JP5444430B2 - 開き扉非常脱着補助装置 - Google Patents
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Description
本発明は、トイレブース等において、扉枠に回動可能に軸釣した開き扉の室内側で使用者が倒れるなど、開き扉を取り外さない限り開けられない非常時に、開き扉を扉枠に対して脱着するために使用する開き扉非常脱着補助装置に関する。
従来、トイレブース等において、開き扉用のヒンジ装置の中には、目立たずに装着され見栄えが良いことから、上下のヒンジ部に備えた枢軸(ピボット軸)で開き扉を枢支して回動可能に片側袖パネル等の扉枠に軸釣する、所謂ピボットヒンジ型の軸釣装置が多くなっている。
しかし、この種の軸釣装置には、扉枠の天井側と開き扉との間に隙間が少ない場合、開き扉を扉枠に吊り込むときに、上向きに突出する上ヒンジ部の枢軸が障害になって、開き扉を吊り込み難く、隙間の狭さによっては、吊り込み不能な場合があるなどの問題があった。
そこで、従来の軸釣装置の中には、そのような問題を解決すべく、上ヒンジ部を構成する上吊り金具を改良したピボットヒンジ型の軸釣装置が提案されている。この従来の軸釣装置の上吊り金具は、先端頭部の基端側外周に係止溝を形成した上部枢軸を、付勢ばねで弾発付勢して開き扉の上端に進退自在に挿設し先端が突出した状態で把持する開き扉側の枢着具と、枢着具と対応する扉枠に固定するアングル板の支持具とで構成し、開き扉を扉枠に吊り込むとき、上部枢軸の頭部を付勢ばねに抗して押し下げて、いったん引っ込めてから、付勢ばねの付勢力で突出する上部枢軸の頭部を支持具の軸受穴に係合させることにより、開き扉の建て付け箇所が開き扉と上枠部との間に殆んど隙間がなくても開き扉を扉枠に軸釣することができ、しかも、そのとき、係止溝に抜け止め具を係止して上部枢軸を抜け止めするようになっている(特許文献1参照)。
ところが、例えばトイレブースにおいて、開き扉を施錠したまま、トイレ室内で使用者が倒れる緊急事態が発生した場合には、救出するために解錠して開き扉を開けたくても、開き扉は戸当りによって外開きを規制されて内側にだけ開くことが可能であるところ、倒れた使用者が邪魔になって内側にも開けられず、結局、緊急に、開き扉自体を扉枠から取り外さなければならないことがある。しかし、従来、開き扉自体を扉枠から取り外には、身の回りの道具を使い、開き扉の横から覗いて抜け止め具を上部枢軸の係止溝から外し、次いで、上部枢軸の頭部を付勢ばねに抗して押し下げて、支持具の軸受穴から外して初めて、開き扉を扉枠から取り外すことができ、そのため、開き扉の取り外し作業には、熟練や経験が必要で、そうでない限り、とても面倒で困難であるという課題があった
そこで、本発明の目的は、扉枠に回動可能に軸釣した開き扉を取り外さない限り開けられない非常時に、開き扉を扉枠に対し熟練や経験を要せずとも簡単に脱着できるようにすることにある。
そこで、請求項1に記載の発明は、たとえば以下に示す図示実施の形態のとおり、上下のヒンジ部に有する枢軸を支点として扉枠Fに開き扉Dを回動可能に軸釣する軸釣装置Aの前記上ヒンジ部を構成し、先端33には頭部33aの基端側外周に係止溝35のような係止部を形成した上部枢軸30を、弾発付勢して開き扉Dの上端に進退自在に挿設し先端33が突出した状態で把持する開き扉側の枢着具20と、該枢着具20と対応する前記扉枠Fに固定する支持具15とからなり、該支持具15に有する軸受穴19のような軸受部に前記上部枢軸30の頭部33aを係合して開き扉Dを扉枠Fに軸釣するとき、前記係止部に抜け止め具25を係止して前記上部枢軸30を抜け止めする上吊り金具A1に搭載し、開き扉Dを扉枠Fに対して脱着するために使用する開き扉非常脱着補助装置Rであって、正逆回転方向に応じて、先端52aを係止した前記抜け止め具25を進退させて前記上部枢軸30の係止部に対して係脱させる第1アーム55と、先端62bを前記上部枢軸30の頭部33aの上に載せる第2アーム60を同軸上に有した回転体50を、ドライバ等の外部操作部材による操作で回転自在に備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