JP5442315B2 - 防錆剤、防錆処理方法、及びその除去方法 - Google Patents
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Description
防錆剤は、金属表面を油脂類やイオン性界面活性剤で十分に覆えるだけ添加しなければならいが、皮膚との接触や、拭取り、水滴の付着などに対して十分な防錆性が得られ難い。また、一度付着させた防錆剤を除去する為に、有機溶剤や水溶性洗浄剤を用いた洗浄処理が行われる。ところが、防錆剤や洗浄剤は生分解性に乏しいことが多く、廃棄物処理に多大な能力が必要となる。
上記要請を満足するために、天然物由来の防錆処理に関する開発が行われている(特許文献1〜特許文献5)。例えば、天然物由来の金属の防錆処理法としては、タンニン、カテキンといった抗酸化作用を持つといわれるポリフェノール類を使用した例がある。タンニンを使用する方法としては、金属表面に大量のタンニンをバインダーと共に付着させる方法、カテキン水溶液に長時間浸漬する方法、金属表面を改質しタンニン類を添加する工程を複数回行うもの、すでに発生した赤錆等を除去するための方法などがある。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、天然植物由来のカテキン類組成物と食品添加物としても使用可能な非イオン性界面活性剤からなる水系エマルジョンとを含有する防錆剤を提供すること、この防錆剤を用いた防錆方法を提供すること、及び本発明により作成された防錆層を容易に除去可能な方法を提供することである。
こうして、上記目的を達成するための第1の発明に係る金属の防錆方法は、カテキン類と非イオン性界面活性剤と分散剤とを含む混合液を鉄表面に付着させた後に乾燥させて、金属表面に防錆層を形成することを特徴とする。
本発明においては、前記カテキン類が(+)−カテキン、(−)−エピカテキン、(−)−ガロカテキン、(−)−カテキンガレート、(−)−エピカテキンガレート、(−)−ガロカテキンガレート、(−)−エピガロカテキンガレート、(−)−エピガロカテキン及びこれらの誘導体、立体異性体等の非重合体カテキン及びそれらの重合体から選ばれる1種又は2種以上の混合物で茶由来であり、カテキン類が0.1質量%〜10質量%であることが好ましい。
また、防錆層の洗浄方法は、上記防錆方法により形成された防錆層をアルカリ溶液または酸性溶液で除去することを特徴とする。このとき、前記アルカリ溶液が、pH9−14のアルカリ性水溶液であることが好ましい。また、前記酸性溶液が、pH4以下の酸性溶液であることが好ましい。
本発明において、前記非イオン性界面活性剤が、高級アルコール(C10〜C18、飽和、不飽和、直鎖、分岐)のエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイドの付加数が2〜40モル)HLBが7から19、高級脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、グリセリンと高級脂肪酸のエステル化物、ポリグリセリンと高級脂肪酸のエステル化物、炭水化物と高級脂肪酸のエステル化物からなる誘導体であって、HLBが7〜19の内より選ばれる1つ或いは2つ以上を組み合わせたものであり、金属表面に防錆層を形成させるときの非イオン性界面活性剤の濃度が0.01質量%〜10質量%であることが好ましい。
防錆剤には、防錆処理された金属製品の防錆層が、保管貯蔵中や輸送中の環境下で劣化、脱落しないことが求められる。このため、本発明に係る防錆層の除去方法には、防錆層が遭遇しない条件で除去が可能となる必要がある。防錆効果の目的が完了した防錆層は、特定の条件を有する洗浄剤に対して、浸漬や拭取りによって容易に除去することができ、洗浄剤や除去された防錆剤ともに、排水処理や環境に対し負荷が少なく、操作、作業時間共に簡易で安全な作業性が得られる。
カテキン類組成物の由来としては天然の植物であり、その具体例として、チャ等のツバキ科植物、ブドウ等のブドウ科植物、コーヒー等のアカネ科植物、カカオ等のアオギリ科植物、ソバ等のタデ科植物、グーズベリー、クロフサスグリ、アカスグリ等のユキノシタ科植物、ブルーベリー、ホワートルベリー、ブラックハクルベリー、クランベリー、コケモモ等のツツジ科植物、赤米、ムラサキトウモロコシ等のイネ科植物、マルベリー等のクワ科植物、エルダーベリー、クロミノウグイスカグラ等のスイカズラ科植物、プラム、ヨーロッパブラックベリー、ローガンベリー、サーモンベリー、エゾイチゴ、セイヨウキイチゴ、オオナワシロイチゴ、オランダイチゴ、クロミキイチゴ、モレロチェリー、ソメイヨシノ、セイヨウミザクラ、甜茶、リンゴ等のバラ科植物、エンジュ、小豆、大豆、タマリンド、ミモザ、ペグアセンヤク等のマメ科植物が挙げられ、これらの植物に応じて果実、果皮、花、葉、茎、樹皮、根、塊根、種子、種皮等の部位が任意に選ばれる。
