JP5448832B2 - 硬質発泡体 - Google Patents

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Description

本発明は、硬質発泡体に関する。さらに詳しくは、硬質発泡体およびその製造方法に関する。硬質発泡体は、例えば、自動車部品材料;航空機の胴体部分の断熱材、防音ブランケット、エアダクトの断熱材、胴体部分の防振材、搭載機器の断熱材、防振材などの航空機用材料;ロケットの推進系燃料用タンクの断熱材、フェアリングの吸音材、衛星サーマルルーバーの表面の断熱材、クライオタンクの断熱材、再突入アブレータの断熱材などの宇宙分野用材料;自動車のエンジン周りの断熱吸音材、原子力施設での断熱吸音材などの各種産業用材料;医療用機器の筺体の防音材、病院の断熱防音用建材などの医療補助用材料などに有用である。
従来、樹脂発泡体は、低沸点化合物などの発泡剤を用いて樹脂を発泡させることによって製造されている。しかし、近年、地球環境保護の観点から、発泡剤を使用しないで樹脂発泡体を製造することが提案されている。発泡剤を使用しない樹脂発泡体として、ペルフルオロポリマーおよびフォーム成核剤を含む自己発泡組成物が発泡させたフォーム(例えば、特許文献1参照)、オルガノポリシロキサンを含有する自己発泡性加熱硬化型液状シリコーンゴム組成物を自己発泡かつ硬化させた硬化物(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。
しかし、前者のフォームには、その製造段階でペルフルオロポリマーの末端基を脱炭酸させることによって発泡させているため、その製造の際に地球温暖化の一因と考えられている炭酸ガスを発生するという欠点がある。また、後者の硬化物には、前記フォームと同様に、発泡させるための化合物として有機過酸化物が用いられており、この有機過酸化物は、加熱によって分解し、炭酸ガスを発生するため、その製造の際に地球温暖化の一因と考えられている炭酸ガスを発生するという欠点がある。
したがって、近年、その製造の際に炭酸ガスの発生を伴わない硬質発泡体の開発が待ち望まれている。
特開平10−195216号公報 特開2004−292687号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みて完成されたものである。本発明の目的は、炭酸ガスの発生を伴わずに製造され、耐熱性に優れ、高い機械的強度を有する硬質発泡体を提供することにある。
本発明は、
〔1〕環構造を有するカルボン酸エステル系ポリマーから形成された硬質発泡体であって、環構造を有するカルボン酸エステル系ポリマーを加熱することにより該カルボン酸エステル系ポリマーから気体の有機酸を生成させ、該気体の有機酸で該加熱されたカルボン酸エステル系ポリマーを発泡させることによって得られた硬質発泡体、および
〔2〕環構造を有するカルボン酸エステル系ポリマーから形成された硬質発泡体の製造方法であって、環構造を有するカルボン酸エステル系ポリマーを加熱することにより該カルボン酸エステル系ポリマーから気体の有機酸を生成させ、該気体の有機酸で該加熱されたカルボン酸エステル系ポリマーを発泡させる硬質発泡体の製造方法
に関する。
本発明の硬質発泡体は、地球温暖化の一因と考えられている炭酸ガスの発生を伴わずに製造され、耐熱性に優れ、高い機械的強度を有する。本発明の硬質発泡体の製造方法によれば、地球温暖化の一因と考えられている炭酸ガスの発生を伴わずに、耐熱性に優れ、高い機械的強度を有する硬質発泡体を製造することができる。
本発明の実施例1で得られたポリフェルラ酸の赤外吸収スペクトルを示すグラフである。 本発明の実施例1で得られたポリフェルラ酸の核磁気共鳴スペクトルを示すグラフである。 本発明の実施例2で得られた硬質発泡体の断面における走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 本発明の実施例5で得られた硬質発泡体の加熱による示差走査熱量変化を示すグラフである。 本発明の実施例5で得られた硬質発泡体の加熱による重量減少率を示すグラフである。 本発明の実施例6で得られたp−クマル酸−カフェ酸共重合体の赤外吸収スペクトルを示すグラフである。 本発明の実施例6で得られたp−クマル酸−カフェ酸共重合体の核磁気共鳴スペクトルを示すグラフである。 (i)はポリカフェ酸の赤外吸収スペクトル、(ii)はポリフェルラ酸の赤外吸収スペクトル、(iii)は本発明の実施例8で得られたフェルラ酸−カフェ酸共重合体の赤外吸収スペクトルを示すグラフである。 本発明の実施例8で得られたフェルラ酸−カフェエ共重合体の13〜0ppmの範囲における核磁気共鳴スペクトルを示すグラフである。 本発明の実施例8で得られたフェルラ酸−カフェ酸共重合体の8.2〜6.4ppmの範囲における核磁気共鳴スペクトルを示すグラフである。 (i)はポリp-クマル酸の赤外吸収スペクトル、(ii)はポリフェルラ酸の赤外吸収スペクトル、(iii)は本発明の実施例10で得られたフェルラ酸−p-クマル酸共重合体の赤外吸収スペクトルを示すグラフである。 本発明の実施例10で得られたフェルラ酸−p-クマル酸共重合体の核磁気共鳴スペクトルを示すグラフである。 本発明の実施例10で得られたフェルラ酸−p−クマル酸共重合体の9.0〜6.0ppmの範囲における核磁気共鳴スペクトルを示すグラフである。 実験例1において、本発明の実施例1で得られたポリフェルラ酸のガスクロマトグラフィーの測定結果を示すグラフである。 実験例1において、本発明の実施例1で得られたポリフェルラ酸のEIスペクトルの測定結果を示すグラフである。 (a)は実験例3において、本発明の実施例11で得られた硬質発泡体を土壌に埋める前の光学写真、(b)は土壌に3ヶ月間埋蔵した後の硬質発泡体の光学写真である。
本発明の硬質発泡体は、環構造を有するカルボン酸エステル系ポリマーから形成された硬質発泡体であって、環構造を有するカルボン酸エステル系ポリマーを加熱することにより該カルボン酸エステル系ポリマーから気体の有機酸を生成させ、該気体の有機酸で該加熱されたカルボン酸エステル系ポリマーを発泡させることによって得られるものである。したがって、本発明の硬質発泡体は、地球温暖化の一因と考えられている炭酸ガスを含んでおらず、耐熱性に優れ、高い機械的強度を有するという利点を有する。
本発明の硬質発泡体の原料として用いられる環構造を有するカルボン酸エステル系ポリマーとしては、例えば、式(I):
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、チオール基、カルボキシル基、ピリジル基、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ペンタセニル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12の脂環基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルカノイル基、炭素数1〜12のアルカノイルオキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオエーテル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基または炭素数1〜12のフルオロアルキル基、Rは、環構造を有する有機基を示す)
で表される単位および式(II):
(式中、Rは、環構造を有する有機基を示す)
で表される単位からなる群より選ばれた少なくとも1つの単位を構造単位として含むカルボン酸エステル系ポリマーなどが挙げられる。式(I)において、RおよびRは、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
カルボン酸エステル系ポリマーの軟化温度を高くする観点から、式(I)において、Rが、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、チオール基、カルボキシル基、ピリジル基、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ペンタセニル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12の脂環基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルカノイル基、炭素数1〜12のアルカノイルオキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオエーテル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基または炭素数1〜12のフルオロアルキル基であり、Rが、ハロゲン原子、チオール基、カルボキシル基、ピリジル基、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ペンタセニル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12の脂環基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルカノイル基、炭素数1〜12のアルカノイルオキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオエーテル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基または炭素数1〜12のフルオロアルキル基であることが好ましい。