の開き扉非常脱着補助装置Rにおいて、たとえば以下に示す図示実施の形態のとおり、前記回転体50を前記外部操作部材で操作する操作溝59のような操作部を、開き扉外側の正面に向けて設けることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の開き扉非常脱着補助装置Rにおいて、たとえば以下に示す実施の形態のとおり、前記開き扉Dの上側を遮蔽板で覆って外部から遮蔽する一方、該遮蔽板に前記外部操作部材の先を通す小穴を開けて前記回転体50の操作部のみを外部に臨ませてなることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1、2又は3に記載の開き扉非常脱着補助装置Rにおいて、たとえば以下に示す図示実施の形態のとおり、前記回転体50を回転して前記抜け止め具25を進退させるとき、該抜け止め具25を案内するガイド溝44のようなガイド部を備えることを特徴とする。
従って、請求項1に記載の発明によれば、開き扉を取り外さない限り開けられない非常時に、開き扉自体を扉枠から取り外す場合でも、例えば身の回りにある外部操作部材を用いて正方向に回転体を回転すると、その正回転に応じて、第1アームが先端を係止した抜け止め具を上部枢軸から後退させて係止部から外すと同時に、第2アームが上部枢軸の頭部の上に載った先端で上部枢軸を弾発付勢に抗して押し下げ、上部枢軸の頭部を支持具の軸受部から外すことができる。そのように外部操作部材を使って回転体を回転するワンアクションで、抜け止め具を上部枢軸の係止部から外す同時に上部枢軸の頭部を支持具の軸受部から外すことができるから、その後は、開き扉を持ち上げて、下ヒンジ部を構成する下吊り金具の枢着具を支持具から外すだけでよく、熟練や経験がなくても簡単にワンタッチで開き扉を扉枠から取り外すことができる。
更に、請求項1に記載の発明によれば、例えば緊急事態を解決してから、開き扉を扉枠に取り付けて元に戻す場合は、開き扉を持ち上げ、下吊り金具の支持具に枢着具を取り付けてから、上吊り金具の上部枢軸の頭部を、いったん弾発付勢に抗して押し下げて引っ込めてから、弾発付勢力で突出させて支持具の軸受部に係合させる。すると、本発明の開き扉非常脱着補助装置は、突出させた上部枢軸の頭部により第2アームの先端が押し上げられて、回転体を取り外し時とは逆方向に回転し、その回転体の逆回転に応じて、第1アームが先端を係止した抜け止め具を前進させて係止部に係止し、上部枢軸を自動的に抜け止めして開き扉を扉枠に軸釣することができる。このように開き扉を取り付けるときも、開き扉を持ち上げて、上部枢軸の頭部を支持具の軸受部に係合するだけで、回転体が逆回転して抜け止め具を自動的に上部枢軸の係止部に係止し、面倒で困難な抜け止め具の取り付け作業が省略されるため、それだけ熟練や経験がなくても簡単にワンタッチで開き扉を扉枠に取り付けて元に戻すことができる。
請求項2に記載の発明によれば、操作しやすい開き扉外側の正面から、操作部を外部操作部材で操作すればよいから、開き扉の扉枠に対する取り付け取り外し作業を、無理なく簡単に行うことができる。
請求項3に記載の発明によれば、開き扉の上側を遮蔽板で覆って外部から遮蔽する一方、遮蔽板に外部操作部材の先を通す小穴を開けて回転体の操作部のみを外部に臨ませる構成にすることにより、外観上、開き扉の上側に小穴が開くだけで済み、トイレブース等における扉周りの美観を低下させることなく、本装置を設置することができる。
請求項4に記載の発明によれば、回転体を回転して抜け止め具を進退させるとき、抜け止め具を落下させることなく案内してスムーズに往復移動させることができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の最良形態について説明する。