不発酵茶は、煎茶、玉露、抹茶、玉緑茶、番茶等の蒸し茶や、玉緑茶や中国緑茶等の釜炒り茶があげられ、半発酵茶には、例えばウーロン茶等があげられ、発酵茶には、例えば紅茶等が挙げられる。特に限定するものではないが、半発酵茶と発酵茶は、非重合体カテキンの割合が小さく、効果が弱くなるため、不発酵茶が好ましく、中でも、緑茶より抽出して得られたカテキン類組成物が更に好ましい。
市販品として入手可能なサンフェノン(太陽化学株式会社製)、テアフラン(株式会社伊藤園製)、ポリフェノン(東京フードテクノ株式会社製)等のカテキン含有素材も使用できる。
カテキン類組成物の非重合体カテキン含量については40%以上であればよく、効果の点より、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上である。
カテキン類組成物の総ポリフェノール類に対する非重合体カテキン類の比率が低すぎると、被覆金属の処理過程において非重合体カテキン類以外の成分等が多く含まれてしまい、防錆に必要な十分な厚さの皮膜を金属表面に形成することができなくなるという問題がある。
ここで総ポリフェノール類とは、酒石酸鉄法により、標準液として没食子酸エチルを用い、没食子酸エチルの換算量として求める方法(既存添加物第3版チャ抽出物中のポリフェノール含量測定法)によって定量される成分のことをいう。
本発明の界面活性剤組成物として用いられる非イオン性界面活性剤には、グリセリン、ソルビトール、ショ糖等の多価アルコールと脂肪酸がエステル結合したものや高級アルコールやアルキルフェノール、ポリプロピレングリコール等の水酸基をもつ原料に酸化エチレンを付加させたものや、酸化エチレンと酸化プロピレンをブロック付加、或いはランダム付加したもの等であり、脂肪酸や多価アルコール脂肪酸エステルに酸化エチレンを付加させたものや、脂肪酸にグリセリンを付加したもの等がある。
使用する非イオン系界面活性剤の種類は特に限定するものではないが、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルの中から選ばれる1種又は2種以上を組み合わせたものが、生分解性、安全性、乳化力の面から好ましく、ポリグリセリン脂肪酸エステルがより好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルの中でも、ポリグリセリンの重合度が1〜3で中鎖脂肪酸のポリグリセリン脂肪酸エステルが更に好ましい。使用する界面活性剤には、除去後排出される際、容易に分解する或いは、毒性が無いものをすべきであって、食品添加物として認可されている界面活性剤を使用することが更に望ましい。
この時のアルコール類としては、一価アルコール、多価アルコールが挙げられる。多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、へキシレングリコール、キシリトール、ソルビトール等が挙げられる。その他の溶媒として、水溶性のアセトン、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサン、DMSO、DMF、DMA、THF、ピリジン類、モルホリン類、ピロリドンなどや、水不溶性の揮発性有機溶媒も添加することが出来る。
防錆層の除去方法としては、カテキン鉄錯体とカテキン界面活性剤の凝集物を再度水溶化し洗浄除去にするために、pH7−14の水溶液を用いる。好適にはpH9−12の水溶液が好ましい。pHを塩基性にする為のアルカリ剤としては、特に限定はしないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような水酸化物、アンモニア水、モノエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの塩基性窒素化合物、炭酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウムなどの塩基性無機塩、グルコン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウムなど塩基性有機酸塩が使用できる。更に、ポリアクリル酸ナトリウム、EDTA-Na、有機リン酸エステルなどキレート剤を添加することも出来る。また、脂肪酸や高級アルコールのポリエチレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤、アルキル硫酸化物、合成アルコールの硫酸エステル、アルキルリン酸化物、合成アルコールのリン酸エステルなどの中性洗剤、アルキルアミン塩の様なカチオン性の逆性石鹸などを添加することも出来る。
