JP5448535B2 - 模様加工紙 - Google Patents

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Description

本発明は、天然パルプ繊維が主成分のパルプ繊維にレーヨン繊維を混在させ、紙の表面に和紙調の風合いを形成する模様加工紙に関するものである。
レーヨン繊維をパルプ繊維と混在させる模様加工紙は、通常模様紙と呼ばれ、大札紙、雲龍紙、引っ掛け等の名称で上市されている。このような模様紙は、レーヨン繊維を混在させることにより和紙調の風合いを表現することができ、食品等の包装材等として広く使用されている。
このような模様加工紙は、レーヨン繊維がパルプ繊維と混在するため、低摩擦性のレーヨン繊維が紙表面に固着されることによって、滑りやすい性質を有している。この模様加工紙が滑りやすいという性質から生じる不都合は、特に、米袋等重量のあるものに使用した場合において顕著に現れ、米袋を積み重ねた際の滑りや、荷崩れが生じやすくなる。
紙表面の滑りやすさの問題を解決する手段としては、一般的にその紙表面に防滑剤を塗工する方法がある(例えば、特開2006−161180号公報等参照)。しかしながら一般的な印刷用紙、包装用紙、板紙などの紙に防滑剤を塗工する場合と異なり、模様紙に従来の防滑剤を塗工する場合には、和紙調の風合いが低下し、あるいは十分な防滑性が発揮されないといった不都合が存在する。さらには、防滑剤の塗布によって紙表面の印刷適性が低下するという不都合が存在する。また、このようなレーヨン紙は、レーヨン繊維を混在させているため、紙表面の平滑性が低減されるので、この平滑性を高める技術も望まれているが、平滑性を高めつつ防滑性を向上させるということに対する解決手段が望まれている。
レーヨン繊維を配合した模様紙に係る技術としては、レーヨン繊維の表面が少量の天然パルプで被覆されている模様紙がある(例えば、特開2003−293285号公報等参照)。当該技術によれば、レーヨン繊維の表面を天然パルプで被覆することによって、レーヨン繊維をパルプ層に強固に結合させることに加え、レーヨン繊維が被覆されているため紙表面の摩擦力も向上することが期待される。しかしながら、当該手段によっても完全にはレーヨン繊維がパルプ繊維では被覆されず、十分な防滑性を発揮させることができない。
特開2006−161180号公報 特開2003−293285号公報
本発明はこれらの不都合に鑑みてなされたものであり、和紙調の風合いを有し、平滑度及び印刷適性に優れ、かつ防滑性の高い模様加工紙の提供を目的とするものである。
上記課題を解決するためになされた発明は、
ベース層と、ベース層の表面に設けられる防滑層と、この防滑層の表面全面に形成される複数の繊維状突起物とを備え、
上記ベース層が、天然パルプ繊維とレーヨン繊維とを含有し、
ベース層におけるレーヨン繊維の含有量が10質量%以上30質量%以下であり、
上記防滑層が、スチレン及び/又はスチレン誘導体を含む単量体からなる共重合体を含有し、
上記繊維状突起物が、防滑層塗工前に上記ベース層表面のレーヨン繊維を手羽立たせ、さらに突起した上記ベース層のレーヨン繊維の周囲を防滑剤によって被覆したものである模様加工紙である。
当該模様加工紙は、防滑層がモノマーとしてスチレン及び/又はスチレン誘導体を有するポリマーを含有する、いわゆるスチレン系防滑剤から形成されることにより、模様加工紙としての和紙調の風合い及び平滑性を保ちつつ、優れた印刷適性及び防滑性を発揮することができる。
また、上記防滑層が、上記共重合体を含むエマルションの塗布により形成されており、上記エマルションが、少なくともスチレン及び/又はスチレン誘導体と不飽和カルボン酸とを共重合して得られる高分子分散剤の存在下、スチレン及び/又はスチレン誘導体、(メタ)アクリル酸エステル並びに多官能性架橋性単量体からなる群より選択される少なくとも1種の単量体を乳化重合することで形成されるとよい。ベース層にこのようなカルボキシル(親水基)を有するポリマーを含む防滑剤を塗工することで、この防滑剤はベース層内部に十分に含浸される。そのため、当該模様加工紙によれば、防滑剤表面にベース層表面が有する多孔質構造を維持することができるため、印刷適性が更に向上する。
上記ベース層における天然パルプ繊維の含有量が60質量%以上80質量%以下で、レーヨン繊維の含有量が10質量%以上30質量%以下であるとよい。このような模様加工紙によれば印刷適性に優れかつ表面の平滑性が維持され、更には和紙調の風合いを高めることができる。
上記ベース層におけるレーヨン繊維の繊度が0.7dtex以上5.4dtex以下であり、繊維長が3mm以上6mm以下であるとよい。ベース層中のレーヨン繊維に上記のものを用いることで、当該模様加工紙の和紙調の風合いを更に高めることができる。
