車両状態に応じたアナログ信号を複数のECUで利用する場合、そのアナログ制御信号を発生するセンサ等に複数のECUの各々を直接接続して当該アナログ制御信号を入力すると、複数のECUの数だけワイヤハーネス、電線等を用いる必要があり、コストアップや車両の搭載重量が増加してしまうという問題があった。特に近年では環境問題等から車両の軽量化が図られており、その妨げにもなっていた。
そのため、アナログ制御信号をデジタル制御データに変換する電子機器を車内ネットワークに接続すると共に、複数のECUの各々が車内ネットワークからデジタル制御データを抽出し、当該デジタル制御データに基づいて各々の制御を行うことが検討されてきた。しかしながら、それを実現するには、ECUに高性能のCPUを搭載する必要があり、コストアップの問題が生じていた。
また、図4に示す車両システム100も検討されてきた。この車両システム100は、車両センサ200が電気的に接続されたABS(アンチロックブレーキシステム)−ECU110と、該ABS−ECU110と車内ネットワーク100nを介して通信可能に接続されるメータECU120と、該メータECU120と信号線100sを介して電気的に接続される複数(図4中では4つ)のECU130と、を有して構成している。
ABS−ECU110は、車速センサ200から入力された車速パルス信号(アナログ制御信号)をCAN信号(デジタル制御データ)に変換し、車内ネットワーク100nに送出すると共に、その車速パルス信号をメータECU120に接続された接続線Lを介して出力する。そして、メータECU120は、車内ネットワーク100nからCAN信号を取得し且つ該CAN信号に基づいてメータ123の表示を制御するメータマイコン121と、接続線Lを介して入力された車速パルス信号をそのまま信号線100sに出力する入出力回路122とを有して構成している。そして、複数のECU130の各々は、信号線100sを介して入力される車速パルス信号に基づいて各制御対象の制御を行う。
しかしながら、このような車両システム100を構成した場合、車速パルス信号が不要なメータECU120に入出力回路122と、該入出力回路122とABS−ECU110とを接続する接続線Lが必須構成となってしまい、ワイヤハーネスや電線を削減することができないという問題があった。また、ABS−ECU110とメータECU120とが離れた位置に配置されている場合は、その分ワイヤハーネスや電線の長さも長くなるため、省線化の妨げになっていた。
また、ABS等のECUには様々なセンサからの入力があり、コネクタ接続部が肥大化している。そのため、車内における設置スペース等はどんどん少なくなってきており、各ECUにおける外部との接続端子数、コネクタ極数等を出来る限り少なくしたいとの要望があった。
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、車内ネットワークの負荷を増加することなく車両の省線化に貢献して、アナログ制御信号を分配することができる電子制御装置及び車両システムを提供することを課題としている。
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載の電子制御装置は、図1に示すように、車両の速度に応じたアナログ制御信号を、電子機器10がデジタル制御データに変換して送出する車内ネットワーク3に接続される通信手段21a1と、前記通信手段21a1を介して前記車内ネットワーク3から前記デジタル制御データを取得するデジタル制御データ取得手段21a2と、前記デジタル制御データ取得手段21a2が取得したデジタル制御データに基づいて第1制御対象の制御を行う制御手段21a3を有する電子制御装置において、前記アナログ制御信号に基づいて第2制御対象の制御を行う複数の第2電子制御装置30が接続された信号線4に電気的に接続される接続手段22と、前記デジタル制御データ取得手段21a2が取得したデジタル制御データから前記アナログ制御信号を生成する信号生成手段21a4と、前記信号生成手段21a4が生成したアナログ制御信号を、前記第2電子制御装置30に前記接続手段22を介して送信するアナログ制御信号送信手段21a5と、を有することを特徴とする。
上記請求項1に記載した本発明の電子制御装置によれば、デジタル制御データ取得手段21a2によって車内ネットワーク3からデジタル制御データが取得されると、デジタル制御データに基づいて第1制御対象が制御手段21a3によって制御され、且つ、信号生成手段21a4によって該デジタル制御データから第2電子制御装置30で認識が可能なアナログ制御信号が生成され、アナログ制御信号送信手段21a5によって接続手段22に接続された第2電子制御装置30に信号線4を介して送信される。