洗浄方法としては、特に限定するものではないが、洗浄液に浸漬し溶解除去するか、或いは、洗浄液を浸透させた布帛などで、拭取るのが好ましい。このましくは、処理物に対し十分な量の洗浄液に浸漬し超音波を照射する、或いは洗浄液を攪拌や循環を行いことが望ましい。浸漬や拭取り後の金属表面は必要に応じて、水、湯、有機溶媒などで濯ぎ、清浄な金属表面を得ることができる。
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
防錆試験には、脱水したイソプロピルアルコール(IPA)に1時間浸漬後、ペーパータオルで拭取りを行い、ついでアセトン洗浄と拭取りを行った洗浄済みSPCC鋼板を試験鋼板として用いた。0.5質量%のカテキン(サンフェノンDK、太陽化学、カテキン類90%)と0.05質量%の界面活性剤(チラバゾールW−02、太陽化学、食品添加物)とを防錆剤として含有する水溶液に、試験鋼板を室温で5秒間浸漬した。ついで室温内に2分間吊り下げ余分な防錆処理液を切った後、ヘアードライヤーの温風で加熱乾燥をおこなった。乾燥後防錆処理を行った試験鋼板(SPCC鋼板)の表面には、青から青紫色の干渉色を示す防錆層が認められた。
防錆能力の評価として、約0.3mlの蒸留水を防錆処理した鋼板上に滴下し、室温(約25℃)で放置し、発錆の有無を観察した。50℃飽和水蒸気下に放置し、24時間後の発錆の有無を観察した。
実施例1の防錆処理液の温度を50℃にし、以下同様の試験を行った。
<実施例3>
防錆剤として、1.0質量%のカテキン(サンフェノンDK、太陽化学、カテキン類90%)と、0.1質量%の界面活性剤(チラバゾールW−02、太陽化学)とを用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。
<実施例4>
防錆剤として、0.5質量%のカテキン(サンフェノンDK、太陽化学、カテキン類90%)と、0.05質量%の界面活性剤(ペグノールA120、東邦化学工業)とを用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。
<比較例1>
実施例1に示した試験鋼板の防錆能力を評価した。
<比較例2>
実施例1に示した試験鋼板を、0.5質量%のカテキン(サンフェノンDK、太陽化学、カテキン類90%)水溶液に実施例1と同様の処理を施し、防錆能力の評価を行った。
<比較例3>
実施例1に示した試験鋼板を、0.05質量%の界面活性剤(チラバゾールW−02、太陽化学、食品添加物)水溶液に実施例1と同様の処理を施し、防錆能力の評価を行った。
実施例1と同様の処理を施した防錆処理済み試験鋼板を0.1M 水酸化ナトリウム水溶液に室温にて浸漬し、防錆層の除去を行った。
<実施例6>
実施例1と同様の処理を施した防錆処理済み試験鋼板を0.1M クエン酸、50mM 塩酸水溶液に室温にて浸漬し、防錆層の除去を行った
<比較例4>
実施例1と同様の処理を施した試験鋼板を蒸留水に室温にて浸漬し、防錆層の除去ができるか否かの評価を行った。
防錆剤として、0.5質量%のカテキン(サンフェノンDK、太陽化学、カテキン類90%)と、0.05質量%の界面活性剤(サンソフトNo.760、太陽化学、HLB値:6.5、モノカプリン酸グリセリル)とを用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。
<実施例8>
防錆剤として、0.5質量%のカテキン(サンフェノンDK、太陽化学、カテキン類90%)と、0.05質量%の界面活性剤(サンソフトQ-12D、太陽化学、HLB値:8.5、モノラウリル酸ジグリセリン)とを用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。
<実施例9>
防錆剤として、0.5質量%のカテキン(サンフェノンDK、太陽化学、カテキン類90%)と、0.05質量%の界面活性剤(サンソフトQ-10D、太陽化学、HLB値:9.5、モノカププリル酸ジグリセリル)とを用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。
<実施例10>
防錆剤として、0.5質量%のカテキン(サンフェノンDK、太陽化学、カテキン類90%)と、0.05質量%の界面活性剤(サンソフトQ-17S、太陽化学、HLB値:12、モノオレイン酸デカグリセリル)とを用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。
