JP5443652B2 - ハイドロリック形式で調節された電磁機械式のアクチュエーター及び制御のためにそのアクチュエーターが搭載された着陸装置 - Google Patents

Description

本発明は、ハイドロリック調節を備える電磁機械式のアクチュエーターと、操作のためにそのアクチュエーターが搭載された着陸装置と、に関する。

本発明に係るアクチュエーターは、特に航空分野における用途のために設計されたが、特に電源供給がない場合又は電気モーターが誤動作を生じた場合にアウトプットシャフトの回転が制御されなければならない他の用途においても使用され得る。

航空機の着陸装置は、展開ポジションと後退ポジションとの間の操作が例えばシリンダーのようなハイドロリック形式のアクチュエーターによって行われることが公知である。多くの場合着陸装置は、シリンダーが着陸装置の降下速度を制限するためのレギュレーターとして使用されて重力によって降下される。この目的を達成するため、シリンダーのチャンバーから流体が放出されて流されるため、体積は降下時に減少される。このブレーキは自動であるため、ハイドロリック動力が故障した場合でさえ実行され、高いレベルの安全性を示す。

特に軽量航空機において、着陸装置の枢動部で直接的に又はアクチュエーターに取付けられたクランクと着陸装置の箱部（caisson）との間に結合された連結ロッドによって間接的に着陸装置と協働する、回転式電磁機械式のアクチュエーターも使用される。繰り返すが、着陸装置の降下が重力によって行われ、電磁機械式のアクチュエーターが降下レギュレーターとして使用される。この目的を達成するため、アクチュエーターの電気モーターは、抵抗トルクを働かせて着陸装置の降下速度を調節するように電源供給される。

しかしながら、電源が供給されない場合又は電気モーターが誤動作を生じた場合、ブレーキ、ひいては着陸装置の降下の制御を可能とするモーターの要素がなく、着陸装置が制御されずに降下する場合、降下が着陸装置の軌道の最後まで伸びきったときの損傷のリスクがかなり大きいため問題となり得る。

このリスクを回避するため、アクチュエーターのモーターの故障リスクを低減するべく多くの電気モーターを備えたアクチュエーターの搭載を想定し得るが、アクチュエーターを制御する必要のある２つ又は３つのモーターの搭載は、かなりのアクチュエーターの重量及び体積の増加となる。更に、全体電源喪失の場合の問題は依然として残る。

本発明の目的は、外因によってアクチュエーターが駆動されたときに速度の受動的調節を可能とする電磁機械式のアクチュエーターを提供することにある。

この目的を達成するため、本発明は、減速ギヤによって回転するシャフトを駆動するための電気モーターとシャフトの回転速度の制御を可能とする調節手段とを具備する電磁機械式のアクチュエーターに関する。本発明によれば、調節手段は、受動的であり、減速ギヤのアウトプットと駆動されるシャフトとの間に配置されたブレーキ部材を具備しており、そのブレーキ部材はシャフトの回転方向に応じて２つの異なるブレーキレベルを確保するように配置されている。

従って、電気モーターが操作不能となった場合であっても、駆動装置は、シャフトの回転速度が制御されるようにシャフトをブレーキし続ける。

更にブレーキ手段は、回転方向によって異なる、シャフトの変位に対する抵抗に抗する。この特徴は、着陸装置の上昇中に抗される抵抗が上昇に必要なエネルギー量を減らすためにゼロにさえ制限されるように選択され得るのに対し、降下の制御を可能とする抵抗が比較的高く選択され得る着陸装置のアクチュエーターの用途の場合において、特に興味深い。

本発明に係る好適な実施形態において、ブレーキ部材は、ハイドロリック形式であると共に、アウトプットシャフトの回転による選択的に流す部材を通る一方のチャンバーから他方のチャンバーへの流体の輸送のための手段を具備し、その選択的に流す部材が、アクチュエーターの回転方向に応じて、一方のチャンバーから他方のチャンバーへの流体の輸送のために２つの別個の抵抗に抗する。

本発明は、限定さない例示による添付図面を参照にしつつ詳細な例示的実施形態の参照によってより理解される。

本発明に係るアクチュエーターの長手方向断面図である。 図１に示された調節ステージのレベルにおける線II−IIに沿った断面図である。 図１及び図２のアクチュエーターのハイドロリック回路の例示的実施形態である。

