以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明の第1実施形態を図1〜図12により説明する。図1は、本実施形態の印字装置として携帯用小型プリンタ装置(モバイルプリンタ)の外観を表す概略斜視図である。また、図2は、携帯用小型プリンタ装置の本体ケースの概略平面図であり、図3は、携帯用小型プリンタ装置に装着される用紙パッケージの斜視図であり、図4は、本体ケースのピックアップローラ部の斜視図であり、図5は、携帯用小型プリンタ装置の側断面図である。
図1〜図5において、本実施形態の携帯用小型プリンタ装置1は、平面視A6サイズ又はA7サイズ程度の大きさで厚みが略1cm程度あるいはそれ以上の上面開放箱型の本体ケース2を有している。本体ケース2の上面には、固定カバー3と回動可能な蓋体13とが並んで設けられている。本体ケース2内には、カットシート状の被印字媒体としての感熱紙4を複数枚収納した用紙パッケージ5を収納する用紙収容部6が形成されている。用紙収容部6は、上記蓋体13により覆われている。また、本体ケース2内における固定カバー3の近傍には、後に詳述する印刷機構部7としてのサーマルヘッド8、プラテンローラ9、ペーパーガイド10や、ピックアップローラ11及び分離ブロック12等が配置されている。プラテンローラ9及びピックアップローラ11は、感熱紙4を搬送する搬送手段を構成している。
サーマルヘッド8は、ラインヘッド型の印字手段であり、プラテンローラ9との間に挟まれて搬送される感熱紙4にライン毎に文字や画像等を印刷する。1ライン印刷する際の印刷幅は、感熱紙4の用紙幅に略等しく設定されている。サーマルヘッド8及びプラテンローラ9は、A6サイズ又はA7サイズ程度の感熱紙4の短辺方向の長さを有している。サーマルヘッド8を印刷ヘッドとして用いるのは、被印字媒体として感熱紙4を用いることにより、インクやインクリボンの消耗品が不要であり、かつそのための機構を省略でき、携帯用小型プリンタ装置1をコンパクトにできるからである。
感熱紙4としては、サーマルヘッド8の加熱により発色する発色層を有する感熱発色タイプのものや、過熱により穿孔される穿孔層を基材上に積層した感熱穿孔タイプのもの等、種々のものを使用できる。
上記用紙収容部6における上記印刷機構部7に近い側に、上記ピックアップローラ11と上記分離ブロック12とが配置されている。用紙収容部6内に収容された用紙パッケージ5は、上記閉止した蓋体13の本体内面側に設けた板バネ等の付勢手段15を介して用紙収容部6の底板6aに向けて付勢される。用紙パッケージ5における積層した感熱紙4のうち最下層の感熱紙4がピックアップローラ11に当接付勢される。このピックアップローラ11の回転駆動と分離ブロック12の案内係止面(不図示)との協働により、最下層の感熱紙4のみが分離ブロック12の下端とガイド板17との隙間を通過する。分離ブロック12に隣接して上記プラテンローラ9が回動可能に設けられ、プラテンローラ9の外周面に押圧コイルバネ等の付勢手段16により上記ペーパーガイド10が付勢されている。ピックアップローラ11と分離ブロック12の案内係止面(不図示)により、用紙パッケージ5から1枚だけ分離搬送された感熱紙4がプラテンローラ9とペーパーガイド10との間に搬送される。
ペーパーガイド10とサーマルヘッド8の下面とにより、上記用紙収容部6から分離搬送された感熱紙4は横向きU字状に反転されて搬送され、プラテンローラ9の印字位置まで搬送される。サーマルヘッド8の背面(上面)側には、プラテンローラ9側に付勢するコイルスプリング19のバネ掛け部が係止され、サーマルヘッド8の印字部がプラテンローラ9に当接している。そして、サーマルヘッド8により感熱紙4の上面に印字が行われ、分離ブロック12の上面と固定カバー3の端縁との隙間20から蓋体13の外側に感熱紙4が排紙される。
プラテンローラ9及びピックアップローラ11の駆動機構は、本体ケース2の長辺に沿う一方の内側面(実施形態では図2に示す感熱紙4の搬送方向側)に配置された駆動モータ22と歯車伝動機構(ギヤ列)23とからなる。プラテンローラ9の直径をピックアップローラ11の直径よりも大きくすることで、プラテンローラ9の箇所の用紙搬送速度をピックアップローラ11の箇所の用紙搬送速度より大きく設定してピックアップローラ11と分離ブロック12との箇所での用紙分離をゆっくり行い、プラテンローラ9による用紙搬送ひいては印字速度を高速化している。そのために、プラテンローラ9箇所での高速搬送に対してピックアップローラ11が連れ回り可能とするワンウェイクラッチ(図示せず)をギヤ列のプラテンローラ9より下流側に設けている。本体ケース2の一対の長辺に沿う内面には、ペーパーガイド10からプラテンローラ9側に延びる案内支持ブロック24が固定されている。
