JP5451133B2 - ピロロピリジン化合物とその用途 - Google Patents

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Description

この発明は新規なピロロピリジン化合物とその用途に関するものである。
近年、有機色素化合物の用途として、情報表示及び光吸収剤における分野への用途が注目を浴びている。
有機色素化合物の前記情報表示の分野における用途としては、有機電界発光素子(以下、「有機EL素子」と略記する。)への用途を挙げることができる。有機EL素子は、次世代の表示素子として脚光を浴びており、現在、コンピューター端末機やテレビジョン受像機などの比較的大型の情報表示機器においては、主として、ブラウン管が用いられている。しかしながら、ブラウン管は体積、重量ともに大きく、動作電圧が高いので、携帯性を重視する機器には適しない。小形機器には、もっと薄く、軽量のパネル状であって、動作電圧が低く、消費電力の小さいものが必要とされている。現在では、液晶素子が動作電圧が低く、消費電力が比較的小さい点が買われて、多方面で頻用されている。しかしながら、液晶素子を用いる情報表示機器は、見る角度によってコントラストが変わるので、ある角度の範囲で読み取らないと明瞭な表示が得られないうえに、通常、バックライトを必要とするので、消費電力がそれほど小さくならないという問題がある。これらの問題を解決する表示素子として登場したのが有機EL素子である。
有機EL素子は、通常、陽極と陰極との間に発光性化合物を含有する発光層を介挿してなり、その陽極と陰極との間に直流電圧を印加して発光層へ正孔及び電子をそれぞれ注入し、それらを互いに結合させることによって発光性化合物の励起状態を作出し、その励起状態が基底状態に戻るときに放出される蛍光や燐光などの発光を利用する発光素子である。有機EL素子は、発光層を形成するに当たって、ホスト化合物として適切な有機化合物を用いるとともに、そのホスト化合物と組み合わせるゲスト化合物(ドーパント)を変更することにより、発光の色調を適宜に変えることができる特徴がある。また、ホスト化合物とゲスト化合物との組合わせによっては、発光の輝度や寿命を大幅に向上できる可能性がある。そもそも、有機EL素子は自ら発光する素子なので、消費電力を小さくできる利点があり、原理的に優れた発光素子であると言われている(例えば、非特許文献1及び2を参照)。
これまでに提案された発光性化合物のうち、例えば、クマリン骨格を有するものは、クマリンが天然に存在する物質であることから、有機EL素子においても、安全性が高く、取扱い易いという利点がある。ところが、クマリン誘導体においては、例えば、キノリノール金属錯体などのホスト化合物と組み合わせることによって、はじめて、所期の電界発光をもたらし得るものが多く、それのみを用いるか、ゲスト化合物と組み合わせて発光層を構成したのでは、実用上支障のない有機EL素子を作製するのが難しいという問題があった(例えば、特許文献4乃至10を参照)。一方、特許文献1には、低駆動電圧でも高輝度に発光させることができる有機発光物質を用いた有機EL素子が提案されているが、有機EL素子に要求される特性は未だ不十分なものであった。
一方、有機色素化合物の前記光吸収剤の分野における用途としては、各種物品における遮光手段として、光吸収剤により光を吸収することによって遮光する化学的手段が注目されている。光吸収剤として有機色素化合物を用いる化学的手段として、例えば、衣料の分野においては、特許文献2、3にみられるとおり、ベンゾトリアゾール誘導体やベンゾフェノン誘導体などの紫外線吸収能を有する有機色素化合物を繊維に練り込むことによって、衣料に紫外線吸収能を賦与する方法と、アミニウム誘導体などの赤外線吸収能を有する有機色素化合物を用いて繊維を染色することによって、衣料に赤外線吸収能を賦与する方法が知られていた。しかしながら、これら特許文献2、3に記載された有機色素化合物を用いて繊維を染色した場合、衣料によっては、所期の色彩、色調、風合を整える上で難点があった。
特開平3−37293号公報 特開平7−189018号公報 特開平9−255890号公報 特開2001−76875号公報 特開2001−76876号公報 特開2001−329257号公報 特開2002−226484号公報 特開2003−249371号公報 特開2003−249372号公報 特開2004−6222号公報
雀部博之編集、『有機フォトニクス』、株式会社アグネ承風社、1995年3月20日第1版発行、136乃至160頁 斎藤善範、『電子情報通信学会誌』、第84巻、第11号、767乃至774頁(2001年)
斯かる状況に鑑み、この発明の課題は、有機EL素子及び光吸収剤に要求される特性を十分に発揮する有機化合物とその用途を提供することにある。
斯かる状況に鑑み、本発明者等は鋭意研究し、検索したところ、一般式1で表されるピロロピリジン化合物は、ホスト化合物、ゲスト化合物などの発光層用材として有機EL素子へ適用すると、高輝度の可視光を発光し、しかも、その発光は常温において長時間、安定に持続することを見出すとともに、一般式1で表されるピロロピリジン化合物は、紫外領域から可視領域の光を効率的に遮光し得る光吸収剤として極めて有用であることを見出した。
一般式1:
(一般式1において、Xは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、フェニレン基又はビフェニレン基を、Rは、水素原子又は置換基を表す。R2乃至R5は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、それら置換基の結合位置は、それらが結合する各フェニル基におけるオルト位、メタ位、パラ位のいずれであってもよく、各フェニル基におけるオルト位、メタ位、パラ位の2以上の位置に置換基が結合している場合、それら置換基は同じであっても異なっていてもよく、隣接するもの同士が互いに結合し合い、それらが結合する炭素原子を含んで、環状構造を形成していてもよい。nは、1又は2を表す。但し、nが1のとき、Xはフェニレン基を表し、nが2のとき、一般式1で表されるピロロピリジン化合物はXを介して2量体化し、Rは存在しない。)
また、この発明は、一般式1で表されるピロロピリジン化合物を用いる有機EL素子用発光剤を提供することによって前記課題を解決するものである。
一般式1:
(一般式1において、Xは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、フェニレン基又はビフェニレン基を、Rは、水素原子又は置換基を表す。R2乃至R5は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、それら置換基の結合位置は、それらが結合する各フェニル基におけるオルト位、メタ位、パラ位のいずれであってもよく、各フェニル基におけるオルト位、メタ位、パラ位の2以上の位置に置換基が結合している場合、それら置換基は同じであっても異なっていてもよく、隣接するもの同士が互いに結合し合い、それらが結合する炭素原子を含んで、環状構造を形成していてもよい。nは、1又は2を表す。但し、nが1のとき、Xはフェニレン基を表し、nが2のとき、一般式1で表されるピロロピリジン化合物はXを介して2量体化し、Rは存在しない。)
さらに、この発明は、一般式1で表されるピロロピリジン化合物用いる有機EL素子を提供することによって前記課題を解決するものである。
一般式1:
(一般式1において、Xは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、フェニレン基又はビフェニレン基を、Rは、水素原子又は置換基を表す。R2乃至R5は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、それら置換基の結合位置は、それらが結合する各フェニル基におけるオルト位、メタ位、パラ位のいずれであってもよく、各フェニル基におけるオルト位、メタ位、パラ位の2以上の位置に置換基が結合している場合、それら置換基は同じであっても異なっていてもよく、隣接するもの同士が互いに結合し合い、それらが結合する炭素原子を含んで、環状構造を形成していてもよい。nは、1又は2を表す。但し、nが1のとき、Xはフェニレン基を表し、nが2のとき、一般式1で表されるピロロピリジン化合物はXを介して2量体化し、Rは存在しない。)
また、この発明は、有機電界発光素子が、陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び陰極を備える有機電界発光素子であって、前記発光層に、一般式1で表されるピロロピリジン化合物がドーパントとして、又、正孔輸送層物質及び電子輸送層物質がともにホストとして配合されている有機電界発光素子を提供することによって前記課題を解決するものである。
加えて、この発明は、斯かる有機EL素子を用いる表示パネルを提供することによって前記課題を解決するものである。
さらに、この発明は、斯かる有機EL素子を用いる情報表示機器を提供することによって前記課題を解決するものである。
加えて、この発明は、一般式1で表されるピロロピリジン化合物を含んでなる光吸収剤を提供することによって前記課題を解決するものである。
(一般式1において、Xは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、フェニレン基又はビフェニレン基を、Rは、水素原子又は置換基を表す。R2乃至R5は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、それら置換基の結合位置は、それらが結合する各フェニル基におけるオルト位、メタ位、パラ位のいずれであってもよく、各フェニル基におけるオルト位、メタ位、パラ位の2以上の位置に置換基が結合している場合、それら置換基は同じであっても異なっていてもよく、隣接するもの同士が互いに結合し合い、それらが結合する炭素原子を含んで、環状構造を形成していてもよい。nは、1又は2を表す。但し、nが1のとき、Xはフェニレン基を表し、nが2のとき、一般式1で表されるピロロピリジン化合物はXを介して2量体化し、Rは存在しない。)
