以下に添付図面を参照して、この発明にかかるネットワークシステム、ネットワーク制御方法、LANスイッチ及びネットワーク制御プログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかるネットワークシステムの構成を示すブロック図である。
図1に示すネットワークシステムは、複数のLANポートをそれぞれ備えているLANスイッチ11A、11B、11Cと、端末装置21A(ここでは、複合機(MFP(Multi Function Peripherals))とする。)と、端末装置21B(ここでは、PC(パーソナルコンピュータ)とする。)と、を含んでいる。
LANスイッチ11AとLANスイッチ11BとはLANケーブル31Aを介して接続されており、LANスイッチ11BとLANスイッチ11CとはLANケーブル31Bを介して接続されており、LANスイッチ11CとLANスイッチ11AとはLANケーブル31Cを介して接続されている。すなわち、LANスイッチ11A、11B、11Cは、ループ状に接続されている。また、LANスイッチ11Aは、基幹ネットワークNに接続されている。
LANスイッチ11Bと端末装置21AとはLANケーブル31Eを介して接続されており、LANスイッチ11Cと端末装置21BとはLANケーブル31Fを介して接続されている。
端末装置21Aは、所定の第1の通信速度(ここでは、1Gbpsとする。)で通信を行う通常動作モード及び第1の通信速度よりも低速である第2の通信速度(ここでは、100Mbpsとする。)で通信を行う省電力モードの2つの動作モードを有する。
LANスイッチ11A〜11Cにはスパニングツリープロトコル(Spanning Tree Protocol)が実装されており、LANスイッチ11A〜11Cはスパニングツリー機能を有している。スパニングツリープロトコルはIEEE802.1dによって規定されているプロトコルであり、スパニングツリー機能とは、ループ状に接続されているネットワーク経路の中のある経路の通信を遮断して、通信がループしないようにする機能である。これにより、ブロードキャスト等の宛先アドレスを特定しないフレームや宛先アドレスが不明なフレームがループ状に接続されているネットワークに送出された場合に、このフレームがループ内を半永久的に周り続けるブロードキャストストームと呼ばれる現象によるネットワーク負荷増大や、それに伴うネットワーク性能低下を防ぐことができる。また、ネットワークをループ状に接続することで、通信経路に不具合(LANケーブルの切断等)が発生して通信が不可能になった場合に、スパニングツリー機能によって遮断されていた経路の通信を開通させることで、ネットワークの信頼性を高めることもできる。
図2は、図1に示すネットワークシステムにおいてスパニングツリー機能が実施され、通信のループが回避された例を示す図である。図2においては、第2のLANスイッチ11Bと第3のLANスイッチ11Cとの間の通信(LANケーブル31B上の通信)が遮断されている。これは、第2のLANスイッチ11Bが備えている複数のLANポートの内のLANケーブル31Bが接続されているLANポート又は第3のLANスイッチ11Cが備えている複数のLANポートの内のLANケーブル31Bが接続されているLANポートをブロッキング状態にすることで実現される。
次に、図3及び図4を参照して、スパニングツリー機能を実施することによりネットワーク経路を構築する手順について説明する。図3及び図4に示すネットワークグループは、LANスイッチ11A〜11Dと、端末装置21Aと、端末装置21Bと、を含んでいる。
LANスイッチ11AとLANスイッチ11BとはLANケーブル31Aを介して接続されており、LANスイッチ11BとLANスイッチ11CとはLANケーブル31Bを介して接続されており、LANスイッチ11CとLANスイッチ11DとはLANケーブル31Cを介して接続されており、LANスイッチ11DとLANスイッチ11AとはLANケーブル31Dを介して接続されている。すなわち、LANスイッチ11A〜11Dは、ループ状に接続されている。LANスイッチ11A〜11Dには、複数の端末装置が接続されているものとする。
図3に示すネットワークグループにおいて、LANスイッチ11Aには、ブリッジID「10」が割り振られており、LANスイッチ11Bには、ブリッジID「30」が割り振られており、LANスイッチ11Cには、ブリッジID「20」が割り振られており、LANスイッチ11Dには、ブリッジID「20」が割り振られているものとする。LANスイッチ11A〜11Dに割り振られたブリッジIDはユーザ(ネットワーク管理者)が任意に付加した値である。なお、一般には、ブリッジIDは、2オクテット(バイト)のブリッジ優先度と6オクテットのMAC(Media Access Control)アドレスとを結合した8オクテットが使用される。ブリッジIDの値が一番小さいLANスイッチが、このネットワークグループのルートブリッジとなる。ルートブリッジとは、ネットワークグループを制御・管理する機器である。
ネットワークの各経路(LANポート)には、パスコストが設定されている。パスコストは、一般には、経路の通信速度を意味する。例えば、或る経路の通信速度が10Mbpsの場合には当該経路のパスコストは「100」、100Mbpsの場合には「19」、1Gbpsの場合には「4」といった具合である。パスコストの値が小さい経路ほど優先して使用される。どの経路(LANポート)を遮断するかは、ブリッジIDとパスコストによって判定される。
例えば、図3に示すネットワークグループにおいて、LANスイッチ11Aがルートブリッジであるとすると、LANスイッチ11Aは自分自身に接続されている端末装置(図示せず)の情報とLANスイッチ11B〜11Dからの情報を入手する。LANスイッチ11Bは、自分のブリッジID(ここでは、30)とLANスイッチ11Aとの間の経路のパスコスト(ここでは、19とする。)、LANスイッチCとの間の経路のパスコスト(ここでは、100とする。)から、それぞれの総和を算出する。即ち、30+19=49、30+100=130といった具合に算出する。このようにして、各々のLANスイッチが自身の接続経路の値を算出し、ルートブリッジであるLANスイッチ11Aに情報を送信する。LANスイッチ11Aは、収集した情報に基づいて、ネットワークグループの複数の経路の中でどの経路のパスコストが一番大きいかを判定し、その経路を遮断するように当該経路に接続されているLANスイッチに通知する。図3に示すネットワークグループの例では、LANスイッチ11BとLANスイッチ11Cとの間の経路の値が一番大きい為、図4に示すように、この経路を遮断して通信がループになることを防ぐ。
図5は、各々のLANスイッチが内部で保持しているMACアドレステーブルの一例を示す図である。図5に示すように、各々のLANポートのポート番号に対応づける形でMACアドレスが保持される。
図6は、スパニングツリー機能が実施された場合に、各々のLANスイッチがルートブリッジ宛に送出する制御フレーム(Configuration BPDU(Bridge Protocol Data Unit))のフォーマットを示している。図6に示すように、フォワードディレイ、ハロータイム等の各種情報に加えて、ブリッジIDとパスコストが送受信される。なお、ネットワークの構成が変わった場合や、通信経路に不具合が発生した場合等には、Topology Change Notification BPDUというフォーマットの制御フレームが送受信される。
図7は、端末装置とLANスイッチがやり取りするイーサネット(登録商標)フレーム(以下、単に「フレーム」と言う。)のフォーマットを示している。図7に示すように、フレームは、宛先MACアドレス、送信元MACアドレス、タイプ、データ、FCS(Frame Check Sequence)を含んでいる。なお、タイプは、2オクテットであり、IPv4(Internet Protocol version 4)の場合には0x0800、ARP(Address Resolution Protocol)の場合には0x0806等が規定されている。フレームを受信したLANスイッチは、宛先アドレス、送信元アドレス、タイプを判定し、アドレステーブル(図5参照)を参照して、フレームを他のLANスイッチや端末装置に転送する。
図8及び図9は、端末装置21Aが通常動作モードから省電力モードに移行する際に、端末装置21A及びLANスイッチ11Bが実行する処理をそれぞれ示すフローチャートである。なお、ここでは、端末装置21Aが、通常動作モードで動作しており、1Gbpsの通信速度でLANスイッチ11Bとリンクしているものとする。
図8に示すように、端末装置21Aは、通常動作モード(通常動作状態)において(ステップS11)、一定時間ネットワークからデータ受信(動作要求)が無いか否かを判定する(ステップS12)。
そして、端末装置21Aは、一定時間内にネットワークからデータ受信(動作要求)がある場合には(ステップS12:No)、通常動作状態を継続する(ステップS11)。
また、端末装置21Aは、一定時間ネットワークからデータ受信(動作要求)が無い場合には(ステップS12:Yes)、通常動作モードから省電力モードに移行(遷移)するか否かを判定する(ステップS13)。この一定時間はユーザが設定可能であり、任意に設定できるものでもよいし、予め決められた時間でもよい。
そして、端末装置21Aは、通常動作モードから省電力モードに移行しない場合は(ステップS13:No)、通常動作状態を継続する(ステップS11)。
また、端末装置21Aは、通常動作モードから省電力モードに移行する場合は(ステップS13:Yes)、省電力モードに移行する旨の意味付けをされたビットをセットしたフレーム(動作モード遷移通知データ)を作成する(ステップS14、データ作成手段)。例えば、フレーム中のタイプフィールドにあるテストビットの中の1ビットを、省電力モードに移行する旨のビットに割り当てることが考えられる。端末装置21Aは、作成したフレームをLANスイッチ11Bに送信することで、通常動作モードから省電力モードに移行することをLANスイッチ11Bに通知する(ステップS15、データ送信手段)。