パソコン等の外部機器53(後述)からUSB端子等を介して印字指令及び画像データ(印刷データ)を携帯用小型プリンタ装置1に送ると、駆動モータ22が回転駆動し、ピックアップローラ11及びプラテンローラ9が同時に回転し始める。そして、ピックアップローラ11の回転により、上記積層された感熱紙4のうち最下層の感熱紙4の先端のみが分離ブロック12に衝突する。これにより、最下層の感熱紙4のみが分離されて、分離ブロック12の下面とガイド板17との間に搬送される。そして、プラテンローラ9とペーパーガイド10との間に挟持された感熱紙4は、回転するプラテンローラ9とペーパーガイド10にて挟持搬送されてサーマルヘッド8方向に移動し、サーマルヘッド8により感熱紙4の表面に所望の印字が行われる。その後、固体カバー3と分離ブロック12の背面との隙間20から、印字の行われた感熱紙4が携帯用小型プリンタ装置1外に排紙される。
図6は、携帯用小型プリンタ装置1のブロック図である。図6において、携帯用小型プリンタ装置1はCPU41を有し、このCPU41には、ROM42、SRAM43、電源SW回路44、電池電圧検出回路45、モータ駆動回路46、サーマルヘッド制御回路47、液晶表示部48、USB I/F駆動回路49、操作部51が接続されている。モータ駆動回路46には上記駆動モータ22が接続され、サーマルヘッド制御回路47には上記サーマルヘッド8が接続されている。モータ駆動回路46及びサーマルヘッド制御回路47には、電池収納部50aに収納された充電式電池50から電圧が供給される。すなわち、これらモータ駆動回路46及びサーマルヘッド制御回路47が、各請求項記載の駆動源を構成している。
ROM42には、後述する充電式電池50の劣化状況の判定を実行するためのプログラムと、充電式電池50の劣化状況の判定を実行する際に使用する電池放電用しきい値特性データ(後述の図7参照)とが記憶されている。SRAM43は印字データを展開するときのワークエリアとして使用する。電池電圧検出回路45は、充電式電池50の電圧を検出する。
モータ駆動回路46は、上記駆動モータ22を駆動する回路であり、ヘッド制御回路47は、上記サーマルヘッド8の発熱体部を制御する回路である。なお、サーマルヘッド8は、後述する放電回路を有している。USB I/F駆動回路49は、携帯用小型プリンタ装置1へ印刷信号を発信する外部機器53とUSB規格に基づいた通信を行うためのインターフェース回路であり、外部機器53は、USBコネクタ49aを介してUSB I/F駆動回路49と接続されている。また、電源SW回路44は、携帯用小型プリンタ装置1の電源のON/OFFを行う回路である。液晶表示部48は、電池劣化判定に係るユーザへの指示事項や電池劣化判定結果を表示し、ユーザに対して報知するための表示手段である。
図7は、ROM42に記憶された電池放電用しきい値特性データを表すグラフである。横軸には経過時間、縦軸には電圧値をとって示している。図7において、電池放電用しきい値特性データは、充電式電池50が満充電状態から一定の負荷(定抵抗又は定電流)によって放電する場合の出力電圧値の経時変化特性(放電特性)に関するしきい値特性が設定されたデータである。電池放電用しきい値特性データとしては、電池劣化程度が小さいと判定するための第1しきい値特性V1と、電池劣化程度が大きいと判定するための第2しきい値特性V2とが設定記憶されている。第1しきい値特性V1よりも高電圧側の第1区分Pは、電池劣化程度が十分小さい範囲であり、第2しきい値特性よりも低電圧側の第2区分Qは、電池劣化程度が大きい範囲であり、第1区分Pと第2区分Qとの間の第3区分Rは、電池劣化程度が若干認められる範囲である。
図8は、CPU41によって実行される処理のうち充電式電池50の劣化程度を判定する処理手順を表すフローチャートである。図8において、まずステップS100で、電池電圧検出回路45により検出された充電式電池50の電圧測定値を取得する。