また、カルボン酸エステル系ポリマーの軟化温度を150℃以上にする観点から、Rは、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、チオール基、カルボキシル基、ピリジル基、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ペンタセニル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12の脂環基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルカノイル基、炭素数1〜12のアルカノイルオキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオエーテル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基または炭素数1〜12のフルオロアルキル基であり、Rは、ハロゲン原子、チオール基、カルボキシル基、ピリジル基、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ペンタセニル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12の脂環基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルカノイル基、炭素数1〜12のアルカノイルオキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオエーテル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基または炭素数1〜12のフルオロアルキル基である。
の中では、カルボン酸エステル系ポリマーの軟化温度を高める観点から、ハロゲン原子、チオール基、カルボキシル基、ピリジル基、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ペンタセニル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12の脂環基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルカノイル基、炭素数1〜12のアルカノイルオキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオエーテル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基または炭素数1〜12のフルオロアルキル基であることが好ましい。
の中では、カルボン酸エステル系ポリマーの軟化温度を高める観点から、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12の脂環基または炭素数1〜12のアルコキシ基であることが好ましく、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基または炭素数1〜12のアルコキシ基であることがより好ましい。
また、カルボン酸エステル系ポリマーの軟化温度をより高くする観点から、Rが水素原子または炭素数1〜12のアルコキシ基であり、Rが炭素数1〜12のアルコキシ基であることがより好ましく、Rが炭素数1〜12のアルコキシ基であり、Rが炭素数1〜12のアルコキシ基であることがさらに好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。
炭素数1〜12のアルキル基のなかでは、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。好適な炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基が挙げられる。これらのなかでは、メチル基がさらに好ましい。
炭素数3〜12の脂環基のなかでは、炭素数3〜6の脂環基が好ましい。炭素数3〜6の脂環基としては、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基などが挙げられる。
炭素数1〜12のアルコキシ基のなかでは、炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基がより好ましい。好適な炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、シクロプロポキシ基、ブトキシ基、シクロプロピルメチルオキシ基およびシクロブトキシ基が挙げられる。これらのなかでは、メトキシ基がさらに好ましい。
炭素数1〜12のアルカノイル基のなかでは、炭素数1〜8のアルカノイル基が好ましく、炭素数1〜4のアルカノイル基がより好ましい。好適な炭素数1〜4のアルカノイル基としては、ホルミル基、エタノイル基、プロパノイル基、ブタノイル基、シクロプロピルカルボニル基などが挙げられる。これらのなかでは、エタノイル基がさらに好ましい。
炭素数1〜12のアルカノイルオキシ基のなかでは、炭素数1〜8のアルカノイルオキシ基が好ましく、炭素数1〜4のアルカノイルオキシ基がより好ましい。好適な炭素数1〜4のアルカノイルオキシ基としては、ホルミロイルオキシ基、アセチロイルオキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、シクロプロピルカルボニルオキシ基などが挙げられる。これらのなかでは、アセチロイルオキシ基がさらに好ましい。
炭素数1〜12のアルキルチオエーテル基のなかでは、炭素数1〜8のアルキルチオエーテル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキルチオエーテル基がより好ましい。好適な炭素数1〜4のアルキルチオエーテル基としては、メチルチオエーテル基、エチルチオエーテル基、プロピルチオエーテル基、シクロプロピルチオエーテル基、シクロプロピルメチルチオエーテル基、ブチルチオエーテル基、シクロブチルチオエーテル基などが挙げられる。これらのなかでは、メチルチオエーテル基がさらに好ましい。
炭素数2〜12のアルケニル基のなかでは、炭素数2〜8のアルケニル基が好ましく、炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましい。好適な炭素数2〜4のアルケニル基としては、エテニル基、プロペニル基、シクロプロペニル基、ブテニル基、シクロブテニル基などが挙げられる。これらのなかでは、エテニル基がさらに好ましい。
炭素数2〜12のアルキニル基のなかでは、炭素数2〜8のアルキニル基が好ましく、炭素数2〜4のアルキニル基がより好ましい。好適な炭素数2〜4のアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、シクロプロピニル基、ブチニル基、シクロブチニル基などが挙げられる。これらのなかでは、エチニル基がさらに好ましい。
炭素数1〜12のフルオロアルキル基のなかでは、炭素数1〜8のフルオロアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のフルオロアルキル基がより好ましい。好適な炭素数1〜4のフルオロアルキル基としては、フルオロメチル基、フルオロエチル基、フルオロプロピル基、フルオロシクロプロピル基、フルオロシクロプロピルメチル基、フルオロブチル基、フルオロシクロブチル基、ジフルオロメチル基、ジフルオロエチル基、ジフルオロプロピル基、ジフルオロシクロプロピル基、ジフルオロシクロプロピルメチル基、ジフルオロブチル基、ジフルオロシクロブチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、トリフルオロプロピル基、トリフルオロシクロプロピル基、トリフルオロブチル基、トリフルオロシクロプロピルメチル基、トリフルオロシクロブチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基などが挙げられる。これらのなかでは、トリフルオロメチル基がさらに好ましい。
なお、RおよびRは、いずれも、本発明の目的が阻害されない範囲内で、置換基を有していてもよい概念を有するものである。
式(I)で表される単位において、Rは、環構造を有する有機基を示す。式(I)で表される単位が環構造を有する有機基であるRを有するのは、カルボン酸エステル系ポリマーの軟化温度を高めるためである。Rのなかでは、カルボン酸エステル系ポリマーの軟化温度を高める観点から、炭素数5〜12の芳香族基または炭素数3〜30の脂環基であることが好ましく、炭素数5〜12の芳香族基であることがより好ましく、炭素数6〜12の芳香族基であることがさらに好ましく、ベンゼン環であることがより一層好ましい。なお、Rは、本発明の目的が阻害されない範囲内で、置換基を有していてもよい概念を有するものである。
式(I)で表される単位において、−O−結合、RおよびRは、カルボン酸エステル系ポリマーに結合している−CH=CH−CO−基に対して、いずれの位置に存在していてもよい。しかし、高分子鎖を直線性にすることによって軟化温度を高める観点から、Rがベンゼン環であり、−O−結合は、ベンゼン環に結合している−CH=CH−CO−基に対してp位に結合していることが好ましい。また、カルボン酸エステル系ポリマーをバイオベースポリマーとする観点から、Rがベンゼン環であり、RおよびRは、それぞれ、ベンゼン環に結合している−CH=CH−CO−基に対してm位に結合していることが好ましい。
好適な式(I)で表される単位としては、カルボン酸エステル系ポリマーの軟化温度を高める観点から、式(Ia):
(式中、RおよびRは、前記と同じ)
で表される単位が挙げられる。
