(全体構造)
図1に示すディスク収納型ディスク装置1は、箱型の筐体2を有している。この筐体2の基準方向は、Z1側が下側、Z2側が上側、X1側が左側、X2側が右側、Y1側が手前側、Y2側が奥側である。またX1−X2方向が横方向、Y1−Y2方向が奥行き方向である。
筐体2は、下側から上側に向けて、下部筐体3、中間筐体4および上部筐体5が順に重ねられて組み立てられている。下部筐体3は筐体2の底面6を有し、中間筐体4は、筐体2の前面7と右側面8を有している。上部筐体5は、筐体2の左側面9と後側面10および天井面11を有している。
下部筐体3の底面6の上面には、第1の動力伝達部12が設けられている。第1の動力伝達部12の上には、ユニット支持ベース13が支持され、このユニット支持ベース13の上に、駆動ユニット14が搭載されている。
中間筐体4の上部には、底面6と平行な機構ベース15が設けられ、この機構ベース15の上に、第2の動力伝達部16が設けられている。中間筐体4では、前記機構ベース15の下側で且つ前面7の内側に、移送機構である移送ユニット17が設けられている。この移送ユニット17の左側(X1側)の端部と、前記下部筐体3の底面6との間に、第3の動力伝達部19が設けられている。
上部筐体5では、左側面9と後側面10および天井面11で囲まれた領域がディスク収納領域20となっており、このディスク収納領域20に、それぞれがディスクDを支持可能な複数の支持体21が設けられている。この実施の形態では、支持体21が6枚設けられており、支持体21は厚み方向に重ねられて配置されている。上部筐体5には、支持体選択手段22が設けられており、この支持体選択手段22の動作により、6枚の支持体21のいずれかが選択されて図2(B)に示す選択位置(a)に移動させられるとともに、選択された支持体21とその下に隣接する支持体21との間隔が広げられる。
前記ディスクDは、直径が12cmであり、例えばCD(コンパクト・ディスク)、CD−ROM、DVD(ディジタル・バーサタイル・ディスク)などである。
図1および図2(A)(B)に示すように、筐体2の前面7には、挿入口23が開口している。この挿入口23はスリット状であり、上下方向の幅寸法がディスクDの厚み寸法よりもわずかに大きく、横方向の開口幅寸法Wが、ディスクDの直径よりもわずかに広い。
図2(A)に示すように、前記移送ユニット17は、挿入口23と同じ高さ位置にあり、挿入口23から挿入されたディスクDが、移送ユニット17によって前記ディスク収納領域20に向けて移送される。図2(B)に示すように、複数枚の前記支持体21のうちの、選択位置(a)に至った支持体21は、挿入口23と同じ高さ位置となり、挿入口23から挿入されたディスクDは、前記移送ユニット17で移送されて、選択位置(a)の支持体21の下面(Z1側の面)に供給されて支持される。
図6では、駆動ユニット14が退避位置にあり、このときの駆動ユニット14は、支持体21に支持されたディスクDの外周縁からわずかに離れた位置にある。図8では、移送ユニット17が待機位置にあり、このときの移送ユニット17は、前面7のすぐ内側で且つ支持体21に支持されたディスクDの外周縁からわずかに離れた位置にある。
図15に示すように、ディスクDの挿入を待機するとき、駆動ユニット14が筐体2内において時計方向へ回動して介入位置で停止している。挿入口23からディスクDが挿入されると、移送ユニット17によってディスクDが筐体2の内部に向けて搬送され、同時に移送ユニット17が反時計方向へ回動して移送動作位置に至って、ディスクDが選択位置(a)に移動した支持体21に送り込まれる。
(第1の動力伝達部)
図1に示すように、前記下部筐体3の前方には前方折曲げ片3aが底面6から垂直に折り曲げられている。同様に、後方には後方折曲げ片3bが、右側には右側折曲げ片3cが、底面6から垂直に折り曲げられている。第1の動力伝達部12を構成する各部材は、ディスク収納領域20内に収納されているディスクDの外周縁に当たらないように、筐体2の前面7の内側および右側面8の内側に沿って配置されている。
図3に示すように、前記第1の動力伝達部12では、底面6上に、Y1−Y2方向へ直線的に移動するスライダ31と、このスライダ31を図示しない連結部材を介して移動させるラック部材32とが設けられている。前方折曲げ片3aの直ぐ内側では、底面6上に、第1の動力伝達部12の駆動源である第1のモータM1が固定されており、この第1のモータM1の出力軸にウォーム歯車33が固定されている。第1のモータM1の回転動力は、減速歯車34,35,36を介してピニオン歯車37に伝達される。このピニオン歯車37が、前記ラック部材32の歯と噛み合っている。
スライダ31の上には、切換レバー38が設けられている。切換レバー38の奥側(Y2側)の端部は、軸39によってスライダ31に回動自在に支持されている。切換レバー38の手前側(Y1側)の端部には、上方に向けて切換駆動ピン41が突出している。切換レバー38には、切換駆動ピン41と同軸で下方へ延びる姿勢制御ピンが設けられており、この姿勢制御ピンが底面6に形成された図示しないカム穴内に挿入されている。スライダ31と共に切換レバー38がY1方向へ移動するときに、前記カム穴の形状に伴なって切換レバー38の位置および姿勢が制御される。
底面6上にはロック切換え部材42が設けられている。このロック切換え部材42は、平面形状が円弧状の部分を有する金属板であり、2箇所に円弧状の摺動長穴42a,42aが形成されている。図1にも示すように、底面6上には案内ピン43,43が突出し、それぞれの案内ピン43が摺動長穴42a内に挿入されている。前記摺動長穴42a,42aが前記案内ピン43,43を摺動することにより、ロック切換え部材42が、円弧軌跡に沿って筐体2の奥側である(b)方向と、筐体2の手前側である(c)方向とへ摺動できるようになっている。
底面6上には、連結回動レバー44が回動自在に支持されている。この連結回動レバー44とラック部材32とはカム部(図示せず)を介して連結されており、連結回動レバー44は、ラック部材32のY1方向への移動過程の途中で、2段階の動作で反時計方向へ回動させられる。ロック切換え部材42にはその幅方向に延びる連結長穴42bが形成され、連結回動レバー44の先部に設けられた連結ピン45が、前記連結長穴42b内に挿入されている。図5に示すように、ラック部材32のY1方向への移動力によって連結回動レバー44が反時計方向へ回動させられると、この連結回動レバー44の回動力によって、ロック切換え部材42が(c)方向へ移動させられる。
ロック切換え部材42の奥側(Y2側)の端部には、切換え長穴42cが形成されている。底面6の奥側には、軸51によって回動自在に支持された伝達部材52が設けられている。この伝達部材52の手前側の端部には連結ピン53が固定され、この連結ピン53が前記切換え長穴42c内に挿入されている。
図1にも示すように、後方折曲げ片3bの内側にはロック部材54が設けられている。このロック部材54は板状であり、後方折曲げ片3bの内側においてX1−X2方向へ直線的に移動できるように支持されている。
図1および図3に示すように、ロック部材54には、その下縁から底面6に沿う方向へ折り曲げられた折曲げ片54aが設けられ、この折曲げ片54aに長穴54bが形成されている。前記伝達部材52の奥側の端部には、連結ピン55が固定されており、この連結ピン55が長穴54b内に挿入されている。ロック切換え部材42が図4の位置から(c)方向へ移動するときに、切換え長穴42cによって伝達部材52が反時計方向へ回動させられ、これによってロック部材54がX1方向へ移動させられる。
図1に示すように、前記ロック部材54には、ロック制御穴56が開口している。このロック制御穴56は、X1側において底面6に接近する位置に形成されている拘束部56aと、この拘束部56aよりもX2側に位置し且つ拘束部56aよりも上側に位置している持ち上げ部56bと、前記拘束部56aと持ち上げ部56bとを連続させる傾斜部56cとを有している。さらに前記持ち上げ部56bのX2側の端部には、比較的大きな円形の逃げ穴56dが形成されている。
下部筐体3の前方折曲げ片3aの内側にもロック部材61が設けられている。このロック部材61は、図2(B)に図示されている。ロック部材61はロック切換え部材42に連結されており、前方折曲げ片3aの内側でX1−X2方向へ摺動自在に支持されている。図1と図3に示すように、ロック切換え部材42が(b)方向へ移動しているときには、図2(B)に示すように、ロック部材61がX2側に位置しており、ロック切換え部材42が(c)方向へ移動するときに、ロック切換え部材42の移動力によって、ロック部材61がX1方向へ移動させられる。
図2(B)に示すように、ロック部材61には、一対のロック制御穴62が開口している。それぞれのロック制御穴62には、X1側において底面6に接近する位置に形成されている拘束部62aと、この拘束部62aよりもX2側に位置し且つ拘束部62aよりも上側に位置している持ち上げ部62bと、拘束部62aと持ち上げ部62bとを連続させる傾斜部62cとを有している。さらに前記持ち上げ部62bのX2側の端部には、比較的大きな円形の逃げ穴62dが形成されている。
図3と図4に示すように、右側折曲げ片3cに、第1の検知部である検知スイッチSWが設けられている。図3に示すように、ラック部材32がY2方向へ最も移動しているときに、ラック部材32のY1側の端部が検知スイッチSWから離れ、検知スイッチSWはOFFになる。ラック部材32が図3の位置からY1方向へ移動し始めた直後にラック部材32のY1側の端部が検知スイッチSWのアクチュエータを押し、検知スイッチSWがONに切り替えられる。
前記第1の動力伝達部12の動作を説明すると、図1および図3に示すように、ラック部材32が奥側(Y2側)の始端に移動しているときには、スライダ31と切換レバー38がY2側に位置している。連結回動レバー44は時計方向へ回動しており、ロック切換え部材42は(b)方向へ移動している。そして、図1に示すロック部材54および図2(B)に示すロック部材61は、共にX2側へ移動している。このとき、検知スイッチSWの検知出力はOFFである。