この発明は新規なピロロピリジン化合物の創製と、その産業上有用な性質の発見に基づくものである。この発明で用いるピロロピリジン化合物は、波長230乃至500nm付近、より詳細には、250乃至450nm付近に吸収極大を有し、波長450乃至550nm付近に蛍光極大などの発光極大を有し、励起すると、緑赤色光乃至赤色光を発光する特性を有するとともに、250℃を越える融点を有し、400℃を超える分解点を有する熱安定性に優れた物質である。この発明のピロロピリジン化合物は、前記優れた特性を有するとともに、安定な薄膜を形成することができることから、例えば、有機EL素子用発光剤として極めて有用である。また、この発明で用いるピロロピリジン化合物は、波長230乃至500nm付近、より詳細には、250乃至450nm付近に吸収極大を有し、分子吸光係数も大きいので、有機EL素子による発光の色度を調節するための材料としても有用である。この発明のピロロピリジン化合物を用いて得られる有機EL素子は、発光効率や耐久性に優れているので、照明一般における発光体や、例えば、パネル状に形成することによって、画像情報や文字情報などの情報を視覚的に表示する多種多様の情報表示機器において極めて有利に用いることができる。
また、この発明のピロロピリジン化合物は、記述したとおり、波長230乃至500nm付近、より詳細には、250乃至450nm付近に吸収極大を有し、吸収極大における分子吸光係数も大きいので、自然光、人工光などの環境光における紫外領域から可視領域の光を吸収し、遮光するための光吸収剤としても極めて有用である。
この発明による有機EL素子の概略図である。 この発明による表示パネルの概略図である。 この発明による情報表示機器の概略図である。
既述したとおり、この発明は、一般式1で表されるピロロピリジン化合物とその用途に関するものである。
一般式1:
一般式1において、Xは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、フェニレン基又はビフェニレン基を表す。
一般式1において、R乃至R5は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R乃至R5における置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、1−プロピニル基、2−プロペニル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、2−ペンテニル基、2−ペンテン−4−イニル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、5−メチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基などの脂肪族炭化水素基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタジエニル基などの脂環式炭化水素基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナレニル基、フェナントリル基、ピレニル基などの芳香族炭化水素基、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、プロピルキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、アリルオキシ基、アリールオキシ基、フェノキシ基、トルイルオキシ基、ナフチルオキシ基などのエーテル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などのエステル基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ピペリジノ基、フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、N,N−ナフチルフェニルアミノ基、N,N−ジナフチルアミノ基、N−カルバゾリル基などのアミノ基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、ベンジル基、さらには、それらの組合わせによる置換基が挙げられる。
なお、一般式1において、R2乃至R5が置換基である場合、それら置換基の結合位置は、それらが結合する各フェニル基におけるオルト位、メタ位、パラ位のいずれであってもよく、各フェニル基におけるオルト位、メタ位、パラ位の2以上の位置に置換基が結合している場合、それら置換基は同じであっても異なっていてもよく、隣接するもの同士が互いに結合し合い、それらが結合する炭素原子を含んで、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環、ユロリジン環などの環状構造を形成していてもよい。この場合、R2乃至R5の一部又は全部は、見掛け上、独立した置換基として存在しないこととなる。
また、nは、1又は2を表す。但し、nが1のとき、Xはフェニレン基を表し、nが2のとき、一般式1で表されるピロロピリジン化合物はXを介して2量体化し、Rは存在しない。一般式1で表されるピロロピリジン化合物がXを介して2量体化した化合物は、一般式1で表されるピロロピリジン化合物1分子からなる単量体と比べ、蛍光強度が顕著に高くなり、長波長発光を示す特徴を有している。
この発明によるピロロピリジン化合物の具体例としては、例えば、化学式1乃至25で表されるものが挙げられる。これらは、いずれも、波長230乃至500nm付近、より詳細には、250乃至450nm付近に吸収極大を有する。さらに、化学式1乃至25で表されるピロロピリジン化合物は、波長450乃至550nm付近に蛍光極大などの発光極大を有し、励起すると、緑乃至赤色光を発光する。しかも、この発明のピロロピリジン化合物は、250℃を越える融点を有し、400℃を超える分解点を有する。
周知のとおり、有機化合物における融点や分解点は熱安定性の指標とされており、融点や分解点が高いものほど熱安定性も大きいとされている。然して、この発明のピロロピリジン化合物は、発光能を有する熱安定性に優れた有機化合物を必要とする有機EL素子の分野において極めて有用である。ちなみに、この発明によるピロロピリジン化合物の融点及び分解点は、例えば、汎用の示差走査熱量分析(以下、「DSC分析」と略記する。)により決定することができる。また、この発明によるピロロピリジン化合物のいずれも、可視領域に1又は複数の吸収極大を有し、吸収極大における分子吸光係数(ε)も3.0×10以上と比較的大きいので、自然光、人工光などの環境光における紫外領域から可視領域の光を吸収し、遮光するための光吸収剤として極めて有用である。
化学式1:
化学式2:
化学式3:
化学式4:
化学式5:
化学式6:
化学式7:
化学式8:
化学式9:
化学式10:
化学式11:
化学式12:
化学式13:
化学式14:
化学式15:
化学式16:
化学式17:
化学式18:
化学式19:
化学式20:
化学式21:
化学式22:
化学式23:
化学式24:
化学式25:
この発明のピロロピリジン化合物は諸種の方法により調製できるけれども、
例えば、反応容器に化学式26で表されるテトラベンゾイルエタン、p−トルイジン、及びp−トルエンスルホン酸をそれぞれ適量とるか、反応容器に化学式26で表されるテトラベンゾイルエタン、フェニレンジアミン、及びp−トルエンスルホン酸をそれぞれ適量とり、これを適宜溶剤に溶解し、例えば、トシル酸などの酸触媒などを加えた後、加熱還流などにより加熱・撹拌しながら周囲温度か周囲温度を上回る温度で反応させ、次いでアミノアセトニトリルを加えた後、適宜溶剤に溶解し、加熱還流などにより加熱・撹拌しながら周囲温度か周囲温度を上回る温度で反応させることにより得ることができる。
化学式26:
溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、四塩化炭素、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、α−ジクロロベンゼンなどのハロゲン化物、メタノール、エタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、フェノール、ベンジルアルコール、クレゾール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類及びフェノール類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、アニソール、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、メチルカルビトール、エチルカルビトールなどのエーテル類、アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸、無水酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチル燐酸トリアミド、燐酸トリメチルなどの酸及び酸誘導体、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、ニトロメタン、ニトロベンゼンなどのニトロ化合物、ジメチルスルホキシド、スルホランなどの含硫化合物、水などが挙げられ、必要に応じて、これらは組み合わせて用いられる。
