JP5447915B2 - トナーによる像を印刷媒体に定着または転写定着させるための装置および方法 - Google Patents

トナーによる像を印刷媒体に定着または転写定着させるための装置および方法 Download PDF

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Description

この発明は、トナーによる印刷、ファックスまたはコピーシステムのための定着または転写定着装置、および当該定着装置または転写定着装置の定着(または転写定着)面を調節するための方法、ならびにこの定着または転写定着装置を用いたプリンタ、ファックスまたはコピー機、およびこの調節方法を用いた印刷方法に関する。この装置および方法は、単一の剥離剤含浸巻取紙を用いて、一方で定着(または転写定着)面から紙屑および残留トナーを洗浄する機能と、他方でシリコーン油などの剥離剤を塗布する機能とを統合することができる。
技術背景
従来の電子写真式プリンタでは、帯電装置が感光ドラムまたはベルトの表面を帯電させ、LEDヘッドなどの露光ユニットが感光ドラムの帯電面に静電潜像を書く。静電潜像はトナーでトナー像に現像され、これはその後印刷媒体に転写される。印刷媒体上のトナー像は次に、固定ユニットによって印刷媒体上に永久的に固定される。
電子写真技術においてはマルチカラープリンタが公知であり、これは、感光ドラムまたはエンドレスベルト上に複数のカラートナー像を生成し、そこからトナー像が、紙シートまたは巻取紙材料などの印刷用紙材料上に直接転写される。代替的な実施例では、感光記録部材上に形成されたトナー像が、その後別個の画像形成ステーションから中間絶縁ベルトに転写され、次に受像シートまたは巻取紙に同時に転写される。印刷媒体上のマルチカラートナー像は次に、固定ユニットよってカラーコピーまたはカラープリントに永久的に固定される。
トナー像を定着させるための異なる方法および装置が用いられている。非接触定着は、空気などの加熱ガスの対流または電磁放射への露光に依拠して、溶融したトナー粒子が流れ始め、互いにおよび印刷媒体に付着するような程度にまでトナー樹脂を軟化させる。非接触定着システムは、印刷媒体(30)のエンドレス巻取紙に印刷するのによく用いられる。
図1のような接触定着方法は、熱と圧力との組合せを用いて、未定着トナー像(31)を有する印刷媒体(30)が、少なくとも1つのローラが加熱源(12)を有する1対のローラ(10)と(13)との間の圧力接触区域を通過する際に、トナー像を印刷媒体上に溶融する。接触定着は、シートの形態、および図3に表わされるようなエンドレス巻取紙の形態の印刷媒体とともに用いられ得る。
US6411785およびUS6890657に記載されているように、内部加熱システム(12)は1つ以上の外部加熱ローラによって援助され得る。
代替的な転写定着構造では、感光記録部材上に形成されたトナー像が、その後別個の画像形成ステーションから中間絶縁ベルトに転写され、次に加熱ベルトまたはドラムに同時に転写される。最終転写において、溶融したトナー像は粘着性の圧力転写によって、接触区域において転写定着ベルトまたはドラムから最終媒体に転写される。
より一般的な構成では、前のステップにおいて印刷媒体に転写されたマルチカラー未定着トナー像が、別個のステップとして固定ユニットよってカラーコピーまたはカラープリ
ントに永久的に固定される。
ローラ(10)、(13)の少なくとも1つが、未定着トナー像(31)を運ぶ印刷媒体(30)の側と接触する。図1Aにおいて、上側ローラ(10)は内部ヒータ(12)が備付けられた加熱定着ローラである。片面定着システムともさらに称される図1Aのようなシステムの場合、ローラ(10)のみが、定着させなければならない未定着像と接触し、定着ローラと称され、対向ローラ(13)は加圧ローラと称される。このローラについては加熱は任意である。定着ローラ(10)および/または加圧ローラ(13)は、2つ以上の案内ローラ上で案内されるベルトと交換可能である。
図1Aのような定着器システムは典型的に、2工程で両面コピー上にトナー像を固定する。図1Aの定着後に得られるような既に定着した第1の像(32)を有する印刷媒体(30)は、印刷システム内に二度給送され得、図1Bに示されるような次の定着のために、印刷媒体(30)の反対側に付加的な未定着像(131)を生成する。
図1Cのような同時両面印刷システムは、典型的に両方がヒータ(12)および(112)ならびに任意の付加的な外部ヒータを備える1対の定着ローラ(10)と(110)との間の圧力接触区域における単一工程定着のために、印刷媒体(30)の両側に未定着トナー像(31)、(131)を与える。US6002894はとりわけ、そのような同時両面定着器の実施例を記載している。
