JP5448688B2 - 冷却貯蔵庫の扉装置 - Google Patents
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Description
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、スライド扉を開放する際の操作性を向上させるところにある。
スライド扉の開放時には、垂直方向に扉を引き上げる必要がなく、扉を斜め手前に引き操作すればよく、言い換えると力の入れやすい形態で開放操作を行うことができて、操作性を向上させることができる。
それに対して本発明では、ガイドローラがハンガローラよりも庫外側に配されているから、ガイドローラがガイド路に乗り上げてスライド扉を庫外側に押す力が作用した場合に、ハンガローラに対しては庫外側に引く力が作用し、そのためハンガローラはレール上を軸方向の前方に引きずられるようにして比較的容易に移動し、言い換えると、スライド扉は垂直姿勢を保ったままで貯蔵庫本体から離間する方向に移動することとなって、スライド扉のスムーズな開閉動作が担保される。
(1)前記ハンガローラにおける前記レールに転動する周面が、前記貯蔵庫本体側の端縁に向けて次第に径が大きくなる傾斜面とされており、前記ガイドローラが前記凹部から脱出して前記ガイド路に乗り上げた場合には、前記ハンガローラの前記傾斜面が前記レールを上りつつ前記スライド扉が庫外側の斜め上方に移動する構成となっている。
スライド扉が全閉されたときには、ガイドローラがガイド路の凹部に落とし込まれることにより、スライド扉が自重により斜め方向に貯蔵庫本体側に接近して開口部の口縁が密閉される。スライド扉を全閉状態から開放する際には、スライド扉を手前側に引きつつ開放方向に移動させると、ガイドローラが凹部から脱出してガイド路上に乗り上げ、それに伴い、ハンガローラの傾斜面がレールを上りつつスライド扉が庫外側の斜め上方に移動して貯蔵庫本体から離間し、引き続いてレールに沿って移動して開放される。
例えばスライド扉を全閉位置や全開位置で停止させる場合に、レールの両端にストッパを設けて、ハンガローラを支持した各ブラケットを対応するストッパに当てることが考えられるが、両ブラケット間に補強部材が架け渡されていることから、ブラケットがストッパに突き当たった場合を考慮した強度が確保される。
また、ガイドローラをスライド扉の上縁に設けるに当たり、例えば同上縁から比較的高く離れた位置に設けようとすると、ガイドローラを支持する支持部材に高強度のものを準備する必要がある。その点この構成では、ハンガローラを支持するブラケットに架け渡されて全体として高強度に形成された補強部材にガイドローラを支持する構造としたから、単品での高強度の支持部材を備える必要がない。結果、コスト低減を図ることができる。
ハンガローラがスライド扉の開閉方向の前後において一対設けられ、例えばその間に1個のガイドローラが配された構造であると、スライド扉は縦軸回りに振れつつレールに沿って移動する可能性があり、走行が不安定となることが懸念される。
その点この構成では、ガイドローラを、スライド扉の開閉方向の前後2箇所に設けたから、レールに沿って移動する場合にスライド扉が縦軸回りに振れるおそれがなく、安定した走行を期することができる。
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図12によって説明する。この実施形態では、プレハブ式冷蔵庫を例示している。
図1において、符号10は貯蔵庫本体であって、複数枚の断熱パネルを組み付けた方形の断熱箱体から構成されている。貯蔵庫本体10の前面における正面から見た左半分の領域には、出入口となる縦長の開口部11が形成されているとともに、この開口部11を開閉する断熱性のスライド扉15が配設されている。このスライド扉15の表面における左側縁部には、同スライド扉15を開閉操作するための把手16が設けられており、またスライド扉15の裏面の周縁部には、図2に示すように、上記した開口部11の口縁部に当接して同開口部11を密閉するためのパッキン17が装着されている。
貯蔵庫本体10の前面には、スライド扉15を走行案内するためのレール20が、開口部11の上縁に沿った位置で、かつ貯蔵庫本体10の幅方向の中央部における開口部11の間口の2倍強の長さ領域に亘って水平姿勢で装着されている。レール20は、アルミニウムの中空押出成形品であって、図3に示すように、断面略直角三角形をなす基部21の突出端側に、レール部22が設けられた構造である。レール20は、基部21における垂直な背面の上下両縁からそれぞれ突設された取付板24が貯蔵庫本体10の前面に当てられ、長さ方向に間隔を開けた複数箇所が通しボルト25とねじ26で締結されて固定されている。
