JP5445408B2 - 車両用自動変速機に設けられる電子回路ユニット及びその製造方法 - Google Patents

車両用自動変速機に設けられる電子回路ユニット及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、車両用自動変速機に設けられ、その制御等のための電子回路を内蔵する電子制御ユニットに関するものである。
従来、電子回路を内蔵する回路体として、特許文献1に記載されるものが知られている。その概要を図18及び図19に示す。
これらの図に示される電子回路体10は、電子回路を形成する複数の回路素子11が実装された矩形状の回路基板12と、その電子回路を外部に接続するための雄端子である複数本の第1回路側端子14A及び複数本の第2回路側端子14Bと、当該回路基板12及び両回路側端子14A,14Bを一体化するようにモールドされた樹脂パッケージ16とを含む。前記各回路側端子14A,14Bは例えば直線状に延びる小幅のバスバーからなり、このうち前記第1回路側端子14Aは前記回路基板12の一辺に沿って配列され、前記第2回路側端子14Bは同回路基板12において前記第1回路側端子14Aと反対側の辺に沿って配列される。これらの回路側端子14A,14Bは例えばボンディングワイヤ18を介して前記回路基板12に電気的に接続される。
この電子回路体10では、前記回路基板12及び前記樹脂パッケージ16が、電子回路を内蔵する本体を構成し、この本体から特定の第1突出方向に前記各第1回路側端子14Aが突出し、当該第1の突出方向と反対の方向である第2の突出方向に前記各第2回路側端子14Bが突出する。
その一方、特許文献2には、前記のような複数の電子回路体と、その端子を外部回路に接続するためのコネクタとを備えたユニットが開示されている。このユニットは、電子回路体に相当する電子回路封入部材と、その電子回路に外部回路を接続するためのコネクタとを有する。このコネクタは、複数の電線の端末にそれぞれ固定される雌端子(電線側端子)と、これらを保持するコネクタハウジングとを備え、このコネクタハウジングに保持される各雌端子が前記電子回路体の各雄端子(回路側端子)に嵌合される。前記の電子回路体及びコネクタは共通のベース部材上に保持され、車両の適所に取付けられる。
特開2004−095974号公報 特開2001−244007号公報
前記のような電子回路ユニットを車両用自動変速機の制御に用いる場合、その配線の簡素化のためには、当該電子回路ユニットを当該自動変速機のケース内に収容することが好ましい。しかしながら、当該自動変速機のケース内ではオイルが循環しており、このオイル中には例えば金属摩耗粉といった導体からなる小さな異物が混入しているため、当該異物が例えば電子回路体の雄端子間に入り込むと、当該異物が媒体となって端子間を短絡させる等のトラブルが生じるおそれがある。
このようなトラブルを回避する手段として、前記コネクタに例えば防水コネクタと同等のシール構造を付与することが考えられるが、かかる構造は必然的にユニット全体のコストを上昇させる。
本発明は、このような事情に鑑み、車両用自動変速機のケース内に設けられる電子回路ユニットであって、当該ケース内のオイルに混入する異物に起因するトラブルを簡素な構造で有効に抑止できるものを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段として、本発明は、車両用自動変速機のケース内に設けられる電子回路ユニットであって、電子回路を内蔵する本体及びこの本体から外向きに突出する複数の回路側端子を含み、前記各回路側端子が共通の方向に突出する電子回路体と、複数の電線の端末にそれぞれ固定されて前記各回路側端子に嵌合可能な嵌合部を有する複数の電線側端子とこれら電線側端子を前記回路側端子の配列に対応する配列で保持するコネクタハウジングとを有するコネクタと、前記電子回路体および前記コネクタを載置するための載置面を有し、当該載置面上に前記電子回路体が固定されるベース部材と、前記載置面上に載置されて前記ベース部材に固定されるカバーとを備え、前記コネクタハウジングは、前記カバーと当接可能な被当接部を有し、前記カバーは、当該カバーおよび前記電子回路体が前記載置面上に載置されるとともに前記回路側端子と前記嵌合部とが嵌合した組み付け状態で前記電子回路体の本体を前記載置面と反対の側から覆う本体被覆部と、前記本体被覆部から前記回路側端子の突出方向に延びて前記組み付け状態で前記回路側端子と前記嵌合部との嵌合領域を前記載置面と反対の側から覆う嵌合領域被覆部と、前記組み付け状態で前記コネクタが前記回路側端子と前記嵌合部とが嵌合する嵌合位置から当該嵌合位置からこれらの嵌合方向に離間して前記回路側端子と前記嵌合部とが嵌合しない離脱位置に離脱するのを規制する規制部とを有し、前記嵌合領域被覆部は、前記組み付け状態で前記コネクタハウジングあるいは前記電線が当該嵌合領域被覆部と前記載置面との間から外部に向かって前記回路側端子の突出方向に延びるように前記嵌合領域を囲む形状を有し、前記嵌合領域被覆部および前記本体被覆部は、前記回路側端子と前記嵌合部とが嵌合した状態で前記カバーが前記電子回路体および前記コネクタにこれらが前記載置面に載置される側と反対の側から被せられたときに、前記嵌合領域および前記電子回路体の本体を覆う位置に配置され、前記規制部は、前記回路側端子と前記嵌合部とが嵌合した状態で前記カバーが前記電子回路体および前記コネクタにこれらが前記載置面に載置される側と反対の側から被せられたときに、前記離脱位置側から前記嵌合位置側に向かって前記被当接部に当接して前記コネクタを規制可能な位置に、配置されることを特徴とする車両用自動変速機に設けられる電子回路ユニットを提供する。
本発明によれば、簡素な構成で、前記各端子の嵌合状態が良好に維持されつつ、前記電子回路体側に例えば自動変速機のケース内を流れるオイルに含まれる異物が入り込むのが有効に抑止される。
すなわち、本電子回路ユニットでは、電子回路体とこれに結合されるコネクタに加えて、電子回路体本体を覆う本体被覆部と各端子の嵌合領域を嵌合領域被覆部と前記コネクタの嵌合位置からの離脱を規制する規制部とを有するカバーを設けるという簡単な構成で、前記コネクタの嵌合位置からの離脱を規制しつつ、このカバーと前記ベース部材との協働により前記電子回路体本体および嵌合領域を両側から保護して前記異物の浸入を抑止することができる。特に、前記カバーの嵌合領域被覆部は前記本体被覆部から回路側端子の突出方向に延びる形状を有しており、電子回路体本体側から嵌合領域側へ異物が入り込むのが有効に阻止される。
また、本電子回路ユニットでは、前記回路側端子と前記嵌合部とが嵌合状態にある前記電子回路体および前記コネクタが載置された前記載置面にこの載置面と反対の側から前記カバーが載置されることで、前記カバーが前記電子回路体本体および嵌合領域を保護し、かつ、前記コネクタの離脱を規制する位置に配置されているので、前記嵌合が前記カバーにより覆われていない状態でより確実に行われるとともに、前記カバーが前記載置面に載置されるという簡単な構成で前記異物の浸入およびコネクタの離脱が規制される。
本発明において、前記コネクタハウジングと前記嵌合領域被覆部とは、前記回路側端子の突出方向と略直交する方向に互いに対向する対向面をそれぞれ有し、前記コネクタハウジングと前記嵌合領域被覆部の一方は、その前記対向面から他方の前記対向面に向かって突出する突出部を有し、前記他方の対向面には、前記回路側端子の突出方向から見て前記対向面間の隙間を塞ぐように前記突出部が挿入される凹部が形成されており、前記突出部と前記凹部とは、前記各対向面の前記嵌合領域を囲む方向全体にわたって延びているのが好ましい(請求項2)。
この構成によれば、前記凹部への前記突出部の挿入により、コネクタハウジングと嵌合領域被覆部の対向面間の隙間が塞がれるため、これら対向面間すなわち前記コネクタハウジングと嵌合領域被覆部との間から前記嵌合領域側への異物等の浸入が抑止される。特に、前記突出部と前記凹部とは前記嵌合領域を囲む方向全体にわたって延びており、前記異物等の浸入がより確実に抑止される。
前記構成において、前記電子回路体は、前記回路側端子の突出方向と前記嵌合方向とが一致する形状を有し、前記凹部と前記突出部とは、その一方が前記離脱位置側から前記嵌合位置側に向かって他方に当接可能な形状を有するのが好ましい(請求項3)。
このようにすれば、この凹部と突出部とにより前記異物の浸入が抑止されつつ前記コネクタが前記嵌合位置から離脱するのが規制される。すなわち、この凹部と突出部とは前記異物の浸入を抑止するためのものとして機能するとともに、前記規制部と前記被当接部として機能する。従って、これらの機能を有する要素を個別に設ける場合に比べて簡単な構成で前記効果を得ることができる。
また、前記コネクタハウジングと前記嵌合領域被覆部の一方は、前記突出部が設けられた部分よりも前記回路側端子の先端側に離間した位置に設けられて前記突出部と略平行に延びる立壁部を有し、前記コネクタハウジングと前記嵌合領域被覆部の他方の前記回路側端子の先端側の端部は、前記組み付け状態で前記突出部と前記立壁部との間に配置されるとともに、この配置状態で前記立壁部と対向する端面を有するのが好ましい(請求項4)。
この構成によれば、前記突出部と前記凹み部とに加えて、前記コネクタハウジングと前記嵌合領域被覆部の他方の前記回路側端子の先端側の端部と前記立壁部とによって異物等の前記嵌合領域への浸入が抑止され、この異物等の嵌合領域への浸入がより確実に抑止される。
また、本発明において、前記電子回路体は、前記載置面に載置された状態で、前記回路側端子の端子配列方向と前記載置面とが略平行になるとともに当該回路側端子の突出方向と前記嵌合方向とが一致する形状を有し、前記各電線側端子は、前記嵌合領域被覆部と当接可能な端子被当接部を有し、前記コネクタハウジングは、前記各電線側端子が前記嵌合方向にそれぞれ挿入される端子挿入部を有し、前記各端子挿入部は、当該端子挿入部に挿入された前記電線側端子の端子被当接部が前記コネクタハウジングのうち前記載置面に載置される側と反対側において外部に露出する開口部をそれぞれ有し、前記嵌合領域被覆部は、前記開口部に挿入されて、前記組み付け状態で前記電線側端子がその嵌合部と前記回路側端子とが嵌合する端子嵌合位置からこれらの嵌合方向に離間してその嵌合部と前記回路側端子とが嵌合しない端子離脱位置に離脱するのを規制する端子規制部を有し、前記端子規制部は、前記回路側端子と前記嵌合部とが嵌合した状態で前記カバーが前記電子回路体および前記コネクタにこれらが前記載置面に載置される側と反対の側から被せられたときに、前記端子離脱位置側から前記端子嵌合位置側に向かって前記端子被当接部に当接して前記電線側端子の離脱を規制可能な位置に、配置されるのが好ましい(請求項5)。
