JP4398931B2 - 電子部品内蔵コネクタ及び電子部品内蔵コネクタ付き配線体 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば自動車用ワイヤーハーネス等に用いられる、電子部品(集積回路等)を内蔵したコネクタと、同コネクタを用いた電子部品内蔵コネクタ付き配線体に関するものである。
自動車には、電装品としてモーターやソレノイド等で構成される多数のアクチュエータが搭載されており、これらの電装品をデータ通信により独立して分散制御する制御システムが既に開発されている。このシステムでは、図13に示すような配線体が用いられる。この配線体10は、複数本の絶縁電線を集合した組電線12に、その長手方向に所要の間隔をおいて多数のコネクタ14を取り付けたもので、いわゆるバス配線ワイヤーハーネスといわれるものである。この配線体10における各コネクタ14は、車両の各部に搭載された電装品16側のコネクタ18(機器側コネクタ)に差し込み接続される。
配線体10側の各コネクタ14は、組電線12を伝わる信号の中から、コネクタ14が接続された電装品宛の信号(アドレス)を識別して当該電装品の制御を行う回路基板を内蔵している(特許文献1)。この種のコネクタはスマートコネクタとも呼ばれている。
特開2004−172072号公報
最近、この種のコネクタでは、回路基板の代わりに通信制御IC(集積回路)を組み込むことが検討されている。しかし通信制御ICなどの電子部品は比較的高価であるため、これをコネクタハウジングに組み込んだ後に、不具合が発見されると、高価な通信制御ICが無駄になる可能性があり、これは、組立工程の歩留まりを低下させ、コストアップの要因となる。
本発明の目的は、通信制御ICなどの比較的高価な電子部品を内蔵するコネクタを組み立てる場合に、当該電子部品をコネクタ組立の最終段階で組み込めるようにすると共に、コネクタ組立後に不具合が発見された場合には当該電子部品を容易に回収できるようにした電子部品内蔵コネクタと、それを用いた電子部品内蔵コネクタ付き配線体を提供することにある。
本発明に係る電子部品内蔵コネクタは、基本的には、ハウジング内に、電子部品と、この電子部品のリードを電線に接続する接続部品とを収納するコネクタであって、前記ハウジングが、前記電子部品を収納する第一のハウジングと、前記接続部品を収納する第二のハウジングとに分割されており、前記第一と第二のハウジングを結合することで、前記電子部品のリードが前記接続部品に接続されるようになっていることを特徴とするものである。
本発明に係る電子部品内蔵コネクタは、より具体的には、ハウジング内に、機器側リード及び電線側リードを有する電子部品と、この電子部品の機器側リードを機器側コネクタに接続する機器側接続部品と、前記電子部品の電線側リードを電線に接続する電線側接続部品とを収納するコネクタであって、前記ハウジングは、前記電子部品及び機器側接続部品を収納する第一のハウジングと、前記電線側接続部品を収納する第二のハウジングとに分割されており、前記第一と第二のハウジングを結合することで、前記電子部品の電線側リードが前記電線側接続部品に接続されるようになっていることを特徴とするものである。
本発明において、前記電線側接続部品は、前記電線に圧接接続される圧接端子と、前記電子部品の電線側リードが接続される雌端子とを一体に有するバスバー接続子であることが好ましい。
また本発明において、前記第二のハウジングは、本体と蓋体に分割され、本体と蓋体で第二のハウジングを通過する電線を挟み付けるようになっているものであることが好ましい。
また本発明において、第二のハウジングには、バスバー接続子の位置決め部を有する電線押さえ具が組み込まれており、前記バスバー接続子は、前記電線押さえ具に位置決めして仮係止し、その後、本係止することで、電線に圧接接続されるようになっていることが好ましい。
また本発明において、バスバー接続子には、バスバー接続子と電子部品のリードとの導通検査を行うための検査接点を設けられていることが好ましい。