当該模様加工紙は、前記防滑層の表面に全面に形成される複数の繊維状突起物を備えているとよい。当該模様加工紙によれば、表面全面に複数の繊維状突起物を備えている、即ち表面を毛羽立たせることで和紙調の風合いを醸し出しつつ、この繊維状突起物により表面積が格段に拡大し、極めて高い防滑性を発揮させることができる。
前記防滑層表面は、熱ロール加工処理が施されているとよい。このように、防滑層表面に熱ロール加工処理が施されることにより、防滑層表面に前記繊維状突起物を容易に設ける、即ち表面を毛羽立たせることができ、防滑性を更に高めることができる。
前記ベース層表面に、非加圧熱ロール加工処理が施されていることも好ましいとよい。ベース層表面に、非加圧で熱ロール処理を施すことによって、ベース層中のレーヨン繊維を突起させる、すなわちベース層表面を毛羽立たせることができる。このため、ベース層表面に防滑層を設けた場合にもこのレーヨン繊維の毛羽立ちにより、防滑層表面に前記繊維状突起物を設けることができ、防滑性を更に高めることができる。なお、本発明において、非加圧とはニップロールを用いて押圧せず、単ロールで処理することをいう。
前記防滑層のベック平滑度が40秒以上80秒以下であることが好ましい。平滑度が上記範囲である当該模様加工紙によれば、必要な防滑性を有し、かつ優れた印刷適性を発揮させることができる。
以上説明したように、本発明によれば、和紙調の風合い、平滑性及び印刷適性に優れ、かつ防滑性の高い模様加工紙を提供することができる。特に、防滑層にモノマーとしてスチレン及び/又はスチレン誘導体を有するポリマーを含有すること、カルボキシル基を有するポリマーを含有すること、表面に熱ロール加工処理を施すことにより、更に優れた印刷適性及び防滑性を発揮することができる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の模様加工紙は、ベース層と、ベース層の表面に設けられる防滑層とを備えている。
前記ベース層は、天然パルプ繊維とレーヨン繊維とを含有している。
ベース層に含有される天然パルプ繊維としては、例えば針葉樹クラフトパルプ、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)等の化学パルプ;サーモメカニカルパルプ(TMP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)等の機械パルプ;ディンギングパルプ(DIP)、ウェストパルプ(WP)等の化学パルプや機械パルプ由来の古紙パルプ等を使用できるが、針葉樹クラフトパルプを用いることが好ましい。
針葉樹クラフトパルプとしては、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)いずれも使用することができるが、NBKPは晒すことにより十分にリグニンが溶出しており、繊維が膨潤することで柔軟性を有する紙となる点から、本発明において好ましく用いることができる。また、針葉樹クラフトパルプと、上述した他の天然パルプを併用してもよい。
ベース層における天然パルプ繊維の配合量は、ベース層総量のうち60質量%以上80質量%以下であることが好ましい。天然パルプ繊維の配合量が60質量%未満となると、配合するレーヨン繊維の影響により地合の目が粗くなってしまうため、表面の平滑度が下がり、印刷適性が低下する。逆に、天然パルプ繊維の配合量が80質量%を超えると、添加されるレーヨン繊維の配合が減るため、和紙調の風合いが低下してしまう。
ベース層に配合するレーヨン繊維としては、繊度が0.7dtex以上5.4dtex以下であり、繊維長が3mm以上6mm以下であるものが好ましい。繊度が0.7dtex未満となると、レーヨン繊維が細くなり、和紙調の風合いが悪くなり、繊度が5.4dtexを超えると和紙調の風合いに劣るだけでなく、印刷適性も低下する。一方、繊維長が3mm未満の場合は、やはり和紙調の風合いが悪くなり、6mmを超えると繊維同士の結束が生じ印刷適性が低下する。さらには、ベース層に配合するレーヨン繊維の繊度、繊維長ともに、下限値及び上限値の範囲を超えると、和紙調の風合いを保ちつつ、印刷適性のある模様紙とする債に支障が生じるおそれがある。
ベース層におけるレーヨン繊維の配合量としては、ベース層総量のうち10質量%以上30質量%以下であることが好ましい。レーヨン繊維の配合量が10質量%未満となると和紙調の風合いが低下し、30質量%を超えると天然パルプ繊維の配合量が減り、印刷適性が低下することとなる。