この構成によれば、前記端子規制部により前記電線側端子が回路側端子と嵌合する端子嵌合位置から離脱するのが規制されるため、前記電線側端子と回路側端子との嵌合状態をより確実に保持することができる。特に、前記カバーに前記端子規制部が設けられて、前記回路側端子と前記嵌合部とが嵌合状態にある前記電子回路体および前記コネクタが載置された前記載置面に載置面と反対の側から前記カバーが載置されるのに伴って前記端子規制部が前記離脱を規制する位置に配置されているので、前記端子の離脱を規制するための部品を別途設ける場合に比べて構成を簡素化することができるとともに、前記カバーを載置面に載置することでこのカバーにより電子回路体本体および嵌合領域を保護し、前記コネクタの離脱を規制するとともに、前記端子の離脱を規制することができる。
また、本発明において、前記電子回路体および前記カバーをまとめて前記ベース部材に固定するための固定部材を備え、前記電子回路体および前記カバーは、それぞれ、前記固定部材が挿通可能な挿通孔が形成された取付部を有し、前記電子回路体および前記カバーが前記ベース部材に固定された状態で、これらの取付部同士が前記ベース部材の載置面に対して直交する方向に重なり合い、かつ、各取付部に形成された前記挿通孔どうしが合致するのが好ましい(請求項6)。
この構造によれば、前記電子回路およびコネクタの各取付部の固定部材挿通孔に共通の固定部材を挿入するという簡素な構造でありながら、これら電子回路体およびコネクタをまとめて前記ベース部材の載置面上に固定することができる。
また、本発明において、前記電子回路体は、前記回路側端子として、当該電子回路体の本体から共通の第1突出方向に突出する複数の第1回路側端子と、当該第1突出方向と反対の第2突出方向に突出する複数の第2回路側端子とを含み、前記コネクタとして、複数の電線の端末にそれぞれ固定されて前記各第1回路側端子に嵌合可能な第1嵌合部を有する複数の第1電線側端子とこれらの第1電線側端子を前記第1回路側端子の配列に対応する配列で保持する第1コネクタハウジングとを有する第1コネクタと、複数の電線の端末にそれぞれ固定されて前記各第2回路側端子に嵌合可能な第2嵌合部を有する複数の第2電線側端子とこれらの第2電線側端子を前記第2回路側端子の配列に対応する配列で保持する第2コネクタハウジングとを有する第2コネクタとを備え、前記第1コネクタハウジングは、前記カバーと当接可能な第1被当接部を有し、前記第2コネクタハウジングは、前記カバーと当接可能な第2被当接部を有し、前記カバーは、前記嵌合領域被覆部として、当該カバーおよび前記電子回路体が前記載置面上に載置されるとともに前記第1回路側端子と前記第1嵌合部とが嵌合するとともに前記第2回路側端子と前記第2嵌合部とが嵌合した組み付け状態で、前記本体被覆部から前記第1突出方向に延びて前記組み付け状態で前記第1回路側端子と前記第1嵌合部との第1嵌合領域を前記載置面と反対の側から覆う第1嵌合領域被覆部と、前記本体被覆部から前記第2突出方向に延びて前記組み付け状態で前記第2回路側端子と前記第2嵌合部との第2嵌合領域を前記載置面と反対の側から覆う第2嵌合領域被覆部とを備え、前記規制部として、前記組み付け状態で前記第1コネクタが前記第1回路側端子と前記第1嵌合部とが嵌合する第1嵌合位置から当該第1嵌合位置からこれらの嵌合方向に離間して前記第1回路側端子と前記第1嵌合部とが嵌合しない第1離脱位置に離脱するのを規制する第1規制部と、前記組み付け状態で前記第2コネクタが前記第2回路側端子と前記第2嵌合部とが嵌合する第2嵌合位置から当該第2嵌合位置からこれらの嵌合方向に離間して前記第2回路側端子と前記第2嵌合部とが嵌合しない第2離脱位置に離脱するのを規制する第2規制部とを備え、前記第1嵌合領域被覆部は、前記組み付け状態で前記第1コネクタハウジングあるいはこの第1コネクタハウジングに保持される前記電線が第1嵌合領域被覆部と前記載置面との間から外部に向かって前記第1突出方向に延びるように前記第1嵌合領域を囲む形状を有するとともに、前記第1回路側端子と前記第1嵌合部とが嵌合した状態で前記カバーが前記電子回路体および前記第1コネクタにこれらが前記載置面に載置される側と反対の側から被せられたときに、前記第1嵌合領域を覆う位置に配置され、前記第2嵌合領域被覆部は、前記組み付け状態で前記第2コネクタハウジングあるいはこの第2コネクタハウジングに保持される前記電線が第2嵌合領域被覆部と前記載置面との間から外部に向かって前記第2突出方向に延びるように前記第2嵌合領域を囲む形状を有するとともに、前記第2回路側端子と前記第2嵌合部とが嵌合した状態で前記カバーが前記電子回路体および前記第2コネクタにこれらが前記載置面に載置される側と反対の側から被せられたときに、前記第2嵌合領域を覆う位置に配置され、前記第1規制部は、前記第1回路側端子と前記第1嵌合部とが嵌合した状態で前記カバーが前記電子回路体および前記第1コネクタにこれらが前記載置面に載置される側と反対の側から被せられたときに、前記第1離脱位置側から前記第1嵌合位置側に向かって前記第1被当接部に当接して前記第1コネクタを規制可能な位置に、配置され、前記第2規制部は、前記第2回路側端子と前記第2嵌合部とが嵌合した状態で前記カバーが前記電子回路体および前記第2コネクタにこれらが前記載置面に載置される側と反対の側から被せられたときに、前記第2離脱位置側から前記第2嵌合位置側に向かって前記第2被当接部に当接して前記第2コネクタを規制可能な位置に、配置されるのが好ましい(請求項7)。
この構成では、電子回路体の本体から互いに反対の向きに第1回路側端子及び第2回路側端子が突出するので、全ての回路側端子が一方向のみを向くものに比べて少ないスペースで多くの回路側端子を配列することが可能である。しかも、共通のカバーにより、各嵌合部と各回路側端子との嵌合状態の維持および電子回路体本体と各嵌合領域を保護することができる。
前記車両用自動変速機に設けられる電子回路ユニットを製造するための方法としては、前記電子回路体を前記載置面上に載置する載置工程と、前記電子回路体の回路側端子と前記嵌合部とを嵌合させる嵌合工程と、前記カバーを前記電子回路体および前記コネクタに前記載置面と反対の側から被せつつ前記載置面上に載置して、前記本体被覆部により前記電子回路体の本体を前記載置面と反対の側から覆い、かつ、前記嵌合領域被覆部により前記回路側端子と前記嵌合部との嵌合領域を覆うとともに、前記規制部を前記コネクタハウジングに設けられた被当接部に前記離脱位置側から前記嵌合位置側に向かって当接させつつ、前記カバーを前記ベース部材に固定する固定工程とを含む方法が挙げられる(請求項8)。
この方法では、前記ベース部材の載置面上に電子回路体を載置し、この載置面上に載置された電子回路体の回路側端子に前記嵌合部を嵌合させた後、前記カバーを前記ベース部材に電子回路体本体および嵌合領域を覆う姿勢で固定しており、前記カバーにより前記電子回路体本体および嵌合領域をより確実に覆うことができる。
前記方法において、前記ベース部材および前記電子回路体を仮係止可能な仮係止部材と前記コネクタを前記嵌合方向に沿って前記嵌合位置方向に案内可能な案内部を有する組み付け用治具と、固定部材を用い、前記ベース部材には前記仮係止部材および前記固定部材が挿通可能な挿通孔が形成されており、前記電子回路体および前記カバーは、それぞれ、前記仮係止部材および前記固定部材が挿通可能な挿通孔が形成された取付部を有し、前記載置工程は、前記ベース部材の挿通孔に前記仮係止部材を挿入して当該ベース部材を前記組み付け用治具に仮係止する工程と、前記電子回路体をその取付部の挿通孔に前記仮係止部材を挿入しつつ前記仮係止されたベース部材の載置面上に載置する工程とを含み、前記嵌合工程は、前記組み付け用治具の案内部により前記コネクタを案内させつつ当該コネクタを前記嵌合位置に配置する工程を含み、前記固定工程は、前記カバーの取付部の挿通孔に前記仮係止部材を挿入しつつ当該カバーを前記組み付け用治具に仮係止されたベース部材に固定する工程と、前記ベース部材、前記電子回路体および前記カバーの各挿通孔から前記仮係止部材を抜いて前記組み付け用治具から前記電子回路体、前記コネクタおよび前記カバーが載置された前記ベース部材を取り外す工程と、前記各挿通孔に固定部材を挿通して当該固定部材により前記電子回路体と前記カバーとを前記ベース部材に固定する工程とを含むのが好ましい(請求項9)。
この方法では、組み付け用治具に設けられた仮係止部材に前記ベース部材および前記電子回路体が仮係止されて、この組み付け用治具に設けられた案内部により前記コネクタが嵌合位置に案内されており、共通の組み付け用治具によって電子回路体とコネクタとが位置決めされるため、回路側端子と嵌合部との嵌合をより確実に行なうことができる。また、前記カバーの取付部の挿通孔と前記電子回路体の取付部の挿通孔とに共通の仮係止部材が挿入された状態で前記カバーが前記ベース部材に固定されており、このカバーと電子回路体およびこの電子回路体に連結された前記コネクタとの位置精度を高くすることができる。すなわち、前記カバーを前記電子回路体本体および嵌合領域を覆う位置により確実に配置することができる。さらに、前記カバーの取付部の挿通孔と前記電子回路体の取付部の挿通孔とに共通の固定部材が挿通されてこれらがベース部材に固定されており、前記カバーを前記電子回路体本体および嵌合領域を覆う位置でより確実に固定することができる。
また、前記車両用自動変速機に設けられる電子回路ユニットを製造するための方法としては、前記電子回路体、前記コネクタおよび前記カバーを載置するための仮載置面と、前記ベース部材および前記電子回路体を仮係止可能な仮係止部材と前記コネクタを前記嵌合方向に沿って前記嵌合位置方向に案内可能な案内部を有する組み付け用治具と、固定部材を用い、前記電子回路体および前記カバーは、それぞれ、前記仮係止部材および前記固定部材が挿通可能な挿通孔が形成された取付部を有し、前記ベース部材には、前記固定部材が挿通可能な挿通孔が形成されており、前記電子回路体をその取付部の挿通孔に前記仮係止部材を挿入して当該電子回路体を前記組み付け用治具に仮係止しつつ前記仮載置面上に載置する仮載置工程と、前記組み付け用治具の案内部により前記コネクタを案内させつつ当該コネクタを前記嵌合位置に配置して、前記電子回路体の回路側端子と前記嵌合部とを嵌合させる嵌合工程と、前記カバーをその取付部の挿通孔に前記仮係止部材を挿入しつつ前記電子回路体および前記コネクタにこれらが前記載置面に載置される側と反対の側から被せて、当該カバーを、前記組み付け用治具に、前記本体被覆部が前記電子回路体の本体を前記載置面と反対の側から覆い、かつ、前記嵌合領域被覆部が前記回路側端子と前記嵌合部との嵌合領域を覆うとともに、前記規制部が前記コネクタハウジングに設けられた被当接部に前記離脱位置側から前記嵌合位置側に向かって当接する位置に仮係止する仮係止工程と、前記電子回路体および前記カバーの各挿通孔から前記仮係止部材を抜いて前記電子回路体、前記コネクタおよび前記カバーをその相対位置を保持しつつ前記組み付け用治具から取り外すとともに、これら前記電子回路体、コネクタおよびカバーをその相対位置を保持しつつ前記ベース部材の載置面上に載置して、前記各挿通孔に固定部材を挿通して当該固定部材により前記電子回路体と前記カバーとを前記ベース部材に固定する固定工程とを含む方法が挙げられる(請求項10)。