溶剤を用いる場合、一般に、溶剤の量が多くなると反応の効率が低下し、反対に、少なくなると、均一に加熱・撹拌するのが困難になったり、副反応が起こり易くなる。したがって、溶剤の量を重量比で原料化合物全体の100倍まで、通常、5乃至50倍にするのが望ましい。原料化合物の種類や反応条件にもよるけれども、反応は10時間以内、通常、0.5乃至5時間で完結する。反応の進行は、例えば、薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなどの汎用の方法によってモニターすることができる。この発明によるピロロピリジン化合物は、この方法によるか、この方法に準じて所望量を製造することができる。
斯くして得られるピロロピリジン化合物は、用途によっては反応混合物のまま用いられることもあるけれども、通常、使用に先立って、例えば、溶解、分液、傾斜、濾過、抽出、濃縮、薄層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、蒸留、昇華、結晶化などの類縁化合物を精製するための汎用の方法によって精製され、必要に応じて、これらの方法は組み合わせて適用される。ピロロピリジン化合物の種類や有機EL素子の用途にもよるけれども、この発明の有機EL素子へ適用するピロロピリジン化合物は、通常、使用に先立って、例えば、蒸留、結晶化及び/又は昇華などの方法により高度に精製しておくのが望ましい。
このうち、昇華は、1回の操作で高純度の結晶が容易に得られるうえに、操作に伴うピロロピリジン化合物の損失が少なく、しかも、溶剤が結晶中に取り込まれることがないので、特に優れている。適用する昇華方法は、常圧昇華方法であっても減圧昇華方法であってもよいが、通常、後者の減圧昇華方法が適用される。この発明のピロロピリジン化合物を減圧昇華するには、例えば、適量のピロロピリジン化合物を昇華精製装置内へ仕込み、装置内を10−2Torrを下回る減圧、好ましくは、10−3Torr以下に保ちながら、ピロロピリジン化合物が分解しないように、融点を下回るできるだけ低い温度で加熱する。昇華精製へ供するピロロピリジン化合物の純度が比較的低い場合には、不純物が混入しないように、減圧度や加熱温度を加減することによって昇華速度を抑え、また、ピロロピリジン化合物が昇華し難い場合には、昇華精製装置内へ希ガスを通気することによって昇華を促進する。昇華によって得られる結晶の大きさは、昇華精製装置内における凝縮面の温度を加減することによって調節することができ、凝縮面を加熱温度よりも僅かに低い温度に保ち、徐々に結晶化させると比較的大きな結晶が得られる。
この発明で用いるピロロピリジン化合物は、既述したとおり、波長230乃至500nm付近、より詳細には、250乃至450nm付近に吸収極大を有し、波長450乃至550nm付近に蛍光極大などの発光極大を有し、励起すると、緑乃至赤色光を発光し、250℃を越える融点を有し、400℃を超える分解点を有する。したがって、この発明のピロロピリジン化合物は、単独又は他の発光性化合物と組み合わせることによって、緑乃至赤色光を発光する有機EL素子用発光剤として極めて有利に用いることができる。この発明でいう有機EL素子とは斯かるピロロピリジン化合物を用いる電界発光素子全般を意味し、とりわけ、正電圧を印加する陽極と、負電圧を印加する陰極と、正孔と電子とを再結合させて発光を取り出す発光層と、必要に応じて、さらに、陽極から正孔を注入し輸送する正孔注入/輸送層、陰極から電子を注入し輸送する電子注入/輸送層と、正孔が発光層から電子注入/輸送層へ移動するのを抑制する正孔ブロック層とを設けてなる単層及び積層型の有機EL素子が重要な適用対象となる。
有機EL素子の動作は、周知のとおり、本質的に、電子及び正孔を電極から注入する過程と、電子及び正孔が固体中を移動する過程と、電子及び正孔が再結合し、一重項励起子又は三重項励起子を生成する過程と、その励起子が発光する過程とからなり、これらの過程は単層型及び積層型有機EL素子のいずれにおいても本質的に異なるところがない。しかしながら、単層型有機EL素子においては、発光性化合物の分子構造を変えることによってのみ上記4過程の特性を改善し得るのに対して、積層型有機EL素子においては、各過程において要求される機能を複数の材料に分担させるとともに、それぞれの材料を独立して最適化できることから、一般的には、単層型に構成するよりも積層型に構成する方が所期の性能を達成し易い。
そこで、この発明の有機EL素子につき、積層型有機EL素子を例に挙げて説明すると、図1はこの発明による積層型有機EL素子の概略図であって、図中、1は基板であり、通常、アルミノ珪酸塩ガラス、アルミノ硼珪酸ガラス、石英ガラス、ソーダ石灰ガラス、バリウム珪酸ガラス、バリウム硼珪酸ガラス、硼珪酸ガラスなどのガラスか、あるいは、アラミド、ポリアクリレート、ポリアリレート、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリメチルアクリレート、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂、弗素系樹脂、メラミン系樹脂などのプラスチック、アルミナ、シリコン、石英、炭化珪素などのセラミックをはじめとする基板材料を板状、シート状又はフィルム状に形成して用いられ、必要に応じて、これらは積層して用いられる。中でも、例えば、アルミノ珪酸塩ガラス、アルミノ硼珪酸ガラス、石英ガラス、硼珪酸ガラス、バリウム硼珪酸ガラスなどの、アルカリ含量、熱膨張係数がともに小さく、表面が平滑で傷がなく、研磨し易いフォトマスク用ガラスや、隣接する電気伝導膜との親和性に優れ、水分を透過し難い、例えば、アラミド系、エポキシ系、フェノール系、ポリアリレート系、ポリイミド系、ポリエステル系、芳香族ポリエーテル系、ポリオレフィン系、メラミン系、弗素系のプラスチックが好ましく、シリコンなどの不透明なセラミック材料は透明な電極用材と組み合わせて用いられる。
2は陽極であり、電気的に低抵抗率であって、しかも、全可視領域に亙って光透過率が大きい金属若しくは電気伝導性材料の1又は複数を、例えば、真空蒸着、スパッタリング、化学蒸着(CVD)、原子層エピタクシー(ALE)、塗布、浸漬などの方法により、基板1の一側に密着させて、陽極2における抵抗率が1kΩ/□以下、好ましくは、5乃至50Ω/□になるように、厚さ10乃至1,000nm、好ましくは、50乃至500nmの単層又は多層に製膜することによって形成される。陽極2における電気伝導性材料としては、例えば、金、白金、アルミニウム、ニッケルなどの金属、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫と酸化インジウムとの混合系(以下、「ITO」と略記する。)などの金属酸化物、さらには、アニリン、チオフェン、ピロールなどを反復単位とする電気伝導性オリゴマー及びポリマーが挙げられる。このうち、ITOは、低抵抗率のものが容易に得られるうえに、酸などを用いてエッチングすることにより、微細パターンを容易に形成できる特徴がある。
3は正孔注入/輸送層であり、通常、陽極2におけると同様の方法により、陽極2に密着させて、正孔注入/輸送層用材を厚さ1乃至1,000nmに製膜することによって形成される。正孔注入/輸送層用材としては、陽極2からの正孔注入と輸送を容易ならしめるべく、イオン化電位が小さく、かつ、例えば、10乃至10V/cmの電界下において、少なくとも、10−6cm/V・秒の正孔移動度を発揮するものが好ましい。個々の正孔注入/輸送層用材としては、有機EL素子において汎用される、例えば、アリールアミン誘導体、イミダゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、トリアゾール誘導体、カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、スチルベン誘導体、テトラアリールエテン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールエテン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フタロシアニン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、N−ビニルカルバゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニルアントラセン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポルフィリン誘導体などが挙げられ、必要に応じて、これらは組み合わせて用いられる。このうち、芳香族第三級アミンである、例えば、モノアリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン、テトラアリールアミンなどのアリールアミンの単量体及び多量体が特に好ましい。
