JP5450130B2 - シートの固定装置 - Google Patents

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Description

本発明はシートの固定装置に関し、固定されたシートにガタが生じるのを抑制し、かつ小形化したものである。
車両には、シートクッションとシートバックとからなるシートにおける前記シートバックを前へ倒して折り畳むことができる構成や、前記シートクッションを跳ね上げることができる構成のもの等がある。これらのシートでは、シートクッションやシートバックを車体に着脱自在に固定できるようにするため、シートの固定装置が設けられる。
従来のシートの固定装置としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。シートの固定装置は、特許文献1の図1に示すように、ストライカ進入溝23を有するベースプレート1と、該ストライカ進入溝23へ入り込んだストライカ18を噛み込んでラッチ軸37を中心として回動するラッチ31と、プレート軸47を中心として回動自在であり前記ラッチ31のラッチ係合部51と係合する係合フック45を有するロッキングプレート33と、プレート軸47を中心として回動自在でありロッキングプレート33の上部の突起部43の部分を円周方向から挟む第1ストッパ57,第2ストッパ59を有すると共にストライカ進入溝23へ入り込んだストライカ18に当接して該ストライカ18を規制するストライカ規制部材35と、ラッチ31とストライカ規制部材35とを反時計方向へ回動させる付勢手段39とによって構成されている。ストライカ18がストライカ進入溝23の最奥に位置する状態では、ラッチ31のラッチ係合部51とロッキングプレート33の係合フック45との間には隙間が存在しているが、付勢手段39の付勢力によりストライカ規制部材35が反時計方向へ付勢されてストライカ18に押し当てられ、ラッチ31が反時計方向へ回動して該ラッチ31のラッチ係合部51にロッキングプレート33の係合フック45が係合した状態となるため、このロック状態では前記隙間がなくなってシートのがたつきが防止される。
一方、特許文献2に記載のシートの固定装置は、案内溝10を有するケース2と、該案内溝10へ入り込んだストライカ7を保持溝13へ噛み込んだ状態で第1支持ピン11を中心として回動するフォーク3と、第2支持ピン12を中心として回動自在に設けられ前記フォーク3の係止部15を係止させる係止面17を有するロックプレート4と、第2支持ピン12を中心として回動自在でありカム面20がフォーク3の係合子9に係合してフォーク3が反時計方向へ回動するのを規制する制御部材5と、フォーク3とロックプレート4との上部を連結するスプリング25と、ロックプレート4に対して制御部材5を時計方向へ付勢するスプリング8と、により構成されている。フォーク3の回転により、該フォーク3の保持溝13へ噛み込んだストライカ7を案内溝10の奥へ押圧し、ストライカ7をフォーク3と案内溝10の最奥に設けられた緩衝ゴム体6との間に挟むことにより、ストライカ7を2点で支持してストライカ7のガタを防止している。
特開平08−260788号公報 特開2006−15892号公報
ところが、特許文献1に記載のシートの固定装置は、ロック時にストライカ規制部材35が反時計方向へ付勢されストライカ18に直接に押し当てられることから、ストライカ18がストライカ進入溝23から出る方向へ向ってラッチ31が僅かに回動させられた状態となって、ストライカ進入溝23の最奥の内面とストライカ18との間に隙間が生じており、シートバックに乗員の体重が作用してベースプレート1に大きな荷重が作用すると、ストライカ規制部材35が付勢手段39の付勢力に抗して時計方向へ回動させられ、ストライカ18にガタを生じる場合がある。
一方、特許文献2に記載のシートの固定装置は、フォーク3の係合子9の軌跡上から制御部材5を離脱させるのに、制御部材5の上部をケース2に対して外側へ回動させて逃がす構成であり、制御部材5を逃がすためのスペースが必要になり、シートの固定装置が大型化する。
そこで本発明は、上記の課題を解決し、ラッチを回動付勢して間接的にストライカをロックする方向へ加圧するカムを備え、かつ該カムの回動範囲を含めて小形化したシートの固定装置を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、車体に固定したストライカと、シートに設けられ前記ストライカをキャッチするキャッチ手段とにより構成され、該キャッチ手段は、シートに固定されたベースプレートと、該ベースプレートの略中間位置に外周部から内部へ向って形成され前記ストライカが入脱する第1嵌入部と、前記ベースプレートの前記第1嵌入部に対して一方側にラッチ軸を介して回動自在に設けられロック位置とロック解除位置とを占めると共にロック位置からロック解除位置へ向って回動付勢されているラッチと、該ラッチに設けられ前記第1嵌入部に入り込んだ前記ストライカが入脱する第2嵌入部と、前記ベースプレートの前記第1嵌入部に対して他方側にロック軸を介して回動自在に設けられ前記ラッチが回動付勢されてロック位置からロック解除位置へ回動するのを拘束する拘束位置と許容する許容位置とを占めると共に許容位置から拘束位置へ向って回動付勢されているロックプレートと、前記ラッチ軸と前記ロック軸とを結ぶ線分に対して前記第1嵌入部の反対側の位置で前記ラッチに軸方向へ突出形成された突起部と、前記ロック軸に回動自在に設けられ前記ラッチがロック位置を占めるときに前記第1嵌入部の近傍から前記突起部へ向って加圧方向へ回動付勢され前記突起部を押圧することにより前記ラッチをロック位置へ向って加圧するカムと、前記ロックプレートを前記回動付勢に抗してロック解除操作して拘束位置から許容位置へ回動させるため前記ロックプレートに形成された操作部と、前記ロックプレートに形成され前記操作部のロック解除操作により前記カムを前記加圧方向とは反対の方向へ前記カムの回動付勢に抗して押圧してロック解除移行位置まで回動させる押圧部とを備え、ロック解除操作時に前記ロックプレートが拘束位置から許容位置へ回動し、前記押圧部が前記カムを反加圧方向へ押圧してロック解除移行位置まで回動させると、前記ラッチの回動付勢により前記突起部が前記カムを反加圧方向へ押圧する力が前記カムを加圧方向へ回動付勢する力よりも大きくなって前記ラッチが前記カムをロック解除移行位置から反加圧方向へ回動させ、前記ラッチがロック位置からロック解除位置まで回動することを特徴とする。
この発明によれば、ラッチがロック位置を占める状態では、カムが突起部を回動付勢してラッチをロック位置の方向へ加圧するので、加圧されるラッチと第1嵌入部の奥の内面との間にストライカが挟まれ、該ストライカが第1嵌入部の内部で拘束されガタがなくなる。操作部をロック解除操作してロックプレートを拘束位置から許容位置へ回動させると、ロックプレートに設けられた押圧部がカムを該カムの回動付勢に抗して押圧して回動させ、回動したカムがロック解除移行位置を占めて該カムと突起部との当接部分が変わると、ラッチの回動付勢により突起部がカムを反加圧方向へ回動させようとする回転モーメントが大きくなる。そして、ラッチの回動付勢によって突起部の回動付勢する力が、カムの回動付勢する力よりも大きくなり、かつロックプレートは許容位置へ回動してラッチは開放さているので、ラッチがロック解除移行位置にあるカムを反加圧方向へ押し出してラッチはロック解除位置まで回動し、ストライカが第1嵌入部および第2嵌入部から排出される。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のシートの固定装置において、前記カムがロック解除移行位置まで回動したときに、前記ラッチの回動付勢により前記突起部が前記カムを押圧する押圧方向が、前記カムと前記突起部との当接点から前記ロック軸の近傍へ向う方向より、当接点において前記カムを反加圧方向へ回動させることになる方向に切り換わることを特徴とする。
この発明によれば、ラッチはロック解除位置へ向って回動付勢される一方、カムは突起部を加圧する方向へ回動付勢されており、ラッチがロック位置を占める状態では、突起部がカムを押圧する押圧方向は、カムと突起部との当接点からロック軸の近傍へ向かう方向であり、そのため突起部からカムに作用する力による回転モーメントは僅かであってカムは突起部から殆ど影響を受けず、カムはカムの回動付勢により加圧方向へ向って回動する。操作部をロック解除操作してロックプレートを拘束位置から許容位置へ回動させると、ロックプレートの押圧部がカムをロック解除移行位置まで回動させるので、突起部がカムを押圧する押圧方向が当接点において前記カムを反加圧方向へ回動させることになる方向に切り換わり、ラッチの回動付勢による突起部の回動付勢力が、カムの回動付勢力よりも大きくなり、カムは反加圧方向へ向って回動させられる。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のシートの固定装置において、前記突起部は、前記カムのカム面に当接する半径寸法の大きな大円弧部と、前記カム面の端部に当接すると共に前記大円弧部に連続して形成され大円弧部よりも半径寸法が十分に小さい小円弧部とを有し、前記押圧部が前記カムを反加圧方向へ押圧してロック解除移行位置まで回動させると、前記カムの当接点が前記突起部の前記大円弧部から前記小円弧部へ移動することを特徴とするシートの固定装置。
この発明によれば、ラッチはロック解除位置へ向って回動付勢される一方、カムは突起部を加圧する方向へ回動付勢されており、ラッチがロック位置を占める状態では、カムのカム面が突起部の大円弧部に当接しており、このときに突起部の大円弧部がカム面を押圧する押圧方向は当接点における大円弧部の接線と直角な方向であり、大円弧部の中心から当接点へ向う方向となるので、大円弧部がカム面を押圧する押圧方向は当接点からロック軸の近傍へ向う方向となる。このため、カムに作用する反加圧方向の回転モーメントは僅かであってカムは突起部から殆ど影響を受けず、カムはカムの回動付勢により加圧方向へ向って回動する。操作部をロック解除操作してロックプレートを拘束位置から許容位置へ回動させると、ロックプレートの押圧部がカムをロック解除移行位置まで回動させるので、カム面の端部と突起部の小円弧部とが当接し、このときに突起部の小円弧部がカムを押圧する押圧方向は当接点における小円弧部の接線と直角な方向であり、小円弧部の中心から当接点へ向う方向となるので、小円弧部がカムを押圧する押圧方向は、当接点において前記カムを反加圧方向へ回動させることになる方向となり、押圧方向が切り換わる。このため、ラッチの回動付勢による突起部の回動付勢力が、カムの回動付勢力よりも大きくなり、カムは反加圧方向へ向って回動させられる。
請求項4に係る発明は、請求項3に記載のシートの固定装置において、前記突起部の形状は、円柱の外周面に切欠部を形成することにより円柱の外周面に円弧部と平面部とを形成し、該円弧部を前記大円弧部とし、該大円弧部と前記平面部との繋ぎ部分に前記小円弧部を形成したことを特徴とするシートの固定装置。
この発明によれば、ラッチに突起部を形成する場合には、円柱部分の外周面に切欠部を形成して平面部を形成し、円柱部分の外周面である大円弧部と平面部との繋ぎ部分に小円弧部を形成すればよい。