次に、端末装置21Aは、通信速度を1Gbpsから低速(ここでは、10Mbps)に設定する(ステップS16)。詳細には、端末装置21Aは、LANスイッチ11Bにおいて後述のスパニングツリー機能を無効化するステップが実行された後に、1Gbpsの通信速度でのリンクダウンを行い(リンクダウン手段)、その後、10Mbpsの通信速度でのリンクアップを行う(リンクアップ手段)。そして、端末装置21Aは、フレームの送受信を可能にした状態(リンク確立状態)で、動作モードを通常動作モードから省電力モードに遷移させる(ステップS17、動作モード遷移手段)。なお、省電力モード時には、端末装置21Aがネットワーク機能部分のみ電源をオンにしておき、その他の部分(例えば、CPU等)は電源をオフにするとより効果的である。
一方、LANスイッチ11Bは、図9に示すように、接続(フォワーディング状態)されている各LANポートの監視を行っており(ステップS21)、端末装置21Aからのフレームを受信したかどうかを確認している(ステップS22、データ受信手段)。
そして、LANスイッチ11Bは、端末装置21Aから何らのフレームも受信しない場合には(ステップS22:No)、各ポートの監視を継続する(ステップS21)。
また、LANスイッチ11Bは、端末装置21Aから何らかのフレームを受信した場合には(ステップS22:Yes)、そのフレームに省電力モードに移行する旨の意味付けをされたビットがセットされているか否か、詳細には、例えばタイプフィールドにあるテストビットの状態を確認する(ステップS23)。そして、LANスイッチ11Bは、端末装置21Aから受信したフレームに省電力モードに移行する旨の意味付けをされたビットがセットされているか否かにより、そのフレームが端末装置21Aからの省電力モード移行通知(動作モード遷移通知データ)であるか否かを判定する(ステップS24)。
LANスイッチ11Bは、端末装置21Aから受信したフレームが端末装置21Aからの省電力モード移行通知ではないと判定した場合には(ステップS24:No)、端末装置21Aから受信したフレームが通常のフレームであるものとして、宛先アドレス(図7参照)やアドレステーブル(図5参照)を参照して、フレームを他のLANスイッチや端末装置に転送し(ステップS25)、各LANポートの監視を継続する(ステップS21)。
また、LANスイッチ11Bは、端末装置21Aから受信したフレームが端末装置21Aからの省電力モード移行通知であると判定した場合には(ステップS24:Yes)、端末装置21Aが接続されているLANポートをエッジポートに自動で設定し(ステップS26)、当該LANポートの状態変化に対するスパニングツリー機能を無効に設定する(ステップS27、スパニングツリー機能無効化手段)。なお、エッジポートとは、そのポートにさらに別のLANスイッチが接続されているのではなく、端末装置が接続されているポートであることを示しており、エッジポートに設定されたLANポートはネットワークのエッジ(そこから先にネットワークが展開されないという意味でのネットワークの境界)とみなされる。
その後、LANスイッチ11Bは、端末装置21Aからの要求に応じて、端末装置21Aとの間の通信速度を1Gbpsから低速(ここでは、10Mbps)に設定する(ステップS28)。詳細には、LANスイッチ11Bは、端末装置21Aからの要求に応じて、1Gbpsの通信速度でのリンクダウンを行い、その後、端末装置21Aからの要求に応じて、10Mbpsの通信速度でのリンクアップを行う。
これにより、端末装置21Aが接続されているLANポートにリンクダウン、リンクアップが生じたとしてもスパニングツリー機能が実施されないため、端末装置21Aの通常動作モードから省電力モードへの移行及び省電力モードから通常動作モードへの復帰の度にスパニングツリー機能が実施されることによるネットワーク負荷を軽減でき、トラフィックの増大を防ぐことができる。また、端末装置21AとLANスイッチ11Bとの間の通信速度を1Gbpsから10Mbpsに低下させると、消費電力を約50%程度低減することができる。
また、LANスイッチ11Bが、端末装置21Aから受信したフレームが端末装置21Aからの省電力モード移行通知であると判定した場合には、端末装置21Aが接続されているLANポートをエッジポートに自動で設定し、当該LANポートに対するスパニングツリー機能を無効に設定するので、ユーザの手を煩わせることなく、転送速度を低減し、消費電力を低減することができる。
なお、上記ではフレーム中のタイプフィールドにあるテストビットの中の1ビットを省電力モードに移行する旨のビットに割り当てることとした例について説明したが、フレーム中の宛先MACアドレス(又は送信元MACアドレス)に特定の値(特定のMACアドレス)をセットすることで通常動作モードから省電力モードに移行する旨を通知するようにしてもよい。
図10及び図11は、フレーム中の宛先MACアドレスに特定の値(特定のMACアドレス)をセットすることで通常動作モードから省電力モードに移行する旨を通知する際に、端末装置21A及びLANスイッチ11Bが実行する処理をそれぞれ示すフローチャートである。なお、ここでは、端末装置21Aが、通常動作モードで動作しており、1Gbpsの通信速度でLANスイッチ11Bとリンクしているものとする。
図10に示すように、端末装置21Aは、通常動作モード(通常動作状態)において(ステップS31)、一定時間ネットワークからデータ受信(動作要求)が無いか否かを判定する(ステップS32)。
そして、端末装置21Aは、一定時間内にネットワークからデータ受信(動作要求)がある場合には(ステップS32:No)、通常動作状態を継続する(ステップS31)。
また、端末装置21Aは、一定時間ネットワークからデータ受信(動作要求)が無い場合には(ステップS32:Yes)、省電力モードに移行(遷移)するか否かを判定する(ステップS33)。そして、端末装置21Aは、省電力モードに移行しない場合は(ステップS33:No)、通常動作状態を継続する(ステップS31)。
また、端末装置21Aは、省電力モードに移行する場合は(ステップS33:Yes)、宛先MACアドレスに特定値(特定のMACアドレス)をセットしたフレーム(動作モード遷移通知データ)を作成する(ステップS34、データ作成手段)。特定のMACアドレスとして、例えば、下記のようなMACアドレスを使用するようにしてもよい。
<MACアドレスの例>
00:00:00:00:00:00 ・・・(1)
11:11:11:11:11:11 ・・・(2)
ff:ff:ff:ff:ff:ff ・・・(3)
11:22:33:44:55:66 ・・・(4)
なお、上記以外のMACアドレスを使用するようにしてもよい。
端末装置21Aは、作成したフレームをLANスイッチ11Bに送信することで、通常動作モードから省電力モードに移行することをLANスイッチ11Bに通知する(ステップS35、データ送信手段)。
次に、端末装置21Aは、通信速度を1Gbpsから低速(ここでは、10Mbps)に設定する(ステップS36)。詳細には、端末装置21Aは、LANスイッチ11Bにおいて後述のスパニングツリー機能を無効化するステップが実行された後に、1Gbpsの通信速度でのリンクダウンを行い(リンクダウン手段)、その後、10Mbpsの通信速度でのリンクアップを行う(リンクアップ手段)。そして、端末装置21Aは、フレームの送受信を可能にした状態(リンク確立状態)で、動作モードを通常動作モードから省電力モードに遷移させる(ステップS37、動作モード遷移手段)。
一方、LANスイッチ11Bは、図11に示すように、接続(フォワーディング状態)されている各LANポートの監視を行っており(ステップS41)、端末装置21Aからのフレームを受信したかどうかを確認している(ステップS42、データ受信手段)。
そして、LANスイッチ11Bは、端末装置21Aから何らのフレームも受信しない場合には(ステップS42:No)、各ポートの監視を継続する(ステップS41)。
また、LANスイッチ11Bは、端末装置21Aから何らかのフレームを受信した場合には(ステップS42:Yes)、そのフレームの宛先MACアドレスを確認する(ステップS43)。そして、LANスイッチ11Bは、端末装置21Aから受信したフレームの宛先MACアドレスに特定の値(特定のMACアドレス)がセットされているか否かにより、そのフレームが端末装置21Aからの省電力モード移行通知(動作モード遷移通知データ)であるか否かを判定する(ステップS44)。
LANスイッチ11Bは、端末装置21Aから受信したフレームの宛先MACアドレスに特定の値がセットされていないと判定した場合には(ステップS44:No)、端末装置21Aから受信したフレームが通常のフレームであるものとして、宛先アドレス(図7参照)やアドレステーブル(図5参照)を参照して、フレームを他のLANスイッチや端末装置に転送し(ステップS45)、各LANポートの監視を継続する(ステップS41)。
また、LANスイッチ11Bは、端末装置21Aから受信したフレームの宛先MACアドレスに特定の値がセットされていると判定した場合には(ステップS44:Yes)、端末装置21Aが接続されているLANポートをエッジポートに自動で設定し(ステップS46)、当該LANポートの状態変化に対するスパニングツリー機能を無効に設定する(ステップS47、スパニングツリー機能無効化手段)。
その後、LANスイッチ11Bは、端末装置21Aからの要求に応じて、端末装置21Aとの間の通信速度を1Gbpsから低速(ここでは、10Mbps)に設定する(ステップS48)。詳細には、LANスイッチ11Bは、端末装置21Aからの要求に応じて、1Gbpsの通信速度でのリンクダウンを行い、その後、端末装置21Aからの要求に応じて、10Mbpsの通信速度でのリンクアップを行う。