式(II)で表される単位において、Rは、環構造を有する有機基を示す。式(II)で表される単位が環構造を有する有機基であるRを有するのは、カルボン酸エステル系ポリマーの軟化温度を高めるためである。Rのなかでは、カルボン酸エステル系ポリマーの軟化温度を高める観点から、炭素数5〜12の芳香族基または炭素数3〜30の脂環基であることが好ましく、炭素数5〜12の芳香族基であることがより好ましく、炭素数6〜12の芳香族基であることがさらに好ましく、ベンゼン環であることがより一層好ましい。なお、Rは、本発明の目的が阻害されない範囲内で、置換基を有していてもよい概念を有するものである。
カルボン酸エステル系ポリマーは、式(I)で表される単位と式(II)で表される単位とを含む場合、共重合体であり、式(I)で表される単位または式(II)で表される単位で構成される場合には、単独重合体である。したがって、カルボン酸エステル系ポリマーは、式(I)で表される単位からなる単独重合体、式(II)で表される単位からなる単独重合体、および式(I)で表される単位と式(II)で表される単位と含む共重合体のいずれであってもよい。これらのなかでは、カルボン酸エステル系ポリマーの軟化温度を高める観点から、式(I)で表される単位からなる単独重合体が好ましく、式(Ia)で表される単位からなる単独重合体がより好ましい。
カルボン酸エステル系ポリマーが式(I)で表される単位と式(II)で表される単位と含む共重合体である場合、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。原料モノマーを重合させた場合、通常、ランダム共重合体が生成する。
式(I)で表される単位と式(II)で表される単位のモル比〔式(I)で表される単位/式(II)で表される単位〕は、特に限定されないが、カルボン酸エステル系ポリマーの軟化温度を高める観点から、100/0〜1/99であることが好ましい。なお、式(I)で表される単位と式(II)で表される単位のモル比〔式(I)で表される単位/式(II)で表される単位〕が100/0であるとき、カルボン酸エステル系ポリマーは、式(I)で表される単位からなる単独重合体である。
カルボン酸エステル系ポリマーには、本発明の目的が阻害されない範囲内で、式(I)で表される単位および式(II)で表される単位以外の単位が含まれていてもよい。
カルボン酸エステル系ポリマーの分子末端に、脱離して気化し、気体の有機酸となる基を含んでいることが好ましい。脱離して気化し、気体の有機酸となる基のなかでは、カルボン酸エステル系ポリマーは、分子末端に150℃までの温度で脱離して気化する(シクロ)アルカノイルオキシ基を含むことが好ましい。なお、本明細書にいう(シクロ)アルカノイルオキシ基とは、アルカノイルオキシ基またはシクロアルカノイルオキシ基を意味する。
カルボン酸エステル系ポリマーが分子末端に150℃までの温度で脱離して気化する(シクロ)アルカノイルオキシ基を含む場合、例えば、該カルボン酸エステル系ポリマーを150℃以上の温度に加熱することにより、該カルボン酸エステル系ポリマーの主鎖が変性する前に、(シクロ)アルカノイルオキシ基を該カルボン酸エステル系ポリマーから脱離させて気化させ、生成した気体の有機酸により、該カルボン酸エステル系ポリマーを発泡させることができる。
150℃までの温度で脱離して気化する好適な(シクロ)アルカノイルオキシ基としては、例えば、式(III):
O(CO)- (III)
(式中、Rは、炭素数1〜7のアルキル基を示す)
で表される炭素数2〜8のアルカノイルオキシ基などが挙げられる。このアルカノイルオキシ基は、本発明の目的が阻害されない範囲内で、置換基を有していてもよい。
(シクロ)アルカノイルオキシ基は、カルボン酸エステル系ポリマーを常圧で150℃以上の温度に加熱したときに脱離し、気体の有機酸となるので、カルボン酸エステル系ポリマーが発泡するようになる。
また、前記(シクロ)アルカノイルオキシ基が、カルボン酸エステル系ポリマーの主鎖の軟化温度よりも低い温度で離脱する(シクロ)アルカノイルオキシ基であって、カルボン酸エステル系ポリマーから離脱することによって生成した有機酸がカルボン酸エステル系ポリマーの主鎖の軟化温度よりも高い沸点を有するものである場合、カルボン酸エステル系ポリマーを発泡させずに加熱溶融させることができる。したがって、カルボン酸エステル系ポリマーから離脱することによって生成した有機酸の沸点よりも低い温度で、カルボン酸エステル系ポリマーを加熱溶融させ、溶融したカルボン酸エステル系ポリマーを所望の成形型内に充填した後、前記有機酸の沸点よりも高い温度に加熱することにより、カルボン酸エステル系ポリマーを発泡させることができる。
このことから、カルボン酸エステル系ポリマーが、その主鎖の軟化温度よりも低い温度で離脱する(シクロ)アルカノイルオキシ基を有し、離脱することによって生成した有機酸がカルボン酸エステル系ポリマーの主鎖の軟化温度よりも高い沸点を有する場合、カルボン酸エステル系ポリマーを前記有機酸の沸点よりも低い温度でカルボン酸エステル系ポリマーを加熱溶融させ、溶融したカルボン酸エステル系ポリマーを所望の成形型内に充填した後、前記有機酸の沸点よりも高い温度に加熱することによって発泡させる方法、例えば、いわゆる型内発泡成形方法を採用することができる。
発泡成形の観点から好適な(シクロ)アルカノイルオキシ基としては、式(IV):
O(CO)− (IV)
(式中、Rは、炭素数5〜7のアルキル基または炭素数5〜7の脂環基を示す)
で表される炭素数6〜8の(シクロ)アルカノイルオキシ基が挙げられ、好適なRとしては、ペンチル基およびへキシル基が挙げられる。
カルボン酸エステル系ポリマーの分子末端における脱離して気化し、気体の有機酸となる基の量は、カルボン酸エステル系ポリマーの分子量などによって異なるので一概には決定することができない。通常、カルボン酸エステル系ポリマーは、理論的に少なくとも2個の脱離して気化し、気体の有機酸となる基を有する。また、カルボン酸エステル系ポリマーは、理論的に最大でその重合度よりも10個多い数の脱離して気化し、気体の有機酸となる基を有する。
カルボン酸エステル系ポリマーの数平均分子量は、ポリマーを構成している繰返し単位の種類などによって異なるので一概には決定することができない。カルボン酸エステル系ポリマーの数平均分子量は、容易に発泡させるとともに、成形性を高める観点から、通常、好ましくは3000〜1000000、より好ましくは3000〜100000、さらに好ましくは5000〜90000である。
カルボン酸エステル系ポリマーは、該ポリマーを構成している単位に対応した原料モノマーを重合させることにより、容易に調製することができる。
原料モノマーの代表例としては、例えば、チロシン、ドーパ、β−チロシン、m−チロシンなどのアミノ酸;o−クマル酸、m−クマル酸、p−クマル酸、フェルラ酸、イソフェルラ酸、シナピン酸、カフェ酸、クロロゲン酸、メリロト酸、フロレト酸、ウンベル酸、ヒドロフェルラ酸、ヒドロイソフェルラ酸、ヒドロカフェ酸などのケイ皮酸類;プレフェン酸、没食子酸、アロゲン酸、3−アミノ−4−ヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸、ホモゲンチジン酸、m−サリチル酸、p−サリチル酸、ピロカテク酸、プロトカテク酸、バニルマンデル酸、オルセリン酸、クレオソート酸、バニリン酸、ホモバニリン酸、イソバニリン酸、ホモイソバニリン酸、o−サリチル酸、o−ホモサリチル酸、m−ホモサリチル酸、p−ホモサリチル酸、シリング酸、γ−レゾルシン酸、α−レゾルシン酸、β−レゾルシン酸などのポリフェノール類;マンデル酸、アトラクチン酸などの天然酸;ベンジル酸、ヒドロキシナフトエ酸、トロ酸などのその他の芳香族酸;グルクロン酸、マンヌロン酸、ガラクツロン酸、グルロン酸、イヅロン酸、ムラミン酸、N−アセルムラミン酸などの糖類;コリスミ酸、デヒドロシキミ酸、デヒドロキナ酸、キナ酸、シキミ酸などの他の脂肪酸などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの原料モノマーは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
前記原料モノマーの好適な例としては、チロシン、ドーパ、β−チロシン、m−チロシン、o−クマル酸、m−クマル酸、フェルラ酸、イソフェルラ酸、シナピン酸、クロロゲン酸などが挙げられ、これらの原料モノマーは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。これらの原料モノマーのなかでは、カルボン酸エステル系ポリマーの溶解性および耐熱性を高める観点から、フェルラ酸、シナピン酸、o−クマル酸およびm−クマル酸が好ましく、フェルラ酸、シナピン酸およびo−クマル酸がより好ましく、フェルラ酸およびシナピン酸がさらに好ましく、フェルラ酸が特に好ましい。
なお、フェルラ酸は、米ぬか抽出物から入手することができ、パラクマル酸は、ポテトから抽出することができることから、ポリフェノールなどの植物に含まれている原料モノマーを使用した場合には、環境面に優れるという利点を有する。
原料モノマーとして、フェルラ酸などの重合に関与する官能基2個、例えば、水酸基とカルボキシル基とを有するモノマー(AB型モノマー)を重合させた場合や、カフェ酸などの重合に関与する官能基3個、例えば、水酸基2個とカルボキシル基とを有するモノマー(AB2型モノマー)を200℃以下の温度で10〜30分間程度の重合反応条件下で重合させたときに立体障害により分岐を誘起する反応が生じない場合には、式(I)で表される単位からなる重合体が得られる。