請求項1に係るシートの固定装置によれば、ストライカが入脱する第2嵌入部を有するラッチをラッチ軸に設け、該ラッチに突起部を形成し、該突起部を加圧するカムを設けたので、ラッチがロック位置を占めるときに、カムが突起部を回動付勢してラッチをロック位置の方向へ加圧し、加圧されるラッチと第1嵌入部の奥の内面との間にストライカが挟まれ、該ストライカが第1嵌入部の内部で拘束される。従って、シートに乗員の体重が作用した場合でもシートがガタつくことはない。
また、ラッチがロック位置にあってロックプレートが拘束位置を占めるときは、カムが加圧方向へ回動付勢されることによりラッチがロック位置へ向って回動付勢されてストライカが第1嵌入部の奥の内面へ押圧される一方、ロックプレートを許容位置へ回動させると該ロックプレートに設けられた押圧部がカムを押圧してロック解除移行位置まで回動させ、該ロック解除移行位置のカムを突起部がラッチの回動付勢により反加圧方向へ回動させるので、ラッチがロック解除移行位置にあるカムを反加圧方向へ押し出し、ラッチはロック解除位置まで回動できる。これにより、カムがラッチのロック解除方向への回動の妨げになることはなく、カムが回動する回動空間をラッチの回動空間に重ねて設けることができる。従って、カムを第1嵌入部側へ向って回動する構成とすることができ、カムが回動する回動空間がラッチ軸とロック軸とで囲まれた空間の内側となり、シートの固定装置の小形化が図れる。
請求項2に係るシートの固定装置によれば、ロックプレートに設けられた押圧部がカムを押圧して該カムがロック解除移行位置まで回動すると、突起部がカムを付勢する付勢方向が、カムと突起部との当接点からロック軸の近傍へ向う方向より、当接点において前記カムを反加圧方向へ回動させることになる方向に切り換わるので、ロックプレートを拘束位置にするかそれとも許容位置にするかにより、カムが現実に回動する方向は、ラッチをロック位置へ向って加圧する加圧方向または加圧方向とは反対方向であってラッチがロック解除位置へ回動するのを許容する方向となる。このため、ロック解除の際にカムがラッチの回動の妨げになることはない。
請求項3に係るシートの固定装置によれば、突起部は、半径寸法の大きな大円弧部と該大円弧部に連続して形成され該大円弧部よりも半径寸法が十分に小さい小円弧部とを有するので、ロックプレートが拘束位置にあるときは突起部の大円弧部がカム面を押圧し、その押圧方向は当接点からロック軸の近傍へ向かうためカムに作用する反加圧方向の回転モーメントは僅かであってカムは突起部から殆ど影響を受けず、カムはカムの回動付勢により加圧方向へ向って回動する一方、ロックプレートが許容位置へ回動すると押圧部に押圧されてカムがロック解除移行位置まで回動して突起部の小円弧部がカム面の端部を押圧し、その押圧方向は当接点において前記カムを反加圧方向へ回動させることになる方向に切り換わるため、カムに作用する反加圧方向の力が大きくなり、カムはカムの回動付勢に抗して反加圧方向へ向って回動する。突起部に十分に小さい半径の小円弧部を形成したことにより、カムの僅かな回動で突起部がカムを押圧する押圧方向を大きく変更することができ、押圧方向がカムの回転中心を中心とする円の円周方向に近づいて、ラッチがカムを反加圧方向へ押圧する力を大きくすることができる。このため、ストライカのロックまたはロック解除の際の作動が安定し、かつ操作性が良い。
請求項4に係るシートの固定装置によれば、ラッチに突起部を形成する場合に、円柱部分を形成すると共に該円柱部分の外周面に切欠部を形成するだけで、ほぼ突起部を形成することができ、突起部の形成が容易に行える。
シートの固定装置におけるキャッチ手段の分解斜視図(実施の形態)。 シートの固定装置のロック状態の構成図(実施の形態)。 シートの固定装置のカムがロック始点位置を占める状態の構成図(実施の形態)。 シートの固定装置のカムがロック解除移行位置を占める状態の構成図(実施の形態)。 シートの固定装置のロック解除状態の構成図(実施の形態)。 (a)はシートバックにシートの固定装置を用いたシートの構成図、(b)はシートクッションにシートの固定装置を用いたシートの構成図(実施の形態)。 ロック状態のときに、突起部からカムへ作用する力の方向を示す作用説明図(実施の形態)。 ロック解除操作されてカムがロック解除移行位置を占めるときに、突起部からカムへ作用する力の方向を示す作用説明図(実施の形態)。 突起部からカムへ作用する力の方向を、ロック状態とカムがロック解除移行位置を占める状態とで比較して示す作用説明図(実施の形態)。 カムがロック始点位置を占める時の、ラッチとロックプレートとの関係を示す説明図(実施の形態)。
以下、本発明によるシートの固定装置の実施の形態を説明する。
(構成)
図6(a)に示すようにシートクッション1aに対してシートバック1bが回動自在に設けられ、リヤシート1を構成している。前記シートクッション1aは床面である車体2aに図示しないボルトを介して結合され、前記シートバック1bは立設面である車体2bに着脱自在に取り付けられている。一方、図6(b)に示すのは、シートクッション1aの前部がヒンジを介して回動自在に構成され、シートクッション1aの後部が車体2aに着脱自在に取り付けられたものである。
シートクッション1aを車体2aに着脱自在に取り付けたり、シートバック1bを車体2bに着脱自在に取り付けるため、シートの固定装置3が設けられている。該シートの固定装置3は、ストライカ4とキャッチ手段5とにより構成されている。ストライカ4は棒状部材をU字形に屈曲形成してその両端を車体2a,2bに固定したものである。一方、キャッチ手段5はシートクッション1aの下面やシートバック1bの背面に埋め込んで設けられており、前記ストライカ4をキャッチしたりあるいは開放したりすることができる。