定着ローラおよびベルト、加圧ローラおよびベルト、ならびに転写定着ローラおよびベルトは典型的に、機械的に安定したベルトまたはシリンダ上に任意の接着剤によって接着された1つ以上のエラストマーまたはポリマー層を備える。中間層は典型的に、熱伝導性および適合性の機能で選ばれる。定着面(14)の外面は典型的に高剥離材料であり、目標の性質を達成するための多数の所有権のある添加剤および装填剤を備えるシリコーン樹脂、フッ素重合体、フッ素エラストマーおよびそれらの複合合成物などの材料群から選択される。US6365279は、定着ローラまたはベルトの外層として用いられるシリコーン基材の合成物の例を記載している。
定着ローラまたはベルトおよび転写定着ローラまたはベルトの両方のほとんどの適用例において、ほとんどの場合シリコーン油である剥離剤または離型剤が定着ローラもしくはベルトまたは転写定着ローラもしくはベルトに塗布されて、オフセット(すなわち、トナー粒子が、印刷媒体表面の代わりに定着ローラもしくはベルトまたは転写定着ローラもしくはベルトの表面に付着すること)を防止し、定着ローラもしくはベルトまたは転写定着ローラもしくはベルトの表面(14)の寿命を延ばす。
剥離剤塗布システム(29)は典型的に、図2Aに表される多数の剥離剤転写ローラを備える。US5987293は、剥離剤の薄層を定着面(14)に制御して転写するための典型的なマルチローラ給油システムを記載している。
定着ローラから屑およびトナー汚染物を除去するため、定着面洗浄システムが提案されている。図2は、洗浄巻取紙(27)の供給スプール(20)と、巻取紙(21)を定着面(14)に向けて押圧するためのスポンジ型押圧ローラ(25)と、巻取スプール(22)とを備える、先行技術型の巻取紙による洗浄システムを示す。これらの巻取紙は典型的に、使用される前には剥離剤をそれほど含まない不織ポリエステル/アラミド繊維巻取紙である。定着面(14)との直接接触によって表面を洗浄する機能におけるそのような巻取紙の使用は、US5420679、US6876832、およびUS6411785に記載されている。図2Bに示されるような、定着面(14)と直接接触している剥離剤供給手段として剥離剤に浸された同様の巻取紙(21)の使用は、US5045890に
提案されている。巻取紙(21)は毎分数センチメートルの速度で進むのに対して、定着面(14)の表面回転速度は典型的に10から50cm/sの範囲内にある。
図2Bのようなシステムには、ほぼ静止した巻取紙(21)が定着面(14)を引っ掻いて摩耗させてしまうという欠点がある。ほぼ静止した巻取紙は、回転している定着ローラまたは定着もしくは転写定着ベルトの定着面との接触区域内に閉じ込められて静止し続けている紙屑などの汚染物を蓄積し得、局所的な擦り減りを生じさせて定着面を劣化させ得る。この種の摩耗を減らすため、PTFEなどの先進材料を巻取紙の繊維に用いて、巻取紙(21)が定着面(14)に対する損傷進度を落とすことが提案されている。また、屑およびトナー汚染物は依然として定着面(14)を劣化させるおそれがあり、巻取紙(21)と定着面(14)との間に閉じ込められたそのような汚染物は、均一な剥離剤吐出を妨げて、最終印刷物上に目に見える剥離剤の筋を生じさせ、これはUS6449455に記載されているように印刷物の光沢の均一性に影響を及ぼす。
以下のような定着面調節システムの必要性が残る:
・紙屑およびトナー汚染物の洗浄機能を実行する
・少量の剥離剤の均一な塗布が可能な剥離剤塗布機能を実行する
・剥離剤塗布および定着面洗浄の機能が分かれている先行技術のシステムよりも小型である
・ユーザが交換可能な流体および/または巻取紙の量を減らす点で便利である
・剥離剤流体の循環に伴う保守および整備問題を回避する
・定着面を、静止したまたはほぼ静止した洗浄手段と直接接触させることを避けることによって定着面の摩耗をさらに減らす。
発明の要約
この発明は、トナーによる像を印刷媒体に定着または転写定着させるための装置であって、剥離剤含浸巻取紙と、第1の表面速度で定着面と転がり接触して回転する洗浄ローラなどの洗浄手段と、第1の表面速度で定着面と転がり接触して回転する剥離剤塗布ローラとを備え、剥離剤含浸巻取紙は、供給スプールから剥離剤塗布ローラとの第1の接触区域の上を通って巻取スプールに至る軌道に沿って第2の表面速度で進み、第2の表面速度は、第1の表面速度よりも少なくとも100倍遅い、装置を提供する。
上記の構成は、印刷された像に転写される剥離剤が少なくて済む、または少なくとも剥離剤の量をよりよく制御できるという利点を有する。剥離剤の使用によって寿命が延びる。巻取紙の進む速度が遅いので、交換の間の時間が増える、すなわち休止時間が減る。