この方法では、前記組み付け用治具の仮載置面上に電子回路体を載置し、この仮載置面上に載置された電子回路体の回路側端子に前記嵌合部を嵌合させ、前記カバーを電子回路体本体および嵌合領域を覆う姿勢で仮載置上に載置して、これら電子回路体とコネクタとカバーとを組み付けた後に、これらを前記ベース部材の載置面に載置してベース部材に固定することで、前記カバーを、前記電子回路体本体および前記嵌合領域を前記載置面と反対の側から覆う位置に配置するとともに、前記コネクタの前記嵌合位置からの離脱を規制する位置に配置することができる。
以上のように、本発明によれば、車両用自動変速機のケース内に設けられる電子回路ユニットであって、当該ケース内のオイルに混入する異物に起因するトラブルを簡単な構造で有効に抑止することができるものを提供することができる。
本発明の実施形態に係る電子回路ユニットを示す概略斜視図である。 図1の背面図である。 図1の断面図である。 図1に示す電子回路ユニットの分解斜視図である。 図1に示す電子回路ユニットが組み付けられる前の状態を示す断面図である。 図1に示す電子回路ユニットのカバーを下方からみた概略斜視図である。 第1の実施形態に係る組み付け用治具の概略斜視図である。 図7に示す組み付け用治具にベース部材が仮係止された状態の概略斜視図である。 図8に示す状態のベース部材の載置面上に電子回路体が載置された状態の概略斜視図である。 図8に示す状態の電子回路体に両コネクタが結合する前の状態を示す概略斜視図である。 図10に示す状態の電子回路体に両コネクタが結合した状態を示す概略斜視図である。 図11に示す状態の電子回路体と両コネクタにカバー80が被せられる前の状態を示す概略斜視図である。 第2の実施形態に係る組み付け用治具に電子回路体が仮係止された状態の概略斜視図である。 図11に示す状態の電子回路体に両コネクタが結合した状態を示す概略斜視図である。 図14に示す状態の電子回路体と両コネクタにカバーが被せられた状態の概略斜視図である。 図1に示される電子回路体および両コネクタと、特殊形状のベース部材とを備えた電子回路ユニットの概略斜視図である。 図16に示される電子回路ユニットが自動変速機のバルブユニットの上に固定された状態を示す概略斜視図である。 従来から知られている電子回路体の例を示す平面図である。 図18のXIX−XIX線断面図である。
本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、この実施の形態に係る電子回路ユニット1の概略斜視図である。図2は、図1を背面から見た図である。図3は、図1の断面図である。図4は、前記電子回路ユニット1の概略分解斜視図である。図5は、前記電子回路ユニット1の概略分解断面図である。
前記電子回路ユニット1は、電子回路体10と、第1コネクタCAと、第2コネクタCBと、ベース部材50と、カバー80とを備える。
前記ベース部材50は、前記電子回路体10と、前記両コネクタCA,CBと、前記カバー80を保持するためのものである。本実施形態では、このベース部材50は、金属材料からなる平板により構成される。このベース部材50の表裏両面のうち一方の面(図1から図5では左側の面)は載置面52を構成する。この載置面52は、その上に前記電子回路体10と前記両コネクタCA,CBと前記カバー80を載置可能な形状を有する。
このベース部材50は、その板厚方向に貫通する、一対のボルト挿通孔(挿通孔)55A,55B、複数のカバー係止孔54a、および複数の案内突起挿通孔56aを有する。前記ボルト挿通孔55A,55Bは、前記電子回路体10とカバー80とをこのベース部材50に連結するためのボルト(固定部材)60を挿通可能な内径を有する。前記カバー係止孔54aは、前記カバー80の後述するカバー被係止突起94aを挿通可能な形状を有する。本実施形態では、4つのカバー係止孔54aが設けられている。前記案内突起挿通孔56aは、後述する組み付け用治具100の案内突起106を挿通可能な内径を有する。
本実施形態では、前記電子回路体10として、前記図18及び図19に示される電子回路体10と同等の基本構造を有するものが用いられている。すなわち、電子回路体10は、複数の回路素子11が実装された矩形状の回路基板12および樹脂パッケージ16からなり電子回路を内蔵する本体10aと、前記回路基板12に接続されてこの本体10aから第1突出方向に突出してこの方向に直線状に延びる第1回路側端子14Aと、前記回路基板12に接続されて前記本体10aから第2突出方向に突出してこの方向に直線状に延びる第2回路側端子14Bとを有し、前記第1回路側端子14Aが前記回路基板12の一辺に沿って配列されるとともに前記第2回路側端子14Bが前記回路基板12において第1回路側端子14Aと反対側の辺に沿って配列されているものである。ただし、本発明に係る電子回路体は当該構造を有するものに限定されない。要は、電子回路を内蔵する本体と、この本体から外向きに回路側端子が突出するものであればよく、その内部構造は問わない。また、回路側端子として、第1回路側端子と第2回路側端子とを有するものに限らず、第2回路側端子が省略されたものや、第1回路側端子と第2回路側端子とが隣接する辺から直交して突出するものや、第1回路側端子、第2回路側端子に加えて回路基板12の他の辺から外部に突出する第3回路側端子等を有するものであってもよい。
本実施形態では、前記電子回路体10は、前記各回路側端子14A,14Bの配列方向と前記載置面52とが平行となる姿勢でこの載置面52上に載置されており、当該載置面52上と直交する方向についてのユニット寸法(厚み寸法)が小さく抑えられている。
以下、前記載置面52と直交する方向を上下方向といい、前記電子回路体10等が載置される側を上側、その反対側を下側という。また、前記電子回路体10が前記載置面52に載置された状態における前記第1突出方向を後方、前記第2突出方向を前方という。また、前記各回路側端子14A,14Bの配列方向を左右方向という。
本実施形態に係る前記電子回路体10は、前記図18及び図19に示される電子回路体10において、さらに、取付部材19が付加されたものである。この取付部材19は、図4等に示されるように、金属板を加工することにより形成されたもので、左右方向両端に設けられた一対の取付部19A,19Bと、前記樹脂パッケージ16を跨いで両取付部19A,19Bを連結する連結部19cと、各取付部19A,19Bと前記樹脂パッケージ16とをそれぞれ連結する結合部19dとを有する。
前記連結部19cは、前記電子回路体10の本体10aの上面に沿って延びており、前記両取付部19A,19Bは、前記電子回路体10の本体10aよりも左右外側の位置にある。これら両取付部19A,19Bは、前記第1回路側端子14A及び第2回路側端子14Bが配列される面と略同等の面上で広がる板状をなし、かつ、これを板厚方向に貫通するボルト挿通孔(固定部材挿通孔)17A,17Bを有する。これらのボルト挿通孔17A,17Bは、前記ボルト60を挿通可能な内径を有する。前記電子回路体10は、前記ボルト60がこれらボルト挿通孔17A,17Bと前記ベース部材50のボルト挿通孔55A,55Bにそれぞれ挿入された状態で当該ボルト60の端部にナットが装着されることで、前記ベース部材50に保持される。なお、前記取付部材19は必ずしも要さず、例えばこれに代えて電子回路体自体に前記ボルト挿通孔17A,17Bが設けられてもよい。また、前記ボルト60に代えてリベットが用いられてもよい。
前記第1コネクタCAおよび前記第2コネクタCBは、前記電子回路体10と結合して複数本の電線40を当該電子回路体10の第1回路側端子14A及び第2回路側端子14Bにそれぞれ接続するためのものである。この実施形態では、第1コネクタCAおよび第2コネクタCBは、互いに同一の形状及び構造を有する。前記第1コネクタCAは、前記各電線40の端末に装着される複数本の第1電線側端子20Aと、これら第1電線側端子20Aを前記第1回路側端子14Aと嵌合可能な姿勢でまとめて保持するための第1コネクタハウジング30Aとを備える。同様に、前記第2コネクタCBは、前記各電線40の端末に装着される複数本の第2電線側端子20Bと、これら第2電線側端子20Bを、前記第2回路側端子14Bと嵌合可能な姿勢でまとめて保持するため第2コネクタハウジング30Bとを備える。
前記第1電線側端子20A及び前記第2電線側端子20Bの具体的構造について説明する。
前記第1電線側端子20A及び前記第2電線側端子20Bは、金属板を加工することにより形成されたもので、図5に示されるように、電線圧着部22と、雌型の電気接触部24と、連結部26とを一体に有する。
前記電線圧着部22は、対応する電線40の端末に圧着されるもので、導体バレル22aとインシュレーションバレル22bとを有する。この実施の形態に係る電線40は、導体42とこれを被覆する絶縁被覆44とを有する被覆電線である。この電線40の端末では、前記絶縁被覆44が除去されて導体42が露出している。前記導体バレル22aは、前記露出した導体42を抱き込むようにこれと圧着されることにより当該導体42と電線側端子20A(20B)とを導通させている。前記インシュレーションバレル22bは、前記導体42の露出部分に隣接する絶縁被覆44を抱き込むようにこれに圧着されている。
前記電気接触部24は、対応する回路側端子(第1電線側端子20Aについては前記第1回路側端子14A、第2電線側端子20Bについては前記第2回路側端子14B)と嵌合可能な雌型の嵌合部(第1嵌合部、第2嵌合部)であり、当該嵌合により当該回路側端子14A(14B)と接触して導通する。具体的には、前記電気接触部24は所定の軸方向に延びる箱状を有しており、前記回路側端子14A(14B)は、前記電気接触部24の軸方向先端の開口部分からこの電気接触部24の内側にその軸方向に沿って挿入されることで電気接触部24と接触する。ここで、本実施形態では、前記回路側端子14A(14B)は電子回路体10の本体10aからその突出方向(第1突出方向、第2突出方向)に直線状に延びており、電気接触部24の軸方向であって回路側端子14A(14B)が電気接触部24内に挿入される方向すなわち回路側端子14A(14B)と電気接触部24との嵌合方向と回路側端子14A(14B)の突出方向(本実施形態では前後方向)とは一致する。