レール20における基部21の前方への突出端、言い換えると前下がりの傾斜面の裾の部分には、所定厚さを持った縦長の中空体からなるレール部22が立ち上がり形成されている。このレール部22の上面22Aは、断面半円形状に形成されている。
また、傾斜面32の裾の部分には、径方向に所定寸法張り出した規制部33が全周に亘って形成されている。この規制部33は、後記するように、レール部22の上端部における貯蔵庫本体10と対向する面(裏面)に係止し、ハンガローラ30がレール部22の表側に越えることを規制するように機能する。
なお、この間、図1及び図2に示すように、スライド扉15の下縁に設けられた下部ガイド18が、設置面に設けられたローラ19を挟んでいることにより、スライド扉15の下端側がばたつくことなく、スムーズに開閉されるようになっている。
上記した補強フレーム40は、支持ブラケット36の略中央高さ位置において、各横取付板45を各支持ブラケット36の裏面に当てつつ、角筒部43が両支持ブラケット36の間に嵌められ、各横取付板45が対応する支持ブラケット36の裏面にねじ47(図12)で固定されるとともに、各縦取付板44が対応する支持ブラケット36の側面にねじ48(図2)で固定されている。
一方、上記したレール20の突出端には、レール部22の下方において、断面方形をなす中空状の取付部27が形成されており、この取付部27の前面が配設面28とされて同配設面28に沿ってガイド部材52が配設されている。このガイド部材52は、図10及び図11にも示すように、レール20の半分強の長さを持ったアングル材53から構成されており、このアングル材53の垂直板54の表面が、ガイドローラ50が転動する水平方向に細長いガイド路55となっている。裏側に突出した水平板が取付板56となっている。
なお、レール20の配設面28における左端部と右端部とには、それぞれストッパ63が設けられており、左側の支持ブラケット36が左側のストッパ63に当接することでスライド扉15を全閉位置で、また右側の支持ブラケット36が右側のストッパ63に当接することでスライド扉15を全開位置で、それぞれ移動停止させるようになっている。
一方、ガイドローラ50が凹部60を脱出してガイド路55上に移動した場合は、スライド扉15が手前に押し出される力を受け、図4及び図12に示すように、レール部22の上面22Aがハンガローラ30の傾斜面32を頂上部から裾部まで降りつつ、両ハンガローラ30が共に貯蔵庫本体10から離間するように斜め上向きに移動し、これに伴いスライド扉15も貯蔵庫本体10から離れるように斜め上向きに所定寸法移動し、スライド扉15の裏面のパッキン17が、貯蔵庫本体10の前面から所定寸法離間するようになっている。
このような脱落防止部材65の取付板67が、ガイド部材52の取付板56の下面に重ねられて、上記のねじ29Aで共締めされて固定されている。そして、被突当板66は、やや先下がりの傾斜姿勢で前方に突出し、その突出端はガイド路55の表面より少し前方に至っている。
スライド扉15側との位置関係については、同スライド扉15が開放位置にある場合において、図12に示すように、被突当板66の突出端は、補強フレーム40の支持ブラケット36に対する固定位置Xに対して裏側の斜め下方に位置し、併せて、補強フレーム40の突当板46の小寸法上方位置まで進出している。
スライド扉15を全閉状態から開放する際には、把手16を持ってスライド扉15を手前側に引きつつ図1の右方向に移動させると、ガイドローラ50が凹部60の傾斜面61Bを昇ってガイド路55上に乗り上げ、それに伴い、図4に示すように、ハンガローラ30の傾斜面32がレール部22を上って同傾斜面32の裾部がレール部22に載った状態となりつつ、スライド扉15が庫外側の斜め上方に移動し、スライド扉15の裏面のパッキン17が全周に亘って貯蔵庫本体10の前面から離間する。そののちスライド扉15は、両ハンガローラ30の傾斜面32の裾部がレール部22を転動しつつ、貯蔵庫本体10の前面との間で摩擦抵抗を受けることがない状態でスムーズに開放される。
また、ハンガローラ30の傾斜面32がレール部22上を転動して走行する場合に、規制部33がレール部22の上端部の裏面に当たって案内されつつ転動するようになり、ハンガローラ30ひいてはスライド扉15が安定した姿勢を取ってスムーズに走行する。