洗浄ローラからトナー汚染物および/または紙屑を除去するためのさらなる洗浄手段が与えられ得る。そのような手段は、別個の巻取紙もしくはスクレーパーシステムであってもよいし、または剥離剤巻取紙と同一の巻取紙であってもよい。これにより、スペースを最適に使用でき、交換可能な構成要素の数が減り、必要なハードウェアの量が減る。
この発明はまた、トナーによる像を印刷媒体に定着または転写定着させるための装置であって、剥離剤含浸巻取紙と、第1の表面速度で定着面と転がり接触して回転する洗浄ローラと、第1の表面速度で定着面と転がり接触して回転する剥離剤塗布ローラとを備え、剥離剤含浸巻取紙は、供給スプールから剥離剤塗布ローラとの第1の接触区域、および洗浄ローラとの第2の接触区域の上を通って巻取スプールに至る軌道に沿って第2の表面速度で進み、第2の表面速度は、第1の表面速度よりも少なくとも100倍遅い、装置を提供する。
この構成により、先の構成のすべての利点が与えられ、またスペースを最適に使用でき、交換可能な構成要素の数が減り、必要なハードウェアの量が減る。
洗浄ローラは第1の表面を有し、剥離剤塗布ローラは第2の表面を有し、好ましくは、第1の表面上の常温でのシリコーン流体液滴の接触角は、第2の表面上の接触角の2倍より大きい。
第1の表面の表面エネルギは、好ましくは30ダイン/cmより小さい。剥離剤含浸巻取紙には好ましくは、10〜60g/m2の進度で剥離剤が装填される。剥離剤は好ましくは、シリコーンまたはシリコーンから得られる剥離剤である。剥離剤の粘度は好ましくは、常温で1000から20000センチストークである。
剥離剤含浸巻取紙と洗浄ローラとの接触領域は好ましくは、洗浄ローラに係合した適合スポンジゴム型押圧ローラによって与えられる圧力接触である。
この発明はまた、定着または転写定着装置を用いてトナーによる像を印刷媒体に定着または転写定着させるための方法であって、装置は、剥離剤含浸巻取紙と、第1の表面速度で定着面と転がり接触して回転する洗浄ローラなどの洗浄手段と、第1の表面速度で定着面と転がり接触して回転する剥離剤塗布ローラとを備え、剥離剤含浸巻取紙は、供給スプールから剥離剤塗布ローラとの第1の接触区域の上を通って巻取スプールに至る軌道に沿って第2の表面速度で進み、第2の表面速度は、第1の表面速度に対して調整される、方法を提供する。
この発明はまた、定着または転写定着装置を用いてトナーによる像を印刷媒体に定着または転写定着させるための方法であって、装置は、剥離剤含浸巻取紙と、第1の表面速度で定着面と転がり接触して回転する洗浄ローラと、第1の表面速度で定着面と転がり接触して回転する剥離剤塗布ローラとを備え、剥離剤含浸巻取紙は、供給スプールから剥離剤塗布ローラとの第1の接触区域、および洗浄ローラとの第2の接触区域の上を通って巻取スプールに至る軌道に沿って第2の表面速度で進み、第2の表面速度は、第1の表面速度に対して調整される、方法を提供する。
第2の表面速度は好ましくは、印刷済A4シート1枚当たりの剥離剤の量がA4シート1枚当たり0.6〜5mgの範囲内となるように第1の表面速度に対して調整される。
例示的な実施例の説明
この発明は特定の実施例に関して、ある図面を参照して説明されるが、本発明はそれに限定されず、請求項によってのみ限定される。示される図面は概略に過ぎず、非限定的である。図面では、例示のためいくつかの要素のサイズが拡大されていたり同じ割合で描かれていないことがある。寸法および相対寸法は、本発明の実施に対応しない。
さらに、明細書および請求項中の第1の、第2の、第3のなどの用語は、同様の要素を区別するために用いられており、順位またはいずれかの他の態様において時間的、空間的のいずれにおいても順序を説明するために用いられているとは限らない。そのように用いられる用語は適切な状況の下で相互交換可能であり、本明細書中に説明される本発明の実施例は、本明細書中に説明または図示されるのとは他の順序で動作可能である。
また、明細書および請求項中の頂部、底部、上、下などの用語は、説明のために用いられており、相対位置を説明するために用いられているとは限らない。そのように用いられ
る用語は適切な状況の下で相互交換可能であり、本明細書中に説明される本発明の実施例は、本明細書中に説明または図示されるのとは他の向きで動作可能である。
請求項中に用いられる「備える」という用語は、その後に列挙される手段に限定されると解釈されるべきでなく、これは他の要素または工程を排除しないことに留意すべきである。したがってこれは、記載される特徴、完全体、工程または構成要素の存在を言及されているように特定していると解釈されるべきであるが、1つ以上の他の特徴、完全体、工程もしくは構成要素、またはその群の存在または追加を除外しない。したがって、「手段AおよびBを備える装置」という表現の範囲は、構成要素AおよびBのみで構成される装置に限定されるべきではない。これは、この発明に関しては、装置の関連構成要素はAおよびBのみであることを意味する。