そして、ステップS110において、充電式電池50が満充電状態であるかどうかを判断する。ここでは、電池電圧検出回路45により検出された充電式電池50の電圧測定値が所望の電圧(例えば8.4V)以上であるか否かによって、充電式電池50が満充電状態であるかどうかが判断される。充電式電池50が満充電状態でないと判断されたときは、ステップS120において、液晶表示部48に充電式電池50の充電を促す旨を表示し、本フローを終了する。
充電式電池50が満充電状態であると判断されたときは、ステップS130において、電池電圧検出回路45により検出された充電式電池50の電圧測定値をROM42に記憶された電池放電用しきい値特性データと比較することで、充電式電池50の劣化状況を判定する劣化状況判定処理を行う。このステップS130については、後で詳述する。そして、ステップS140において、充電式電池50の劣化状況(後述のエラーも含む)を液晶表示部48に表示し、本フローを終了する。
図9は、上記ステップS130の劣化状況判定処理の詳細を表すフローチャートである。図9において、まずステップS200で、時間tを「1」に初期設定する。その後、ステップS205において、サーマルヘッド8の放電回路を制御して、充電式電池50に対し所定の負荷を付与することで、充電式電池50の放電処理を開始する。なお、充電式電池50の放電処理は、サーマルヘッド8以外の抵抗負荷等を用いて行ってもよい。
その後、ステップS210において、電池電圧検出回路45により検出された充電式電池50の電圧測定値Vtを取得する。その後、ステップS215において、充電式電池50の電圧測定値Vtが第1しきい値特性V1(前述)よりも高いかどうかを判断する。充電式電池50の電圧測定値Vtが第1しきい値特性V1よりも高いと判断されたときは、ステップS220において、充電式電池50が正常な状態(例えば劣化状況100%)であると判定する(例えばその旨である旨の適宜のフラグを立てたり、その旨を表す識別子を当該測定値に関連づけてもよい。以下同様)。その後、後述のステップS270に移る。
一方、上記ステップS215において充電式電池50の電圧測定値Vtが第1しきい値特性V1よりも高くないと判断されたときは、ステップS225に移り、充電式電池50の電圧測定値Vtが第2しきい値特性V2(前述)よりも高くかつ第1しきい値特性V1以下であるかどうかを判断する。充電式電池50の電圧測定値Vtが第2しきい値特性V2よりも高くかつ第1しきい値特性V1以下であるという条件を満たすと判断されたときは、ステップS230に移り、当該条件を満たさないと判断されたときは、ステップS250に移る。
ステップS230では、充電式電池50の劣化の様子を継続して確認すべき状況であると判定する。そして、ステップS235において、時間tをインクリメント(1加算)した後、ステップS240において、時間tが、予め設定された測定回数に相当する測定時間n(以下、単に測定回数nと称する)以上であるかどうかを判断する。時間tが測定回数n以上でないと判断されたときは、ステップS210に戻り、同様の手順を繰り返す。時間tが測定回数n以上であると判断されたときは、ステップS245において、充電式電池50が若干劣化した状態(例えば劣化状況80%)であると判定し、ステップS270に移る。
一方、ステップS250では、充電式電池50の電圧測定値Vtが第2しきい値特性V2以下であるかどうかを判断する。充電式電池50の電圧測定値Vtが第2しきい値特性V2以下であると判断されたときは、ステップS255に移り、充電式電池50の電圧測定値Vtが第2しきい値特性V2以下でないと判断されたときは、ステップS265に移る。
ステップS255では、充電式電池50が劣化した状態(例えば劣化状況50%)であると判定する。そして、ステップS260において、サーマルヘッド8により以後の印字を行う際に、通電する発熱素子の数(オンドット数)を減少させる、又は、印字濃度を薄くする、又は、印字速度を遅くするように、ヘッド制御回路47を制御し、ステップS270に移る。ステップS265では、エラーであると判定し、ステップS270に移る。
ステップS270では、充電式電池50に対する負荷の付与を停止することで、充電式電池50の放電処理を終了し、このルーチンを終了する。
図10及び図11は、充電式電池50の電圧測定値VtとROM42に記憶された電池放電用しきい値特性データとの関係の具体例を表すグラフである。図10(a)に示すように、最初に得られた電圧測定値Vtが第1しきい値特性V1よりも高い第1区分Pに属する場合は、充電式電池50の劣化程度が十分に小さい、つまり充電式電池50が正常な状態であると判定される(前述の図9のステップS220参照)。
