JP5449835B2 - パック電池 - Google Patents

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Description

本発明は、外装ケース内に電池が収納されたパック電池に関し、特に外装ケースに金属性ケース部材を用いたものに関する。
従来から、パック電池における電池収納用のケース、あるいは、電子機器等を収納する外装ケースにおいて、その量産性およびコストメリットにより、樹脂製の外装ケースが多く使用されている。
例えば特許文献1には、1対の皿状の樹脂製ケース部材を、互いに開口部を突き合わせた状態で嵌合させて外装ケースを構成し、その外装ケース内に二次電池が収納されたパック電池が開示されている。この嵌合構造として、一方のケース部材の内底面から、その側壁と並行するようにリブ壁を立設し、そのケース部材の側壁とリブ壁との間の溝に、他方のケース部材の側壁縁端部を嵌入させて、且つ上記側壁縁端部とリブ壁とに相互に係合する係合突出部と係合受部と設けたものが記載されている。
このように1対の皿状のケース部材を嵌合させる外装ケースを用いれば、外装ケース内に電池や電子部品を収納するのが容易で、パック電池や電子機器の組み立てを容易に行うことができるといった利点がある。
ところで、外装ケースにおいて、内部の収納スペースを確保するために、ケースの肉厚を薄くすることが望まれるが、樹脂製の外装ケースにおいては、その肉厚を薄くする上で限界がある。すなわち、樹脂製ケースの場合、肉厚をあまり薄くするとケース強度を確保できない。また、電子機器が国際安全規格(UL)などで定められた難燃性を満たす必要がある場合、樹脂製ケースの肉厚を一定以上に設定する必要がある。また、樹脂製ケースは射出成型によって作製されることが多いが、その射出成型時における樹脂流動性を確保するためにも、ある程度の肉厚は必要である。
一方、外装ケースにおいて、アルミニウム(Al)など、金属性のケース部材が用いられることもあり、特に、外観上の質感を重視する場合、金属性ケース部材が多く用いられている。このような金属性ケース部材においては、肉厚が薄くてもケースの強度や難燃性を確保することができる。
特開2007−311301号公報
ここで、1対の皿状の金属性ケース部材を用いて、上記樹脂製ケースと同様に、互いに開口部を突き合わせた状態で嵌合させて外装ケースを構成すれば、上述したケース強度及び組立容易性などの利点を合わせて得ることができると考えられる。
しかし、1対の皿状の金属性ケース部材を組み合わせて外装ケースを構成した場合、ケース部材同士を嵌合させる構造を形成する上で問題がある。
すなわち、皿状のケース部材同士を突き合わせて嵌合させるためには、上記樹脂製ケースのようにケース部材の縁に、嵌合用の溝を形成するなどして、複雑な嵌合構造を形成する必要があるが、MgやAlなどの金属材料をダイキャスティングしてケース部材を形成する場合を除いて、一般に金属性ケースに複雑な嵌合構造を形成しようとすると、CNCや溶接等の後加工が必要となり、量産性やコスト面において不利になる。
このように、樹脂製ケースに用いていた嵌合構造を、実際に金属性ケース部材に適用することは難しい。
なお、皿状の金属性ケース部材どうしを突き合わせてネジ止め固定する方法も可能ではあるが、この場合、ケース内部にネジ止め用の空間を確保する必要があるため、ケース内部の収納スペースは減少してしまう。
本発明は、上記課題に鑑み、1対の皿状のケース部材を、互いに開口部を突き合わせた状態で嵌合させて外装ケースを構成し、当該外装ケース内に電池あるいは電子部品が内蔵されているパック電池において、金属性のケース部材を用いることによってケース強度や収納スペースの確保などの利点を生かしながら、ケース部材同士の嵌合構造を容易に実現することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、皿状の第1ケース部材と皿状の第2ケース部材が、互いに開口部を突き合わせて嵌合されてなる外装ケースに電池が内包されているパック電池において、第1ケース部材及び第2ケース部材の中、少なくとも第2ケース部材を、金属性材料で形成し、第2ケース部材の内底面上に、第2ケース部材の側壁と並行するようにその内側に沿って樹脂製の壁部材を接着し、第1ケース部材における側壁先縁部分を、第2ケース部材の側壁と壁部材との間に嵌入させ、第1ケース部材における側壁の先縁部分及び壁部材の一方に、係合突起を設け、他方に、当該係合突起が係合する係合受部を設けることとした。