請求項2記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1に記載の電子制御装置において、前記信号生成手段21a4が、前記デジタル制御データから換算してパルス幅を決定し、該パルス幅の前記アナログ制御信号を生成する手段であることを特徴とする。
上記請求項2に記載した本発明の電子制御装置によれば、デジタル制御データ取得手段21a2によって車内ネットワーク3からデジタル制御データが取得されると、信号生成手段21a4によってデジタル制御データから換算されてパルス幅が決定され、該パルス幅のアナログ制御信号が生成される。
請求項3記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1又は2に記載の電子制御装置において、前記信号生成手段21a4が、前記アナログ制御信号送信手段21a5によるアナログ制御信号の送信に応じて、前記デジタル制御データ取得手段21a2が取得したデジタル制御データから前記アナログ制御信号を生成する手段であることを特徴とする。
上記請求項3に記載した本発明の電子制御装置によれば、アナログ制御信号送信手段21a5によってアナログ制御信号が送信されると、デジタル制御データ取得手段21a2によって取得された最新、所定時間経過後等のデジタル制御データからアナログ信号が信号生成手段21a4によって生成される。
請求項4記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1〜3の何れか1項に記載の電子制御装置において、前記デジタル制御データ取得手段21a2が取得したデジタル制御データと予め定められた判定用閾値とを比較し、該比較結果に基づいて当該デジタル制御データの正当性を判定する正当性判定手段21a6と、前記正当性判定手段21a6による不当であるとの判定に応じて、前記信号生成手段21a4によるアナログ制御信号の生成を阻止する阻止手段21a7と、を有することを特徴とする。
上記請求項4に記載した本発明の電子制御装置によれば、デジタル制御データ取得手段21a2によって車内ネットワーク3からデジタル制御データが取得されると、正当性判定手段21a6によって当該デジタル制御データと予め定められた判定用閾値とが比較され、該比較結果に基づいて当該デジタル制御データの正当性が判定される。そして、当該デジタル制御データが不当であると判定された場合は、信号生成手段21a4によるアナログ制御信号の生成が阻止手段21a7によって阻止される。
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項5記載の車両システムは、図1に示すように、請求項1〜4の何れか1項に記載の電子制御装置と、車両の速度に応じたセンサ信号を出力するセンサを有し且つ前記センサ信号をデジタル制御データに変換して前記車内ネットワーク3に送出する電子機器10と、前記電子制御装置の接続手段22と通信可能に接続され且つ前記電子制御装置から受信したアナログ制御信号に基づいて前記第2制御対象の制御を行う第2電子制御装置30と、を有することを特徴とする。
上記請求項5に記載した本発明の車両システムによれば、車両の速度に応じたセンサ信号が電子機器10によってデジタル制御データに変換されて車内ネットワーク3に送出されると、電子制御装置は当該デジタル制御データが車内ネットワーク3から取得し、該デジタル制御データから第2電子制御装置30で認識が可能なアナログ制御信号を生成して、接続手段22に接続された第2電子制御装置30に送信する。そして、第2電子制御装置30は、受信した当該アナログ制御信号に基づいて第2制御対象の制御を行う。
請求項6記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項5に記載の車両システムにおいて、前記電子制御装置が、前記デジタル制御データに基づいて前記車両の速度表示を制御する装置であることを特徴とする。
上記請求項6に記載した本発明の車両システムによれば、車速に応じたセンサ信号が電子機器10によってデジタル制御データに変換されて車内ネットワーク3に送出されると、電子制御装置は当該デジタル制御データが車内ネットワーク3から取得し、デジタル制御データに基づいて車両の速度表示を制御すると共に、車両の速度に応じた前記アナログ制御信号を生成する。