図10(b)に示すように、電圧測定値Vtが測定開始から数点(n点)連続して第1しきい値特性V1と第2しきい値特性V2との間の第3区分Rに属する場合は、充電式電池50の劣化程度が若干認められる、つまり充電式電池50が要注意状態であると判定される(ステップS245参照)。
図11(a)に示すように、最初に得られた電圧測定値Vtが第2しきい値特性V2よりも低い第2区分Qに属する場合は、充電式電池50の劣化程度が大きい、つまり充電式電池50が繰り返し使用により劣化しそのままでは使用困難な状態であると判定される(ステップS255参照)。また、図11(b)に示すように、電圧測定値Vtが測定開始から数点連続して第1しきい値特性V1と第2しきい値特性V2との間の第3区分Rに属していたが、電圧測定値Vtの測定点がn点に達する前に電圧測定値Vtが第2しきい値特性V2よりも低い第2区分Qに属するようになった場合(ステップS240→ステップS210→ステップS215→ステップS225→ステップS230→ステップS235→ステップS240→・・の繰り返しから、ステップS215の判定が満たされた場合)も、充電式電池50の劣化程度が大きいと判定される(ステップS220参照)。
図12は、上記液晶表示部48による充電式電池50の劣化状況の表示例を表す図である。図12において、液晶表示部48は、充電式電池50の劣化程度に対応した全体大きさで表される劣化図像61と、この劣化図像61中に占める割合(数)で充電式電池50の電力残量を表す残量図像62とを表示する。劣化図像61は、この例では電池マークの外形で表される。残量図像62は、電池マーク外形の中に存在する複数の矩形領域で表される。表示される矩形領域の数が多くなるほど、充電式電池50の電力残量が多くなる。
図12の左側の表示例は、充電式電池50の劣化程度が十分に小さい(劣化状況100%である)場合に、電力残量が半分よりも少ない状態を表示したものである。図12の中央の表示例は、充電式電池50の劣化程度が若干認められる(劣化状況80%である)場合に、電力残量が2/3程度である状態を表示したものである。図12の右側の表示例は、充電式電池50の劣化程度が大きい(劣化状況50%である)場合に、電力残量が多い(ほぼ満量)状態を表示したものである。
このように充電式電池50の劣化状況を劣化図像61及び残量図像62で表すことにより、ユーザに対し、充電式電池50の劣化状態を直感的に分かりやすく報知すると共に、その劣化状態の充電式電池50における電力残量も併せて報知することができる。
以上において、CPU41の実行する図9の上記ステップS205は、本実施形態における放電手段として機能する。また、電池電圧検出回路45及びCPU41の上記ステップS210は、本実施形態における電圧検出手段として機能する。また、図9の上記ステップS215、ステップS220、ステップS225、ステップS245、ステップS250、及びステップS255は本実施形態における劣化判定手段として機能する。また、図9のステップS270及び図8のステップS140は、本実施形態における第1制御手段として機能すると共に、本実施形態における第2制御手段としても機能する。また、図9の上記ステップS260は、本実施形態における印字制御手段として機能する。さらに、上記ステップS230、ステップS235、ステップS240は、本実施形態における第3制御手段として機能する。
以上説明したように、本実施形態の携帯用小型プリンタ装置1においては、前述のようにして、プラテンローラ9及びピックアップローラ11により搬送される感熱紙4に対しサーマルヘッド8により所望の印刷が行われる。サーマルヘッド8を駆動制御するサーマルヘッド制御回路47や、ピックアップローラ11及びプラテンローラ9を駆動する駆動モータ22を駆動制御するモータ駆動回路46への電圧供給は、電池収納部50aに収納された充電式電池50によって行われる。この充電式電池50は、充電使用が繰り返されることによって劣化し、内部抵抗が大きくなる。したがって、充電式電池50が劣化したかどうかは、放電時の出力電圧値の経時変化によって見分けることができる。