ここで、「金属性材料」は、金属,金属化合物、合金、あるいは金属を含む複合材料(例えば金属粉を分散させた樹脂)などを指す。
上記本発明において、上記壁部材に、台座部と当該台座部から立設されたリブ部とを設け、台座部を、第2ケース部材の内底面に接着し、第1ケース部材における側壁の先縁部分を、第2ケース部材の側壁とリブ部との間に形成された溝に嵌入させることが好ましい。
このとき台座部を、熱活性フィルムを介して、第2ケース部材の内底面に接着させることが好ましい。 また、第1ケース部材の側壁の先端部分を、外面側から厚み方向に切り欠いて、当該切り欠き部分に、第2ケース部材の側壁の先端端部を填め込んでもよい
上記本発明にかかるパック電池によれば、第2ケース部材が金属性材料で形成されているので、当該第2ケース部材の肉厚を薄くすることができ且つケース強度を確保できる。
また、第2ケース部材の内底面上に、第2ケース部材の側壁と並行するようにその内側に沿って樹脂製の壁部材を接着し、第1ケース部材における側壁の先縁部分を、第2ケース部材の側壁と壁部材との間の溝に嵌入させ、第1ケース部材における側壁の先縁部分及び壁部材の一方に、係合突起を設け、他方に、係合突起が係合する係合受部を設けているので、嵌入時に、係合突起と係合受部とが係合して、第1ケース部材と第2ケース部材とがしっかり嵌合される。
このように本発明では、第2ケース部材自体に嵌合用の溝を形成するのではなく、第2ケース部材とは別の樹脂製の壁部材を第2ケース部材に接着することによって嵌合用の溝を形成しているので、CNCや溶接などの加工をしなくても嵌合構造を容易に実現することができる。 また、壁部材が樹脂製であって絶縁性を有するので、収納される電池と、金属性ケースとを、壁部材によって絶縁する絶縁材としての機能も備える。従って、別途に絶縁材を配する必要がなく、その点でも、電池や電池部品の収納スペースを大きく確保できる。
特に、上記壁部材に、台座部と当該台座部から立設されたリブ部とを設け、台座部を、第2ケース部材の内底面に接着し、第1ケース部材における側壁の先縁部分を、第2ケース部材の側壁とリブ部との間に形成された溝に嵌入させるようにすれば、嵌合構造を容易に実現できる。
上記壁部材を第2ケース部材の内底面上に接着する際に、当該壁部材に台座部を形成し、その台座部を、第2ケース部材の内底面に接着させれば、容易に行うことができる。特に、台座部を、熱活性フィルムを介して、第2ケース部材の内底面に接着すれば容易である。
第1ケース部材の側壁の先縁部分を、外面側から厚み方向に切り欠いて、当該切り欠き部分に、第2ケース部材の側壁の先端端部を填め込むようにすれば、第1ケース部材の側壁外面と第2ケース部材の側壁外面との間の段差を小さくすることができ、外観上面一にすることもできる。
実施の形態にかかるパック電池の外観斜視図である。 上記パック電池の分解図である。 第1ケース部材及び第2ケース部材における内側の構造を示す部分斜視図である。 第1ケース部材及び第2ケース部材の嵌合部分を示す概略断面図である。 熱活性フィルムを用いて、第2ケース部材の内底面上に壁部材を取り付ける工程を示す図である。
以下、本発明に係るパック電池の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1(a)は、実施の形態にかかるパック電池の外観斜視図であり、図1(b)は、(a)に示したパック電池を反転した状態で示す外観斜視図である。図2は、このパック電池の分解図である。
説明上、図1(a)において矢印Xが示す方向を右方、矢印Yが示す方向を前方、矢印Yが示す方向を上方とする。
図2に示すように、本実施の形態に係るパック電池1は、1対の皿状のケース部材10,20が、それらの開口部11,21どうしを突き合わせた状態で嵌合されて外装ケース50が形成され、その外装ケース50内に、複数の電池30a〜30f、回路基板40などが収納されて構成されている。
