JP5446957B2 - 回転軸用温度測定装置 - Google Patents

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Description

この発明は、旋盤、ボール盤、フライス盤、マシニングセンタ等の各種工作機械の主軸の如く、高速で回転する回転軸の温度を、非接触でしかも精度良く求められる様にする回転軸用温度測定装置を実現すべく発明したものである。
マシニングセンタ等の各種工作機械は、高速で回転する主軸の先端部に支持固定した工具を被加工物の外面に押し付けて、この被加工物を所望の形状に加工する。この加工時に、この被加工物と前記工具との接触部で発熱し、この熱がこの工具を介して前記主軸に伝わってこの主軸が熱膨張し、この工具の軸方向位置がずれる可能性がある。近年に於ける工作機械は、加工精度がμm単位と、非常に高精度のものがあり、この様な高精度の工作機械の場合、前記熱膨張に基づく前記工具の位置ずれを放置する事はできない。この為従来から、特許文献1〜4に記載されている様に、主軸の温度を測定してこの主軸の温度を一定に保つべく、この主軸を適宜冷却したり(特許文献1)、熱変位分を補正したり(特許文献2〜4)する事が行われている。
何れにしても、工作機械の加工精度を確保する為には、主軸の温度の測定精度を向上させる事が必要である。一方、工作機械の主軸は、運転時に、数万min-1にも達する様な、非常な高速回転を行う為、主軸自体に温度センサを装着してその測定データを取り出す事は、不可能ではないにしても、難しく、コストが嵩む事が避けられない。この為従来は、特許文献2、4に記載されている様に、主軸を支持している軸受やハウジングの温度を測定したり、特許文献3に記載されている様に、主軸の先端部に組み付ける工具の温度を推定したりして、主軸の温度を推定する事が行われている。一般的に、精密工作機械は、年間を通じて一定の温度に保たれた(昼夜連続して空調された)工場内に設置される為、上述の様な方法でも、実用上問題ない程度の精度で主軸の温度を推定する事は可能ではあるが、より高精度の測定結果を得ようとした場合には改良の余地がある。又、中小規模の工場の如く、環境温度が絶えず変化する状況下では、必要とする測定精度を確保する事は殆ど不可能になる。更に、大規模工場でも、長期間の休業に伴って工場内の温度管理を停止した後、操業を再開した場合には、工作機械各部の温度が安定し、必要とする精度を得られる様になるまでには、かなりの時間(半日乃至数日)を要する。
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、工作機械用の主軸等の回転軸自体の状態量に基づいて、この回転軸の温度を求める事により、この温度の測定精度を向上させ、しかも、環境温度に影響されにくい回転軸用温度測定装置を実現すべく発明したものである。
本発明の回転軸用温度測定装置は、軸方向に離隔した2箇所位置をそれぞれ別の軸受によりハウジングの内側に回転自在に支持された、回転軸の温度を測定する為のものである。そして、前記各軸受のうちの一方の軸受は前記回転軸を前記ハウジングの内側に、軸方向の変位を阻止した状態で支持する。これに対して他方の軸受は、前記回転軸を前記ハウジングの内側に、軸方向の変位を許容する状態で支持する。
この様な回転軸の温度を求める為に、この回転軸のうちで軸方向に離隔した2箇所位置にそれぞれ、外周面に特性変化部を備えたエンコーダを外嵌固定する。これら両エンコーダは、それぞれの外周面に、円周方向に関して隣り合う部分に対し特性が異なる特性変化部を、前記回転軸の軸方向に対し傾斜した方向に、少なくとも1箇所設けている。
又、それぞれの検出部が前記両エンコーダの特性変化部に対向した瞬間に出力信号を変化させる、少なくとも1対のセンサ組立体を、前記ハウジングに支持している。
そして、これら各センサ組立体の出力信号を入力した演算器が、これら各センサ組立体の出力信号同士の間に存在する位相差に関する情報に基づいて、前記回転軸の温度を求める。
上述の様な本発明の回転軸用温度測定装置を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、前記両エンコーダを磁性材製とする。そして、前記特性変化部を、これら両エンコーダの外周面に形成された、前記各センサ組立体の検出部との距離が残部と異なる、距離変化部とする。この様な距離変化部としては、例えば凹溝等の除肉部、若しくは凹溝とは逆に他の部分よりも径方向外方に突出した突条部等が採用できる。
これに合わせて前記各センサ組立体を、前記回転軸の径方向に着磁された永久磁石と、この径方向に関してこの永久磁石の内端面に配置された磁気検出素子と、この磁気検出素子が検出する磁束密度の変化を表す信号を出力するICとを備えたものとする。
又、本発明の回転軸用温度測定装置を実施する場合に、前記回転軸の温度を求める機能に加えて、この回転軸に作用するアキシアル荷重を求める機能を持たせる事もできる。
この場合には、請求項3に記載した発明の様に、前記一方の軸受側で前記回転軸に外嵌固定された一方のエンコーダの外周面に、この回転軸の軸方向に対する傾斜方向が互いに異なる、少なくとも1対の特性変化部(距離変化部)を設ける。そして、前記演算器に、前記一方のエンコーダに検出部を対向させた一方のセンサ組立体の出力信号中に含まれる位相に関する情報に基づいて、前記回転軸に作用するアキシアル荷重を求める機能を持たせる。
上述の様な請求項3に記載した発明を実施する場合に、例えば請求項4に記載した発明の様に、前記1対の特性変化部(距離変化部)を、前記一方のエンコーダの回転方向に離隔した状態で設ける。又、一方のセンサ組立体を、この一方のエンコーダの回転に伴う前記1対の特性変化部の通過に伴って出力信号を変化させるものとする。即ち、前記回転軸に加わる荷重に伴う前記一方のセンサ組立体と前記一方のエンコーダとの相対変位に伴って、1周期の間で前記出力信号が変化するタイミングがずれるものとする。そして、前記アキシアル荷重を求める為に使用する位相に関する情報を、前記出力信号の1周期に対する上記タイミングの比とする。