以上説明したように請求項1に記載した本発明の電子制御装置によれば、車内ネットワークから取得したデジタル制御データに基づいて、第2電子制御装置で認識が可能なアナログ制御信号を生成して第2電子機器に送信するようにしたことから、車内ネットワークには電子制御装置のみを通信可能に接続し、その接続手段に複数の第2電子制御装置を接続するだけで、共通のアナログ信号に基づいて複数の第2電子制御装置の各々が制御を行うことができる。従って、電子機器と複数の第2電子制御装置の各々を直接接続する必要がなくなり、複数の第2電子制御装置の各々を信号線に電気的に接続するだけで良くなるため、ワイヤハーネスや電線等の省線化を図ることができる。また、車内ネットワークには電子制御装置のみを接続するだけでよく、複数の第2電子制御装置を車内ネットワークに接続する必要がなくなるため、車内ネットワークの負荷を低減することができる。即ち、車内ネットワークの負荷を増加することなく車両の省線化に貢献して、アナログ制御信号を分配することができるという効果を奏する。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、取得したデジタル制御データからパルス幅を換算し、該パルス幅のアナログ制御信号を生成するようにしたことから、第2電子制御装置で認識可能なアナログ制御信号を生成することができるため、第2電子制御装置における変更を最低限に抑えることができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、アナログ制御信号の送信に応じて取得したデジタル制御データから次のアナログ制御信号を生成するようにしたことから、デジタル制御データの値に変化が生じても、アナログ制御信号を送信する度にアナログ制御信号を生成することができるため、正確なアナログ制御信号を送信することができる。また、1周期のパルスに対応したアナログ制御信号を出力した時点で取得したデジタル制御データからアナログ制御信号を生成すれば、デジタル制御データの値の急激な変化にも、正確なアナログ制御信号を送信することができるため、急激な変化が生じる例えば車両の速度信号、エンジン回転信号等に好適である。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3の何れか1項に記載の発明の効果に加え、取得したデジタル制御データの正当性を判定し、不当であると判定した場合は、アナログ制御信号の生成を行わないようにしたことから、第2電子制御装置に不当なアナログ制御信号が入力されるのを防止することができる。
以上説明したように請求項5に記載した本発明の車両システムによれば、車両の速度に応じたセンサ信号を電子機器がデジタル制御データに変換して車内ネットワークに送出すると、電子制御装置は当該デジタル制御データから第2電子制御装置で認識が可能なアナログ制御信号を生成して、接続手段に接続された第2電子制御装置に送信し、第2電子制御装置は受信した当該アナログ制御信号に基づいて第2制御対象の制御を行うので、車内ネットワークには電子機器及び電子制御装置のみを通信可能に接続し、電子制御装置の接続手段に複数の第2電子制御装置を接続するだけで、共通のアナログ信号に基づいて複数の第2電子制御装置の各々が制御を行うことができる。従って、電子機器と複数の第2電子制御装置の各々を直接接続する必要がなくなり、複数の第2電子制御装置の各々を信号線に電気的に接続するだけで良くなるため、ワイヤハーネスや電線等の省線化を図ることができる。また、車内ネットワークには電子制御装置のみを接続するだけでよく、複数の第2電子制御装置を車内ネットワークに接続する必要がなくなるため、車内ネットワークの負荷を低減することができる。即ち、車内ネットワークの負荷を増加することなく車両の省線化に貢献して、アナログ制御信号を分配することができるという効果を奏する。
請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の発明の効果に加え、車速に応じたセンサ信号を電子機器によってデジタル制御データに変換して車内ネットワークに送出し、電子制御装置が当該デジタル制御データを車内ネットワークから取得し、デジタル制御データに基づいて車両の速度表示を制御すると共に、車速に応じたアナログ制御信号を生成するようにしたことから、車速に応じた共通のアナログ信号に基づいて複数の第2電子制御装置の各々が制御を行うことができるため、第2電子制御装置の共通化と設置レイアウトに自由度を持たせることができる。
以下、本発明に係る電子制御装置及び車両システムの一最良の形態を、図2及び図3の図面を参照して以下に説明する。