同様に、これもまた請求項中に用いられる「結合される」という用語は、直接接続のみに限定されると解釈されるべきではないことに留意すべきである。「結合される」および「接続される」という用語がそれらの派生語とともに用いられ得る。これらの用語は互いに対する同義語であることが意図されていないことを理解すべきである。したがって、「装置Bに結合される装置A」という表現の範囲は、装置Aの出力が装置Bの入力に直接接続される装置またはシステムに限定されるべきではない。これは、Aの出力とBの入力との間に経路が存在し、それは他の装置または手段を含む経路であり得ることを意味する。「結合される」は、2つ以上の要素が直接物理的なもしくは電気的な接触状態のいずれかにあるか、または2つ以上の要素が互いに直接接触していないが依然として協働するかもしくは互いに相互作用することを意味し得る。
この発明は主に、前のステップにおいて印刷媒体に転写されたマルチカラー未定着トナー像が、別個のステップとして固定ユニットによってカラーコピーまたはカラープリントに永久的に固定される例を参照して説明される。しかし、この発明はこれに限定されず、像の転写を用いる装置をその範囲内に含み、すなわちこの発明は定着面の調節にも関する。
図3は、この発明の第1の実施例に係る定着面調節装置(1)を有する定着装置を示す。剥離剤含浸巻取紙(21)が、供給スプール(20)に巻付けられた剥離剤含浸巻取紙のロールの形態で供給される。巻取紙(21)は好ましくは、一方に剥離剤塗布ローラ(24)があり、他方に洗浄ローラ(23)がある制御されたラップが存在するように、案内バー(26)および(27)ならびに回転押圧ローラ(25)などの案内子によって規定される軌道に沿って案内される。
モータなどの駆動機構(図示せず)が、巻取スプール(22)のシャフトに接続され、新たな巻取紙を連続的に与える。巻取紙は、0.2mm/sから2mm/sの速度範囲内で与えられ得る。巻取紙の張力は好ましくは、供給スプール(20)のシャフト上にブレーキを設けることによって制御される。好ましくは、巻取紙速度測定手段が設けられる。たとえば、押圧ローラ(25)はその軸上に、測定に用いるため、および巻取紙(21)の速度を制御するための制御システムのフィードバックループで用いるためのエンコーダディスクが備付けられ得る。
巻取紙は典型的に不織物などの織物材料からなり、ある量の剥離剤を保持する機能を有するとともに、それを剥離剤吐出ローラ(24)に吐出する機能も有する。織物巻取紙に一般的に選ばれるものは、熱接着不織物として公知である。織物の他の例は、スパン結合不織巻取紙、および水を含んだ(hydro-entangled)不織巻取紙として公知のものを含む。電子写真術で用いるため、これらの巻取紙は典型的に、Dupont de Nemours社のNomex(登録商標)などのポリエステル繊維およびアラミド繊維を備えるが、イミド、ポリフェニ
レンスルフィド、PTFEの繊維またはビスコースレーヨン繊維も使用可能である。剥離剤含浸巻取紙は、英国ランカシャー州アクリントン(Accrington, Lancashire, United Kingdom)のBMP Europe limited社、ならびに両方ともアメリカ合衆国内の、ニューヨーク州メディナ(Medina, N.Y.)およびオレゴン州ポートランド(Portland, Oregon)のBMP America Incorporated社で製造される。好適な巻取紙は、たとえば、引用により本願に援用されているUS6449455に記載されている。
ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン流体が、シリコーン基材の外層を有する定着面(14)のための高温ローラトナー定着における剥離剤に標準的に選択されるものである。フェニル基、アミノ基またはメルカプト基を有する油などの機能性油がさらに、シリコーンから得られる剥離剤と称される。これらのシリコーンから得られる剥離剤は、標準的なシリコーン油によるぬれが悪い弾性緩衝層上のフッ素エラストマーまたはフッ素重合体外層を有する定着面の、耐久性の高い最適な性能のために選択され得る。選ばれた定着面(14)上の10000センチストークのPDMSシリコーン油の巻取紙1平方メートル当たり30グラムのポリエステル/アラミド繊維含浸巻取紙を用いて非常に良好な結果が得られた。