又、本発明の回転軸用温度測定装置を実施する場合に、例えば請求項5に記載した発明の様に、前記両エンコーダの外周面にそれぞれ、前記回転軸の軸方向に対する傾斜方向が互いに異なる、少なくとも1対の特性変化部を設ける事もできる。この場合に前記演算器は、前記両エンコーダにそれぞれの検出部を対向させた、前記各センサ組立体の出力信号中に含まれる位相に関する情報に基づいて、前記回転軸のうちで前記両エンコーダを外嵌固定した部分の軸方向の変位量を、それぞれ求める。更に、これら両部分の変位量の差に基づいて、前記回転軸の温度を求める。即ち、これら両部分同士の間の熱膨張量をこれら両部分の変位量の差として求め、この熱膨張量に基づいて、前記回転軸の温度を求める。この場合には、前記回転軸の温度を求める機能に加えて、前記一方の軸受側のエンコーダ及びセンサ組立体により求めた、前記回転軸の変位量に基づいて、前記回転軸に作用するアキシアル荷重を求める機能を持たせる事もできる。
上述の様に構成する本発明の回転軸用温度測定装置は、工作機械用の主軸等の回転軸自体の状態量である、この回転軸の熱膨張量に基づいて、この回転軸の温度を求める事ができる。即ち、この回転軸の温度が変化し、この回転軸の長さが変化(熱膨張、熱収縮)すると、この回転軸は、一方の軸受を基点として他方の軸受側が軸方向に変位する。この結果、この回転軸の外周面の2箇所位置に外嵌固定した、1対のエンコーダ同士の、軸方向に関するピッチが変化する。これら両エンコーダの外周面にはそれぞれ、前記回転軸の軸方向に対し傾斜した特性変化部が設けられており、少なくとも1対のセンサ組立体は、これら両特性変化部の通過に伴ってそれぞれの出力信号を変化させる。そして、これら各センサ組立体の出力信号の位相のずれの大きさは、前記両エンコーダ同士の、軸方向に関するピッチが変化すると変化する。そこで、この位相のずれの大きさ(基準値からのずれ変化量)に基づいて、前記回転軸のうちで前記両エンコーダを外嵌固定した部分の軸方向長さに関する、長さ変化量を求められる。又、この長さ変化量に基づいて、この部分の温度(の平均値)を求められる。この様に、本発明の回転軸用温度測定装置の場合には、前記回転軸自体の状態量である、この回転軸の熱膨張量に基づいて、この回転軸の温度を求める為、この温度の測定精度を向上させ、しかも、測定値に対する環境温度の影響を少なく抑えられる。
又、請求項2に記載した発明の様に、磁性材製のエンコーダと、永久磁石を備えた磁気検出式のセンサ組立体とにより、回転軸の軸方向長さにより変化する位相差を取り出す構造を採用すれば、長期間に亙って信頼性の高い測定を行える。この位相差を取り出す為の測定は、光学式、渦電流式等、磁気式以外のエンコーダ及びセンサを備えた構造でも行える。但し、光学式の場合、潤滑油等の影響により測定の信頼性確保が難しい。又、渦電流式の場合には、測定精度の確保が難しい。更に、磁気検出式の場合でも、永久磁石製のエンコーダを使用すると、S極とN極との境界の位置決め精度の確保が難しくなって、前記軸方向長さに関する測定精度の確保が難しくなる。しかも、磁性粉等の磁性体が被検出面に付着した場合、測定値の信頼性確保も難しくなる。これに対し、前記請求項2に記載した発明によれば、これらの問題をなくして、長期間に亙って信頼性の高い測定を行える。
又、請求項3、4に記載した発明の様に、回転軸に加わるアキシアル荷重を測定する機能を併せ持たせれば、この回転軸(主軸)の送り速度を適切に調節して、被加工物の加工を、歩留まりを確保しつつ能率良く行える。又、アキシアル荷重の測定値を、工具の寿命の検知や、故障発生時にその原因を特定する為に利用できる。この為、工作機械等、回転軸を備えた各種機械装置の適切な運転に寄与できる。特に、請求項4に記載した発明の構造によれば、1対のセンサ組立体を、何れも単独で構成できて(アキシアル荷重測定用の為だけに1対のセンサ組立体を組み合わせる必要がなく)、荷重測定機能を備えた温度測定装置の小型化を図る面で有利になる。
更に、請求項5に記載した発明の様に、前記回転軸のうちで前記両エンコーダを外嵌固定した部分の軸方向の変位量をそれぞれ求める構造を採用すれば、回転軸の温度と、この回転軸に加わるアキシアル荷重との双方を求められる構造で、1対のエンコーダ、及び、各センサ組立体の共通化を図る事も可能になる。
本発明の実施の形態の第1例を示す、部分略断面図。 同じく模式図。 センサユニットを取り出して、検出部を被覆する以前の状態(A)と被覆した後の状態(B)とで示す斜視図。 センサ組立体を取り出して示す略斜視図。 主軸の温度測定の為、この主軸の熱膨張量を求める原理を説明する為に利用する、1対のセンサ組立体の出力信号を示す線図。 本発明の実施の形態の第2例を示す部分断面図。 同じく模式図。 荷重測定の原理を説明する為の、主軸の先端側に設けたセンサ組立体によるエンコーダの走査位置を示す図(A)と、主軸に荷重が加わる前後に於ける、このセンサ組立体の出力信号の変化状況を表す線図(B)(C)。 本発明の実施の形態の第3例を示す模式図。 センサユニットを取り出して、検出部を被覆する以前の状態(A)と被覆した後の状態(B)とで示す斜視図。 1対のセンサ組立体を取り出して示す略斜視図。 荷重測定の原理を説明する為の、主軸の先端側に設けた1対のセンサ組立体によるエンコーダの走査位置を示す図(A)と、荷重に基づく主軸の軸方向変位により、前記両センサ組立体の出力信号が変化する状況を表す線図(B)。 本発明の実施の形態の第4例(A)と、第5例(B)とを示す、それぞれ模式図。