ベース層は、天然パルプ繊維とレーヨン繊維に加えて、バインダーを含有することが好ましい。上記バインダーとしては、レーヨン繊維と均一に混合できるように繊維状の形状を有するものが好ましい。レーヨン繊維はフィブリル化しにくい性質を有しているため、パルプ繊維や他のレーヨン繊維との絡み合いによる結合がしにくい。ところが、バインダーを配合することにより、レーヨン繊維同士及びレーヨン繊維とパルプ繊維を強力に結合させることが可能になる。特に、本発明の模様加工紙の製造工程においてヤンキードライヤーにて乾燥を行う場合、ベース層及び模様層に含まれているバインダーの融点よりもヤンキードライヤーの表面温度を若干高く設定すると、バインダーが熱溶融され、ベース層原料である天然パルプ及びレーヨン繊維を強固に熱接着させることができる。
上記バインダーの原料としては、ヤンキードライヤーの表面温度105℃よりも低い80℃程度の融点を有するビニロンバインダーが好ましい。このようなバインダーによって、ヤンキードライヤーの加熱によるバインダーの熱溶融が進行しやすく、模様層のレーヨン繊維の凝集体をベース層原料に強固に接着させることができる。
ベース層におけるバインダーの配合量としては、ベース層総量のうち1.5質量%以上10質量%以下であることが好ましい。ベース層におけるバインダーの配合量が1.5質量%未満となると、防滑層との繊維間結合が弱くなり、強度が低下するおそれがある。また、バインダーの配合量が10質量%を超えると、ドライヤーへの張り付きが強くなり、抄紙性の低下を招くおそれがある。
防滑層は、単量体としてスチレン及び/又はスチレン誘導体を有するポリマーを含有している。防滑層が、単量体としてスチレン及び/又はスチレン誘導体を有するポリマーを含有することにより、特に優れた印刷適性及び防滑性を発揮することができる。スチレン基の疎水性がこの防滑性を高めていると考えられる。このような防滑層は、スチレン系エワックス、スチレン系エマルション等の塗工により形成することができるが、特に以下に説明する防滑剤を塗工することによって形成されることが好ましい。
この防滑剤は、少なくとも(a)スチレン及び/又はスチレン誘導体と(b)不飽和カルボン酸とを共重合して得られる高分子分散剤の存在下で、(a)スチレン及び/又はスチレン誘導体、(c)(メタ)アクリル酸エステル並びに(d)多官能性架橋性単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーを含有する組成のモノマーを乳化重合して得られる。このような親水基を有するポリマーを含む防滑剤を塗工することで、この防滑剤はベース層に含浸される。そのため、当該模様加工紙によれば、防滑剤表面にベース層表面が有する多孔質構造を維持することができるため、印刷適性が更に向上する。
「(a)スチレン及び/又はスチレン誘導体」としては、スチレンのみの場合、スチレンと、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルトルエン、クロルスチレン及びクロルメチルスチレン等のスチレン誘導体における少なくとも1種とを併用する場合、このスチレン誘導体の内の少なくとも1種を用いる場合が挙げられ、安価で入手しやすい点からはスチレンを用いることが好ましい。
「(b)不飽和カルボン酸」としては、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和モノカルボン酸や、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸や、これらの無水物、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びシトラコン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステルなどが挙げられ、これらの少なくとも1種を用いることが好ましい。本発明に係わる高分子分散剤用の共重合体としての分散の性能あるいはコスト的な面からは、アクリル酸、メタクリル酸あるいはマレイン酸のモノアルキルエステルを使用することが好ましい。
「(c)(メタ)アクリル酸エステル」としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートもしくはステアリル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらの少なくとも1種を用いることが好ましい。なお「(メタ)アクリル酸エステル」とはアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの少なくとも1種を意味し、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルのそれぞれの場合を意味し、その他の(メタ)の表記法も同様である。