防錆剤として、0.5質量%のカテキン(サンフェノンDK、太陽化学、カテキン類90%)と、0.05質量%の界面活性剤(ペポールB-184、東邦化学工業、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコール)とを用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。
<実施例12>
防錆剤として、0.5質量%のカテキン(サンフェノンDK、太陽化学、カテキン類90%)と、0.05質量%の界面活性剤(ソルボンS-80、東邦化学工業、HLB値:4.3)とを用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。
<実施例13>
防錆剤として、0.5質量%のカテキン(サンフェノンDK、太陽化学、カテキン類90%)と、0.05質量%の界面活性剤(ソルボンT-20、東邦化学工業、HLB値:16.7)とを用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。
防錆剤として、0.5質量%のカテキン(サンフェノンDK、太陽化学、カテキン類90%)と、0.05質量%の界面活性剤(ペグノール 14-O、東邦化学工業、HLB値:11.5、モノオレイン酸ポリエチレングリコール8モル)とを用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。
<実施例15>
防錆剤として、0.5質量%のカテキン(サンフェノンDK、太陽化学、カテキン類90%)と、0.05質量%の界面活性剤(ペグノール O-16A、東邦化学工業、HLB値:14.5、ポリオキシレチレンオレイルエーテル16モル)とを用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。
<実施例16>
防錆剤として、0.5質量%のカテキン(サンフェノンDK、太陽化学、カテキン類90%)と、0.05質量%の界面活性剤(ペグノール L-4、東邦化学工業、HLB値:9.7、ポリオキシエチレンラウリルエーテル4モル)とを用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。
防錆剤として、0.5質量%のカテキン(サンフェノンDK、太陽化学、カテキン類90%)と、0.05質量%の界面活性剤(チラバゾールW−02、太陽化学)とを10%メタノール水溶液に溶解した以外は、実施例1と同様の試験を行った。
<実施例18>
防錆剤として、0.5質量%のカテキン(サンフェノンDK、太陽化学、カテキン類90%)と、0.05質量%の界面活性剤(チラバゾールW−02、太陽化学)とを10%のt-ブタノール水溶液に溶解した以外は、実施例1と同様の試験を行った。
<実施例19>
防錆剤として、0.5質量%のカテキン(サンフェノンDK、太陽化学、カテキン類90%)と、0.05質量%の界面活性剤(チラバゾールW−02、太陽化学)とを10mMの酢酸緩衝液(pH5.5)の水溶液に溶解した以外は、実施例1と同様の試験を行った。
防錆剤として、0.5質量%のカテキン(サンフェノンDK、太陽化学、カテキン類90%)と、0.05質量%の界面活性剤(チラバゾールW−02、太陽化学)との水溶液に5秒間浸漬した。ついで室温内に2分間吊り下げ静置し、余分な防錆処理液を蒸留水で洗浄したのち室温ブロー乾燥を行った以外は、実施例1と同様の試験を行った。
<実施例21>
防錆剤として、0.5質量%のカテキン(サンフェノンDK、太陽化学、カテキン類90%)と、0.05質量%の界面活性剤(チラバゾールW−02、太陽化学)との水溶液を刷毛で洗浄したSPCC鋼板に塗布し、ついで室温内に2分間吊り下げ静置し、余分な防錆処理液を蒸留水で洗浄したのち室温ブロー乾燥を行った以外は、実施例1と同様の試験を行った。
防錆剤として、0.5質量%のカテキン(サンフェノンDK、太陽化学、カテキン類90%)と、0.01質量%の界面活性剤(チラバゾールW−02、太陽化学)とを用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。
<比較例6>
防錆剤として、0.05質量%のカテキン(サンフェノンDK、太陽化学、カテキン類90%)と、0.05質量%の界面活性剤(チラバゾールW−02、太陽化学)とを用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。
<比較例7>
防錆剤として、10質量%のカテキン(サンフェノンDK、太陽化学、カテキン類90%)と、2.0質量%の界面活性剤(チラバゾールW−02、太陽化学)とを用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。