第1ケース部材10は、左右方向に長い長方形状の底板部12と、当該底板部12の縁から起立する側壁部13a〜13dとからなり、樹脂を射出成型して、全体が一体成形されている。
第2ケース部材20は、左右方向に長い長方形状の底板部22と、当該底板部22の縁から起立する側壁部23a〜23dとからなり、金属性材料からなる板を成形した成形品である。ここでは金属性材料としてアルミニウム合金を用いることとする。
電池30a〜30fは、角形の二次電池であって、左から右に順に並べて配列されているが、電池30dと電池30eとの間に回路基板40が配設されている。
回路基板40には、保護回路等(不図示)が配されている。そして、回路基板40の前方にはコネクタ41が取り付けられている。また、回路基板40の下には、コネクタ41を支持するプラスチック製の枠体42が配設されている。
上記電池30a〜30fは、リード板31a〜31f及び回路基板40によって接続され、2個の電池が並列に接続された電池組が3組直列に接続されている。
第1ケース部材10および第2ケース部材20には、回路基板40に設けられたコネクタ41と対応する位置に、切欠き部18,28が形成されており、図1に示すように、コネクタ41の一部がこの切欠き部18,28から外装ケース50の外方に露出した状態となり、電池30a〜30fから、回路基板40を介して、コネクタ41から外部の機器に電力を出力できるようになっている。
(第1ケース部材10と第2ケース部材20との嵌合構造)
図3は、第1ケース部材10及び第2ケース部材20における内側の構造を示す部分斜視図である。
第1ケース部材10と第2ケース部材20とを嵌合させるために、第2ケース部材20における底板部22の内面上には、側壁部23a〜23dの内面に沿って並行するように、壁部材24a〜24eが取付けられ、側壁部23a〜23dと壁部材24a〜24eとの間に溝部25が形成されている。そして、第1ケース部材10の側壁部13a〜13dの縁端部16が、この溝部25に嵌入されている。
以下、その嵌合構造について詳細に説明する。
図4は、第1ケース部材10及び第2ケース部材20の嵌合部分を示す概略断面図である。
なお、図4では、代表的にケースの左端部分(側壁部13e、側壁部23e、壁部材24eなど)を示しているが、ケースの右端部分(側壁部13d、側壁部23d、壁部材24dなど)、ケースの前側部分(側壁部13a,13b、側壁部23a,23b、壁部材24a,24bなど)、後側部分(側壁部13c、側壁部23c、壁部材24cなど)も、図4に示すものと同様の構造である。
図2〜4に示すように、壁部材24a〜24eは、側壁部23a〜23eに沿って伸長する長尺状部材である。この壁部材24a〜24eは、樹脂で形成することが好ましい。
この各壁部材24a〜24eは、底板部22上に接合される台座部241と、当該台座部241から立設されたリブ部242とからなり、その断面形状は略L字形である。そして、台座部241の底面が接着剤としての熱活性フィルム27を介して底板部22上に接合されている。ここで、リブ部242が側壁部23dの内面に沿ってこれと平行になるように、24a〜24eが底板部22上に接着されており、リブ部242と側壁部23a〜23eとの間に上記溝部25が形成されている。
各壁部材24a〜24eの長さは、各側壁部23a〜23eの長さに合わせて設定されている。
このようにして、第2ケース部材20の底板部22上には、側壁部23a〜23eの内周に沿って壁部材24a〜24eが枠状に取付けられており、当該側壁部23a〜23eと壁部材24a〜24eのリブ部242との間に、上記の溝部25が枠状に形成されている。
そして、この溝部25に、第1ケース部材10の側壁部13a〜13eの先縁部16が嵌入されている。
第1ケース部材10は樹脂成型品なので、図4に示されるように、各側壁部13a〜13eの肉厚T1は、金属性材料からなる側壁部23a〜23eの肉厚T2よりも厚いが、上記先縁部16(溝部25に嵌入している部分)は、側壁部13a〜13eの外面側から肉厚T2に相当する深さで切り欠かれて肉薄になっている。この先縁部16の肉厚は(T1−T2)相当となる。
