JP5446673B2 - スロットダイ装置 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、溶融樹脂をダイ本体に形成されたマニホールド部から供給してダイランド部、リップランド部を介してリップ出口から押出し、目的の幅に拡幅されたシートまたはフィルムを成形する押出成形用Tダイにおいて、ダイ本体のマニホールド部およびダイランド部ならびにリップランド部内に摺動自在に配置され互いに接近離間して成形幅を調整可能な一対のインナーディッケルを設け、ダイランド部およびリップランド部に対応するインナーディッケルの内面に、リップ出口端縁部の樹脂流量を絞る端縁絞り部をそれぞれ設けた押出成形用Tダイが開示されている。
この押出成形用Tダイによれば、端縁絞り部により、樹脂フィルムの端縁部における樹脂の吐出流量を減少させ、リップ出口からの吐出時に、樹脂シートの左右の端縁部が円形断面に膨らむことを抑制している。
また、特許文献1には、インナーディッケルの内面に、リップ出口端縁部の樹脂流量を絞る端縁絞り部をそれぞれ設けていることにより、樹脂フィルムの端縁部における樹脂の吐出流量を減少させていると記載されているが、リップ出口端縁部を絞ることで樹脂フィルムの端縁部に樹脂が集まり、樹脂フィルムの端縁部が円形断面に膨らみ厚くなることが考えられる。
そして、スロットから排出される溶融樹脂は、その幅方向の端部側において厚さ方向における中央部側を流れる溶融樹脂が、厚さ方向における両端部側を流れる溶融樹脂よりも流速が速くなることにより、幅方向の端部が幅方向に縮んで厚くなることを抑制することができる。
本発明では、インナーディッケルは、溶融樹脂との接触面が上流側よりも下流側がマニホールドおよびスロットの幅方向外側に傾斜して拡幅していることにより、溶融樹脂には、幅方向の端部にインナーディッケルに沿って、上流側から下流側に向かうと共にマニホールドおよびスロットの幅方向外側に傾斜して拡幅する流れが形成される。そして、この流れによりスロットから排出された溶融樹脂の幅方向の端部が幅方向に縮んで厚くなることを抑制することができる。
本発明では、インナーディッケルは溶融樹脂の流出方向に複数に分割して配設されていることにより、マニホールドおよびスロットの幅寸法の調整を行いやすい。
図1(a)、(b)に示すように、本実施の形態によるスロットダイ装置1は、スロットダイ本体2と、スロットダイ本体2の内部に形成されて溶融樹脂R1が供給されるマニホールド3と、スロットダイ本体2の内部にマニホールド3と連通して形成されマニホールド3内の溶融樹脂R1が通過しフィルム状に成形されるスロット4と、スロット4を通過したフィルム状の溶融樹脂R1(樹脂フィルムR2)を排出する排出口5と、マニホールド3およびスロット4の幅方向の長さを規定するインナーディッケル機構6とを備えている。
スロットダイ本体2は、成形される樹脂フィルムR2の幅方向に細長い外形に形成されている。
マニホールド3は、スロットダイ本体2の幅方向にわたって筒状に形成されていて、幅方向の中間部の上部にスロットダイ本体2の供給口2aが接続されており、供給口2aから溶融樹脂R1が供給される。
排出口5はスロットダイ本体2の下端部に形成されていて、スロット4の下端部に位置している。
第一、第二のインナーディッケル11、12および絞り部材13は、マニホールド3およびスロット4内において幅方向の移動が可能で、その表面11a、12a、13aでマニホールド3とスロット4の幅方向の寸法を規定している。スロットダイ本体2に供給された溶融樹脂R1は、この表面11a、12a、13aにガイドされて下方へ通過する。
また、第二のインナーディッケル12は、スロット4の下部側に位置し、スロット4の下部側の幅方向の寸法を規定している。第二のインナーディッケル12の表面12aは、上側から下側に向かってスロット4幅方向の寸法を広げるように傾斜または湾曲している。
また、絞り部材13は、スロット4の下端部に位置し、スロット4の下端部の幅方向の寸法を規定することで、排出口5の幅方向の寸法を規定している。
また、第二のインナーディッケル12も第一のインナーディッケル11と同様に水平方向の断面において表面12aが円弧状に凹に湾曲している。
なお、絞り部材13も水平方向の断面において表面13aが円弧状に凹に湾曲していてもよい。
まず、スロットダイ本体2に供給口2aから溶融樹脂R1を供給する。溶融樹脂R1はマニホールド3に流入しマニホールド3の幅方向に広がり、下方のスロット4へ流入する。そして、溶融樹脂R1はスロット4を通過することによって、所定の厚さのフィルム状に成形される。このとき、スロットダイ本体2内には図示しない冷却機構が設けられていて、マニホールド3およびスロット4を流れる溶融樹脂R1は冷却され、徐々に固化される。