4は発光層であり、通常、陽極2におけると同様の方法により、正孔注入/輸送層3に密着させてこの発明によるピロロピリジン化合物の1又は複数をそれ単独か、あるいは、適宜のホスト化合物若しくはゲスト化合物などの1又は複数とともに厚さ1乃至1,000nm、好ましくは、10乃至200nmに製膜することによって形成される。この発明のピロロピリジン化合物は一重項励起子、三重項励起子などの励起子を形成し易く、しかも、蛍光、燐光などの発光のエネルギー準位が好適であることから、それのみによっても、1又は複数のホスト化合物若しくはゲスト化合物と組み合わせることによっても有機EL素子の発光層を構成することができる。とりわけ、ホスト化合物としてのこの発明のピロロピリジン化合物と適宜のゲスト化合物とを組み合わせるときには、従来公知のホスト化合物によっては容易に達成できない、極めて高レベルの発光輝度、電力効率、外部量子効率及び寿命を達成することができる。また、この発明のピロロピリジン化合物をゲスト化合物として用いるときには、いわゆる、発光層用材自身による発光の「濃度消光」を招来し難いことから、発光層において、ホスト化合物に対する配合比をより大きくすることによって素子の発光輝度を高めることができる。ホスト化合物とゲスト化合物とを組み合わせて発光層を構成するこの発明による有機EL素子において、ホスト化合物に対してゲスト化合物を等モルまで、通常、0.1乃至10モル%、好ましくは、0.5乃至5モル%用い、両者を単層又は多層に分離して厚さ1乃至1,000nm、好ましくは、10乃至200nmに製膜することによって発光層4を形成する。
この発明によるピロロピリジン化合物をホスト化合物として用いる場合、この発明のピロロピリジン化合物と組み合わせて用いる他のホスト化合物としては、有機EL素子において汎用されるキノリノール金属錯体や、例えば、アントラセン、クリセン、コロネン、トリフェニレン、ナフタセン、ナフタレン、フェナントレン、ピセン、ピレン、フルオレン、ペリレン、ベンゾピレンなどの縮合多環式芳香族炭化水素及びそれらの誘導体、クォーターフェニル、ジスチリルアリーレン、1,4−ジフェニルブタジエン、スチルベン、ターフェニル、テトラフェニルブタジエン、ビフェニルなどの環集合式炭化水素及びそれらの誘導体、オキサジアゾール、カルバゾール、ピリダジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾールなどの複素環化合物及びそれらの誘導体、キナクリドン、ルブレン及びそれらの誘導体、さらには、スチリル系のポリメチン色素、アダマンタン誘導体などが挙げられる。
これらのホスト化合物のうちで、特に好ましいものの一つとして、例えば、キノリノール金属錯体を挙げることができる。この発明でいうキノリノール金属錯体とは、分子内にピリジン残基とヒドロキシ基とを有する、例えば、8−キノリノール類、ベンゾキノリン−10−オール類などの配位子としてのキノリノール類と、そのピリジン残基における窒素原子から電子対の供与を受けて配位子と配位結合を形成する、通常、中心原子としての一価、二価又は三価の、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、硼素、アルミニウム、ガリウム、インジウムなどの周期律表における第1族、第2族、第12族又は第13族に属する金属若しくはその酸化物からなる錯体一般を意味する。配位子が8−キノリノール類又はベンゾキノリン−10−オール類のいずれかである場合には、それらは置換基を1又は複数有していてもよく、ヒドロキシ基が結合している8又は10位の炭素以外の炭素へ、例えば、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基などの脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのエーテル基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基などのエステル基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、さらには、これらの組合わせによる置換基の1又は複数が結合することを妨げない。キノリノール金属錯体が同一分子内に2以上の配位子を有する場合、それらの配位子は互いに同じものであっても異なるものであってもよい。
個々のキノリノール金属錯体としては、例えば、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(3,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4−メトキシ−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,5−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,6−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(5−クロロ−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(5−ブロモ−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(5−スルホニル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(5−プロピル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウムオキシドなどのアルミニウム錯体、ビス(8−キノリノラート)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)亜鉛、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)亜鉛、ビス(2−メチル−5−クロロ−8−キノリノラート)亜鉛、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)亜鉛、ビス(3,4−ジメチル−8−キノリノラート)亜鉛、ビス(4,6−ジメチル−8−キノリノラート)亜鉛、ビス(5−クロロ−8−キノリノラート)亜鉛、ビス(5,7−ジクロロ−8−キノリノラート)亜鉛などの亜鉛錯体、ビス(8−キノリノラート)ベリリウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)ベリリウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)ベリリウム、ビス(2−メチル−5−クロロ−8−キノリノラート)ベリリウム、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)ベリリウム、ビス(3,4−ジメチル−8−キノリノラート)ベリリウム、ビス(4,6−ジメチル−8−キノリノラート)ベリリウム、ビス(5−クロロ−8−キノリノラート)ベリリウム、ビス(4,6−ジメチル−8−キノリノラート)ベリリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリノラート)ベリリウムなどのベリリウム錯体、ビス(8−キノリノラート)マグネシウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)マグネシウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)マグネシウム、ビス(2−メチル−5−クロロ−8−キノリノラート)マグネシウム、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)マグネシウム、ビス(3,4−ジメチル−8−キノリノラート)マグネシウム、ビス(4,6−ジメチル−8−キノリノラート)マグネシウム、ビス(5−クロロ−8−キノリノラート)マグネシウム、ビス(5,7−ジクロロ−8−キノリノラート)マグネシウムなどのマグネシウム錯体、トリス(8−キノリノラート)インジウムなどのインジウム錯体、トリス(5−クロロ−8−キノリノラート)ガリウムなどのガリウム錯体、ビス(5−クロロ−8−キノリノラート)カルシウムなどのカルシウム錯体が挙げられ、必要に応じて、これらは組み合わせて用いられる。
この発明で用いるゲスト化合物としては、有機EL素子において汎用される、例えば、アクリドン誘導体、ナイルレッドなどのオキサゾン誘導体、キナクリドン誘導体、特開2001−76875号公報、特開2001−76876号公報、特開2001−329257号公報、特開2002−226484号公報、特開2003−249371号公報、特開2003−249372号公報、特開2004−6222号公報などに開示されたクマリン誘導体、桂皮酸エステル誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン、4,4′−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル、4,4′−ビス[(1,1,2−トリフェニル)エテニル]ビフェニルなどのスチルベン誘導体、アントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、9,10−ビス(フェニルエチル)アントラセン、クリセン、コロネン、デカサイクレン、テトラセン、テトラフェニルシクロペンタジエン、4,4−ビス(9″−エチニルアントラセニル)ビフェニル、ピレン、ペリレン、ジベンゾ[f,f]ジインデノ[1,2,3−cd:1′,2′,3′−lm]ペリレン、1,4−ビス(9′−エチニルアントセニル)ベンゼン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、ルブレンなどの多環式芳香族化合物及びそれらの誘導体、トリアリールアミン誘導体、ピラジン誘導体、4−(ジシアノメチレン)−2−tert−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルユロリジル−9−エニル)−4H−ピランなどのピラン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ポリターフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリナフチレンビニレン及びその誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体などが挙げられ、必要に応じて、これらは組み合わせて用いられる。なお、既述したとおり、この発明によるピロロピリジン化合物は、有機EL素子において、ホスト化合物としてのみならず、ゲスト化合物としても有効に機能する。この発明によるピロロピリジン化合物をゲスト化合物として用いる場合、この発明によるピロロピリジン化合物と、既述したごときホスト化合物のうちの、この発明によるピロロピリジン化合物以外のものとを適宜組み合わせ、有機EL素子の発光層を構成する。