[実施の形態の第1例]
図1〜5は、請求項1〜2に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例の構造では、工作機械の主軸頭等のハウジング1内に回転自在に支持された、回転軸である主軸2の温度を、この主軸2の熱膨張量を利用して測定可能としている。この主軸2は前記ハウジング1の保持孔3内に、軸方向2箇所位置で、回転自在に支持されている。このうち、前記主軸2の先端部(図1の左端部)は前記保持孔3の先端開口寄り部分に、複列玉軸受ユニット4により、軸方向の変位を阻止した状態で支持している。この複列玉軸受ユニット4は、それぞれがアンギュラ型である1対の玉軸受5a、5bを、接触角の方向を逆向きにして(図示の例では背面組み合わせ型で)、且つ、予圧を付与した状態で設けたものである。前記両玉軸受5a、5bを構成する1対ずつの軌道輪のうち、内輪は前記主軸2の外周面に、外輪は前記保持孔3の内周面に、それぞれ径方向の変位は勿論、軸方向の変位も阻止した状態で設けている。従って、前記主軸2の先端部は前記ハウジング1の内側に、軸方向の変位を阻止された状態で、回転のみ自在に支持されている。これに対して、前記主軸2の基端寄り部分は前記ハウジング1に対し、円筒ころ軸受6(図6参照)等の、ラジアル荷重を支承できるがアキシアル荷重を支承できない転がり軸受により、軸方向の変位を許容する状態で、回転自在に支持している。
上述の様に、前記ハウジング1の内側に回転自在に支持した、前記主軸2の温度を測定すべく、この主軸2の軸方向長さの変化を測定する為に、この主軸2のうちで軸方向に離隔した2箇所位置にそれぞれ、外周面に特性変化部を備えた1対のエンコーダ7a、7bを外嵌固定している。これら両エンコーダ7a、7bは、炭素鋼等の磁性金属材により短円筒状に形成したもので、それぞれの外周面に、特許請求の範囲に記載した特性変化部であり距離変化部である凹溝8a、8bを、それぞれのエンコーダ7a、7bの中心軸の方向(これら各エンコーダ7a、7bの外周面の幅方向)に対し傾斜した方向に、1乃至複数箇所(例えば3〜6箇所程度)、円周方向に関して等間隔に(凹溝8a、8bを複数設ける場合)設けている。尚、前記両エンコーダ7a、7bのうちで、前記主軸2の先端側に外嵌固定したエンコーダ7aには、前記複列玉軸受ユニット4の為の内輪間座としての機能を持たせている。これに対して前記主軸2の中間寄り部分に外嵌したエンコーダ7bは、この主軸2に対し、締り嵌めで外嵌固定している。
前記両エンコーダ7a、7bの軸方向に関するピッチP(図2)は、設計値通り、正確に規制している。又、これら両エンコーダ7a、7bの外周面に形成した、前記各凹溝8a、8bの数は、互いに同じとしている。更に、前記中心軸の方向に対するこれら各凹溝8a、8bの傾斜角度は、総て同じとしている。尚、後述する様に、これら各凹溝8a、8bの回転方向に関する位相は、これら両エンコーダ7a、7b同士の間で必ずしも一致させる必要は無い。但し、一致させる作業は、特に面倒でも無いし、一致させた方が、後述する演算器部分での処理が容易であるから、可能な限り、一致させる事が好ましい。
前記ハウジング1の一部に1対のセンサ組立体9a、9bを、前記主軸2の軸方向に離隔した状態で支持固定している。そして、これら両センサ組立体9a、9bの検出部を、前記両エンコーダ7a、7bの外周面に、それぞれ0.5〜2mm程度の検出隙間を介して対向させている。前記両センサ組立体9a、9bはそれぞれ、図3、4に示す様に、1個の永久磁石10と、1対のホール素子11a、11bと、IC12とを備える。このうちの両ホール素子11a、11bは、前記永久磁石10の着磁方向両端面のうちで、前記エンコーダ7a、7bの外周面と対向する端面に、前記主軸2の回転方向(図1の表裏方向、図4の左右方向)に離隔して配置している。前記永久磁石10の直径は、前記両ホール素子11a、11をこの永久磁石10の端面に配置できる程度に十分に大きくしている。そして、この永久磁石10を、前記両ホール素子11a、11bに掛け渡した状態で設けている。尚、前記両ホール素子11a、11bは、互いに同じ特性を有する(同種のものを使用する)。
又、前記IC12は、前記両ホール素子11a、11bが検出する磁束密度(実際には、この磁束密度の差に応じて変化する電圧信号)の差を求め、更にこの差を表す信号と互いに異なる2種類の閾値とを比較する事で生成したディジタル信号を、前記センサ組立体9a(9b)の出力信号として出力する。即ち、このセンサ組立体9a(9b)は、磁気検出素子として、特許文献5や非特許文献1、2等により従来から広く知られている差動式ホールICの原理を利用し、前記各凹溝8a、8bの周方向端縁の位置を精度良く求められる様にしている。尚、必要とする測定精度によっては(あまり測定精度を高くしなくても良い場合には)、前記センサ組立体9a(9b)部分に、単一のホール素子を組み込んだ(差動式でない)ホールICを使用しても良い。
本例の場合、それぞれが前記各部材10、11a、11b、12から成る前記両センサ組立体9a、9bを、合成樹脂製のホルダ14の先端部に包埋支持して、図3に示す様なセンサユニット13a、13bとしている。そして、これら両センサユニット13a、13bを、前記ハウジング1の一部に設けた保持孔15a、15b部分に組み付けている。この状態で、前記両センサ組立体9a、9bの検出部を、前記両エンコーダ7a、7bの外周面に対向させている。尚、これら両センサ組立体9a、9bの特性に関しては、前記各凹溝8a、8bがそれぞれの検出部を通過するのに伴って出力信号を変化させるものであれば、厳密に一致させる必要は無いが、部品コストを低減する、組み付けのミスを防止する、演算器の処理を容易にする等の為、同種のものを使用する事が好ましい。