キャッチ手段5の構成を図1,図2に基づいて説明する。シートクッション1aやシートバック1bの図示しないフレームには、キャッチ手段5を構成するベースプレート6が固定されている。該ベースプレート6は図1に示すように略平面的なベースプレート本体7と収容空間を有する蓋体8とにより構成されている。ベースプレート本体7,蓋体8には、その長さ方向の略中間位置に、ストライカ4が相対的に入脱するための切欠部である第1嵌入部7a,8aが、外周部から内部へ向って夫々形成されている。
図2に示すようにベースプレート本体7,蓋体8の前記第1嵌入部7a,8aに対して左側には、ベースプレート本体7,蓋体8を連結するラッチ軸9を介してラッチ10が回動自在に設けられている。該ラッチ10には、前記第1嵌入部7a,8aに入り込んだストライカ4が入脱するための第2嵌入部10aが形成されている。ラッチ10はロック位置とロック解除位置とを占める。ロック位置とは、図2のように、ストライカ4が第1嵌入部7a,8aに入り込み、かつストライカ4がラッチ10の第2嵌入部10aに入り込んだときのラッチ10の回動位置をいう。一方、ロック解除位置とは、図5のように、ストライカ4が双方の嵌入部から排出され得るときのラッチ10の回動位置をいう。
ベースプレート本体7,蓋体8の前記第1嵌入部7a,8aに対して右側にベースプレート本体7,蓋体8を連結するロック軸11を介してロックプレート12が回動自在に設けられている。ラッチ10をロック位置で拘束するため、ラッチ10には図2中の右方へ向って突出する係合部10bが形成される一方、ロックプレート12の下部には、かぎ形状のロック部12aが形成されている。該ロックプレート12は前記ラッチ10がロック位置からロック解除位置へ回動するのを拘束する拘束位置(図2)と回動するのを許容する許容位置(図5)とを占める。ロックプレート12を許容位置から拘束位置へ向って回動付勢するため、付勢手段としてのばね13が設けられている。該ばね13は前記ロック軸11に巻回した状態で設けられ、その一端が前記蓋体8の側壁8bに掛けられ、他端がロックプレート12に形成されたばね掛け孔12bに挿通されている。
前記ラッチ軸9と前記ロック軸11とを結ぶ線分に対して前記第1嵌入部7a,8aの反対側の位置には、前記ラッチ10に軸方向へ突出形成した状態で突起部10cが設けられている。一方、該突起部10cを加圧するカム14が前記ロック軸11に回動自在に設けられている。該カム14は、前記ラッチ10が図2のロック位置を占めるときに、前記第1嵌入部7a,8aの近傍から前記突起部10cへ向って加圧方向へ回動付勢されことにより、前記ラッチ10をロック位置へ向って加圧するカム面14cを有する。
カム14を加圧方向へ回動付勢し、かつ前記ラッチ10をロック位置からロック解除位置へ向って回動付勢するため、前記ラッチ軸9を囲繞する付勢手段としてのばね15が設けられている。該ばね15の一端はラッチ10のばね掛け部10dに掛けられ、他端はカム14の長孔14aに挿通されている。
前記ロックプレート12をばね13の付勢力に抗して手動でロック解除操作して拘束位置から許容位置へ回動させるため、ロックプレート12の上部には操作部12cが一体形成され、該操作部12cの上端部には図6(a)の解除ロッド17の下端や図6(b)のワイヤ17bの端部を結合するための貫通孔12fが形成さている。また、操作部12cのロック解除操作により前記カム14を前記加圧方向とは反対の方向へばね15の付勢に抗して押圧して後述する図4のロック解除移行位置Bまで回動させる押圧部12dがロックプレート12におけるロック軸11の近傍に形成され、一方、カム14には、押圧部12dにより押圧するための被押圧部14bが、軸方向へ突出させてエンボス形成されている。
図1において、ベースプレート本体7,蓋体8は第1嵌入部7a,8aを基準として左右対称に形成され、下部に設けた左右の2つの結合孔7c,結合孔8cのうちの右側のものに挿入した軸16と前記ラッチ軸9と前記ロック軸11とを介して結合されており、左右の両端に配置された取り付け孔7d,8dに図示しない2本のボルトを挿通して、キャッチ手段5が図6(a),(b)に示すようにシートバック1b,シートクッション1aの図示しないフレームに結合されている。前記ラッチ軸9と前記ロック軸11との両端を支持するため、ベースプレート本体7,蓋体8には軸孔7e,8eが夫々4つずつ形成されており、この実施の形態では4つの軸孔7eおよび4つの軸孔8eのうちの右上のものと左下のものとが使用されている。この実施の形態では操作部12cの操作方向は図2の左方向であるが、操作方向を右方向にしたい場合は、軸孔7e,8eのうちの左上と右下のものを使用し、かつ下部の左側の結合孔7c,8cを使用することになる。
この発明では、前記操作部12cを図2の左方へ移動させてロック解除操作をすると、ロックプレート12が拘束位置から許容位置へ回動し、該ロックプレート12に設けられた押圧部12dがカム14の被押圧部14bを反加圧方向へ押圧してカム14を図4のロック解除移行位置Bまで回動させ、ばね15により加圧方向へ回動付勢されていたカム14が、ばね15により付勢されたラッチ10によってその反対方向である反加圧方向へ回動付勢され、これによりラッチ10がカム14を押しのけてロック位置からロック解除位置まで回動するように構成されている。即ち、カム14がロック解除移行位置Bまで回動すると、ばね15の付勢によって突起部10cがカム14を押圧する押圧方向が、カム14と突起部10cとの当接点からロック軸11の近傍へ向う方向より、当接点において前記カム14を反加圧方向へ回動させることになる方向に切り換わり、これによりばね15の付勢によって加圧方向へ付勢されていたカム14がこの付勢力よりも大きな力で突起部10cの付勢力により反加圧方向へ付勢され、カム14が反加圧方向へ回動するように設定されている。具体的には以下のように構成されている。