また、原料モノマーとして、例えば、カフェ酸などの重合に関与する官能基3個、例えば、水酸基2個とカルボキシル基とを有するモノマー(AB2型モノマー)を200℃以上の温度で30分間よりも長い時間の重合反応条件下、例えば、200℃で6時間重合させ、分岐を誘起する反応を生じさせた場合には、式(I)で表される単位と式(II)で表される単位とを有する重合体または式(II)で表される単位からなる重合体が得られる。しかし、通常、式(I)で表される単位と式(II)で表される単位とを有する重合体が生成しやすいことが、本発明者らの研究によって確認されている。
さらに、原料モノマーとして、フェルラ酸などの重合に関与する官能基2個、例えば、水酸基とカルボキシル基とを有するモノマー(AB型モノマー)と、カフェ酸などの重合に関与する官能基3個、例えば、水酸基2個とカルボキシル基とを有するモノマー(AB2型モノマー)とを共重合させた場合には、式(I)で表される単位と式(II)で表される単位とを有する重合体が得られる。
原料モノマーは、必要により、あらかじめアルカノイル化させておいてもよい。アルカノイル化は、常法によって行なうことができ、本発明は、かかるアルカノイル化の方法によって限定されるものではない。アルカノイル化の方法としては、例えば、有機酸を用いて原料モノマーをアルカノイル化させる方法などが挙げられる。また、本発明においては、カルボン酸エステル系ポリマーを調製した後に、有機酸を用いてこのカルボン酸エステル系ポリマーをアルカノイル化させてもよい。
有機酸としては、原料モノマーが有するヒドロキシル基とエステルを形成することができるカルボン酸であって、沸点が250℃以下であり、かつアミノ基や水酸基などの重合を阻害する官能基を有しないものが好ましい。有機酸の沸点が250℃以下であることが好ましいのは、カルボン酸エステル系ポリマーを、例えば、発泡させるときの加熱により、カルボン酸エステル系ポリマーのアルカノイル化された部分の分解を防止するためである。
前記カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、それらの構造異性体などの沸点が250℃以下である脂肪族カルボン酸;シクロプロパンカルボン酸、シクロブタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘプタンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、それらの構造異性体などの沸点が250℃以下である環状カルボン酸;フルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、ブロモ酢酸、ヨード酢酸、シアノ酢酸などの沸点が250℃以下である置換基を有する脂肪族カルボン酸;安息香酸、ピルビン酸、アクリル酸、メタクリル酸、ブテン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、ヘプテン酸、オクテン酸などの沸点が250℃以下である不飽和脂肪族カルボン酸などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記カルボン酸のなかでは、沸点が低いので発泡効率が高く、低毒性であることから、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸およびオクタン酸が好ましく、酢酸がより好ましい。
また、前記カルボン酸が、カルボン酸エステル系ポリマーの軟化温度よりも高い温度の沸点を有する場合、該カルボン酸エステル系ポリマーの軟化点以上の温度で、かつ該カルボン酸の沸点よりも低い温度で、該カルボン酸でアルカノイル化されたカルボン酸エステル系ポリマーを加熱溶融させ、溶融したカルボン酸エステル系ポリマーを発泡させずに所望の成形型内に充填することができる。また、成形型内に充填した後には、該カルボン酸の沸点以上の温度に加熱することにより、カルボン酸エステル系ポリマーを発泡させることができる。これに好適なカルボン酸としては、炭素数5〜7のアルキル基または炭素数5〜7の脂環基を有するカルボン酸が挙げられる。それらのなかでは、ヘキサン酸がより好ましい。
したがって、本発明において、前記カルボン酸でアルカノイル化されたカルボン酸エステル系ポリマーを用いた場合、該カルボン酸エステル系ポリマーを発泡させずに加熱溶融させることができるので、前記カルボン酸の沸点よりも低い温度で加熱溶融させたカルボン酸エステル系ポリマーを所望の成形型内に充填した後、さらに前記カルボン酸の沸点以上の温度に加熱することにより、カルボン酸エステル系ポリマーを発泡させることができる。このことから、このカルボン酸エステル系ポリマーを加熱溶融させて成形型内に充填することにより、成形型内に空隙を発生させずに成形することができるので、ボイドの発生がない発泡成形体を製造することができるという利点がある。
カルボン酸エステル系ポリマーは、加熱溶融させて所望の成形型内に充填した後、発泡させる方法、例えば、型内発泡成形方法に好適に使用することができる。
なお、原料モノマーには、本発明の目的を阻害しない範囲内であれば、例えば、スチレンなどの他のモノマーが含まれていてもよい。
前記原料モノマーの重合方法としては、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などが挙げられる。それらのなかでは、塊状重合法および溶液重合法が好ましく、塊状重合法がより好ましい。例えば、塊状重合法によってカルボン酸エステル系ポリマーを調製する場合、前記原料モノマーを必要によりアセチル化させた後、エステル化触媒の存在下で反応させることにより、カルボン酸エステル系ポリマーを容易に調製することができる。
エステル化触媒としては、例えば、ギ酸リチウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸ルビジウム、ギ酸セシウム、ギ酸マグネシウム、ギ酸カルシウム、ギ酸ストロンチウム、ギ酸バリウムなどのギ酸金属塩;酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウムなどの酢酸金属塩;シュウ酸リチウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、シュウ酸ルビジウム、シュウ酸セシウム、シュウ酸マグネシウム、シュウ酸カルシウム、シュウ酸ストロンチウム、シュウ酸バリウムなどのシュウ酸金属塩;ケイ皮酸リチウム、ケイ皮酸ナトリウム、ケイ皮酸カリウム、ケイ皮酸ルビジウム、ケイ皮酸セシウム、ケイ皮酸マグネシウム、ケイ皮酸カルシウム、ケイ皮酸ストロンチウム、ケイ皮酸バリウムなどのケイ皮酸金属塩;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウムなどの炭酸金属塩;リン酸三リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三ルビジウム、リン酸三セシウム、リン酸一水素二リチウム、リン酸一水素二ナトリウム、リン酸一水素二カリウム、リン酸一水素二ルビジウム、リン酸一水素二セシウム、リン酸一水素マグネシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸一水素ストロンチウム、リン酸一水素バリウム、リン酸二水素一リチウム、リン酸二水素一ナトリウム、リン酸二水素一カリウム、リン酸二水素一ルビジウム、リン酸二水素一セシウムなどのリン酸金属塩;二リン酸三マグネシウム、二リン酸三カルシウム、二リン酸三ストロンチウム、二リン酸三バリウム、二リン酸四水素一マグネシウム、二リン酸四水素一カルシウム、二リン酸四水素一ストロンチウム、二リン酸四水素一バリウムなどの二リン酸金属塩;ポリリン酸リチウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸ルビジウム、ポリリン酸セシウム、ポリリン酸マグネシウム、ポリリン酸カルシウム、ポリリン酸ストロンチウム、ポリリン酸バリウムなどのポリリン酸金属塩;メタリン酸リチウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸ルビジウム、メタリン酸セシウム、メタリン酸マグネシウム、メタリン酸カルシウム、メタリン酸ストロンチウム、メタリン酸バリウムなどのメタリン酸金属塩;酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ルビジウム、酸化セシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムなどの金属酸化物;金属リチウム、金属ナトリウム、金属カリウム、金属ルビジウム、金属セシウムなどのアルカリ金属;金属マグネシウム、金属カルシウム、金属ストロンチウム、金属バリウムなどのアルカリ土類金属などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのエステル化触媒は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
前記エステル化触媒のなかでは、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、二リン酸三マグネシウム、二リン酸三カルシウム、リン酸一水素二ナトリウム、リン酸一水素二カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸マグネシウムおよびポリリン酸カルシウムが好ましく、リン酸ナトリウムがより好ましい。
エステル化触媒の量は、重合に供される原料モノマーの種類などによって異なるので一概には決定することができない。エステル化触媒の量は、通常、原料モノマー100重量部あたり、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは1〜30重量部、さらに好ましくは1〜10重量部である。