上述の様に前記ハウジング1の所定位置に組み付けて、それぞれの検出部を前記両エンコーダ7a、7bの外周面に対向させた、前記両センサ組立体9a、9bの検出信号は、ぞれぞれハーネス16a、16bにより、図示しない演算器に送っている。そして、この演算器により、前記主軸2の温度を測定する様にしている。即ち、この演算器は、前記両センサ組立体9a、9bの出力信号同士の間に存在する位相差に関する情報に基づいて、前記主軸2のうちで、前記両エンコーダ7a、7b同士の間部分の軸方向長さの変化を求め、この変化に基づいて、前記主軸2の温度を求める。以下、前記位相差に基づいてこの温度を求める手順に就いて、図5を参照しつつ説明する。
工作機械による加工を開始する以前、前記主軸2の温度が常温(例えば20℃)であり、この主軸2のうちで、前記両エンコーダ7a、7b同士の間部分の軸方向長さが基準値である場合、前記両センサ組立体9a、9bの検出部が、前記両エンコーダ7a、7bの外周面に形成した前記各凹溝8a、8bの周方向端縁を同時に通過すると仮定する。この場合には、図5の(A)に実線aと破線bとで示す様に、一方のセンサ組立体9aの検出信号の位相と、他方のセンサ組立体9bの検出信号の位相とが一致する。これに対して、工作機械による加工を継続した結果、前記主軸2の温度が上昇し、この主軸2の軸方向長さが、熱膨張に伴って長くなると、前記両センサ組立体9a、9bの検出部が前記両エンコーダ7a、7bの外周面に形成した前記各凹溝8a、8bの周方向端縁を通過するタイミングがずれる。例えば、図2で主軸2が矢印α方向に回転する場合で、この主軸2の熱膨張に伴って、前記中間寄りのエンコーダ7bが先端寄りのエンコーダ7aから離れる方向(図2の右方向)に変位する場合に就いて考える。この場合には、前記一方のセンサ組立体9aの検出部が前記凹溝8aの周方向端縁を走査するタイミングよりも、前記他方のセンサ組立体9bの検出部が前記凹溝8bの周方向端縁を走査するタイミングが遅れる。この結果、図5の(B)に実線cと破線dとで示す様に、前記両センサ組立体9a、9bの検出信号の位相との間に、δなる差が生じる。
そして、前記主軸2の回転速度と、前記各凹溝8a、8bの傾斜角度とが分かれば、前記位相差δから、この主軸2のうちで前記両エンコーダ7a、7b同士の間部分の熱膨張量(軸方向長さの増加分)を、簡単な計算により求められる。そして、前記回転速度は、前記主軸2に付設した回転速度検出装置の測定信号により、或いは、工作機械の制御器の制御信号により、容易に求められる。又、前記傾斜角度は、前記両エンコーダ7a、7bの製作時に精度良く規制できる。従って、前記位相差δが分かれば、前記間部分の熱膨張量が求められる。そして、この熱膨張量が分かれば、前記主軸2を構成する金属材料(例えば高速度鋼)の線膨張係数から、この主軸2の、前記常温からの温度上昇量(=熱膨張量/線膨張係数)を、簡単な計算により求められる。
尚、上述の様にして求められる温度は、前記間部分の温度の平均値であるが、前記主軸2の先端部乃至中間部で前記ハウジング1に覆われている部分の温度勾配は小さい為、前記平均値を求められれば、工作機械の温度補償を行う事に関して、実用上問題となる程の誤差を生じる事は無い。又、本例の構造により前記主軸2の温度を求めるには、常温状態での前記両センサ組立体9a、9bの位相差である、初期位相差と、温度上昇後に於けるこれら両センサ組立体9a、9bの位相差である変化後位相差との差(変化後位相差−初期位相差)を求められれば良い。従って、必ずしも、図5の(A)に示す様に、初期位相差をゼロにする(常温状態で前記両センサ組立体9a、9bの出力信号の位相を一致させる)必要は無い。
[実施の形態の第2例]
図6〜8は、請求項1〜4に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、主軸2aの温度に加えて、この主軸2aに加わるアキシアル荷重を測定可能としている。この主軸2aをハウジング1aに設けた保持孔3aの内側に回転自在に支持する構造に関しては、基本的には、上述した実施の形態の第1例の場合と同様である。本例の場合には、前記主軸2aの先端寄り部分を、複数の玉軸受5a〜5dから成る多列玉軸受ユニット17により支持する事で、大きなアキシアル荷重を支承可能としている。又、1対のエンコーダ7c、7b同士の間に電動モータ18を設けて、前記主軸2aを回転駆動可能としている。この主軸2aの温度を求める為の構造に関しても、基本的には、前記実施の形態の第1例の場合と同様である。特に、本例の場合には、前記主軸2aの先端寄り部分に外嵌固定したエンコーダ7cの外周面の性状、並びに、このエンコーダ7cの外周面を走査するセンサ組立体9aの出力信号を処理する演算器の処理回路(機能)を工夫する事により、前記アキシアル荷重を測定可能としている。
このアキシアル荷重を測定可能とする為に、前記エンコーダ7cの外周面に、複数組の被検出用特性変化組み合わせ部19、19を、周方向に関して等間隔に、それぞれ前記アキシアル荷重の測定方向に一致する前記被検出面の幅方向である、前記エンコーダ7cの軸方向に形成している。前記各被検出用特性変化組み合わせ部19、19は、この軸方向に対する傾斜方向が互いに異なる1対の特性変化部である、それぞれが直線状の凹溝8a、8cを、前記エンコーダ7cの周方向に離隔した状態で設けている。これら各凹溝8a、8cのうちの凹溝8aは、前述した実施の形態の第1例で、主軸2の先端寄り部分に外嵌固定したエンコーダ7aの外周面に形成した凹溝8a(図1〜2参照)と同じ向きに、同じ角度で形成されている。これに対して、凹溝8cは、上記凹溝8aとは軸方向に対する傾斜方向を逆に、同じ角度で形成されている。一方、前記回転軸2aの基端寄り部分には、前述した実施の形態の第1例で、主軸2の中間寄り部分に外嵌固定したものと同じ構造のエンコーダ7bを外嵌固定している。