また本発明において、前記第二のハウジングの本体と蓋体の電線を挟み付ける部分は、その部分の壁厚方向に、長軸が本体と蓋体の合わせ目方向と直角方向に向く縦長楕円通路と、長軸が前記合わせ目方向に向く横長楕円通路とが交互に設けられ、前記縦長楕円通路及び横長楕円通路の長径が電線外径よりも大きく、短径が電線外径よりも小さく設定されていることが好ましい。
また本発明においては、第二のハウジングの本体と蓋体の合わせ目が壁厚方向に複数に分割され、壁厚方向に隣り合う合わせ目の高さ位置が異なっていることが好ましい。
また本発明において、第二のハウジングの本体と蓋体の合わせ目の、電線引出部以外の部分は、壁厚方向に合わせ目の高さ位置が変化するように段差が設けられており、電線引出部の縦長楕円通路と横長楕円通路は、電線引出部以外の部分の合わせ目の高さ位置の変化に対応して設けられていることが好ましい。
また本発明において、前記機器側接続部品は、電子部品の機器側リードの挿入部と、機器側コネクタの雄端子の挿入部とが互い違いに設けられた双方向雌接続子であることが好ましい。
また本発明に係る電子部品内蔵コネクタ付き配線体は、複数本の電線からなる組電線に、長手方向に所要の間隔をおいて、上記のように構成された電子部品内蔵コネクタが多数取り付けられていることを特徴とするものである。
本発明によれば、ハウジングを、電子部品を収納する第一のハウジングと、前記電子部品のリードを電線に接続する接続部品を収納する第二のハウジングとに分割したので、第一のハウジング側の組立と、第二のハウジング側の組立を別工程で行い、それぞれ独立して検査を行った上で、良品同士を組立工程の最後で結合して完成品とすることができる。このため、工程の歩留まりが向上する。また万が一、完成品とした後に不具合が発見された場合には、第一と第二のハウジングの結合を解除することにより、電子部品を容易に回収して再使用することが可能となり、経費節減を図ることができる。
電子部品内蔵コネクタ付き配線体は、複数本の電線を長く平行に走らせて1本の組電線とし、その途中の所要箇所に多数の電子部品内蔵コネクタを取り付けるので、電子部品内蔵コネクタのどれか一つでも不具合があれば、配線体全体が使えなくなるし、電線から電子部品内蔵コネクタを取り外すと組電線が再使用できなくなる。本発明に係る電子部品内蔵コネクタ付き配線体は、コネクタハウジングが第一と第二のハウジングに分離され、高価な電子部品は電線側とは別のハウジングに収納されているため、電子部品に不具合があれば1つずつ良品と交換可能であり、電線側に不具合があれば電子部品を全て回収して再使用可能である。
また、電子部品を扱う第一のハウジング側の組立工程と、長い電線を扱う第二のハウジング側の組立工程とを、別ラインで行うことができるので、それぞれの組立工程が単純化され、自動化設備による組立が容易になる。また人手で組み立てる場合でも、裸のICを取り扱う場合の静電気防止などの対策をした工程が部分的なものですむので、設備費用が少なくてすむ。また電線を扱う工程では、IC等の電子部品は第一のハウジングに収納されており、工程の最後の方で第一と第二のハウジングを結合するだけなので、組立作業による電子部品への機械的、電気的負荷を軽減することができる。
また、第二のハウジングを本体と蓋体に分割すれば、本体の両面から治工具を挿入することが可能となるので、電線を圧接端子に接続するとき等に、接続作業性が向上すると共に、第二のハウジングへの機械的負荷を軽減できる。
また、電線側接続部品として、電線に圧接接続される圧接端子と、電子部品の電線側リードが接続される雌端子とを一体に有するバスバー接続子を用いれば、電線と電子部品の電線側リードとの接続を容易に行うことができる。
また、第二のハウジングを本体と蓋体に分割して、本体と蓋体で電線を挟み付けるようにすれば、第一と第二のハウジングの合わせ目を、電線の配置などに関係なく平面的に形成することができるので、第一と第二のハウジングの合わせ目を防滴構造にすることが容易である。また電線を強く挟み付けることができるので、第二のハウジングの電線への固定も容易である。