第1のモータM1の動力によって、ラック部材32が図3の位置から図示Y1方向へ移動すると、検知スイッチSWが直ちにONになる。ラック部材32が図4に示す位置に至る間に、スライダ31および切換レバー38がラック部材32と一緒に図示Y1方向へ移動し、その最終行程において、切換レバー38がやや時計方向へ回動させられる。ただし、ラック部材32が図3の位置から図4の位置に至る間、連結回動レバー44が回動させられることはなく、ロック切換え部材42は(b)方向に移動した位置で停止しており、(c)方向へは移動しない。
ラック部材32が図4の位置からさらにY1方向へ短い距離だけ移動するときに、スライダ31とラック部材32とを連結している図示しない連結部材の制御動作および底面6に形成された図示しないカム穴の制御動作により、スライダ31および切換レバー38が図4に示す位置から動かず、連結回動レバー44が反時計方向へ回動し、ロック切換え部材42が(c)方向へ移動させられて、ロック部材54とロック部材61が、X1方向へ、その全移動範囲のほぼ半分の距離だけ移動させられる。
その後、ラック部材32がY1方向へ移動して図5に示す位置まで至るときに、その行程の前段階で、連結回動レバー44が回動せずに、スライダ31と切換レバー38がY1方向へ移動する。その後は、スライダ31と切換レバー38が、それ以上はY1方向へ動くことはなく、連結回動レバー44がさらに反時計方向へ回動させられ、図5に示すように、ロック切換え部材42が(c)方向へ摺動させられる。ロック切換え部材42が図5に示す位置へ回動すると、ロック部材54がX1方向への最終位置まで移動させられ、さらにロック部材61もX1方向の最終位置へ移動させられる。ロック切換え部材42が図5の位置に至る直前に、スライダ31上の切換レバー38が時計方向へ大きく回動させられる。
(ユニット支持ベースと駆動ユニット)
図1に示すユニット支持ベース13は、金属板を折り曲げて形成したものである。このユニット支持ベース13の手前には前方折曲げ片13aが形成され、後方には後方折曲げ片13bが形成されている。
図1および図6、図7に示すように、下部筐体3の底面6上の3箇所には,弾性支持部材であるダンパー71,72,73が固定されている。このダンパー71,72,73は、ゴムなどの可撓性の袋体の内部に、オイルなどの液体または気体が封入されているものである。あるいは前記袋体と共に圧縮コイルスプリングが組み合わされているものである。
図6と図7に示すように、ユニット支持ベース13の底面の3箇所には支持軸74,75および76が下方に向けて垂直に固定されており、支持軸74は前記ダンパー71に支持され、支持軸75はダンパー72に支持され、支持軸76はダンパー73に支持されている。ユニット支持ベース13は、各ダンパー71,72および73によって、底面6上で弾性支持可能となっている。
ユニット支持ベース13の後方折曲げ片13bにはY2方向へ突出する1本の拘束軸77が設けられており、この拘束軸77が、図1に示したロック部材54のロック制御穴56内に挿入されている。ユニット支持ベース13の前方折曲げ片13aには、Y1方向へ突出する一対の拘束軸78,78が設けられており、拘束軸78は、図2(B)に示すロック部材61のロック制御穴62内にそれぞれ挿入されている。
図6と図7に示すように、駆動ユニット14は、細長い駆動ベース81を有している。ユニット支持ベース13の奥側(Y2側)には、支持軸84が上向きに垂直に突出しており、駆動ベース81が前記支持軸84に支持されて、駆動ユニット14がX−Y平面に沿って回動自在となっている。
駆動ユニット14の回動範囲は、図6に示す退避位置から、図7に示す介入位置までである。退避位置にある駆動ユニット14は、ディスク収納領域20の支持体21に支持されるディスクDの外周縁からわずかに離れている。
図7と図15に示すように、駆動ユニット14が介入位置へ回動すると、ターンテーブル82が、ディスク収納領域20の内部へ移行する。この介入位置では、ターンテーブル82の回転中心が、選択位置(a)に移動している支持体21に支持されたディスクDの中心穴の下側において一致する。
図6に示すように、ユニット支持ベース13には、前記支持軸84を中心とする所定の半径の円弧状に形成された円弧案内部13eが設けられている。この円弧案内部13eは、ユニット支持ベース13を貫通する円弧長穴である。駆動ユニット14の駆動ベース81の下面には駆動軸88が垂直に固定されており、この駆動軸88が前記円弧案内部13e内に移動自在に挿通されている。
図6に示すように、ユニット支持ベース13の下面には、駆動部材である駆動スライダ85が設けられ、この駆動スライダ85は、Y1−Y2方向へ摺動自在に支持されている。駆動スライダ85には、駆動穴86およびこの駆動穴86に連続する逃げ部86bが形成されている。第1の動力伝達部12の切換レバー38に固定された切換駆動ピン41は前記駆動穴86に挿入されており、切換レバー38がY1方向へ移動するときに、この切換駆動ピン41によって、駆動スライダ85がY1方向へ移動させられる。
駆動スライダ85とユニット支持ベース13との間には、前記駆動軸88を駆動する駆動リンク機構(図示せず)が搭載されており、駆動スライダ85が図3に示すY2側の始端からY1方向へ移動して図4に示す位置へ至る間に、前記駆動リンク機構によって駆動軸88が時計方向へ押され、駆動ユニット14が図6に示す退避位置から図7に示す介入位置へ回動させられる。
駆動ユニット14の駆動ベース81の回動自由端側には、スピンドルモータが搭載され、このスピンドルモータのモータ軸82aに、前記ターンテーブル82が固定されている。図1にも示されるように、ターンテーブル82は、ディスクDの中心穴Da内に入り込む中心凸部82bと、この中心凸部82bから周囲に延びるフランジ部82cとを有している。ターンテーブル82内にはクランプ機構が搭載されている。このクランプ機構は、前記中心凸部82bから放射状に突出するクランプ爪を有している。クランプ爪が中心凸部82b内に退行しているときが非クランプモードであり、中心凸部82bがディスクDの中心穴Da内に入り込むことができる。クランプ爪が突出するとクランプモードとなり、ディスクDの中心穴Daの周縁部が、クランプ爪とフランジ部82cとで挟持されて、ディスクDがターンテーブル82にクランプされる。
駆動ユニット14の駆動ベース81には、前記クランプ爪を動作させるクランプ切換え機構が搭載されている。ラック部材32が図4の位置へ移動して、駆動ユニット14が介入位置へ移動した後に、さらにラック部材32がY1方向へ移動し、駆動スライダ85がY1方向へ移動するときの駆動力によって、前記クランプ切換え機構が動作し、クランプ爪が、非クランプモードからクランプモードに切換えられる。
図6と図7に示すように、駆動ベース81には光ヘッド83が設けられている。この光ヘッド83の上面には対物レンズ83aが設けられている。駆動ベース81にはスレッド機構が設けられ、このスレッド機構により、光ヘッド83はターンテーブル82に接近する位置から、ターンテーブル82から離れる方向へ向けて移動させられる。このとき、光ヘッド83の対物レンズ83aは、ターンテーブル82にクランプされたディスクDの半径方向に移動できるようになっている。
(第2の動力伝達部)
図8と図9に示す第2の動力伝達部16では、中間筐体4の機構ベース15の上に、円弧形状の切換え部材91が設けられている。切換え部材91には、円弧軌跡に沿って延びる一対の案内長穴91a,91aが形成されている。機構ベース15上には一対の案内軸92,92が上向きに突出して固定されており、それぞれの案内軸92が前記案内長穴91a内に挿入されている。この支持機構により、切換え部材91は円弧軌跡に沿って(d)方向および(e)方向へ摺動自在に案内されている。また、切換え部材91の外周側の縁部には円弧軌跡に沿ってラック歯91bが形成されている。
機構ベース15上に、第2のモータM2が設けられている。この第2のモータM2の回転軸にはウォーム歯車93が固定されている。機構ベース15上には出力歯車94が設けられ、この出力歯車94が前記ウォーム歯車93に常に噛み合っている。
第2のモータM2の回転動力は、前記出力歯車94から第1の切換え歯車95および歯車96を経てピニオン歯車97に減速して伝達される。第1の切換え歯車95は、出力歯車94に噛み合う位置と、出力歯車94から外れる位置とに切換えられる。前記ピニオン歯車97は、前記切換え部材91のラック歯91bと常に噛み合っている。前記出力歯車94の側方には、第2の切換え歯車98が設けられている。第2の切換え歯車98は、第2のモータM2の動力を、図1に示す支持体選択手段22に伝達させるためのものである。第1の切換え歯車95が出力歯車94に噛み合っているときに、第2の切換え歯車98が出力歯車94から離され、第1の切換え歯車95が出力歯車94から離れるときに、第2の切換え歯車98が出力歯車94に噛み合わされる。
図1および図8と図9に示すように、機構ベース15の下には前記移送ユニット17が設けられている。図2(A)および図12に示すように、移送ユニット17は、X1−X2方向へ向けて細長く延びる金属製のユニット枠100を有している。図12に示すように、ユニット枠100は、上面101と下面102および支点側の側面103と自由端側の側面104を有し、ユニット枠100の内部はY1−Y2方向に貫通している。ユニット枠100の内部には、低摩擦係数の合成樹脂で形成された摺動部材105が設けられている。この摺動部材105は、ユニット枠100の上面101の内面に沿って延びる挟持部106と、支点側の側面103の内側に位置する側部案内部107と、自由端側の側面104の内側に位置する側部案内部108とを有している。側部案内部107と側部案内部108との対向間隔は、ディスクDの直径よりも広く、また図2(A)に示すように、挿入口23の開口幅寸法Wとほぼ同じか、それよりもやや広く形成されている。
図2(A)と図12および図15に示すように、移送ユニット17では、ユニット枠100内にローラ軸111が設けられている。このローラ軸111は、ユニット枠100の上面101と平行に延び、その両端は前記支点側の側面103と自由端側の側面104に回動自在に支持されている。前記ローラ軸111の外周に合成ゴムや天然ゴムなどの摩擦係数の高い材料で形成された第1の移送ローラ112と第2の移送ローラ113が設けられている。この移送ローラ112と移送ローラ113は、軸方向に間隔を空けて配置されている。