この様な本例の構造の場合には、先端側のエンコーダ7cの外周面に形成した前記各被検出用特性変化組み合わせ部19、19を構成する凹溝8a、8aに関する、センサ組立体9aの出力信号と、基端側のエンコーダ7bの外周面にその検出部を対向させたセンサ組立体9bの出力信号との間の位相差に基づいて、前記主軸2aの温度を求める。この温度を求める際の作用に関しては、前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。従って、前記各被検出用特性変化組み合わせ部19、19の数と、前記主軸2aの基端寄り部分に外嵌固定した、別のエンコーダ7bの外周面に形成した凹溝8b、8bの数とを同じとしている。
特に、本例の場合には、前記先端側のエンコーダ7cの外周面に検出部を対向させた、前記センサ組立体9aの出力信号に基づいて、前記アキシアル荷重を測定する様にしている。以下、このアキシアル荷重の求め方に就いて、図8を参照しつつ説明する。尚、この図8のうちの(A)に示した凹溝8a、8cの傾斜方向と前記エンコーダ7cの回転方向との関係は、図7とは逆であるが、前記アキシアル荷重を測定する事に関して、この関係は何れでも良い。又、前記両凹溝8a、8cの傾斜角度は、必ずしも同じである必要はない。以下の説明は、前記関係が図8の(A)に示した場合に就いて述べる。
例えば、前記エンコーダ7cを外嵌固定した前記主軸2aにアキシアル荷重が加わらず、このエンコーダ7cが軸方向中立位置に存在する場合、前記センサ組立体9aの検出部は、図8の(A)に実線aで示す様に、前記エンコーダ7cの外周面のうちで、ほぼ軸方向中央部を走査する。この結果、前記センサ組立体9aの出力信号は、例えば、図8の(C)に示す様に変化する。
これに対して、前記エンコーダ7c(を外嵌固定した前記主軸2a)に、図8の(A)で下向きのアキシアル荷重が作用し、前記エンコーダ7cが、この図8の(A)で下方に変位すると、前記センサ組立体9aの検出部は、図8の(A)に鎖線bで示す様に、前記エンコーダ7cの外周面のうちで、軸方向片側{図8の(A)の上側}に偏った部分を走査する。この結果、前記センサ組立体9aの出力信号は、例えば、図8の(B)に示す様に変化する。アキシアル荷重の作用方向が逆向きの場合には、前記出力信号は、逆方向に変化する。
これら図8の(B)(C)に記載した各周期α、β、Lのうち、全周期Lは、円周方向に隣り合う1対の被検出用特性変化組み合わせ部19、19に関する、前記センサ組立体9aの出力信号の周期である。具体的には、回転方向前側(図8の左側)の被検出用特性変化組み合わせ部19に関する所定部分(図示の例では、この被検出用特性変化組み合わせ部19を構成する1対の凹溝8a、8cのうち、回転方向前側の凹溝8aの回転方向後端縁)での、前記出力信号の立ち上がり部から、回転方向後側(図8の右側)の被検出用特性変化組み合わせ部19に関する同等部分での前記出力信号の立ち上がり部までの時間である。又、第一部分周期αは、回転方向前側の被検出用特性変化組み合わせ部19を構成する1対の凹溝8a、8cのうち、回転方向前側の凹溝8aに関する(前記所定部分での)前記出力信号の立ち上がり部から、回転方向後側の凹溝8cに関する前記出力信号の立ち上がり部までの時間である。更に、第二部分周期βは、回転方向前側の被検出用特性変化組み合わせ部19を構成する1対の凹溝8a、8cのうち、回転方向後側の凹溝8cに関する前記出力信号の立ち上がり部から、回転方向後側の被検出用特性変化組み合わせ部19を構成する1対の凹溝8a、8cのうち、回転方向前側の凹溝8aに関する(前記同等部分での)前記出力信号の立ち上がり部までの時間である。
前記各周期α、β、Lのうちの全周期Lは、前記第一部分周期αと前記第二部分周期βとの和(L=α+β)になる。又、前記タイミング比は、α/L(又はβ/L)となる。尚、前記各周期のうちの全周期Lは、出力信号が2回変化する周期(2パルス分の周期)であり、前記エンコーダ7cの回転速度が一定である限り、一定である。又、前記第一部分周期α及び前記第二部分周期βが、前記出力信号が1回変化する周期(1パルス分の周期)であり、前記エンコーダ7cの回転速度が一定であっても、このエンコーダ7cの軸方向位置が変化すると変化する。
図8から明らかな通り、前記タイミング比α/L又はβ/L(出力信号が1回変化する周期/出力信号が2回変化する周期)は、前記エンコーダ7cの軸方向位置に伴って変化し、このタイミング比α/L又はβ/Lの変化量は、この軸方向位置の変化量(軸方向変位量)が大きくなる程大きくなる。又、この軸方向変位量は、前記エンコーダ7cを外嵌固定した、前記主軸2aに加わるアキシアル荷重が大きくなる程大きくなる。又、このアキシアル荷重に基づく前記軸方向変位量は、前記多列玉軸受ユニット17を構成する前記各玉軸受5a〜5dのうち、前記アキシアル荷重を支承する転がり軸受の剛性が大きくなる程小さくなる。又、このアキシアル荷重と前記軸方向変位量との関係は、この剛性を勘案した計算により、或は既知のアキシアル荷重と軸方向変位量との関係を測定する実験により、予め求めておく事ができる。従って、図6〜8に示す様な構造を採用すれば、工作機械の主軸2aの温度に加えて、この主軸2aに加わるアキシアル荷重を求められる。
尚、前記タイミング比に基づいてアキシアル荷重を求める技術の基本に関しては、特許文献6に記載されている。但し、この特許文献6に記載された発明は、自動車の車輪支持用転がり軸受ユニットに加わる荷重を測定する場合を想定しており、アキシアル荷重に関しても、両方向に加わる場合に就いて考慮している。これに対して、工作機械用の主軸2aの場合、アキシアル荷重の作用方向は一定である場合が多い。そこで、アキシアル荷重が加わらず、しかも、前記主軸2aの温度が最も低下している状態、即ち、この主軸2aの先端側に外嵌固定した前記エンコーダ7cが、最もこの主軸2aの先端側(図6の左側)に寄っている状態で、前記センサ組立体9aの検出部が前記エンコーダ7cの外周面の軸方向一端(図6〜7の右端)寄り部分で前記各被検出用特性変化組み合わせ部19、19を走査し、前記アキシアル荷重が大きく、温度上昇に伴って熱膨張するに従って、前記センサ組立体9aの走査位置が軸方向他端側に変位する事にしても良い。