図3に表わされるような印刷巻取紙についての片面定着器のための第1の実施例の定着ローラ(10)は、単一の130ミクロンの厚みの層のシリコーン基材の樹脂でコーティングされた、壁の厚みが9mmの、140mmの直径のアルミニウム管(11)を備える。加圧ローラ(13)は、4mmの緩衝層および50ミクロンの厚みのフッ素重合体表面層(図示せず)を有する二重層構造である。比較的硬い定着ローラおよび柔らかい加圧ローラを有するこの種の構造は、巻取紙を用いる印刷媒体の片面定着に好ましい。シートを用いる印刷媒体のための定着システムは典型的に、定着ローラまたはベルトに二重層構造を用いて、印刷済シートの自己剥ぎ取り効果をもたらすことになる。
図3および図4に示されるように、当初の剥離剤が装填された剥離剤含浸巻取紙(21)は、供給スプール(20)から伸ばされ、所与のラップに沿って剥離剤塗布ローラ(24)と接触させられる。このローラの表面(54)は典型的に、ポリジメチルシロキサンから得られるエラストマーからなる表面などの、シリコーン油に対する親和性が高い表面であるように選択される。好ましくは、ドイツのブルクハウゼン(Burghausen, Germany)のWacker Chemie社から入手可能なようなAKF−1000シリコーン油などの剥離剤
による表面ぬれは高い。当該技術において周知のように、表面ぬれの程度の測定として接触角測定が用いられ得る。好ましい表面(54)上の常温でのAKF1000液滴の接触角は9度であることが分かった。接触角の好適な範囲は30°より小さく、たとえば5から25度、より好ましくは7から18度であり得る。シリコーン基材の剥離剤の粘度は10,000センチストークぐらいで選ばれるが、接触角算出の際に不十分な粘性流の動的な影響を避けるため、10,000センチストークより小さい、たとえば1000センチストークの粘度が接触角測定に好ましい。
自由に回転する剥離剤塗布ローラ(24)は、その表面(54)が定着面(14)と同一の表面速度で回転するように粘着ローラ(10)に向けて押圧される。剥離剤含浸巻取紙(21)はそれよりはるかに遅い速度で回転し、剥離剤に対する表面(54)の親和性のため、剥離剤塗布ローラは、ゆっくりと進んでいる巻取紙(21)に対して動く際に巻取紙(21)の孔から剥離剤を抽出する。図4に示されるように、剥離剤はさらに、剥離剤塗布ローラ(24)によって定着面(14)に供給される。特に、単一の比較的薄い130ミクロンのシリコーン基材の樹脂層でコーティングされた金属基材を備える定着ローラまたはベルト(10)との組合せにおいて、剥離剤塗布ローラ24に適合基材を有することが好ましいことが分かった。
供給スプールから油塗布ローラへ、および定着面上への剥離剤の経路は、図4において剥離剤軌道(51)として示される。
剥離剤が欠乏した巻取紙(21)は、押圧ローラ(25)の上を通って洗浄ローラ(23)との接触ゾーンに至る自身の軌道に沿って自身の経路をたどる。洗浄ローラ表面(53)は、剥離剤に対する親和性が低いように選ばれる。我々の好ましい実施例では、洗浄ローラの表面にフッ素重合体が選ばれた。好ましい表面(53)上の常温でのAKF1000液滴の接触角は34度であることが分かった。接触角の好適な範囲は80°より小さく、たとえば15から60度、より好ましくは20から50度である。図4において点線軌道(52)として示されるように、印刷媒体(30)およびトナー像(31、32)から拾い上げられたトナー汚染物および残留紙は,好ましくは洗浄ローラ(23)によって拾い上げられる。洗浄ローラ表面は、それよりはるかに遅い速度で進んでいる欠乏巻取紙(21)に擦り付けられ、汚染物のほとんどを不織巻取紙(21)の孔に転写する。巻取紙(21)はその減速速度で進む際に、汚染物を巻取スプール(22)に向けて退避させる。金属製の外部加熱ローラ上のトナー汚染物を洗浄するために巻取紙を使用することが、US6890657に記載されている。しかし、金属は洗浄ローラ(23)の表面には悪い選択物であることが分かった。金属は、定着面(14)から汚染物を拾い上げるのに非常に優秀であるが、洗浄ローラから部分的に欠乏した剥離剤含浸巻取紙への汚染物の拾い上げは不十分である。最適な洗浄性能は、(金属と比べて)減少した表面エネルギと、剥離剤による不十分なぬれとの組合せに依存することが分かった。
洗浄ローラに、固体表面エネルギが<30ダイン/cmのシリコーン油AKF1000との接触角が>20度の材料が与えられると最適な結果が得られることが分かった。