第1の移送ローラ112と第2の移送ローラ113との中間に位置する中間部114は、ディスクDに対して実質的に移送力を与えない部分である。この中間部114は、両移送ローラ112,113と一体で且つ両移送ローラ112,113よりも小径に形成されているか、またはローラ軸111が直接に露出して形成されている。
図2(A)および図12に示すように、第1の移送ローラ112と第2の移送ローラ113は、前記摺動部材105の挟持部106に対向している。移送ローラ112,113と挟持部106の少なくとも一方がばねで付勢されて、移送ローラ112,113と挟持部106とが互いに弾性的に圧接されている。よって、移送ローラ112と挟持部106、および移送ローラ113と挟持部106とでディスクDを挟持可能である。
第1の移送ローラ112および第2の移送ローラ113は、ローラ軸111の外周に接着することなくローラ軸111の外周に回転自在に挿通されている。ディスクDに対する挟持圧が移送ローラ112,113に作用しているときには、移送ローラ112,113とローラ軸111との摩擦力が増大して、ローラ軸111と移送ローラ112,113が一体となって回転する。また、挟持中のディスクDが人の指で掴まれたときのように、移送されるディスクDに大きな抵抗力が与えられると、移送ローラ112,113に対してローラ軸111がスリップ回転できるように構成されている。
なお、この実施の形態では、挟持部106が低摩擦係数の合成樹脂材料で形成されているが、この挟持部106が、自由に回転できるローラであってもよい。
移送ユニット17は、図示X1側の端部を支点として、図8などに示す待機位置から、図9などに示す移送動作位置に向けて回動できる。図8に示す待機位置では、ユニット枠100が、ディスク収納領域20内の支持体21に支持されているディスクDの外周縁からわずかに離れている。図9に示すように、移送ユニット17が反時計方向へ回動して移送動作位置に至ると、移送ローラ112と113からディスクDに与えられる搬送力のベクトルが、複数の支持体21を有するディスク収納領域20に向けられる。
図1と図2(A)および図12に示すように、移送ユニット17の回動支点となる支点軸131は、下部筐体3の底面6において、上方へ垂直に延びるように固定されている。図12に示すように、移送ユニット17には、X1側の端部にローラ軸111と直交する方向に延びる軸受部129が設けられており、この軸受部129が前記支点軸131に回動自在に支持されている。この支点軸131と軸受部129は、移送ユニット17で移送されるディスクDの外周から離れた位置に設置されている。
図8と図9に示す第2の動力伝達部16では、中間筐体4の機構ベース15のX1側に円弧状の案内穴15bが開口し、X2側にも円弧状の案内穴15cが開口している。案内穴15bと案内穴15cは、共に前記支点軸131を曲率中心とした円弧軌跡に沿って延びている。
移送ユニット17のユニット枠100の上面101では、支点軸131に近い位置に上方へ垂直に延びる案内軸132が固定され、支点軸131から離れた自由端側には、同じく上方へ垂直に延びる駆動軸133が固定されている。図8と図9に示すように、案内軸132は前記案内穴15b内に下から上方に向けて挿通され、駆動軸133も案内穴15c内に下から上方に向けて挿通されている。駆動軸133の先端は機構ベース15の上方へ突出しており、機構ベース15の上において、駆動軸133に回動リング134が回動自在に設けられている。
機構ベース15の上には、駆動レバー135が設けられている。この駆動レバー135の基部は、軸136を介して機構ベース15に回動自在に支持されている。駆動レバー135には、駆動長穴135aが開口しており、前記駆動軸133の外周に設けられた前記回動リング134が、この駆動長穴135aの内部に挿入されている。
機構ベース15上に設けられている前記切換え部材91には、ユニット制御長穴137が開口している。前記駆動レバー135の上面には伝達軸138が垂直に突出しており、この伝達軸138が、ユニット制御長穴137に下から上方へ向けて挿入されている。
前記ユニット制御長穴137には、非作用部137aが形成されている。この非作用部137aは円弧軌跡に沿って形成されているが、この円弧軌跡の曲率中心は、切換え部材91が(d)−(e)方向へ摺動するときの円弧軌跡の曲率中心に一致している。したがって、図8に示すように、伝達軸138が非作用部137a内に位置しているときに、切換え部材91が(d)−(e)方向へ摺動しても、その移動力が伝達軸138に作用しない。
前記ユニット制御長穴137では、前記非作用部137aのY1側に連続して駆動傾斜部137bが設けられ、さらにそのY1側の端部に保持部137cが形成されている。保持部137cは、非作用部137aよりも、切換え部材91の摺動軌跡の曲率中心に近い側に位置している。
切換え部材91が、図8の位置から(e)方向へ摺動して図9の位置に至る間に、伝達軸138が駆動傾斜部137bに移行し、この駆動傾斜部137bによって伝達軸138が反時計方向へ移動させられ、駆動レバー135が反時計方向へ回動させられる。その結果、移送ユニット17が、支点軸131を支点として反時計方向へ回動して移送動作位置に至る。さらに切換え部材91が(e)方向へ移動すると、図9に示すように、駆動軸133が案内穴15cのY2側端部に位置し、且つ伝達軸138がユニット制御長穴137の保持部137cに保持されて、移送ユニット17が移送動作位置で拘束される。
この実施の形態では、切換え部材91に設けられたユニット制御長穴137および駆動レバー135とで、移送ユニット回動手段が構成されている。
(第2の検知部材)
図8と図9に示すように、機構ベース15上には、切換え部材91の摺動位置を検知するための第2の検知部200が設けられている。
第2の検知部200は検知基板201を有し、検知基板201に検知スイッチT1,T2,T3,T4が取り付けられている。筐体2の前面7から図示Y2側へ曲げられた取り付け部7a,7bが設けられ、検知基板201が、取り付け部7a,7bにねじで固定されている。検知基板201はプリント基板であり、その表面に所定の配線パターンがスクリーン印刷等により形成されている。検知スイッチT1〜T4の動作信号が、配線パターンを経てCPUなどの制御部401(図16参照)に与えられる。検知スイッチT1,T2,T3,T4は、Y2方向へ突出する押圧式のアクチュエータT11,T21,T31,T41を有している。
切換え部材91の上面には、その円弧形状に沿って延びる検知カム202が固定されまたは一体に形成されて、検知カム202が切換え部材91とともに円弧軌跡に沿って(d)―(e)方向に移動する。
図8は、後に説明する歯車切換機構300によって、第2のモータM2の動力が支持体選択手段22に与えられている支持体21の選択動作モードを示している。このとき、切換え部材91は(d)方向への所定位置に移動して停止しており、検知カム202によってアクチュエータT21とT22が押されている。よって、検知スイッチT1,T2,T3,T4の検知出力の組み合わせは、OFF,ON,ON,OFFである。
切換え部材91が、図8に示す選択動作モードからわずかに(e)方向へ移動すると、検知スイッチT4がONになり、検知スイッチT1,T2,T3,T4の検知出力の組み合わせが変化する。
図9は、歯車切換機構300によって第2のモータの動力がピニオン歯車97に与えられて、切換え部材91が(e)方向へ移動させられて、移送ユニット17が反時計方向へ回動して移送動作位置に至ったディスク搬送モードを示している。このときの知スイッチT1,T2,T3,T4の検知出力の組み合わせは、OFF,OFF,OFF,ONである。
(歯車切換機構)
図10(A)(B)および図11(A)(B)には、第2の動力伝達部16(図8と図9参照)に設けられた第1の切換え歯車95と第2の切換え歯車98とを切換える歯車切換機構300が示されている。図10(B)および図11(B)は、機構ベース15の上面に位置する歯車の配置を示し、図10(A)および図11(B)は、機構ベース15の下面に設けられた歯車切換機構300を、機構ベース15を透視して示している。図10(A)(B)は、駆動ユニット14が退避位置(図6の状態)にあるときの機構の動作を示し、図11(A)(B)は、駆動ユニット14が介入位置(図7の状態)にあるときの機構の動作を示している。
図1に示すように、中間筐体4に設けられた前記機構ベース15は、駆動ユニット14を支持しているユニット支持ベース13の上方に距離を空けて対向している。
図1および図6にも示すように、駆動ユニット14の駆動ベース81には、支持軸84の側方に、上向きに垂直に延びる切換え制御軸87が固定されている。図10(A)(B)および図11(A)(B)に示すように、機構ベース15には、円弧案内穴15fとこれに連続する円形の逃げ穴15gが形成されている。前記切換え制御軸87は、前記円弧案内穴15fおよび逃げ穴15g内を移動できるように、機構ベース15の下側から挿入されている。円弧案内穴15fは、その下に位置する駆動ユニット14の回動支点である支持軸84の軸芯に曲率中心を有する円弧軌跡に沿って形成されており、駆動ユニット14が回動するときに、切換え制御軸87が円弧案内穴15f内を移動可能である。そして、図7に示すように、移動ユニット14が介入位置へ回動すると、切換え制御軸87は逃げ穴15g内に位置し、ユニット支持ベース13がダンパー71,72,73で弾性支持されているときに、駆動ユニット14が、機構ベース15に拘束されないようになっている。
図10(B)と図11(B)に示すように(図8と図9にも示すように)、第2の動力伝達部16の出力歯車94と歯車96との間には、前記第1の切換え歯車95が設けられ、出力歯車94のY2側には第2の切換え歯車98が設けられている。
前記歯車96は機構ベース15に固定された軸301に回転自在に取り付けられている。歯車96と機構ベース15との間には、前記軸301を中心として回動可能な第1のアイドル板302が設けられており、第1のアイドル板302に固定された軸303に第1の切換え歯車95が回転自在に支持されている。第1の切換え歯車95は前記歯車96に常に噛み合っており、第1のアイドル板302の回動に伴なって、第1の切換え歯車95は歯車96の周囲を遊星移動可能である。図11(B)に示すように、第1の切換え歯車95が出力歯車94に噛み合うと、第2のモータM2の駆動力がピニオン歯車97に伝達される。
