JP5448664B2 - 冷却貯蔵庫の扉装置 - Google Patents
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Description
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、スライド扉の開放始動時における操作力を軽減するところにある。
スライド扉の開放始動時には、各車輪が時間差を持って対応する凹部から脱出し、そのためスライド扉の重量を分散して持ち上げつつ開放することになるから、開放時の始動力を軽減することができる。
(1)前記凹部は、前記レールにおける前記車輪の転動面から所定深さ下がった位置にある底部と、同底部と前記転動面とを繋ぐ傾斜した昇降面とを備えてなり、前記各凹部ではそれぞれの底部について前記車輪の転動方向の長さを異にして形成され、かつ前記スライド扉が全閉位置にある場合に、前記各車輪は、対応する前記凹部の底部上における前記昇降面からの離間距離が互いに異なった位置に落とし込まれるようになっている。
本発明の一実施形態を図1ないし図7によって説明する。この実施形態では、プレハブ式冷凍冷蔵庫を例示している。
図1において、符号10は貯蔵庫本体であって、複数枚の断熱パネルを組み付けた方形の断熱箱体から構成されている。貯蔵庫本体10の前面における正面から見た左半分の領域には、出入口となる開口部11がほぼ全高に亘って形成されているとともに、この開口部11を開閉する断熱性のスライド扉15が配設されている。このスライド扉15の表面における左側縁部には、同スライド扉15を開閉操作するための把手16が設けられており、また同スライド扉15の裏面の周縁部には、図2に示すように、上記した開口部11の口縁部に当接して同開口部11を密閉するためのパッキン17が装着されている。
貯蔵庫本体10の前面には、スライド扉15を走行案内するためのレール20が、開口部11の上縁に沿った位置において、水平姿勢でほぼ全幅に亘って装着されている。このレール20は、詳しくは後記するが、全体としては断面正方形をなす角材からなり、同角材が、図2、図3にも示すように、断面菱形をなす回動姿勢を採った状態において、長さ方向の両端部並びに中央部の都合3箇所を、貯蔵庫本体10の前面に設けられた支持金具22で受けられて支持されている。
このような両車輪30が上記したレール20に対して吊り下げ状態で載せられ、詳細には図5に示すように、車輪30の両リム33X,33Yが、レール20の上半分における表側と裏側の各斜面41X,41Yに載り、また胴部31の円弧形溝32の溝底がレール20の稜線42に載った状態で、各車輪30は転動可能に支持されている。従って、レール20における上半分の山形部分の両斜面41X,41Y(稜線42も含む)が、車輪30の転動面40となる。
また、このとき、スライド扉15の裏面に装着されたパッキン17は、貯蔵庫本体10の前面から所定寸法離間している。
またこの間、図1,図2に示すように、スライド扉15の下縁に設けられたガイド18が、設置面に設けられたローラ19を挟んでいることにより、スライド扉15の下端側がばたつくことなく、スムーズに開閉される。
そのためレール20には、転動面40のうちの手前側の斜面41Xにおける長さ方向の左端部と中央部とに、それぞれ車輪30A,30Bを落とし込むための第1凹部56Aと第2凹部56Bとが形成されている。
詳細には、レール20は、図4に示すように、断面正方形をなす角パイプ状のレール本体50と、上記した第1凹部56Aを形成した第1落とし込み部材55Aと、第2凹部56Bを形成した第2落とし込み部材55Bとを備え、レール本体50はさらに2分割されている。
第1凹部56Aの両テーパ面57A,58のうち配設時に右側に来るテーパ面57Aが、車輪30Aのリム33Xが昇降する昇降面となり(以下、昇降面57Aという)、一方左側に来るテーパ面58は、言わば車輪30のリム33Xの逃がし面として機能する。
また、同第1落とし込み部材55Aの一端面(配設時の右端面)には、レール本体50の端部に緊密に嵌合される嵌合突部60が突出形成されている。
また同様に、第2凹部56Bの両テーパ面57B,58のうち配設時に右側に来るテーパ面57Bが、車輪30Bのリム33Xが昇降する昇降面となり(以下、昇降面57Bという)、左側に来るテーパ面58は、同じく車輪30Bのリム33Xの逃がし面として機能する。第2落とし込み部材55Bでは、両端面に、レール本体50の端部に緊密に嵌合される嵌合突部60が突出形成されている。
また、このようにスライド扉15が全閉位置にある場合、特に、第2凹部56Bに落ち込んだ右側の車輪30B(リム33X)は、図7の実線に示すように、第2凹部56Bの底部を構成するストレート面59のうちの、昇降面57Bから離間した端部側に載った状態となるように設定されている。