また、第二のハウジングに、バスバー接続子の位置決め部を有する電線押さえ具を組み込み、バスバー接続子を、前記電線押さえ具に位置決めして仮係止し、その後、本係止することで、電線に圧接接続するようにすれば、バスバー接続子と電線の接続を容易に、確実に行うことができる。
また、バスバー接続子に、バスバー接続子と電子部品のリードとの導通検査を行うための検査接点を設けておくと、第二のハウジングの組立が完全に行われたかどうかの検査判定を、バスバー接続子と電線や部品リードとの導通検査により容易に行うことができる。
また、前記本体と蓋体の電線を挟み付ける部分に、その部分の壁厚方向に、長軸が本体と蓋体の合わせ目方向と直角方向に向く縦長楕円通路と、長軸が前記合わせ目方向に向く横長楕円通路とを交互に設け、前記縦長楕円通路及び横長楕円通路の長径を電線外径よりも大きく、短径を電線外径よりも小さく設定すれば、電線引出部の防水性をより高めることができる。
また、第二のハウジングの本体と蓋体の合わせ目を壁厚方向に複数に分割し、壁厚方向に隣り合う合わせ目の高さ位置を異ならせることも、合わせ目からの水の浸入を難しくし、防水性を高めるのに有効である。
また、第一のハウジング内の機器側接続部品として双方向雌接続子を使用すると、双方向雌接続子に、一端側から電子部品の機器側リードを挿入し、他端側から機器側コネクタの雄端子を挿入することになるので、雄端子の挿抜力を受けるのは双方向雌接続子となり、電子部品の機器側リードに雄端子の挿抜力がかからない。このため電子部品の保護が確実である。また、第一のハウジングに収納された電子部品を何らかの理由により取り外す必要が生じた場合には、電子部品を第一のハウジングから容易に取り外すことができる。
図1ないし図4は本発明に係る電子部品内蔵コネクタの一実施形態を示す。この実施形態では、コネクタに内蔵される電子部品が比較的高価な通信制御ICである場合を説明するが、コネクタに内蔵される電子部品は通信制御IC以外の電子部品であってもよい。この電子部品内蔵コネクタ20は、各種部品を収納するハウジング22を備えている。このハウジング22は、第一のハウジング24と第二のハウジング26とに分割され、第二のハウジング26はさらに本体26aと蓋体26bとに分割されている。本体26aと蓋体26bはヒンジ部28によって開閉可能に連結されているが、ヒンジ部28はなくてもよい。
第一のハウジング24内には、通信制御IC30(電子部品)及び双方向雌接続子32(機器側接続部品)が組み込まれている。第二のハウジング26内には、バスバー接続子34(電線側接続部品)、コンデンサ36(他の電子部品)、電線押さえ具38等が組み込まれている。さらに他の部品が組み込まれる場合もある。コンデンサ36は必要に応じ組み込まれるもので、省略される場合もある。また第二のハウジング26は、本体26aと蓋体26bとで、同ハウジング26を通過する組電線40を挟み付けるようになっている。この例では、組電線40は並列配置した3本の電線40a(電源線、アース線、信号線)で構成されている。本体26aの上面には、図2(I)に示すように、電線位置決め溝42、圧接端子挿入スロット44、コンデンサ収納凹部46などが形成されている。
通信制御IC30は、組電線12を伝わる信号の中から、電子部品内蔵コネクタ20が接続された機器(モーター等)宛の信号(アドレス)を識別して当該機器の制御を行うもので、図3に示すように、先端側に例えば5本の機器側リード48を有し、後端側に3本の電線側リード50を有している。機器側リード42と電線側リード44は互いに反対方向に直線状に延びている。