なお、上記溝部25の幅T3(すなわち、側壁部23a〜23eと壁部材24a〜24eのリブ部242との間隙幅)は、先縁部16の肉厚(T1−T2)と同程度に設定されており、溝部25に嵌入された先縁部16は、側壁部23a〜23eと壁部材24a〜24eのリブ部242とで挟みこまれた状態となる。
また、上記側壁部13a〜13eに形成された切り欠き部分14a〜14eに、第2ケース部材20の側壁部23a〜23eの先縁部分が填まり込んでいるので、第1ケース部材10の側壁部13a〜13eの外表面と、第2ケース部材20の側壁部23a〜23eの外表面とは、段差が低減される。特に、上記側壁部13a〜13eの切り欠き部分14a〜14eの深さが側壁部23a〜23eの肉厚T2と同等に設定されているので、図4に示すように、側壁部13a〜13eの外表面と、側壁部23a〜23eの外表面とが面一になっている。
次に、側壁部13a〜13eの先縁部16と壁部材24a〜24eのリブ部242との係合機構について説明する。
図2に示すように、第1ケース部材10における側壁部13a〜13dの先縁部16には、内表面側に複数の突起部17が間欠的に設けられており、一方、壁部材24a〜24eのリブ部242には、上記各突起部17と対応する位置に複数の開口部26が間欠的に設けられている。
これによって、側壁部13a〜13eの先縁部16が、溝部25に嵌入されると、図2に示すように突起部17が開口部26に嵌まり込んで係合するので、一旦溝部25に先縁部16が嵌入されると、溝部25から容易に引き抜くことはできない。従って、側壁部13a〜13eの先縁部16を溝部25に嵌め込むと、第1ケース部材10と第2ケース部材20とがしっかり嵌合されることになる。
(パック電池の製造方法)
上記パック電池1を製造する方法について説明する。
まず、第1ケース部材10及び第2ケース部材20、壁部材24a〜24eを作製する。第1ケース部材10は、樹脂を射出成型することによって作製することができ、壁部材24a〜24eも、樹脂を射出成型することによって作製することができる。第2ケース部材20は、金属性板(アルミニウム合金板)をプレス成型することによって作製することができる。
作製した第2ケース部材20に、壁部材24a〜24eを接着する。
図5は、熱活性フィルム27を用いて、第2ケース部材20の底板部22の内面上に壁部材24a〜24eを接着する工程を示す図である。
図5(a)に示す保持用治具70は、壁部材24a〜24e及び第2ケース部材20を、所定の取付位置に保持できるように、その上部は、第2ケース部材20が丁度填まり込むようにサイズが設定され(図5(e)参照)、その上面の外周に沿って壁部材24a〜24eのリブ部242を填め込むための溝71が刻設されている。ここで保持用治具70の外周縁と溝71との間のリブ72の幅は、溝部25の幅と同等に設定されている。
図5(b)に示すように、保持用治具70に壁部材24a〜24eをセットする。このとき、保持用治具70の溝71に各壁部材24a〜24eのリブ部242を填め込んだ状態でセットする。
そして、図5(c)に示すように、各壁部材24a〜24eの台座部241の底面上に熱活性フィルム27を配置する。熱活性フィルム27としては、例えば、二トリルゴムとフェノール樹脂を主材料とする熱活性フィルムHAF(TESA製)を用いることができる。
図5(d)に示すように、熱源としての加熱用治具80を熱活性フィルム27に押し当ててこれを予備加熱し、図5(e)に示すように、その上から第2ケース部材20を覆い被せて、保持用治具70の上部に填め込む。これによって、第2ケース部材20の底面上に壁部材24a〜24eが位置決めされた状態で、保持用治具70上に支持される。
この状態で、図5(f)に示すように、加熱用治具80を、第2ケース部材20の底板部22の外面に押し当ててヒートプレスを行うと、金属性材料で形成された底板部22を介して熱活性フィルム27に良好に伝熱され、台座部241が底板部22に接合される。当該ヒートプレスにおいて、160℃程度の熱源を数秒間接触させる必要があるが、第2ケース部材20は耐熱性のよい金属性材料で形成されているので外観品質上の問題は生じない。