そこで、本実施形態では、前述したように、電池劣化程度が小さいと判定するための第1しきい値特性V1と電池劣化程度が大きいと判定するための第2しきい値特性V2とを予め記憶しておく。そして、充電式電池50に対し所定の負荷を付与して放電処理を行い、放電処理開始後の充電式電池50の出力電圧値を測定し、その電圧測定値Vtに基づき充電式電池50の劣化程度を判定する。具体的には、電圧測定値Vtが第1しきい値特性V1よりも高電圧側の第1区分Pに属する場合には、電池劣化程度が十分に小さいと判定し、電圧測定値Vtが第2しきい値特性V2よりも低電圧側の第2区分Qに属する場合には、電池劣化程度が大きいと判定し、電圧測定値Vtが第1区分Pと第2区分Qとの間の第3区分Rに属する場合には、電池劣化程度が若干認められると判定する。
このように経時的に変化する電圧測定値Vtに関し予め想定された3つの区分P〜Rを用いて段階的に充電式電池50の劣化程度を判定することができる。これにより、単純にある時点での電圧測定値Vtの比較により劣化を判定する従来手法に比べ、充電式電池50の劣化状態を精度よく検出することができる。
また、本実施形態では特に、上記のようにして判定された充電式電池50の劣化程度を液晶表示部48に表示することにより、高精度に検出した充電式電池50の劣化状態をユーザに確実に報知して認識させることができる。
また、本実施形態では特に、充電式電池50の劣化程度が十分に小さく正常な状態であることが判明した場合(ステップS215→ステップS220→ステップS270の流れ、及び、図10(a)参照)や、充電式電池50の劣化程度が大きく正常な状態でないことが判明した場合(ステップS250→ステップS255→ステップS260→ステップS270の流れ、及び、図11参照)には、その旨の表示を行うと共に放電処理や電圧検出を終了してそれ以降は行わないようにする。これにより、必要以上の無駄な動作を防止し、劣化検出処理の迅速化を図ることができる。
また、本実施形態では特に、充電式電池50の電圧測定値Vtが上記第2区分Qであると判定された場合には、それ以降の印字工程において、オンドット数を減少させるか、印字濃度を薄くするか、印字速度を遅くする(ステップS260参照)。これにより、充電式電池50が劣化した状態であっても、電力をサーマルヘッド8に供給し、必要最小限の印字を実行することができる。
また、充電式電池50の電圧測定値Vtが上記第3区分Rに属する場合には、その後の動作によって充電式電池50の劣化程度が大きくなる可能性があるが、そのような場合でも引き続き放電処理と出力電圧値の検出を継続して繰り返し行う(ステップS240→ステップS210→ステップS215→ステップS225→ステップS230→ステップS235→ステップS240→・・の流れ、及び、図10(a)参照)。これにより、劣化が微妙な状態の充電式電池50に対しても、高精度な劣化検出を行うことができる。
本発明の第2実施形態を図13〜図15により説明する。図中、第1実施形態と同一又は同等の部分には同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。本実施形態は、CPU41によって実行される充電式電池50の劣化程度の判定処理が第1実施形態と異なる。
図13は、本実施形態においてCPU41によって実行される処理のうち充電式電池50の劣化程度を判定する処理手順を表すフローチャートであり、上記第1実施形態の図8のフローに相当するものである。
図13において、まずステップS300で、電池電圧検出回路45により検出された充電式電池50の電圧測定値を取得する。そして、ステップS310において、充電式電池50が満充電状態であるかどうかを判断する。このときの判断手法は、図8に示すフローのステップS110と同様である。充電式電池50が満充電状態でないと判断されたときは、ステップS320に移り、液晶表示部48に充電式電池50の充電を促す旨を表示し、本フローを終了する。
充電式電池50が満充電状態であると判断されたときは、ステップS330において、サーマルヘッド8の放電回路を制御して、充電式電池50に対し所定の第1負荷を付与することで、一定時間tだけ充電式電池50の一次放電処理を行う。なお、充電式電池50の放電処理は、サーマルヘッド8以外の抵抗負荷等を用いて行ってもよい。そして、ステップS340において、サーマルヘッド8の放電回路等を制御して、充電式電池50を一時的に無負荷状態とする。