図１によれば、本発明に係るアクチュエーター１は、駆動ステージ１０、減速ステージ２０及び調節ステージ３０を具備する。駆動ステージ１０は、電気モーター１１と、固定子１２と、変形可能なベル２３を備えた「ハーモニックドライブ（登録商標）」形式の減速ギヤ２２のインプット部材２１と協働して減速ステージ２０内へと穿通するアウトプットシャフト１４を有して示され得る回転子１３と、を具備する。この減速ギヤは、顕著な減速比を提供することで公知である。変形可能なベル２３と関連付けられたアウトプットシャフト２４は、アクチュエーター１のアウトプットシャフトを構成するアウトプットシャフト４を具備するブレーキ部材と協同して調節ステージ３０内へと穿通する。

図２に示されたように、ブレーキ部材は、ケーシング３１であって、当該ケーシング３１内でパドル３３を有するローター３２が減速ギヤ２２のアウトプットシャフト２４によって駆動されることにより回転する円形断面のケーシング３１を具備する。固定区分３８は、ローター３２及びパドル３３の回転で体積が変化する２つのチャンバー３４及び３５をローター３２及びパドル３３で画成するためにケーシング３１内で延在しているため、チャンバーの一方の体積が増加したとき、他方のチャンバーの体積が減少する。２つのチャンバー３４、３５は、ここで太線によって流体接続が示された図３との関係で示した所定の数のハイドロリック要素を具備するハイドロリックブロック３７によって、アキュームレーター３６（図１に示す）と流体的に接続されている。

チャンバー３４は、第１の流体分岐４０によってアキュームレーター３６へと接続されている。第１の流体分岐４０は、直列に配置されると共に、制限器４２であって流体がチャンバー３４からアキュームレーター３６へと通過するときに流体に力を加えて当該制限器４２を通過させる逆止弁４３に関連付けられた制限器４２をそれぞれ具備した、２つのハイドロリック要素４１を具備する。同様にチャンバー３５は、第２の流体分岐４４によってアキュームレーター３６に接続されている。第２の流体分岐４４は、調節制限器４５を具備する。

ブレーキ部材の操作は、以下のようになる。電気モーター１１の駆動により又は外因により、パドル３３は図２の矢印によって示された方向に回転し、そのため、チャンバー３４の体積が減少し、流体の通過に対して大きな抵抗を働かせることによりパドル３３の回転のブレーキ、ひいてはアクチュエーターのアウトプットシャフト４の回転のブレーキを支援する制限器４２を通過することにより、第１の流体分岐４０を介してチャンバー３４からアキュームレーター３６へと液体が放出される。流体は、並列な第２の流体分岐４４の制限器４５を通過することによって、アキュームレーター３６からチャンバー３５へと通過する。しかしながら、チャンバー３５内でキャビテーションが生じないために、この制限器４５は適当に開かれており且つアキュームレーター３６の圧力は適当な高さである。

逆の方向にパドルが回転するとき、チャンバー３５の体積が減少すると共に第２の流体分岐４４の制限器４５を介してアキュームレーター３６へと液体が放出されるが、その第２の流体分岐４４は低い抵抗を抗するためアウトプットシャフト４の回転速度の調整を可能とする。流体は、並列な第２の流体分岐の逆止弁４３を通過することによって、アキュームレーター３６からチャンバー３４へと流れ、この方向に通過する場合において制限器４２は迂回(shunted)される。

従って、（アキュームレーターを介した）一方のチャンバーから他方のチャンバーへの輸送は、選択的に流す（一方の回転方向において速く流し、他方の回転方向において遅く流す又は略流れない）流す部材を通過するように流体に力を加えるため、ブレーキ部材は、アクチュエーターのアウトプットシャフトの回転方向に応じた２つの別個のブレーキレベルを提供する。このブレーキは完全に受動的であり、特に外因によってアウトプットシャフト４が駆動されたときに実行される。

こうしたアクチュエーターは、好適には展開ポジションと後退ポジションとの間の着陸装置の操作のために使用され得る。それは、直接駆動するために箱部の関節軸線上に配置されることができ、ギヤ区分によって駆動するために着陸装置の箱部の関節軸線に対して並列に配置されることもでき、又は、アクチュエーターによってクランク駆動するために連結された連結ロッドによって着陸装置の箱部と結合させることさえできる。より大きなブレーキを生じさせる回転方向が、重力の影響によって又は関連した風の影響によって展開ポジションへと着陸装置が降下するときのアクチュエーターで駆動する着陸装置に適合することは明らかに保証される。この完全に受動的なブレーキは、アクチュエーターの減速の調節を可能とし、それによって、電源供給喪失又は電気モーターが抵抗トルクを働かせることを防いでいる伝達部材の断裂でさえ、これによって生じる破損に至る危険性がない。図４及び図５で示された変形例として、本発明に係るアクチュエーターは、着陸装置が展開ポジションから後退ポジションへと切り替わるときに関連した要素がスイッチバックなく単純に変位するように設けられたブレースの要素の１つに結合され得る。これらの図は、航空機の構造に箱部５１が接合された着陸装置５０を示す。２つの相互に接合されたアームを具備する折り曲げブレース５２は、一方で航空機の構造に接合されており、他方で箱部に接合されている。ここでロック部材５３は、ブレース５２と図４に示された航空機の構造又は図５に示された着陸装置の箱部との間で延在する２つの接合されたアームも具備する。図４において、本発明に係るアクチュエーター１は、アクチュエーター１のアウトプットシャフト４によって駆動されるクランク５５と協働する連結ロッド５４によってブレース５２の一方のアームに結合されている。