これにより、端末装置21Aが接続されているLANポートにリンクダウン、リンクアップが生じたとしてもスパニングツリー機能が実施されないため、端末装置21Aの通常動作モードから省電力モードへの移行及び省電力モードから通常動作モードへの復帰の度にスパニングツリー機能が実施されることによるネットワーク負荷を軽減でき、トラフィックの増大を防ぐことができる。
図12及び図13は、端末装置21Aが省電力モードから通常動作モードに復帰する際に端末装置21A及びLANスイッチ11Bが実行する処理をそれぞれ示すフローチャートである。
図12に示すように、端末装置21Aは、省電力モードで動作中はユーザ又はネットワークからの動作要求を監視しており(ステップS51)、動作要求がない間は(ステップS51:No)、省電力モードを継続する。
また、端末装置21Aは、動作要求があった場合には(ステップS51:Yes)、省電力モードから通常動作モードに復帰する旨をLANスイッチ11Bに通知する(ステップS52)。具体的には、端末装置21Aは、例えば、フレーム中のタイプフィールドにあるテストビットの中の1ビットを省電力モードから通常動作モードに復帰する旨のビットに割り当ててセットしたフレーム(第2の動作モード遷移通知データ)を作成したり、フレーム中の宛先MACアドレス(又は送信元MACアドレス)を特定の値(特定のMACアドレス)にセットしたフレーム(第2の動作モード遷移通知データ)を作成したり(第2のデータ作成手段)し、当該フレームをLANスイッチ11Bに送信する(第2のデータ送信手段)ことで、省電力モードから通常動作モードに復帰する旨をLANスイッチ11Bに通知する。
その後、端末装置21Aは、通信速度を元の速度(ここでは、1Gbps)に設定する(ステップS53)。詳細には、端末装置21Aは、10Mbpsの通信速度でのリンクダウンを行い(第2のリンクダウン手段)、その後、1Gbpsの通信速度でのリンクアップを行う(第2のリンクアップ手段)。そして、端末装置21Aは、動作モードを省電力モードから通常動作モードに遷移させる(ステップS54、第2の動作モード遷移手段)。
一方、LANスイッチ11Bは、図13に示すように、省電力モードから通常動作モードへの復帰通知(第2の動作モード遷移通知データの送信)が端末装置21Aからあるかどうかを監視している(ステップS61、第2のデータ受信手段)。
なお、省電力モードから通常動作モードへの復帰通知が端末装置21Aからあるかどうかを監視している間に(ステップS61)、LANケーブルが抜かれること等によりリンクダウンが生じることが考えられる。さらに、その後、以前とは別の端末装置(ここでは、端末装置21A以外の端末装置)が接続されてリンクアップが生じることも考えられる。
そこで、LANスイッチ11Bは、省電力モードから通常動作モードへの復帰の通知が端末装置21Aから無い場合には(ステップS61:No)、端末装置21Aが接続されているLANポートにおいてリンクダウンが生じたか否かを判定する(ステップS62)。
そして、LANスイッチ11Bは、リンクダウンが生じていないと判定した場合(ステップS62:No)、省電力モードから通常動作モードへの復帰の通知が端末装置21Aからあるかどうかの監視を継続する(ステップS61)。
また、LANスイッチ11Bは、リンクダウンが生じたと判定した場合(ステップS62:Yes)には、LANケーブルが抜かれたと判定し(ステップS63)、その後、リンクアップが生じたか否かを判定する(ステップS64)。
また、LANスイッチ11Bは、省電力モードから通常動作モードへの復帰の通知が端末装置21Aからあった場合(ステップS61:Yes)又はLANケーブルが抜かれた後にリンクアップが生じた場合(ステップS64:Yes)には、オートネゴシエーションを開始して端末装置側の情報を取得する(ステップS65)。そして、LANスイッチ11Bは、端末装置(端末装置21A又は新規に接続された他の端末装置)が要求する通信速度でリンクを確立する(ステップS66)。
また、LANスイッチ11Bは、端末装置(端末装置21A又は新規に接続された他の端末装置)が要求する通信速度でリンクを確立した場合(ステップS66)、LANポートのエッジポート設定を解除し(ステップS67)、当該LANポートにおける状態変化に対するスパニングツリー機能を有効に設定する(ステップS68、スパニングツリー機能有効化手段、第2のスパニングツリー機能有効化手段)。
また、LANスイッチ11Bは、LANケーブルが抜かれた後にリンクアップが生じなかった場合(ステップS64:No)、LANポートに何も接続していないと考えられるので、LANポートのエッジポート設定を解除し(ステップS67)、当該LANポートに対するスパニングツリー機能を有効にする(ステップS68、第2のスパニングツリー機能有効化手段)。
なお、LANスイッチ11Bが、リンクダウンからリンクアップになるまでの時間を計測し、リンクダウンから或る一定時間内にリンクアップにならない場合に、端末装置21Aが省電力モードから通常動作モードに復帰したことによるリンク状態の変化ではなく、LANケーブルが抜かれたことによるリンク状態の変化であると判定することもできる。
また、端末装置21Aが接続されているLANポートの状態変化に対するスパニングツリー機能を無効にすることによる弊害はなく、LANケーブルの挿抜によりリンク状態が変化したとしても、オートネゴシエーションを実施するので(ステップS65参照)、端末装置21Aとは異なる新規の端末装置が接続された場合であっても、正常にネットワーク経路を確立することができる。
このように、端末装置21Aが、省電力モードから通常動作モードに復帰する際に、省電力モードのまま通常動作モードへ復帰する旨をLANスイッチ11Bに対して通知し、LANスイッチ11Bが、端末装置21Aが接続されているLANポートに対するエッジポート設定を解除して、スパニングツリー機能を有効にすることができる。これにより、ユーザの手を煩わせることなくエッジポート設定解除ができ、端末装置21Aの通信速度を高速に戻すことができ、ユーザの生産性を向上させることができる。
また、端末装置21Aが通常動作モードから省電力モードに移行しており、且つ、LANスイッチ11Bが、省電力モードから通常動作モードへ復帰する旨の通知をまだ受信していない場合、LANスイッチ11Bは、端末装置21Aが接続されているLANポートのリンク状態を監視し、リンク状態の変化(リンクダウン、リンクアップ)が生じた場合にはLANケーブルの挿抜が行われたと判定し、当該LANポートのエッジポート設定を解除してスパニングツリー機能を有効にすることにより、LANケーブルの挿抜によるリンク状態の変化にも対応することができる。
また、ネットワークに支障なく、端末装置21Aの消費電力を低減することができ、更に、ユーザ側のコストダウン(電力料金削減)も実現することができる。
図14は、LANスイッチ11A〜11Dのハードウェア構成の一例を示す図である。図14に示すように、LANスイッチ11A〜11Dの各々は、CPU121と、ROM122と、RAM123と、ネットワークコントローラ124と、LANポート125a、125b、・・・、125nと、を含んでいる。CPU121、ROM122、RAM123、及びネットワークコントローラ124は、バスを介して相互に接続されている。また、LANポート125a、125b、・・・、125nは、ネットワークコントローラ124に接続されている。
CPU121は、LANスイッチの全体制御を行うものである。ROM122は、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM123は、プログラムやデータの展開用メモリなどとして用いる書き込み及び読み出し可能なメモリである。また、ネットワークコントローラ124は、LANポート125a、125b、・・・、125nに接続されたLANスイッチ、端末装置等との間の通信を行うものである。
本実施の形態のLANスイッチ11A〜11Dは、以上のようにマイクロコンピュータとしての構成を有しており、ネットワーク制御プログラムを実行することによって、本実施の形態に特有の上述した各種の処理機能(上述した例ではLANスイッチ11Bにて実現される各種処理機能)を実現する。なお、本実施の形態のLANスイッチ11A〜11Dで実行されるネットワーク制御プログラムは、例えば、ROM122等に予め組み込まれて提供される。
また、本実施の形態のLANスイッチ11A〜11Dで実行されるネットワーク制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、本実施の形態のLANスイッチ11A〜11Dで実行されるネットワーク制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施の形態のLANスイッチ11A〜11Dで実行されるネットワーク制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
本実施の形態のLANスイッチ11A〜11Dで実行されるネットワーク制御プログラムは、データ受信手段を実現するコンポーネント、第2のデータ受信手段を実現するコンポーネント、スパニングツリー機能無効化手段を実現するコンポーネント、スパニングツリー機能有効化手段を実現するコンポーネント、第2のスパニングツリー機能有効化手段を実現するコンポーネントを含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROM122等からネットワーク制御プログラムを読み出して実行することにより上記各コンポーネントが主記憶装置上にロードされ、データ受信手段、第2のデータ受信手段、スパニングツリー機能無効化手段、スパニングツリー機能有効化手段、第2のスパニングツリー機能有効化手段が主記憶装置上に生成されるようになっている。