その後、ステップS350において、電池電圧検出回路45により検出された充電式電池50の電圧測定値から電圧降下量を求め、この電圧降下量を充電式電池50の二次放電処理(後述)時の電圧降下量に関する電圧降下特性データと比較することで、充電式電池50の劣化状況を判定する。電圧降下特性データは、電池劣化程度が小さいと判定するための第1しきい値V1と電池劣化程度が大きいと判定するための第2しきい値V2とを含んでおり、ROM42に予め記憶されている。このステップS350については、後で詳述する。そして、ステップS360において、充電式電池50の劣化状況(後述のエラーも含む)を液晶表示部48に表示し、本フローを終了する。
図14は、上記ステップS350の処理手順の詳細を表すフローチャートである。図14において、まずステップS400で、図13に示すステップS330と同様の方法で、充電式電池50に対し上記第1負荷よりも高い所定の第2負荷を所定の短時間付与することで、充電式電池50の二次放電処理を複数回繰り返し行う。
その後、ステップS410において、電池電圧検出回路45により検出された充電式電池50の電圧測定値から充電式電池50の電圧降下量Vdを複数回求め、電圧降下量Vdの平均値(電圧降下量平均値)Vdaveを計算する。
その後、ステップS420において、電圧降下量平均値Vdaveが第1しきい値V1よりも低いかどうかを判断する。電圧降下量平均値Vdaveが第1しきい値V1よりも低いと判断されたときは、ステップS430において、充電式電池50が正常な状態(例えば劣化状況100%)であると判定する(例えばその旨である旨の適宜のフラグを立てたり、その旨を表す識別子を当該測定値に関連づけてもよい。以下同様)。そして、本フローを終了する。
一方、ステップS420で、電圧降下量平均値Vdaveが第1しきい値V1よりも低くないと判断されたときは、ステップS440において、電圧降下量平均値Vdaveが第1しきい値V1以上でありかつ第2しきい値V2よりも低いかどうかを判断する。電圧降下量平均値Vdaveが第1しきい値V1以上でありかつ第2しきい値V2よりも低いという条件を満たすと判断されたときは、ステップS450において、充電式電池50が若干劣化した状態(例えば劣化状況80%)であると判定し、本フローを終了する。
ステップS440で上記の条件を満たさないと判断されたときは、ステップS460において、電圧降下量平均値Vdaveが第2しきい値V2以上であるかどうかを判断する。電圧降下量平均値Vdaveが第2しきい値V2以上であると判断されたときは、ステップS470において、充電式電池50が劣化した状態(例えば劣化状況50%)であると判定する。そして、ステップS480において、サーマルヘッド8により以後の印字を行う際に、通電する発熱素子の数(オンドット数)を減少させる、又は、印字濃度を薄くする、又は、印字速度を遅くするように、ヘッド制御回路47を制御し、本フローを終了する。
ステップS460で電圧降下量平均値Vdaveが第2しきい値V2以上でないと判断されたときは、ステップS490において、エラーであると判定し、本フローを終了する。
図15は、充電式電池50の放電処理により充電式電池50の出力電圧値が経時変化する様子を表すグラフである。図15において、上記の充電式電池50の一次放電処理は、放電開始時から充電式電池50の出力電圧値が経時的に安定した安定状態(安定領域)より所定量だけ降下するまでの時間t1(図15(a)参照)の間だけ行われる。そして、一時的な時間t2の間だけ充電式電池50を無負荷状態にした後、充電式電池50の二次放電処理が短時間t3の間だけ行われる。t2はおよそ1〜2秒程度の時間が設定され、この間は無負荷になるので出力電圧値は一旦上昇する。t3もおよそ1〜2秒程度の時間が設定されて、所定の負荷がかかるので出力電圧値が降下する。この二次放電処理が行われる間の充電式電池50の電圧降下量(図15(b)参照)に基づいて、充電式電池50の劣化程度が判定される。このとき、充電式電池50の電圧降下量が大きくなるほど、充電式電池50の劣化が激しいと判定される。なお、図15(a)中の特性X,Y,Zは、それぞれ劣化状況100%、80%、50%の状態のものを概念的に表したものである。
なお、劣化状況100%、80%、50%それぞれのときの液晶表示部48での表示については、上記図12を用いて説明した第1実施形態のものと同様で足りるので、詳細な説明を省略する。
