JP5439643B2 - 石膏の焼成方法 - Google Patents

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Description

本出願は、合衆国法典第35巻(米国特許法)119条(E)により、2008年2月19日出願の米国仮出願No.61/029,725、および2008年10月23日出願の米国仮出願No.61/107,901を優先権としている。
本発明は、硫酸カルシウム二水和物(しばしば、天然に存在する形体の石膏あるいはランドプラスターとして、合成的に誘導される形体の合成石膏として、あるいは化学式CaSO・2HOとして知られている)を焼成して、主としてα−タイプ硫酸カルシウム半水和物(CaSO・1/2HO[α−タイプ])とする改善された石膏の焼成方法に関するものである
石膏および硫酸カルシウムベースの組成物および化合物は、建設業界を含め広く種々の産業で使用されている。硫酸カルシウム二水和物は、採掘することができる天然に存在するものである。
硫酸カルシウム二水和物のさらなる出所源は、石炭燃焼の発電所の排ガス脱硫から発生する合成石膏(FGD石膏)、およびリサイクル壁ボードのようなリサイクル石膏、キャストあるいはモールドからリサイクルされる石膏などである。
建設材料として有用な石膏とするために、二水石膏を焼成または加熱して一部脱水し硫酸カルシウム半水和物のα−とβ−形とする半水石膏である硫酸カルシウム半水和物への脱水または焼成は、下記の式で表される。
Figure 0005439643
焼成は、硫酸カルシウム二水和物が、半水和物、可溶性無水物、および/または不溶性無水物に変換されるプロセスである。石膏の焼成には、多くの種々の技術が使用されている。例えば、焼成は、高温でのフラッシュ乾燥、大きなケトル中でのクッキング、炉あるいはロータリーキルンでの加熱、スチームの使用、あるいは水懸濁液中のクッキング、で行われる。
これら種々の技術は、広い範囲の組成物および性状をもつ硫酸カルシウム製品となるが、一般に、α−半水和物タイプとβ−半水和物タイプの2つのタイプの半水和物が形成される。
上記した焼成プロセスの逆方向で、半水和物は飽和するまで水に溶解され、可溶性半水和物は発熱を伴って溶解性の低い二水和物に戻り、溶液から析出し、次の反応を促進していく。
Figure 0005439643
二水和物の生成量が増えると、石膏は硬化する。石膏の硬化は、発生する熱を測定することで追跡でき、スラリー温度が徐々に上昇していく。
半水和物の焼成の熱効率を改善する方法が検討されてきたが、代表的には、焼成温度を下げることに作用する潮解性の塩CaClなどの脱水剤を使用することに依っている。しかしながら、添加物としてCaClを使用するのは、連続プロセスよりバッチプロセスに向いている。さらに、塩の添加は、プラスチックフローなど壁ボード性状や石膏コアへの紙の接着に良くない影響を及ぼすことがある。
α−とβ−半水和物は、微細に粉砕した粉末の半水和物を流動性のスラリーとするに必要な水の量で互いに区別できる。
α−硫酸カルシウム半水和物は、α−半水和物がプラスター100g当たり約50mL以下の水が必要であるとし、β−硫酸カルシウム半水和物は、β−半水和物がプラスター100g当たり70mL以上の水が必要であるとしている。この水の量は、“水要求量”として知られている。高水要求量は、水/スタッコ比(W/S)として反映され、ボードの乾燥プロセスで過剰の水を除くのに多くのエネルギーが必要であることから、壁ボードの製造観点で非効率的である。エネルギーの大部分は、燃料コストの上昇にある。
従来のβ−半水和物は、より多孔性で、W/S比が0.7〜0.8の範囲にあり、他方、α−半水和物ではW/S比が0.32〜0.45の範囲にある。