スライド扉15を全閉状態から開放する場合は、把手16を持ってスライド扉15を図1の右方向に移動させることになる。ここで特筆すべきは、上記した全閉状態では、図7の実線に示すように、左側の車輪30Aは第1凹部56Aの谷底、すなわち昇降面57Aの下端に位置しているのに対して、右側の車輪30Bは、第2凹部56Bの底部を構成するストレート面59における昇降面57Bから最も離間した端部に位置している。
また、全閉される場合は、各車輪30A,30Bは、時間差を持って対応する凹部56A,56Bの昇降面57A,57Bを降ることになるから、全閉動作を緩速度に抑えて行うことができ、ひいては停止時の衝撃力を緩和することができる。
左側の第1凹部56Aにストレート面を設けた場合は、開放始動の際に一番最初に抵抗となるのは第2凹部56Bの昇降面57Bであり、把手16からの距離が遠い。
これに対し、右側の第2凹部56Bにストレート面59を設けた場合は、開放始動の際に一番最初に抵抗となるのは、把手16の直上にある第1凹部56Aの昇降面57Aであって、把手16からの距離は近いと言える。すなわち、第2凹部56Bにストレート面59を設けた場合の方が、一番最初に抵抗となる昇降面57Aと把手16との距離が近くなるから、スライド扉15を開ける力がより小さくて済む利点が得られる。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、スライド扉の開放方向の前方にある第2凹部にストレート面を設けた場合を例示したが、逆に第1凹部側にストレート面を設けた構造としてもよい。
(2)上記実施形態では、各車輪が時間差を持ちながらも連続して対応する昇降面を昇降できるように、ストレート面の長さ等を設定したのであるが、同ストレート面の長さ等を適宜に変更して、各車輪が時間的に多少ラップしてそれぞれの昇降面を昇降するようにしたり、逆に多少の時間間隔を開けてそれぞれの昇降面を昇降できるようにしてもよい。
(4)各凹部において、昇降面と対向した側は、必ずしもテーパ面とする必要はない。
(5)車輪の数ひいてはレールに設ける凹部の数は、3以上設けてもよい。
(6)上記実施形態では、レールにおいて山形の転動面を構成するために、レール本体の素材に角パイプを用いたのであるが、チャンネル材やアングル材を用いてもよい。
Claims (2)
- 貯蔵庫本体の開口部の上縁に沿って水平なレールが配設され、このレールに断熱性のスライド扉の上縁に設けられた複数の車輪が転動可能に装着されるとともに、前記レールには、前記各車輪を個別に落とし込むことが可能で前記貯蔵庫本体側に接近するように斜め下向きに凹み形成された凹部が設けられ、
前記スライド扉は前記車輪を前記レール上で転動させつつ開閉され、
全閉位置では、前記各車輪が対応する前記凹部に落とし込まれることで前記スライド扉が前記貯蔵庫本体側に接近して同スライド扉に設けられたパッキンを前記開口部の口縁に密着させ、
開放時には、前記各車輪が対応する前記凹部から脱出して前記スライド扉が前記貯蔵庫本体から離間した状態で前記レールに沿って移動するようにしており、
前記スライド扉はその側縁部に把手を有した冷却貯蔵庫の扉装置において、
前記各凹部は、前記スライド扉が全閉位置にあるときには対応する前記車輪を揃って落とし込んだ状態に維持し、かつ前記全閉位置から開放操作される場合には対応する前記車輪が当該凹部から脱出するタイミングが異なるような形態で設けられており、
前記凹部は、前記レールにおける前記車輪の転動面から所定深さ下がった位置にある底部と、同底部と前記転動面とを繋ぐ傾斜した昇降面とを備えてなり、
前記各凹部のうち、前記スライド扉が全閉位置にあるときに前記把手の上方に位置する第1凹部は、緩傾斜のテーパ面からなる前記昇降面によってV字状に形成されており、
前記各凹部のうち、前記スライド扉が全閉位置にあるときに前記把手の上方から遠い位置に位置する第2凹部は、緩傾斜のテーパ面の谷底部分に、前記第1凹部の昇降面の水平長さに匹敵する長さのストレート面が形成されていることを特徴とする冷却貯蔵庫の扉装置。 - 前記車輪が胴部の両側に大径のリムを設けた形状であるのに対して、前記レールが、角材を断面略菱形をなす回動姿勢で水平方向に配することで形成されて、同レールの上部側の両斜面が前記車輪の各リムが転動する転動面となっており、この転動面のうち前記貯蔵庫本体に背を向けた側の斜面に、前記各凹部が凹み形成されていることを特徴とする請求項1記載の冷却貯蔵庫の扉装置。
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