前記ラッチ10の前記突起部10cには、円柱の外周面の一部を切り欠いて平面部10hが形成され、図9に拡大して示すように、カム14のカム面14cに当接する半径寸法の大きな大円弧部10dと、カム面14cの端部14dに当接すると共に大円弧部10dに連続して平面部10hとの間の角部に形成され該大円弧部10dよりも半径寸法が十分に小さい小円弧部10eとを有する。
ロック状態では図7のようにカム14のカム面14cが突起部10cの大円弧部10dに当接してカム14が突起部10cを加圧しており、ロックプレート12を拘束位置から許容位置へ回動させると、該ロックプレート12の押圧部12dがカム14の被押圧部14bを押圧することから、カム14が図8に示す反加圧方向のロック解除移行位置Bまで回動し、カム面14cの端部14dが小円弧部10eに当接する。つまり、突起部10cに対するカム14の当接点が、大円弧部10dから小円弧部10eへ移動するように構成されている。カム14が大円弧部10d,小円弧部10eに当接するときに大円弧部10d,小円弧部10eからカム14へ作用する力F1の方向は、大円弧部10d,小円弧部10eの中心と当接点とを結ぶ方向になる。このため、図9に示すようにカム14が大円弧部10dに当接するときのF1の方向は常に接線に直交する方向であるため、カム14を反加圧方向へ回動させる回転モーメントが生じないようにロック軸11の近傍へ向うように設定する一方、カム14が小円弧部10eに当接するときのF1の方向は、カム14を反加圧方向へ回動させる回転モーメントが生じるようにロック軸11を中心とする円の円周方向へ向かうように設定されている。つまり、当接点の僅かな移動でF1の方向を大きく変えるために、大円弧部10dと小円弧部10eとの半径寸法に大きな差を設けている。このように当接点が移動するようにしたのは、突起部10cからカム14へ加わる力の方向が変化することで、カム14がばね15によって付勢される加圧方向の力よりも反対の方向へ向って、突起部10cがカム14を回動させる力の方が大きくなり、その結果としてカム14がラッチ10に押されて反加圧方向へ回動するように設定したものである。
カム14の前記ロック解除移行位置Bは、以下のように設定されている。
図9に示すように、突起部10cにおける前記大円弧部10dと前記小円弧部10eとの境界を境界位置A2とする。この境界位置A2にカム14が当接するときのカム14およびロックプレート12の位置を図3に示す。この位置が、ロックレバー12の操作を止めればカム14,ロックプレート12およびラッチ10がロック位置に自然に戻ることができるロック始点位置A1となる。
次に、ラッチ10がロックプレート12から開放されたときには、カム14の当接点が大円弧部10dから小円弧部10eに切り換わり、ラッチ10がばね15の付勢力でロック解除位置へ回動できるように設定されている。図2のロック状態からロックプレート12がカム14を押圧して図3に示すロック始点位置A1へ至った時のロックプレート12と、該ロックプレート12によってロック解除されるラッチ10との位置関係を図10に示す。ラッチ10の係合部10bには円弧部10fが形成される一方、ロックプレート12のロック部12aには円弧部12eが形成され、円弧部10fのA3の位置でロック部12aが係合部10bに当接している。この位置でロックプレート12の操作を止めれば、ロック部12aがばね13の付勢力によりA3の位置からY方向へ移動してラッチ10がロックされ、ロックプレート12を操作してロック部12aを更にX方向へ移動すればラッチ10がロック解除される。このため、A3の位置を切り換わり位置とする。
そして、ロック部12aが図10の切り換わり位置A3から図4に示すようにラッチ10の係合部10bから外れてしまうまでのロックプレート12の僅かな回動の間に、カム14と突起部10cの当接点における突起部10cの接線と直角な方向が、大円弧部10dから十分に小さい半径の小円弧部10eへの接触に切り換わることよって、ロック軸11の中心近傍へ向う方向からロック軸11を中心とする円の円周方向に大きく変化するように設定されている。
そのため、この発明では、カム14が図3のロック始点位置A1に位置するときには、図10に示すようにロックプレート12のロック部12aがラッチ10の係合部10bの切り換わり位置A3に当接し、かつカム14は図9に示す突起部10cの境界位置A2に当接するように設定されている。
カム14が突起部10cの大円弧部10dに当接すると、カム14は突起部10cから接線と直交する方向の力F1を受けるため、図7にF1で示すように力の方向はカム14の回転中心O2の近傍を通ることになってカム14を反加圧方向へ回動させる回転モーメントは殆ど作用せず、カム14はばね15の付勢力のみを受けて加圧方向へ回動し、ロック位置のラッチ10がロック位置の方向へ向って加圧される。一方、図8に示すようにカム14が突起部10cの小円弧部10eに当接すると、カム14は突起部10cから接線と直交する方向の力F1を受けるため、図8にF1で示すように力の方向はカム14の回転中心O2を中心とする円の円周方向へ大きく傾くことになって、カム14は突起部10cから反加圧方向へ向う大きな回転モーメントを受けることになり、カム14は反加圧方向へ回動し、カム14の回動に追従してラッチ10がロック解除位置へ向って回動する。そして、図4に示すようにロックプレート12のロック部12aがラッチ10の係合部10bから外れた許容位置まで回動すると、ラッチ10の回動を規制するものがなくなるため、ばね15の付勢により、ラッチ10はカム15を押しのけるようにして、ロック位置から図5のロック解除位置へ回動する。このため、カム14が図3に示すロック始点位置A1から僅かに反加圧方向へ回動した図4のBの位置が、前記ロック解除移行位置Bとして設定されている。