なお、溶液重合法によってカルボン酸エステル系ポリマーを調製する場合には、反応に関与しない有機溶媒を用いることができる。反応に関与しない有機溶媒としては、例えば、トルエン、ヘキサン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。これらのなかでは、エステル化反応の際に生成した水を容易に除去することができることから、ヘキサンおよびトルエンが好ましい。
重合温度は、反応効率を高める観点から、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上であり、反応の際に発泡するのを防止する観点から、好ましくは250℃以下、より好ましくは225℃以下である。
重合反応の時間は、反応条件などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、1〜72時間程度であり、好ましくは1〜30時間程度であり、より好ましくは1〜15時間程度であり、さらに好ましくは1〜7時間程度である。
重合反応の際の雰囲気は、特に限定されないが、空気中に含まれている酸素が反応に関与するのを防止するために、例えば、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
なお、重合反応の初期には、原料モノマーを攪拌しながらエステル化反応を進行させ、その後は酢酸などの副生成物を、例えば、ロータリーポンプ、ロータリーエバポレーターなどを用いて系内を減圧することによって除去することが好ましい。減圧度は、特に限定されないが、通常、1〜50kPa程度であればよい。なお、反応が進行し、生成したカルボン酸エステル系ポリマーが固化した場合には、その時点で反応を終了することができる。
重合反応の際には、必要により、ハイドロキノン、p−メトキシフェノールなどの重合禁止剤、シリカ、タルク、カオリン、マイカ、酸化チタン、ケナフ、チョマ、モンモリロナイト、ベントナイト、炭素繊維、ガラス繊維、木粉などのフィラー、カーボンブラックなどの顔料、染料などの着色剤を原料モノマーに添加してもよい。
かくして原料モノマーを重合させることにより、カルボン酸エステル系ポリマーが得られる。
前記カルボン酸エステル系ポリマーは、例えば、粉末の形態で用いることができる。カルボン酸エステル系ポリマーの粉末の粒子径は、特に限定されないが、通常、0.1〜100μm程度であることが好ましい。
なお、カルボン酸エステル系ポリマーは、それ自身で発泡性を有するが、本発明の目的が阻害されない範囲内で発泡剤が含まれていてもよい。
さらに、カルボン酸エステル系ポリマーは、他の樹脂と混合して用いることができる。このように他の樹脂と混合して用いた場合には、該他の樹脂を発泡させることができる。
該他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリスルホン、ポリエーテル、フェノキシ樹脂などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
カルボン酸エステル系ポリマーと他の樹脂とを混合して用いる場合、例えば、カルボン酸エステル系ポリマーと、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂とを加熱し、溶融混練することにより、両者を均一に分散させてもよく、カルボン酸エステル系ポリマーおよび前記他の樹脂を溶解させることができる有機溶媒を用いて両者を溶解させて混合することにより、均一に分散させてもよい。
カルボン酸エステル系ポリマーは、加熱することによってそれ自身が発泡する性質を有するので、カルボン酸エステル系ポリマーを所望の温度に加熱したとき、該カルボン酸エステル系ポリマーが有する脱離して気化し、気体の有機酸となる基が脱離し、気体の有機酸が生成する。そのとき、炭酸ガスが生成しない。したがって、該カルボン酸エステル系ポリマーから形成される硬質発泡体を製造する際、生成した気体の有機酸によって該カルボン酸エステル系ポリマーが発泡するが、発泡の際に従来のような炭酸ガスを発生しないので、地球環境に優しいという利点を有する。
カルボン酸エステル系ポリマーを用いて硬質発泡体を製造する場合、カルボン酸エステル系ポリマーを150〜300℃に加熱し、発泡させることにより、硬質発泡体を製造することができる。
より具体的には、例えば、150〜300℃に加熱された成形型内で必要により加圧しながら10分間〜6時間程度の間、カルボン酸エステル系ポリマーを所望の形状に加熱成形することによって硬質発泡体を製造することができる。
また、カルボン酸エステル系ポリマーを5〜100MPa程度の圧力で加圧した状態で180〜280℃程度の温度で5〜30分間程度加熱した後、圧力を開放することにより、硬質発泡体を製造することができる。さらに、0.1MPa以下の減圧下で230〜280℃程度の温度で約3〜10分間程度、カルボン酸エステル系ポリマーを加熱するか、または0.1MPa以下の減圧下で150〜210℃程度の温度で2.5〜3.5時間程度、カルボン酸エステル系ポリマーを保持することにより、硬質発泡体を製造することもできる。
このように、カルボン酸エステル系ポリマーを用いた場合には、所定の温度で加熱するだけで硬質発泡体を容易に製造することができるので、カルボン酸エステル系ポリマーは、硬質発泡体を生産効率よく製造することができるという利点を有する。
なお、前記硬質発泡体の発泡倍率は、軽量化を図り、誘電率を低減させ、防振性を向上させる観点から、好ましくは1.1倍以上、より好ましくは1.2倍以上、さらに好ましくは1.5倍以上であり、機械的強度を高める観点から、好ましくは50倍以下、より好ましくは30倍以下、さらに好ましくは10倍以下である。
硬質発泡体の発泡倍率は、硬質発泡体の体積をカルボン酸エステル系ポリマーの体積で除することによって求められる。発泡倍率は、カルボン酸エステル系ポリマーを発泡させるときの加熱温度、加熱時間、加熱時の圧力、加熱時の減圧度、混合するフィラーの種類およびその量、カルボン酸エステル系ポリマーの分子量、光照射などの前架橋などの条件を調整することにより、容易に制御することができる。
また、硬質発泡体の平均気泡径は、一般的なポリマーの長周期構造以上の大きさを有する孔を与える観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは0.1μm以上であり、機械的強度を高める観点から、好ましくは1mm以下、より好ましくは100μm以下である。平均気泡径は、フィールドエミッション走査型電子顕微鏡などの走査型電子顕微鏡で写真撮影された硬質発泡体の気泡径の平均値である。平均気泡径は、カルボン酸エステル系ポリマーを発泡させるときの加熱温度、加熱時間、加熱時の圧力、加熱時の真空度、混合するフィラーの種類およびその量、カルボン酸エステル系ポリマーの分子量、光照射などの前架橋などの条件などを調整することにより、容易に制御することができる。
前記硬質発泡体は、耐熱性に優れ、しかも高い機械的強度を有するので、例えば、自動車部品材料、航空機用材料、宇宙分野用材料、各種産業用材料、医療補助用材料などに適用することが期待される。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
製造例1(アセチル化フェルラ酸の調製)
500mL容のナス型フラスコ内に、フェルラ酸25g、トルエン200mL、無水酢酸50mLおよびピリジン10mLを添加し、110℃で2時間攪拌しながら反応を行なった。反応終了後、得られた反応混合物を室温まで冷却し、90〜100℃の熱水に添加し、均一な組成となるように攪拌した。攪拌後、反応混合物の溶液を静置すると、油層と水層の2層に分離したが、次第に水層中に白色結晶が析出した。得られた白色結晶を濾集し、濾過物を熱水1000mLで洗浄した後、乾燥機にて60℃で24時間乾燥させた。
得られた白色結晶の赤外吸収スペクトル(IR)および核磁気共鳴(H−NMR)を調べたところ、アセチル化フェルラ酸であることが確認された。
実施例1(ポリフェルラ酸の調製)
製造例1で得られたアセチル化フェルラ酸10gと触媒としてリン酸ナトリウム0.1gを500mL容のセパラブルフラスコに添加し、窒素ガス気流下で室温から190℃まで加熱し、メカニカルスターラーで攪拌しながら重合を行なった。重合開始から2時間加熱撹拌した後、フラスコ内をロータリーポンプで1kPa以下に減圧し、190℃でさらに0.5〜4時間重合を行なった。得られた生成物が固化したときに、重合反応を停止させた。その後、得られた生成物を冷却することにより、直径が約20〜30mmの塊状の固形物を得た。
得られた固形物の赤外吸収スペクトル(IR)を赤外線吸収スペクトル装置(パーキンエルマー社製、商品名:Spectrum One)を用いて調べた。その結果を図1および以下に示す。
IR(ATR)νmax(cm-1):1255, 1219(エーテル)、1598(ベンゼン環)、1633(ビニレン)、1722(エステル)
また、得られた固形物の核磁気共鳴(1H−NMR)を核磁気共鳴装置(バリアン社製、商品名:Gemini-2000)を用いて調べた。その結果を図2(横軸の単位:ppm)および以下に示す。なお、図2中、Acはアセチル基、MeOはメトキシ基を示す。図2に示される化学式中のa、b、c、dおよびeは、それぞれ図2に示されるピークの帰属を示す。
1H−NMR(DMSO−d6)、δ(質量ppm):3.9-4.0(メトキシ基)、6.8-6.9(図2のa)、7.2-7.3(図2のc)、7.3-7.4(図2のe)、7.4-7.5(図2のd)、8.0-8.2(図2のb)