前記電線側端子20A(20B)の連結部26は、前記電線圧着部22と前記電気接触部24との間に介在して両者を連結する部分である。本実施形態では、前記連結部26は、前記電気接触部24の軸方向と前記電線圧着部22が圧着される電線40の軸方向とが同じになるように、これら電気接触部24と電線圧着部22との間で直線状に延びている。なお、電線圧着部22が圧着される電線40の軸方向と電気接触部24の軸方向とは一致していなくてもよい。例えば、前記連結部26がその途中部分で屈折しており、電線40の軸方向と電気接触部24の軸方向とが直交していてもよい。
前記第1コネクタハウジング30A及びコネクタハウジング30Bの具体的構造について説明する。
前記コネクタハウジング30A(30B)は、PA66、PA6Tといった合成樹脂等の絶縁材料で成形されており、前記回路側端子14A(14B)の配列方向と平行な方向すなわち左右方向に延びる略直方体の外形を有している。すなわち、このコネクタハウジング30A(30B)は、左右方向に延びてこのコネクタハウジング30A(30B)が前記ベース部材50の載置面52に載置された際に下方に配置されてこの載置面52と接触する下壁32と、この下壁32の左右両端から上方に延びる一対の側壁33,33と、これら側壁33,33の上端部分間にわたって延びる上壁32とを有している。
前記コネクタハウジング30A(30B)の内側には、左右方向に並びそれぞれ前後方向に延びる複数の端子収容室(端子挿入部)36が形成されている。各端子収容室36は、前後方向に開口しており、前記電線側端子20Aは、その一方の開口部分からこの端子収容室36内に挿入されて、左右方向すなわち前記回路側端子14A(14B)の配列方向と平行な方向に沿って並ぶ状態でコネクタハウジング30A(30B)に保持される。前記端子収容室36の他方の開口部分すなわち電線側端子20A(20B)の端子収容室36への挿入方向(以下端子挿入方向という場合がある)前方の開口部分は、前記回路側端子14A(14B)が挿入可能な形状を有している。前記回路側端子14A(14B)はこの端子挿入方向前方の開口部分から端子収容室32a内に挿入されて、この端子収容室32a内に収容されている前記電線側端子20A(20B)の電気接触部24内に挿入される、すなわち、電線側端子20A(20B)と嵌合する。このように、本実施形態では、前記端子収容室36に前記電線側端子20A(20B)が挿入される方向と各端子の嵌合方向とは一致する。
ここで、本実施形態では、前記端子収容室36は、その端子挿入方向前端部に、前記電子回路体10の本体10aの回路側端子14A(14B)の突出方向端部が挿入可能な形状を有しており、各端子が嵌合した状態においてこの電子回路体10の本体10aの端部は端子収容室36内に収容される。
前記コネクタハウジング30A(30B)は、その上壁31を上下に貫通して前記各端子収容室36とそれぞれ連通する複数のリテーナ挿入孔(開口部)31aを有する。各リテーナ挿入孔31は、前記端子収容室36に収容されている前記電線側端子20A(20B)の電気接触部24の端子挿入方向後端部(被当接部)に対応する位置から端子挿入方向後方に延びており、前記電気接触部24の端子挿入方向後端部はこのリテーナ挿入孔31aにおいて上方すなわち前記載置面52に載置される側と反対の側において外部に露出する。
前記コネクタハウジング30A(30B)は、その上壁31および左右両側壁33,33から外側に突出するコネクタ被係止部(突出部、被当接部)34と立壁部35とを有する。これらコネクタ被係止部34および立壁部35は、それぞれ、前記コネクタハウジング30A(30B)の上壁31から上方に突出するとともにこの上壁31の左右方向にこの上壁31の左右方向全体にわたって延びる部分と、この部分に連続して前記コネクタハウジング30A(30B)の左右両側壁33,33から左右外側に突出するとともに上下方向に各側壁33,33の上下方向全体にわたって延びる部分とからなり、前後方向に離間した位置において互いに平行に延びる形状を有する。前記コネクタ被係止部34は、前記リテーナ挿入孔31aよりも端子挿入方向後方に設けられている。前記立壁部35は、前記コネクタ被係止部34よりも端子挿入方向後方に設けられている。この立壁部35の突出寸法は前記コネクタ被係止部34よりも大きい寸法に設定されている。
前記カバー80は、第1回路側端子14Aと電線側端子20Aとの嵌合領域および第2回路側端子14Bと電線側端子20Bとの嵌合領域に異物等が浸入するのを、前記ベース部材50の載置面52と協働して抑制するためのものであり、前記カバー80および前記電子回路体10が前記載置面52上に載置されるとともに前記コネクタCA(CB)と電子回路体10とが結合して前記回路側端子14A(14B)と前記電線側端子20A(20B)の電気接触部24とが嵌合した組み付け状態において、電子回路体10の本体10aおよび前記嵌合領域を前記載置面52と反対の側から覆う形状を有する。このカバー80は、互いに一体に成形された本体被覆部81と第1嵌合領域被覆部90Aと第2嵌合領域被覆部90Bとをする。このカバー80は、例えば、PPS、PA66といった合成樹脂で成形されている。
前記カバー80の本体被覆部81の具体的構造について説明する。
前記本体被覆部81は、前記電子回路体10の本体10aを前記載置面52の反対側から覆う部分である。本実施形態では、この本体被覆部81は、前記電子回路体10の本体10aおよびこの本体10a上に配置された前記取付部材19の連結部19cを覆う本体部82と、この電子回路体10の前記取付部材19の取付部19A,19Bをそれぞれ前記載置面52の反対側から覆う一対の取付部84A,84Bとを有しており、前記電子回路体10の本体10aに加えて電子回路体10の取付部19A,19Bも覆う形状を有している。
前記本体部82は、前記電子回路体10の本体10aおよびこの電子回路体本体10a上に配置された前記取付部材19の連結部19cの上面に沿って延びる上壁82cと、この上壁82cの左右両縁からそれぞれ下方に延びる側壁82a,82bとを有し、これら上壁82cと側壁82a,82bとで囲まれた領域に前記電子回路体本体10aおよび前記取付部材19の連結部19cを収容可能な形状を有する。
ここで、本実施形態では、前述のように、前記各端子が嵌合した状態において前記電子回路体10の本体10aの端部は前記コネクタハウジング30A(30B)の端子収容室36の端子挿入方向前端部内に挿入されており、前記本体被覆部81は、このコネクタハウジング30A(30B)の端子挿入方向前端部も収容可能な形状を有する。
前記本体被覆部81の取付部84A,84Bは、それぞれ、前記本体部82の側壁82aから左右方向外側(取付部84Aでは右側、取付部84Bでは左側)に突出して前記電子回路体10の取付部19Aの上面に沿って延びる上壁84cと、この上壁84cの左右縁(取付部84Aでは右側縁、取付部84Bでは左側縁)から下方に延びる側壁84dとを有し、これら上壁84cと側壁84dとで囲まれた領域に前記電子回路体10の取付部19A,19Bを収容可能な形状を有する。前記本体部82の各壁82c,82a,82bで囲まれた領域と、前記取付部84A,84Bの各壁84c,84dで囲まれた領域とは連通しており、これら壁82c,82a,82b,84c,84dで囲まれた領域に前記電子回路体10の本体10aと取付部材19とが収容される。
前記本体被覆部82の取付部84A,84Bは、前記組み付け状態において前記電子回路体10のボルト挿通孔17A,17Bに対応する位置に、その上壁84cを上下に貫通するボルト挿通孔(固定部材挿通孔)85A,85Bをそれぞれ有する。このボルト挿通孔85A,85Bは、前記ボルト60を挿通可能な内径を有する。本実施形態では、前記組み付け状態において前記上壁84cから前記電子回路体10の取付部19A、19Bの上面まで延びて前記ボルト挿通孔85A,85Bに挿通されたボルト60を囲む円筒状の円筒部84eが形成されている。
前記カバー80の第1嵌合領域被覆部90A及び第2嵌合領域被覆部90Bの具体的構造について説明する。
前記第1嵌合領域被覆部90Aは、第1回路側端子14Aと第1電線側端子20Aとの嵌合領域を前記載置面52の反対側から覆う部分である。この第1嵌合領域被覆部90Aは、前記本体被覆部81の後端部から後方に延びるすなわち前記本体被覆部81の第1回路側端子14A側の端部から前記第1突出方向に延びる形状を有する。前記第2嵌合領域被覆部90Bは、第2回路側端子14Bと第2電線側端子20Bとの嵌合領域を前記載置面52の反対側から覆う部分である。この第2嵌合領域被覆部90Bは、前記本体被覆部81の前端部から前方に延びるすなわち本体被覆部81の第2回路側端子14B側の端部から前記第2突出方向に延びる形状を有する。
前記第1嵌合領域被覆部90Aと第2嵌合領域被覆部90Bとは、前後方向に対称な形状、構造を有する。前記第1嵌合領域被覆部90Aは、前記本体被覆部81の本体部82の上壁82cから後方(第1突出方向)に延びる上壁92と、この上壁92の左右両縁から下方に延び、かつ、前記本体被覆部81の本体部82の側壁82a,82bから後方に延びる側壁94,94と、前記上壁92から下方に突出する複数のリテーナ部(端子規制部)96とを有する。前記第2嵌合領域被覆部90Bは、前記本体被覆部81の本体部82の上壁82cから前方(第2突出方向)に延びる上壁92と、この上壁92の左右両縁から下方に延び、かつ、前記本体被覆部81の本体部82の側壁82a,82bから後方に延びる側壁94,94と、前記上壁92の下面から下方に突出して複数のリテーナ部96とを有する。
前記嵌合領域被覆部90A(90B)の側壁94,94および上壁92は、これらの壁で囲まれた領域に、前記ハウジング30A(30B)のうち前記立壁部35よりも端子挿入方向前方の部分であって前記本体被覆部81により覆われる端子挿入方向前端を除く部分を、収容可能な形状を有する。以下、このハウジング30A(30B)のうち前記立壁部35よりも端子挿入方向前方の部分であって前記本体被覆部81により覆われる端子挿入方向前端を除く部分を、ハウジング被覆部37という。