(作用)
次に、シートの固定装置の作用を説明する。
この発明によれば、図2に示すようにラッチ10がロック位置を占め、ロックプレート12のロック部12aがラッチ10の係合部10bと係合する状態では、カム14がばね15の付勢力により突起部10cを回動付勢してラッチ10をロック位置へ向って加圧するので、加圧されるラッチ10の第2嵌入部10aの内面と第1嵌入部7a,8aの奥の内面との間にストライカ4が挟まれ、該ストライカ4が第1嵌入部7a,8aの内部で拘束されガタがなくなる。次に、例えば図6(a)の解除ロッド17を上へ引くことにより、図3に示す操作部12cを左方へ引いてロック解除操作し、ロックプレート12をばね13の付勢力に抗して拘束位置から許容位置へ反時計方向に回動させると、ロックプレート12に設けられた押圧部12dがカム14の被押圧部14bをばね15の付勢力に抗して押圧してカム14を回動させ、カム14が図3に示すロック始点位置A1を少し越えて図4に示すロック解除移行位置Bまで回動する過程で、該カム14と突起部10cとの当接部分が変わり、ばね15の付勢により突起部10cがカム14を反加圧方向へ回動させようとする回転モーメントが大きくなる。そして、突起部10cがカム14を回動付勢する力が、ばね15がカム14を回動付勢する力よりも大きくなり、かつロックプレート12は許容位置へ回動してラッチ10は開放さているので、図4に示すようにロック解除移行位置Bにあるカム14をラッチ10が反加圧方向へ押し出し、その後にラッチ10は図5に示すようにロック解除位置まで回動し、ストライカ4が第1嵌入部7a,8aおよび第2嵌入部10aから排出される。つまり、ストライカ4のロックが解除される。
前記のようにロックプレート12の押圧部12dによりカム14がロック解除移行位置Bまで回動させられると、回動したカム14と突起部10cとの当接部分が変わり、ばね15の回動付勢により突起部10cがカム14を反加圧方向へ回動させようとする回転モーメントが大きくなる点について詳細に説明する。
ばね15により、ラッチ10はロック解除位置へ向って回動付勢される一方、カム14は突起部10cを加圧する加圧方向へ回動付勢されている。図2に示すようにラッチ10がロック位置を占める状態では、カム14のカム面14cが突起部10cの大円弧部10dに当接しており、このときに突起部10cの大円弧部10dがカム面14cを押圧する押圧方向は、図7にF1として示すように当接点Qにおける大円弧部10dの接線と直角な方向であり、大円弧部10dの中心O3から当接点Qへ向う方向となるので、大円弧部10dがカム面14cを押圧する力F1の押圧方向は、当接点Qからロック軸11とラッチ軸9との間のロック軸11の近傍の点Tへ向う方向となる。
このF1によりカム14を反加圧方向へ回動させるための力F3の値は、以下のようにして求められる。ばね15がラッチ10を回動付勢することにより、ラッチ10の突起部10cの当接点Qがラッチ10の回転中心O1を中心として円周方向へ回転しようとする力は、半径方向のO1Qと直角な方向であり、力Fとして表わされる。このFを大円弧部10dの接線と直角な方向の成分とラッチ10の回転中心O1に向かう方向の成分とに分解するとF1とF2とになる。更にF1をカム14の回転中心O2と当接点Qとを結ぶO2Qに直角な方向の成分とカム14の回転中心O2に向かう方向の成分とに分解すると、F3とF4とになる。カム14を回転中心O2を中心として反加圧方向へ回動させようとする力はO2Qに直角な方向の成分であり、F3となる。
一方、カム14を加圧方向へ回動付勢するばね15の力は、ばね15が長孔14aの内部でカム14と当接する当接点Sから長孔14aの内面に対して直角な方向の力Pとして表わされる。このPをO2Sに直角な方向の成分とO2Sに平行な方向の成分とに分解すると、P1とP2とになる。このP1をカム14の回転中心O2から離れた当接点Qに作用する力に置き換えると、(P1)(O2S)=(P3)(O2Q)となり、(P3)=(P1)(O2S)/(O2Q)となる。
前記のようにカム14のQ点を回転中心O2を中心として反加圧方向へ回動させる力はF3であり、加圧方向へ回動させる力はP3なので、加圧方向へ回動させる力が(P3−F3)となる。ここで、このF3の値は小さいのでF3によりカム14に作用する反加圧方向の回転モーメントは僅かであり、カム14は突起部10cから殆ど影響を受けないので、カム14は加圧方向へ向って回動する。
図2のロック状態から、図3のように手動で操作部12cを左方へ引いてロック解除操作し、ロックプレート12を拘束位置から許容位置へ回動させると、ロックプレート12の押圧部12dがカム14の被押圧部14bを押圧し、カム14が図3のロック始点位置A1を越えて図4,図8のロック解除移行位置Bまで反加圧方向へ回動させられ、カム14のカム面14cの端部14dが突起部10cの小円弧部10e(図9参照)に当接し、このときに突起部10cの小円弧部10eがカム14を押圧する押圧方向は、当接点Qにおける小円弧部10eの接線と直角な方向であり、図9に示すように小円弧部10eの中心O4から当接点Qへ向う方向となるので、小円弧部10eがカム14を押圧する押圧方向は、図8の当接点Qからロック軸11とラッチ軸9との中間部の近傍の点Tへ向う方向の力F1となり、F1の方向が図9の上部の矢印方向から図9の下部の矢印方向へと変化する。