第1のアイドル板302には下方(Z1方向)へ延びる第1の切換え軸304が固定されている。機構ベース15には、前記軸301の中心から所定半径の円弧軌跡に沿って逃げ長穴15hが上下に貫通して形成されており、第1の切換え軸304は、逃げ長穴15hを通過して、機構ベース15の下方へ延びている。図10(A)と図11(A)には、前記第1の切換え軸304がハッチングを付して示されている。
機構ベース15上には、X1側の端部に、上方(Z2方向)へ延びる短い軸305が固定されており、この軸305に第2のアイドル板306が回動自在に支持されている。第2のアイドル板306には軸307が固定され、前記第2の切換え歯車98はこの軸307に回転自在に支持されている。
図2(B)および図13に示すように、上部筐体5の天井面11のX2側の下面には回転軸99aが回転自在に支持され、この回転軸99aの下端(図13では上端)に伝達歯車99が一体に設けられている。中間筐体4の上に上部筐体5が設置されたときに、図10(B)と図11(B)に示すように、伝達歯車99が、機構ベース15の上面に接近して対向する。このときの伝達歯車99の回転中心は、機構ベース15に設けられた前記軸305と同軸またはほぼ同軸に配置される。よって、第2の切換え歯車98は伝達歯車99に常に噛み合っており、第2のアイドル板306が回動すると、第2の切換え歯車98が伝達歯車99の周囲を遊星移動する。図10(B)に示すように、第2の切換え歯車98が出力歯車94に噛み合うと、第2のモータM2の動力が伝達歯車99に伝達され、この伝達歯車99により支持体選択手段22が駆動される。
第2のアイドル板306には、下方へ突出する第2の切換え軸308が固定されている。機構ベース15には、軸305の中心から所定半径の円弧軌跡の沿う逃げ長穴15iが上下に貫通して形成されており、第2の切換え軸308は、前記逃げ長穴15iを通過して機構ベース15の下方へ延びている。図10(A)と図11(A)には、第2の切換え軸308がハッチングを付して示されている。
図10(A)および図11(A)に示すように、歯車切換機構300では、機構ベース15の下面に第1の切換え部材310が設けられている。この第1の切換え部材310は板状であり、機構ベース15の下面に沿ってY1−Y2方向へ直線的に移動自在に支持されている。第1の切換え部材310と機構ベース15との間には、付勢部材である引っ張りコイルばね311が掛けられており、この引っ張りコイルばね311によって、第1の切換え部材310がY1方向へ付勢されている。
第1の切換え部材310には、X1−X2方向に延びる駆動長穴312aが形成され、この駆動長穴312aのX1側には、大きな円形の駆動逃げ穴312bが形成されている。駆動ユニット14に固定されている切換え制御軸87は、前記駆動長穴312a内または駆動逃げ穴312b内を通過して、機構ベース15に形成された前記円弧案内穴15fまたは逃げ穴15g内に挿入されている。
図6に示すように、駆動ユニット14が退避位置にあるとき、この駆動ユニット14に固定された切換え制御軸87が支持軸84を支点として反時計方向へ回動しているため、図10(A)に示すように、切換え制御軸87により駆動長穴312aがY2方向へ押され、第1の切換え部材310がY2側の端部へ移動させられている。図7に示すように、駆動ユニット14が時計方向へ回動して介入位置に至ると、切換え制御軸87が時計方向へ移動し、図11(A)に示すように、第1の切換え部材310は引っ張りコイルばね311の付勢力によりY1方向へ移動させられる。
第1の切換え部材310のY1側の端部には、第1の切換え穴313が上下に貫通して形成されており、前記第1のアイドル板302に固定されている第1の切換え軸304が、この第1の切換え穴313内に挿入されている。第1の切換え穴313は、Y1方向へ延びる噛み合い解除部313aと、Y2方向へ延びる噛み合わせ部313b、および噛み合い解除部313aと噛み合わせ部313bとの間に位置する切換え部313cとを有している。噛み合い解除部313aと噛み合わせ部313bのX1−X2方向の幅寸法は、第1の切換え軸304の直径よりもわずかに大きい寸法であるが、切換え部313cは、第1の切換え軸304の直径寸法よりも十分に広い幅寸法Waを有している。
図10(A)(B)に示すように、第1の切換え部材310がY2側に位置しているときには、第1の切換え軸304が、第1の切換え穴313の噛み合い解除部313a内に導かれる。よって、第1のアイドル板302が反時計方向へ回動させられ、図10(B)に示すように、第1の切換え歯車95と出力歯車94との噛み合いが解除される。図11(A)(B)に示すように、第1の切換え部材310がY1方向へ移動すると、第1の切換え軸304が第1の切換え穴313の噛み合わせ部313b内に導かれる。このとき、第1のアイドル板302が時計方向へ回動させられ、第1の切換え歯車95と出力歯車94とが噛み合わされる。
なお、第1の切換え部材310が図10(A)に示す位置からY1方向へ移動する際に、例えば出力歯車94の歯の頂部と、第1の切換え歯車95の歯の頂部とが当たって、両歯車の噛み合いが不完全となる場合が有りえる。このとき、第1の切換え穴313内に入っている第1の切換え軸304が時計方向へ完全に移動できないため、第1の切換え部材310は、図11(A)の位置まで移動できず、第1の切換え軸304は、第1の切換え穴313の切換え部313cに位置する。このとき、切換え部313cの幅寸法Waが大きいため、第1の切換え軸304は切換え部313c内で動くことができ、第1のアイドル板302が軸301を中心として回動することができる。よって、第1の切換え歯車95を出力歯車94に噛み合わせるときに、第2のモータM2を始動して出力歯車94を、噛み合いを促進する方向である反時計方向へ短時間回動させ、または出力歯車94を時計方向と反時計方向へ交互に短時間回転させると、第1の切換え歯車95と出力歯車94とを確実に噛み合わせることができ、その後に、図11(A)に示すように、第1の切換え軸304が第1の切換え穴313の噛み合わせ部313b内に入り込むようになる。
歯車切換機構300では、第1の切換え部材310の下に第2の切換え部材320が設けられている。この第2の切換え部材320は反転レバーである。第2の切換え部材320は、Y2側の端部が、機構ベース15の下面に固定された軸321を中心として回動自在に支持されている。第2の切換え部材320のY1側の先部と機構ベース15との間には、付勢部材である引っ張りコイルばね322が掛けられており、第2の切換え部材320は時計方向へ付勢されている。
前記第1の切換え部材310には、連動長穴315が開口しており、第2の切換え部材320に固定された連動軸325が連動長穴315内に入り込んでいる。連動長穴315のX1側の縁部では、Y1側に位置する第1の連動部315aと、この第1の連動部315aよりもY2側に位置する第2の連動部315bとが形成され、第1の連動部315aと第2の連動部315bとの間に傾斜部315cが形成されている。第2の切換え部材320は時計方向へ付勢されているため、連動軸325は、第1の連動部315a、第2の連動部315bまたは傾斜部315cのいずれかに常に押し付けられている。
図10(A)に示すように、第1の切換え部材310がY2方向へ移動していると、連動軸325が第1の連動部315aまたはその直近の傾斜部315cに押し付けられて、第2の切換え部材320が時計方向へ回動する。図11(B)に示すように、第1の切換え部材310がY1方向へ移動すると、連動軸325が第2の連動部315bに押し付けられて、第2の切換え部材320が反時計方向へ回動させられる。ただし、連動長穴315のX1−X2方向の幅寸法Wbは、連動軸325の直径寸法よりも大きいため、第2の切換え部材320は常に反時計方向へ回動可能な状態となっている。
第2の切換え部材320には、第2の切換え穴323が上下に貫通して形成されており、第2のアイドル板306に固定されている第2の切換え軸308が第2の切換え穴323内に挿入されている。第2の切換え穴323には、噛み合わせ部323aと、この噛み合わせ部323aのX1側に連続し、且つY2側に位置する噛み合い解除部323bとが設けられている。
図10(A)に示すように、第1の切換え部材310がY2方向へ移動していると、連動軸325が、第1の連動部315aまたはその直近の傾斜部315cに位置し、第2の切換え部材320が時計方向へ回動させられる。よって、第2の切換え軸308が、第2の切換え部材320に形成された切換え穴323の噛み合わせ部323a内に導かれ、第2のアイドル板306が時計方向へ回動させられる。よって、図10(B)に示すように、第2の切換え歯車98が出力歯車94に噛み合う。図11(A)に示すように、第1の切換え部材310がY1方向へ移動すると、連動軸325が傾斜部315cを摺動して第2の連動部315bに導かれ、第2の切換え部材320が反時計方向へ回動する。よって、第2の切換え軸308は、第2の切換え穴323の噛み合い解除部323bに導かれて、第2のアイドル板306が反時計方向へ回動させられる。よって、図11(B)に示すように、第2の切換え歯車98が、出力歯車94から離れる。
第2の切換え部材320に形成された切換え穴323は、第2の切換え部材320の回動軌跡に沿う方向へ傾斜して形成されている。したがって、図10(A)(B)に示すように、第2の切換え歯車98が出力歯車94と噛み合っているときに、第2の切換え部材320は、連動軸325が連動長穴315内で移動できる範囲内において、反時計方向へ回動可能である。したがって、第2の切換え歯車98が出力歯車94に噛み合わせられるときに、出力歯車94の歯の頂部と、第2の切換え歯車98の歯の頂部とが当たって噛み合いが不完全であると、第2の切換え部材320は、図10(A)に示す状態よりもやや反時計方向へ回動した状態となり、且つ引っ張りコイルばね322の付勢力を受けている第2の切換え部材320によって、第2のアイドル板306が時計方向すなわち噛み合い方向へ押圧された状態となる。このとき、第2のモータM2を始動して、出力歯車94を、噛み合いを促進させる方向である反時計方向へ短時間回転させ、あるいは時計方向と反時計方向とへ交互に短時間回転させることにより、出力歯車94と第2の切換え歯車98とを確実に噛み合わせることができる。
