JP5443033B2 - 欠陥検査装置および方法 - Google Patents
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Description
アルミニウムシートの清浄度を向上させる方策としては、製造現場のクリーン化(クリーンルーム化)を推進することの他、アルミニウムシートのシート面に塗布された活物質の表面および/または当該活物質の内部(以下、「アルミニウムシートのシート面」、または、単に「アルミニウムシート」という。)に異物が存在しているか否かを検査(欠陥検査)し、異物が存在している場合には適宜除去することが挙げられる。
すなわち、X線を用いたアルミニウムシートの欠陥検査方法では欠陥が有る部位と欠陥が無い部位とを精度良く判別するためにX線透過画像のコントラストを大きくする必要があるが、アルミニウムシートの搬送速度が上昇するとアルミニウムシートの単位面積当たりのX線の透過量(露光量)が小さくなるためにX線透過画像が全体として暗くなり、X線透過画像のコントラストが小さくなって欠陥の有無を判別することが困難になる。
しかし、特許文献1に記載の検査装置は検査対象物を一定の領域内で保持する(支持する)構成であるため、特許文献1に記載のX線検査装置を上記アルミニウムシートの如く高速で搬送される検査対象物を検査する用途にそのまま適用することは困難である。
しかし、特許文献2に記載の検査方法は移動しない対象物を前提とするため、特許文献2に記載の検査方法を上記アルミニウムシートの如く高速で搬送される検査対象物を検査する用途にそのまま適用することは困難である。
特許文献3に記載の検査装置のX線源は搬送機構による検査対象物の搬送方向に対して水平な面内かつ検査対象物に対して斜めにX線を照射する。
しかし、特許文献3に記載の検査装置は検査対象物を収容する容器の底部によるX線の過度の吸収に起因する検査精度の低下を解消することを目的としており、高速で移動する(搬送される)検査対象物の検査精度の向上に寄与するものではない。
しかし、特許文献4に記載の検査装置は被検査物が検査位置を通過するタイミング(撮像視野に入るタイミング)とX線発生手段がX線をパルス照射するタイミングとを同期させるものであり、被検査物の搬送速度の高速化に伴う露光量の低下の問題を解消するものではない。
特許文献5に記載の検査装置は、搬送手段により搬送される被検査物中の異物に対応する部分が撮像カメラのほぼ同じ画素に写るように被検査物の移動に同期して反射手段を回転させることにより、撮像カメラにより撮像される可視画像の異物に対応する部分とそれ以外の部分との間のコントラストを大きくし、判定精度を向上させるものである。
しかし、特許文献5に記載の検査装置は、被検査物が一個ずつ順番に搬送されてくるような場合には適用可能であるが、被検査物が長手方向に長い連続した形状である場合には適用することができない。
また、被検査物のどの位置に混入するか分からない状況下では、反射手段を被検査物の移動に同期して回転させるのみで被検査物中の異物の位置と撮像カメラにより撮像される可視画像の画素とを一対一で対応させるように撮像することは事実上困難である。
搬送経路に沿って所定の搬送方向に搬送される検査対象物の欠陥を検査する欠陥検査装置であって、前記搬送経路に沿って搬送される検査対象物に放射線を照射する放射線源と、前記放射線源により照射されて前記検査対象物を透過した放射線を検出する検出器と、前記検出器により検出された放射線の強度に基づいて前記検査対象物の透過画像を生成する画像生成装置と、を具備し、前記放射線源から照射されて前記検出器に検出される放射線の照射方向は、前記搬送経路の搬送面に垂直な方向に対して前記搬送方向の正の方向または負の方向に所定角度傾斜しており、前記検出器は、前記搬送経路の搬送面に垂直な方向に対する前記放射線の照射方向の成す角度の余弦を前記検査対象物の搬送方向における速度に乗じた速度に同期して前記検査対象物を透過した放射線を検出するものである。