前記嵌合領域被覆部90A(90B)の上壁92および左右両側壁94,94には、嵌合領域被覆部90A(90B)の内側面を構成する面すなわち上壁92における下面と、右側壁における左側面と、左側壁における右側面に、外側面に向かって膨出するコネクタ係止溝95(規制部、凹部)が形成されている。ここで、これら各面は、嵌合領域被覆部90A(90B)の内側に前記ハウジング被覆部37が収容された状態でハウジング被覆部37の外側面と対向する。具体的には、前記嵌合領域被覆部90A(90B)の上壁92の下面はハウジング被覆部35の上壁31の上面と対向し、前記嵌合領域被覆部90A(90B)の左右側面はそれぞれハウジング被覆部35の左右側壁33,33の左右外側面と対向する。
前記コネクタ係止溝95は、前記上壁92に形成されてこの上壁92の左右方向全体にわたって左右方向に延びる部分と、これに連続して前記側壁94,94に形成されて各側壁94,94の上下方向全体にわたって上下方向に延びる部分とからなる。このコネクタ係止溝95は、前記嵌合領域被覆部90A(90B)の内側に前記ハウジング被覆部35が収容された状態で、その内側にその長手方向全体にわたって前記コネクタハウジング30A(30B)のコネクタ被係止部34が挿入される形状を有する。
本実施形態では、前記コネクタ被係止部34の全体が前記コネクタ係止溝95に挿入されるように、前記嵌合領域被覆部90A(90B)の上壁92の下面と前記側壁94,94の下端部との距離が、前記コネクタ被係止部34が突出する前記ハウジング被覆部35の上壁31の上面と下壁32の下面との距離とほぼ同等に設定されており、前記嵌合領域被覆部90A(90B)の側壁94,94の左右に対向する面どうしの距離が、前記ハウジング被覆部35の左右両側壁33a,33の左右に対向する面どうしの距離とほぼ同等に設定されている。
また、前記コネクタ係止溝95は、その前後方向の幅が前記コネクタ被係止部34の前後方向の幅とほぼ同一となる形状を有し、前記コネクタ被係止部34が挿入された状態においてこのコネクタ被係止部34の外側面に沿って延びる内側面を有する。そして、このコネクタ係止溝95の内側面のうち前記本体被覆部10と反対側の部分すなわち端子突出方向先端側の部分(第1嵌合領域被覆部90Aのコネクタ係止溝95については後側部分、第2嵌合領域被覆部90Bのコネクタ係止溝95については前側部分)は、これと対向する前記コネクタ被係止部34の外側面に本体被覆部10側に向かって当接可能な形状を有する。
前記嵌合領域被覆部90A(90B)の上壁92および側壁94,94の前後方向の長さは、この嵌合領域被覆部90A(90B)の内側に前記ハウジング被覆部35が収容された状態で、これら壁92,94の前記端子突出方向先端側の端部が、前記立壁部35と近接する寸法に設定されている。前記嵌合領域被覆部90A(90B)の上壁92および側壁94,94の端子突出方向先端側の端部には、前後方向と直交する方向に延びる端面91aが形成されている。ここで、前述のように、前記立壁部35の突出寸法は前記コネクタ被係止部34の突出寸法よりも大きく、前記嵌合領域被覆部90A(90B)の内側に前記ハウジング被覆部35が収容された状態で、前記立壁部35はこの嵌合領域被覆部90A(90B)の前記端子突出方向先端側の端面91aと対向する。
前記各リテーナ部96は、前記リテーナ挿入孔31aと対応して左右に並んで配置されており前記コネクタハウジング30A(30B)の各リテーナ挿入孔31aにそれぞれ挿入される形状を有する。各リテーナ部96は、このリテーナ挿入孔31aに挿入された状態で、前記端子収容室36に収容されている前記電線側端子20A(20B)の電気接触部24の端子挿入方向後端部に端子挿入方向後方から端子挿入方向前方に向かって当接可能な形状を有する。各リテーナ96部は、この当接により、各端子収容室32a内に挿入された電線側端子20Aが電線24側に抜けるのを規制する。
前記嵌合領域被覆部90A(90B)の左右両側壁94,94には、下方に突出するカバー被係止突起94a,94aが設けられている。これらカバー被係止突起94a,94aは、前記ベース部材50のカバー係止孔54aと係合可能な形状を有する。より詳細には、これらカバー被係止突起94aは、前記カバー係止孔54aに挿通されて、前記ベース部材50の下面に下方から当接する形状を有する。
次に、この電子回路ユニット1の製造方法すなわち組み付け方法を説明する。本実施形態では、図7に示す組み付け用治具100を用いてこの電子回路ユニット1を組み付ける。この組み付け用治具100は、その上面102に前記ベース部材50を載置可能な形状を有する。この組み付け用ジグ100は、前記ベース部材50が載置された状態でこのベース部材50のボルト挿通孔55A,55Bと対応する位置に、上面102から上方に突出する一対の仮係止突起(仮係止部材)105A,105Bを有する。この組み付け用治具100は、その上面102に前記ベース部材50が載置された状態でこのベース部材50のカバー係止孔54aと対応する位置に、各カバー係止孔54aよりも孔径の大きな係止突起挿通孔104aを有する。これら仮係止突起105A,105Bは、前記ボルト60よりも小さい外径を有する。さらに、この組み付け用治具100は、その上面102から上方に突出する一対の第1案内突起(案内部)106A,106Aおよび一対の第2案内突起(案内部)106B,106Bを有する。
前記第1案内突起106A,106Aは、その対向する部分間の距離が前記第1コネクタハウジング30Aのハウジング被覆部35の左右方向の幅と一致するとともに、後述するようにこの組み付け用治具100に前記電子回路体10が仮係止された状態で前記第1回路側端子14Aの突出方向先端部分近傍であってこれら第1回路側端子14Aの左右外側に配置される位置に設けられている。また、前記第2案内突起106B,106Bは、その対向する部分間の距離が前記第2コネクタハウジング30Bのハウジング被覆部35の左右方向の幅と一致するとともに、後述するようにこの組み付け用治具100に前記電子回路体10が仮係止された状態で前記第2回路側端子14Bの突出方向先端部分近傍であってこれら第2回路側端子14Bの左右外側に配置される位置に設けられている。
この組み付け用治具100を用いた電子回路ユニット1の組付方法は次の工程を含む。
1)各コネクタCA,CBへの電線40の接続工程
この工程では、第1コネクタCA及び第2コネクタCBにそれぞれ電線40を接続する。具体的に、各電線40の端末に予め圧着された電線側端子20A,20Bを、前記端子収容室32a内にそれぞれ挿入するとともに前記ランス32bにより前記端子収容室32a内に係止する。その後、前記ハウジング本体32に前記リテーナ34を取付けて、前記電線側端子20A,20Bを端子収容室32a内に保持させる。
2)載置工程
この工程では、まず、図8に示すように、前記仮係止突起105A,105Bを前記ベース部材50のボルト挿通孔55A,55Bにそれぞれ挿入するとともに前記案内突起106A,106Bを前記ベース部材50の案内突起挿通孔56aにそれぞれ挿入しつつ、このベース部材50を前記組み付け用治具100の上面に載置して、ベース部材50を組み付け用治具100に仮係止する。このとき、前記ベース部材50の載置面52が上方を向くように前記ベース部材50を載置する。この状態において、前記係止突起挿通孔104aは、前記ベース部材50のカバー係止孔54aと合致する位置に配置される。
次に、図9に示すように、前記ベース部材50の載置面52上に前記電子回路体10を載置する。具体的には、前記仮係止突起105A,105Bを前記電子回路体10のボルト挿通孔17A,17Bにそれぞれ挿入しつつ、前記第1回路側端子14Aの配列方向および第2回路側端子14Bの配列方向が前記載置面52と平行になるように前記電子回路体10を載置面52上に載置する。ここで、前記仮係止突起105A,105Bが前記ボルト挿通孔17A,17Bに挿入されることで、前記電子回路体10は前記組み付け用治具100に仮係止される。この状態において、前述のように、前記第1案内突起106A,106Aおよび第2案内突起106Bは、前記第1回路側端子14Aおよび第2回路側端子14Bの突出方向先端部分近傍であってこれら第2回路側端子14Bの左右外側に配置される。
3)嵌合工程
この工程では、前記第1コネクタCAを前記電子回路体10に結合させて、前記第1回路側端子14Aと第1コネクタCAに保持されている第1電線側端子20Aとを嵌合させる。また、前記第2コネクタCBを前記電子回路体10に結合させて、前記第2回路側端子14Bと第2コネクタCBに保持されている第2電線側端子20Bとを嵌合させる。
具体的には、まず、図10に示すように、前記第1コネクタCAを、前記リテーナ挿入孔31aが上方に開口する姿勢で、この第1コネクタCAと前記電子回路体10とが結合する第1嵌合位置よりも後方に離間した位置(第1離脱位置)に載置する。また、前記第2コネクタCBを、前記リテーナ挿入孔31aが上方に開口する姿勢で、この第2コネクタCBと前記電子回路体10とが結合する第2嵌合位置よりも前方に離間した位置(第2離脱位置)に載置する。その後、図11に示すように、前記ハウジング被覆部35の左右両側壁33,33を前記第1案内突起106A,106Aに沿わせつつ、前記第1コネクタCAの端子収容室36内に前記第1回路側端子14Aが挿入されて第1回路側端子14Aと端子収容室36内の電気接触部24とが嵌合する前記第1嵌合位置まで、前記第1コネクタCAを前方すなわち前記電子回路体10側に押圧する。また、前記ハウジング被覆部35の左右両側壁33,33を前記第2案内突起106B,106Bに沿わせつつ、前記第2コネクタCBの端子収容室36内に前記第2回路側端子14Bが挿入されて第2回路側端子14Bと端子収容室36内の電気接触部24とが嵌合する前記第2嵌合位置まで、前記第2コネクタCBを後方すなわち前記電子回路体10側に押圧する。
ここで、本実施形態では、前述のように、前記ハウジング被覆部35の左右両側壁33,33を各案内突起106A,106Bに沿わせつつ嵌合位置まで押圧しており、コネクタCA、CBが前記嵌合位置に精度よく配置される。
4)固定工程
この工程では、図12に示すように、前記カバー80を、互いに結合している前記電子回路体10およびコネクタCA,CBに前記載置面52と反対の側すなわち上方から被せつつ前記ベース部材50の載置面52上に載置するとともに、このカバー80を前記ベース部材50に固定する。
具体的には、前記カバー80のボルト挿通孔85A,85Bに前記仮係止突起105A,105Bをそれぞれ挿入し、前記カバー80のカバー係止突起94aを前記ベース部材50のカバー係止孔54aおよび前記組み付け用治具100の係止突起挿通孔104aに挿入しつつ、前記カバー80を上方から前記電子回路体10および前記コネクタCA,CBに被せる。