上記のように、歯車切換機構300は、駆動ユニット14が回動するときの動力によって切換えられる。
すなわち、駆動ユニット14が図6に示すように退避位置に移動しているときには、図10(A)(B)に示すように、第1の切換え部材310がY2方向へ移動させられて、第1の切換え歯車95が出力歯車94から離れ、第2の切換え歯車98が出力歯車94に噛み合う。したがって、第2のモータM2の回転力が支持体選択手段22に与えられ、第2のモータM2の動力は切換え部材91に与えられない。図7に示すように、駆動ユニット14が時計方向へ回動して介入位置に至ると、図11(A)(B)に示すように、第1の切換え部材310がY1方向へ移動させられて、第1の切換え歯車95が出力歯車94に噛み合い、第2の切換え歯車98が出力歯車94から離れる。よって、第2のモータM2の動力は支持体選択手段22に伝達されず、第2のモータM2によって切換え部材91が移動させられる。
(第3の動力伝達部)
図6および図12に示すように、移送ユニット101の回動支点となる前記支点軸131は、筐体2の底面6に固定されている。この支点軸131の下方には、一体ギヤ141が回転自在に支持されている。この一体ギヤ141は、上方部分が垂直ウォーム歯車141aであり、下方部分が下部歯車141bである。図6に示すように、筐体2の底面6には、中間歯車142が回転自在に設けられ、この中間歯車142が前記下部歯車141bに噛み合っている。底面6には第3のモータM3が設けられており、その回転軸に固定されたウォーム歯車143が、前記中間歯車142と噛み合っている。
図12に示すように、移送ユニット17では、ローラ軸111の一端が、ユニット枠100の支点側の側面103から外方へ突出しており、側面103から突出したローラ軸111の端部に平歯車であるローラ歯車144が固定されている。前記側面103には、軸145が固定され、この軸145に一体ギヤ146が回転自在に支持されている。この一体ギヤ146は、小径平歯車146aと大径平歯車146bとが一体化されたものであり、小径平歯車146aが前記ローラ歯車144と噛み合っている。
ユニット枠100の下面102には、下方に突出する支持片102aが一体に折り曲げ形成されており、この支持片102aに軸148が固定されている。この軸148はローラ軸111と平行に延びている。軸148には一体ギヤ147が回転自在に支持されている。一体ギヤ147は、平歯車147aとウォームホイール147bとが一体化されたものである。この平歯車147aが、前記大径平歯車146bと噛み合っている。
移送ユニット17に設けられた軸受部129が、支点軸131に回動自在に挿通された状態で、前記ウォームホイール147bとウォーム歯車141aとが噛み合う。下部筐体3に設けられた第3のモータM3の回転動力は、中間歯車142から下部歯車141bおよびウォーム歯車141aに伝達され、さらにウォーム歯車141aからウォームホイール147bに伝達される。その動力は、平歯車147aから一体ギヤ146の大径平歯車146bに伝達され、さらに小径平歯車146aからローラ歯車144に伝達される。
下部筐体3側に設けられた第3のモータM3の回転動力が、支点軸131と同軸に回転する一体ギヤ141を介してローラ歯車144に伝達されるため、移送ユニット17を、支点軸131を支点として待機位置から移送動作位置へ回動させる動作と独立させて、ローラ軸111を駆動することができる。このディスク収納型ディスク装置1は、移送ユニット17を待機位置から移送動作位置へ回動させる移送ユニット回動手段と、移送ローラ112,113を回転させるローラ駆動手段とが別個に設けられ、互いに独立して動作できるようになっている。
(支持体選択手段)
図1と図2(B)には支持体選択手段22の構造が示され、図13では支持体選択手段22が、上部筐体5を上下逆にして示されている。
上部筐体5の天井面11には、互いに平行に下方へ向けて延びる3本の選択軸151A,151B,151Cが回転自在に支持されている。
それぞれの選択軸151A,151B,151Cの外周には、選択溝152が形成されている。選択溝152はスパイラル状に形成されている。選択溝152のスパイラル形状は、選択軸151A,151B,151Cの上方が密ピッチ部152aで下方が密ピッチ部152bとなっている。上方の密ピッチ部152aと下方の密ピッチ部152bでは、選択溝152が短ピッチで形成され、上方の密ピッチ部152aと下方の密ピッチ部152bでは、それぞれ選択溝152が少なくとも5周(5ピッチ)以上形成されている。選択軸151A,151B,151Cの中間部では、選択溝152が疎ピッチ部152cとなっており、この疎ピッチ部152cでは、上方の密ピッチ部152aと下方の密ピッチ部152bの間で、選択溝152が1ピッチ分だけ形成されている。
支持体21は上下方向に重ねられて6枚設けられている。それぞれの支持体21は、薄い金属板で形成されている。図13に示すように、それぞれの支持体21は、筐体2の左側面9にほぼ平行に対向する左側縁21bと、筐体2の後側面10にほぼ平行に対向する後縁21cを有している。支持体21の筐体2の内方へ向けられる内縁21aは凹曲線形状であり、駆動ユニット14が介入位置に設置されたときに、支持体21の内縁21aは、ターンテーブル82の外周から離れた位置にある。
図13に示すように、それぞれの支持体21には、そのX1側の端部で且つY1側の端部に、軸受25Aが固定されている。また、それぞれの支持体21のX2側の端部で且つY2側の端部に軸受25Bが固定され、左側縁21bと後縁21cとの角部の内側では、支持体21に軸受25Cが固定されている。軸受25Aは、選択軸151Aの外周に挿通され、軸受25Bは選択軸151Bの外周に挿通され、軸受25Cは選択軸151Cの外周に挿通されている。それぞれの軸受25A,25B,25Cの内側には掛止部が一体に突出形成されており、この掛止部が、選択軸151A,151B,151Cのそれぞれの外周に形成された選択溝152に摺動自在に掛止されている。
6枚の支持体21のそれぞれの前記掛止部は、選択溝152の隣接する5ピッチのそれぞれのピッチに掛止されるように配置されている。よって、選択軸151A,151B,151Cが、図13において時計方向へ回転すると、支持体21が選択軸151A,151B,151Cに沿って1枚ずつ天井面11から離れるように下向きに送られ、選択軸151A,151B,151Cが反時計方向へ回転すると、支持体21が選択軸151A,151B,151Cに沿って1枚ずつ天井面11に向けて上向きに送られる。そして、疎ピッチ部152cに掛止されているいずれかの支持体21が、図2(B)に示す選択位置(a)に至る。
図2(B)に示すように、選択位置(a)の支持体21は、疎ピッチ部152cの上方に位置している。選択位置(a)にある支持体21の下方に隣接する支持体21は、下方の密ピッチ部152bの最上部のピッチの選択溝152に掛止されている。そして、この下側の支持体21と選択位置(a)の支持体との間に、上下に比較的広い間隔が空けられ、駆動ユニット14がこの間隔内に入り込むことができるようになっている。一方、選択位置(a)の支持体21の上方に隣接する支持体21は、上方の密ピッチ部152aの最下部のピッチの選択溝152に掛止されている。
図13に示すように、選択軸151Aの上端には、薄い小歯車153Aが固定され、同様に、選択軸151Bと151Cの上端に、薄い小歯車,151B,151Cが固定されている。小歯車153A,153B,153Cは、天井面11の下面にほぼ密着して回転できるようになっている。天井面11の下面には大径の薄いリング状歯車160が回転自在に設けられ、選択軸151A,151B,151Cに設けられた小歯車が、全てリング状歯車160の外周に形成された歯部と噛み合っている。よって、リング状歯車160の回転により、全ての小歯車が同期して回転駆動され、3本の選択軸151A,151B,151Cが同期して回転駆動される。
図2(B)と図13に示すように、上部筐体5の天井面11の下面には回転軸99aが回転自在に支持されている。この回転軸99aの下端に、図8と図9および図10(B)と図11(B)に示した前記伝達歯車99が固定されており、この伝達歯車99が、第2の動力伝達部16の前記第2の切換え歯車98と噛み合っている。回転軸99aの上端には、薄型歯車99bが固定されており、この薄型歯車99bが前記リング状歯車160の外周の歯部に噛み合っている。図10(B)に示すように、第2の切換え歯車98が、出力歯車94と伝達歯車99に噛み合い、第1の切換え歯車95が出力歯車94から離れている状態で、第2のモータM2を始動すると、その動力が伝達歯車99に伝達され、この伝達歯車99と一体の薄型歯車99bによってリング状歯車が駆動される。
(選択検知部)
図13と図14に示すように、上部筐体5の天井面11の下面には回転検出部170が設けられている。回転検出部170では、上部筐体5の天井面11の下面には、支持軸172が固定されており、回転部材171が、支持軸172に回転自在に支持されている。回転部材171には、検出部171aと歯車171bとが一体に形成されている。歯車171bが、リング状歯車160の外周の歯部に常に噛み合っている。
回転部材171の検出部171aには、切欠き部171cが形成されている。図13に示すように、天井面11の下面には、プリント基板173が垂直に固定されており、このプリント基板173に一対の光学検知素子F1とF2が固定されている。図14に示すように、それぞれの光学検知素子F1,F2は、前記検出部171aの回転方向に並んで配置されており、それぞれが、検出部171aの上面に対向する発光素子と、検出部171aの下面に対向する受光素子とを有している。