双方向雌接続子32は、通信制御IC30の機器側リード48と機器側コネクタ18(図1(B)、(C)の2点鎖線、図13参照)の雄端子52(図1(D)参照)とを接続するものである。双方向雌接続子32には、図5に示すように、通信制御IC30の機器側リード48の挿入部54と、機器側コネクタの雄端子52の挿入部56とが互い違いに設けられている。挿入部54と56の間には、機器側の挿入部56の入口側から折り返された弾性舌片58が設けられている。この弾性舌片58は、図5(B)に示すようにIC側の挿入部54に通信制御ICの機器側リード50が挿入され、機器側挿入部56に何も挿入されていない状態では、機器側リード48に接触しないが、この後、同図(C)に示すように、機器側の挿入部56に雄端子52が挿入されると、当該雄端子52に押し退けられて機器側リード50に接触し、電気的接続に必要な弾性反発力を発生するように形成されている。なお、弾性舌片58は、図5(B)のように機器側リード48が挿入されたときに、機器側リード48に電気的接続に必要な接触圧よりも弱い接触圧で接触するように形成されていてもよい。
双方向雌接続子32は、通信制御IC30よりも先に、第一のハウジング24に組み込まれる。ここで、図1(D)及び図4に示すように、双方向雌接続子32が雄端子52の挿入力を受け止めるために、第一のハウジング24には、双方向雌接続子32を係止するランス59が設けられている。通信制御IC30を第一のハウジング24に組み込むときは、図5(B)のように機器側リード48は弾性舌片58に接触しないので(又は弱い接触圧で接触するだけなので)、挿入力ゼロで(又は小さな挿入力で)双方向雌接続子32に挿入することができる。また、組み立てられたコネクタ20を機器側コネクタ18に嵌合させるときは、第一のハウジング24に組み付けられた双方向雌接続子32が雄端子52の挿入力を受け止めるので、通信制御ICの機器側リード48に挿入力がかかることはない。したがって通信制御IC30の保護が確実である。また、この構成により、第一のハウジング24に収納された通信制御IC30を何らかの理由により取り外す必要が生じた場合には、通信制御IC30等の電子部品を第一のハウジング24から容易に取り外すことができる。
一方、第二のハウジング26に組み込まれるバスバー接続子34は、一枚の導電性薄板から、組電線40を構成する個々の電線40aに圧接接続される圧接端子60と、通信制御IC30の電線側リード50が接続される雌端子62とを一体に形成したものである。バスバー接続子34は、通信制御ICの電線側リード50と電線40aとを1対1で接続するために、この例では3個設けられている。また、コンデンサ36が組み込まれる場合には、3個のバスバー接続子34のうちの2個に、コンデンサ36のリード64が接続されるバネ端子66も設けられる。
第二のハウジング26に部品を組み込むときは、まず本体26aの電線位置決め溝42(図2(I)参照)上に電線40aを配置し、図6(A)に示すように、電線押さえ具38によって電線40aを押さえ付けると共に、コンデンサ36を収納凹部46(図2(I)参照)に組み込む。その後、同図(B)に示すように、バスバー接続子34を組み付ける。電線押さえ具38はバスバー接続子34を位置決めする溝や穴を有している(図3参照)。バスバー接続子34を組み付けると、圧接端子60が電線40aに圧接接続され、バネ端子66がコンデンサ36のリード64に接続され、雌端子62が通信制御ICの電線側リードと接続できる位置に位置決めされる。その後、蓋体26bを閉じ、本体26aと蓋体26bを結合すれば、本体26aと蓋体26bが組電線40を挟み付けた状態となる(図1、図4参照)。本体26aと蓋体26bの結合は、図1(F)に示すように、ロック爪68と掛け止め部69(スナップフィット)により行うことができる。
ここで、バスバー接続子34を組み付ける際に、まず電線押さえ具38に位置決めして仮係止しておき、その後バスバー接続子34を本係止して、圧接端子60が電線40aに圧接接続され、バネ端子66がコンデンサ36のリード64に接続されるようにしてもよい。また、蓋体26bを閉じて本体26aと蓋体26bを結合させた際にバスバー接続子34を本係止するようにしてもよい。