赤外吸収スペクトル(IR)の測定結果から、実施例1で得られた固形物は、式(Ia)において、−CH=CH−CO−基に対してm位にR1が結合し、−O−基がp位に結合し、R1がメトキシ基であり、R2が水素原子であるポリフェルラ酸であることが確認された。また、H−NMRの測定結果から、得られたポリフェルラ酸の数平均分子量は、10000であることが確認された。
実施例2(ポリフェルラ酸の硬質発泡体の製造)
実施例1で得られた塊状のポリフェルラ酸をミルで粒子径が0.1〜100μm程度となるように粉砕し、得られた粉末を縦50mm、横6mm、深さ7mmの内部形状を有する成形型内に充填し、5MPaの加圧下で200℃の温度で20分間圧縮成形した後、除圧し、成形型から取り出さずに、250℃の温度で15分間加熱したところ、このポリフェルラ酸が発泡し、硬質発泡体が得られた。
得られた硬質発泡体の発泡倍率および平均気泡径を調べた。その結果、発泡倍率は7倍であり、平均気泡径は12μmであった。また、硬質発泡体を製造する際に生成したガスを調べたところ、生成したガスは、酢酸であることが確認された。
なお、生成したガスが酢酸であることは、熱分解ガスクロマトグラフ−質量分析装置〔(株)パーキンエルマージャパン製、商品名:Clarus 500 GC/MS〕を用い、得られた硬質発泡体の一部を切り取り、これを熱水で熱分解させたときに発生したガスを分析することによって確認した。他の実施例においても、これと同様にして生成したガスを分析した。
また、各実施例において、発泡倍率は、硬質発泡体の体積を発泡前のカルボン酸エステル系ポリマーの体積で除することによって求めた。各実施例において、平均気泡径は、フィールドエミッション走査型電子顕微鏡で写真撮影された硬質発泡体の気泡50個の気泡径を測定し、その気泡径の平均値を算出することによって求めた。
この硬質発泡体を刃物で切断し、その断面の走査電子顕微鏡(SEM)写真を撮影した。その結果を図3に示す。なお、写真の撮影倍率は、図3に示されているように200倍である。図3に示されたSEM写真から、得られた硬質発泡体には、符号Xで示されるように、ナノレベルからミリレベルにいたるまでの孔径を有する気泡が多数存在していることがわかる。
次に、得られた硬質発泡体の物性として、機械的強度(圧縮強度)および耐熱性を以下の測定方法にしたがって調べた。その結果、得られた硬質発泡体は、23MPaの圧縮強度を有し、また、300℃という高温の雰囲気中に12時間曝した場合であっても変形などが生じなかったことから、優れた耐熱性を有することが確認された。
〔圧縮強度の測定方法〕
硬質発泡体を切削または裁断することにより、試験片(縦3mm、横4mm、厚さ3mm)を作製した。室温中で、試験片との接触面が平滑な平面であるステンレス鋼製の2つの治具の間にこの試験片を挟み、2つの治具の間に圧力を加えて圧縮試験を行ない、試験片が破壊するときの最大荷重を試験片の断面積(3×4=12mm2)で除することによって求められた値を圧縮強度とする。
〔耐熱性の測定方法〕
硬質発泡体を内部雰囲気の温度が300℃に調整されたオーブン内に入れ、12時間加熱した後、オーブンから取り出し、この硬質発泡体に変形などの異状がないかどうかを確認する。
次に、得られた硬質発泡体の表面に、鉛フリーハンダ(融点:約200℃)を用いて直径1mmの真鍮線をハンダ付けしたところ、硬質発泡体が樹脂で構成されているにもかかわらず、熱変形などを生じさせずに真鍮線をハンダ付けすることができた。
このことから、実施例2で得られた硬質発泡体は、耐熱性に優れているのみならず、微細な気泡を有しているので、ハンダ付けを容易に施すことができるものであることがわかる。
実施例3(ポリフェルラ酸の硬質発泡体の製造)
実施例1で得られた塊状のポリフェルラ酸を、ホットプレス装置を用いて5MPaの圧力で加圧した状態で250℃の温度で20分間加熱した後、除圧したところ、このポリフェルラ酸が発泡し、硬質発泡体が得られた。
得られた硬質発泡体の発泡倍率は7倍であり、平均気泡径は12μmであった。この硬質発泡体を刃物で切断し、その断面の走査電子顕微鏡(SEM)写真を撮影したところ、実施例2で得られた硬質発泡体と同様に、得られた硬質発泡体には、ナノレベルからミリレベルにいたるまでの孔径を有する気泡が多数存在していることが確認された。また、硬質発泡体を製造する際に生成したガスを調べたところ、生成したガスは、酢酸であることが確認された。
次に、得られた硬質発泡体の物性として、機械的強度(圧縮強度)および耐熱性を実施例2と同様にして調べたところ、圧縮強度は25MPaであり、耐熱性に関しては、得られた硬質発泡体を300℃という高温の雰囲気中に12時間曝した場合であっても変形などが生じなかったことから、この硬質発泡体は、耐熱性に優れていることが確認された。
次に、得られた硬質発泡体の表面に、鉛フリーハンダ(融点:約200℃)を用いて直径1mmの真鍮線をハンダ付けしたところ、硬質発泡体が樹脂で構成されているにもかかわらず、熱変形などを生じさせずに真鍮線をハンダ付けすることができた。
このことから、実施例3で得られた硬質発泡体は、耐熱性に優れているのみならず、微細な気泡を有しているので、ハンダ付けを容易に施すことができるものであることがわかる。
実施例4(ポリm−クマル酸の調製)
実施例1において、アセチル化フェルラ酸10gの代わりにアセチル化m−クマル酸10gを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてポリm−クマル酸を調製した。
得られたポリm−クマル酸の赤外吸収スペクトル(IR)および核磁気共鳴(H−NMR)を実施例1と同様にして調べた。その結果、得られたポリm−クマル酸の数平均分子量は、15000であり、式(Ia)において、−CH=CH−CO−基に対して−O−基がm位に結合し、R1およびR2がいずれも水素原子であることが確認された。
次に、得られた硬質発泡体の表面に、鉛フリーハンダ(融点:約200℃)を用いて直径1mmの真鍮線をハンダ付けしたところ、硬質発泡体が樹脂で構成されているにもかかわらず、熱変形などを生じさせずに真鍮線をハンダ付けすることができた。
このことから、実施例で得られた硬質発泡体は、耐熱性に優れているのみならず、微細な気泡を有しているので、ハンダ付けを容易に施すことができるものであることがわかる。
実施例5(ポリm−クマル酸の硬質発泡体の製造)
実施例4で得られたポリm−クマル酸を用いて実施例2と同様にして硬質発泡体を製造した。得られた硬質発泡体の発泡倍率を調べたところ、7倍であり、平均気泡径は12μmであった。この硬質発泡体を刃物で切断し、その断面の走査電子顕微鏡(SEM)写真を撮影したところ、得られた硬質発泡体には、実施例2で得られた硬質発泡体と同様に、ナノレベルからミリレベルにいたるまでの孔径を有する気泡が多数存在していることがわかった。
得られた硬質発泡体の物性として、機械的強度(圧縮強度)および耐熱性を実施例2と同様にして調べたところ、この硬質発泡体は、30MPaの圧縮強度を有し、300℃という高温の雰囲気中に12時間曝された場合であっても変形などを生じないことから、耐熱性に優れていることがわかった。また、硬質発泡体を製造する際に生成したガスを調べたところ、生成したガスは、酢酸であることが確認された。
次に、得られた硬質発泡体の表面に、鉛フリーハンダ(融点:約200℃)を用いて直径1mmの真鍮線をハンダ付けしたところ、硬質発泡体が樹脂で構成されているにもかかわらず、熱変形などを生じさせずに真鍮線をハンダ付けすることができた。
このことから、実施例5で得られた硬質発泡体は、耐熱性に優れているのみならず、微細な気泡を有しているので、ハンダ付けを容易に施すことができるものであることがわかる。
また、得られた硬質発泡体の加熱による示差走査熱量変化と重量減少率の測定を熱分析装置〔セイコーインスツル(株)製、品番:SSC5200〕を用いて測定した。その示差走査熱量変化および重量減少率の測定結果をそれぞれ図4および図5に示す。
図4および図5に示された結果から、実施例5で得られた硬質発泡体は、約300℃までは熱塑性と重量減少がほとんどなく耐熱性に優れていることがわかる。また、図5の重量減少率の測定結果から、約310℃を超えるあたりから硬質発泡体の分解が開始していることがわかる。このことから、実施例5で得られた硬質発泡体は、約300℃という高温でも耐熱性に優れていることがわかる。
実施例6(p−クマル酸−カフェ酸共重合体の調製)
モノマーとしてp−クマル酸4gおよびカフェ酸6gと、触媒としてリン酸ナトリウム0.1gと、ヘキサノイル化剤としてヘキサン酸無水物20gとを、500mL容のセパラブルフラスコ内に添加し、窒素ガス気流下で室温から190℃まで加熱し、メカニカルスターラーで攪拌しながら重合を行なった。重合開始から2時間加熱撹拌した後、フラスコ内をロータリーポンプで1kPa以下に減圧し、190℃でさらに0.5〜4時間重合を行なった。得られた生成物が固化したときに、重合反応を停止させた。その後、得られた生成物を冷却することにより、塊状の固形物を得た。
得られた固形物の赤外吸収スペクトル(IR)を赤外線吸収スペクトル装置(パーキンエルマー社製、商品名:Spectrum One)を用いて調べた。その結果を図6に示す。
図6に示された結果から、得られたポリマーには、符号aで示されるエステル基に特徴的なピークおよび符号bで示されるベンゼン環に特徴的なピークのほかに、波数2900cm−1付近に符号cで示されるアルキル基の存在を示すピークが確認される。
また、得られた固形物の核磁気共鳴(1H−NMR)を核磁気共鳴装置(バリアン社製、商品名:Gemini-2000)を用いて調べた。その結果を図7(横軸の単位:ppm)に示す。
図7に示された結果から、符号dで示されるベンゼン環に基づくシグナルのほかに、符号eで示されるヘキサノイル基に基づくシグナルが認められる。なお、符号fはα水素のシグナルに基づくシグナルを示す。