図1に本発明の開き扉非常脱着補助装置を搭載した軸釣装置の上吊り金具を、開き扉の吊り込み状態で示し、図2および図3は軸釣装置で開き扉を扉枠に吊り込んだ状態の扉周りの構造を示す。例えばトイレブースにおいて、図中符号Aは一対の上下ヒンジ部を備えたピボットヒンジ型の軸釣装置、Dは開き扉、Fは開き扉Dを吊り込んで支持する扉枠である。軸釣装置Aは、下ヒンジ部としての下吊り金具A1と、上ヒンジ部としての上吊り金具A2とからなり、開き扉Dと扉枠Fとの下部側を下吊り金具A1で、上部側を上吊り金具A2でそれぞれ軸釣して開き扉Dを扉枠Fに回動可能に吊り込む。本発明は、この軸釣装置Aの上吊り金具A2に搭載し、開き扉Dのトイレ室内側で使用者が倒れるなど、開き扉を取り外さない限り開けられない非常時に、開き扉Dを扉枠Fに対して脱着するために使用する開き扉非常脱着補助装置Rである。
軸釣装置Aの下吊り金具A1は、扉枠Fの片側袖パネル10の木口下端にねじ止めする支持具11と、開き扉Dの下端の吊元側にねじ止めする枢着具12とからなる。支持具11は、L型に屈曲して取付板部と支持板部からなるアングル材で、支持板部に回り止め形状の軸受穴を設けてなる。枢着具12は、開き扉Dの下端に埋設した軸筒内に、先端の頭部が支持具11の軸受穴の穴形状と同じ回り止め形状の下部枢軸を挿設し、先端の頭部を開き扉Dの下端面から突出させて保持してなる。下吊り金具A1は、枢着具12の下部枢軸を片側袖パネル10に固定の支持具11の軸受穴に嵌着して組み立てると、下部枢軸を支点として開き扉Dの下部側を回動可能に枢支する構造になっている。
上吊り金具A2は、扉枠Fの側に組み付ける支持具15と、開き扉Dの側に組み付ける枢着具20と、枢着具20の抜け止め具25からなる。
支持具15は、図1および図4に示すように、L型に屈曲して複数のねじ穴をあけた取付板部15aと支持板部15bからなるアングル材で、支持板部15bの先端に四角い回り止め形状の回り止め穴16を設け、回り止め穴16と取付板部15a間に細長い逃げ穴17が設けられている。回り止め穴16には、丸い軸受穴19を開けた滑りやすい樹脂製の軸受部材18を嵌め込む。以って、支持具15は、取付板部15aを片側袖パネル10の木口上端にねじ止めして支持板部15bを水平な横向きに突出させる。
枢着具20は、上部枢軸30と、上部枢軸30を把持する軸筒31と、上部枢軸30を弾発付勢する圧縮コイルばねの付勢ばね32を備える。
上部枢軸30は、金属製で、細長い円柱状をなし、先端33を、支持具15の軸受穴19に係合する突端の頭部33aと、頭部33aの基端側外周に形成した係止溝35と、頭部33aと係止溝35間の抜け止め顎部33bとで形成する。軸筒31は、樹脂製の軸筒本体36と金属製の取付プレート37とからなる。軸筒本体36は、上端に開口を開けた有底の円筒部36aと円筒部36aの上端から直交する横向きに延びるやや細長で浅底なケース部36bとからなる。
そこで、枢着具20は、軸筒31の円筒部36a内に付勢ばね32を嵌装してから、上部枢軸30を嵌挿した後に取付プレート37を軸筒本体36のケース部36bに嵌着する。それから、取付プレート37の軸穴38に、上部枢軸30の軸部形状に合わせて軸挿通穴39を開けた樹脂製ハット形の軸受管21を嵌め込む。以って、枢着具20は、上部枢軸30を付勢ばね32で弾発付勢し、図1に示すように、先端33が軸筒31の軸挿通穴39から突出した状態で進退自在に把持して組み立ててなる。
抜け止め具25は、矩形な金属プレートからなり、図4でも示すように、片側端縁に上部枢軸30の係止溝35に係止するU形に切り欠いた抜け止め凹部22を設けると共に、抜け止め凹部22と同一線上にあって他側の端縁寄りに掛け止め穴23を設けてなる。
上吊り金具A2において、枢着具20は、図1に示すように、開き扉Dの上端面の吊元寄りに予め穿設した取付穴24に軸筒31の円筒部36aを嵌め込み、取付プレート37を上端面にねじ止めして開き扉Dに組み付ける。
そこで、軸釣装置Aで開き扉Dを扉枠Fに吊り込む場合は、開き扉Dを持ち上げて、下吊り金具A1の支持具11の軸受穴に枢着具12の下部枢軸を係合し、下吊り金具A1で開き扉Dを回動可能に片側袖パネル10の木口下端に軸釣してから、上吊り金具A2の支持具15の軸受穴19に枢着具20の上部枢軸30の頭部33aを係合し、上吊り金具A2で開き扉Dを回動可能に片側袖パネル10の木口上端に軸釣する。