図2において、車両システム1は、自動車、トラック等の車両に搭載されている。車両システム1は、請求項中の電子機器に相当するABS(アンチロックブレーキシステム)−ECU10と、請求項中の電子制御装置に相当するメータECU20と、請求項中の第2電子制御装置に相当する複数(図2中では4つ)のECU30と、を有して構成している。
ABS−ECU10とメータECU20は、車内ネットワーク3に通信可能に接続されている。そして、本実施形態ではそのネットワークにおける通信プロトコルを、公知であるCAN(Controller Area Network)とする場合について説明するが、例えばLIN(Local Interconnect Network)等の各種通信プロトコルを採用することができる。また、メータECU20と複数のECU30は信号線4に通信可能に接続されている。
車速センサ2は、公知であるように、車軸等と共に回動して磁石の回転に応じて、アナログ制御信号に相当する車速パルス信号を出力するものである。
また、本実施形態では、説明を簡単化するために、車速センサ2が検出した車両の速度に応じた各種制御を行うABS−ECU10、メータECU20、複数のECU30のみを車両システム1の構成として示しているが、車内ネットワークに車速センサ2で検出した車速を利用しないその他のECU、電子機器等を電気的に接続しても差し支えない。
ABS−ECU10は、変換部11を有し、変換部11には車速センサ2と通信線3がそれぞれ電気的に接続されている。そして、図示しない制御部等は、車速センサ2から入力された車速パルス信号に基づいて、車両の急激な減速等から急ブレーキを検出する。そして、タイヤがロックすることなく、ハンドル操作を可能とするように各種制御を行う。変換部11は、入力された車速パルス信号をデジタル制御信号であるCAN信号に変換して車内ネットワーク3に送出する。
メータECU20は、予め定められたプログラムに従って動作するマイクロプロセッサ(MPU)21と、請求項中の接続手段に相当する入出力回路22と、表示部23と、を有して構成している。
MPU21は、周知のように、予め定めたプログラムに従って各種の処理や制御などを行う中央演算処理装置(CPU)21a、CPU21aのためのプログラム等を格納した読み出し専用のメモリであるROM21b、各種のデータを格納するとともにCPU21aの処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAM21c等を有して構成している。
ROM21bには、CPU21aを上記した請求項中の通信手段、デジタル制御データ取得手段、制御手段、信号生成手段、アナログ制御信号送信手段、正当性判定手段及び阻止手段として機能させるためのプログラムを記憶している。なお、本実施形態では、通信機能を有するMPU21を用いる場合について説明するが、本発明はこれに限定するものではなく、通信回路、通信器等をMPU21とは別途設けるなど種々異なる実施形態とすることができる。
入出力回路22は、入力ポート22aがMPU21と電気的に接続され且つ出力ポート22bが信号線4と電気的に接続されている。そして、入出力回路22は、トランジスタ22cを有し、そのベースが入力ポート22a、コレクタが出力ポート22bとそれぞれ電気的に接続され、エミッタが接地されている。この構成により、MPU21が入力ポート22aのHi/Loを制御することで、出力ポート22bからパルス信号を出力する。
表示部23は、指針式メータ、表示器などを任意に用いることができる。表示部23は、MPU21の制御によって車速センサ2が検出した車速を表示する。即ち、本実施形態では、表示部23が第1制御対象であり、第2制御対象とは異なる制御対象となっている。なお、表示部23は、複数のメータでもよいし、単一のメータでもよい。
次に、CPU21aが実行する本発明の処理概要の一例を、図3に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
CPU21aによって上記プログラムが実行されると、図3に示すステップS1において、車内ネットワーク3からデジタル制御信号であるCAN信号を受信し、該CAN信号から車速を検出してRAM21cに記憶する車速検出モジュールが起動される。そして、該車速検出モジュールは上記プログラムが実行中は平行して動作し続ける。即ち、RAM21cの車速は、適時更新される。