このとき、前記カバー80の本体被覆部82は、前記電子回路体10の本体10aおよび電子回路体10の取付部材19に被せられる。また、前記カバー80の第1嵌合領域被覆部90Aは、その各リテーナ部96が前記第1コネクタハウジング30Aの各リテーナ挿入孔31aに挿入され、そのコネクタ係止溝95に前記第1コネクタハウジング30Aのコネクタ被係止部34が挿入されつつ、前記第1コネクタハウジング30Aのハウジング本体被覆部35に被せられる。また、前記カバー80の第2嵌合領域被覆部90Bは、その各リテーナ部96が前記第2コネクタハウジング30Bの各リテーナ挿入孔31aに挿入され、そのコネクタ係止溝95に前記第2コネクタハウジング30Aのコネクタ被係止部34が挿入されつつ、前記第2コネクタハウジング30Bに被せられる。
前述のように、前記係止突起挿入孔104aの孔径は前記カバー係止孔54aの孔径よりも大きく、前記カバー係止突起94aは前記ベース部材50よりも下方まで挿入される。そして、前記カバー係止突起94aは前記カバー係止孔54aに挿入されることで前記ベース部材50の下面に下方から当接し、この当接により前記カバー80は前記ベース部材50に固定される。前記カバー80は、その本体被覆部82の各側壁82a,82b,84d、嵌合領域被覆部90A(90B)の各側壁94の下端部全体が、前記載置面52と接触する状態で、前記載置面52上に載置、固定される。
また、前記各コネクタ係止溝95に前記各コネクタ被係止部34が挿入されることで、前記各コネクタCA,CBは前記カバー80により前記嵌合位置に保持される。すなわち、前記第1コネクタCAに後方すなわち前記嵌合位置から前記離脱位置へ向かう方向の力が作用しても、前記第1嵌合領域被覆部90Aのコネクタ係止溝95の内側面が前記第1コネクタCAのコネクタ被係止部34に前方に向かってすなわち第1離脱位置側から第1嵌合位置側に向かって当接することで、前記第1コネクタCAの離脱位置への離脱が規制される。同様に、前記第2コネクタCBに前方すなわち前記嵌合位置から前記離脱位置へ向かう方向の力が作用しても、前記第2嵌合領域被覆部90Bのコネクタ係止溝95の内側面が前記第2コネクタCBのコネクタ被係止部34に後方に向かってすなわち第2離脱位置側から第2嵌合位置側に向かって当接することで、前記第2コネクタCBの離脱位置への離脱が規制される。
ここで、前記各コネクタ係止溝95に前記各コネクタ被係止部34が挿入されるに伴い、前後方向から見て、各嵌合領域被覆部90A,90Bの内側面とこれに対向する各ハウジング被覆部35の外側面との間の隙間は塞がれる。前述のように、前記コネクタ被係止部34は前記コネクタハウジング30A(30B)の上壁31の左右方向全体にわたって延びるとともに左右両側壁33,33の上下方向全体にわたって延びて、前記コネクタ被係止溝95はこれに対応して延びており、前記隙間はその全体にわたって塞がれる。
さらに、前記各リテーナ挿入孔31aに前記各リテーナ部96が挿入されることで、前記各電線側端子20A,20Bは前記各回路側端子14A,14Bと嵌合する端子嵌合位置に保持される。すなわち、前記第1電線側端子20Aに前記端子嵌合位置からこの端子嵌合位置よりも後方に離間した位置であって第1電線側端子20Aと第1回路側端子14Aとが嵌合しない端子離脱位置側に向かう方向の力が作用しても、前記リテーナ部96が前記第1電線側端子20Aの電気接触部24の端子挿入方向後端部に端子挿入方向前方に向かって当接することで、前記第1電線側端子20Aの端子離脱位置への離脱が規制される。同様に、前記第2電線側端子20Bに前記端子嵌合位置からこの端子嵌合位置よりも端子挿入方向後方に離間した位置であって第2電線側端子20Bと第2回路側端子14Bとが嵌合しない端子離脱位置側に向かう方向の力が作用しても、前記リテーナ部96が前記第2電線側端子20Bの電気接触部24の端子挿入方向後端部に端子挿入方向前方に向かって当接することで、前記第2電線側端子20Bの端子離脱位置への離脱が規制される。
このようにして、前記カバー80が前記ベース部材50に固定されるのに伴い、前記コネクタCA、CBは前記嵌合位置に保持され、前記電線側端子20A、20Bは前記端子嵌合位置に保持される。
このカバー80がベース部材50に固定された状態において、前記第1嵌合領域被覆部90A(90B)の端部は、その端面91aが前記立壁部35と近接する位置で対向する状態で、前記立壁部35と前記コネクタ被係止部34との間に配置される。
次に、前記カバー80、前記電子回路体10および前記ベース部材50の各ボルト挿通孔から前記仮係止突起105A,105Bを引き抜くとともに、前記ベース部材80の案内突起挿通孔56aから前記案内突起106A,106Bを引き抜き、前記電子回路体10と前記コネクタCA、CBとが結合され、かつ、前記カバー80が前記コネクタCA,CBを保持しつつ前記ベース部材50に固定された状態で、前記電子回路体10、前記コネクタCA,CB、前記カバー80および前記ベース部材50を前記組み付け用治具100から取り外す。
次に、前記カバー80のボルト挿通孔85A,85B、前記電子回路体10のボルト挿通孔17A,17B、前記ベース部材50のボルト挿通孔55A,55Bにボルト60を挿通するとともにこのボルト60の端部にナットを装着して、このボルト60により各コネクタCA,CBと結合している前記電子回路体10および前記カバー80を互いに連結された状態で前記ベース部材50に固定する。
以上により、前記電子回路ユニット1の組み付けは完了する。
この電子回路ユニット1では、前記ベース部材50の載置面52と前記カバー80の嵌合領域被覆部90A,90Bとにより前記ハウジング被覆部35ひいてはこのハウジング被覆部35内に保持されている前記電線側端子20A,20Bの電気接触部24と回路側端子14A,14Bとの嵌合領域が両側から覆われており、電子回路体10とこれに結合されるコネクタCA,CBに加えて前記嵌合領域被覆部90A,90Bを有するカバー80を設けるという構成で、電子回路ユニット1が自動変速機のケース内に収容された使用状態において、このケース内を流れるオイル内の異物が前記嵌合領域ひいては各端子間に混入するのを有効に抑止し、この異物を媒体とする回路間の短絡といったトラブルの防止を可能にする。換言すれば、この電子回路ユニット1では、自動変速機のケース内に存在する異物に起因するトラブルを簡素な構造で抑止しつつ(具体的には安価な構造で異物の進入を防止しつつ)、電子回路ユニット1と電線(例えば耐熱電線)40とを接続することができる。
特に、前記カバー80は前記電子回路体10の本体10aを覆う本体被覆部81を有し、前記嵌合領域被覆部90A,90Bは前記本体被覆部81から回路側端子14A,14Bの突出方向に延びる形状を有しているので、前記電子回路体10の本体10a側から前記嵌合領域側へ前記異物が入り込むのが有効に抑止される。
また、前記嵌合領域被覆部90A(90B)のコネクタ係止溝95に前記コネクタ被係止部35が挿入されることで嵌合領域被覆部90A(90B)の内側面と前記ハウジング被覆部37の外側面との間の隙間が塞がれるので、これらの隙間から前記嵌合領域側に異物が入り込むのが抑止される。しかも、前記挿入によりコネクタCA(CB)が前記嵌合位置に保持されており、前記コネクタ係止溝95とコネクタ被係止部35とを設けるという簡単な構成で、前記異物の進入を抑制する機能とコネクタCA(CB)の保持機能とを発揮させることができる。すなわち、本電子回路ユニット1では、前記カバー80を利用して前記異物の進入を抑制しつつ前記コネクタCA(CB)を嵌合位置に保持してコネクタCA(CB)と電子回路体10の接続信頼性を高めることができる。ただし、本発明は、この異物の進入を抑制する機能と保持機能とが個別の要素によって実現されるものも含む。すなわち、前記コネクタ係止溝95と前記コネクタ被係止部35とが嵌合方向に当接する必要はなく、嵌合領域被覆部90A,90Bに、別途、前記コネクタCA,CBに前記嵌合方向側に向かって当接する当接部を設けてもよい。
さらに、前記第1嵌合領域被覆部90A(90B)の端面91aが形成された端部は、その端面91aが前記立壁部35と近接して対向する状態で前記立壁部35と前記コネクタ被係止部34との間に配置されており、前記立壁部35と前記端面91aとによって前記異物の前記コネクタ被係止部34側への進入が抑止されている。そのため、前記異物の前記嵌合領域への浸入はより確実に抑制される。すなわち、前記第1嵌合領域被覆部90A(90B)の端面91aが形成された端部付近には、前記立壁部35と前記コネクタ被係止部34と前記端面91aとによりいわゆるラビリンス構造が形成されており、前記異物は、前記コネクタ係止部34とコネクタ係止溝95との間に加えて前記立壁部35と前記端面91aとの間を通過せねば嵌合領域に進入できず、この進入がより確実に抑止される。
ここで、前記ラビリンス構造を形成するための構成は前記に限らない。例えば、前記嵌合領域被覆部90A,90Bの内側面にコネクタ被覆部37の外側面に向かって突出する突起を設け、コネクタ被覆部37にこの突起を挿入可能な溝を設けるとともに、前記嵌合領域被覆部90A,90Bに前記突起と平行に延びて前記コネクタCA,CBの端子挿入方向後端部の端面と対向する立壁部を設けてもよい。
また、前記リテーナ部96は省略可能である。ただし、前記カバー80に前記電線側端子20A,20Bの端子嵌合位置からの離脱を規制するリテーナ部96を設ければ、この離脱を規制するための部品を別途設ける場合に比べて構成を簡素化することができる。
また、前記ベース部材50の形状は適宜設定可能である。この形状は、自動変速機のケース内における電子回路ユニットの取付部位に応じて適宜好適なものに変更することができる。
例えば、図16に示すベース部材50の形状は、図17に示すようなバルブユニット70の複雑な形状の上面に電子回路ユニットが取付けられることを考慮して設定されたものである。このベース部材50は、前記電子回路体10および両コネクタCA,CBが載置される本体部分に加え、当該本体部分から互いに異なる方向に膨出する取付部154B,155及び位置決め片156を有する。取付部154Bには、取付用のボルトが挿通されるボルト挿通孔154bが貫設され、取付部155には、同様の複数のボルト挿通孔155aが設けられている。位置決め片156は、バルブユニット70の特定部位に当接することにより、当該バルブユニット70に対する電子回路ユニット1の位置を安定させる。