5は電子注入/輸送層であり、通常、陽極2におけると同様の方法により、発光層4に密着させて、電子親和力の大きい有機化合物か、あるいは、例えば、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、カルボジイミド、ジスチリルピラジン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、シラザン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、トリアゾール誘導体、複素環化合物のテトラカルボン酸誘導体、フタロシアニン誘導体、フルオレノン誘導体、発光層4におけると同様のキノリノール金属錯体、さらには、アニリン、チオフェン、ピロールなどを反復単位とする電気伝導性オリゴマー若しくはポリマーの1又は複数を厚さ10乃至500nmに製膜することによって形成される。複数の電子注入/輸送層用材を用いる場合には、その複数の電子注入/輸送層用材を均一に混合して単層に形成しても、混合することなく、電子注入/輸送層用材ごとに隣接する複数層に形成してもよい。正孔ブロック層を設けるときには、電子注入/輸送層5の形成に先立って、陽極2におけると同様の方法により、発光層4に密着させて、例えば、2−ビフェニル−4−イル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−[1,3,4]オキサジアゾール、2,2−ビス[5−(4−ビフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル−1,4−フェニレン]ヘキサフルオロプロパン、1,3,5−トリス−(2−ナフタレン−1−イル−[1,3,4]オキサジアゾール−5−イル)ベンゼンなどのオキサジアゾール系化合物をはじめとする正孔ブロック層用材による薄膜を形成する。正孔ブロック層の厚さは、電子注入/輸送層5の厚さや有機EL素子の動作特性などを勘案しながら、1乃至100nm、通常、5乃至50nmの範囲に設定する。
6は陰極であり、通常、電子注入/輸送層5に密着させて、電子注入/輸送層5において用いられる化合物よりも仕事関数が低い(通常、5eV以下)、例えば、リチウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、銀、銅、アルミニウム、インジウム、イッテルビウムなどの金属、合金若しくは金属酸化物又は電気伝導性化合物を単独又は組み合わせて蒸着することによって形成する。陰極6の厚さについては特に制限がなく、電気伝導性、製造コスト、素子全体の厚さ、光透過性などを勘案しながら、通常、抵抗率が1kΩ/□以下になるように、厚さを10nm以上、好ましくは、50乃至500nmに設定する。なお、陰極6と、有機化合物を含有する電子注入/輸送層5との間に、密着性を高めるために、必要に応じて、例えば、芳香族ジアミン化合物、キナクリドン化合物、ナフタセン化合物、有機シリコン化合物、有機燐化合物などを含んでなる界面層を設けてもよい。また、電子の陰極6からの電子注入/輸送層5への移動を容易ならしめるために、陽極2におけると同様の方法により、陰極6における電子注入/輸送層5へ接する側へ、例えば、弗化リチウム、酸化リチウムなどのアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物による厚さ0.1乃至2nmの薄膜を形成してもよい。
このように、この発明の有機EL素子は、基板上に、陽極、発光層及び陰極、さらには、必要に応じて、正孔注入/輸送層、電子注入/輸送層、正孔ブロック層などを隣接する層と互いに密着させながら一体に形成することによって得ることができる。各層を形成するに当たっては、有機化合物の酸化や分解、さらには、酸素や水分の吸着などを最小限に抑えるべく、高真空下、詳細には、10−5Torr以下で一貫作業するのが望ましい。また、発光層を形成するに当たっては、例えば、あらかじめ、ホスト化合物とゲスト化合物とを所定の割合で混合しておくか、あるいは、真空蒸着における両者の蒸着速度を互いに独立して制御することによって、発光層における両者の配合比を調節する。斯くして構築した有機EL素子は、使用環境における劣化を最小限に抑えるべく、素子の一部又は全体を、例えば、不活性ガス雰囲気下で封止ガラスや金属キャップにより封止するか、保護層を形成したり、あるいは、防湿塗料を塗布したり、紫外線硬化樹脂などによる保護層で覆うのが望ましい。さらには、有機EL素子の構造にもよるけれども、発光層からの発光を効率良く素子外へ取り出すために、必要に応じて、素子内の適所へ、例えば、輪帯板や、一次元若しくは二次元の反射型又は透過型の回折格子などの、素子における発光取出面に対する発光の入射角を変化させる回折手段を単独又は組み合わせて設け、素子内の有機層と無機層との界面、あるいは、発光取出面と大気との界面における全反射を抑制するようにしてもよい。
この発明による有機EL素子の使用方法について説明すると、この発明の有機EL素子は、用途に応じて、比較的高電圧のパルス性電圧を間欠的に印加するか、あるいは、比較的低電圧の非パルス性電圧(通常、2乃至50V)を連続的に印加して駆動する。この発明の有機EL素子は、陽極の電位が陰極より高いときにのみ発光する。したがって、この発明の有機EL素子へ印加する電圧は直流であっても交流であってもよく、また、印加する電圧の波形、周期も適宜のものとすればよい。交流を印加すると、この発明の有機EL素子は、原理上、印加する交流の波形及び周期に応じて輝度が増減したり点滅を繰り返す。図1に示す有機EL素子の場合、陽極2と陰極6との間に電圧を印加すると、陽極2から注入された正孔が正孔注入/輸送層3を経て発光層4へ、また、陰極6から注入された電子が電子注入/輸送層5を経て発光層4へそれぞれ到達する。その結果、発光層4において正孔と電子との再結合が生じ、それにより生じた励起状態の発光層用材から目的とする発光が陽極2及び基板1を透過して放出されることとなる。
この発明の有機EL素子は、耐久性に優れているうえに、発光効率が高く、その結果として、消費電力を抑えつつ、輝度を大きくするのが容易であることから、文字情報、画像情報などの情報を視覚的に表示する情報表示機器や、照明一般における光源(発光体)として多種多様の用途を有することとなる。すなわち、情報表示機器においては、常法により、この発明の有機EL素子を、例えば、軽量にして所望の形状、大きさのパネル状に形成し、コンピューター関連機器におけるビデオディスプレー、テレビ受像機、電話機、ゲーム機、計算機、写真機、時計、カーナビゲーション装置をはじめとする、情報の視覚的表示を必要とする民生用及び業務用の電気機械器具、電子機器、光学機器一般、さらには、計器一般、標識、案内板、広告パネルなどへ適用する。この場合、この発明による有機EL素子を単用するか、あるいは、必要に応じて、青色、緑色及び/又は赤色域の可視光を発光する他の有機EL素子や、発光の色度、色調を調節するための適宜フィルター類と組合わせつつ、斯界において汎用される単純マトリックス方式やアクティブマトリックス方式の駆動回路を適用して駆動する。照明の用途においては、常法により、この発明の有機EL素子を、例えば、軽量にして所望の形状、大きさのパネル状に形成し、省エネルギーにして省スペースな光源として、屋内照明、屋外照明をはじめとする一般照明へ適用したり、液晶素子のバックライト照明、鬱病などを治療するための物理療法に用いられる照明、さらには、家畜、家禽、魚介、昆虫、果樹、穀物、野菜、花卉をはじめとする動植物の光周性、走光性を制御するための照明などへ適用する。なお、陽極及び陰極に、微小光共振器として機能する反射鏡を用いるこの発明の有機EL素子は、例えば、小電流域で動作する無閾値レーザーとして有用である。
ところで、この発明のピロロピリジン化合物は、既述したとおり、波長230乃至500nm付近、より詳細には、250乃至450nm付近に吸収極大を有し、波長450乃至550nm付近に蛍光極大などの発光極大を有し、励起すると、緑乃至赤色光を発光し、250℃を越える融点を有し、400℃を超える分解点を有することから、有機EL素子における発光層用材としての用途に加えて、有機EL素子による発光の色度を所望のレベルに調節するための色度調節用材としても有用である。斯くして、この発明でいう有機EL素子とは、この発明のピロロピリジン化合物を発光層用材として含んでなるものは言うにおよばず、それに加えて、発光性化合物による電界発光の色度を調節する目的で、発光層以外の部分において、この発明のピロロピリジン化合物を単用したり、この発明のピロロピリジン化合物と、光吸収能を有する他の化合物の一種又は二種以上を併用する有機EL素子全般を包含するものである。
また、この発明のピロロピリジン化合物は、いずれも、波長230乃至500nm付近、より詳細には、250乃至450nm付近に吸収極大を有し、吸収極大における分子吸光係数も大きいので、自然光、人工光などの環境光における紫外領域から可視領域の光を吸収し、遮光するための光吸収剤としても極めて有用である。