上吊り金具A2で開き扉Dを片側袖パネル10の木口上端に軸釣するときは、上部枢軸30の頭部33aを付勢ばね32に抗して押し下げ、いったん軸筒31の円筒部36a内に引っ込めてから、頭部33aが支持具15の軸受穴19の真下に至ったとき、頭部33aから掛けた指を外すと、付勢ばね32の付勢力で上部枢軸30が突出して支持具15の軸受穴19に係合する。しかる後、上吊り金具A2は、掛け止め穴23を支持具15の取付板部15a側の向きにして抜け止め具25を支持板部15bの真下から差し込むように抜け止め凹部22を上部枢軸30の係止溝35に係止し、上部枢軸30を抜け止め状態で支持具15に枢着して開き扉Dを回動可能に片側袖パネル10の木口上端に軸釣する。
さて、上吊り金具A2に搭載する開き扉非常脱着補助装置Rは、図4に示すように、支持台40と、支持台40に回転自在に取り付ける回転体50を備えてなる。
支持台40は、支持具15の支持板部15bの大きさと表面凸凹形状に合わせて形成した台座部40aと、台座部40aを挟んだ両側に立設した一対の対向側板部40bからなる。台座部40aには、支持板部15bの軸受穴19と逃げ穴17にそれぞれ対応させて逃げ丸穴41と逃げ長穴42が設けられている。対向側板部40b・40bには、上端縁にそれぞれU形の軸受凹部43を設け、向い合う内壁面に抜け止め具25の両側縁が係合する断面コ形の細長いガイド溝44が平行に設けられている。軸受凹部43は、入口が幅狭な馬蹄形の抜け止め形状に凹設してなる。
回転体50は、本体部の第1アーム55と、第1アーム55に連結する第2アーム60と、スペーサ65を備えてなる。
第1アーム55は、図4および図5に示すように、枢軸部51と、枢軸部51の外周面に突設したアーム部52からなる。枢軸部51は、軸方向両端にそれぞれ一段細径な車輪部46・47を設ける一方、車輪部46・47間の内部を中空に形成し、そこに第2アーム60に有する連結軸部61を嵌め込む連結穴48を形成する共に、外周面には取付口49を開口している。連結穴48の車輪部46・47側には、互いに向き合う一段小径な係合穴46a・47aを凹設する一方、係合穴46a・47aの反対の外側に、回転体50の操作部として、細長い操作溝59が設けられている。取付口49は、第2アーム60の連結軸部61の外形状に合わせて、軸方向に細長い矩形な開口部分の車輪部46側に逃げ部分49aを切り欠いてなる。一方、アーム部52は、取付口49に対し枢軸部51の周方向に一定角度開いた外周面の離隔位置から、径方向外向きに細長い舌状に突出し、先端に爪状の掛け止め部52aを設けてなる。
第2アーム60は、連結軸部61と、連結軸部61の外周面に突設したアーム部62からなる。連結軸部61は、軸方向両端にそれぞれ一段細径な係合凸部61a・61bを設ける。アーム部62は、連結軸部61の外周面から径方向外向きに幅広な板状に突出したアーム本体62aと、アーム本体62からく字状に屈曲して突出した円柱状の押え突部62bからなる。なお、スペーサ65は、例えば樹脂材により、第1アーム55に開いた取付口49の逃げ部分49a側の凹みから係合穴46aに嵌め込み可能な凸部65aを、片側端部に有すると共に、その反対側の端部に、第2アーム60における連結軸部61の係合凸部61aが係合可能な凹部65bを有した形状に成形してなる。
そこで、回転体50は、第2アーム60の連結軸部61を、押え突部62bを第1アーム55のアーム部52の突出する向きに合わせて、取付口49から連結穴48に嵌入し、係合凸部61bを連結穴48内の係合穴47aに係合してから、取付口49の逃げ部分49a側に開いた空隙からスペーサ65を入れて凸部65aを連結穴48内の係合穴46aに係合する一方、図5(B)に示すように、凹部65bに第2アーム60の連結軸部61の係合凸部61aを係合して敷き詰めることにより、第1アーム55に第2アーム60を組み付けて一体に連結し、以って図6に示すように組み立てる。
この回転体は、図7に示すように、車輪部46・47を支持台40の軸受凹部43・43に押し込んで係合し、第1アーム55および第2アーム60が対向側板部40b・40b間で回動可能に枢軸部51を懸架する。そして、第1アーム55は先端の掛け止め部52aが逃げ長穴42に係合し、第2アーム60は先端の押え突部62bが逃げ丸穴41に嵌合した状態で、回転体50を支持台40に組み付け、以って、本発明の開き扉非常脱着補助装置Rが組み立てられる。