検出部171aの切欠き部171cが両光学検知素子F1,F2に対向すると、光学検知素子F1と光学検知素子F2の双方において、発光素子から発せられた光が受光素子で受光され、検知出力が共にONになる。また発光素子から発せられる光が検出部171aで遮られると、検知出力がOFFになる。この回転検知部170では、リング状歯車160が回転し、各選択軸151A,151B,151Cが回転させられて、いずれかの支持体21が選択位置(a)に至ったときに、光学検知素子F1とF2が同時にONとなる。さらに回転部材171が1回転して、次に光学検知素子F1とF2が共にONになると、前記支持体の次に位置する支持体21が選択位置(a)に至る。また、光学検知素子F1とF2が共にONとなった後に、どちらの光学検知素子が先にOFFになるかによって、回転部材171の回転方向を認識でき、よってリング状歯車160の回転方向を認識できる。
図17には光学検知素子F1,F2の検知出力の波形が示されている。図16に示す制御部401では、前記光学検知素子F1,F2の検知出力を監視することで、各選択軸151A,151B,151Cがどちらの方向へ回転しているか、すなわち支持体21が下方へ向けて移動しているか、上方へ向けて移動しているかを認識できる。また、両光学検知素子F1,F2が同時にONとなったときに、第2の動力伝達部16の第2のモータM3を止めることにより、支持体21を選択位置(a)に停止させることができる。また、両光学検知素子F1,F2が共にONとなる回数をカウントすることにより、6枚の支持体21のどれが選択位置(a)に至ったかを認識できる。
(ディスク保持機構)
図13に示すように、それぞれの支持体21には、3個の保持部材26,27,28が設けられている。保持部材26,27,28は、それぞれ支持体21の下面(Z1側の面)に設けられている。保持部材26は、前記軸受25Aの外周を回動できるように支持されている。保持部材27は、前記軸受25Bの外周を回動できるように支持され、保持部材28は、前記軸受25Cの外周を回動できるように支持されている。
保持部材26と支持体21との間には引っ張りコイルばねが掛けられており、保持部材26が図13において時計方向(γ2方向)へ回動付勢されている。保持部材27と保持部材28は、引っ張りコイルばねによって反時計方向(γ4方向)へ付勢されている。
保持部材26,27,28は合成樹脂材料で形成されている。それぞれの保持部材26,27,28には、保持爪26b,27b,28bが一体に形成されている。保持爪b,27b,28bは、支持体21の下面に間隔を空けて対向しており、支持体21の下面に供給されたディスクDは、支持体21の下面と、各保持爪26b,27b,28bとの間に保持される。
図13に示すように、筐体2の左側面9の内側には、保持解除部材351がY1−Y2方向へ移動自在に設けられている。保持解除部材351は、選択位置(a)の支持体21に設けられた保持部材26に対向している。筐体2の後側面10の内側にはX1−X2方向へ移動する保持解除部材352が設けられている。保持解除部材352は、選択位置(a)の支持体21に設けられた保持部材27,28に対向している。
保持解除部材351がY2方向へ移動させられると、保持部材26がγ1方向へ回動させられ、保持解除部材352がX1方向へ移動させられると、保持部材27と保持部材28がγ3方向へ回動させられる。これにより、選択位置(a)にある支持体21の下部でのディスクDの保持が解除される。
(回路構成)
図16に示すように、第1の検知部として設けられた検知スイッチSWと、第2の検知部200に設けられた検知スイッチT1,T2,T3,T4の切り替わりは、スイッチ検出回路402で検知されて、制御部401に通知される。選択検知部170に設けられた光学検知素子F1,F2の切り替わりは、光学検出回路403で検知されて制御部401に与えられる。
制御部401はCPUおよびメモリとから構成されており、制御部401によってモータドライバ404,405,406への通電が制御されて、第1のモータM1と第2のモータM2および第3のモータM3の駆動状態が制御される。
次に、上記ディスク収納型ディスク装置1の全体動作について説明する。
(支持体選択動作)
ディスク収納領域20にある6枚の支持体21のいずれかを選択位置(a)へ移動させるときには、図3に示すように、第1の動力伝達部12の第1のモータM1によって、ラック部材32が最もY2方向へ移動した始端に設定される。スライダ31と切換レバー38はY2方向へ移動しており、図6に示すように、切換レバー38に設けられた切換駆動ピン41によって、ユニット支持ベース13の下面に設けられた駆動スライダ85が、Y2方向へ移動させられ、駆動ユニット14が、ディスク収納領域20に収納されたディスクDに当たらない退避位置に設定される。ラック部材32が図3に示すように最もY2方向へ移動しているとき、第1の検知部の検知スイッチSWの検知出力はOFFである。
駆動ユニット14から上方へ突出している切換え制御軸87は反時計方向へ移動しているため、図10(A)に示すように、切換え制御軸87によって、機構ベース15の下面に設けられた第1の切換え部材310がY2方向へ移動させられている。
第1の切換え部材310がY2方向へ移動していると、この第1の切換え部材310に設けられた第1の切換え穴313の噛み合い解除部313a内に第1の切換え軸304が導かれ、図10(B)に示す第1のアイドル板302が反時計方向へ回動させられて、第1のアイドル板302に支持されている第1の切換え歯車95が、出力歯車94から離されている。
一方、第1の切換え部材310に形成された連動長穴315の第1の連動部315aまたは傾斜部315cに連動軸325が位置しているため、第2の切換え部材320が時計方向へ回動させられている。この第2の切換え部材320に形成された第2の切換え穴323の噛み合わせ部323a内に第2の切換え軸308が導かれているため、図10(B)に示すように、第2のアイドル板306が時計方向へ回動させられ、第2の切換え歯車98が出力歯車94に噛み合わされている。
第1の切換え歯車95が出力歯車94から離れているため、第2のモータM2の回転力がピニオン歯車97に伝達されることはなく、切換え部材91は図8に示す初期位置で停止したままである。
図8に示すように、切換え部材91が初期位置に停止しているため、伝達軸138が、切換え部材91に形成されたユニット制御長穴137の非作用部137a内に位置している。よって、駆動レバー135が時計方向へ回動した状態に保持され、移送ユニット17は、ディスク収納領域20内のディスクDに当たらない待機位置に設定されている。このとき、第2の検知部200に設けられた検知スイッチT1,T2,T3,T4の検知出力の組み合わせは、OFF,ON,ON,OFFである。
筐体2の前方に設けられた操作部またはリモートコントローラを操作して、いずれかの支持体21を選択する操作が行われると、図8に示す第2のモータM2が始動する。
第2のモータM2の回転力は、出力歯車94から第2の切換え歯車98を経て伝達歯車99に伝達される。この伝達歯車99によって、筐体2の天井面11の下面に設けられたリング状歯車が駆動され、支持体選択手段22に設けられた3本の選択軸151A,151B,151Cが同期して回転させられる。この選択軸151A,151B,151Cの回転により、支持体21が下方へ順に送られ、あるいは上方へ順に送られる。
図4に示す回転検出部170からの検知出力に基づいて、制御部401において、どの支持体21が選択位置(a)に至ったのかを認識できる。操作によって指定された支持体21が選択位置(a)へ移動したことが認識されると第2のモータM2が停止する。
(ディスク挿入待機モードの設定)
前記支持体選択動作によって、ディスクDを保持していない支持体21が選択位置(a)へ移動して停止すると、制御部401によって、図3に示す第1のモータM1が始動させられる。第1のモータM1の動力によって、ラック部材32が図3の位置からY1方向へ移動させられ、ラック部材32が図4に示す位置へ移動したことが他の検知スイッチで検知されると第1のモータM1が停止する。ラック部材32が移動し始めた直後に、図3に示す第1の検知部の検知スイッチSWがONに切換えられる。
ラック部材32が図3から図4の位置へ移動するときに、ラック部材32と共に、スライダ31と切換レバー38がY1方向へ移動する。また、切換レバー38に設けられた切換駆動ピン41によって、駆動スライダ85が図6の位置から図7に示す位置まで移動させられる。このとき、駆動スライダ85の移動力はリンク機構を介して駆動軸88に作用し、駆動軸88がY1方向へ引かれ、駆動軸88が、ユニット支持ベース13に形成された円弧案内部13eに沿って移動する。そして、駆動ユニット14が支持軸84を支点として時計方向へ回動させられる。
ラック部材32が、図3の始端から図4に示す位置へ移動する間は、連結回動レバー44が、時計方向へ回動した位置で停止しており、ロック切換え部材42は(b)方向へ移動した状態で停止している。このとき、第1の動力伝達部12のY2側の端部に位置する伝達部材52が時計方向へ回動しており、この伝達部材52によってロック部材54がX2側へ移動させられている。また、図2(B)に示すように、筐体2の前面7の内側に設けられたロック部材61もX2側へ移動させられている。よって、ユニット支持ベース13の後方に設けられた拘束軸77は、図1に示すロック部材54に形成されたロック制御穴56の拘束部56a内に保持され、ユニット支持ベース13の前方に設けられた拘束軸78,78も、図2(B)に示すように、ロック部材61に形成されたロック制御穴62,62の拘束部62a,62aで保持されている。
よって、ダンパー71,72,73が押し潰されるようにして、ユニット支持ベース13が底面6に接近する位置に下降させられており、介入位置へ向けて回動する駆動ユニット14のターンテーブル82が、選択位置(a)にある支持体21に保持されているディスクDの下方を移動できる。
また、ラック部材32が図3の位置からY2方向へ移動して図4の位置へ移動する間、駆動ユニット14が退避位置から介入位置へ回動するとともに、駆動ユニット14に設けられた切換え制御軸87が時計方向へ回動するため、第1の切換え部材310が、図10(A)に示す位置からY1方向へ移動させられて図10(B)の位置に至る。