搬送経路に沿って所定の搬送方向に搬送される検査対象物の欠陥を検査する欠陥検査方法であって、放射線源により搬送経路に沿って搬送される検査対象物に照射された放射線が前記検査対象物を透過し、検出器により検出される照射・検出工程と、前記検出器により検出された放射線の強度に基づいて前記検査対象物の透過画像を生成する画像生成工程と、を具備し、前記放射線源から照射されて前記検出器に検出される放射線の照射方向は、前記搬送経路の搬送面に垂直な方向に対して前記搬送方向の正の方向または負の方向に所定角度傾斜しており、前記照射・検出工程において、前記検出器は前記搬送経路の搬送面に垂直な方向に対する前記放射線の照射方向の成す角度の余弦を前記検査対象物の搬送方向における速度に乗じた速度に同期して前記検査対象物を透過した放射線を検出するものである。
なお、本発明に係る検査対象物は本実施形態の如きアルミニウムシート1に限定されず、放射線を透過可能な材料からなる物品を広く含む。本発明に係る検査対象物の他の例としては、リチウムイオン二次電池の負極のシート電極の原材料となる銅合金からなるシート等が挙げられる。
なお、本発明に係る「欠陥」には、検査対象物の表面または/および内部に存在する異物だけでなく検査対象物のシワ、ムラ(厚さの不均一に起因する)、空洞(気泡)等も含まれる。
なお、本実施形態ではアルミニウムシート1は複数のローラ間に張られた状態で搬送されるが、本発明における検査対象物の搬送方法はこれに限定されない。
例えば、図4に示す如く、ベルトコンベア50に検査対象物61・61・・・を並べて載置した状態でベルトコンベア50が回転駆動することにより検査対象物61・61・・・が搬送される構成であっても良い。
図1に示す如く、本実施形態では、X線源110は搬送されるアルミニウムシート1の上側のシート面に対向する位置に配置される。
本実施形態では放射線としてX線を用いているが、本発明に係る放射線はこれに限定されず、検査対象物を透過可能であれば他の種類の放射線(例えば、ガンマ線)でも良い。
図1に示す如く、本実施形態では、X線用TDIカメラ120は搬送されるアルミニウムシート1の下側のシート面に対向する位置に配置される。
「放射線の照射方向が搬送経路の搬送面に垂直な方向に対して搬送方向の「正の方向」に角度θだけ傾斜する」とは、放射線の照射方向が、「搬送経路の搬送面に垂直な方向」および「搬送方向」を含む平面内で、「搬送経路の搬送面に垂直な方向」に対して放射線源が検出器よりも搬送方向において「下流側」に配置されるように回転した状態を指す。
また、0°<θ<90°の場合には0<cosθ<1となるため、0°<θ<90°の場合における見かけの搬送速度Va(θ)は、θ=0°の場合(すなわち、X線の照射方向が搬送経路の搬送面に垂直な方向に対して平行となる場合)における見かけの搬送速度Va(0°)(=V)よりも小さくなる。
従って、X線源110およびX線用TDIカメラ120からの「見かけの搬送速度Va」を実際のアルミニウムシート1の長手方向の搬送速度Vよりも小さくすることが可能であり、ひいては(アルミニウムシート1のシート面への入射方向を考慮しない場合における)アルミニウムシート1のシート面の単位面積当たりに照射されるX線の量(照射量)をθ=0°の場合よりも大きくする((1/cosθ)倍とする)ことが可能である。
すなわち、X線用TDIカメラ120は、cosθをアルミニウムシート1の長手方向の搬送速度Vに乗じた速度に同期してアルミニウムシート1の透過画像の取り込み(X線の検出)を行っている。
また、X線用TDIカメラ120における電荷の転送速度はアルミニウムシート1の長手方向の搬送速度Vのcosθ倍となる(V×cosθ<V)ため、画像情報を生成する周期および生成された画像情報を画像生成装置130に送信する周期をいずれもθ=0°の場合の(1/cosθ)倍とすることが可能であり、アルミニウムシート1の長手方向の搬送速度Vの高速化への対応が容易となる。
一方、図2の(b)に示す如く、X線が直方体形状の異物40を透過する場合、0°<θ<90°のときのX線経路10の透過長さL1はθ=0°のときの透過長さL2の(1/cosθ)倍となり、透過長さL2は異物40の厚さTと等しくなり、L1はL2よりも長くなる(L1=L2/cosθ=T/cosθ、L1>L2=T)。