図12に示すように、スライド扉15が開放位置にある状態で必要以上に上方に移動しようとすると、ガイドローラ50を支持した補強フレーム40に固定された突当板46が、同図の矢線aに示すように上動して、レール20の取付部27の下面に設けられた脱落防止部材65の被突当板66に突き当たり、支持ブラケット36におけるハンガローラ30を支持した上部側が、突当板46の固定位置Xを中心として貯蔵庫本体10側に向けて同図の矢線bに示すように時計回り方向に回動し、ハンガローラ30が強制的にレール部22上に戻される。これにより、ハンガローラ30がレール20からその前方に脱落することが防止される。
特に本実施形態では、ガイドローラ50をハンガローラ30よりも庫外側に配した構造としたことにより、以下のような利点が得られる。
スライド扉15を全閉位置と全開位置で停止させる場合には、左右の支持ブラケット36を、それぞれ対応するストッパ63に当てて停止させるが、両支持ブラケット36間には補強フレーム40が架け渡されているから、各支持ブラケット36にはストッパ63に突き当たった場合に抗した強度が確保される。
また、ガイドローラ50をスライド扉15の上縁に設けるに当たり、例えば同上縁から比較的高く離れた位置に設けようとすると、ガイドローラ50を支持する支持部材に高強度のものを準備する必要がある。それに対して、この実施形態では、ハンガローラ30を支持する支持ブラケット36に架け渡されて全体として高強度に形成された補強フレーム40にガイドローラ50を支持する構造となっているから、単品での高強度の支持部材を備える必要がない。結果、コスト低減を図ることができる。
本発明の実施形態2を図13ないし図20によって説明する。この実施形態では、ガイドローラ50が左右一対備えられており、かつ各ガイドローラ50は、左右のハンガローラ30の支持ブラケット70にそれぞれ装着されている。
支持ブラケット70は、図14に示すように、基板71Aの両側縁に側板71Bを直角曲げして設けたチャンネル材を立てたような形状であって、基板71Aと一方の側板71Bの下縁には取付板72A,72Bがそれぞれ外向きに直角曲げして形成されているとともに、他方の側板71Bから垂下して取付板72Cが延出形成されている。なお、同図に示す支持ブラケット70は、右側の支持ブラケット70であって、左側の支持ブラケット70では、取付板72B,72Cが逆の側板71Bに設けられた形状となっている。
支持ブラケット70の基板71Aには、略中央高さ位置に窓孔73が開口されているとともに、同窓孔73の上縁から表側に切り起こし形成された支持板74の基端側に、軸受孔75が開口されている。
なお以下では、左右のガイドローラ50を区別して説明する場合は、左側のガイドローラ50L、右側のガイドローラ50Rとして説明する。
そして、図15に示すように、スライド扉15が全閉位置にあるときには、左右のガイドローラ50L,50Rは、左凹部81Lと中央凹部81Mにそれぞれ対応し、図16に示すように全開位置にあるときには、左右のガイドローラ50L,50Rは、中央凹部81Mと右凹部81Rにそれぞれ対応するようになっている。
その他の構造については上記実施形態1と同様であって、同一機能を有する部材、部位については実施形態1と同一符号を付すことによって、重複した説明は省略しまたは簡略化する。
スライド扉15を全閉状態から開放する際には、把手16を持ってスライド扉15を手前側に引きつつ図15の右方向に移動させると、左右のガイドローラ50L,50Rが対応する左凹部81Lと中央凹部81Mとを脱出してガイド路80上に乗り上げ、それに伴い、図20に示すように、ハンガローラ30の傾斜面32がレール部22を上りつつスライド扉15が庫外側の斜め上方に移動し、裏面のパッキン17が貯蔵庫本体10の前面から離間した状態となる。そののちスライド扉15は、両ハンガローラ30の傾斜面32の裾部がレール部22を転動しつつ、貯蔵庫本体10の前面との間で摩擦抵抗を受けることがない状態でスムーズに開放される。
全開位置からスライド扉15を閉鎖する場合は、把手16を持ってスライド扉15を手前側に引きつつ図16の左方向に移動させると、左右のガイドローラ50L,50Rが対応する中央凹部81Mと右凹部81Rを脱出してガイド路80上に乗り上げて、同様にスライド扉15が庫外側の斜め上方に移動して貯蔵庫本体10の前面から離間し、両ハンガローラ30の傾斜面32の裾部がレール部22を転動しつつ、スムーズに開放される。
それに対して実施形態2では、ガイドローラ50を、スライド扉15の左右両端の2箇所に設けたから、レール部22に沿って移動する場合にスライド扉15が縦軸回りに振れるおそれがなく、安定した走行を期することができる。