このF1によりカム14を反加圧方向へ回動させるための力F3の値は、以下のようにして求められる。図8において、ばね15に回動付勢されてラッチ10の突起部10cの当接点Qがラッチ10の回転中心O1を中心として円周方向に回転しようとする力は、半径方向のO1Qと直角な方向の力Fとして表わせる。このFを小円弧部10eの接線と直角な方向の成分とラッチ10の回転中心O1に向かう方向の成分とに分解すると、F1とF2とになる。更にF1をカム14の回転中心O2と当接点Qとを結ぶ線分O2Qに直角な方向の成分とカム14の回転中心O2に向かう方向の成分とに分解すると、F3とF4とになる。このうち、O2を中心としてカム14を反加圧方向へ回動させようとする力は、線分O2Qに直角な方向の成分のF3である。この図8の力F3は、図7の力F3よりも十分に大きい。
一方、ばね15がカム14を加圧方向へ回動付勢する力は、ばね15が長孔14aの内部でカム14と当接する当接点Sから長孔14aの内面に対して直角な方向の力Pであり、Pを線分O2Sに直角な方向の成分と線分O2Sに平行な方向の成分とに分解するとP1とP2とになる。P1をカム14の回転中心O2から離れた当接点Qに作用する力に置き換えると、(P1)(O2S)=(P3)(O2Q)となり、(P3)=(P1)(O2S)/(O2Q)となる。
従って、カム14を回転中心O2を中心として反加圧方向へ回動させる力は(F3−P3)となり、F3>P3なので、カム14は反加圧方向へ向って回動する。つまり、ばね15が突起部10cを回動付勢する力が、ばね15がカム14を回動付勢する力よりも大きくなり、カム14は反加圧方向へ向って回動する。
ここで、ばね15が係止されるカム14の長孔14aは、カム14の中心O2を通る半径方向に対して傾斜した長孔として形成されており、これによりラッチ10のロック解除方向への付勢とカム14の加圧方向への付勢とを単一のばね15で行えるようにしている。即ち、長孔14aを中心O2の半径方向に対して傾斜させることで、カム14の加圧方向の力P1を小さくしており、単一のばね15を用いても上記のF3>P3の関係が成立するようにできる。なお、ラッチ10の付勢とカム14の付勢とを別々のばねで行う場合は、ばね力を別々に設定できることから、長孔14aを傾斜させる必要はない。
この発明によれば、ラッチ10に突起部10cを形成する場合には、円柱部分の外周面に切欠部を形成して平面部10hを形成し、大円弧部10dと平面部10hとの繋ぎ部分に小円弧部10eを形成すればよい。
このシートの固定装置によれば、ストライカ4が入脱する第2嵌入部10aを有するラッチ10をラッチ軸9に設け、該ラッチ10に突起部10cを形成し、該突起部10cを加圧するカム14を設けたので、ラッチ10がロック位置を占めるときに、カム14が突起部10cを回動付勢してラッチ10をロック位置へ向って加圧し、加圧されるラッチ10と第1嵌入部7a,8aの奥の内面との間にストライカ4が挟まれ、該ストライカ4が第1嵌入部7a,8aの内部で拘束される。従って、シートに乗員の体重が作用した場合でもシートがガタつくことはない。
また、ラッチ10がロック位置にあってロックプレート12が拘束位置を占めるときは、ばね15によりカム14が加圧方向へ回動付勢されてラッチ10がロック位置の方向へ加圧されて該ラッチ10によりストライカ4が第1嵌入部の奥の内面へ押圧される一方、ロックプレート12を許容位置へ回動させると押圧部12dがカム14を押圧してカム14を図4のロック解除移行位置Bまで回動させ、該ロック解除移行位置Bのカム14を突起部10cがラッチ10の回動付勢により反加圧方向へ回動させるので、ラッチ10がロック解除移行位置Bにあるカム14を反加圧方向へ押し出し、ラッチ10はロック解除位置まで回動できる。これにより、カム14がラッチ10のロック解除方向への回動の妨げになることはなく、カム14が回動する回動空間をラッチ10の回動空間に重ねて設けることができる。従って、カム14を第1嵌入部7a,8a側へ向って回動する構成とすることができカム14が回動する回動空間がラッチ軸9とロック軸11とで囲まれた空間の内側となり、シートの固定装置の小形化が図れる。
このシートの固定装置によれば、突起部10cは、半径寸法の大きな大円弧部10dと該大円弧部10dに連続して形成され該大円弧部10dよりも半径寸法が十分に小さい小円弧部10eとを有するので、ロックプレート12が拘束位置にあるときは、図7に示すように突起部10cの大円弧部10dがカム面14cを押圧し、力F1で示すようにその押圧方向は当接点Qからロック軸11の近傍の点Tへ向かうため、カム14に作用する反加圧方向の回転モーメントはF3×(O2Q)であって僅かであるためカム14は突起部10cから殆ど影響を受けず、カム14はばね15の付勢力により加圧方向へ向って回動する一方、ロックプレート12が許容位置へ回動すると、該ロックプレート12の押圧部12dに押圧されてカム14が図8のロック解除移行位置Bまで回動し、突起部10cの小円弧部10eがカム面14cの端部14dを押圧し、力F1で示すようにその押圧方向は当接点Qにおいて前記カム14を反加圧方向へ回動させることになる方向に切り換わるため、カム14に作用する反加圧方向の力が大きくなり、カム14はカム14に作用するばね15の回動付勢に抗して反加圧方向へ向って回動させられる。突起部10cに十分に小さい半径の小円弧部10eを形成したことにより、カム14の僅かな回動で突起部10cがカム14を押圧する押圧方向を大きく変更することができ、押圧方向がカム14の回転中心を中心とする円の円周方向に近づいて、ラッチ10がカム14を反加圧方向へ押圧する力を大きくすることができる。このため、ストライカ4のロックまたはロック解除の際の作動が安定し、かつ操作性が良い。