以上で、図5(g)に示すように、底板部22の内面上に、熱活性フィルム27を介して壁部材24a〜24eが接着される。
なお、第2ケース部材20へ壁部材24a〜24eを接着するのに、金属・樹脂用の液体接着剤を用いてもよいし、あるいは接着剤などを用いることなく壁部材24a〜24eを熱変形させることによって機械的に接着してもよいが、上記のように熱活性フィルム27を用いれば、取扱いが容易で、作業効率も向上する。
また、熱活性フィルムを用いれば、接着面が平面でなく曲面であっても、十分な強度で接着することができるので、底板部22と側壁部23a〜23eとの境界付近にも壁部材24a〜24eを良好に接着できる。
このようにして壁部材24a〜24eが取り付けられた第2ケース部材20中に、電池30a〜30f及び回路基板40を収納する。このとき、電池30a〜30f及び回路基板40は、枠体状に配置された壁部材24a〜24eのリブ部242の内側に填まり込んで位置決めされた状態で収納される。
そして、電池30a〜30f及び回路基板40が収納された第2ケース部材20に、第1ケース部材10を被せて、先縁部16を溝部25に嵌入させるよう押し込むことによって、第1ケース部材10と第2ケース部材20とが嵌合され、パック電池1が完成する。
(パック電池1による効果)
第2ケース部材20は、金属性材料で形成されているので、樹脂製ケースと比べて、その肉厚を薄くすることができ、且つケース強度を確保できる。従って、全体が樹脂製のケースと比べて、ケース内の収納スペースを大きく確保でき、且つ収納される電池や回路基板を保護する機能が高い。
また、第2ケース部材20に嵌合用の溝部25を形成するのに、第2ケース部材20とは別体である樹脂製の壁部材24a〜24eを、底板部22上に接着する方法を用いているので、当該溝部25を容易に形成することができる。
特に上述したように、壁部材24a〜24eに、台座部241と当該台座部から立設されたリブ部242を設け、台座部241の底面を熱活性フィルムなどで底板部22上に接合する方法によって、溝部25を容易に形成できる。
さらに、側壁部13a〜13eの先縁部16と、壁部材24a〜24eのリブ部242とに係合機構(突起部17と開口部26)が設けられているので、外装ケース50の組み立て時に、上述したように、先縁部16を溝部25に嵌入させるよう押し込むだけで、第1ケース部材10と第2ケース部材20とを容易に嵌合させることができる。
ここで、図4に示した側壁部23a〜23eの肉厚T2,溝部25の幅T3、リブ部242の肉厚T4について考察する。
第2ケース部材20は金属性材料で形成されているので、その肉厚は、国際安全規格(UL等)の難燃性基準によって制限されることがなく、薄く設定することができる。側壁部23a〜23eの肉厚T2を、例えば0.4mmと薄くすることもできる。
また、底板部22上に壁部材24a〜24eを接着する位置を調整することによって、溝部25の幅T3も、例えば0.5mmと狭く設定することができる。
また、壁部材24a〜24eは、第2ケース部材20とは別の比較的小サイズの部品なので、肉薄に設定しても射出成型時における樹脂の流動性を確保できる。従って、壁部材24a〜24eにおけるリブ部242の肉厚T4を例えば0.5mmと薄く設定できる
側壁部23a〜23eの外面からリブ部242の内面までの幅(T2+T3+T4)は、例示した数値に基づくと1.4mmとなる。
一方、比較例として、上記従来技術で挙げた樹脂製ケースのように、側壁部とリブ部とを樹脂で一体成形して嵌合用の溝を形成した場合を考察する。この場合、国際安全規格(UL等)の難燃性基準を満たすために、側壁部の厚み(厚みT2に対応する厚み)は、樹脂材料ごとに定められた最小厚み(例えばSABIC製PC BPL1000では94V−0グレードで0.8mm)以上確保する必要がある。
また、溝部の幅(幅T3に対応する厚み)は、射出成形に使用する金型の強度を確保できるだけの幅(例えば0.7mm)が必要となる。リブ部の厚み(厚みT4に対応する厚み)は、射出成型時における樹脂の流動性を確保できる厚み(例えば0.5mm)が必要となる。
側壁部の外面からリブ部の内面までの幅(T2+T3+T4)に対応する幅は、例示した数値に基づくと2.0mmとなる。