なお図6は、本体26aにコンデンサ36を組み付けた後に、バスバー接続子34を組み付ける場合であるが、図7(A)、(B)に示すように、バスバー接続子34のバネ端子66を上向きに形成しておけば、バスバー接続子34を組み付けた後に、コンデンサ36を組み付けることもできる。
以上のようにして第一のハウジング24及び第二のハウジング26に必要な部品を組み込んだ後、両ハウジング24、26を結合すると、通信制御IC30の電線側リード50がバスバー接続子34の雌端子62に挿入される。第一と第二のハウジング24、26の結合は、図1(E)に示すように、ロック爪70と掛け止め部71(スナップフィット)により行うことができる。第一と第二のハウジング24、26を結合する際に、電線側リード50が雌端子62に確実に無理なく挿入されるようにするため、第二のハウジング26の下面(第一のハウジング24との対向面)の、雌端子62に相当する位置には、ベルマウス72が形成されている。第一と第二のハウジング24、26を結合すると、通信制御IC30の3本の電線側リード50が、3本のバスバー接続子34を介して、3本の電線40aと1対1で接続され、電子部品内蔵コネクタ20が完成する。
図8は、組電線40に多数の電子部品内蔵コネクタ20を取り付けてなる配線体74を示す。このような配線体74を組み立てる場合には、第一のハウジング24側の組立と第二のハウジング26側の組立を別工程で行い、組電線40に第二のハウジング26が多数取り付けられた状態の半製品で、第二のハウジング26側の検査を行い、不具合がないことを確認してから、第二のハウジング26に第一のハウジング24を結合することができる。つまり、高価な通信制御ICを最後に組み付けることができるので、通信制御ICが、他の部品の不具合などで無駄になることが少ない。また、配線体74の組立完了後に、何らかの理由で通信制御IC30を取り外す必要が生じたときは、第一のハウジング24を第二のハウジング26から分離すれば簡単に通信制御IC30を取り外すことができる。特に、第一のハウジング24に双方向雌接続子32を用いた場合、通信制御IC32をきわめて容易に第一のハウジング24から取り外すことができる。
第二のハウジング26の組立が完全に行われたかどうかの検査判定には、バスバー接続子34と組電線40の各電線との間や、バスバー接続子34と電子部品(例えばコンデンサ36)のリード64との間の導通検査が適しているが、そのためには図7(B)の状態で、バスバー接続子34や電子部品(例えばコンデンサ36)の導電部分が適度に露出していることが望ましい。上述した各実施形態においては、ハウジングを第一のハウジング24と第二のハウジング26とに分割していることで、電子部品内蔵コネクタ20内の検査接点を、例えばバスバー接続子34の任意の位置に設けることなどが可能となる利点がある。この場合、組電線40側の検査接点として各電線の端末を利用するとよい。なお、各電線の端末は、図示しないコネクタに組み込まれた端子となっていてもよい。
なお、図4の状態でも、導通検査は可能である。例えば、バスバー接続子34の検査接点を雌端子62とするように第二のハウジング26のベルマウス72に検査接触子を挿入してもよく、バスバー接続子34を延長してハウジングの合わせ目の範囲内に検査接点を導出してもよい。
電子部品内蔵コネクタ20の、第二のハウジング26の上面には、四角形の枠体76が形成されているが、この枠体76は、電子部品内蔵コネクタ20を図9のように連結するためのものである。配線体74を出荷するときに、電子部品内蔵コネクタ20を図9のように連結して出荷すれば、自動車に組み付けるときに、連結体からコネクタを1個ずつ順次切り離して組み付けていけばよいので、電線のもつれなどが発生し難く、組み付け作業を容易に行うことができる。また組み付け作業をロボットにより自動化することも容易である。
ところで、この種の電子部品内蔵コネクタは、完全防水とまではいかないまでも防滴程度の簡易防水性が要求される。この電子部品内蔵コネクタ20は、第一と第二のハウジング24と26の合わせ目Pを周方向に凹凸のない平面で構成できるので、この部分の防水性は合わせ目Pに壁厚方向の段差を形成すること等により、比較的容易に確保できる。問題は第二のハウジング26の本体26aと蓋体26bの合わせ目Qである。この合わせ目Qは、電線40aを挟み付ける部分があるので、この部分から水が浸入するおそれがある。