開き扉非常脱着補助装置Rは、図4に示すように、支持台40(台座部40a)の逃げ丸穴41と逃げ長穴42を、それぞれ支持具15(支持板部15b)の軸受穴19と逃げ穴17に合わせて、支持板部15b上に台座部40aを重ね合わせ、図8および図9(A)に示すように、第1アーム55は先端の掛け止め部52aを逃げ穴17に通して抜け止め具25の掛け止め穴23に係止する一方、第2アーム60は先端の押え突部62bを上部枢軸30の頭部33a上に載せた状態とし、それから、支持板部15b上に台座部40aを止めねじ70で固定し、回転体50を、外部操作部材の操作により回転できるように操作部の操作溝59をトイレ室外側(開き扉外側)の正面に向けて上吊り金具A2に搭載する。
従って、図示例の開き扉非常脱着補助装置Rは、開き扉D外側の正面から、マイナスドライバ等の外部操作部材を使い、その先を操作溝59に差し込んで、正方向、例えば図9(A)中矢示する時計方向に回転体50を回転すると、この1つの回転動作だけで、第1アーム55が掛け止め穴23に係止した先端の掛け止め部52aで抜け止め具25を上部枢軸30から後退させて抜け止め凹部22を係止溝35から外すと同時に、第2アーム60が上部枢軸30の頭部33a上に載った押え突部62bで頭部33aを付勢ばね32に抗して押し下げ、支持具15の軸受穴19から外れる構成になっている。抜け止め具25が後退して上部枢軸30の係止溝35から外れるときは、抜け止め具25をガイド溝44で案内し、ガイド溝44に沿って退避位置まで移動する。
反対に、回転体50が図中反時計方向に逆回転すると、第2アーム60は先端の押え突部62bが上部枢軸30の軸受穴19から離れる方向に回ると同時に、第1アーム55は退避位置にある抜け止め具25を掛け止め穴23に係止したまま先端の掛け止め部52aでガイド溝44に沿って前進させて、抜け止め凹部22を係止溝35に係止して自動的に上部枢軸30を抜け止めする構成になっている。
ところで、例えばトイレブースにおいて、開き扉Dを施錠したまま、トイレ室内で使用者が倒れる緊急事態が発生した場合には、救出するために解錠して開き扉Dを開けたくても、開き扉Dは戸当りによって外開きを規制され、内側にのみ開くことが可能であるところ、倒れた使用者が邪魔になって内側にも開けられず、結局、緊急に、面倒でも開き扉D自体を片側袖パネル10から取り外さなければならないことがある。
しかし、図示例の開き扉非常脱着補助装置Rは、緊急に開き扉D自体を片側袖パネル10から取り外す場合でも、トイレ室外側の正面から、身の回りにある外部操作部材、例えばマイナスドライバを操作溝59に差し込みで、図9(A)中矢示する時計回りの正方向に回転体50を回転すると、その正回転に応じて、第1アーム55が掛け止め穴23に係止した先端の掛け止め部52aで抜け止め具25を上部枢軸30からガイド溝44に沿って退避位置まで後退させて、抜け止め凹部22を係止溝35から外すと同時に、第2アーム60が上部枢軸30の頭部33a上に載った先端の押え突部62bで上部枢軸30を付勢ばね32に抗して押し下げ、頭部33aを支持具15の軸受穴19から外すことができる。そのようにトイレ室外側の正面から、外部操作部材を使って回転体50を回転するワンアクションだけで、抜け止め具25を上部枢軸30の係止溝35から外す同時に上部枢軸30の頭部33aを支持具15の軸受穴19から外すことができるから、その後は、開き扉Dを持ち上げて、下吊り金具A1の支持具11の軸受穴から枢着具12の下部枢軸を外すだけでよく、熟練や経験がなくても簡単にワンタッチで開き扉Dを片側袖パネル10から取り外すことができる。