図15は、端末装置21A(複合機)のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図15に示すように、この端末装置21Aは、コントローラ210とエンジン部(Engine)260とをPCI(Peripheral Component Interconnect)バスで接続した構成となる。コントローラ210は、端末装置21A全体の制御と描画、通信、図示しない操作部からの入力を制御するコントローラである。エンジン部260は、PCIバスに接続可能なプリンタエンジンなどであり、たとえば白黒プロッタ、1ドラムカラープロッタ、4ドラムカラープロッタ、スキャナまたはファックスユニットなどである。なお、このエンジン部260には、プロッタなどのいわゆるエンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
コントローラ210は、CPU211と、ノースブリッジ(NB)213と、システムメモリ(MEM−P)212と、サウスブリッジ(SB)214と、ローカルメモリ(MEM−C)217と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)216と、ハードディスクドライブ(HDD)218とを有し、ノースブリッジ(NB)213とASIC216との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス215で接続した構成となる。また、MEM−P212は、ROM(Read Only Memory)212aと、RAM(Random Access Memory)212bとをさらに有する。
CPU211は、端末装置21Aの全体制御をおこなうものであり、NB213、MEM−P212及びSB214からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
NB213は、CPU211とMEM−P212、SB214、AGP215とを接続するためのブリッジであり、MEM−P212に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタ及びAGPターゲットとを有する。
MEM−P212は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM212aとRAM212bとからなる。ROM212aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM212bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込み及び読み出し可能なメモリである。
SB214は、NB213とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB214は、PCIバスを介してNB213と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインターフェース(I/F)部なども接続される。
ASIC216は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGP215、PCIバス、HDD218及びMEM−C217をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC216は、PCIターゲット及びAGPマスタと、ASIC216の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C217を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部260との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC216には、PCIバスを介してFCU(Fax Control Unit)230、USB(Universal Serial Bus)240、LANインターフェース250が接続される。操作表示部220はASIC216に直接接続されている。
MEM−C217は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD(Hard Disk Drive)218は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
AGP215は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM−P212に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
本実施の形態の端末装置21Aは、以上のようにマイクロコンピュータとしての構成を有しており、ネットワーク制御プログラムを実行することによって、本実施の形態に特有の上述した各種の処理機能を実現する。なお、本実施の形態の端末装置21Aで実行されるネットワーク制御プログラムは、ROM212a等に予め組み込まれて提供される。
また、本実施の形態の端末装置21Aで実行されるネットワーク制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、本実施の形態の端末装置21Aで実行されるネットワーク制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施の形態の端末装置21Aで実行されるネットワーク制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
本実施の形態の端末装置21Aで実行されるネットワーク制御プログラムは、データ作成手段を実現するコンポーネント、データ送信手段を実現するコンポーネント、リンクダウン手段を実現するコンポーネント、リンクアップ手段を実現するコンポーネント、動作モード遷移手段を実現するコンポーネント、第2のデータ作成手段を実現するコンポーネント、第2のデータ送信手段を実現するコンポーネント、第2のリンクダウン手段を実現するコンポーネント、第2のリンクアップ手段を実現するコンポーネント、第2の動作モード遷移手段を実現するコンポーネントを含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROM212a等からネットワーク制御プログラムを読み出して実行することにより上記各コンポーネントが主記憶装置上にロードされ、データ作成手段、データ送信手段、リンクダウン手段、リンクアップ手段、動作モード遷移手段、第2のデータ作成手段、第2のデータ送信手段、第2のリンクダウン手段、第2のリンクアップ手段、第2の動作モード遷移手段が主記憶装置上に生成されるようになっている。
なお、上記実施の形態では、本発明の端末装置を、複合機(MFP)に適用した例を挙げて説明したが、そのほか、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等、通常動作モードと省電力モードの2つの動作モードを有する端末装置に対して広く適用することができる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、省電力モード時におけるネットワーク機器の状態が、上述した第1の実施の形態とは異なるものである。すなわち、第1の実施の形態では、端末装置21Aが省電力モードの場合に、LANスイッチ11Bとの間のリンクの通信速度を高速(例えば1Gbps)から低速(例えば100Mbps)に切り替えることで消費電力の低減を図るようにしていたが、本実施の形態においては、端末装置が省電力モードの場合に、LANスイッチとの間でのフレーム送受信機能を司るネットワーク制御部の電源をオフすることによって、大幅な省電力の低減が図られるようにしている。つまり、本実施の形態における端末装置は、通常動作モード時にはネットワーク制御部の電源をオンしてLANスイッチとの間でフレームの送受信を行えるようにし、省電力モード時にはネットワーク制御部の電源をオフしてLANスイッチとの間でのフレーム送受信を停止し、省電力モードから通常動作モードへの復帰を指示(または通知)するWake信号(復帰信号)の送受信のみを行えるようにしている。
なお、本実施の形態におけるネットワークシステムの全体的な構成やLANスイッチにおけるスパニングツリー機能の無効化の基本的な処理については、上述した第1の実施の形態と同様である。すなわち、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、端末装置(第1の実施の形態における端末装置21Aに相当)が通常動作モードから省電力モードに移行する際に事前にLANスイッチ(第1の実施の形態におけるLANスイッチ11Bに相当)に対して省電力モードに移行することを通知し、LANスイッチが、端末装置が接続されているLANポートの状態変化に対するスパニングツリー機能を無効化した後に、端末装置が省電力モードへの移行を行うようにしている。以下、第1の実施の形態と共通する部分については、重複した説明を適宜省略し、本実施の形態に特徴的な部分を中心に説明する。
図16は、本実施の形態における端末装置40(第1の実施の形態における端末装置21Aに相当)とLANスイッチ50(第1の実施の形態におけるLANスイッチ11Bに相当)のコントローラ部分の内部構成を示すブロック図である。
端末装置40のコントローラは、図16に示すように、コントローラ全体の動作を制御するCPU41を備え、このCPU41に、プログラムを格納するROM42や、CPU41が動作するためのワーク領域を確保するRAM43が接続されている。また、端末装置40のコントローラは、LANスイッチ50との間でのフレーム送受信機能を司る部分として、ネットワーク制御部44を備えている。ネットワーク制御部44は、LANスイッチ50との間で送受信するフレームのデータを制御するMAC(Media Access Controller)44aと、物理層デバイスであるPHY44bとを有し、PHY44bにLANケーブル(ネットワークケーブル)60が接続されている。また、端末装置40のコントローラは、CPU41や、ネットワーク制御部44のMAC44a及びPHY44bの電源を制御するパワーマネージメント部45を備えている。さらに、端末装置40のコントローラは、LANスイッチ50からLANケーブル60上に送出された後述のWake信号(復帰信号)を検知してパワーマネージメント部45にWake信号検知を通知するシーケンサ回路46を備えている。