図10及び図11は、本体26aと蓋体26bの合わせ目Qの防水性を確保する一つの手段を示す。図10は蓋体26bを閉じた状態であり、図11は蓋体26bを閉じる前の状態である。本体26aと蓋体26bの合わせ目のうち、電線を挟み付けない部分は、壁厚方向に段差を形成することで、防滴程度の防水性を確保できる。すなわち、本体26aと蓋体26bの合わせ目を壁厚方向に3分割して、両側の合わせ目Q1の位置が中間の合わせ目Q2の位置よりも低くなるような段差を設け、段差面で水の浸入経路を遮断するのである。言い換えれば、合わせ目の、本体26a側に突条78を、蓋体26b側に溝80を形成して、突条78と溝80を嵌合させることで、壁厚方向の水の浸入経路を遮断するのである。
一方、電線を挟み付ける部分は次のような構成とする。すなわち、電線を挟み付ける部分を壁厚方向に3分割し、壁厚方向の両端側に長軸が本体と蓋体の合わせ目方向と直角方向に向く縦長楕円通路82を、壁厚方向の中間に長軸が前記合わせ目方向に向く横長楕円通路84を設け(壁厚方向に縦長楕円通路82と横長楕円通路84を交互に設け)、縦長楕円通路82及び横長楕円通路84の長径Lを電線外径dよりも大きく、短径Sを電線外径dよりも小さく設定する。ただし縦長楕円通路82及び横長楕円通路84の断面積は電線40aの断面積とほぼ同じとする。
また、縦長楕円通路82は、合わせ目Q1の蓋体26b側の壁に形成された略逆U字形の深い溝86と、本体26a側の壁に形成された浅い溝88との組合せで構成し、横長楕円通路84は、合わせ目Q2の両側の壁に同じ深さに形成された半楕円溝90、90の組合せで構成する。縦長楕円通路82と横長楕円通路84は、蓋体26bを閉じた状態で、中心軸線が一致するように形成する。また横長楕円通路84の両側の合わせ目Q2は、蓋体26bを閉じた状態で、隙間ができるように形成する。なお、図10(B)、(C)において、2点鎖線は圧縮される前の電線の断面(円形)を示す。
つまり、この実施形態2では、本体26aと蓋体26bの合わせ目の電線引出部(挟み付け部)以外の部分は、壁厚方向に合わせ目の高さ位置が変化するように段差が設けられており、電線引出部の縦長楕円通路82と横長楕円通路84は、電線引出部以外の部分の合わせ目の高さ位置の変化に対応して設けられている(合わせ目の高さ位置が低い壁厚部分には縦長楕円通路82が、高い壁厚部分には横長楕円通路84が設けられている)。すなわち、合わせ目の高さ位置が電線引出部の孔のほぼ中心の高さとなっている壁厚部分には横長楕円通路84が設けられ、合わせ目の高さ位置が電線引出部の孔のほぼ中心の高さと異なる高さとなっている壁厚部分には縦長楕円通路82が設けられている。この場合、本体26aと蓋体26bの合わせ目の高さの位置(図10のQ1、Q2)の少なくとも1つが、電線引出部の孔のほぼ中心の高さとなっていることが望ましい。
上記のような構成で防水性が得られる理由は次のとおりである。まず図11のように蓋体26bを開いた状態で、下側の半楕円溝90上に電線40aを配置する。その後、蓋体26bを閉じていくと、電線40aが略逆U字形の深い溝86に押し込まれると共に、半楕円溝90、90によって上下から押し潰される。なお、略逆U字形の深い溝86の両側縁は、電線が押し込まれやすいように面取りされている。そして最終的には図10に示すように、電線40aが、縦長楕円通路82では断面縦長楕円形に、横長楕円通路84では断面横長楕円形に圧縮変形するので、電線40aの断面形状が縦長楕円形から横長楕円形に変化する部分で水の浸入経路が遮断され、水の浸入を防止できる。