第1の実施例の洗浄ローラには、固体表面エネルギが18.23ダイン/cm2のフッ素重合体、たとえばフッ化エチレンプロピレン(FEP)のスプレーコーティングされた外面が与えられた。他の試験されたフッ素重合体は、固体表面エネルギ測定が18.6ダイン/cm2のPFAのスリーブであった。PFAおよびPTFEの両方とも、洗浄ローラ(23)の外面(53)に好適な代替的な材料であることが分かった。
特に、単一の比較的薄い130ミクロンのシリコーン基材の樹脂層でコーティングされた金属基材を備える定着ローラまたはベルト(10)との組合せにおいて、洗浄ローラ23に適合基材を有することが好ましいことが分かった。
実験が示すように、122.5mm/sの印刷速度に対して剥離剤巻取紙(21)速度が0.3mm/sに設定された場合、好ましくは当初の30g/m2の装填に対して50%より若干多い剥離剤が巻取紙(21)から欠乏する。試験された設定では、供給スプールは60メートルの巻取紙を収容するように寸法付けられた。この場合、剥離剤巻取紙供給スプール(20)を交換する前に25キロメートルの印刷媒体を印刷可能である。
定着面(14)からの印刷済シートの剥ぎ取りを促進するため、剥離剤の均一な膜を塗布することが公知である。
印刷済シート1枚当たりの剥離剤の塗布のレベルは典型的に、シートを用いるフルカラープリンタ用に設計された定着システムについて、A4サイズのシート1枚当たり10から20mgの範囲内にある。印刷済シートを定着させるよう設計された定着システムは、印刷済シートが定着面から剥離し損なうと紙詰まりを被り得るが、エンドレス巻取紙の形態の印刷媒体に対して動作する定着システムは、その種の詰まる危険性がないので信頼性の面で有利である。
定着調節面がないときの、単一の130ミクロンの厚みの層のシリコーン基材の樹脂でコーティングされた、壁の厚みが9mmの、140mmの直径のアルミニウム管で構成される定着ローラ(10)の耐用寿命は、作製される印刷物の種類、印刷速度、および業務の間の遊び時間に依存する。
表1に、5000から10000枚の間のA4印刷物のこの定着ローラ(10)の耐用寿命が列挙されており、この限られた寿命は、ある移動度を有し、かつ自由表面に移ってそこで剥離剤中のビルダーとして作用し得る、シリコーンネットワーク内のシリコーン低重合体の存在によるものであると仮定される。作製されるコピーの数に対するシリコーンベルトからの「天然」油の欠乏の測定が、定着システムにおける可能性のある適用例の文脈で、EP1072962の図7に報告されている。この文献は、損失した天然油を交換するための目標量は、A4シート1枚当たり0.1から.2mgの剥離剤を追加することであろうと示唆している。この引例は、油塗布システムを有するシステムにおいて作製されるコピーの数に対するコピー試験についての同様の油の結果を報告していない。この引例は、図2Aのような剥離剤塗布システムの使用を示唆している。図2Bのように剥離剤含浸巻取紙が定着ローラ(10)と直接接触する構成を用いて2.4mg/A4および4.8mg/A4の剥離剤が印刷媒体に転写されるように、ある量の剥離剤を用いて試験が実施された。定着ローラ(10)の耐用寿命の2倍および4倍の控えめな増加が観察された。これは明らかに、EP1072962の示唆とは逆に、「天然油」の損失進度で外部剥離剤を塗布することは、定着または転写定着面の当初の性能を維持するのに十分な条件ではないことを示す。
しかし、上述のようなシステム(1)を用いて塗布される、印刷済A4シート1枚当たり0.6から5mgの範囲内の剥離剤のレベルを用いると、定着面調節システム(1)が除去された引例の工程と比べて、定着ローラ(10)の耐用寿命が最大40倍よりも大きく増加することが分かった。
表1は試験の観察結果をまとめている。
同期して回転する洗浄ローラ(23)を用いた定着面(14)の洗浄と、同期して回転する剥離剤塗布ローラ(24)による剥離剤の塗布との総合作用により、当該技術において典型的に用いられる10から20mg/A4の剥離剤の量よりも、使用する剥離剤の量を大幅に減らすことができ、定着ローラもしくはベルトまたは転写定着ローラもしくはベルト(10)の耐用寿命が延びる。
特にラベル印刷などの産業用途について、印刷済媒体に塗布される剥離剤の量を絶対最小値まで減らすことが望ましい。シート1枚当たり2、3ミリグラムより大きい剥離剤膜は、保護および/または光沢強調ワニスの塗布などのその後の生産工程の妨げになることが知られている。より多量の剥離剤を使用すると、剥離剤含浸巻取紙(21)の剥離剤装填を増やすか、または剥離剤含浸巻取紙(21)の速度を上げることが必要となる。しかし、油垂れの問題なしで巻取紙に装填可能な剥離剤の最大量は限られている。剥離剤含浸巻取紙(21)の速度を上げると、供給スプール(20)および巻取スプール(22)の交換の間隔が短くなる。印刷出力物上に多量の剥離剤があると、印刷前ラベルの望ましい特徴であり得る、印刷済コピー上にボールペンで書くという可能性が損なわれる。