後退ポジションへと着陸装置を上昇させるためには、トルクを働かせるためのアクチュエーターの電気モーターの動力付与で十分であり、それによって着陸装置を上昇させる。図４の構成において、解放アクチュエーター（図示せず）が、ロック部材５３において駆動すると共にブレース５２を解放するために提供されるべきことに留意されたい。他方で、図５の構成において、同一のアクチュエーターは、ブレースを解放し着陸装置をその後退ポジションへと駆動する。

本発明が説明された内容に限定されないことは明らかであり、むしろ、特許請求の範囲によって定義された範囲内の任意の変形例を包含する。特に、ここで説明された調節ステージのブレーキ部材はパドルタイプだが、任意の他のブレーキ部材を使用することも可能であり、アクチュエーターの回転方向に応じて別個のブレーキレベルを働かせるこのブレーキ部材が提供され、そのブレーキレベルの一方は、適切な場合、ゼロ又は他のブレーキレベルと比較して無視することが可能となる。

Claims (6)

1. 電磁機械式のアクチュエーターであって、減速ギヤ（２０）による回転でアウトプットシャフト（４）を駆動するための電気モーター（１１）と、前記アウトプットシャフト（４）の回転速度の制御を可能とすると共に減速ギヤのアウトプットと駆動される前記アウトプットシャフト（４）との間に配置されたブレーキ部材（３０）を有する受動的調節手段（３０）と、を具備し、前記ブレーキ部材（３０）が前記アウトプットシャフト（４）の回転方向に応じて２つの異なるブレーキレベルを確保するように配置されたアクチュエーターにおいて、
   前記ブレーキ部材（３０）が、ハイドロリック形式であると共に、前記アウトプットシャフト（４）の回転による選択的に流す部材（４１）を通る２つのチャンバー（３４、３５）間の流体の輸送のための手段（３３）を具備し、前記選択的に流す部材が、当該アクチュエーターの回転方向に応じて、一方のチャンバーから他方のチャンバーへの前記流体の輸送のために２つの別個の抵抗に抗することを特徴とするアクチュエーター。
2. 前記ブレーキ部材が、円筒状のケーシング（３１）を具備し、該円筒状のケーシング（３１）内において、固定区分（３８）と回転パドル（３３）とが前記２つのチャンバー（３４、３５）を画成するために延在すると共に前記回転パドル（３３）の回転中、前記一方のチャンバーから前記他方のチャンバーへと前記流体の輸送を生じさせる請求項１に記載のアクチュエーター。
3. 前記流体が、アキュームレーター（３６）を通過して前記一方のチャンバーから前記他方のチャンバーへと輸送される請求項１に記載のアクチュエーター。
4. 前記チャンバーの一方が流体分岐を介して前記アキュームレーターと連通し、前記流体分岐は、制限器を備えた少なくとも１つの選択的に流す部材（４１）を具備し、該選択的に流す部材（４１）は、流体が前記チャンバーから前記アキュームレーターへと通過するときには前記制限器を通過させつつも流体が前記アキュームレーターから前記チャンバーへと通過するときには前記制限器を迂回させる逆止弁（４３）と並列である請求項３に記載のアクチュエーター。
5. 後退ポジションと展開ポジションとの間で操作するために請求項１から請求項４のいずれか１つに記載のアクチュエーターを具備する航空機の着陸装置であって、前記アクチュエーターは、該アクチュエーターの前記アウトプットシャフトが当該着陸装置の降下によって前記展開ポジションへと駆動されたときに、前記ブレーキ部材が最大の前記ブレーキレベルを機能させるように構成された着陸装置。
6. 前記アクチュエーターの前記アウトプットシャフトが、前記着陸装置のブレース要素（５２、５３）に結合された請求項５に記載の着陸装置。

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