このように、X線源110から照射されてX線用TDIカメラ120に検出されるX線の照射方向が搬送経路の搬送面に垂直な方向に対して搬送方向の正または負の方向に角度θ(0°<θ<90°)だけ傾斜していることにより、アルミニウムシート1のシート面の異物の形状によってはX線が異物を透過する長さが長くなる。
その結果、X線用TDIカメラ120により生成される画像情報において異物に対応する部分とそれ以外の部分(異物が無い部分)との間のコントラストが大きくなり、異物の検出精度が向上する。
画像生成装置130は画像生成部131、入力部132および表示部133を具備する。
本実施例の画像生成部131は専用品であるが、市販のパーソナルコンピュータやワークステーション等に上記プログラム等を格納したもので達成することも可能である。
生成された透過画像はアルミニウムシート1の長手方向(搬送方向に平行な方向)に(1/cosθ)倍に引き延ばされた形状を成しているためアルミニウムシート1の長手方向の空間分解能がθ=0°の場合に比べて低下する((1/cosθ)倍となる)が、アルミニウムシート1の幅方向(アルミニウムシート1の一対のシート面に平行かつ長手方向に垂直な方向)の空間分解能はθ=0°の場合と同じである。
画像生成部131は生成された「アルミニウムシート1の透過画像」をアルミニウムシート1の長手方向についてcosθ倍に縮小する画像処理を施すことにより「アルミニウムシート1の補正透過画像」を生成する。
「アルミニウムシート1の補正透過画像」の縦横の比率はアルミニウムシート1の実物の長手方向および幅方向の比率に等しくなるため、異物の位置の特定が容易となる。
画像生成部131は「アルミニウムシート1の透過画像」および「アルミニウムシート1の補正透過画像」を適宜記憶する。
本実施形態の画像生成部131は専用品であるが、市販のキーボード、マウス、ポインティングデバイス、ボタン、スイッチ等を用いても同様の効果を達成することが可能である。
本実施形態の表示部133は専用品であるが、市販のモニターや液晶ディスプレイ等を用いても同様の効果を達成することが可能である。
搬送経路に沿って所定の搬送方向に搬送されるアルミニウムシート1の欠陥を検査する装置であって、
搬送経路に沿って搬送されるアルミニウムシート1にX線を照射するX線源110と、
X線源110により照射されてアルミニウムシート1を透過したX線を検出するX線用TDIカメラ120と、
X線用TDIカメラ120により検出されたX線の強度に基づいて「アルミニウムシート1の透過画像」を生成する画像生成装置130と、
を具備し、
X線源110から照射されてX線用TDIカメラ120に検出されるX線の照射方向(図1中のX線経路10の長手方向)は、搬送経路の搬送面に垂直な方向(本実施形態では、図1中の鉛直線20の長手方向)に対して搬送方向の負の方向に角度θ(0°<θ<90°)だけ傾斜している。
このように構成することにより、θ=0°のときよりもアルミニウムシート1のシート面の単位面積当たりに照射されるX線の量(照射量)を大きくすることが可能であり、搬送されているアルミニウムシート1の欠陥(異物等)を精度良く検出することが可能である。
また、アルミニウムシート1の搬送速度が上昇した場合でも異物に対応する部分とそれ以外の部分との間でコントラストが大きい「アルミニウムシート1の透過画像」を生成することが可能であり、欠陥の検出精度を確保しつつアルミニウムシート1の搬送速度を上昇させることが可能である。
搬送経路の搬送面に垂直な方向に対するX線の照射方向の成す角度の余弦(本実施形態では、cosθ)をアルミニウムシート1の搬送方向における速度に乗じた速度(V×cosθ)に同期してアルミニウムシート1を透過したX線を検出する。
このように構成することにより、搬送経路の搬送面に垂直な方向に対してX線の照射方向を傾斜させても単位面積当たりのX線照射量が大きくなった場合と同様のアルミニウムシート1の透過画像を生成することが可能であり、検査精度が向上するとともにアルミニウムシート1の搬送速度の高速化に寄与する。