LANスイッチ50のコントローラは、端末装置40のコントローラと同様の構成であり、コントローラ全体の動作を制御するCPU51を備え、このCPU51に、プログラムを格納するROM52や、CPU51が動作するためのワーク領域を確保するRAM53が接続されている。また、LANスイッチ50のコントローラは、LANポートに接続された端末装置40を含む各ネットワーク機器との間でのフレーム送受信機能を司る部分として、ネットワーク制御部54を備えている。ネットワーク制御部54は、各ネットワーク機器との間で送受信するフレームのデータを制御するMAC54aと、各LANポートごとの物理層デバイスであるPHY54bとを有している。図16中のPHY54bは端末装置40が接続されたLANポートの物理層デバイスを示しており、このPHY54bにLANケーブル60を介して端末装置40が接続されている。また、LANスイッチ50のコントローラは、CPU51や、ネットワーク制御部54のMAC54a及びPHY54bの電源を制御するパワーマネージメント部55を備えている。さらに、LANスイッチ50のコントローラは、端末装置40からLANケーブル60上に送出された後述のWake信号(復帰信号)を検知してパワーマネージメント部55にWake信号検知を通知するシーケンサ回路56を備えている。
本実施の形態のネットワークシステムでは、上述したように、端末装置40が省電力モードの場合に、端末装置40のコントローラ内部におけるネットワーク制御部44(MAC44aやPHY44b)の電源をオフするようにしている。端末装置40が省電力モードに移行した場合の端末装置40及びLANスイッチ50のコントローラ内部における電源供給状態を図17に示す。図17中、ハッチングを付したブロックが、端末装置40の省電力モード時に電源がオフされるデバイスを表している。
図17に示すように、本実施の形態における端末装置40は、省電力モード時においては、CPU41やROM42、RAM43の電源オフに加えて、LANスイッチ50との間でのフレーム送受信機能を司るネットワーク制御部44のMAC44aやPHY44bの電源もオフすることで、大幅な消費電力の低減を実現できるようにしている。端末装置40は、ネットワーク制御部44のMAC44aやPHY44bの電源をオフした場合、LANスイッチ50との間でのフレーム送受信は停止されることになるが、LANスイッチ50からLANケーブル60上に送出されたWake信号を検知するシーケンサ回路46を備えることで、LANスイッチ50との間でのフレーム送受信が停止された状態であっても、LANスイッチ50側からの要求に応じて、省電力モードから通常動作モードへと復帰できるようになっている。また、シーケンサ回路46は、LANスイッチ50側からの要求ではなく端末装置40内部のトリガに応じて端末装置40が省電力モードから通常動作モードに復帰する場合に、Wake信号をLANケーブル60上に送出する機能を有しており、これにより、端末装置40が実際に通常動作モードに復帰するときに、通常動作モードに復帰しようとしていることをLANスイッチ50に通知できるようになっている。
また、本実施の形態におけるLANスイッチ50は、端末装置40が省電力モードに移行した場合には、端末装置40が接続されているLANポートに対応するPHY54bの電源をオフすることができる。本実施の形態のネットワークシステムでは、システム構成上、ネットワークの物理層デバイスであるPHY44b,54bの消費電力が非常に高くなっているが、端末装置40の省電力モード時にはこのPHY44b,54bの電源をオフするようにしているので、かなりの消費電力低減が見込まれる。また、端末装置40側のPHY44bだけでなく、LANスイッチ50側のPHY54bの電源もオフするようにしているので、システム全体を考えた場合でも消費電力低減の効果は大きくなる。また、LANスイッチ50にも端末装置40と同様にシーケンサ回路56が設けられているので、PHY54bの電源をオフした状態であっても、端末装置40からLANケーブル60上に送出されたWake信号をこのシーケンサ回路56によって検知して、端末装置40が通常動作モードに復帰しようとしていることを認識することができるとともに、例えば他のネットワーク機器から端末装置40宛のフレームを受信した場合など、端末装置40に対してフレームを転送したい場合にWake信号を送出して、端末装置40を省電力モードから通常動作モードに復帰させることもできる。
図18は、端末装置40が通常動作モードから省電力モードに移行し、その後、通常動作モードから省電力モードに復帰するまでの動作を概念的に示したものである。端末装置40は、通常動作モード時においてはLANスイッチ50との間でフレームを送受信している状態もしくはアイドル状態(図18中の「Data/Idle」)であり、通常動作モードから省電力モードに移行する場合には、実際に省電力モードに移行する前に、通常動作モードから省電力モードに遷移しようとしていることを表すデータである動作モード遷移通知データ、具体的には、例えば上述した第1の実施の形態で説明したように、省電力モードに移行する旨の意味付けをされたビット(例えばタイプフィールドにあるテストビットの中の1ビット)をセットしたフレームや、MACアドレスに特定値(特定のMACアドレス)をセットしたフレームなどを作成し、LANスイッチ50に送信する。
端末装置40から動作モード遷移通知を受信したLANスイッチ50は、端末装置40が通常動作モードから省電力モードに遷移しようとしている状態(図18中の「Sleep」)にあることを認識し、その端末装置40が接続されているLANポートをエッジポートに自動で設定して、当該LANポートの状態変化に対するスパニングツリー機能を無効に設定する。また、LANスイッチ50は、端末装置40が接続されているLANポートに対応するPHY54bの電源をオフして、LANスイッチ50自体の消費電力低減を図る。
端末装置40は、LANスイッチ50が動作モード遷移通知を受けて端末装置40が接続されているLANポートの状態変化に対するスパニングツリー機能を無効化した後に、シーケンサ回路46とパワーマネージメント部45以外のモジュールの電源、すなわちCPU41やROM42、RAM43の電源に加えてネットワーク制御部44のMAC44aやPHY44bの電源もオフして、動作モードを通常動作モードから省電力モードへと遷移させる。省電力モードの期間中は、実際は端末装置40とLANスイッチ50との間のリンクは切れた状態となっており、フレームの送受信は停止されているが、端末装置40とLANスイッチ50の双方ともに、相手が接続されているものと判断している。また、省電力モードの期間中は、端末装置40のシーケンサ回路46及びLANスイッチ50のシーケンサ回路56がともに電源オンの状態であり、端末装置40とLANスイッチ50との間でWake信号の送受信は行えるようになっている。
端末装置40が省電力モードのときにLANスイッチ50が他のネットワーク機器から端末装置40宛のフレームを受信すると、LANスイッチ50のパワーマネージメント部55が、端末装置40が接続されているLANポートに対応するPHY54bの電源をオンするとともに、LANスイッチ50のシーケンサ回路56がLANケーブル60上にWake信号を送出する。端末装置40側では、LANスイッチ50のシーケンサ回路56からLANケーブル60上にWake信号が送出されると、シーケンサ回路46がこのWake信号を検知して、パワーマネージメント部45にWake信号の検知を通知する。端末装置40のパワーマネージメント部45は、シーケンサ回路46からWake信号検知が通知されると、CPU41やROM42、RAM43、ネットワーク制御部44のMAC44aやPHY44bの電源をオンし、端末装置40の動作モードを省電力モードから通常動作モードへと遷移させる(図18中の「Wake」)。
LANスイッチ50は、端末装置40がWake信号の通知を受けて省電力モードから通常動作モードに復帰した後(図18中の「Idle」)、端末装置40が接続されているLANポートに対するエッジポート設定を解除して、このLANポートの状態変化に対するスパニングツリー機能を有効化する。端末装置40側では、通常動作モードに復帰すると、LANスイッチ50との間でのフレーム送受信が可能となり、LANスイッチ50との間でフレームを送受信している状態もしくはアイドル状態(図18中の「Data/Idle」)となる。
また、端末装置40がユーザの要求などに応じて省電力モードから通常動作モードに復帰しようとする場合には、まず、端末装置40のシーケンサ回路46がLANケーブル60上にWake信号を送出する。そして、端末装置40のパワーマネージメント部45が、CPU41やROM42、RAM43、ネットワーク制御部44のMAC44aやPHY44bの電源をオンし、端末装置40の動作モードを省電力モードから通常動作モードへと遷移させる(図18中の「Wake」)。端末装置40は、通常動作モードに復帰すると、LANスイッチ50との間でのフレーム送受信が可能となり、アイドル状態もしくはLANスイッチ50との間でフレームを送受信している状態(図18中の「Idle」、「Data/Idle」)となる。
一方、LANスイッチ50側では、端末装置40のシーケンサ回路46からLANケーブル60上にWake信号が送出されると、シーケンサ回路56がこのWake信号を検知して、パワーマネージメント部55にWake信号の検知を通知する。LANスイッチ50のパワーマネージメント部55は、シーケンサ回路56からWake信号検知が通知されると、端末装置40が接続されているLANポートに対応するPHY54bの電源をオンして、端末装置40との間でフレーム送受信が行えるようにする。また、LANスイッチ50は、端末装置40が省電力モードから通常動作モードに復帰した後(図18中の「Idle」)、端末装置40が接続されているLANポートに対するエッジポート設定を解除して、このLANポートの状態変化に対するスパニングツリー機能を有効化する。