この間に、第1の切換え穴313によって、第1のアイドル板302が時計方向へ回動させられ、図11(B)に示すように、第1の切換え歯車95が出力歯車94に噛み合わされる。同時に、連動長穴315の第2の連動部315bによって第2の切換え部材320が反時計方向へ回動させられ、第2の切換え部材320に形成された第2の切換え穴323によって、第2のアイドル板306が反時計方向へ回動させられて、第2の切換え歯車98が出力歯車94から離される。よって、第2のモータM2の動力を、出力歯車94を介して、ピニオン歯車97に伝達できるようになる。
(ディスク搬入動作)
ディスクDが挿入口23から挿入され、図示しない挿入検知部でディスクの挿入が検知されると、図7に示す第3のモータM3が始動し、図8に示す待機位置にある移送ユニット17のローラ軸111が始動し、第1の移送ローラ112と第2の移送ローラ113が搬入方向へ回転する。ディスクDが移送ローラ112,113と挟持部106とで挟持されると、移送ローラ112,113の回転力によって、ディスクDが筐体2内に搬入される。
ディスクDがほぼ直径の半分の距離だけ搬入されたことが図示しない検知部材で検知されると、図8に示す第2のモータM2が再び始動して、切換え部材91が(e)方向へ移動させられる。
切換え部材91が(e)方向へ移動すると、伝達軸138がユニット制御長穴137の駆動傾斜部137b内に導かれ、駆動レバー135が反時計方向へ回動させられる。この駆動レバー135によって、移送ユニット17が、支点軸131を中心として反時計方向へ回動し、図9に示す移送動作位置に至る。
移送ユニット17が待機位置から図9に示す移送動作位置へ回動する間、および回動し終わった後も、移送ローラ112,113が搬入方向へ回転し続け、ディスクDが、選択位置(a)の支持体21の下面に導かれる。ディスクDが、支持体21の下面と、保持部材26b,27b,28bとの間で保持されたことが図示しない装填検知部材で検知されると、第3のモータM3が停止して、移送ローラ112,113が停止させられる。支持体21の下面に導かれたディスクDは、停止した移送ローラ112,113と挟持部106とで挟持される。
なお、切換え部材91が図8の位置から(e)方向へ動き始めるとすぐに、切換え部材91に設けられた検知カム202によって第2の検知部200の検知スイッチT4のアクチュエータT41が押され、検知スイッチT4がONに切り替えられる。すなわち、図11(B)に示すように、第1の切換え歯車95が出力歯車94と噛み合って、第2のモータM2の動力がピニオン歯車97に伝達され、切換え部材91が(e)方向へ動き始めると、すぐに第2の検知部200の検知スイッチT1,T2,T3,T4の出力の組み合わせが、OFF,ON,ON,OFFから、OFF,ON,ON,ONに切り替えられ、切換え部材91が図9の位置まで移動すると、OFF,OFF,OFF,ONに切り替えられる。
(ディスククランプ動作)
移送ローラ112,113の回転が停止した後に、第1の動力伝達部12の第1のモータM1が始動して、ラック部材32が図4の位置からY1方向へ移動させられる。この間、スライダ31と切換レバー38は図4の位置から動くことがなく、駆動ユニット14は図7に示す介入位置で停止している。一方、この間に、ラック部材32によって連結回動レバー44が反時計方向へ回動させられ、ロック切換え部材42が(c)方向へ移動させられる。この移動力により、下部筐体3のY2側に設けられたロック部材54が、X1方向へその移動範囲のほぼ半分まで移動させられ、図2(B)に示すロック部材61が、X1方向へその移動範囲のほぼ半分だけ移動させられる。
このとき、ユニット支持ベース13の後方に設けられた拘束軸77が、ロック部材54に形成されたロック制御穴56の持ち上げ部56bに導かれ、同時にユニット支持ベース13の前方に設けられた拘束軸78,78が、ロック部材61に形成されたロック制御穴62,62の持ち上げ部62b,62bに導かれる。ユニット支持ベース13が底面6から離れるように持ち上げられ、ユニット支持ベース13に支持されている駆動ユニット14も持ち上げられるため、駆動ユニット14に設けられたターンテーブル82の中心凸部82bが、ディスクDの中心穴Da内に下から入り込む。
ターンテーブル82の中心凸部82bがディスクDの中心穴Da内に入り込む動作に継続して、第1のモータM1の動力によって、ラック部材32がさらにY1方向へ移動し、その移動位置が図示しない検知手段で検知されたときに第1のモータM1が停止する。このとき、連結回動レバー44は回動せず、スライダ31と切換レバー38がさらにY1方向へ移動し、切換レバー38に設けられた切換駆動ピン41によって、ユニット支持ベース13の下面に設けられた駆動スライダ85がY1方向へ移動させられる。
このときの駆動スライダ85の移動力によって、ターンテーブル82に設けられたクランプ機構が動作し、ターンテーブル82の中心凸部82bの周囲からクランプ爪が突出して、ディスクDの中心穴Daの周縁部が、フランジ部82cとクランプ爪とで挟持され、ディスクDの中心穴Daがターンテーブル82にクランプされる。
ディスクのクランプが完了すると、図9に示す第2の動力伝達部16の第2のモータM2が始動して、切換え部材91が(d)方向へ移動させられて、切換え部材91が、図8に示す初期位置に戻され、この時点で第2のモータM2が停止する。この間、第3のモータM3によって、移送ローラ112,113が搬入方向へ向けて回転させられる。よって、移送ローラ112,113がディスクDの表面を転動しながら、移送ユニット17が移送動作位置から待機位置へ回動する。
(ディスク駆動モードの設定)
ターンテーブル82にディスクDがクランプされた後に、第1の動力伝達部12に設けられた第1のモータM1が、再び始動し、ラック部材32がY1方向へ移動させられて、図5に示す終端まで移動する。
このときのラック部材32の移動力は、スライダ31と切換レバー38に作用せずに、連結回動レバー44が反時計方向へ回動させられて、ロック切換え部材42が(c)方向の終端へ移動させられる。このときロック部材54がX1方向への終端に移動させられ、ロック部材61がX1方向への終端へ移動させられる。ユニット支持ベース13の後部に設けられた拘束軸77が、ロック部材54に形成されたロック制御穴56の逃げ穴56d内に導かれ、ユニット支持ベース13の前方に設けられた拘束軸78,78が、ロック部材61に形成されたロック制御穴62,62の逃げ穴62d,62d内に導かれる。よって、ロック部材54,61による拘束軸77と78,78に対する拘束が解除され、ユニット支持ベース13がダンパー71,72,73で弾性支持される。
また、図13に示す保持解除部材351と保持解除部材352が動作し、保持部材26がγ1方向へ回動させられ、保持部材27,28がγ3方向へ回動させられて、支持体21の下面でのディスクDの保持が解除される。
ユニット支持ベース13がダンパー71,72,73によって弾性支持された状態で、ターンテーブル82にクランプされたディスクDは、選択位置(a)にある支持体21の下面からZ1側へわずかに離れる。この状態で、スピンドルモータモータによってターンテーブル82が駆動され、ディスクDが回転し、光ヘッド83によってディスクDに記録された信号が読み取られ、あるいはディスクDに信号が記録される。
(ディスクの収納動作)
駆動ユニット14での駆動が完了したディスクをディスク収納領域20内に収納するときには、第1の動力伝達部12の第1のモータM1が始動し、ラック部材32が、図5の位置からY2方向へ復帰させられ、連結回動レバー44が時計方向へ回動させられて、ロック切換え部材42が(b)方向へ移動させられる。この間に、前記ロック部材54とロック部材61がX2方向へその全移動範囲のほぼ半分の距離だけ移動させられ、拘束軸77が図1に示すロック制御穴56の持ち上げ部56bに移行し、拘束軸78,78が図2(B)に示すロック制御穴62,62の持ち上げ部62b,62bに移行する。そして、ユニット支持ベース13と駆動ユニット14が持ち上げられ、ターンテーブル82にクランプされているディスクDが、選択位置(a)にある支持体21の下面に押し付けられる。
図13に示す保持解除部材351と保持解除部材352が保持部材26,27,28から離れ、保持部材26,27,28が引っ張りコイルばねによって回動させられ、ターンテーブル82にクランプされているディスクDが、選択位置(a)にある支持体21の下面と、保持爪26b,27b,28bとで保持される。
さらに、第1の動力伝達部12の第1のモータM1によってラック部材32がY2方向へ移動させられ、スライダ31と切換レバー38がY2方向へ移動させられると、ユニット支持ベース13の下面に設けられた駆動スライダ85がY2方向へ移動させられて、ターンテーブル82に設けられたクランプ機構が動作し、クランプ爪がターンテーブル82の中心凸部82b内に退行させられて、ターンテーブル82でのディスクのクランプが解除される。
さらに、第1の動力伝達部12のロック部材54とロック部材61の移動力によってターンテーブル82が下降させられて、ターンテーブル82がディスクDから離れる。
これにより、ターンテーブル82に保持されていたディスクDが選択位置(a)の支持体21に保持される。
(ディスク排出動作)
ディスクDを排出するには、前記の「ディスクの収納動作」と同様に、ターンテーブル82を上昇させ、ターンテーブル82に保持されていたディスクを選択位置(a)の支持体21の下面に押し付ける。
次に、図9に示すように、切換え部材91が(e)方向へ移動させられ、移送ユニット17が待機位置から移送動作位置へ移動させられる。このとき、第3のモータM3によって移送ローラ112,113は、搬出方向へ回転させられる。したがって、移送ユニット17が移送動作位置へ回動するときに、支持体21に支持されているディスクDのY1側の端部が、移送ローラ112,113と挟持部106との間にスムースに挟持される。
その後、ターンテーブル82でのディスクDのクランプが解除されるとともに、ターンテーブル82が下降してディスクDから離れる。
そして、移送ローラ112,113が搬出方向へ回転させられ、且つ移送ユニット17が図9に示す移送動作位置から図8に示す待機位置へ回動させられて、ディスクDが挿入口23から排出される。
(支持体選択動作への切換え制御)
前述の「ディスクの収納動作」の後に、支持体収納領域20内の他の支持体21を選択位置(a)へ移動させる選択動作に移行するとき、または、ディスクDを排出した後に、新たな支持体21を選択位置(a)へ移動させる選択動作を行うときの制御動作を説明する。
