JP5442057B2 - 回転工具 - Google Patents
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Description
請求項1の回転工具では、ヘッド部が前後の可動範囲の中間の原点位置に付勢され、そのヘッド部には、先端側に向かうに従って縮径した先端縮径テーパー面と、先端側に向かうに従って拡径した先端拡径テーパー面とが備えられている。それらのうち先端縮径テーパー面をワークに押し付けて加工する場合、ワークから反力により、ヘッド部が原点位置より後側に配置されて、係合突部が後退用係合摺接部と係合する。この状態で、負荷トルクが大きくなる側にワークの形状や固定位置がばらつくと、係合突部と後退用係合摺接部との係合機構によって負荷トルクを回転シャフトの後端部側を向いた螺合推進軸力に変換し、その螺合推進軸力に応じてヘッド部を回動シャフトの後端部に対して回動しながら後退するように移動して、負荷トルクの上昇を抑えることができる。また、負荷トルクが小さくなる側にワークの形状や固定位置がばらつくと、付勢手段によってヘッド部を回転シャフトの前端側に回転しながら移動して負荷トルクの降下を抑えることができる。一方、先端拡径テーパー面をワークに押し付けて加工する場合、ワークから反力により、ヘッド部が原点位置より前側に配置されて、係合突部が前進用係合摺接部と係合する。この状態で、負荷トルクが大きくなる側にワークの形状や固定位置がばらつくと、係合突部と前進用係合摺接部との係合機構によって負荷トルクを回転シャフトの前端部側を向いた螺合推進軸力に変換し、その螺合推進軸力に応じてヘッド部を回動シャフトの前端部に対して回動しながら前進するように移動して、負荷トルクの上昇を抑えることができる。また、負荷トルクが小さくなる側にワークの形状や固定位置がばらつくと、付勢手段によってヘッド部を回転シャフトの後端側に回転しながら移動して負荷トルクの降下を抑えることができる。
このように、本発明の回転工具によれば、ワークの形状や固定位置のばらつきによる負荷トルクの変動を抑えるようにヘッド部が変位することで、ワークに対する加工量のばらつきを抑えることが可能になる。しかも、ヘッド部に先端縮径テーパー面と先端拡径テーパー面との両方を備えているので、ワークの表側と裏側の両方を1つの回転工具で加工することができる。
請求項2の構成によれば、後退用係合摺接部及び前進用係合摺接部を、中間筒部の内周面又は前記中間軸部の外周面の他方の中心軸に対して軸対称となる2位置に配置したので、中心筒部と中心軸部との間に作用する力が分散されて、中間筒部及び中間軸部の一方に対して他方をスムーズに螺合推進させることができる。
請求項3の回転工具では、中間軸部の外面の軸外面凹部と中間筒部の内面の筒内面凹部とを対向させてなる可変収容部屋に圧縮変形部材が収容され、その圧縮変形部材を介して中間軸部と中間筒部とが係止している。そして、回転シャフトの後端部に対してヘッド部が後退する向きの加工反力を受けた場合には、軸外面凹部及び筒内面凹部の一方の前端面と他方の後端面との間で圧縮変形部材が押し縮められ、その逆に、回転シャフトの後端部に対してヘッド部が前進する向きの加工反力を受けた場合には、軸外面凹部及び筒内面凹部の他方の前端面と一方の後端面との間で圧縮変形部材が押し縮められる。このように本発明の回転工具では、回転シャフトの後端部に対してヘッド部が前進するか後退するかによって、圧縮変形部材を押し縮める2つの面が、軸外面凹部の前端面と筒内面凹部の後端面とであるか、軸外面凹部の後端面と筒内面凹部の前端面とであるかが切り替わり、何れの場合も同じ圧縮変形部材が圧縮変形される。即ち、本発明の回転工具では、ワークから受ける異なる向きの加工反力のばらつきを同じ圧縮変形部材の圧縮変形で吸収することができ、回転工具の小型化が可能になる。
以下、本発明の実施形態を図1〜図10に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態の回転工具10は、ベースシャフト11とコアシャフト20とを組み付けてなる回転シャフト10Sを有し、その回転シャフト10Sの前端部にワークを加工するためのヘッド部21を備えている。