又、前記主軸2aにアキシアル荷重が加わった場合、前記先端側のエンコーダ7cだけでなく、基端側のエンコーダ7bも変位する。但し、前記アキシアル荷重に基づくこれら両エンコーダ7c、7bの変位量は互いに同じとなる。従って、このアキシアル荷重の有無及びその大きさが、前記主軸2aの温度測定に関する精度に影響する事は無い。この点は、前述した実施の形態の第1例及び次述する実施の形態の第3例の場合も同様である。
[実施の形態の第3例]
図9〜12は、請求項1〜3に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合も、上述した実施の形態の第2例の場合と同様に、主軸2aの温度に加えて、この主軸2aの軸方向に一致する、アキシアル方向の荷重を求められる様にしている。この為に本例の場合には、前記主軸2aの中間部先端寄り部分で、多列玉軸受ユニット17を構成する玉軸受5a、5b同士の間に(この部分の構成に就いては前述の図6参照)、図9の左側に示す様なエンコーダ7dを外嵌固定すると共に、ハウジング1a(図6参照)に、センサユニット13cを支持固定している。このうちのエンコーダ7dは、鋼等の磁性金属により全体を円筒状としたもので、このエンコーダ7dの外周面に、前記センサユニット13cの検出部を、径方向に近接対向させている。そして、このセンサユニット13cの出力信号中に含まれる、位相に関する情報に基づいて、前記主軸2aに作用するアキシアル荷重を求める様に構成している。
この為に本例の場合には、前記エンコーダ7dの外周面の一部に、径方向に見た形状が「く」字形であって、それぞれが特許請求の範囲に記載した特性変化部であり距離変化部でもある、凹溝8d、8dを形成している。これら各凹溝8d、8dは、全体として前エンコーダ7dの外周面の幅方向(このエンコーダ7dの軸方向)に設けられているが、各部分は、この幅方向に対し傾斜している。又、傾斜方向は、幅方向片半部と同他半部とで、互いに逆に(但し、傾斜角度の絶対値は両半部同士の間で互いに等しく)している。又、上述した様に傾斜方向が互いに逆である、前記各凹溝8d、8dの両半部のうちの片半部(図9で右半部)の傾斜方向及び傾斜角度は、前記主軸2aの基端寄り部分に外嵌固定した、別のエンコーダ7bの外周面に形成した、各凹溝8b、8bの傾斜方向及び傾斜角度と同じとしている。従って回転方向に関する位相が一致していると仮定した場合に、前記各凹溝8d、8dの片半部と前記各凹溝8b、8bとは互いに平行である。
一方、前記センサユニット13cは、合成樹脂製のホルダ14aの先端部に、1対のセンサ組立体9c、9dを支持固定して成る。これら両センサ組立体9c、9dはそれぞれ、図11に示す様に、1個の永久磁石10aと、1対のホール素子11a、11bと、IC12とを備える。このうちの永久磁石10aは、前記エンコーダ7dの外周面と前記センサユニット13cの検出部とが対向する方向である、このエンコーダ7dの径方向に着磁されている。本例の場合には、図11に示す様に、前記両センサ組立体9c、9dに組み込む永久磁石10a、10aの着磁方向を互いに同じ(前記エンコーダ7dの径方向に関して内側をN極、外側をS極)としている。
又、前記両ホール素子11a、11bは、前記永久磁石10aの着磁方向両端面のうちで、前記エンコーダ7dの外周面と対向する、N極側の端面に、前記主軸2aの回転方向(図11、12の左右方向)に離隔して配置している。前記永久磁石10aの直径は、前記両ホール素子11a、11bをこの永久磁石10aの端面に配置できる程度に十分に大きくしている。そして、この永久磁石10aを、前記両ホール素子11a、11bに掛け渡した状態で設けている。尚、前記両ホール素子11a、11bは、互いに同じ特性を有する(同種のものを使用する)。
又、前記IC12は、前記両ホール素子11a、11bが検出する磁束密度(実際には、この磁束密度の差に応じて変化する電圧信号)の差を求め、更にこの差を表す信号と互いに異なる2種類の閾値とを比較する事で生成したディジタル信号を、前記センサ組立体9c(9d)の出力信号として出力する。即ち、このセンサ組立体9c(9d)は、前述した実施の形態の第1〜2例の場合と同様に、磁気検出素子として差動式ホールICの原理を利用し、前記各凹溝8d、8dの周方向端縁の位置を精度良く求められる様にしている。そして、図12の(A)(B)に示す様に、これら各凹溝8d、8dの他半部を走査するセンサ組立体9cの出力信号と、同じく片半部を走査するセンサ組立体9dの出力信号との間の位相差に基づき、前記エンコーダ7dを外嵌固定した主軸2aに加わるアキシアル荷重を測定可能としている。
この様な本例の構造の場合には、先端側のエンコーダ7dの外周面に形成した前記各凹溝8d、8dの片半部にその検出部を対向させたセンサ組立体9dの出力信号と、基端側のエンコーダ7bの外周面にその検出部を対向させたセンサ組立体9bの出力信号との間の位相差に基づいて、前記主軸2aの温度を求める。この温度を求める際の作用に関しては、前述した実施の形態の第1〜2例の場合と同様である。従って、前記各凹溝8d、8dの数と、前記主軸2aの基端寄り部分に外嵌固定した、別のエンコーダ7bの外周面に形成した凹溝8b、8bの数とを同じとしている。
特に、本例の場合には、前記先端側のエンコーダ7dの外周面に検出部を対向させた、前記両センサ組立体9c、9dの出力信号に基づいて、前記主軸2aに加わるアキシアル荷重を測定する様にしている。以下、このアキシアル荷重の求め方に就いて、図12を参照しつつ説明する。