例えば、X線源110およびX線用TDIカメラ120が固定された部材を回動可能なアームに固定し、当該アームを回動させるエアシリンダ等のアクチュエータを設けることによりX線の照射方向(角度)を変更することが可能な構成としても良い。このような構成とした場合には、検査対象物たるアルミニウムシート1の搬送速度に応じてX線の照射方向(角度)を変更することが可能であり、ひいては検査精度の高い検査条件を容易に達成することが可能である。
本発明に係る欠陥検査方法の実施の一形態は欠陥検査装置100を用いてアルミニウムシート1の欠陥を検査する方法であり、図3に示す如く、照射・検出工程S1100および透過画像生成工程S1200を具備する。
搬送経路に沿って所定の搬送方向に搬送されるアルミニウムシート1の欠陥を検査する方法であって、
照射・検出工程S1100と、
透過画像生成工程S1200と、
を具備し、
X線源110から照射されてX線用TDIカメラ120に検出されるX線の照射方向(図1中のX線経路10の長手方向)は、搬送経路の搬送面に垂直な方向(本実施形態では、図1中の鉛直線20の長手方向)に対して搬送方向の負の方向に角度θ(0°<θ<90°)だけ傾斜している。
このように構成することにより、θ=0°のときよりもアルミニウムシート1のシート面の単位面積当たりに照射されるX線の量(照射量)を大きくすることが可能であり、搬送されているアルミニウムシート1の欠陥(異物等)を精度良く検出することが可能である。
また、アルミニウムシート1の搬送速度が上昇した場合でも異物に対応する部分とそれ以外の部分との間でコントラストが大きい「アルミニウムシート1の透過画像」を生成することが可能であり、欠陥の検出精度を確保しつつアルミニウムシート1の搬送速度を上昇させることが可能である。
照射・検出工程S1100において、
X線用TDIカメラ120は搬送経路の搬送面に垂直な方向に対するX線の照射方向の成す角度の余弦(本実施形態では、cosθ)をアルミニウムシート1の搬送方向における速度に乗じた速度(V×cosθ)に同期してアルミニウムシート1を透過したX線を検出する。
このように構成することにより、搬送経路の搬送面に垂直な方向に対してX線の照射方向を傾斜させても単位面積当たりのX線照射量が大きくなった場合と同様のアルミニウムシート1の透過画像を生成することが可能であり、検査精度が向上するとともにアルミニウムシート1の搬送速度の高速化に寄与する。
100 欠陥検査装置
110 X線源(放射線源)
120 X線用TDIカメラ(検出器)
130 画像生成装置
Claims (2)
- 搬送経路に沿って所定の搬送方向に搬送される検査対象物の欠陥を検査する欠陥検査装置であって、
前記搬送経路に沿って搬送される検査対象物に放射線を照射する放射線源と、
前記放射線源により照射されて前記検査対象物を透過した放射線を検出する検出器と、
前記検出器により検出された放射線の強度に基づいて前記検査対象物の透過画像を生成する画像生成装置と、
を具備し、
前記放射線源から照射されて前記検出器に検出される放射線の照射方向は、
前記搬送経路の搬送面に垂直な方向に対して前記搬送方向の正の方向または負の方向に所定角度傾斜しており、
前記検出器は、
前記搬送経路の搬送面に垂直な方向に対する前記放射線の照射方向の成す角度の余弦を前記検査対象物の搬送方向における速度に乗じた速度に同期して前記検査対象物を透過した放射線を検出する、
欠陥検査装置。 - 搬送経路に沿って所定の搬送方向に搬送される検査対象物の欠陥を検査する欠陥検査方法であって、
放射線源により搬送経路に沿って搬送される検査対象物に照射された放射線が前記検査対象物を透過し、検出器により検出される照射・検出工程と、
前記検出器により検出された放射線の強度に基づいて前記検査対象物の透過画像を生成する画像生成工程と、
を具備し、
前記放射線源から照射されて前記検出器に検出される放射線の照射方向は、
前記搬送経路の搬送面に垂直な方向に対して前記搬送方向の正の方向または負の方向に所定角度傾斜しており、
前記照射・検出工程において、
前記検出器は前記搬送経路の搬送面に垂直な方向に対する前記放射線の照射方向の成す角度の余弦を前記検査対象物の搬送方向における速度に乗じた速度に同期して前記検査対象物を透過した放射線を検出する、
欠陥検査方法。
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