また、前記ベース部材50に前記電子回路体10と前記カバー80とを固定する構造は前記のように共通のボルト60を同じ位置に配置されるボルト挿通孔17A,17B,85A,85Bに挿通して締結する構造に限らない。例えば、前記電子回路体10とカバー80とを異なるボルトによりそれぞれ異なる位置で前記ベース部材50に固定してもよい。ただし、共通のボルト60によりこれら電子回路体10とカバー80とを固定する構造を用いれば、複数のボルトを用いる場合に比べて部品点数を削減することができるとともに組み付け手間を抑えることができる。
また、前記カバー被係止突起94aを省略して、前記ボルト60によってのみ前記カバー80を前記ベース部材50に固定する構造としてもよい。
また、前記電子回路ユニット1を組み付ける方法は前記に限らない。次に、第2の実施形態に係る電子回路ユニット1の組み付け方法について図13〜図15を用いて説明する。この第2の実施形態に係る方法では、前記カバー80として前述のように前記カバー被係止突起94aが省略されたものを用いる。また、組み付け用治具200として、図13に示すように、前記第1の実施形態に係る組み付け用治具100に対して前記係止突起挿通孔104aが省略されるとともに、前記ベース部材50の載置面52と同じ形状を有する仮係止面202を有するものを用いる。
この第2の実施形態に係る方法では、まず、前記第1の実施形態と同様に各コネクタCA,CBへ電線40を接続する。すなわち前記1)各コネクタCA,CBへの電線40の接続工程を実施する。
次に、図13に示すように、前記電子回路体10を前記組み付け用治具200の仮載置面202上に、前記ベース部材50の載置面52に載置される側が仮載置面202側を向く姿勢で載置する。具体的には、前記仮係止突起105A,105Bを前記電子回路体10のボルト挿通孔17A,17Bにそれぞれ挿入しつつ、前記第1回路側端子14Aの配列方向および第2回路側端子14Bの配列方向が前記載置面52と平行になるように前記電子回路体10を載置面52上に載置する。ここで、前記仮係止突起105A,105Bが前記ボルト挿通孔17A,17Bに挿入されることで、前記電子回路体10は前記組み付け用治具200に仮係止される(仮載置工程)。
次に、前記第1の実施形態と同様に、前記第1コネクタCAを前記電子回路体10に結合させて、前記第1回路側端子14Aと第1コネクタCAに保持されている第1電線側端子20Aとを嵌合させる。また、前記第2コネクタCBを前記電子回路体10に結合させて、前記第2回路側端子14Bと第2コネクタCBに保持されている第2電線側端子20Bとを嵌合させる。すなわち、前記3)嵌合工程を実施する。
次に、図14に示すように、前記カバー80を、互いに結合している前記電子回路体10およびコネクタCA,CBに前記仮載置面202と反対の側すなわち上方から被せつつ前記仮載置面202上に載置する。
具体的には、前記カバー80のボルト挿通孔85A,85Bに前記仮係止突起105A,105Bをそれぞれ挿入しつつ、前記カバー80を上方から前記電子回路体10および前記コネクタCA,CBに被せる。前記ボルト挿通孔85A,85Bに前記仮係止突起105A,105Bが挿入されることで、前記カバー80は前記組み付け用治具200に仮係止される(仮係止工程)。このとき、前記カバー80は、その本体被覆部82が前記電子回路体10の本体10aおよび電子回路体10の取付部材19を前記仮係止面202と反対の側から覆い、前記嵌合領域被覆部90A(90B)が前記コネクタCA(CB)のハウジング被覆部37を前記係止面202と反対の側から覆うとともに、前記各リテーナ部96が対応する各リテーナ挿入孔31aに挿入され、かつ、前記コネクタ係止溝95に対応する前記コネクタ被係止部34が挿入される位置に配置される。
次に、前記電子回路体10、前記コネクタCA,CBおよび前記カバー80をその相対位置を保持しつつ前記組み付け用治具200から取り外すとともに、これらをその相対位置を保持しつつ前記ベース部材50の載置面52上に載置、固定する(固定工程)。
具体的には、前記電子回路体10のボルト挿通孔17A,17Bおよび前記カバー80のボルト挿通孔85A,85Bから前記仮係止突起105A,105Bを抜いて、前記電子回路体10、前記コネクタCA,CBおよび前記カバー80を前記前記組み付け用治具200から取り外す。次に、互いに結合された前記電子回路体10およびコネクタCA,CBと前記カバー80とを前記ベース部材50の載置面52上に載置する。このとき、電子回路体10のボルト挿通孔17A,17Bおよびカバー80のボルト挿通孔85A,85Bと前記ベース部材50のボルト挿通孔55A,55Bとを一致させておく。その後、前記カバー80のボルト挿通孔85A,85B、前記電子回路体10のボルト挿通孔17A,17B、前記ベース部材50のボルト挿通孔55A,55Bにボルト60を挿通するとともにこのボルト60の端部にナットを装着して、このボルト60により各コネクタCA,CBと結合している前記電子回路体10および前記カバー80を互いに連結された状態で前記ベース部材50に固定する。
以上により、前記電子回路ユニット1の組み付けは完了する。
CA 第1コネクタ
CB 第2コネクタ
10 電子回路体
10a 電子回路体の本体
14A 第1回路側端子
14B 第2回路側端子
17A,17B 電子回路体のボルト挿通孔(挿通孔)
19A,19B 電子回路体の取付部
20A 第1電線側端子
20B 第2電線側端子
24 電気接触箱(嵌合部)
30A 第1コネクタハウジング
30B 第2コネクタハウジング
31a 開口部
34 コネクタ被係止部(突出部)
35 立壁部
36 端子収容室
40 電線
50 ベース部材
52 載置面
55A,55B ベース部材のボルト挿通孔(挿通孔)
60 ボルト(固定部材)
80 カバー
81 本体被覆部
84A,84B カバーの取付部
85A,85B カバーのボルト挿通孔(挿通孔)
90A 第1嵌合領域被覆部
90B 第2嵌合領域被覆部
95 コネクタ係止溝(凹部)
96 リテーナ部(端子規制部)
105A,105B 仮係止部材

Claims (10)

  1. 車両用自動変速機のケース内に設けられる電子回路ユニットであって、
    電子回路を内蔵する本体及びこの本体から外向きに突出する複数の回路側端子を含み、前記各回路側端子が共通の方向に突出する電子回路体と、
    複数の電線の端末にそれぞれ固定されて前記各回路側端子に嵌合可能な嵌合部を有する複数の電線側端子とこれら電線側端子を前記回路側端子の配列に対応する配列で保持するコネクタハウジングとを有するコネクタと、
    前記電子回路体および前記コネクタを載置するための載置面を有し、当該載置面上に前記電子回路体が固定されるベース部材と、
    前記載置面上に載置されて前記ベース部材に固定されるカバーとを備え、
    前記コネクタハウジングは、前記カバーと当接可能な被当接部を有し、
    前記カバーは、当該カバーおよび前記電子回路体が前記載置面上に載置されるとともに前記回路側端子と前記嵌合部とが嵌合した組み付け状態で前記電子回路体の本体を前記載置面と反対の側から覆う本体被覆部と、前記本体被覆部から前記回路側端子の突出方向に延びて前記組み付け状態で前記回路側端子と前記嵌合部との嵌合領域を前記載置面と反対の側から覆う嵌合領域被覆部と、前記組み付け状態で前記コネクタが前記回路側端子と前記嵌合部とが嵌合する嵌合位置から当該嵌合位置からこれらの嵌合方向に離間して前記回路側端子と前記嵌合部とが嵌合しない離脱位置に離脱するのを規制する規制部とを有し、
    前記嵌合領域被覆部は、前記組み付け状態で前記コネクタハウジングあるいは前記電線が当該嵌合領域被覆部と前記載置面との間から外部に向かって前記回路側端子の突出方向に延びるように前記嵌合領域を囲む形状を有し、
    前記嵌合領域被覆部および前記本体被覆部は、前記回路側端子と前記嵌合部とが嵌合した状態で前記カバーが前記電子回路体および前記コネクタにこれらが前記載置面に載置される側と反対の側から被せられたときに、前記嵌合領域および前記電子回路体の本体を覆う位置に配置され、
    前記規制部は、前記回路側端子と前記嵌合部とが嵌合した状態で前記カバーが前記電子回路体および前記コネクタにこれらが前記載置面に載置される側と反対の側から被せられたときに、前記離脱位置側から前記嵌合位置側に向かって前記被当接部に当接して前記コネクタを規制可能な位置に、配置されることを特徴とする車両用自動変速機に設けられる電子回路ユニット。
  2. 請求項1に記載の車両用自動変速機に設けられる電子回路ユニットにおいて、
    前記コネクタハウジングと前記嵌合領域被覆部とは、前記回路側端子の突出方向と略直交する方向に互いに対向する対向面をそれぞれ有し、
    前記コネクタハウジングと前記嵌合領域被覆部の一方は、その前記対向面から他方の前記対向面に向かって突出する突出部を有し、
    前記他方の対向面には、前記回路側端子の突出方向から見て前記対向面間の隙間を塞ぐように前記突出部が挿入される凹部が形成されており、
    前記突出部と前記凹部とは、前記各対向面の前記嵌合領域を囲む方向全体にわたって延びていることを特徴とする車両用自動変速機に設けられる電子回路ユニット。
  3. 請求項2に記載の車両用自動変速機に設けられる電子回路ユニットにおいて、
    前記電子回路体は、前記回路側端子の突出方向と前記嵌合方向とが一致する形状を有し、
    前記凹部と前記突出部とは、その一方が前記離脱位置側から前記嵌合位置側に向かって他方に当接可能な形状を有することを特徴とする車両用自動変速機に設けられる電子回路ユニット。
  4. 請求項2または3に記載の車両用自動変速機に設けられる電子回路ユニットにおいて、
    前記コネクタハウジングと前記嵌合領域被覆部の一方は、前記突出部が設けられた部分よりも前記回路側端子の先端側に離間した位置に設けられて前記突出部と略平行に延びる立壁部を有し、
    前記コネクタハウジングと前記嵌合領域被覆部の他方の前記回路側端子の先端側の端部は、前記組み付け状態で前記突出部と前記立壁部との間に配置されるとともに、この配置状態で前記立壁部と対向する端面を有することを特徴とする車両用自動変速機に設けられる電子回路ユニット。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の車両用自動変速機に設けられる電子回路ユニットにおいて、
    前記電子回路体は、前記載置面に載置された状態で、前記回路側端子の端子配列方向と前記載置面とが略平行になるとともに当該回路側端子の突出方向と前記嵌合方向とが一致する形状を有し、
    前記各電線側端子は、前記嵌合領域被覆部と当接可能な端子被当接部を有し、
    前記コネクタハウジングは、前記各電線側端子が前記嵌合方向にそれぞれ挿入される端子挿入部を有し、