「(d)多官能性架橋性単量体」としては、ジアリルフタレート、ジアリルヘキサヒドロキシルフタレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ボリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、長鎖アルキル(C14〜C15(Cは炭素、以下同様))ジメタクリレート、長鎖アルキル(C14〜C15)ジアクリレート及びジビニルベンゼン等の分子中に重合性二重結合を2個有する単量体、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリメタクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等の分子中に重合性二重結合を3個有する単量体、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の分子中に重合性二重結合を4個有する単量体、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の分子中に重合性二重結合を5個有する単量体が挙げられ、これらの少なくとも1種を用いることが好ましい。
この高分子分散剤として用いられる共重合体は、上記単量体(a)と(b)とを、好ましくは(a)80〜40モル%、(b)20〜60モル%を用いて、ラジカル重合開始剤の存在下に公知の乳化重合方法を用いて重合することにより得られる。そして、この共重合体を中和して高分子分散剤とする。上記(a)、(b)の各単量体のモル%の範囲以外のものは、乳化重合がうまく進行せず、安定なエマルションが得られず、十分な防滑性を示さない。
このようにして得られた高分子分散剤の存在下で(a)、(c)、(d)から選ばれる少なくとも1種を重合させるが、これらを共重合させる場合には、通常上記(d)が1〜80質量%、上記(a)及び(c)の合計が20〜99質量%で、好ましくは上記(d)が5〜70質量%、上記(a)及び(c)が95〜30質量%で重合させる。(d)成分を共重合させることが好ましいので、これら3者の内2者を共重合させる場合には、(a)又は(c)は0でもよい。(d)多官能性架橋性単量体の使用量は1〜80質量%であり、好ましくは5〜70質量%であるが、80質量%を越える、あるいは1%未満になると、上記高分子分散剤下の共重合体の分散液の最終生成物からなる紙用防滑剤の表面紙質の向上、とりわけ十分な滑り防止効果が得られないことがある。
上記防滑剤を塗工するための塗工機としては、サイズプレス、フィルムプレス、ゲートロールコーター、シムサイザー、ブレードコーター、キャレンダー、バーコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター等を用いることができる。また、スプレー塗工機により原紙表面に塗布することもできる。この防滑剤を塗工する場合、防滑剤を単独に塗工してもよいし、あるいは、酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、自家変性澱粉、カチオン化澱粉などの澱粉類、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類、ポリビニルアルコール類、ポリアクリルアミド類、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子を塗工液に混合して使用することもできる。また、他の表面サイズ剤や、防滑剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、粘度調整剤、染料、顔料等の添加物の少なくとも1種を併用してもよい。
この防滑剤の塗布量としては0.1g(固形分)/m2以上5g(固形分)/m2以下であることが好ましい。塗布量が上記下限未満であると十分な防滑性が発揮されない。又、上記上限を超えると防滑層が厚くなりベース層表面が有する多孔質構造を維持することができなくなるため、印刷適性が低下し、更には和紙調の風合いが低下する。
防滑層の表面全面には、複数の繊維状突起物が形成されている。当該模様加工紙によれば、表面全面に複数の繊維状突起物を備えている、即ち表面を毛羽立たせることで和紙調の風合いを醸し出しつつ、この繊維状突起物により表面積が格段に拡大し、極めて高い防滑性を発揮させることができる。
前記繊維状突起物は、防滑層を繊維状に突起させることによって形成されることもできるし、ベース層を形成するレーヨン繊維を突起させ、その周囲を防滑剤によって被覆することによって形成されることもできる。
防滑層を繊維状に突起させる手段としては、防滑層を形成した後の防滑層表面の熱ロール加工処理を用いることができる。この処理に係る熱ロールの温度としては、200度以上250度以下、好ましくは220度以上240度以下がよい。このような温度範囲で防滑層表面を熱ロール加工処理することにより、防滑層表面に微細な凹凸形状を設けることができ、防滑性を更に高めることができる。ロールの加圧としては100〜150kg/cmの線圧下でプレス加工することが好ましい。線圧が上記下限未満であると、加圧が弱く、十分な表面の繊維状突起物が形成されず、逆に線圧が上記上限を超えると、加圧が強すぎ表面の防滑性が低下する。