このように、上記実施の形態にかかる第2ケース部材20に壁部材24a〜24eを取り付けたものによれば、比較例にかかる樹脂製ケース部材と比べて、ケース部材自体の肉厚を薄くできるだけでなく、側壁部、溝、リブ部の合計厚みも小さくできるので、この点でもケース内の収納スペースを大きく確保することができる。
また、一般に金属性ケース内に電子部品を収納する場合、金属性ケースと電子部品とを絶縁する必要があり、そのために例えば、収納される電子部品の周囲を取り巻くように厚み0.25mmの絶縁板を配置する必要があるが、本実施形態では、絶縁性の樹脂で形成された壁部材24a〜24eが、電池30a〜30f及び回路基板40の周囲を取り巻いているので、別途に絶縁材を配設する必要がない。従って、その点からも、ケース内における電池の収納スペースを大きく確保できる。
(変形例)
上記実施の形態では、側壁部13a〜13eの先縁部16と、壁部材24a〜24eのリブ部242との係合機構として、側壁部13a〜13dの先縁部16に突起部17を設け、壁部材24a〜24eに開口部26を設けたが、逆に、壁部材24a〜24eのリブ部242に突起部を設け、側壁部13a〜13dの先縁部16に開口部を設けてもよい。
上記実施の形態では、第1ケース部材10を樹脂で作製することとしたが、第1ケース部材10と第2ケース部材20の両方ともに、金属性材料で作製してもよい。
上記実施の形態では、外装ケース50内に電池および回路基板などを収納してパック電池を構成したが、本発明において、外装ケース内に収納する電子部品の種類は特に限定されず、収納する電子部品などの種類をいろいろと変えることによって、DVDプレーヤ、ICレコーダなど、さまざまな種類の電子機器を構成することができる。
本発明によれば、金属性ケースを用い且つ量産性、コスト面に優れ外装ケースを実現することができ、外装ケース内に電池が収納されてなるパック電池に対して広く適用できる。

1 パック電池
10 第1ケース部材
11,21 開口部
12 底板部
13a〜13e 側壁部
16 側壁部の先縁部
17 突起部
20 第2ケース部材
22 底板部
23a〜23e 側壁部
24a〜24e 壁部材
25 溝部
26 開口部
27 熱活性フィルム
30a〜30f 電池
31a〜31f リード板
40 回路基板
41 コネクタ
50 外装ケース
70 保持用治具
80 加熱用治具
241 台座部
242 リブ部

Claims (4)

  1. 皿状の第1ケース部材と皿状の第2ケース部材が、互いに開口部を突き合わせて嵌合されてなる外装ケースに電池が内包されているパック電池であって、
    前記第1ケース部材及び第2ケース部材の中、少なくとも第2ケース部材は、金属性材料で形成され、
    前記第2ケース部材の内底面上には、当該第2ケース部材の側壁と並行するようにその内側に沿って樹脂製の壁部材が接着され、
    前記第1ケース部材における側壁の先縁部分が、前記第2ケース部材の側壁と前記壁部材との間に嵌入され、
    前記第1ケース部材における側壁の先縁部分及び前記壁部材には、一方に係合突起が設けられ、他方には、当該係合突起が係合する係合受部が設けられていることを特徴とするパック電池。
  2. 前記壁部材は、台座部および当該台座部から立設されたリブ部とを有し、
    当該台座部が、前記第2ケース部材の内底面に接着され、
    前記第1ケース部材における側壁の先縁部分が前記第2ケース部材の側壁と前記リブ部との間に形成された溝に嵌入されていることを特徴とする請求項1記載のパック電池。
  3. 前記台座部は、熱活性フィルムを介して、前記第2ケース部材の内底面に接着されていることを特徴とする請求項2記載のパック電池。
  4. 前記第1ケース部材の側壁の先縁部分は、外面側から厚み方向に切り欠かれ、当該切り欠き部分に、前記第2ケース部材の側壁の先縁部が填まり込んでいることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のパック電池。
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