本実施形態の回転工具10Vは、図11(A)及び図11(B)に示されており、本発明の「係合突部」が中間軸部22Vの外周面に形成されている一方、本発明の「後退用係合摺接部」及び「前進用係合摺接部」が中間筒部14Vに貫通形成されている点が第1実施形態と異なる。具体的には、図11(B)に示すように、中間軸部22Vの大径部22Cにおける軸方向の中間部には、軸方向と直交する方向に延びた長孔62が貫通形成されている。一方、中間筒部14Vの小径部15Aにおける後端寄り位置には、本発明の「前進用係合摺接部」に相当する前進用係合摺接孔61Aと、本発明の「後退用係合摺接部」に相当する後退用係合摺接孔61Bとを接続してなる係合摺接孔61が、中間筒部14Vの周方向に180度の間隔を空けて2箇所に貫通形成されている(図11(A)及び図11(B)には、何れか一方の係合摺接孔61のみが示されている)。そして、係合摺接孔61と長孔62とが一直線上に並ぶように中間筒部14Vに中間軸部22Vを嵌合した状態で係合摺接孔61に係合ピン30Vを挿入し、リング溝18Mに抜止リング18を装着することで係合ピン30Vを係合摺接孔61に抜け止めすることができる。これにより、中間軸部14Vの外周面から突出した係合ピン30Vの両端部(本発明の「係合突部」に相当する)が、係合摺接孔61に対してスライド可能な構成になっている。
本実施形態の回転工具10Wは、図12に示されており、中間軸部22Wに備えたフランジ61を挟んで前進可変収容部屋53Aと後退用可変収容部屋53Bとが設けられ、前進可変収容部屋53Aに前進用圧縮コイルバネ45Aが収容される一方、後退用可変収容部屋53Bに後退用圧縮コイルバネ45Bが収容されている点が第1実施形態と異なる。具体的には、本実施形態の中間軸部22Wは、大径部22Cより後端部側が連結軸部品60によって構成されている。連結軸部品60の外径は大径部22Cの外径より小さくかつ後端軸部品16の挿入筒部13Wの内径より小さくなっていて、連結軸部品60における軸方向の中間部には、側方に張り出したフランジ61が設けられている。これにより、中間軸部22Wには、その軸方向の一部で外周面を段付き状に縮径した構造の前進用軸外面凹部52Aと後退用軸外面凹部52Bとが構成されている。そして、中間筒部14に中間軸部22Wが嵌合して、軸内面凹部51の前端部と前進用軸外面凹部52Aとが対向することで前進用可変収容部屋53Aが構成され、軸内面凹部51の後端部と後退用軸外面凹部52Bとが対向することで後退用可変収容部屋53Bが構成されている。
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
10S 回転シャフト
14,14V 中間筒部
15 中間筒部品
21 ヘッド部
21A 先端拡径テーパー部
21B 先端縮径テーパー部
22,22V,22W 中間軸部
24A 前進用係合摺接面(前進用係合摺接部)
24B 後退用係合摺接面(後退用係合摺接部)
30,30V 係合ピン
40,45A,45B 圧縮コイルバネ
61A 前進用係合摺接孔(前進用係合摺接部)
61B 後退用係合摺接孔(後退用係合摺接部)
62 長孔
W ワーク
Claims (3)
- 後端部が回転駆動源に接続可能な回転シャフトの前端部にワークを加工するためのヘッド部を備えた回転工具において、
前記回転シャフトの前後方向の中間部に設けられて前記ヘッド部又は前記後端部の一方と一体になった中間軸部と、
前記回転シャフトの前後方向の中間部に設けられて前記ヘッド部又は前記後端部の他方と一体になり、前記回転軸部の外側に前後動可能に嵌合した中間筒部と、
前記ヘッド部を、前記後端部に対する前後の可動範囲の中間に設定した原点位置に付勢する付勢手段と、
前記ヘッド部に設けられ、先端側に向かうに従って縮径した先端縮径テーパー面と、
前記ヘッド部に設けられ、先端側に向かうに従って拡径した先端拡径テーパー面と、
前記中間筒部の内周面又は前記中間軸部の外周面の一方に突出形成された係合突部と、
前記中間筒部の内周面又は前記中間軸部の外周面の他方に陥没形成され、前記ヘッド部が前記原点位置より後側に配置された場合に前記係合突部と係合し、前記ヘッド部が前記ワークから受ける負荷トルクによって前記回動シャフトの後端部に対して回動しながら後退するように前記係合突部を案内する後退用係合摺接部と、
前記中間筒部の内周面又は前記中間軸部の外周面の他方に陥没形成され、前記ヘッド部が前記原点位置より前側に配置された場合に前記係合突部と係合し、前記ヘッド部が前記ワークから受ける負荷トルクによって前記回動シャフトの後端部に対して回動しながら前進するように前記係合突部を案内する前進用係合摺接部とを備えたことを特徴とする回転工具。 - 前記後退用係合摺接部及び前記前進用係合摺接部を、前記中間軸部の外周面の中心軸に対して軸対称となる2位置に配置したことを特徴とする請求項1に記載の回転工具。
- 前記中間軸部の外面に段付き状に陥没形成された軸外面凹部と、前記中間筒部の内面に段付き状に陥没形成された筒内面凹部とを対向させてなる可変収容部屋と、
前記可変収容部屋に収容され、前記中間軸部と前記中間筒部との相対的な軸方向の移動に伴って、前記筒内面凹部及び前記軸外面凹部の一方の後端面と他方の前端面との間で押し縮められるように圧縮弾性変形可能な圧縮変形部材とを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の回転工具。
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