前述の「ディスクの収納動作」において、ディスクDが選択位置(a)の支持体21の下面に保持された直後は、第1の動力伝達部12が図4の状態であり、ディスクDが排出された直後も、第1の動力伝達部12が図4の状態である。
第1の動力伝達部12が図4の状態のとき、図7に示すように駆動ユニット14が介入位置にある。また、ユニット支持ベース13の後方に設けられた拘束軸77は、図1に示すロック部材54に形成されたロック制御穴56の拘束部56a内に保持され、ユニット支持ベース13の前方に設けられた拘束軸78,78も、図2(B)に示すように、ロック部材61に形成されたロック制御穴62,62の拘束部62a,62aで保持されている。よって、ダンパー71,72,73が押し潰されるようにして、ユニット支持ベース13が底面6に接近する位置に下降させられている。
図4のモードは、「ディスクの収納動作」においてディスクDの支持体21の保持が完了した状態、またはディスクDの排出が完了した状態であるため、第2の動力伝達部16では、図8に示すように、切換え部材91が(d)方向へ移動しており、移送ユニット17が待機位置に戻っており、移送ユニット17が支持体21に保持されたディスクDの外周縁から外れている。
図17は、図4のモードから「支持体選択動作」へ正常に移行するときの各検知スイッチSWとT1〜T4および光学検知素子F1,F2の検知出力の変化を示している。
図4のモードから「支持体選択動作」へ移行する期間中は、図8に示す状態で、第2のモータM2が停止しているため、図17に示すように、第2の検知部200では、検知スイッチT1,T2,T3,T4の検知出力の組み合わせが、OFF,ON,ON,OFFのまま変化しない。
図4のモードから、「支持体選択動作」へ移行するときは、第1の動力伝達部12の第1のモータM1が始動し、ラック部材32がY2方向へ移動し、これに伴ってスライダ31と切換レバー38がY2方向へ移動する。ラック部材32が図4の位置の位置から図3の位置に至る間に、駆動ユニット14が図7に示す介入位置から図6に示す退避位置まで回動する。駆動ユニット14が退避位置へ回動してディスクDと当たらない位置へ至ったときに検知スイッチSWがONからOFFに切り替わる。
ラック部材32が図3の位置に復帰し、駆動ユニット14が退避位置へ回動するときに、駆動ユニット14の駆動ベース81に設けられた切換え制御軸87の回動力によって、図10(A)に示すように、第1の切換え部材310がY2方向へ移動させられて、第1の切換え歯車95が、出力歯車94から離される。また、第2の切換え部材320が時計方向へ回動させられて、第2の切換え歯車98が出力歯車94に噛み合わされる。このように、駆動ユニット14が退避位置へ回動するときの回動力によって、切換機構300が動作させられて、第2のモータM2の動力が支持体選択手段22へ伝達できるように切換えられる。
支持体選択動作では、第2のモータM2が始動し、その回転力が伝達歯車99から図13に示すリング状歯車160に伝達され、リング状歯車160によって、選択軸151A,151B,151Cが同期して回転させられ、支持体21が上下に移動する。このとき、図14に示す選択検知部170では、リング状歯車160によって回転部材171が回転させられ、図17に示すように、光学検知素子F1,F2がON−OFFを繰り返すように切り替えられる。制御部401は、光学検知素子F1,F2の切り替わり回数をカウントすることで、どの支持体21が選択位置へ移動したかを認識できる。
以上のように図4のモードから「支持体選択動作」に正常に移行するときは、17に示すように、検知スイッチT1,T2,T3,T4の検知出力がOFF,ON,ON,OFFを維持したまま、検知スイッチSWがOFFに切り替わり、その後に光学検知素子F1,F2がONとOFFを繰り返すように切り替えられる。
実施の形態のディスク装置1は、駆動ユニット14が図6に示す待機位置に戻ったときに、駆動ユニット14の回動力によって、切換機構300が図10(A)(B)の状態に切換えられて、第2のモータM2の動力が支持体選択手段22に伝達することが可能になる。よって、制御部401では、検知スイッチSWのみを監視し、検知スイッチSWがOFFに切り替わったら、ただちに第2のモータM2を始動し支持体21を上下に移動させることで、新たな支持体21を選択位置(a)へ移動させることが可能になるはずである。
しかし、駆動ユニット14が図7に示す介入位置から図6に示す退避位置へ回動する間に、図4に示すように検知スイッチSWがラック部材32と摺動しているため、車体振動などによってラック部材32がたつくと、検知スイッチSWが一瞬の間だけONからOFFに切り替わることがある。あるいは、外部の電磁ノイズによって検知スイッチSWの検知出力に信号ノイズが重畳して、あたかも検知出力がOFFに切り替わるように誤認されることがある。
このとき、制御部401で「支持体選択動作」に移行することが可能になったと誤認して第2のモータM2を始動してしまうと、次のような誤動作を発生する。
例えば、切換機構300が図11(A)(B)の状態であり、第2のモータM2の動力が切換え部材91に伝達可能となっており、しかも駆動ユニット14が図6に示す退避位置まで完全に戻りきっていないときに、検知スイッチSWが誤動作して本来はONのままであるはずがOFFに切り替わってしまうことが有りえる。この場合に、第2のモータM2を始動すると、切換え部材91が動いてしまい、図8に示すように待機位置に有った移送ユニット17が反時計方向へ向けて回動し始め、退避位置へ戻ろうとしている駆動ユニット14と衝突するなどの誤動作が発生する。
そこで、本発明の実施の形態では、制御部401において、図4の状態から「支持体選択動作」に移行するときに、検知スイッチSWがONからOFFになったと認識したら、第2のモータM2を始動するとともに、第2の検知部200の検知出力を監視する。このときに、検知スイッチT1,T2,T3,T4が、図17に示すように、OFF,ON,ON,OFFを継続していれば、「支持体選択動作」へ正常に移行していると確認できる。
すなわち、切換機構300は、駆動ユニット14の回動力で切換えられるために、仮に検知スイッチSWが誤動作でOFFになっていても、駆動ユニット14が図6に示す退避位置に戻っていなかったら、切換機構300は図10の状態に切換わらずに、図11の状態のままであり、第2のモータM2の動力は、切換え部材91に伝達される。よって、検知スイッチSWがOFFになったときに、第2のモータM2を始動すると、切換え部材91が動き出し、第2の検知部200の検知スイッチT1,T2,T3,T4の検知出力の組み合わせがOFF,ON,ON,OFFではなくなるため、制御部401では、支持体選択動作が正常に行われていないことをただちに認識することができるようになる。
次に、図18において、図4の状態から「支持体選択動作」に移行する際の、制御部401での制御動作を説明する。図18には、以下の各ステップが「S」で表示されている。
S1(ステップ1)において、図4の状態から「支持体選択動作」への移行動作指令が出されたときに、S2でエラーカウンタをクリアする。
S3において、図4の状態から第1の動力伝達部12の第1のモータM1を始動し、ラック部材32をY2方向へ移動させる。S4では、検知スイッチSWの検知出力を監視し、検知スイッチSWがONからOFFに切り替えられたら、駆動ユニット14が図6に示す退避位置へ移動したと仮定して、S41において、支持体選択動作の指令に基づいて図8に示す第2のモータM2を始動する。
そして、直ちにS5,S6,S7,S8において、検知スイッチT1,T2,T3,T4の検知出力がOFF,ON,ON,OFFの組み合わせとなっているか否かを監視する。
検知スイッチT1,T2,T3,T4の検知出力がOFF,ON,ON,OFFの組み合わせを維持していれば、第2のモータM2が始動しても、切換え部材91が動いていないと判断できる。このときはS9に移行し、図14に示す選択検知部170の光学検知素子F1,F2の検知出力を監視する。ここで、光学検知素子F1,F2の検知出力が交互に切換わっていれば、リング状歯車160が正常に回転し、支持体11が昇降して支持体選択動作が正常に行われていることになるため、S10に移行して光学検知素子F1,F2の切り替わり回数をカウントする。このカウントで、目的の支持体21が選択位置(a)に移動したと判断したら、S12に移行して第2のモータM2を停止させる。
そして、S13でエラーカウンタをクリアし、S14に移行して、次の処理に移行する。
S5,S6,S7,S8において、検知スイッチT1,T2,T3,T4のいずれかの検知出力が相違するときは、切換え部材91が図8の状態から動いてしまったことを意味している。これは、駆動ユニット14が図6に示す退避位置に戻りきれておらず、切換機構300が図11の切換え状態となっており、第2のモータM2の動力がピニオン歯車97に伝達されて、切換え部材91が動き出していることに他ならない。
この場合は、S15に移行する。S15では、リトライ処理が続けて所定の回数(例えば2回または3回)行われたか否かをカウントする。リトライ処理が所定回数行われたと判断したらS16に移行してエラーカウンタをクリアし、S17に移行する。S17では、ディスク装置1を停止させて、ディスプレイに故障状態であることを表示し、その後の操作を受け付けないようにする。
S15において、リトライ処理が所定回数を越えていないと判断したら、S18に移行してエラーカウンタを1つ加算し、リトライ処理(A)に移行する。
リトライ処理(A)では、S21に移行して第2のモータM2を逆転させて、切換え部材91を図8の位置に戻す動作を行う。S22では、第2の検知部200の検知スイッチT1,T2,T3,T4を監視し、その検知出力の組み合わせがOFF,ON,ON,OFFとなったときに、第2のモータM2を停止する。これにより、第2の動力伝達部16は図8の状態に復帰する。
S23では、第1の動力伝達部12の第1のモータM1を始動し、ラック部材32を図3の位置から図4の位置へ移動させて、駆動ユニット14を図7に示す介入位置へ回動させて、図4と図7の状態に復帰させてから、(B)で示すように、S4に移行する。