防錆剤として、0.5質量%のカテキン(サンフェノンDK、太陽化学、カテキン類90%)と、0.05質量%の界面活性剤(チラバゾールW−02、太陽化学)とをメタノールに溶解した以外は、実施例1と同様の試験を行った。
<比較例9>
防錆剤として、0.5質量%のカテキン(サンフェノンDK、太陽化学、カテキン類90%)と、0.05質量%の界面活性剤(チラバゾールW−02、太陽化学)とをt-ブタノールに溶解した以外は、実施例1と同様の試験を行った。
<比較例10>
防錆剤として、0.5質量%のカテキン(サンフェノンDK、太陽化学、カテキン類90%)と、0.05質量%の界面活性剤(チラバゾールW−02、太陽化学)とを100mMのクエン酸緩衝液(pH5.5)の水溶液に溶解した以外は、実施例1と同様の試験を行った。
実施例1と同様の処理を施した青色干渉色を示す防錆処理済み試験鋼板に対して、1%硫酸水溶液(pH1.6)を含ませたペーパータオルを用い、室温にて拭取ることによって防錆層の除去を行った。
<実施例23>
実施例1と同様の処理を施した青色干渉色を示す防錆処理済み試験鋼板に対して、1%クエン酸水溶液(pH3.0)を含ませたペーパータオルを用い、室温にて拭取ることによって防錆層の除去を行った。
<実施例24>
実施例1と同様の処理を施した青色干渉色を示す防錆処理済み試験鋼板に対して、0.3%蟻酸・2%セレッシュPA-30(北広ケミカル、ホスホン酸系キレート剤)水溶液(pH3.5)を含ませたペーパータオルを用い、室温にて拭取ることによって防錆層の除去を行った。
実施例1と同様の処理を施した青色干渉色を示す防錆処理済み試験鋼板に対して、1%クエン酸・クエン酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)を含ませたペーパータオルを用い、室温にて拭取ることによって防錆層の除去を行った。
<実施例26>
実施例1と同様の処理を施した青色干渉色を示す防錆処理済み試験鋼板に対して、1%クエン酸3ナトリウム水溶液(pH8.9)を含ませたペーパータオルを用い、室温にて拭取ることによって防錆層の除去を行った。
<実施例27>
実施例1と同様の処理を施した青色干渉色を示す防錆処理済み試験鋼板に対して、0.1%炭酸水素ナトリウム・炭酸ナトリウム緩衝液(pH10.0)を含ませたペーパータオルを用い、室温にて拭取ることによって防錆層の除去を行った。
実施例1と同様の処理を施した青色干渉色を示す防錆処理済み試験鋼板に対して、0.1%EDTA・水酸化ナトリウム水溶液(pH11.0)を含ませたペーパータオルを用い、室温にて拭取ることによって防錆層の除去を行った。
<実施例29>
実施例1と同様の処理を施した青色干渉色を示す防錆処理済み試験鋼板に対して、0.1%EDTAと0.1%水酸化ナトリウム・炭酸ナトリウム緩衝液(pH12.0)を含ませたペーパータオルを用い、室温にて拭取ることによって防錆層の除去を行った。
<実施例30>
防錆剤として、10.0質量%のカテキン(サンフェノンDK、太陽化学、カテキン類90%)と、0.05質量%の界面活性剤(チラバゾールW−02、太陽化学)との水溶液に5秒間浸漬した。ついで室温内に2分間吊り下げ静置し、余分な防錆処理液を蒸留水で洗浄したのち室温ブロー乾燥を行った以外は、実施例1と同様の試験を行った。
<実施例31>
防錆剤として、0.5質量%のカテキン(サンフェノンDK、太陽化学、カテキン類90%)と、10.0質量%の界面活性剤(チラバゾールW−02、太陽化学)との粘調な水溶液に5秒間浸漬した。ついで室温内に2分間吊り下げ静置し、余分な防錆処理液を蒸留水で洗浄したのち室温ブロー乾燥を行った以外は、実施例1と同様の試験を行った。
実施例1と同様の処理を施した青色干渉色を示す防錆処理済み試験鋼板に対して、1%酢酸・酢酸トリウム緩衝液(pH5.0)を含ませたペーパータオルを用い、室温にて拭取ることによって防錆層の除去を行った。
<比較例12>
実施例1と同様の処理を施した青色干渉色を示す防錆処理済み試験鋼板に対して、1%食塩水液(pH6.5)を含ませたペーパータオルを用い、室温にて拭取ることによって防錆層の除去を行った。
<比較例13>
実施例1と同様の処理を施した青色干渉色を示す防錆処理済み試験鋼板に対して、1%炭酸水素ナトリウム水溶液(pH7.6)を含ませたペーパータオルを用い、室温にて拭取ることによって防錆層の除去を行った。
<比較例14>
実施例1と同様の処理を施した青色干渉色を示す防錆処理済み試験鋼板に対して、0.1%クエン酸ナトリウム液(pH8.7)を含ませたペーパータオルを用い、室温にて拭取ることによって防錆層の除去を行った。
<比較例15>