この発明のピロロピリジン化合物を光吸収剤として用いるに際しては、ピロロピリジン化合物を単独で用いても、一種又は二種以上の他の複数の有機色素化合物と組合せて用いてもよい。この発明のピロロピリジン化合物を光吸収剤として、例えば、衣料に用いると、斯かる光吸収剤により、自然光、人工光などの環境光に含まれる紫外領域から可視領域の光が効果的に遮光されることとなる。
この発明のピロロピリジン化合物の多くは微量で著明な遮光能を発揮するとともに、これを物品に配合しても、物品における所期の色彩、色調、風合を実質的に損なうことがない。したがって、この発明のピロロピリジン化合物は、種々の物品に適用する光吸収剤として好適に用いることができる。とりわけ、この発明のピロロピリジン化合物は、衣料用光吸収剤として好適に用いることができる。適用対象である衣料としては、例えば、ビジネススーツ、サックスーツ、三つぞろえ、ブレザー、カーディガンジャケット、ブルゾン、ボレロ、サックなどのジャケット類及びベスト類、ワイシャツ、ドレスシャツ、フォーマルシャツ、スポーツシャツ、アロハシャツ、カッターシャツ、開襟シャツ、ポロシャツ、ティーシャツなどのシャツ類、スラックス、らっぱズボン、ニッカーボッカー、ガウチョパンツ、ペダルプッシャーズ、ジーンズなどのスボン類、ネクタイ、蝶ネクタイ、クラバット、セーラータイ、ウィンザータイなどのネクタイ類、アンダーシャツ、ブリーフ、ズロース、スキャンティー、ショーツ、トランクスなどの下着類、ランジェリー、ペチコート、キャミソール、ブラジャー、ストッキング、パンティーストッキング、ガードル、ボディースーツなどのファンデーション類、チョリ、ミディブラウス、セットインブラウスなどのブラウス類、ディバイデッドスカート、ミディスカート、ミニスカート、トランペットスカート、ラップスカートなどのスカート類、エプロンドレス、ベーシックドレス、キャミソールドレス、シュミーズドレス、コートドレス、ハウスドレス、ジャンパードレス、サックドレス、シースドレス、シフトドレスなどのドレス類、プルオーバー、カーディガン、ボートネックセーター、バルキーセーター、クルーネックセーター、タートルネックなどのセーター類、バルマカーン、ダッフルコート、ダスターコート、インバネス、ラグラン、トレンチコート、レーンコートなどの外套類、燕尾服、タキシードなどの礼服類、テンガロンハット、ベレー帽、縁なし帽、アルパイン、ボーター、バスビー、ダービー、フェドーラ、フェズ、狩猟帽、オペラハット、ソンブレロ、ブレトン、クローシュ、ピルボックス、ピクチャーハット、スヌード、タモシャンター、トーク、ターバン、ボンネット、カスケットなどの帽子類、アンクルソックス、ボビーソックス、クルーソックス、ニーソックス、オーバーニーソックス、スウェットソックス、スリークォーターソックス、チューブソックスなどの靴下類、さらには、アノラック、タオル、タオルケット、バスタオル、ハンカチ、手拭、毛皮、手袋、ミトン、マフラー、スカーフ、リボン、腹巻、ユニフォーム、ジャージー、和服、水着、ウェットスーツ、作業服、消火服、軍服、飛行服、潜水服、宇宙服などの衣服一般に加えて、それらの衣服を調製するための芯地、裏地などの衣服材料全般が挙げられる。
この発明のピロロピリジン化合物の光吸収剤としての用途は衣料に限定されず、自然光、人工光などの環境光における紫外領域から可視領域の光を吸収し、遮光する必要性のある衣料以外の多種多様の物品にも有利に適用することができる。衣料以外の個々の物品としては、例えば、ドレープ、レース、ケースメント、プリント、ベネシャンブラインド、ロールスクリーン、シャッター、のれん、毛布、布団、布団側地、布団カバー、布団綿、シーツ、座布団、枕、枕カバー、クッション、マット、カーペット、寝袋、テント、自動車の内装材、ウインドガラス、窓ガラスなどの建寝装用品、紙おむつ、おむつカバー、眼鏡、モノクル、ローネットなどの衛生用品、靴の中敷、靴の内張地、鞄地、風呂敷、傘地、パラソル地、ぬいぐるみ、照明装置や、例えば、ブラウン管ディスプレー、液晶ディスプレー、電界発光ディスプレー、プラズマディスプレーなどを用いるテレビ受像機やパーソナルコンピューターなどの映像表示装置用のフィルター類、パネル類及びスクリーン類、サングラス、サンルーフ、サンバイザー、PETボトル、貯蔵庫、ビニールハウス、寒冷紗、光ファイバー、プリペイドカード、電子レンジ、オーブンなどの覗き窓、さらには、自然光、人工光などの環境光への露光を嫌う物品を包装、充填又は収納するための包装用材、充填用材、容器などにおいても極めて有利に用いることができる。
この発明のピロロピリジン化合物は、光吸収剤として上記種々の物品に用いると、生物や物品における障害や不都合を防止したり低減できるだけでなく、物品を透過・反射する光を所望の色バランスに整えることができる実益がある。
また、この発明のピロロピリジン化合物を光吸収剤として上記のごとき物品に適用するには、物品の形状、大きさ、使用目的などに応じて、通常の混合、塗布、噴霧、浸漬、固着などの方法を適用すればよい。この発明のピロロピリジン化合物を光吸収剤として衣料をはじめとする諸種の物品に一時的又は半永久的に担持せしめるには、例えば、この発明のピロロピリジン化合物の一種又は二種以上を、必要に応じて、担持材、マイクロカプセル化剤、バインダー、モノマー、オリゴマー、多官能試薬、糊剤、接着剤、着色剤、難燃剤、しわ取り剤、消臭剤、撥水剤、撥油剤、制電剤、導電剤、吸水剤、防湿剤、芳香剤、酸化防止剤、防虫剤、防黴剤、抗菌剤、抗アレルギー剤、血行促進剤、界面活性剤、乳化安定剤、キレート剤などの一種又は二種以上とともに、例えば、水、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、石油ベンジン、イソオクタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、四塩化炭素、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、フェノール、ベンジルアルコール、クレゾール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、アニソール、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、メチルカルビトール、エチルカルビトール、フルフラール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、蟻酸、酢酸、無水酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチル燐酸トリアミド、燐酸トリエチル、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ベンゾニトリル、ニトロメタン、ニトロベンゼン、エチレンジアミン、ピリジン、ピペリジン、モルホリン、ジメチルスルホキシド、スルホランなどの汎用の溶剤又はこれらの混液に溶解又は懸濁させ、必要に応じて、汎用の推進剤とともに密閉容器に収容する。斯くして得られる溶液及び懸濁液は、これらを諸種の物品に塗布又は噴霧するか、あるいは、物品をこれらに浸漬することによって、物品における所望の一部又は全体に遮光能を賦与することができる。この方式の光吸収剤のうち、洗浄したり洗濯することによって容易に除去し得るものは、例えば、通常の外出及び運動競技に加えて、園芸、ピクニック、ハイキング、トレッキング、登山、水泳、スキー、ゴルフ、サイクリング、潮干狩、釣などの強い紫外線を浴びる場所に出掛ける際に、事前に、衣料を一時的に遮光処理し、着用後、必要に応じて、洗浄又は洗濯することによって、光吸収剤を容易に脱着させることができる。
更に、この発明のピロロピリジン化合物を光吸収剤として衣料などに半永久的に担持せしめるには、一種又は二種以上のこの発明のピロロピリジン化合物をそのままの状態か、あるいは、例えば、微細な多孔質構造を有するシリカ、活性炭、メラミン樹脂、アクリレート樹脂、尿素樹脂などの微粒子を用いてマイクロカプセル化した状態で、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アミノプラスト樹脂、エポキシ樹脂、グリオキザール樹脂、エチレン尿素樹脂、シリコン樹脂などによるバインダーとともに、必要に応じて、高級アルコール又は界面活性剤を含有せしめた水性媒体中に分散させる。この分散液に布帛又は縫製品を浸漬し、遠心分離などにより余分な分散液を除去し、180℃以下、望ましくは、140℃以下で乾燥した後、必要に応じて、常法にしたがって乾熱セット又は湿熱セットする。この方法によるときには、衣料に斯かる光吸収剤を半永久的に担持させることができ、洗濯耐性も向上する。斯かる光吸収剤を、例えば、衣料、建寝装用品、衛生用品、さらには、照明装置や画像表示装置装置などのフィルター類、パネル類及びスクリーン類、サンルーフ、PETボトル、テント、ビニールハウスなどの物品に配合する場合には、物品の調製が完了するまでの適宜工程において、斯かる光吸収剤を適量含有せしめればよい。
この発明の実施の形態につき、以下、実施例に基づいて説明する。
〈有機EL素子用発光剤〉