前記主軸2aにアキシアル荷重が作用し、この主軸2aが軸方向に相対変位すると、前記センサユニット13cを構成する前記両センサ組立体9c、9dの出力信号が変化する位相がずれる。即ち、上記主軸2aにアキシアル荷重が作用していない、中立状態では、上記両センサ組立体9c、9dの検出部は、上記各凹溝8d、8dの中央部に存在する折れ曲がり部から軸方向に同じだけずれた部分に対向する。従って、上記両センサ組立体9c、9dの出力信号の位相は互いに一致する(若しくは初期値分だけずれた状態となる)。
これに対して、前記主軸2aに、図12の(A)で上向きのアキシアル荷重が作用した場合には、上記両センサ組立体9c、9dの検出部は、図12の(A)に示す様に、前記折れ曲がり部からの軸方向に関するずれが互いに異なる部分に対向する。この状態では上記両センサ組立体9c、9dの出力信号の位相は、同図の(B)に示す様にずれる(若しくは、ずれの大きさが、前記初期値から変化する)。これら両センサ組立体9c、9dの出力信号の位相がずれる方向及び大きさは、前記主軸2aに作用するアキシアル荷重の作用方向及びその大きさに応じたものとなる。従って、上記両センサ組立体9c、9dの出力信号の位相ずれの有無、ずれが存在する場合にはその向き及び大きさに基づいて、主軸2aに加わるアキシアル荷重の作用方向及び大きさを求められる。尚、上記両センサ組立体9c、9dの出力信号の位相差に基づいて上記アキシアル方向の相対変位及び荷重を算出する処理は、図示しない演算器により行う。この為、この演算器には、予め理論計算や実験により調べておいた、上記位相差と上記アキシアル方向の相対変位及び荷重との関係を、計算式やマップ等の型式で組み込んでおく。尚、本例の構造の様に、1対のセンサ組立体の出力信号の位相差に基づいてアキシアル荷重を求める技術の基本に関しても、特許文献6に記載されている。
[実施の形態の第4〜5例]
図13は、請求項1、2、5に対応する、本発明の実施の形態の第4〜5例を示している。先ず、(A)に示した第4例の場合には、主軸2aの軸方向に離隔した2箇所位置に外嵌固定する1対のエンコーダ7c、7c´として、前述の図6〜8に示した実施の形態の第2例の場合に、主軸2aの先端側(図7の左側)に外嵌固定したものと同様の構造を有するものを使用している。又、(B)に示した第5例の場合には、主軸2aの軸方向に離隔した2箇所位置に外嵌固定する1対のエンコーダ7d、7d´として、前述の図9に示した実施の形態の第3例の場合に、主軸2aの先端側(図9の左側)に外嵌固定したものと同様の構造を有するものを使用している。(A)に示した第4例の場合には、凹溝8a、8c(8a´、8c´)の組み合わせが1対の特性変化部であり、(B)に示した第5例の場合には、凹溝8d(8d´)の幅方向片半部と他半部とが、1対の特性変化部である。
これら実施の形態の第4〜5例のうち、図13の(A)に示した実施の形態の第4例の構造の場合には、前記両エンコーダ7c、7c´の外周面に対向する1対のセンサ組立体9a、9a´の出力信号に基づいて、これら両エンコーダ7c、7c´の軸方向の変位量を、それぞれ(互いに独立して)求める。又、図13の(B)に示した実施の形態の第5例の構造の場合には、エンコーダ7dの外周面に対向する1対のセンサ組立体9c、9dの出力信号に基づいてこのエンコーダ7dの、エンコーダ7d´の外周面に対向する1対のセンサ組立体9c´、9d´の出力信号に基づいてこのエンコーダ7d´の、それぞれ軸方向の変位量を(互いに独立して)求める。そして、何れの構造の場合も、前記主軸2aのうちで軸方向に離隔した1対のエンコーダ7c、7c´(7d、7d´)同士の間部分の伸縮量(熱膨張量)を、前記互いに独立して求めた変位量の差として求め、この伸縮量から、前記主軸2aの温度を求める。
上述の様に前記実施の形態の第4〜5例の場合には、主軸2aの伸縮量を求める前提として、この主軸2aの先端側に外嵌固定したエンコーダ7c、7dの軸方向の変位量と、基端側に外嵌固定したエンコーダ7c´、7d´の軸方向の変位量とを、互いに独立して求める。この為、前記先端側のエンコーダ7c、7dと、前記基端側のエンコーダ7c´、7d´とを、互いに異なるものとしても良い。例えば、図13の(A)に示した実施の形態の第4例の変形として、先端側のエンコーダ7cの外周面に形成した、それぞれが凹溝8a、8cとから成る被検出用特性変化組み合わせ部19、19の数(ピッチ)と、基端側のエンコーダ7c´の外周面に形成した、それぞれが凹溝8a´、8c´とから成る被検出用特性変化組み合わせ部19´、19´の数(ピッチ)とを互いに異ならせる事もできる。又、図13の(B)に示した実施の形態の第5例の変形として、先端側のエンコーダ7dの外周面に形成した凹溝8d、8dの数(ピッチ)と、基端側のエンコーダ7d´の外周面に形成した凹溝8d´、8d´の数(ピッチ)とを互いに異ならせる事もできる。更には、先端側のエンコーダと基端側のエンコーダとのうちの一方のエンコーダを、図13の(A)に示した様な被検出用特性変化組み合わせ部19(19´)を形成したものとし、他方のエンコーダを、図13の(B)に示す様なV字形の凹溝8d(8d´)を形成したものとする事もできる。