実施例1と同様の処理を施した青色干渉色を示す防錆処理済み試験鋼板に対して、2%セレッシュPA-30(北広ケミカル、ホスホン酸系キレート剤)水溶液(pH6.6)を含ませたペーパータオルを用い、室温にて拭取ることによって防錆層の除去を行った。
また、表2の比較例4に示すように、蒸留水に浸漬するだけでは防錆層を除去できなかった。一方、実施例5の0.1M 水酸化ナトリウム、または実施例6の 0.1M クエン酸、50mM 塩酸水溶液を防錆層除去水として用いた場合には、良好に防錆層を除去できることが分かった。
表1に示すように、比較例5〜比較例10では、十分な防錆性を発揮できなかった。
また、表2に示すように、実施例5、6、22〜25、27〜29では、浸漬または拭取りにより、防錆層を簡単に除去できた一方、比較例では防錆層を除去でないため金属面が回復しなかった。
このように本実施形態によれば、天然植物由来のカテキン類組成物と食品添加物としても使用可能な非イオン性界面活性剤からなる水系エマルジョンとを含有する防錆剤、この防錆剤を用いた防錆方法、及び防錆層を容易に除去可能な方法を提供できた。
Claims (8)
- カテキン類と非イオン性界面活性剤と分散剤とを含む混合液を鉄表面に付着させた後に乾燥させて、金属表面に防錆層を形成することを特徴とする金属の防錆方法。
- 前記カテキン類が(+)−カテキン、(−)−エピカテキン、(−)−ガロカテキン、(−)−カテキンガレート、(−)−エピカテキンガレート、(−)−ガロカテキンガレート、(−)−エピガロカテキンガレート、(−)−エピガロカテキン及びこれらの誘導体、立体異性体等の非重合体カテキン及びそれらの重合体から選ばれる1種又は2種以上の混合物で茶由来であり、カテキン類が0.1質量%〜10質量%であることを特徴とする請求項1に記載の防錆方法。
- 前記非イオン性界面活性剤が、高級アルコール(C10〜C18、飽和、不飽和、直鎖、分岐)のエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイドの付加数が2〜40モル)HLBが7から19、高級脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、グリセリンと高級脂肪酸のエステル化物、ポリグリセリンと高級脂肪酸のエステル化物、炭水化物と高級脂肪酸のエステル化物からなる誘導体であって、HLBが7〜19の内より選ばれる1つ或いは2つ以上を組み合わせたものを0.01質量%〜10質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の防錆方法。
- 請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の防錆方法により形成された防錆層をアルカリ溶液または酸性溶液で除去することを特徴とする防錆層の洗浄方法。
- 前記アルカリ溶液が、pH9−14のアルカリ性水溶液であることを特徴とする請求項4に記載の防錆層の洗浄方法。
- 前記酸性溶液が、pH4以下の酸性溶液であることを特徴とする請求項4に記載の防錆層の洗浄方法。
- カテキン類と非イオン性界面活性剤とを含有する防錆剤であって、前記カテキン類が(+)−カテキン、(−)−エピカテキン、(−)−ガロカテキン、(−)−カテキンガレート、(−)−エピカテキンガレート、(−)−ガロカテキンガレート、(−)−エピガロカテキンガレート、(−)−エピガロカテキン及びこれらの誘導体、立体異性体等の非重合体カテキン及びそれらの重合体から選ばれる1種又は2種以上の混合物で茶由来であり、金属表面に防錆層を形成させるときのカテキン類の濃度が0.1質量%〜10質量%であることを特徴とする防錆剤。
- 前記非イオン性界面活性剤が、高級アルコール(C10〜C18、飽和、不飽和、直鎖、分岐)のエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイドの付加数が2〜40モル)HLBが7から19、高級脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、グリセリンと高級脂肪酸のエステル化物、ポリグリセリンと高級脂肪酸のエステル化物、炭水化物と高級脂肪酸のエステル化物からなる誘導体であって、HLBが7〜19の内より選ばれる1つ或いは2つ以上を組み合わせたものであり、金属表面に防錆層を形成させるときの非イオン性界面活性剤の濃度が0.01質量%〜10質量%であることを特徴とする請求項7に記載の防錆剤。
Priority Applications (1)
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