そして、スロット4内でフィルム状に成形された溶融樹脂R1は、排出口5から樹脂フィルムR2の状態で排出され、この樹脂フィルムR2はスロットダイ装置1の下方(下流側)に設けられた図示しないローラーによって圧延される。ローラーは樹脂フィルムR2が排出されるスピードよりも速いスピードで回転している。
排出口5から排出された樹脂フィルムR2は、完全に固化しておらず、排出口5の下流側に設けられた冷却機構によって冷却され固化する。
本実施の形態では、マニホールド3およびスロット4内を通過する溶融樹脂R1は、上方から下方に向かってマニホールド3およびスロット4の幅方向の寸法を広げるように位置をずらして配設された第一、第二のインナーディッケル11、12および絞り部材13の表面11a、12a、13aに沿って流れているので、この溶融樹脂R1には下側に流れるにつれて幅方向に広がる流れが形成される。そして、溶融樹脂R1は、排出口5からこの流れで樹脂フィルムR2となって排出されるため、樹脂フィルムR2の端部が鉛直方向に排出される従来の形態と比べて樹脂フィルムR2の端部R2aが幅方向に縮むことを抑制できる。
そして、図1(a)、(b)に示す排出口5から排出される樹脂フィルムR2は、その幅方向の端部R2a側において厚さ方向の中央部側の溶融樹脂R1の流速が厚さ方向の両端部側の溶融樹脂R1の流速よりも速いので、端部R2aが幅方向に縮むことが抑制され、厚くなることが抑制される。
上述した本実施の形態によるスロットダイ装置1では、第一、第二のインナーディッケル11、12の表面11a、12aが湾曲していると共に、第一、第二のインナーディッケル11、12および絞り部材13が上方から下方に向かってマニホールド3およびスロット4の幅方向の寸法を広げるように配設されているので、排出口5から排出される樹脂フィルムR2の端部R2aが幅方向に縮むことを抑制でき、成形された樹脂フィルムR2の端部R2aが厚くなることを抑制できて、切除する樹脂フィルムR2の量を削減できる効果を奏する。
そして、本実施の形態によるスロットダイ装置1で成形された樹脂フィルムR2は耳高部8の幅が5μmで厚さが130μmであるのに対し、従来のスロットダイ装置で成形された樹脂フィルムR3は耳高部28の幅が50μmで厚さが150μmである。
本実施の形態によるスロットダイ装置1で成形された樹脂フィルムR2の耳高部8のほうが、従来のスロットダイ装置で成形された樹脂フィルムR3の耳高部28よりも厚さおよび幅寸法が小さいことがわかる。
例えば、上述した実施の形態では、インナーディッケル機構6は第一、第二のインナーディッケル11、12が配設されているが、一つのインナーディッケルで構成されたインナーディッケル機構としてもよい。
また、上記の実施の形態では、第一、第二のインナーディッケル11、12および絞り部材13はマニホールド3およびスロット4の幅が上方から下方に向けて徐々に広くなるように配設されているが、マニホールド3およびスロット4の幅が同じ幅になるように配設されてもよい。
また、上記の実施の形態では、溶融樹脂R1は上方から下方へ鉛直方向に流出して樹脂フィルムR2に成形されているが、溶融樹脂R1は鉛直方向以外に、例えば斜め方向に流出される構成としてもよい。
2 スロットダイ本体
3 マニホールド
4 スロット
5 排出口
6 インナーディッケル機構
11 第一のインナーディッケル
12 第二のインナーディッケル
11a、12a 表面
R1 溶融樹脂
R2 樹脂フィルム
Claims (3)
- 溶融樹脂がマニホールドに供給され、前記マニホールドの下流側に設けられたスロットを通過しフィルム状に成形されて排出されるスロットダイ装置において、
前記マニホールドおよびスロットの幅方向の両端部には通過する前記溶融樹脂と接してガイドするインナーディッケルが設けられて、前記インナーディッケルは前記溶融樹脂との接触面が前記溶融樹脂の流出方向に直交する断面において凹に湾曲していることを特徴とするスロットダイ装置。 - 前記インナーディッケルは、前記溶融樹脂との接触面が上流側よりも下流側が前記マニホールドおよびスロットの幅方向外側に傾斜して拡幅していることを特徴とする請求項1に記載のスロットダイ装置。
- 前記インナーディッケルは前記溶融樹脂の流出方向に複数に分割して配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスロットダイ装置。
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JP2009224023A JP5446673B2 (ja) | 2009-09-29 | 2009-09-29 | スロットダイ装置 |
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