本発明は、工作機械の主軸に限らず、各種機械装置の回転軸の温度を、低コストで精度良く、しかも高い信頼性を確保して測定する為に利用できる。又、実施の形態の第2〜3例の様に、主軸の温度に加えてこの主軸に加わるアキシアル荷重を測定する構造を実施する構造で、エンコーダに関する部品管理の容易化及び組み立てミスの防止を図る為、1対のエンコーダとして、図13の(A)(B)に示す様に同じ構造のものを使用し、しかも、基端側のエンコーダ7c´、7d´に関しては、凹溝等の特性変化部(距離変化部)の一部のみを利用する事もできる。即ち、この場合には、基端側のエンコーダ7c´、7d´に関しては、単に円周方向一方の凹溝8a´(又は8c´)のみを{図13の(A)に準じた構造の場合}、又は、凹溝8d′のうちの軸方向片半部のみを{図13の(B)に準じた構造の場合}利用する。そして、軸方向に離隔して設けた1対のエンコーダに形成した凹溝のうちで互いに平行な部分を利用して、主軸の伸縮量を求める。勿論、この場合には、前記1対のエンコーダに形成する凹溝の数は、互いに同じとする。
1、1a ハウジング
2、2a 主軸
3、3a 保持孔
4 複列玉軸受ユニット
5a、5b、5c、5d 玉軸受
6 円筒ころ軸受
7a、7b、7c、7d エンコーダ
8a、8b、8c、8d、8a´、8b´、8c´、8d´ 凹溝
9a、9b、9c、9d、9a´、9c´、9d´ センサ組立体
10、10a 永久磁石
11a、11b ホール素子
12 IC
13a、13b、13c、13a´、13c´ センサユニット
14、14a ホルダ
15a、15b 保持孔
16a、16b ハーネス
17 多列玉軸受ユニット
18 電動モータ
19 被検出用特性変化組み合わせ部
特開平9−136244号公報 特開2005−186216号公報 特開2007−125648号公報 特開2009−248209号公報 特開平8−220200号公報 特開2006−317420号公報
旭化成株式会社のホームページ、"ホールICの動作原理:ホールIC:製品紹介:旭化成の磁気センサ"、[online]、[平成22年1月27日検索]、インターネット<URL:http://www.asahi-kasei.co.jp/ake/jp/product/ic/outline.html> ローム株式会社のホームページ、"交番磁界検出ホールIC"、[online]、[平成21年8月13日検索]、インターネット<URL:http://www.rohm.co.jp/products/databook/sensor/pdf/bu52040hfv-j.pdf>

Claims (5)

  1. 軸方向に離隔した2箇所位置をそれぞれ別の軸受によりハウジングの内側に回転自在に支持された、回転軸の温度を測定する為の回転軸用温度測定装置であって、前記各軸受のうちの一方の軸受は前記回転軸を前記ハウジングの内側に、軸方向の変位を阻止した状態で支持するものであり、同じく他方の軸受は前記回転軸を前記ハウジングの内側に、軸方向の変位を許容する状態で支持するものであり、前記回転軸のうちで軸方向に離隔した2箇所位置にそれぞれ、外周面に特性変化部を備えたエンコーダが外嵌固定されており、これら両エンコーダの外周面に、円周方向に関して隣り合う部分に対し特性が異なる特性変化部が、前記回転軸の軸方向に対し傾斜した方向に、少なくとも1箇所設けられており、それぞれの検出部が前記両エンコーダの特性変化部に対向した瞬間に出力信号を変化させる、少なくとも1対のセンサ組立体が、前記ハウジングに支持されており、これら各センサ組立体の出力信号を入力した演算器が、これら各センサ組立体の出力信号同士の間に存在する位相差に関する情報に基づいて、前記回転軸の温度を求める回転軸用温度測定装置。
  2. 両エンコーダが磁性材製であり、特性変化部が、これら両エンコーダの外周面に形成された、各センサ組立体の検出部との距離が残部と異なる除肉部若しくは突条部である距離変化部であり、
    前記各センサ組立体は、回転軸の径方向に着磁された永久磁石と、この径方向に関してこの永久磁石の内端面に配置された磁気検出素子と、この磁気検出素子が検出する磁束密度の変化を表す信号を出力するICとを備えたものである、請求項1に記載した回転軸用温度測定装置。
  3. 一方の軸受側で回転軸に外嵌固定された一方のエンコーダの外周面に、この回転軸の軸方向に対する傾斜方向が互いに異なる、少なくとも1対の特性変化部が設けられており、演算器は、軸方向に離隔して設けられた1対のセンサ組立体の出力信号同士の間に存在する位相差に関する情報に基づいて前記回転軸の温度を求める機能に加えて、前記一方のエンコーダに検出部を対向させた一方のセンサ組立体の出力信号中に含まれる位相に関する情報に基づいて、前記回転軸に作用するアキシアル荷重を求める機能を有する、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した回転軸用温度測定装置。
  4. 一方のエンコーダの外周面に設けた1対の特性変化部が、この一方のエンコーダの回転方向に離隔した状態で設けられており、一方のセンサ組立体は、この一方のエンコーダの回転に伴う前記1対の特性変化部の通過に伴って出力信号を変化させるものであって、回転軸に加わる荷重に伴う前記一方のセンサ組立体と前記一方のエンコーダとの相対変位に伴って、1周期の間で前記出力信号が変化するタイミングがずれるものであり、アキシアル荷重を求める為に使用する位相に関する情報が、前記出力信号の1周期に対する上記タイミングの比である、請求項3に記載した回転軸用温度測定装置。
  5. 両エンコーダの外周面にそれぞれ、回転軸の軸方向に対する傾斜方向が互いに異なる、少なくとも1対の特性変化部が設けられており、演算器は、前記両エンコーダにそれぞれの検出部を対向させた各センサ組立体の出力信号中に含まれる位相に関する情報に基づいて、前記回転軸のうちで前記両エンコーダを外嵌固定した部分の軸方向の変位量をそれぞれ求め、更に、これら両部分の変位量の差に基づいて前記回転軸の温度を求める、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した回転軸用温度測定装置。
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