各ピークの積分面積比から、得られた共重合体は、p−クマル酸36モル%およびカフェ酸64モル%で構成され、ヘキサノイル化率がモノマー全量に対して43モル%であることがわかった。
ヘキサノイル化率は、理想的には、カフェ酸の組成とほぼ同じになると考えられる。これに対して、この実施例で得られた共重合体では、ヘキサノイル化率がモノマー全量に対して43モル%であるのは、ヘキサノイル基が嵩高いことに起因するものと考えられる。
IRおよび1H−NMRの測定結果から、実施例6で得られた固形物は、式:
で表される単位と、式:
で表される単位を有し、式中のmとnとのモル比(m/n)が64/36であるp−クマル酸−カフェ酸ランダム共重合体であることが確認された。また、H−NMRの測定結果から、得られたp−クマル酸−カフェ酸ランダム共重合体の数平均分子量(Mn)は、10200であり、重量平均分子量(Mw)は、18600であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.8であることが確認された。
実施例7(p−クマル酸−カフェ酸共重合体の硬質発泡体の製造)
実施例6で得られたp−クマル酸−カフェ酸共重合体を200℃で1時間加熱したところ、軟化した。この軟化したp−クマル酸−カフェ酸共重合体の外観を観察したが、発泡していなかった。
次に軟化したp−クマル酸−カフェ酸共重合体を縦50mm、横6mm、深さ7mmの内部形状を有する成形型内に充填した。そのとき、そのp−クマル酸−カフェ酸共重合体は、柔軟であるので、成形型内に容易に充填することができた。そのp−クマル酸−カフェ酸共重合体を5MPaの加圧下で200℃の温度で20分間圧縮成形し、室温に冷却した後、得られた成形体を成形型から取り出した。得られた成形体の表面を観察したが、ボイドなどの発生がなく、外観が美麗であった。
得られた成形体を大気中で220℃の温度で1時間加熱したところ、このp−クマル酸−カフェ酸共重合体が発泡し、体積が2倍程度に増加し、発泡倍率が約2倍の硬質発泡体が得られた。得られた硬質発泡体の平均気泡径は、15μmであった。また、硬質発泡体を製造する際に生成したガスを熱分解ガスクロマトグラフ−質量分析装置〔(株)パーキンエルマージャパン製、商品名:Clarus 500 GC/MS〕で調べたところ、生成したガスは、ヘキサン酸であることが確認された。
次に、得られた硬質発泡体を刃物で切断し、その断面の走査電子顕微鏡(SEM)写真を撮影したところ、得られた硬質発泡体には、実施例2で得られた硬質発泡体と同様に、ナノレベルからミリレベルにいたるまでの孔径を有する気泡が多数存在していることがわかった。
得られた硬質発泡体の物性として、機械的強度(圧縮強度)および耐熱性を実施例2と同様にして調べたところ、この硬質発泡体は、30MPaの圧縮強度を有し、300℃という高温の雰囲気中に12時間曝された場合であっても変形などを生じないことから、耐熱性に優れていることがわかった。
以上の結果から、p−クマル酸−カフェ酸共重合体を発泡させずに加熱溶融させることができるので、ヘキサン酸の沸点よりも低い温度で加熱溶融させ、溶融させたp−クマル酸−カフェ酸共重合体を成形型内に充填した後、ヘキサン酸の沸点以上の温度に加熱することにより、カルボン酸エステル系ポリマーを発泡させることができることがわかる。
このことから、このp−クマル酸−カフェ酸共重合体を加熱溶融させて成形型内に充填することにより、成形型内に空隙を発生させずに成形体を製造することができるので、ボイドの発生がない成形体を製造し、この成形体を発泡させることにより、硬質発泡体を製造することができることがわかる。
次に、得られた硬質発泡体の表面に、鉛フリーハンダ(融点:約200℃)を用いて直径1mmの真鍮線をハンダ付けしたところ、硬質発泡体が樹脂で構成されているにもかかわらず、熱変形などを生じさせずに真鍮線をハンダ付けすることができた。
このことから、実施例7で得られた硬質発泡体は、耐熱性に優れているのみならず、微細な気泡を有しているので、ハンダ付けを容易に施すことができるものであることがわかる。
実施例8(フェルラ酸−カフェ酸共重合体の調製)
モノマーとして、フェルラ酸10gおよびカフェ酸10gと、触媒としてリン酸ナトリウム0.2gと、アセチル化剤として無水酢酸20gとを、500mL容のセパラブルフラスコ内に添加し、窒素ガス気流下で室温から190℃まで加熱し、メカニカルスターラーで攪拌しながら重合を行なった。重合開始から2時間加熱撹拌した後、フラスコ内をロータリーポンプで1kPa以下に減圧し、190℃でさらに0.5〜4時間重合を行なった。得られた生成物が固化したときに、重合反応を停止させた。その後、得られた生成物を冷却することにより、塊状の固形物を得た。
得られた固形物の赤外吸収スペクトル(IR)を赤外線吸収スペクトル装置(パーキンエルマー社製、商品名:Spectrum One)を用いて調べた。その結果を図8に示す。
なお、図8において、(i)はポリカフェ酸の赤外吸収スペクトル、(ii)はポリフェルラ酸の赤外吸収スペクトル、(iii)はフェルラ酸−カフェ酸共重合体の赤外吸収スペクトルである。
図8に示された結果から、得られた固形物には、符号gで示されるフェルラ酸に特徴的なピーク(メチル基に基づくピーク)と、符号hで示されるカフェ酸に特徴的なピーク(1,2,4−3置換ベンゼンに基づくピーク)とが存在していることが確認される。
また、得られた固形物の13〜0ppmの範囲における核磁気共鳴(1H−NMR)を核磁気共鳴装置(バリアン社製、商品名:Gemini-2000)を用いて調べた。その結果を図9に示す。図9において、符号iは、TFA(トリフルオロ酢酸)に基づくピーク、jはフェニレンビニレンに基づくピーク、kはフェルラ酸のメチル基に基づくピーク、mはアセチル末端基に基づくピーク、nは内部標準であるTMS(テトラメチルシラン)に基づくピークを示す。
次に、得られた固形物の8.2〜6.4ppmの範囲における核磁気共鳴(1H−NMR)の化学シフトを図10に示す。赤外吸収スペクトル(IR)および図10に示された化学シフトにおけるピークa、a’、b、b’、c、c’、d、d’、eおよびe’のピークの帰属から、得られた固形物は、式:
(式中、符号a’、b’、c’、d’およびe’は、それぞれ図10に示されるピークの帰属を示す)
で表される単位33モル%と、式:
(式中、a、b、c、dおよびeは、それぞれ図10に示されるピークの帰属、MeOはメトキシ基を示す)
で表される単位67モル%を有し、末端にアセチルオキシ基を有するフェルラ酸−カフェ酸ランダム共重合体であることが確認された。また、H−NMRの測定結果から、得られたフェルラ酸−カフェ酸共重合体の数平均分子量(Mn)は、7100であり、重量平均分子量(Mw)は、8900であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.3であることが確認された。
実施例9(フェルラ−カフェ酸共重合体の硬質発泡体の製造)
実施例8で得られフェルラ酸−カフェ酸共重合体を用いて実施例2と同様にして硬質発泡体を製造した。得られた硬質発泡体の発泡倍率は200倍であり、平均気泡径は15μmであった。この硬質発泡体を刃物で切断し、その断面の走査電子顕微鏡(SEM)写真を撮影したところ、得られた硬質発泡体には、実施例2で得られた硬質発泡体と同様に、ナノレベルからミリレベルにいたるまでの孔径を有する気泡が多数存在していることがわかった。
得られた硬質発泡体の物性として、機械的強度(圧縮強度)および耐熱性を実施例2と同様にして調べたところ、この硬質発泡体は、30MPaの圧縮強度を有し、300℃という高温の雰囲気中に12時間曝された場合であっても変形などを生じないことから、耐熱性に優れていることがわかった。また、硬質発泡体を製造する際に生成したガスを調べたところ、生成したガスは、酢酸であることが確認された。
次に、得られた硬質発泡体の表面に、鉛フリーハンダ(融点:約200℃)を用いて直径1mmの真鍮線をハンダ付けしたところ、硬質発泡体が樹脂で構成されているにもかかわらず、熱変形などを生じさせずに真鍮線をハンダ付けすることができた。
このことから、実施例9で得られた硬質発泡体は、耐熱性に優れているのみならず、微細な気泡を有しているので、ハンダ付けを容易に施すことができるものであることがわかる。
実施例10(フェルラ酸−p-クマル酸共重合体の調製)
モノマーとしてフェルラ酸10gおよびp-クマル酸10gと、アセチル化剤として無水酢酸20gと、触媒としてリン酸ナトリウム0.1gとを、500mL容のセパラブルフラスコ内に添加し、窒素ガス気流下で室温から190℃まで加熱し、メカニカルスターラーで攪拌しながら重合を行なった。重合開始から2時間加熱撹拌した後、フラスコ内をロータリーポンプで1kPa以下に減圧し、190℃でさらに0.5〜4時間重合を行なった。得られた生成物が固化したときに、重合反応を停止させた。その後、得られた生成物を冷却することにより、塊状の固形物を得た。
得られた固形物の赤外吸収スペクトル(IR)を赤外線吸収スペクトル装置(パーキンエルマー社製、商品名:Spectrum One)を用いて調べた。その結果を図11に示す。
なお、図11において、(i)はポリp-クマル酸の赤外吸収スペクトル、(ii)はポリフェルラ酸の赤外吸収スペクトル、(iii)はフェルラ酸−p-クマル酸共重合体の赤外吸収スペクトルである。
図11に示された結果から、得られたポリマーには、符号pで示されるフェルラ酸に特徴的なピーク(メチル基に基づくピーク)および符号qで示されるp-クマル酸に特徴的なピーク(p−2置換ベンゼンに基づくピーク)が確認される。