このシートの固定装置によれば、ラッチ10に突起部10cを形成する場合に、円柱部分を形成すると共に該円柱部分の外周面に切欠部を形成するだけで、ほぼ突起部10cを形成することができ、突起部10cの形成が容易に行える。
なお、本実施の形態は図6(a)に示すようにリヤシートを固定する構成や、図6(b)に示すようにシートクッションの前部にヒンジを設けると共に後部にキャッチ手段を設けてシートクッションを車体の前方へ跳ね上げる構成のものにシートの固定装置を適用した場合を示したが、シートクッションを側方へ跳ね上げる構成や床面収納する構成に適用してもよい。また、ベースプレートの第1嵌入部に対して図2中の左にラッチを配置して右にロックツースを配置したが、逆の配置であっても良い。更に、ばね15を、ラッチを付勢する付勢手段とカムを付勢する付勢手段として兼用したが、別々にばねを設けるようにしてもよい。また更に、ラッチ10に突起部10cを形成する場合には、円柱部分の外周面に切欠部を形成して平面部10hを形成し、大円弧部10dと平面部10hとの繋ぎ部分に小円弧部10eを形成したが、少なくとも、大円弧部10dのうちのカム14が当接する部分と小円弧部10eと、これらの部分が支持されるように強度を担保するための保持部分が存在すればよく、本実施の形態のような形状に限定されるものではない。
1…シート
2b…車体
3…シートの固定装置
4…ストライカ
5…キャッチ手段
6…ベースプレート
7a,8a…第1嵌入部
9…ラッチ軸
10…ラッチ
10a…第2嵌入部
10c…突起部
10d…大円弧部
10e…小円弧部
11…ロック軸
12…ロックプレート
12c…操作部
12d…押圧部
13,15…ばね(付勢手段)
14…カム
14c…カム面
14d…端部
Q…当接点

Claims (4)

  1. 車体に固定したストライカと、シートに設けられ前記ストライカをキャッチするキャッチ手段とにより構成され、
    該キャッチ手段は、シートに固定されたベースプレートと、該ベースプレートの略中間位置に外周部から内部へ向って形成され前記ストライカが入脱する第1嵌入部と、
    前記ベースプレートの前記第1嵌入部に対して一方側にラッチ軸を介して回動自在に設けられロック位置とロック解除位置とを占めると共にロック位置からロック解除位置へ向って回動付勢されているラッチと、該ラッチに設けられ前記第1嵌入部に入り込んだ前記ストライカが入脱する第2嵌入部と、
    前記ベースプレートの前記第1嵌入部に対して他方側にロック軸を介して回動自在に設けられ前記ラッチが回動付勢されてロック位置からロック解除位置へ回動するのを拘束する拘束位置と許容する許容位置とを占めると共に許容位置から拘束位置へ向って回動付勢されているロックプレートと、
    前記ラッチ軸と前記ロック軸とを結ぶ線分に対して前記第1嵌入部の反対側の位置で前記ラッチに軸方向へ突出形成された突起部と、前記ロック軸に回動自在に設けられ前記ラッチがロック位置を占めるときに前記第1嵌入部側から前記突起部へ向って加圧方向へ回動付勢され前記突起部を押圧することにより前記ラッチをロック位置へ向って加圧するカムと、
    前記ロックプレートを前記回動付勢に抗してロック解除操作して拘束位置から許容位置へ回動させるため前記ロックプレートに形成された操作部と、前記ロックプレートに形成され前記操作部のロック解除操作により前記カムを前記加圧方向とは反対の方向へ前記カムの回動付勢に抗して押圧してロック解除移行位置まで回動させる押圧部とを備え、
    ロック解除操作時に前記ロックプレートが拘束位置から許容位置へ回動し、前記押圧部が前記カムを反加圧方向へ押圧してロック解除移行位置まで回動させると、前記ラッチの回動付勢により前記突起部が前記カムを反加圧方向へ押圧する力が前記カムを加圧方向へ回動付勢する力よりも大きくなって前記ラッチが前記カムをロック解除移行位置から反加圧方向へ回動させ、前記ラッチがロック位置からロック解除位置まで回動することを特徴とするシートの固定装置。
  2. 請求項1に記載のシートの固定装置において、
    前記カムがロック解除移行位置まで回動したときに、前記ラッチの回動付勢により前記突起部が前記カムを押圧する押圧方向が、前記カムと前記突起部との当接点から前記ロック軸の近傍へ向う方向より、当接点において前記カムを反加圧方向へ回動させることになる方向に切り換わることを特徴とするシートの固定装置。
  3. 請求項2に記載のシートの固定装置において、
    前記突起部は、前記カムのカム面に当接する半径寸法の大きな大円弧部と、前記カム面の端部に当接すると共に前記大円弧部に連続して形成され大円弧部よりも半径寸法が十分に小さい小円弧部とを有し、
    前記押圧部が前記カムを反加圧方向へ押圧してロック解除移行位置まで回動させると、前記カムの当接点が前記突起部の前記大円弧部から前記小円弧部へ移動することを特徴とするシートの固定装置。
  4. 請求項3に記載のシートの固定装置において、
    前記突起部の形状は、円柱の外周面に切欠部を形成することにより円柱の外周面に円弧部と平面部とを形成し、該円弧部を前記大円弧部とし、該大円弧部と前記平面部との繋ぎ部分に前記小円弧部を形成したことを特徴とするシートの固定装置。
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