ステップS2において、RAM21cの車速が2km/h以上であるか否かを判定する。2km/h以上ではないと判定した場合(S2でNo)、車両停止と判断し、ステップS3において、車速がゼロと判定して出力を保持し、その後ステップS2に戻り、一連の処理を繰り返す。一方、車速が2km/h以上であると判定した場合(S2でYes)、ステップS4に進む。なお、車速の上限値(例えば、300km/h未満)を設け、車速が2km/h以上上限値未満の場合は、異常と判定して出力を停止する(ステップS2を繰り返すなど)実施形態とすることもできる。
ステップS4において、車速が5.4km/h以上であるか否かを判定する。車速が5.4km/h以上であると判定した場合(S4でYes)、ステップS5において、RAM21cの車速から換算してパルス幅を決定し、該パルス幅となるように1周期分のパルス周期を計算してRAM21cに記憶し、その後ステップS6に進む。
ステップS6において、1/2パルス周期の時間にタイマがセットされ、ステップS7において、入出力回路22の入力ポート22aにHi出力を行うことで、信号線4にON信号を重畳させ、ステップS8において、上記タイマを参照して、セット時間が経過したか否かを判定する。セット時間が経過していないと判定した場合(S8でNo)、この判定処理を繰り返すことで、セット時間の経過を待つ。一方、セット時間が経過したと判定した場合(S8でYes)、ステップS9に進む。
ステップS9において、1/2パルス周期の時間にタイマが再度セットされ、ステップS10において、入出力回路22の入力ポート22aにLo出力を行うことで、信号線4にOFF信号を重畳させ、ステップS11において、上記タイマを参照して、セット時間が経過したか否かを判定する。セット時間が経過していないと判定した場合(S11でNo)、この判定処理を繰り返すことで、セット時間の経過を待つ。一方、セット時間が経過したと判定した場合(S11でYes)、ステップS2に戻り、一連の処理を繰り返す。
また、ステップS4で車速が5.4km/h以上ではないと判定した場合(S4でNo)、ステップS12において、予め定められた最長周期とRAM21cの車速に基づいて、1周期として不足する不足時間を計算してRAM21cに記憶し、その後ステップS13に進む。なお、最長周期とは、上記タイマが用いるカウンタがオーバーフローしない範囲での最長の周期を意味している。
ステップS13において、1/2最長周期の時間にタイマがセットされ、ステップS14において、入出力回路22の入力ポート22aにHi出力を行うことで、信号線4にON信号を重畳させ、ステップS15において、上記タイマを参照して、セット時間が経過したか否かを判定する。セット時間が経過していないと判定した場合(S15でNo)、この判定処理を繰り返すことで、セット時間の経過を待つ。一方、セット時間が経過したと判定した場合(S15でYes)、ステップS16に進む。
ステップS16において、RAM21cの1/2不足時間にタイマが再度セットされ、ステップS17において、入出力回路22の入力ポート22aにHi出力を行うことで、信号線4にON信号を重畳させ、ステップS18において、上記タイマを参照して、セット時間が経過したか否かを判定する。セット時間が経過していないと判定した場合(S18でNo)、この判定処理を繰り返すことで、セット時間の経過を待つ。一方、セット時間が経過したと判定した場合(S18でYes)、ステップS19に進む。
ステップS19において、1/2最長周期の時間にタイマが再度セットされ、ステップS20において、入出力回路22の入力ポート22aにLo出力を行うことで、信号線4にOFF信号を重畳させ、ステップS21において、上記タイマを参照して、セット時間が経過したか否かを判定する。セット時間が経過していないと判定した場合(S21でNo)、この判定処理を繰り返すことで、セット時間の経過を待つ。一方、セット時間が経過したと判定した場合(S21でYes)、ステップS22に進む。
ステップS22において、RAM21cの1/2不足時間にタイマが再度セットされ、ステップS23において、入出力回路22の入力ポート22aにLo出力を行うことで、信号線4にOFF信号を重畳させ、ステップS24において、上記タイマを参照して、セット時間が経過したか否かを判定する。セット時間が経過していないと判定した場合(S24でNo)、この判定処理を繰り返すことで、セット時間の経過を待つ。一方、セット時間が経過したと判定した場合(S24でYes)、ステップS2に戻り、一連の処理を繰り返す。
このようにフローチャートにおけるステップS6〜S11、S13〜S24の一連の処理により、信号線4には、1周期のデューティー比が約50%の車両パルス信号(アナログ制御信号)が送信されることになる。