    前記各端子挿入部は、当該端子挿入部に挿入された前記電線側端子の端子被当接部が前記コネクタハウジングのうち前記載置面に載置される側と反対側において外部に露出する開口部をそれぞれ有し、
    前記嵌合領域被覆部は、前記開口部に挿入されて、前記組み付け状態で前記電線側端子がその嵌合部と前記回路側端子とが嵌合する端子嵌合位置からこれらの嵌合方向に離間してその嵌合部と前記回路側端子とが嵌合しない端子離脱位置に離脱するのを規制する端子規制部を有し、
    前記端子規制部は、前記回路側端子と前記嵌合部とが嵌合した状態で前記カバーが前記電子回路体および前記コネクタにこれらが前記載置面に載置される側と反対の側から被せられたときに、前記端子離脱位置側から前記端子嵌合位置側に向かって前記端子被当接部に当接して前記電線側端子の離脱を規制可能な位置に、配置されることを特徴とする車両用自動変速機に設けられる電子回路ユニット。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の車両用自動変速機に設けられる電子回路ユニットにおいて、
    前記電子回路体および前記カバーをまとめて前記ベース部材に固定するための固定部材を備え、
    前記電子回路体および前記カバーは、それぞれ、前記固定部材が挿通可能な挿通孔が形成された取付部を有し、
    前記電子回路体および前記カバーが前記ベース部材に固定された状態で、これらの取付部同士が前記ベース部材の載置面に対して直交する方向に重なり合い、かつ、各取付部に形成された前記挿通孔どうしが合致することを特徴とする車両用自動変速機に設けられる電子回路ユニット。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の車両用自動変速機に設けられる電子回路ユニットにおいて、
    前記電子回路体は、前記回路側端子として、当該電子回路体の本体から共通の第1突出方向に突出する複数の第1回路側端子と、当該第1突出方向と反対の第2突出方向に突出する複数の第2回路側端子とを含み、
    前記コネクタとして、複数の電線の端末にそれぞれ固定されて前記各第1回路側端子に嵌合可能な第1嵌合部を有する複数の第1電線側端子とこれらの第1電線側端子を前記第1回路側端子の配列に対応する配列で保持する第1コネクタハウジングとを有する第1コネクタと、複数の電線の端末にそれぞれ固定されて前記各第2回路側端子に嵌合可能な第2嵌合部を有する複数の第2電線側端子とこれらの第2電線側端子を前記第2回路側端子の配列に対応する配列で保持する第2コネクタハウジングとを有する第2コネクタとを備え、
    前記第1コネクタハウジングは、前記カバーと当接可能な第1被当接部を有し、
    前記第2コネクタハウジングは、前記カバーと当接可能な第2被当接部を有し、
    前記カバーは、前記嵌合領域被覆部として、当該カバーおよび前記電子回路体が前記載置面上に載置されるとともに前記第1回路側端子と前記第1嵌合部とが嵌合するとともに前記第2回路側端子と前記第2嵌合部とが嵌合した組み付け状態で、前記本体被覆部から前記第1突出方向に延びて前記組み付け状態で前記第1回路側端子と前記第1嵌合部との第1嵌合領域を前記載置面と反対の側から覆う第1嵌合領域被覆部と、前記本体被覆部から前記第2突出方向に延びて前記組み付け状態で前記第2回路側端子と前記第2嵌合部との第2嵌合領域を前記載置面と反対の側から覆う第2嵌合領域被覆部とを備え、前記規制部として、前記組み付け状態で前記第1コネクタが前記第1回路側端子と前記第1嵌合部とが嵌合する第1嵌合位置から当該第1嵌合位置からこれらの嵌合方向に離間して前記第1回路側端子と前記第1嵌合部とが嵌合しない第1離脱位置に離脱するのを規制する第1規制部と、前記組み付け状態で前記第2コネクタが前記第2回路側端子と前記第2嵌合部とが嵌合する第2嵌合位置から当該第2嵌合位置からこれらの嵌合方向に離間して前記第2回路側端子と前記第2嵌合部とが嵌合しない第2離脱位置に離脱するのを規制する第2規制部とを備え、
    前記第1嵌合領域被覆部は、前記組み付け状態で前記第1コネクタハウジングあるいはこの第1コネクタハウジングに保持される前記電線が第1嵌合領域被覆部と前記載置面との間から外部に向かって前記第1突出方向に延びるように前記第1嵌合領域を囲む形状を有するとともに、前記第1回路側端子と前記第1嵌合部とが嵌合した状態で前記カバーが前記電子回路体および前記第1コネクタにこれらが前記載置面に載置される側と反対の側から被せられたときに、前記第1嵌合領域を覆う位置に配置され、
    前記第2嵌合領域被覆部は、前記組み付け状態で前記第2コネクタハウジングあるいはこの第2コネクタハウジングに保持される前記電線が第2嵌合領域被覆部と前記載置面との間から外部に向かって前記第2突出方向に延びるように前記第2嵌合領域を囲む形状を有するとともに、前記第2回路側端子と前記第2嵌合部とが嵌合した状態で前記カバーが前記電子回路体および前記第2コネクタにこれらが前記載置面に載置される側と反対の側から被せられたときに、前記第2嵌合領域を覆う位置に配置され、
    前記第1規制部は、前記第1回路側端子と前記第1嵌合部とが嵌合した状態で前記カバーが前記電子回路体および前記第1コネクタにこれらが前記載置面に載置される側と反対の側から被せられたときに、前記第1離脱位置側から前記第1嵌合位置側に向かって前記第1被当接部に当接して前記第1コネクタを規制可能な位置に、配置され、
    前記第2規制部は、前記第2回路側端子と前記第2嵌合部とが嵌合した状態で前記カバーが前記電子回路体および前記第2コネクタにこれらが前記載置面に載置される側と反対の側から被せられたときに、前記第2離脱位置側から前記第2嵌合位置側に向かって前記第2被当接部に当接して前記第2コネクタを規制可能な位置に、配置されることを特徴とする車両用自動変速機に設けられる電子回路ユニット。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の車両用自動変速機に設けられる電子回路ユニットを製造するための方法であって、
    前記電子回路体を前記載置面上に載置する載置工程と、
    前記電子回路体の回路側端子と前記嵌合部とを嵌合させる嵌合工程と、
    前記カバーを前記電子回路体および前記コネクタに前記載置面と反対の側から被せつつ前記載置面上に載置して、前記本体被覆部により前記電子回路体の本体を前記載置面と反対の側から覆い、かつ、前記嵌合領域被覆部により前記回路側端子と前記嵌合部との嵌合領域を覆うとともに、前記規制部を前記コネクタハウジングに設けられた被当接部に前記離脱位置側から前記嵌合位置側に向かって当接させつつ、前記カバーを前記ベース部材に固定する固定工程とを含むことを特徴とする車両用自動変速機に設けられる電子回路ユニットの製造方法。
  9. 請求項8に記載の車両用自動変速機に設けられる電子回路ユニットの製造方法において、
    前記ベース部材および前記電子回路体を仮係止可能な仮係止部材と前記コネクタを前記嵌合方向に沿って前記嵌合位置方向に案内可能な案内部を有する組み付け用治具と、固定部材を用い、
    前記ベース部材には前記仮係止部材および前記固定部材が挿通可能な挿通孔が形成されており、
    前記電子回路体および前記カバーは、それぞれ、前記仮係止部材および前記固定部材が挿通可能な挿通孔が形成された取付部を有し、
    前記載置工程は、前記ベース部材の挿通孔に前記仮係止部材を挿入して当該ベース部材を前記組み付け用治具に仮係止する工程と、前記電子回路体をその取付部の挿通孔に前記仮係止部材を挿入しつつ前記仮係止されたベース部材の載置面上に載置する工程とを含み、
    前記嵌合工程は、前記組み付け用治具の案内部により前記コネクタを案内させつつ当該コネクタを前記嵌合位置に配置する工程を含み、
    前記固定工程は、前記カバーの取付部の挿通孔に前記仮係止部材を挿入しつつ当該カバーを前記組み付け用治具に仮係止されたベース部材に固定する工程と、前記ベース部材、前記電子回路体および前記カバーの各挿通孔から前記仮係止部材を抜いて前記組み付け用治具から前記電子回路体、前記コネクタおよび前記カバーが載置された前記ベース部材を取り外す工程と、前記各挿通孔に固定部材を挿通して当該固定部材により前記電子回路体と前記カバーとを前記ベース部材に固定する工程とを含むことを特徴とする車両用自動変速機に設けられる電子回路ユニットの製造方法。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の車両用自動変速機に設けられる電子回路ユニットを製造するための方法であって、
    前記電子回路体、前記コネクタおよび前記カバーを載置するための仮載置面と、前記ベース部材および前記電子回路体を仮係止可能な仮係止部材と前記コネクタを前記嵌合方向に沿って前記嵌合位置方向に案内可能な案内部を有する組み付け用治具と、固定部材を用い、
    前記電子回路体および前記カバーは、それぞれ、前記仮係止部材および前記固定部材が挿通可能な挿通孔が形成された取付部を有し、
    前記ベース部材には、前記固定部材が挿通可能な挿通孔が形成されており、
    前記電子回路体をその取付部の挿通孔に前記仮係止部材を挿入して当該電子回路体を前記組み付け用治具に仮係止しつつ前記仮載置面上に載置する仮載置工程と、
    前記組み付け用治具の案内部により前記コネクタを案内させつつ当該コネクタを前記嵌合位置に配置して、前記電子回路体の回路側端子と前記嵌合部とを嵌合させる嵌合工程と、
    前記カバーをその取付部の挿通孔に前記仮係止部材を挿入しつつ前記電子回路体および前記コネクタにこれらが前記載置面に載置される側と反対の側から被せて、当該カバーを、前記組み付け用治具に、前記本体被覆部が前記電子回路体の本体を前記載置面と反対の側から覆い、かつ、前記嵌合領域被覆部が前記回路側端子と前記嵌合部との嵌合領域を覆うとともに、前記規制部が前記コネクタハウジングに設けられた被当接部に前記離脱位置側から前記嵌合位置側に向かって当接する位置に仮係止する仮係止工程と、
    前記電子回路体および前記カバーの各挿通孔から前記仮係止部材を抜いて前記電子回路体、前記コネクタおよび前記カバーをその相対位置を保持しつつ前記組み付け用治具から取り外すとともに、これら前記電子回路体、コネクタおよびカバーをその相対位置を保持しつつ前記ベース部材の載置面上に載置して、前記各挿通孔に固定部材を挿通して当該固定部材により前記電子回路体と前記カバーとを前記ベース部材に固定する固定工程とを含むことを特徴とする車両用自動変速機に設けられる電子回路ユニットの製造方法。
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