンコ遊技機に具体化しても良い。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追加する。
(イ)複数種類の図柄を変動させる図柄変動ゲームを含む遊技演出を表示する表示手段を備え、該表示手段における表示領域に表示される背景画像について、変更前の背景画像と変更後の背景画像を差し替える差し替え動作を伴わせて背景画像を変化させる背景変化演出が行われる遊技機において、前記表示手段に表示させる背景画像を複数の背景画像の中からランダムに選択する選択手段と、前記表示手段において、遊技者にその種類が認識可能に表示されている現在の背景画像を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている現在の背景画像を変更前の背景画像として変換する変換処理を行う変換手段と、前記選択手段によって新たに選択された背景画像が変更前の背景画像と同一か否かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果が肯定の場合、異なる背景画像を再選択する再選択手段と、前記判定手段の判定結果が否定の場合、前記選択手段が選択した背景画像を変更後の背景画像とし、前記差し替え動作を伴わせて前記変更前の背景画像から変更後の背景画像に変化させて前記表示手段に表示させる一方で、前記判定手段の判定結果が肯定の場合、前記再選択手段が選択した背景画像を変更後の背景画像とし、前記差し替え動作を伴わせて前記変更前の背景画像から変更後の背景画像に変化させて前記表示手段に表示させる演出実行制御手段と、を備え、前記選択手段及び前記再選択手段から前記演出実行制御手段に前記背景画像を指示するための指示データが、背景画像毎に対応付けられているとともに、前記指示データは、先頭となる指示データから一定値だけオフセットされることで次の指示データが特定されるように序列されており、前記再選択手段は、前記判定手段の判定結果が肯定となる場合、変更前の背景画像を指示する指示データに一定値を加算し、加算後の制御データに対応する新たな背景画像を再選択し、前記演出実行制御手段は、前記判定手段の判定結果が否定の場合、前記選択手段が選択した背景画像に対応する指示データに基づいて、前記差し替え動作を伴わせて前記変更前の背景画像から変更後の背景画像に変化させて前記表示手段に表示させる一方で、前記判定手段の判定結果が肯定の場合、前記再選択手段が選択した背景画像に対応する指示データに基づいて、前記差し替え動作を伴わせて前記変更前の背景画像から変更後の背景画像に変化させて前記表示手段に表示させることを特徴とする遊技機。