半水和物のα−とβ−形は、結晶形および密度でも異なっている。α−半水和物は、B−ベース形で、典型的にバッチシステムで作られるが、β−半水和物は、連続システムで作られる。後者の利点にも拘らず、水要求量がより低いために、α−半水和物は、β−半水和物よりも好まれている。しかしながら、最近の焼成技術では、α−半水和物を含む硫酸カルシウム製品を生産するに比較的非効率である。その結果、従来の石膏壁ボード生産者は、大気圧下でケトルまたはフラッシュ焼成して生産されたβ−半水和物を使用している。
壁ボードの製造にα−半水和物を使用することは、エネルギーと生産コストの大幅節減となる。W/S比が、α−半水和物では遥かに低いので、ボードの乾燥に使用する燃料(代表的に天然ガス)が少なくなり、壁ボードの生産ラインの速度が増し、生産能力の増加となる。燃焼に関係した汚染ガスの排出も少なくなる。
本発明の目的は、市販壁ボード生産者にとって生産上の関心事である連続プロセスによりα−半水和物が得られる加圧下での石膏の焼成方法を提供することにある。
上記目的を達すべくなされた本発明は、石膏を焼成して半水和物とする石膏の焼成方法であって、石膏を連続計量装置を通して加圧リアクターに連続的にフィードするステップと、燃焼ガスと空気を加圧リアクターの底部からに注入して、加圧リアクター中に石膏の流動床を作るステップと、その流動床中に設けられた熱交換器に燃焼ガスを送って流動床を加熱するステップと、を有してなっている。
燃焼ガスは、燃料と空気をバーナーで燃焼して生成され、その燃焼ガスの一部が加圧リアクターに送られて流動床を作り、燃焼ガスの残部熱交換器に送られて流動床の加熱に使用される
ここで、加圧リアクターのゲージ圧を18〜39psig(1.22〜2.65気圧)とすることが好ましく、また、空気は、加圧されて加圧リアクターに入れられることができる。
加圧リアクターは、一実施形態として、石膏が、石膏ホッパーから連続計量装置を介して連続フィードされ、燃焼ガスと空気、さらに蒸気が、底部から入りディストリビュータにより均一化されて上昇して石膏の流動床を形成し、石膏の流動床がディストリビュータ上部に位置する熱交換器によりさらに加熱され、排出ガスが、流動床の上部に設けられたダストコレクターを通して出され、焼成石膏が、ダストコレクターに隣接して設けられた出口から出される、構造である。
加圧リアクターは、また別の実施形態として、中空シャフトと中空ブレードを有する速度調整可能な二連スクリュー対向回転オーガスクリューが内部に配置され、石膏が、石膏ホッパーから連続計量装置を介して連続フィードされ、二連スクリュー対向回転オーガスクリューにより石膏が入口から出口に移動すると共に、底部入口から導入された蒸気、燃焼ガス、および空気により流動床を作り、流動床が、オーガスクリューの中空シャフトに導入された燃焼ガスにより加熱されて焼成される、構造である。
加圧リアクターから出た焼成石膏は、さらに第2の熱交換器で加熱され、そして第2熱交換器から出た焼成石膏は、排出バルブを通してスクリューコンベアに送られることができる。
第2熱交換器から出た焼成石膏は、好ましくは焼成ガスで加熱されている加熱ミルに送られ、加熱と粉砕を同時に行うことができる。
石膏を焼成する本発明の方法を行う装置の第1実施形態の概要図である。 石膏を焼成する本発明の方法を行う装置の別の第2実施形態の概要図である。 図2の二連スクリュー対向回転オーガスクリューの上から見た部分断面図である。 種々のスタッコの水要求量を比較する棒グラフである。 種々のスタッコの結合水を比較する棒グラフである。 焼成時間とリアクター温度の関係を示すグラフである。 焼成圧力とリアクター温度の間の相関性を示すグラフである。 (a)〜(f)は、本プロセスの前後における結晶構造の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
上記の図面は、大きさを示していないことを理解されるべきである。開示した方法および装置を通常の知識を有する人が理解する上で必要でない詳細、あるいは見てわからないその他の詳細は、ここでは省いている。勿論、この開示は、ここに説明した特別の実施形態に制限されものでないことは理解されるべきである。