印刷済媒体への剥離剤塗布の好ましいレベルは、0.6から5mg/A4の範囲内にあり、より好ましくは0.8から2.5mg/A4の範囲内にある。
図5は、シートの形態の印刷媒体のための片面構成における定着面調節装置の第2の実施例を示す。この実施例では、押圧ローラ(25)は、洗浄ローラ(23)とのニップ接触を形成するように構成される。巻取スプールに向かう剥離剤含浸巻取紙(21)の軌道
は、洗浄ローラ(23)の周りのラップによって完全に規定されているため、図3の案内ローラ(27)はこの場合省略されている。この好ましい実施例では、発泡材の押圧ローラは十分な圧縮性を有しているため、ばねを利用する代わりに決まった位置に設けられ得る。この第2の実施例の洗浄性能は、図3に表わされるような第1の実施例と比べて向上していることが観察された。定着面(14)の温度が誤って高すぎるようまたは低すぎるよう設定されたときに起こり得るように、定着面から多量のトナーを洗浄しなければならない場合、図3の構成は、圧力および洗浄ローラ(23)の周りのラップがより高くよりよく制御されている図5の構成と比べて、巻取紙(21)が定着面(14)にくっついて定着ドラム(10)に巻付く失敗モードに関してあまり頑丈でないことが分かった。巻取紙(21)の巻取紙張力および巻取紙(21)の速度の制御ををさらに向上させるため、供給スプールに、速度モードで制御されるモータが備付けられ、押圧ローラ(25)にエンコーダが備付けられ、巻取スプールに、一定のトルクで引張っているモータが備付けられる。第1の実施例の剥離剤吐出性能を保ちつつ洗浄性能が高まることが分かった。
図6は、巻取紙の形態の印刷媒体に像を定着させるための片面定着器に対して実行されるような、同一の定着面調節装置を示す。未定着トナー像(31)を有して入ってくる印刷媒体(30)は、巻取紙(30)が予熱ローラ(40)に巻付けられる際に延長接触ゾーンにおいて印刷媒体を後ろから予熱するための加熱ランプ(41)が備付けられた予熱ローラ(40)の上を案内される。予熱された巻取紙(30)は次に、定着ローラまたはベルト(10)と加圧ローラまたはベルト(13)との間のニップのかなり前に巻取紙を定着面(14)と接触させるように設計される巻取紙軌道に沿って案内される。印刷媒体が定着面(14)と接触して案内される時間の長さはさらにニップ前接触長さと称され、角度αによって決定される。摂氏70から90度の範囲内で紙を予熱すること、および10〜30mmの範囲内のニップ前接触が、高い印刷速度の定着性能に貢献することが分かった。
図7は、この発明に係る定着面調節装置が多層定着ローラ(10),(110)の各々の上に設けられる、対称両面定着器の代替的な実施例を示す。第1の定着面調節装置(1)が上側の定着ローラまたはベルト(10)上に設けられ、第2の定着面調節装置(101)が下側の定着ローラまたはベルト(110)上に設けられる。図2Aのようなローラを用いる剥離剤塗布装置(29)とは逆に、この発明の定着面調節装置は、性能に対する影響がそれほどなしで回転可能であるため、構造上の柔軟性をもたらす。
図8Aは、図5のような構成が物理モジュール内でどのように編成され得るかを示す詳細図である。定着面調節装置(1)は、軸上に支持される別個のモジュールとして作製され得、アクチュエータ(図示せず)が設けられ、これは、適合ローラ(23)および(24)が遊び状態における定着面(14)との静的な接触圧力によって変形しないように、定着面調節装置(1)を図8Bのような遊び位置に持ってくるように作動され得る。定着面調節モジュール(1)は整備のために取外し可能であり、供給スプールの交換および新たな剥離剤含浸巻取紙(21)の取付を促進するために別個の枠からなる。定着ローラ(10)は、整備のために取外し可能な別個のモジュール(2)として設けられ得る。図5のような装置は、静止した加熱ローラと接触して損傷を被り得、変形し得るポリプロピレンおよび他の熱可塑性の層などの紙以外の材料でしばしば構成される膜およびラベル材料に対する印刷などの商業用途にしばしば用いられるため、装置に好ましくは、印刷媒体の巻取紙を図8Bの代替的な巻取紙軌道に持ってくるように加圧ローラ(13)、予熱ローラ(40)および印刷媒体(30)の巻取紙の配置を行うアクチュエータ(図示せず)が設けられる。代替的な巻取紙軌道は、印刷媒体(30)の巻取紙が加圧ローラ(13)から離れており、かつ定着ローラ(10)および予熱ローラ(40)が好ましくは図8Aのような稼動位置における巻取紙軌道と同一の長さを有するようなものである。したがって巻取紙軌道を、巻取紙にトナー像を既に与えているかもしれない印刷エンジンの上流部に