反応容器に酢酸30mlをとり、化学式26で表されるテトラベンゾイルエタン2.00g、p−トルイジン1.42g、及びp−トルエンスルホン酸30mgを添加して24時間加熱還流した。加熱還流後、8時間及び16時間後にそれぞれ、p−トルイジン1.42gをそれぞれ添加し、反応させた後、徐冷し、1日放置し、結晶化させて、N−(p−メチルフェニル)−2,5−ジフェニル−3,4−ジベンゾイルピロール(中間生成物)を得た。次いで、適量のn−ブタノールに中間生成物0.8gとアミノアセトニトリル0.45gを加え、48時間加熱還流し、加熱還流後、12時間後、24時間後、及び48時間後にそれぞれ、アミノアセトニトリル0.45gをそれぞれ添加し、反応させた後、徐冷し、1日放置し、析出物を濾過し、水を加えて洗浄した。次いでテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、活性炭を添加し加熱し、不純物を除去し、THFを留去した。得られた粗結晶をn−ブタノールで再結晶化し、この発明のピロロピリジン化合物である化学式2で表される6−シアノ−2−N−(p−メチルフェニル)−1,3,4,7−テトラフェニルピロロ[3,4−c]ピリジンの黄色針状結晶を得た。結晶の一部をとり、常法にしたがって塩化メチレン溶液における可視吸収スペクトル及び蛍光スペクトルを測定したところ、それぞれ、波長260nm及び499nmに吸収極大(波長394nmに副吸収を伴う)及び蛍光極大が観察された。また、常法にしたがってクロロホルム−d溶液におけるH−NMRを測定したところ、化学シフトδ(ppm、TMS)が2.1(3H,CH3)及び6.8乃至7.2(24H,ArH)の位置にピークが観察された。更に、市販のDSC分析装置(商品名『DSC220U型』、セイコーインスツルメンツ株式会社製造)を用い、昇温速度10℃/分でDSC分析したところ、本例のピロロピリジン化合物の融点は268.7℃、分解点は430.8℃であった。
熱安定性に優れ、励起すると緑色域の蛍光を発する本例のピロロピリジン化合物は、単用でも、他のホスト化合物やゲスト化合物との併用でも、有機EL素子用発光剤として極めて有用である。
〈有機EL素子用発光剤〉
反応容器に酢酸30mlをとり、化学式26で表されるテトラベンゾイルエタン2.00g、フェニレンジアミン0.72g、及びp−トルエンスルホン酸30mgを添加して24時間加熱還流した。加熱還流後、8時間後及び16時間後にフェニレンジアミン0.72gをそれぞれ添加し、反応させた後、徐冷し、1日放置し、結晶化させて、N−(p−メチルフェニル)−2,5−ジフェニル−3,4−ジベンゾイルピロール(中間生成物)を得た。次いで、適量のn−ブタノールに中間生成物0.8gとアミノアセトニトリル0.45gを加え、48時間加熱還流し、加熱還流後、12時間後、24時間後、及び48時間後にそれぞれ、アミノアセトニトリル0.45gをそれぞれ添加し、反応させた後、徐冷し、1日放置し、析出物を濾過し、水を加えて洗浄した。次いでN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、活性炭を添加し加熱し、不純物を除去し、DMFを減圧留去した。得られた粗結晶をn−ブタノールで再結晶化し、この発明のピロロピリジン化合物である化学式23で表される1,4−ジ(6−シアノ−2−N−(p−メチルフェニル)−1,3,4,7−テトラフェニルピロロ[3,4−c]ピリジン−2−イル)ベンゼンの黄橙色針状結晶を得た。結晶の一部をとり、常法にしたがって塩化メチレン溶液における可視吸収スペクトル及び蛍光スペクトルを測定したところ、それぞれ、波長260nm及び528nmに吸収極大(波長425nmに副吸収スペクトルを伴う)及び蛍光極大が観察された。また、常法にしたがってクロロホルム−d溶液におけるH−NMRを測定したところ、化学シフトδ(ppm、TMS)が6.5乃至7.7(44H,ArH)の位置にピークが観察された。更に、市販のDSC分析装置(商品名『DSC220U型』、セイコーインスツルメンツ株式会社製造)を用い、昇温速度10℃/分でDSC分析したところ、本例のピロロピリジン化合物の融点は289.5℃、分解点は470℃であった。
〈有機EL素子用発光剤〉
実施例1及び実施例2で得た、化学式2及び化学式23で表されるこの発明のピロロピリジン化合物を、それぞれ、水冷式昇華精製装置内へ仕込み、常法により、装置内を減圧に保ちながら加熱することによってそれぞれ昇華精製した。
昇華精製して得られた、本例の2種類のピロロピリジン化合物は、いずれも、高純度の発光性有機化合物を必要とする有機EL素子において極めて有用である。
この発明で用いるピロロピリジン化合物は、構造によって仕込条件や収量に若干の違いはあるものの、例えば、上記以外の化学式1、化学式3乃至22、化学式24、及び化学式25で表されるものを含めて、いずれも、実施例1又は2の方法によるか、あるいは、その方法に準じて所望量を得ることができる。
〈有機EL素子〉
この発明による有機EL素子用発光剤を用い、図1に示す構造の積層型有機EL素子を作製した。すなわち、常法により、臭化水素酸によりパターン化した厚さ160nmの透明ITO電極を有するガラス製基板を有機アルカリ洗浄剤、純水、アセトン及びエタノールを用いて超音波洗浄し、乾燥し、紫外線オゾンによりITO電極表面の有機物を除去した後、真空蒸着装置における前処理室へ移した。前処理室内を1×10−6Torrまで減圧した後、アルゴン/酸素混合気を1×10−2Torrまで導入し、ITO電極表面をプラズマ処理することによって、陽極2としてのITO電極を有する清浄な基板1を得た。
基板1を1×10−6Torrまで減圧した真空蒸着装置の有機蒸着室内へ移し、陽極2としてのITO電極へ有機膜成形用マスクを装着した後、カーボン坩堝を加熱して、基板1におけるITO電極を有する側へ、正孔注入/輸送層用材として、化学式27で表されるトリフェニルアミン四量体(以下、「TPTE」と略記する。)を40nmまで蒸着して正孔注入/輸送層3を形成した。引き続き、ホスト化合物として、実施例3において昇華精製して得られた、化学式2及び化学式23で表される、この発明の2種類のピロロピリジン化合物のいずれかと、ゲスト化合物として、化学式28で表される赤色発光色素である4−(ジシアノメチレン)−2−tert−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルユロリジル−9−エニル)−4H−ピラン(以下、「DCJTB」と略記する。)とを重量比で100:1になるように厚さ40nmまで共蒸着して正孔注入/輸送層3に密着する発光層4を形成した後、さらに、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(以下、「AlQ」と略記する。)を厚さ40nmまで蒸着して、発光層4へ密着する電子注入/輸送層5を形成した。
化学式27:
化学式28:
その後、基板1を真空蒸着装置における金属蒸着室内へ移し、弗化リチウム及びアルミニウムをこの順序でそれぞれ厚さ0.5及び150nmまで蒸着して、電子注入/輸送層5へ密着する陰極6を形成した後、窒素雰囲気下で素子全体をガラス板及び紫外線硬化樹脂により封止して、この発明の2種類の有機EL素子を得た。斯くして得られた有機EL素子につき、常法により電界発光特性及び寿命について調べた。なお、寿命は、室温において、初期輝度を2,400cd/mに設定して求めた。別途、比較のために、この発明によるピロロピリジン化合物に代えて、ホスト化合物として、この発明によるピロロピリジン化合物の類似化合物として、特許文献1に記載された化学式29又は化学式30で表されるピロロピリジン化合物を用いて有機EL素子を作製し、同様に試験して、それぞれ、対照1、2とした。
化学式29:
化学式30:
その結果、本例の有機EL素子においても対照の有機EL素子においても、ホスト化合物に特有の発光は認められず、このことは、励起エネルギーがホスト化合物からゲスト化合物へ効率良く移動したことを物語っている。
ところが、本例の2種類の有機EL素子は、いずれも、電流密度11mA/cmで定電流駆動すると、室温における発光輝度は約500cd/cm以上と、対照1の有機EL素子の発光輝度(約410cd/cm)の約1.2倍を越える高輝度を示すとともに、対照2の有機EL素子の発光輝度(約380cd/cm)約1.3倍を越える高輝度を示した。そのときの電力効率及び外部量子効率も対照1、2の有機EL素子を明らかに上回っていた。また、本例の有機EL素子は、発光が安定して持続し、高輝度(2,400cd/m)で100時間駆動しても、ダークスポットなどの非発光部は認められなかったのに対し、対照1、2の有機EL素子は、いずれも、本例の有機EL素子と同様に試験したとき、90時間駆動した時点で、既にダークスポットなどの非発光部が複数箇所認められた。この結果から、本例の有機EL素子の寿命は、対照1、2と比べ約1.5倍以上長いと推定された。
これらの結果は、この発明のピロロピリジン化合物を発光剤として用いることによって、長寿命にして高輝度、高効率の有機EL素子を実現できることを物語っている。
〈表示パネル〉
図2に示すのは、この発明の有機EL素子を主体とする単純マトリックス方式による表示パネルの1例(水平方向に20電極列、垂直方向に30電極列)であり、斯かる表示パネルは次のようにして作製することができる。
すなわち、実施例4の方法に準じてガラス製基板10の一側へITO透明電極による陽極14を形成した後、湿式エッチング法により陽極14をストライプ状に加工する。次いで、実施例4の方法に準じて正孔注入/輸送層16、発光層18などを順次形成し、メカニカルマスクを用いて陰極20をストライプ状に形成した後、ガラス板(図示しない)と紫外線硬化樹脂により有機EL素子を封止する。なお、本例の表示パネルにおいては、使用時の温度上昇を抑えるべく、必要に応じて、陰極20の背面側へ放熱板や冷却ファンなどの放熱手段を設けてもよい。
〈情報表示機器〉
図3のブロックダイアグラムに示すのは、実施例5の方法により作製した表示パネルを用いる情報表示機器の1例である。図3において、30は出力電圧4.5Vの直流電源であり、その出力端には二つの昇圧回路32、34が接続されている。昇圧回路32は5乃至12Vの範囲の直流電圧を供給することができ、その出力端はドライバ回路36へ接続されている。もう一方の昇圧回路34は、5Vの定電圧をマイクロコンピューター38へ供給するためのものである。