図12は、本体26aと蓋体26bの合わせ目Qの防水性を確保する別の手段を示す。図10の例は、本体26aと蓋体26bの合わせ目を壁厚方向に3分割する場合であるが、この例は、本体26aと蓋体26bの合わせ目を壁厚方向に2分割する場合である。すなわち、本体26aと蓋体26bの合わせ目のうち、電線を挟み付けない部分は、本体26aと蓋体26bの合わせ目を壁厚方向に2分割して、外側の合わせ目Q1が内側の合わせ目Q2よりも低くなるような段差を設けて、段差面で水の浸入経路を遮断する。
一方、電線を挟み付ける部分は次のような構成とする。すなわち、電線を挟み付ける部分を壁厚方向に2分割し、壁厚方向の片側(第二のハウジングの外面側)に縦長楕円通路82を、反対側(内面側)に横長楕円通路84を設ける(壁厚方向に縦長楕円通路82と横長楕円通路84を交互に設ける)。なお、縦長楕円通路82及び横長楕円通路84の長径Lを電線外径dよりも大きく、短径Sを電線外径dよりも小さく設定する点、縦長楕円通路82及び横長楕円通路84の断面積を電線40aの断面積とほぼ同じにする点は、図10の例と同じである。
また、縦長楕円通路82が、合わせ目Q1の片側(蓋体26b側)の壁に形成された略逆U字形の深い溝86と、反対側(本体26a側)の壁に形成された浅い溝88との組合せで構成され、横長楕円通路84が、合わせ目Q2の両側の壁に同じ深さに形成された半楕円溝90、90の組合せで構成される点、縦長楕円通路82と横長楕円通路84が、蓋体26bを閉じた状態で、中心軸線が一致するように形成される点、横長楕円通路84の両側の合わせ目Q2が、蓋体26bを閉じた状態で、隙間ができるように形成される点なども、図10の例と同じである。
このような構成でも、図10の例と同じ理由により、水の浸入経路を遮断することができる。
本発明に係る電子部品内蔵コネクタの一実施形態を示す、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図、(D)は(B)のD−D線断面図、(E)は(C)のE−E線断面図、(F)は(C)のF−F線断面図。 (G)は図1(C)のG−G線断面図、(H)は図1(C)のH−H線断面図、(I)は(H)と同じ面で、第二のハウジングの本体に部品を組み付ける前の平面図。 図1の電子部品内蔵コネクタの分解斜視図。 図1の電子部品内蔵コネクタの、第一と第二のハウジングを結合する前の状態を示す断面図。 (A)は図1の電子部品内蔵コネクタに用いた双方向雌接続子の断面図、(B)は同接続子に通信制御ICの機器側リードを挿入した状態の断面図、(C)はさらに機器側コネクタの雄端子を挿入した状態の断面図。 (A)、(B)は、図1の電子部品内蔵コネクタの、第二のハウジングの本体に部品を組み付ける過程の一例を示す断面図。 (A)、(B)は、図1の電子部品内蔵コネクタの、第二のハウジングの本体に部品を組み付ける過程の他の例を示す断面図。 本発明に係る電子部品内蔵コネクタ付き配線体の一実施形態を示す正面図。 図8の配線体の電子部品内蔵コネクタを連結した状態を示す正面図。 図1の電子部品内蔵コネクタの、電線を挟み付ける部分の防水構造の一例を示す、(A)は正面側から見た断面図、(B)、(C)はそれぞれ(A)のB−B線、C−C線断面図。 図10の防水構造の、蓋体を閉じる前の状態を示す、(A)は正面側から見た断面図、(B)、(C)はそれぞれ(A)のB−B線、C−C線断面図。 図1の電子部品内蔵コネクタの、電線を挟み付ける部分の防水構造の他の例を示す、(A)は正面側から見た断面図、(B)、(C)はそれぞれ(A)のB−B線、C−C線断面図。 従来のコネクタ付き配線体の使用状態を示す説明図。
符号の説明
20:電子部品内蔵コネクタ
22:ハウジング
24:第一のハウジング
26:第二のハウジング
26a:本体
26b:蓋体
28:ヒンジ部
30:通信制御IC(電子部品)
32:双方向雌接続子(機器側接続部品)
34:バスバー接続子(電線側接続部品)
36:コンデンサ
38:電線押さえ具
40:組電線
40a:電線
48:機器側リード
50:電線側リード
52:機器側コネクタの雄端子
54:機器側リード48の挿入部
56:機器側コネクタの雄端子52の挿入部
58:弾性舌片
60:圧接端子