おける印刷媒体(30)の張力に影響を及ぼすことなく「遊び」から「稼動」に変えることができる。
先行技術から公知のような片面定着器構成を示す図である。 先行技術から公知のような片面定着器構成を示す図である。 先行技術から公知のような両面定着器構成を示す図である。 別個の機能としての、剥離剤の洗浄および塗布のための先行技術の構成を示す図である。 剥離剤含浸巻取紙と組合された、剥離剤の洗浄および塗布のための先行技術の構成を示す図である。 印刷媒体の巻取紙を有する片面定着器のためのこの発明に係る定着面調節装置を示す図である。 油吐出経路および汚染物洗浄経路を示す、印刷媒体の巻取紙を有する片面定着器のためのこの発明に係る定着面調節装置を示す図である。 印刷媒体のシートを有する片面定着器のためのこの発明の第2の実施例に係る定着面調節装置を示す図である。 予熱媒体を用いた印刷媒体の巻取紙を有する片面定着器のためのこの発明の第2の実施例に係る定着面調節装置を示す図である。 印刷媒体のシートを有する両面定着器のためのこの発明の第2の実施例に係る定着面調節装置を示す図である。 動作モードの物理モジュールを示す、図6のような実施例の詳細図である。 遊びモードの物理モジュールを示す、図6のような実施例の詳細図である。

Claims (10)

  1. トナーによる像を印刷媒体に定着または転写定着させるための装置であって、
    剥離剤含浸巻取紙(21)と、
    第1の表面速度で定着面(14)と転がり接触して回転する洗浄ローラ(23)と、
    前記第1の表面速度で定着面(14)と転がり接触して回転する剥離剤塗布ローラ(24)とを備え、
    前記剥離剤含浸巻取紙は、供給スプール(20)から巻取スプール(22)に至る軌道に沿って第2の表面速度で進み、この際、前記含浸巻取紙は、第1の接触区域において前記剥離剤塗布ローラ(24)と転がり接触し、第2の接触区域において前記洗浄ローラ(23)と転がり接触し
    前記第2の表面速度は、前記第1の表面速度よりも少なくとも100倍遅い、装置。
  2. 前記洗浄ローラ(23)は第1の表面(53)を有し、
    前記剥離剤塗布ローラ(24)は第2の表面(54)を有し、
    前記第1の表面(53)上の常温でのシリコーン流体液滴の接触角は、前記第2の表面(54)上の接触角の2倍より大きい、請求項1に記載の装置。
  3. 第1の表面(53)の表面エネルギは30ダイン/cmより小さい、請求項1または2に記載の装置。
  4. 剥離剤含浸巻取紙には、常温で粘度が1000から20000センチストークの10〜60g/m2のシリコーンまたはシリコーンから得られる剥離剤が装填される、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
  5. 剥離剤含浸巻取紙(21)と洗浄ローラ(23)との接触領域は、前記洗浄ローラ(23)に係合した適合スポンジゴム型押圧ローラ(25)によって与えられる圧力接触である、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
  6. 定着または転写定着装置を用いてトナーによる像を印刷媒体に定着または転写定着させるための方法であって、前記装置は
    剥離剤含浸巻取紙(21)と、
    第1の表面速度で定着面(14)と転がり接触して回転する洗浄ローラ(23)と、
    前記第1の表面速度で定着面(14)と転がり接触して回転する剥離剤塗布ローラ(24)とを備え、
    前記剥離剤含浸巻取紙は、供給スプール(20)から巻取スプール(22)に至る軌道に沿って第2の表面速度で進み、この際、前記含浸巻取紙は、第1の接触区域において前記剥離剤塗布ローラ(24)と転がり接触し、第2の接触区域において前記洗浄ローラ(23)と転がり接触し
    前記第2の表面速度は、前記第1の表面速度に対して調整される、方法。
  7. 剥離剤含浸巻取紙は、10から60g/m2の剥離剤を含む、請求項に記載の方法。
  8. 剥離剤はシリコーンまたはシリコーンから得られる剥離剤である、請求項6または7に記載の方法。
  9. 剥離剤の粘度は、常温で1000から20000センチストークである、請求項6から8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記第2の表面速度は、印刷済A4シート1枚当たりの剥離剤の量がA4シート1枚当たり0.6〜5mgの範囲内となるように前記第1の表面速度に対して調整される、請求項6から9のいずれか1項に記載の方法。
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