しかも、緊急事態を解決してから、開き扉Dを片側袖パネル10に取り付けて元に戻す場合も、開き扉Dを持ち上げ、下吊り金具A1の支持具11の軸受穴に枢着具12の下部枢軸を係合してから、上部枢軸30の頭部33aを、いったん付勢ばね32に抗して押し下げて軸筒31の円筒部36b内に引っ込めてから、付勢ばね32の付勢力によって突出させて支持具15の軸受穴19に係合させる。すると、本発明の開き扉非常脱着補助装置Rは、突出させた上部枢軸30の頭部33aにより第2アーム60の押え突部62bが押し上げられて、回転体50を、取り外し時とは逆方向の図中反時計回り回転し、その逆回転に応じて、第1アーム55が、退避位置に後退した抜け止め具25を掛け止め穴23に係止した掛け止め部52aでガイド溝44に沿って前進させて抜け止め凹部22を係止溝35に係止し、上部枢軸30を自動的に抜け止めして開き扉Dを片側袖パネル10に軸釣することができる。このように開き扉Dを取り付けるときも、開き扉Dを持ち上げて、上部枢軸30の頭部33aを支持具15の軸受穴19に係合するだけで、回転体50が逆回転して抜け止め具25を自動的に上部枢軸30の係止溝35に係止し、面倒で困難な抜け止め具25の取り付け作業が省略されるため、それだけ熟練や経験がなくても簡単にワンタッチで開き扉Dを扉枠Fに取り付けて元に戻すことができる。
ところで、上述した図示実施の形態において、開き扉非常脱着補助装置Rは、トイレ室外側の正面に向けて全体が外部に露出した状態で上部吊り金具A2に搭載するが、本発明は、開き扉Dの天井側を、例えば幕板等の遮蔽板で覆って開き扉非常脱着補助装置Rを外部から遮蔽する一方、幕板にマイナスドライバ等の外部操作部材の先を通す小穴を開けて回転体50の操作溝59のみを外部に臨ませると共に、上述した開き扉Dを取り外す非常時には、「外部操作部材を小穴から操作溝59に差し込んで矢示する方向に回転体50を回転するだけでよい」と云うような簡単な操作手順を付記する構成にすると良い。
A 軸釣装置
A1 下吊り金具
A2 上吊り金具
D 開き扉
F 扉枠
R 開き扉非常脱着補助装置
10 片側袖パネル
15 上吊り金具の支持具
19 軸受穴
20 枢着具
25 抜け止め具
30 上部枢軸
32 付勢ばね
33 上部枢軸の先端
33a 頭部
35 係止溝
50 回転体
52b 掛け止め部
55 第1アーム
60 第2アーム
62b 押え突部
A1 下吊り金具
A2 上吊り金具
D 開き扉
F 扉枠
R 開き扉非常脱着補助装置
10 片側袖パネル
15 上吊り金具の支持具
19 軸受穴
20 枢着具
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33 上部枢軸の先端
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62b 押え突部
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- 上下のヒンジ部に有する枢軸を支点として扉枠に開き扉を回動可能に軸釣する軸釣装置の前記上ヒンジ部を構成し、先端には頭部の基端側外周に係止部を形成した上部枢軸を、弾発付勢して開き扉の上端に進退自在に挿設し先端が突出した状態で把持する開き扉側の枢着具と、該枢着具と対応する前記扉枠に固定する支持具とからなり、該支持具に有する軸受部に前記上部枢軸の頭部を係合して開き扉を扉枠に軸釣するとき、前記係止部に抜け止め具を係止して前記上部枢軸を抜け止めする上吊り金具に搭載し、開き扉を扉枠に対して脱着するために使用する開き扉非常脱着補助装置であって、
正逆回転方向に応じて、先端を係止した前記抜け止め具を進退させて前記上部枢軸の係止部に対して係脱させる第1アームと、先端を前記上部枢軸の頭部の上に載せる第2アームを同軸上に有した回転体を、外部操作部材による操作で回転自在に備えることを特徴とする、開き扉非常脱着補助装置。 - 前記回転体を前記外部操作部材で操作する操作部を、開き扉外側の正面に向けて設けることを特徴とする、請求項1に記載の開き扉非常脱着補助装置。
- 前記開き扉の上側を遮蔽板で覆って外部から遮蔽する一方、該遮蔽板に前記外部操作部材の先を通す小穴を開けて前記回転体の操作部のみを外部に臨ませてなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の開き扉非常脱着補助装置。
- 前記回転体を回転して前記抜け止め具を進退させるとき、該抜け止め具を案内するガイド部を備えることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の開き扉非常脱着補助装置。
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