他の防滑層を繊維状に突起させる手段としては、防滑層を設ける前のベース層表面への非加圧熱ロール処理を用いることもできる。当該手段によれば、ベース層中のレーヨン繊維の一部がベース層表面から立ち上がり、レーヨン繊維がベース層表面で毛羽立った状態とすることができる。この非加圧熱ロール処理とは、ニップロールを用いて押圧せず、単ロールで処理することをいう。この非加圧熱ロール処理によれば、ベース層表面は、ロールと接触した際に一部溶融され、ロールと離れる際にレーヨン繊維がロールに引き上げられることによって、レーヨン繊維を突起させることができる。この後、防滑剤を塗布した場合にも、この繊維状突起形状が維持されるため、防滑層表面に複数の繊維状突起物を形成することができる。
次に本発明の模様加工紙の製造方法について説明する。
本発明の模様加工紙は、天然パルプ繊維とレーヨン繊維とを有する層であるベース層を抄紙する工程と、防滑層を塗工する工程によって製造することができる。
以下では本発明の製造方法のより具体的な実施態様を示す。
(1)まず、ベース層の原料として、天然パルプ繊維と、レーヨン繊維と、バインダー繊維を用意し、これを繊維離解機にて離解し、繊維の水分散濃度が1.0〜2.0質量%(絶乾質量)のスラリーを調整する。
(2)抄紙機において、ベース層原料を抄紙し、ベース層を形成する。
(3)形成された模様加工紙の湿紙はヤンキードライヤーにより乾燥される。この際、ベース層に含有されるバインダーの熱溶融が進行すると、挿嵌の繊維結合がより強固になる。
(4)この後、模様層表面に防滑剤を所定量塗布し、乾燥することで防滑層が形成される。
(5)防滑層を形成した後、防滑層表面を熱ロール加工処理するとよい。この処理に係る熱ロールの温度としては、200度以上250度以下、好ましくは220度以上240度以下がよい。このような温度範囲で防滑層表面を熱ロール加工処理することにより、防滑層表面に微細な凹凸形状を設けることができ、防滑性を更に高めることができる。ロールの加圧としては100〜150kg/cmの線圧下でプレス加工することが好ましい。線圧が上記下限未満であると、加圧が弱く、十分な表面の繊維状突起物が形成されず、逆に線圧が上記上限を超えると、加圧が強すぎ表面の防滑性が低下する。
(6)なお、(5)の防滑層表面の熱ロール加工処理の代わりに、防滑剤を塗布する(4)前に、基材層表面に、非加圧で(ニップロールを用いず単ロールで)熱ロール処理を施すことによってベース層表面を毛羽立たせることもできる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳説するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ベース層原料としてセルロース系原料スラリー(NBKP(60質量%)、レーヨン繊維(3.0dtex×5mm、37質量%)、ビニロンバインダー繊維(1.1dtex×5mm、3質量%))を抄紙し、その後ヤンキードライヤー(表面温度105℃)で乾燥させ、坪量17g/m(JIS−P8124「紙及び板紙−坪量測定方法」に準拠して測定)のベース層(基紙)を得た。
その後、ベース層表面に以下の方法で合成したスチレン系エマルション防滑剤を2.0g(固形分)/m2塗布し乾燥させ、防滑層表面を熱ロール処理(230℃、線圧137kg/cm)したことにより実施例1の模様加工紙を得た。
(スチレン系エマルジョン防滑剤の合成)
高分子分散剤の製造攪拌器、温度計、還流冷却管及び窒素導入管を備えた1リットルの四つ口フラスコに、水79.6部、イソプロピルアルコール153部、スチレン175部(77モル%)、80%アクリル酸水溶液19.7部(10モル%)、無水マレイン酸21.4部(10モル%)、スチレンスルホン酸ナトリウム13.5部(3モル%)、アゾイソブチロニトリル3.6部、過硫酸アンモニウム2.5部を加え、窒素気流下で混合攪拌しながら80℃に昇温し、1. 5時間保持した。過硫酸アンモニウムを2.5部追添加し、さらに1時間保持して重合反応を完結させた。ついで、48%の水酸化ナトリウム水溶液27.3部、水475部を加え、イソプロピルアルコールを留去し、48%の水酸化ナトリウム水溶液27.3部を加え、さらに水で希釈して濃度25%の高分子分散剤の水溶液を得た。
上記高分子分散剤下での共重合体の製造及びその水性液の製造、上記高分子分散剤を製造した場合に用いたと同様の反応器に、水635部、上記高分子分散剤の水溶液158.7部(次に述べるモノマー100質量%に対し固形分として20質量%)、ドデセニルコハク酸のカリウム塩の40%水溶液10部(同モノマー100質量%に対し固形分として5質量%)、スチレン120部(全モノマー中60質量%)、メチルメタクリレート40部(同20質量%)、エチレングリコールジメタクリルレート40部(同20質量%)及び過硫酸アンモニウム3部を加え、窒素気流下で攪拌しながら80℃に昇温した。80℃で2時間保持して重合反応を完結させて、固形分濃度25%の最終生成物である防滑剤を得た。