また、得られた固形物の核磁気共鳴(1H−NMR)を核磁気共鳴装置(バリアン社製、商品名:Gemini-2000)を用いて調べた。その結果を図12に示す。図12において、符号rは、TFA(トリフルオロ酢酸)に基づくピーク、sはフェニレンビニレンに基づくピーク、tはフェルラ酸のメチル基に基づくピーク、uはアセチル末端基に基づくピークを示す。
次に、得られた固形物の9.0〜6.0ppmの範囲における核磁気共鳴(1H−NMR)の化学シフトを図13に示す。前記赤外吸収スペクトル(IR)および図13に示された化学シフトにおけるピークa、a’、b、b’、c、c’、d、d’およびeのピークの帰属から、得られた固形物は、式:
(式中、符号a’、b’、c’およびd’は、それぞれ図13に示されるピークの帰属を示す)
で表される単位57モル%と、式:
(式中、a、b、c、dおよびeは、それぞれ図13に示されるピークの帰属、MeOはメトキシ基を示す)
で表される単位43モル%を有し、末端にアセチルオキシ基を有するフェルラ酸−p−クマル酸ランダム共重合体であることが確認された。また、H−NMRの測定結果から、得られたフェルラ酸−p-クマル酸共重合体の数平均分子量(Mn)は14900であり、重量平均分子量(Mw)は51000であり、分子量分布(Mw/Mn)が3.4であることが確認された。
実施例11(フェルラ酸−p-クマル酸共重合体の硬質発泡体の製造)
実施例10で得られフェルラ酸−p-クマル酸共重合体を用いて実施例2と同様にして硬質発泡体を製造した。得られた硬質発泡体の発泡倍率は100倍であり、平均気泡径は10μmであった。この硬質発泡体を刃物で切断し、その断面の走査電子顕微鏡(SEM)写真を撮影したところ、得られた硬質発泡体には、実施例2で得られた硬質発泡体と同様に、ナノレベルからミリレベルにいたるまでの孔径を有する気泡が多数存在していることがわかった。
得られた硬質発泡体の物性として、機械的強度(圧縮強度)および耐熱性を実施例2と同様にして調べたところ、この硬質発泡体は、30MPaの圧縮強度を有し、300℃という高温の雰囲気中に12時間曝された場合であっても変形などを生じないことから、耐熱性に優れていることがわかった。また、硬質発泡体を製造する際に生成したガスを調べたところ、生成したガスは、酢酸であることが確認された。
次に、得られた硬質発泡体の表面に、鉛フリーハンダ(融点:約200℃)を用いて直径1mmの真鍮線をハンダ付けしたところ、硬質発泡体が樹脂で構成されているにもかかわらず、熱変形などを生じさせずに真鍮線をハンダ付けすることができた。
このことから、実施例11で得られた硬質発泡体は、耐熱性に優れているのみならず、微細な気泡を有しているので、ハンダ付けを容易に施すことができるものであることがわかる。
実験例1
実施例1で得られたポリフェルラ酸0.4gをヘリウムガス雰囲気中で200℃の温度で5分間加熱し、生成したガスを液体窒素にてクライオトラップし、冷却を停止した後、ガスクロマトグラフィー(キャリアガス:ヘリウムガス)で生成したガスの分析を行なった。そのガスクロマトグラフィーの測定結果を図14に示す。
なお、ガスクロマトグラフィーは、熱分解ガスクロマトグラフ−質量分析装置〔(株)パーキンエルマージャパン製、商品名:Clarus 500 GC/MS〕を用い、50℃から10℃/minの昇温速度で加熱し、320℃に到達したとき、同温度で10分間保持した。
図14に示された結果から、約2分間経過時に酢酸の存在を示すピークvが観察された。このことから、実施例1で得られたポリフェルラ酸には、酢酸が取り込まれていることがわかる。また、約9分間経過時および約16.5分間経過時に未反応モノマーの存在を示すピークwが観察された。
次に、前記ガスクロマトグラフィーにおいて、溶出時間が約2.26分間のときのEIスペクトルを熱分解ガスクロマトグラフ−質量分析装置〔(株)パーキンエルマージャパン製、商品名:Clarus 500 GC/MSに内蔵〕を用いて測定した。そのEIスペクトルの測定結果を図15に示す。
図15に示された結果から、分子量60が親イオンとして検出されており、子イオンにCOOH(m/x:45)、CHCO(m/z:43)およびCH (m/z:15)が検出されていることがわかる。このことから、実施例1で得られたポリフェルラ酸には、酢酸が取り込まれていることがわかる。
実験例2
各実施例で得られたカルボン酸エステル系ポリマーの硬質発泡体(一辺の長さが3mmの立方体)の電気抵抗をLCRメーター〔インテックス(GWINSTEK)社製、品番:LCR-821〕を用いて測定したところ、いずれの発泡体の電気抵抗も無限大となったことから、得られた発泡体は、絶縁性に優れていることが確認された。
実験例3
実施例11で得られたフェルラ酸−p-クマル酸共重合体の硬質発泡体を縦:3mm、横:5mm、長さ:30mmの大きさのブロックに切り出し、このブロックを土壌(阿蘇山中岳中腹斜面産のアルカリ性黒土)の10cmの深さに埋め、3ヶ月間放置した後、土壌から取り出して回収した。その結果を図16に示す。図16において、(a)は土壌に埋蔵する前の硬質発泡体の光学写真であり、(b)は土壌に3ヶ月間埋蔵した後の硬質発泡体の光学写真である。
図16に示されるように、本発明の硬質発泡体は、土壌に埋蔵するだけで分解することがわかる。さらに、その土壌に埋蔵する前後の質量を測定したところ、土壌に埋蔵することにより、約10質量%の重量の減少が確認された。このことから、本発明の硬質発泡体は、生分解性に優れていることがわかる。
本発明の硬質発泡体は、耐熱性に優れているので、例えば、自動車などのエンジン、ヒーター、コンピュータの中央処理装置(CPU)の周囲に使用することが期待される。また、本発明の硬質発泡体の原料として用いられるカルボン酸エステル系ポリマーが分子末端に(シクロ)アルカノイルオキシ基を有する場合、加熱により、(シクロ)アルカノイルオキシ基が脱離し、有機酸の気体が発生するので、これを利用して、アンモニア、アルカノイドなどの塩基性物質を含有する雰囲気を中和するのに好適に使用することができる。
また、本発明の硬質発泡体は、軽量であり、しかも防音性を有するので、防音材として使用することが期待される。また、この発泡体は、防振性を有するので、防振材などとしての使用が期待されるものである。
本発明の硬質発泡体の原料として用いられるカルボン酸エステル系ポリマーの原料モノマーとして、ポリフェノールなどの植物に含まれているモノマーを使用した場合には、環境面に優れ、さらにカルボン酸エステル系ポリマー自体が生分解性を有するという利点がある。また、本発明の硬質発泡体の原料として用いられるカルボン酸エステル系ポリマーのなかで、抗酸化性を有するものは、食品鮮度保持剤として使用することが期待される。さらに、カルボン酸エステル系ポリマーのなかで、抗菌性を有するものは、食品用トレーなどに使用することが期待される。
本発明の硬質発泡体は、絶縁性が高いので、電気回路の被膜などに使用されることが期待される。本発明の硬質発泡体は、さらに、ガラス、金属などの材料との接着性に優れているものは、接着剤や相溶化剤などを用いずに、これらの材料と容易に接着することができるという利点を有する。
したがって、本発明の硬質発泡体は、例えば、自動車部品材料、航空機用材料、宇宙分野用材料、各種産業用材料、医療補助用材料などへの使用が期待されるものである。

Claims (2)

  1. 式(Ia):
    (式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、チオール基、カルボキシル基、ピリジル基、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ペンタセニル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルカノイル基、炭素数1〜12のアルカノイルオキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオエーテル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基または炭素数1〜12のフルオロアルキル基を示す)
    で表される繰り返し単位を有し、数平均分子量が10000〜100000である芳香族カルボン酸エステル系ポリマーを加熱することにより該芳香族カルボン酸エステル系ポリマーから気体の有機酸を生成させ、該気体の有機酸で加熱された芳香族カルボン酸エステル系ポリマーを発泡させることによって得られた硬質発泡体。
  2. 式(Ia):
    (式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、チオール基、カルボキシル基、ピリジル基、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ペンタセニル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルカノイル基、炭素数1〜12のアルカノイルオキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオエーテル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基または炭素数1〜12のフルオロアルキル基を示す)
    で表される繰り返し単位を有し、数平均分子量が10000〜100000である芳香族カルボン酸エステル系ポリマーを150〜300℃に加熱することにより該芳香族カルボン酸エステル系ポリマーから気体の有機酸を生成させ、該気体の有機酸で加熱された芳香族カルボン酸エステル系ポリマーを発泡させることを特徴とする硬質発泡体の製造方法。
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