端末装置40のシーケンサ回路46とLANスイッチ50のシーケンサ回路56との間で送受信されるWake信号(復帰信号)は、これらシーケンサ回路46,56において判別可能な、あるパターンを持った信号とする。例えば、シリアルで“10101010・・・・”といった内容の信号をWake信号として用いることが考えられる。また、例えば、端末装置40とLANスイッチ50を接続するLANケーブル60として8線式のネットワークケーブルを用いる場合、そのうちの7線のデータ線を用いて上記のようなパターンをパラレル信号としたものをWake信号として用いるようにしてもよい。
端末装置40のシーケンサ回路46とLANスイッチ50のシーケンサ回路56は、以上のようなWake信号の送信や検知を行う機能に加えて、端末装置40の省電力モード中に端末装置40とLANスイッチ50とを接続しているLANケーブル60の挿抜を監視する機能を有することが望ましい。シーケンサ回路46,56にLANケーブル60の挿抜を監視する機能を持たせた場合の具体的な構成例を図19に示す。この図19に示すように、例えば8線式のネットワークケーブルからなるLANケーブル60のうちの一本を利用して、シーケンサ回路46,56にLANケーブル60の挿抜を監視する機能を付加することができる。
具体的には、例えばLANケーブル60の一本のデータ線(図19の例ではNetD8)の端末装置40側の端部を、抵抗R1を介して電源Sに接続するとともに、このデータ線のLANスイッチ50側の端部を、抵抗R2を介してグランドGNDに接続する。そして、このデータ線の端末装置40側の電位を端末装置40のシーケンサ回路46に入力し、このデータ線のLANスイッチ50側の電位をLANスイッチ50のシーケンサ回路56に入力する。LANケーブル60が接続されている状態では、このデータ線の電位は抵抗R1と抵抗R2の抵抗値で分圧された中間電位の状態であり、端末装置40のシーケンサ回路46及びLANスイッチ50のシーケンサ回路56は、この中間電位を検知してLANケーブル60が接続されている状態であることを認識する。一方、端末装置40が省電力モードのときにLANケーブル60が抜かれると、端末装置40側の電位は電源Sのレベルとなり、LANスイッチ50側の電位はグランドGNDのレベルとなる。端末装置40のシーケンサ回路46は、端末装置40側の電位が中間電位から電源Sのレベルに変化したことを検知することによって、LANケーブル60が抜かれたことを認識することができる。また、LANスイッチ50のシーケンサ回路56は、LANスイッチ50側の電位が中間電位からグランドGNDのレベルに変化したことを検知することで、LANケーブル60が抜かれたことを認識することができる。なお、上記の例とは逆に、LANスイッチ50側を電源Sに接続し、端末装置40側をグランドGNDに接続した場合でも、上記と同様にシーケンサ回路46,56においてLANケーブル60の挿抜を監視することができる。
端末装置40の省電力モード中にLANケーブル60が抜かれた場合は、ネットワークの構成が実際に変化したことになるので、このような場合には、LANスイッチ50のスパニングツリー機能を実施することによりネットワーク経路を新たに構築することが望ましい。そこで、LANスイッチ50は、端末装置40の省電力モード中にLANケーブル60が抜かれたことをシーケンサ回路56によって検知した場合、LANケーブル60によって端末装置40が接続されていたLANポートに対するエッジポートの設定を解除して、このLANポートの状態変化に対するスパニングツリー機能を有効に設定する。
また、端末装置40は、省電力モード中にLANケーブル60が抜かれたことをシーケンサ回路46によって検知した場合、消費電力を低減する効果を継続的に得られるようにするために、LANケーブル60が再度装着されたことをシーケンサ回路46で検知するまでの間は、CPU41やROM42、RAM43、ネットワーク制御部44のMAC44aやPHY44bの電源をオフした状態を維持する。そして、LANケーブル60が再度装着されたことをシーケンサ回路46によって検知した場合に、パワーマネージメント部45が、CPU41やROM42、RAM43、ネットワーク制御部44のMAC44aやPHY44bの電源をオンする。このとき、シーケンサ回路46はLANケーブル60上にWake信号を送出して、端末装置40が省電力モードから通常動作モードに復帰することをLANスイッチ50に通知する。LANスイッチ50側では、端末装置40からのWake信号を受けて、上述した第1の実施形態で説明したようにオートネゴシエーションを実施し、端末装置40との間のリンクを確立する。
なお、端末装置40のシーケンサ回路46とLANスイッチ50のシーケンサ回路56は、上述したようにWake信号の検知及び送出とLANケーブル60の挿抜の監視を行える構成であればよく、簡単なロジックで構成することができる。また、これらシーケンサ回路46,56は、端末装置40の省電力モード中にのみ動作すればよく、端末装置40が通常動作モードで動作している間は電源をオフしておけばよい。
ところで、LANスイッチ50は、上述したように、端末装置40が省電力モードの場合には端末装置40が接続されているLANポートの状態変化に対するスパニングツリー機能を無効に設定しているが、他のLANポートに接続されていたネットワーク機器が取り外されたり、他のLANポートに新たなネットワーク機器が接続されたりといったように、他のLANポートにおいて状態変化が生じた場合には、他のLANポートの状態変化に対するスパニングツリー機能を実施する必要がある。この場合、LANスイッチ50のシーケンサ回路56がWake信号を送出して、端末装置40を省電力モードから通常動作モードに復帰させた後に他のLANポートの状態変化に対するスパニングツリー機能を実施することも考えられるが、消費電力の低減を図る観点からは、端末装置40を省電力モードに維持したまま、他のLANポートの状態変化に対するスパニングツリー機能を実施することが望ましい。
そこで、LANスイッチ50は、端末装置40に関する情報として当該LANスイッチ50との間での通信速度に関する情報を予め取得しておき、端末装置40が省電力モードで動作している間に他のLANポートにおける状態変化に対するスパニングツリー機能を実施する場合は、この予め取得した通信速度の情報を用いて端末装置40が接続されているLANポートにおけるパスコストを設定し、他のLANポートにおける状態変化に対するスパニングツリー機能を実施する。
また、LANスイッチ50は、端末装置40と当該LANスイッチ50との間での通信に適用される通信速度の情報として、例えば1Gbps、100Mbps、10Mbpsといった複数の通信速度の情報を予め取得しておき、端末装置40が省電力モードで動作している間に他のLANポートにおける状態変化に対するスパニングツリー機能を実施する場合は、これら複数の通信速度のうちで最速の通信速度の情報を用いて端末装置40が接続されているLANポートにおけるパスコストを設定し、他のLANポートにおける状態変化に対するスパニングツリー機能を実施するようにしてもよい。このように、最速の通信速度の情報を用いて他のLANポートにおける状態変化に対するスパニングツリー機能を実施すれば、端末装置40が省電力モードから通常動作モードに復帰したときに、スパニングツリー機能によって新たに構築されたネットワーク経路においても最速の通信速度を維持することができ、ユーザによる作業を効率化し生産性を高めることができる。
図20及び図21は、端末装置40が通常動作モードから省電力モードに移行する際に、端末装置40及びLANスイッチ50が実行する処理をそれぞれ示すフローチャートである。なお、ここでは、端末装置40が、通常動作モードで動作しており、LANスイッチ50との間でのフレーム送受信機能を司るネットワーク制御部44のMAC44aやPHY44bの電源がオン状態にあり、LANスイッチ50との間でフレームの送受信が可能な状態となっているものとする。
図20に示すように、端末装置40は、通常動作モード(通常動作状態)において(ステップS71)、一定時間ネットワークからデータ受信(動作要求)が無いか否かを判定する(ステップS72)。
そして、端末装置40は、一定時間内にネットワークからデータ受信(動作要求)がある場合には(ステップS72:No)、通常動作状態を継続する(ステップS71)。
また、端末装置40は、一定時間ネットワークからデータ受信(動作要求)が無い場合には(ステップS72:Yes)、通常動作モードから省電力モードに移行(遷移)するか否かを判定する(ステップS73)。この一定時間はユーザが設定可能であり、任意に設定できるものでもよいし、予め決められた時間でもよい。
そして、端末装置40は、通常動作モードから省電力モードに移行しない場合は(ステップS73:No)、通常動作状態を継続する(ステップS71)。
また、端末装置40は、通常動作モードから省電力モードに移行する場合は(ステップS73:Yes)、省電力モードに移行する旨の意味付けをされたビットをセットしたフレーム(動作モード遷移通知データ)を作成する(ステップS74、データ作成手段)。例えば、フレーム中のタイプフィールドにあるテストビットの中の1ビットを、省電力モードに移行する旨のビットに割り当てることが考えられる。端末装置40は、作成したフレームをLANスイッチ50に送信することで、通常動作モードから省電力モードに移行することをLANスイッチ50に通知する(ステップS75、データ送信手段)。
次に、端末装置40は、LANスイッチ50において後述のスパニングツリー機能を無効化するステップが実行された後に、LANスイッチ50との間でのフレーム送受信機能を司るネットワーク制御部44のMAC44aやPHY44bの電源をオフし(ステップS76)、動作モードを通常動作モードから省電力モードに遷移させる(ステップS77、動作モード遷移手段)。なお、このとき端末装置40のシーケンサ回路46の電源はオンし、省電力モード中にLANスイッチ50との間でWake信号のやり取りを行えるようにしておく。