マイクロコンピューター38は、外部と信号のやりとりをするI/Oインターフェース38aと、プログラムなどを記録するROM38bと、各種のデータを記録するRAM38cと、各種の演算を実行するCPU38dとを含んでなる。マイクロコンピューター38には、マイクロコンピューター38へ8MHzのクロック信号を供給するクロック発生回路と、二つの発振回路42、44がそれぞれ接続されており、その二つの発振回路42、44は、マイクロコンピューター38へ、それぞれ、表示速度を制御する5乃至50Hzの信号と、走査周波数を制御する0.2乃至2kHzの信号を供給するためのものである。
48はこの発明の有機EL素子を主体とする表示パネルであり、ドライバ回路36、46を介してマイクロコンピューター38へ接続されている。ドライバ回路36は、昇圧回路からの直流電圧が表示パネル48へ印加されるのを制御する回路であって、表示パネル48における垂直方向の電極列へ個別に接続される複数のトランジスタを含んでなる。したがって、このドライバ回路36におけるトランジスタのいずれかがオンすると、そのトランジスタへ接続されている垂直方向の電極列へ昇圧回路36からの電圧が印加されることとなる。一方、ドライバ回路46は、表示パネル48の水平方向の電極列へ個別に接続される複数のトランジスタを含んでなり、ドライバ回路46におけるトランジスタのいずれかがオンすると、そのトランジスタへ接続されている水平方向の電極列が接地されることとなる。
本例の情報表示機器は斯く構成されているので、マイクロコンピューター38の指示にしたがってドライバ回路36、46におけるトランジスタがオンすると、表示パネル48の垂直方向及び水平方向における対応する電極列間へ所定の電圧が印加され、その交点に位置する有機EL素子が発光することとなる。したがって、例えば、ドライバ回路46を適宜制御することによって水平方向の電極列を1列選択し、その電極列を接地しつつ、ドライバ回路36を適宜制御することによって垂直方向の電極列へ接続されたトランジスタを順次オンすれば、その選択された水平方向の電極列全体が水平方向に走査され、所与の画素が表示されることとなる。斯かる走査を垂直方向に順次繰り返すことによって、1画面全体を表示できる。なお、本例におけるドライバ回路36は、電極1列分のデータレジスタを有しているので、この記録されているデータに基づいてトランジスタを駆動するのが好適である。
表示する情報は、表示の速度と周期に合わせて外部から供給するか、あるいは、例えば、文字情報などのように、一定のパターンを有する情報については、ROM38bにそのパターンをあらかじめ記憶させておき、これをデータとしてもよい。また、通常のNTSC方式によるテレビジョン放送を表示する場合には、先ず、受信した信号を放送規格に基づく水平周波数、垂直周波数にしたがって水平同期信号と垂直同期信号とに分離するとともに、映像信号を表示パネル48の画素数に対応したデジタル信号に変換する。これらの信号をマイクロコンピューター38へ適宜同期させて供給することによって、テレビジョン放送を表示パネル48へ表示することができる。
〈光吸収剤〉
紫外領域に吸収極大を有する化学式2及び化学式23で表されるこの発明の2種類のピロロピリジン化合物を質量比2:1の割合で均一に混合し、混合物にN−メチルピロリドンを質量比1:100で加えた後、常法にしたがって、溶液に微細な多孔質構造を有するシリカ粒子(粒径2乃至6μm)を浸漬して有機色素化合物をマイクロカプセル化し、この発明の光吸収剤を得た。複数の有機化合物が互いに渾然一体に混じり合った光吸収剤としてのマイクロカプセルをアクリル酸エステル系バインダー(商品名『ブライマールHA−16』、日本ライヒホールド製造)に質量比1:1の割合で混合した後、120g/lの水分散液とした。この分散液にナイロン6の加工糸からなるストッキングを浸漬し、マイクロカプセルを乾燥重量で3%付着させた後、遠心脱水機により脱水し、120℃で乾燥し、140℃で3分間乾熱セットした。その後、有機色素化合物のマイクロカプセルを付着させたストッキングを右脚部(試験例)に、有機色素化合物を付着させない同様のストッキングを左脚部(比較例)にそれぞれ配し、手縫製することによってパンティーストッキングを作製した。
このパンティーストッキングにつき、18乃至38歳の女性20名を対象に1箇月間に亙って試用試験したところ、左脚部と比較して、右脚部の日焼が有意に少なかった。また、試用所見について対象者全員をアンケートしたところ、本例のパンティーストッキングは、着用すると、左脚部と比較して、右脚部に著明な清涼感があり、蒸れ難いうえに、繰返し洗濯しても、遮光効果が減弱しないという回答が大勢を占めた。
叙上のごとく、この発明のピロロピリジン化合物は、次世代の表示素子として注目を浴びている有機EL素子の分野において、発光層を構成するホスト化合物、ゲスト化合物などの発光剤として、電界発光の色度を所望のレベルに調節するための色度調節用材として、更に、衣料をはじめとする各種物品へ適用可能な光吸収剤として極めて有用である。
1、10 基板
2、14 陽極
3、16 正孔注入/輸送層
4、18 発光層
5 電子注入/輸送層
6、20 陰極
30 直流電源
32、34 昇圧回路
36、46 ドライバ回路
38 マイクロコンピューター
40 クロック発生回路
42、44 発振回路
48 表示パネル

Claims (7)

  1. 一般式1で表される2量体化したピロロピリジン化合物。一般式1:
    (一般式1において、Xは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、フェニレン基又はビフェニレン基を表し、乃至Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、それら置換基の結合位置は、それらが結合する各フェニル基におけるオルト位、メタ位、パラ位のいずれであってもよく、各フェニル基におけるオルト位、メタ位、パラ位の2以上の位置に前記置換基が結合している場合、それら置換基は同じであっても異なっていてもよく、隣接するもの同士が互いに結合し合い、それらが結合する炭素原子を含んで、環状構造を形成していてもよい。nは、を表、一般式1で表されるピロロピリジン化合物はXを介して2量体化し、Rは存在しない。)
  2. 一般式1で表される2量体化したピロロピリジン化合物を含んでなる有機電界発光素子用発光剤。一般式1:
    (一般式1において、Xは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、フェニレン基又はビフェニレン基を表し、乃至Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、それら置換基の結合位置は、それらが結合する各フェニル基におけるオルト位、メタ位、パラ位のいずれであってもよく、各フェニル基におけるオルト位、メタ位、パラ位の2以上の位置に前記置換基が結合している場合、それら置換基は同じであっても異なっていてもよく、隣接するもの同士が互いに結合し合い、それらが結合する炭素原子を含んで、環状構造を形成していてもよい。nは、を表、一般式1で表されるピロロピリジン化合物はXを介して2量体化し、Rは存在しない。)
  3. 一般式1で表される2量体化したピロロピリジン化合物を用いる有機電界発光素子。一般式1:
    (一般式1において、Xは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、フェニレン基又はビフェニレン基を表し、乃至Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、それら置換基の結合位置は、それらが結合する各フェニル基におけるオルト位、メタ位、パラ位のいずれであってもよく、各フェニル基におけるオルト位、メタ位、パラ位の2以上の位置に前記置換基が結合している場合、それら置換基は同じであっても異なっていてもよく、隣接するもの同士が互いに結合し合い、それらが結合する炭素原子を含んで、環状構造を形成していてもよい。nは、を表、一般式1で表されるピロロピリジン化合物はXを介して2量体化し、Rは存在しない。)
  4. 有機電界発光素子が、陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び陰極を備える有機電界発光素子であって、前記発光層に、一般式1で表されるピロロピリジン化合物がドーパントとして、又、正孔輸送層物質及び電子輸送層がともにホストとして配合されていることを特徴とする請求項3に記載の有機電界発光素子。
  5. 請求項3又は4に記載の有機電界発光素子を用いる表示パネル。
  6. 請求項3又は4に記載の有機電界発光素子を用いる情報表示機器。
  7. 一般式1で表される2量体化したピロロピリジン化合物を含んでなる光吸収剤。一般式1:
    (一般式1において、Xは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、フェニレン基又はビフェニレン基を表し、乃至Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、それら置換基の結合位置は、それらが結合する各フェニル基におけるオルト位、メタ位、パラ位のいずれであってもよく、各フェニル基におけるオルト位、メタ位、パラ位の2以上の位置に前記置換基が結合している場合、それら置換基は同じであっても異なっていてもよく、隣接するもの同士が互いに結合し合い、それらが結合する炭素原子を含んで、環状構造を形成していてもよい。nは、を表、一般式1で表されるピロロピリジン化合物はXを介して2量体化し、Rは存在しない。)
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