以上説明した図3のフローチャートに対応した上記プログラムをCPU21aが実行することで、請求項中の通信手段、デジタル制御データ取得手段、制御手段、信号生成手段、アナログ制御信号送信手段、正当性判定手段及び阻止手段としてCPU21aが機能することになる。そして、図3中のステップS1により動作する車速検出モジュールが通信手段及びデジタル制御データ取得手段、ステップS6〜S11及びS13〜S24が信号生成手段及びアナログ制御信号送信手段、ステップS2が正当性判定手段、ステップS3が阻止手段にそれぞれ相当している。
次に、複数のECU30の各々は、主に制御部31と接続部32を有して構成している。なお、本実施形態では、説明を簡単化するために、本発明に係る制御部31と接続部32のみを図示して説明し、その他の構成については本発明と関係ないため省略している。
制御部31は、上述したMPU等が用いられ、第2制御対象の制御を行う。そして、その第2制御対象としては、カーナビゲーション装置、サンルーフ装置等の各種補機が挙げられる。また、本実施形態では、ECU30を請求項中の第2電子制御装置とする場合について説明するが、例えばカーナビゲーション装置、サンルーフ装置等の各種補機を第2電子制御装置とするなど種々異なる実施形態とすることができる。
接続部32は、例えば、信号線4が電気的に接続されるコネクタと検出回路を有して構成している。検出回路としては、ダイオードのカソードを信号線4と電気的に接続し、そのアノードを抵抗を介して接地し、ダイオードの電流の流れの有無を制御部31に出力する。そして、制御部31はその流れの有無をON/OFFと捕らえて車速パルス信号を取得し、車速を検出して車速に基づいた第2制御対象の制御(表示、駆動等)を行う。
次に、上述した車両システム1における本発明に係るの動作(作用)の一例を以下に説明する。
車速センサ2は車両の速度に応じた車速パルス信号を発生してABS−ECU10に出力する。ABS−ECU10は、入力された車速パルス信号を変換部11でCAN信号に変換して車内ネットワーク3に送出する。そして、メータECU11は、車内ネットワーク3からCAN信号を受信すると、当該CAN信号から車速を検出し、車両停止、又は車速が不当と判定した場合は、車速パルス信号を生成(出力)しない。
メータECU11は、検出した車速が正当である場合、その車速を換算したパルス幅を決定し、該パルス幅となるようにECU30の認識が可能な1周期分のパルス周期を計算する。そして、パルス周期に基づいて前記車速に対応した車速パルス信号を生成して入出力回路22から信号線4を介して各ECU30に送信する。また、取得したCAN信号(デジタル制御データ)に基づいて、第1制御対象である表示部23の表示制御を行うことで、表示部23に車速を表示する。
複数のECU30の各々は、信号線4を介して前記車速パルス信号を検出すると、該車速パルス信号から車速を検出し、該車速に基づいた第2制御対象の制御(表示、駆動等)を行う。従って、図2に示すように、従来説明した信号線Lを車両システム1の構成から削除することができるため、省線化を図ることができる。
以上説明した車両システム1によれば、車内ネットワーク3にはABS−ECU10及びメータECU20のみを通信可能に接続し、電子制御装置の入出力回路22に複数の第2電子制御装置を接続するだけで、共通の車速パルス信号に基づいて複数のECU30の各々が制御を行うことができる。従って、ABS−ECU10と複数のECU30の各々を直接接続する必要がなくなり、複数のECU30の各々を信号線4に電気的に接続するだけで良くなるため、ワイヤハーネスや電線等の省線化を図ることができる。また、車内ネットワーク3にはメータECU20のみを接続するだけでよく、複数のECU30を車内ネットワーク3に接続する必要がなくなるため、車内ネットワーク3の負荷を低減することができる。即ち、車内ネットワーク3の負荷を増加することなく車両の省線化に貢献して、車速パルス信号を複数のECU30に分配することができるという効果を奏する。また、車速に応じた共通の車速パルス信号に基づいて複数のECU30の各々が制御を行うことができるため、ECU30の共通化と設置レイアウトに自由度を持たせることができる。
また、上述した実施形態では、本発明の電子制御装置をメータECU20で実現する場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、例えばABS−ECU10や他のECU等で実現するなど種々異なる実施形態とすることができる。
このように上述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。