一方、LANスイッチ50は、図21に示すように、接続(フォワーディング状態)されている各LANポートの監視を行っており(ステップS81)、端末装置40からのフレームを受信したかどうかを確認している(ステップS82、データ受信手段)。
そして、LANスイッチ50は、端末装置40から何らのフレームも受信しない場合には(ステップS82:No)、各ポートの監視を継続する(ステップS81)。
また、LANスイッチ50は、端末装置40から何らかのフレームを受信した場合には(ステップS82:Yes)、そのフレームに省電力モードに移行する旨の意味付けをされたビットがセットされているか否か、詳細には、例えばタイプフィールドにあるテストビットの状態を確認する(ステップS83)。そして、LANスイッチ50は、端末装置40から受信したフレームに省電力モードに移行する旨の意味付けをされたビットがセットされているか否かにより、そのフレームが端末装置40からの省電力モード移行通知(動作モード遷移通知データ)であるか否かを判定する(ステップS84)。
LANスイッチ50は、端末装置40から受信したフレームが端末装置40からの省電力モード移行通知ではないと判定した場合には(ステップS84:No)、端末装置40から受信したフレームが通常のフレームであるものとして、宛先アドレスやアドレステーブルを参照して、フレームを他のLANスイッチや端末装置に転送し(ステップS85)、各LANポートの監視を継続する(ステップS81)。
また、LANスイッチ50は、端末装置40から受信したフレームが端末装置40からの省電力モード移行通知であると判定した場合には(ステップS84:Yes)、端末装置40が接続されているLANポートをエッジポートに自動で設定し(ステップS86)、当該LANポートの状態変化に対するスパニングツリー機能を無効に設定する(ステップS87、スパニングツリー機能無効化手段)。
その後、LANスイッチ50は、端末装置40が接続されているLANポートに対応するPHY54bの電源をオフする(ステップS88)。なお、このときLANスイッチ50のシーケンサ回路56の電源はオンし、端末装置40との間でWake信号のやり取りを行えるようにしておく。
これにより、端末装置40が省電力モードに移行することに伴って端末装置40とLANスイッチ50のリンクが切れた状態になったとしてもスパニングツリー機能が実施されないため、端末装置40の通常動作モードから省電力モードへの移行及び省電力モードから通常動作モードへの復帰の度にスパニングツリー機能が実施されることによるネットワーク負荷を軽減でき、トラフィックの増大を防ぐことができる。
また、端末装置40が省電力モードに移行すると、端末装置40のシーケンサ回路46及びLANスイッチ50のシーケンサ回路56の電源がオンされて、端末装置40とLANスイッチ50との間でWake信号のやり取りが行えるようになるので、消費電力の大幅な低減を実現しながら、必要に応じて端末装置40を適宜、通常動作モードに復帰させることができる。
なお、上記ではフレーム中のタイプフィールドにあるテストビットの中の1ビットを省電力モードに移行する旨のビットに割り当てることとした例について説明したが、フレーム中の宛先MACアドレス(又は送信元MACアドレス)に特定の値(特定のMACアドレス)をセットすることで通常動作モードから省電力モードに移行する旨を通知するようにしてもよい。
図22及び図23は、端末装置40がユーザの要求などに応じて省電力モードから通常動作モードに復帰する際に端末装置40及びLANスイッチ50が実行する処理をそれぞれ示すフローチャートである。
図22に示すように、端末装置40は、省電力モードで動作中はユーザからの動作要求があるかどうかを監視している(ステップS91)。このとき、端末装置40が省電力モードで動作している間に、端末装置40とLANスイッチ50とを繋ぐLANケーブル60が抜かれたり、一度抜かれたRANケーブル60が再度装着されたりすることが考えられる。
そこで、端末装置40は、省電力モードで動作中にユーザからの動作要求がない間は(ステップS91:No)、LANケーブル60の挿抜を監視する(ケーブル接続状態監視手段)。具体的には、端末装置40は、例えばシーケンサ回路46で検知しているLANケーブル60の端末装置40側の電位が中間電位から変化したか否かにより、LANケーブル60が抜かれたか否かを判定する(ステップS92)。そして、LANケーブル60が抜かれたと判断した場合には、その後、シーケンサ回路46で検知している電位が中間電位に戻ったか否かにより、LANケーブル60が再度装着されたか否かを判定する(ステップS93)。端末装置40は、省電力モードで動作中にLANケーブル60が抜かれた場合(ステップS92:Yes)であっても、LANケーブル60が再度装着されるまでの間(ステップS93:No)は、ネットワーク制御部44の電源をオフした状態を維持し(電源遮断維持手段)、ユーザからの動作要求の監視を継続する(ステップS91)。そして、LANケーブル60が一度抜かれた後に再度装着された場合(ステップS93:Yes)には、ステップS94に処理を移行する。
端末装置40は、省電力モードで動作中にユーザからの動作要求があった場合(ステップS91:Yes)又はLANケーブル60が一度抜かれた後に再度装着された場合(ステップS93:Yes)には、シーケンサ回路46からLANケーブル60上にWake信号を送出する(ステップS94、復帰信号送信手段)。
その後、端末装置40は、LANスイッチ50との間でのフレーム送受信機能を司るネットワーク制御部44のMAC44aやPHY44bの電源をオンし(ステップS95)、動作モードを省電力モードから通常動作モードに遷移させる(ステップS96、第2の動作モード遷移手段)。
一方、LANスイッチ50は、図23に示すように、端末装置40が省電力モードで動作している間、LANケーブル60上にWake信号が送出されたかどうかをシーケンサ回路56によって監視している(ステップS101、復帰信号受信手段)。このとき、端末装置40が省電力モードで動作している間に、端末装置40とLANスイッチ50とを繋ぐLANケーブル60が抜かれたり、一度抜かれたRANケーブル60が再度装着されたりすることが考えられる。
そこで、LANスイッチ50は、端末装置40から送出されたWake信号が検出されない間は(ステップS101:No)、上述した端末装置40と同様に、LANケーブル60の挿抜を監視する(ケーブル接続状態監視手段)。具体的には、LANスイッチ50は、例えばシーケンサ回路56で検知しているLANケーブル60のLANスイッチ50側の電位が中間電位から変化したか否かにより、LANケーブル60が抜かれたか否かを判定する(ステップS102)。そして、LANケーブル60が抜かれたと判断した場合には、その後、シーケンサ回路56で検知している電位が中間電位に戻ったか否かにより、LANケーブル60が再度装着されたか否かを判定する(ステップS103)。LANスイッチ50は、端末装置40が省電力モードで動作している間にLANケーブル60が抜かれた場合(ステップS102:Yes)、その後、LANケーブル60が再度装着されれば(ステップS103:Yes)ステップS104に処理を移行し、LANケーブル60が再度装着されない場合(ステップS103:No)には、ステップS106に処理を移行する。
LANスイッチ50は、端末装置40からLANケーブル60上に送出されたWake信号を検出した場合(ステップS101:Yes)又はLANケーブル60が一度抜かれた後に再度装着された場合(ステップS103:Yes)には、オートネゴシエーションを開始して端末装置40側の情報を取得する(ステップS104)。そして、LANスイッチ50は、端末装置40が接続されたLANポートに対応するPHY54bの電源をオンして、端末装置40との間でのリンクを確立する(ステップS105)。
また、LANスイッチ50は、端末装置40との間でのリンクを確立した場合(ステップS105)、端末装置40が接続されているLANポートのエッジポート設定を解除し(ステップS106)、当該LANポートにおける状態変化に対するスパニングツリー機能を有効に設定する(ステップS107、スパニングツリー機能有効化手段、第2のスパニングツリー機能有効化手段)。
また、LANスイッチ50は、LANケーブル60が抜かれた後に再度装着されなかった場合(ステップS103:No)、端末装置40が接続されていたLANポートのエッジポート設定を解除し(ステップS106)、当該LANポートにおける状態変化に対するスパニングツリー機能を有効にする(ステップS107、第2のスパニングツリー機能有効化手段)。
このように、端末装置40が、省電力モードから通常動作モードに復帰する際にWake信号をLANケーブル60上に送出し、省電力モードから通常動作モードに復帰する旨をLANスイッチ50に対して通知し、LANスイッチ50が、Wake信号を検出することで端末装置40が通常動作モードに復帰することを認識して、端末装置40が接続されているLANポートの状態変化に対するスパニングツリー機能を有効にすることができる。これにより、消費電力の大幅な低減を実現しながら、必要に応じて端末装置40を適宜、通常動作モードに復帰させることができ、また、ユーザの手を煩わせることなくスパニングツリー機能を有効化することができる。
また、端末装置40が省電力モードで動作している間に、端末装置40とLANスイッチ50とを繋ぐLANケーブル60の挿抜を端末装置40とLANスイッチ50との双方で監視しているので、LANケーブル60の挿抜によるリンク状態の変化にも適切に対応することができる。
図24及び図25は、LANスイッチ50からの要求に応じて端末装置40が省電力モードから通常動作モードに復帰する際に端末装置40及びLANスイッチ50が実行する処理をそれぞれ示すフローチャートである。