(実施例2〜18)
表1に記載のとおり原料の種類や配合量等を変更したこと以外は実施例1と同様にして実施例2〜18の模様加工紙を得た。なお、実施例18は防滑剤を塗布する前に、ベース層表面に非加圧熱ロール加工処理を施した。
(比較例)
防滑剤をビニル系防滑剤(比較例1)、アルミナ系防滑剤(比較例2)としたこと、防滑剤を塗布しなかった(比較例3)こと以外は実施例3と同様にして模様加工紙を得た。
実施例1〜18及び比較例1〜3で製造した模様加工紙について、下記の規準により性能評価を行った。結果を表1に示す。
〔評価〕
(1)滑り角度
滑り角測定器(東洋精機社製)を用いてJIS−P8147(1994)傾斜方法に準じた方法により塗工面同士、流れ方向(縦)同士で測定し、5回の平均値を丸めた。
(2)摩擦係数
耐摩擦測定器(東洋精機社製)を用いてJIS−P8147(1994)水平方法に準じた方法により防滑層表面同士、流れ方向(縦)で測定し、5回の平均値を小数点以下2桁に丸めた。
(3)印刷適性
KPPグラビアシステム(松尾産業社製)を用いて防滑層表面に、印刷を施した。インクとしては東洋インキ製造のDANNEC3−藍を使用し、インク量は5mlとした。
◎:インクの着色ムラ、インクの転移不良等が目視できない。
○:インクの着色ムラ、インクの転移不良等がわずかに目視できる。
△:インクの着色ムラ、インクの転移不良等があるが、実用上問題はない。
×:インクの着色ムラ、インクの転移不良等が多い。
(4)平滑度
JIS−P8119「紙及び板紙−ベック平滑度試験機による平滑度試験方法」に準拠して防滑層表面について測定した。
(5)引裂き強度
JIS−P8116に準拠して縦方向について測定した。
(6)和紙調の風合い
20名が表面を目視し、和紙調に見えるか否かを判断した。
◎:90%以上の人が和紙調の風合いがあると評価した。
○:70%以上90%未満の人が、和紙調の風合いがあると評価した。
△:50%以上70%未満の人が、和紙調の風合いがあると評価した。
×:和紙調の風合いを有すると評価した人が50%未満であった。
Figure 0005448535
表1より、実施例1〜18で製造された模様加工紙は、和風調の風合いを有しかつ高い引裂強度を保ちながらも、平滑性が高く印刷適性に優れ、かつ高い防滑性(大きな滑り角度及び高い摩擦係数)を備えていることがわかった。一方、非スチレン系の防滑剤が塗布されている比較例1及び2、並びに防滑剤が塗布されていない比較例3の模様加工紙は、防滑性に劣りかつ印刷適性も不十分であった。

Claims (5)

  1. ベース層と、ベース層の表面に設けられる防滑層と、この防滑層の表面全面に形成される複数の繊維状突起物とを備え、
    上記ベース層が、天然パルプ繊維とレーヨン繊維とを含有し、
    ベース層におけるレーヨン繊維の含有量が10質量%以上30質量%以下であり、
    上記防滑層が、スチレン及び/又はスチレン誘導体を含む単量体からなる共重合体を含有し、
    上記繊維状突起物が、防滑層塗工前に上記ベース層表面のレーヨン繊維を手羽立たせ、さらに突起した上記ベース層のレーヨン繊維の周囲を防滑剤によって被覆したものである模様加工紙。
  2. 上記防滑層が、上記共重合体を含むエマルションの塗布により形成されており、
    上記エマルションが、少なくともスチレン及び/又はスチレン誘導体と不飽和カルボン酸とを共重合して得られる高分子分散剤の存在下、スチレン及び/又はスチレン誘導体、(メタ)アクリル酸エステル並びに多官能性架橋性単量体からなる群より選択される少なくとも1種の単量体を乳化重合することで形成される請求項1の模様加工紙。
  3. 上記ベース層における天然パルプ繊維の含有量が60質量%以上80質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の模様加工紙。
  4. 上記ベース層におけるレーヨン繊維の繊度が0.7dtex以上5.4dtex以下であり、繊維長が3mm以上6mm以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の模様加工紙。
  5. 上記防滑層表面のベック平滑度が40秒以上80秒以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の模様加工紙。
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