以上において、CPU41の実行する図13の上記ステップS330が、本実施形態における一次放電手段として機能し、上記ステップS400が本実施形態における二次放電手段として機能する。電池電圧検出回路45は本実施形態における電圧検出手段として機能する。ROM42は本実施形態における特性記憶手段として機能する。また、上記ステップS410、ステップS420、ステップS430、ステップS440、ステップS450、ステップS460、ステップS470は、本実施形態における劣化判定手段として機能する。また、上記ステップS480は、本実施形態における印字制御手段として機能する。
この第2実施形態は、電池の劣化特性について、上記第1実施形態とはまた別の観点に基づくものである。すなわち、充電式電池50に対し所定の負荷を付与して放電を開始したとき、放電開始直後は電圧が比較的急に降下するものの、その後はしばらくの間電圧がほぼ一定となる安定領域が存在する。そして、この安定領域が終わった後が、充電式電池50の劣化状況を最もよく反映した電圧降下挙動となり、劣化が大きいほど急激に電圧が降下する。
そこで、この第2実施形態では、電池劣化程度が小さいと判定するための第1しきい値V1と電池劣化程度が大きいと判定するための第2しきい値V2とを予め記憶しておく。そして、まず充電式電池50に対し所定の第1負荷を一定時間付与して放電処理を行った後(ステップS330参照)、充電式電池50に対しより高い第2負荷を短時間付与する(ステップS400参照)。そして、この間に充電式電池50の出力電圧値を検出し、そのときの電圧降下量に基づき充電式電池50の劣化程度を判定する。具体的には、電圧降下量が第1しきい値V1よりも小さかった場合には、電池劣化程度が十分に小さいと判定し、電圧降下量が第2しきい値V2よりも大きかった場合には、電池劣化程度が大きいと判定し、電圧降下量が第1しきい値V1と第2しきい値V2との間であった場合には、電池劣化程度が若干認められると判定する。
このように、最も劣化状況を反映する、一次放電処理による安定領域が終わった後の二次放電処理において、経時的に変化する電圧降下量に関し予め想定された2つのしきい値V1,V2を用い充電式電池50の劣化程度を判定することができる。これにより、単純にある時点での電圧値の比較により劣化を判定する従来手法に比べ、充電式電池50の劣化状態を精度よく検出することができる。
また、本実施形態では特に、充電式電池50に対し、一次放電処理の後、無負荷状態を挟み(ステップS340参照)、第2負荷を短時間付与することにより、二次放電処理を行う。これにより、充電式電池50の劣化状態を際だたせ、さらに精度よく検出することができる。
また、本実施形態では特に、放電開始後、充電式電池50の出力電圧値が安定領域より所定量だけ降下するまでの間、一次放電処理を行う(ステップS330参照)。これにより、安定領域が終わった後という最も劣化状況を反映する二次放電処理において、確実に電池の劣化程度を精度よく判定することができる。
また、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様、上記のようにして判定された充電式電池50の劣化程度を液晶表示部48に表示する。例えば、充電式電池50の劣化程度が十分に小さく正常な状態であることが判明した場合(ステップS420→ステップS430の流れ参照)や、充電式電池50の劣化程度が大きく正常な状態でないことが判明した場合(ステップS460→ステップS470の流れ参照)には、その旨の表示を行う。これにより、高精度に検出した充電式電池50の劣化状態をユーザに確実に報知して認識させることができる。
また、本実施形態では特に、充電式電池50の電圧降下量平均値Vdaveが第2しきい値V2以上であると判断されたときは、それ以降の印字工程において、オンドット数を減少させるか、印字濃度を薄くするか、印字速度を遅くする(ステップS480参照)。これにより、上記第1実施形態と同様、充電式電池50が劣化した状態であっても、電力をサーマルヘッド8に供給し、必要最小限の印字を実行することができる。
なお、以上において、図6等に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
また、図8、図9、図13、図14等に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。