図24に示すように、端末装置40は、省電力モードで動作中は、LANスイッチ50からLANケーブル60上にWake信号が送出されたかどうかをシーケンサ回路46によって監視している(ステップS111、復帰信号受信手段)。このとき、端末装置40が省電力モードで動作している間に、端末装置40とLANスイッチ50とを繋ぐLANケーブル60が抜かれたり、一度抜かれたRANケーブル60が再度装着されたりすることが考えられる。
そこで、端末装置40は、LANスイッチ50から送出されたWake信号が検出されない間は(ステップS111:No)、LANケーブル60の挿抜を監視する(ケーブル接続状態監視手段)。具体的には、端末装置40は、例えばシーケンサ回路46で検知しているLANケーブル60の端末装置40側の電位が中間電位から変化したか否かにより、LANケーブル60が抜かれたか否かを判定する(ステップS112)。そして、LANケーブル60が抜かれたと判断した場合には、その後、シーケンサ回路46で検知している電位が中間電位に戻ったか否かにより、LANケーブル60が再度装着されたか否かを判定する(ステップS113)。端末装置40は、省電力モードで動作中にLANケーブル60が抜かれた場合(ステップS112:Yes)であっても、LANケーブル60が再度装着されるまでの間(ステップS113:No)は、ネットワーク制御部44の電源をオフした状態を維持し(電源遮断維持手段)、ユーザからの動作要求の監視を継続する(ステップS111)。そして、LANケーブル60が一度抜かれた後に再度装着された場合(ステップS113:Yes)には、ステップS114に処理を移行する。
端末装置40は、省電力モードで動作中にLANスイッチ50からLANケーブル60上に送出されたWake信号を検出した場合(ステップS111:Yes)又はLANケーブル60が一度抜かれた後に再度装着された場合(ステップS113:Yes)には、LANスイッチ50との間でのフレーム送受信機能を司るネットワーク制御部44のMAC44aやPHY44bの電源をオンし(ステップS114)、動作モードを省電力モードから通常動作モードに遷移させる(ステップS115、第2の動作モード遷移手段)。
一方、LANスイッチ50は、図25に示すように、端末装置40が省電力モードで動作している間、端末装置40が接続されているLANポート以外の他のLANポートにおいて端末装置40宛のフレームを受信したかどうかを監視している(ステップS121)。このとき、端末装置40が省電力モードで動作している間に、端末装置40とLANスイッチ50とを繋ぐLANケーブル60が抜かれたり、一度抜かれたRANケーブル60が再度装着されたりすることが考えられる。
そこで、LANスイッチ50は、端末装置40宛のフレームを受信していない間は(ステップS121:No)、上述した端末装置40と同様に、LANケーブル60の挿抜を監視する(ケーブル接続状態監視手段)。具体的には、LANスイッチ50は、例えばシーケンサ回路56で検知しているLANケーブル60のLANスイッチ50側の電位が中間電位から変化したか否かにより、LANケーブル60が抜かれたか否かを判定する(ステップS122)。そして、LANケーブル60が抜かれたと判断した場合には、その後、シーケンサ回路56で検知している電位が中間電位に戻ったか否かにより、LANケーブル60が再度装着されたか否かを判定する(ステップS123)。LANスイッチ50は、端末装置40が省電力モードで動作している間にLANケーブル60が抜かれた場合(ステップS122:Yes)、その後、LANケーブル60が再度装着されれば(ステップS123:Yes)ステップS125に処理を移行し、LANケーブル60が再度装着されない場合(ステップS123:No)には、ステップS127に処理を移行する。
LANスイッチ50は、端末装置40が接続されているLANポート以外の他のLANポートにおいて端末装置40宛のフレームを受信した場合(ステップS121:Yes)には、シーケンサ回路56からLANケーブル60上にWake信号を送出する(ステップS124、復帰信号送信手段)。
また、LANスイッチ50は、LANケーブル60上にWake信号を送出した後、又は端末装置40の省電力モード中にLANケーブル60が一度抜かれた後に再度装着された場合(ステップS123:Yes)には、オートネゴシエーションを開始して端末装置40側の情報を取得する(ステップS125)。そして、LANスイッチ50は、端末装置40が接続されたLANポートに対応するPHY54bの電源をオンして、端末装置40との間でのリンクを確立する(ステップS126)。
また、LANスイッチ50は、端末装置40との間でのリンクを確立した場合(ステップS126)、端末装置40が接続されているLANポートのエッジポート設定を解除し(ステップS127)、当該LANポートにおける状態変化に対するスパニングツリー機能を有効に設定する(ステップS128、スパニングツリー機能有効化手段、第2のスパニングツリー機能有効化手段)。
また、LANスイッチ50は、LANケーブル60が抜かれた後に再度装着されなかった場合(ステップS123:No)、端末装置40が接続されていたLANポートのエッジポート設定を解除し(ステップS127)、当該LANポートにおける状態変化に対するスパニングツリー機能を有効にする(ステップS128、第2のスパニングツリー機能有効化手段)。
このように、LANスイッチ50が、端末装置40宛のフレームを受信した場合に、端末装置40に対して省電力モードから通常動作モードに復帰することを促すWake信号をLANケーブル60上に送出し、端末装置40が、Wake信号を検出することで通常動作モードに復帰することができる。また、LANスイッチ50は、端末装置40が接続されているLANポートの状態変化に対するスパニングツリー機能を有効にすることができる。これにより、消費電力の大幅な低減を実現しながら、必要に応じて端末装置40を適宜、通常動作モードに復帰させることができ、また、ユーザの手を煩わせることなくスパニングツリー機能を有効化することができる。
また、端末装置40が省電力モードで動作している間に、端末装置40とLANスイッチ50とを繋ぐLANケーブル60の挿抜を端末装置40とLANスイッチ50との双方で監視しているので、LANケーブル60の挿抜によるリンク状態の変化にも適切に対応することができる。
本実施の形態の端末装置40は、図16に示したように、CPU41とROM42、RAM43を有するマイクロコンピュータとしての構成を有しており、ネットワーク制御プログラムを実行することによって、本実施の形態に特有の上述した各種の処理機能を実現する。なお、本実施の形態の端末装置40で実行されるネットワーク制御プログラムは、例えば、ROM42等に予め組み込まれて提供される。
また、本実施の形態の端末装置40で実行されるネットワーク制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、本実施の形態の端末装置40で実行されるネットワーク制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施の形態の端末装置40で実行されるネットワーク制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
本実施の形態の端末装置40で実行されるネットワーク制御プログラムは、データ作成手段を実現するコンポーネント、データ送信手段を実現するコンポーネント、動作モード遷移手段を実現するコンポーネント、復帰信号送信手段を実現するコンポーネント、復帰信号受信手段を実現するコンポーネント、第2の動作モード遷移手段を実現するコンポーネント、ケーブル接続状態監視手段を実現するコンポーネント、電源遮断維持手段を実現するコンポーネントを含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)41が上記ROM42等からネットワーク制御プログラムを読み出して実行することにより上記各コンポーネントが主記憶装置上にロードされ、データ作成手段、データ送信手段、動作モード遷移手段、復帰信号送信手段、復帰信号受信手段、第2の動作モード遷移手段、ケーブル状態監視手段、電源遮断維持手段が主記憶装置上に生成されるようになっている。
また、本実施の形態のLANスイッチ50は、図16に示したように、CPU51とROM52、RAM53を有するマイクロコンピュータとしての構成を有しており、ネットワーク制御プログラムを実行することによって、本実施の形態に特有の上述した各種の処理機能を実現する。なお、本実施の形態のLANスイッチ50で実行されるネットワーク制御プログラムは、例えば、ROM52等に予め組み込まれて提供される。
また、本実施の形態のLANスイッチ50で実行されるネットワーク制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、本実施の形態のLANスイッチ50で実行されるネットワーク制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施の形態のLANスイッチ50で実行されるネットワーク制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
本実施の形態のLANスイッチ50で実行されるネットワーク制御プログラムは、データ受信手段を実現するコンポーネント、スパニングツリー機能無効化手段を実現するコンポーネント、復帰信号送信手段を実現するコンポーネント、復帰信号受信手段を実現するコンポーネント、スパニングツリー機能有効化手段を実現するコンポーネント、ケーブル状態監視手段を実現するコンポーネント、第2のスパニングツリー機能有効化手段を実現するコンポーネントを含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)51が上記ROM52等からネットワーク制御プログラムを読み出して実行することにより上記各コンポーネントが主記憶装置上にロードされ、データ受信手段、スパニングツリー機能無効化手段、復帰信号送信手段、復帰信号受信手段、スパニングツリー機能有効化手段、ケーブル状態監視手段、第2のスパニングツリー機能有効化手段が主記憶装置上に生成されるようになっている。