62:雌端子
74:電子部品内蔵コネクタ付き配線体
78:突条
80:溝
82:縦長楕円通路
84:横長楕円通路
86:逆U字形の深い溝
88:浅い溝
90:半楕円溝

Claims (11)

  1. ハウジング内に、電子部品と、この電子部品のリードを電線に接続する接続部品とを収納する電子部品内蔵コネクタであって、前記ハウジングは、前記電子部品を収納する第一のハウジングと、前記接続部品を収納する第二のハウジングとに分割されており、前記第一と第二のハウジングを結合することで、前記電子部品のリードが前記接続部品に接続されるようになっていることを特徴とする電子部品内蔵コネクタ。
  2. ハウジング内に、機器側リード及び電線側リードを有する電子部品と、この電子部品の機器側リードを機器側コネクタに接続する機器側接続部品と、前記電子部品の電線側リードを電線に接続する電線側接続部品とを収納する電子部品内蔵コネクタであって、前記ハウジングは、前記電子部品及び機器側接続部品を収納する第一のハウジングと、前記電線側接続部品を収納する第二のハウジングとに分割されており、前記第一と第二のハウジングを結合することで、前記電子部品の電線側リードが前記電線側接続部品に接続されるようになっていることを特徴とする電子部品内蔵コネクタ。
  3. 前記電線側接続部品は、前記電線に圧接接続される圧接端子と、前記電子部品の電線側リードが接続される雌端子とを一体に有するバスバー接続子であることを特徴とする請求項2記載の電子部品内蔵コネクタ。
  4. 前記第二のハウジングは、本体と蓋体に分割され、本体と蓋体で第二のハウジングを通過する電線を挟み付けるようになっていることを特徴とする請求項3記載の電子部品内蔵コネクタ。
  5. 前記第二のハウジングには、バスバー接続子の位置決め部を有する電線押さえ具が組み込まれており、前記バスバー接続子は、前記電線押さえ具に位置決めして仮係止し、その後、本係止することで、電線に圧接接続されるようになっていることを特徴とする請求項3又は4記載の電子部品内蔵コネクタ。
  6. バスバー接続子に、バスバー接続子と電子部品のリードとの導通検査を行うための検査接点を設けたことを特徴とする請求項3又は4記載の電子部品内蔵コネクタ。
  7. 前記第二のハウジングの本体と蓋体の電線を挟み付ける部分は、その部分の壁厚方向に、長軸が本体と蓋体の合わせ目方向と直角方向に向く縦長楕円通路と、長軸が前記合わせ目方向に向く横長楕円通路とが交互に設けられ、前記縦長楕円通路及び横長楕円通路の長径が電線外径よりも大きく、短径が電線外径よりも小さく設定されていることを特徴とする請求項4記載の電子部品内蔵コネクタ。
  8. 第二のハウジングの本体と蓋体の合わせ目が壁厚方向に複数に分割され、壁厚方向に隣り合う合わせ目の高さ位置が異なっていることを特徴とする請求項7記載の電子部品内蔵コネクタ。
  9. 第二のハウジングの本体と蓋体の合わせ目の、電線引出部以外の部分は、壁厚方向に合わせ目の高さ位置が変化するように段差が設けられており、電線引出部の縦長楕円通路と横長楕円通路は、電線引出部以外の部分の合わせ目の高さ位置の変化に対応して、合わせ目の高さ位置が電線引出部の孔のほぼ中心の高さとなっている壁厚部分には横長楕円通路が設けられ、合わせ目の高さ位置が電線引出部の孔のほぼ中心の高さと異なる高さとなっている壁厚部分には縦長楕円通路が設けられていることを特徴とする請求項7記載の電子部品内蔵コネクタ。
  10. 前記機器側接続部品は、電子部品の機器側リードの挿入部と、機器側コネクタの雄端子の挿入部とが互い違いに設けられた双方向雌接続子であることを特徴とする請求項2記載の電子部品内蔵コネクタ。
  11. 複数本の電線からなる組電線に、長手方向に所要の間隔をおいて、請求項1ないし10のいずれかに記載の電子部品内蔵コネクタが多数取り付けられていることを特徴とする電子部品内蔵コネクタ付き配線体。
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