しかも両ガイドローラ50L,50Rは、ハンガローラ50の支持ブラケット70に兼用して支持するようにしたから、構造が簡略化される。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、ハンガローラの周面が傾斜面となっていて、ガイドローラがガイド路に乗り上げてスライド扉に対して庫外側への押圧力が作用した場合に、ハンガローラがレール部上を庫外側の斜め上方に昇りつつスライド扉が斜め上方に移動する形式のものを例示したが、ハンガローラの周面が軸線と平行な面となっている等で、庫外側への押圧力が作用した場合において、ハンガローラがレール部上を単に庫外側に移動し、すなわちスライド扉が上動を伴うことなく単に庫外側に移動する形式のものにも同様に適用することができる。
(2)実施形態1において、ガイドローラは、ハンガローラの支持ブラケット間に渡された補強フレームとは別の部材を用いて装備されていてもよい。
(4)逆に実施形態2について、実施形態1に例示されたような脱落防止機構を備えてもよい。
(5)上記実施形態では、ガイド路をレールの前面に設けた場合を例示したが、開口部の上縁から前方に突出する別部材を設け、その部材にガイド路を配するようにしてもよい。
(6)さらに本発明は、ハンガローラの支持ブラケットが基端部で弾性変形可能となっていて、ガイドローラがガイド路に乗り上げてスライド扉に対して庫外側への押圧力が作用した場合に、支持ブラケットの弾性変形とハンガローラのレール部上での傾動を伴いつつ、スライド扉を庫外側の斜め上方に移動させる形式のものにも、同様に適用することが可能である。
Claims (5)
- 貯蔵庫本体の開口部の上縁に沿って配設されたレールには、前記開口部を開閉するスライド扉の上縁に設けられたハンガローラが装着されているとともに、
前記スライド扉の上縁には、前記ハンガローラよりも下方位置で、かつ前記貯蔵庫本体に対して接離する方向における前記ハンガローラよりも庫外側の位置において、前記貯蔵庫本体の開口部の上縁に沿って前記レールよりも庫外側の位置に形成されたガイド路を転動可能なガイドローラが設けられ、
前記ガイド路には、前記スライド扉が全閉位置にある場合に前記ガイドローラと対応して同ガイドローラを落とし込む凹部が設けられており、
全閉位置では、前記ガイドローラが前記凹部に落とし込まれることで前記スライド扉が前記貯蔵庫本体側に接近して同スライド扉の裏面を前記開口部の口縁に密着させ、
開放時には、前記ガイドローラが前記凹部から脱出して前記ガイド路に乗り上げることに伴い、前記スライド扉が前記貯蔵庫本体から離間する方向に移動した状態となって前記レールに沿って移動する構成としたことを特徴とする冷却貯蔵庫の扉装置。 - 前記ハンガローラにおける前記レールに転動する周面が、前記貯蔵庫本体側の端縁に向けて次第に径が大きくなる傾斜面とされており、前記ガイドローラが前記凹部から脱出して前記ガイド路に乗り上げた場合には、前記ハンガローラの前記傾斜面が前記レールを上りつつ前記スライド扉が庫外側の斜め上方に移動する構成となっていることを特徴とする請求項1記載の冷却貯蔵庫の扉装置。
- 前記スライド扉の上縁には、2個の前記ハンガローラがそれぞれブラケットで支持されて前記スライド扉の開閉方向に間隔を開けて設けられ、
前記両ブラケット間には補強部材が架け渡されているとともに、この補強部材に前記ガイドローラが支持されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の冷却貯蔵庫の扉装置。 - 前記スライド扉の上縁には、2個の前記ハンガローラがそれぞれブラケットで支持されて前記スライド扉の開閉方向に間隔を開けて設けられており、各ブラケットに前記ガイドローラがそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の冷却貯蔵庫の扉装置。
- 前記ハンガローラが前記レールから脱落することを防止するための脱落防止機構が具備されており、
この脱落防止機構は、前記ガイドローラを支持するべく前記スライド扉の上縁に設けられた支持部材に、前記貯蔵庫本体側に突出して前記レールの下面側に設けられた被突当部の下方に臨み、前記支持部材の上動時に前記被突当部に突き当て可能な突当板が固定され、かつ前記突当板の前記支持部材に対する固定位置が、前記被突当部における前記突当部の突き当て位置よりも上方に設定されることにより構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の冷却貯蔵庫の扉装置。
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