図1を参照すると、第1実施形態による第1石膏焼成システム10は、従来から行われてきたバッチプロセスとは異なって、低水要求量の半水和物に焼成する連続プロセスであることに利点がある。このプロセスでは、α−半水和物石膏の生成を増すことにより低水要求量が達成されている。第1石膏焼成システム10は、本質的にここに描かれた装置であり、以下の方法またはプロセスを行うに使用されることが理解できるであろう。
第1石膏焼成システム10では、石膏が、石膏入口11を通して石膏ホッパー12に供給される。石膏ホッパー12は、加圧ホッパーであってよい。石膏入口11は、コンベアー、あるいは当業者に知られた積載システムなど如何なるタイプであってもよい。石膏は、典型的には粉砕され、粒子形状で供給される。
ここに開示したプロセスは、塩化カルシウム(CaCl)などの脱水剤への依存を少なくしている。しかしながら、潮解性または吸湿性塩である脱水剤を使用することもできる。従って、第1石膏焼成システム10では、脱水剤が、脱水剤入口13から脱水剤ホッパー14通じて供給される。石膏ホッパー12の石膏ホッパー出口15と脱水剤ホッパー14の脱水剤ホッパー出口16はそれぞれ、種々の方法で結合されるが、図1ではその一を示していて、石膏ホッパー出口15と脱水剤ホッパー出口16それぞれにコントロールバルブ17,18を有し、さらに好ましくはロータリーロックなどの連続計量装置19を設けて石膏と脱水剤の流れをコントロールしている。そして、石膏と脱水剤が、L−フィーダー21から加圧リアクター27にフィードされる。このとき、空気ライン20からの加圧空気により石膏と脱水剤を加圧している。
さらに追加のコントロールバルブ22が、空気加圧ライン20、あるいは空気加圧ライン20とL−フィーダー21の間、あるいはL−フィーダー21と加圧リアクター入口28の間に配置することができる。
図1は、当業者がわかるように第1石膏焼成システム10に必要かもしれないコントロールバルブを、全てでなくいくつかのみを示している。
連続計量装置19とL−フィーダー21に代えて、2連の連続計量装置あるいは2連ロック垂直フィーダー(図2参照、後に記載する)を用いることもできる。2連ロック垂直フィーダーは、加圧空気の供給と異なって、石膏フィードの長い垂直カラムを持ち、フィードカラムを加圧している。
2つのロータリーバルブあるいはロックが使用され、下のバルブは加圧リアクター27の入口近くに、そして、上のバルブは石膏ホッパー12の近くにする。このタイプの配置は、当業熟練者には公知である。
キルンタイプのリアクター容器は、石膏の焼成用に知られているが、本発明の加圧リアクター27の利点は、加圧されるということにある。好ましい実施形態で、加圧リアクター27は、14.7psia(1気圧(ゲージ))から55.3psia(3.8気圧(ゲージ))を維持するように意図されている。
加圧リアクター27は、その頂部29と底部31の間で石膏材料が流動床とするのが好ましい。石膏の焼成は、この流動床で行われる。
加圧リアクター27の底部31には、底部入口32があり、(1)空気入口33から空気を受け、ブロワー34、ブロワー出口ライン35およびコントロールバルブ36を経て底部入口32に至る加圧空気、(2)蒸気入口37から蒸気を受け、コントロールバルブ38および蒸気ライン55を経て底部入口32に至る蒸気、そして、(3)燃料入口42から燃料を受け、空気入口43からの空気をブロワー44で加圧した加圧空気を用いて燃焼するバーナー41から底部入口32に至る燃焼ガス、が加圧リアクター27内に導入される。
燃料入口42と空気入口43のラインにはそれぞれコントロールバルブ45、46を設けている。使用される燃料は、その種類は重要でないが、天然ガスまたは他の軽質炭化水素ガス(例えば、プロパン、ブタンなど)から油または石炭と、第1石膏焼成システム10を実施する場所と使用燃料の入手の観点など立地条件で変わる。蒸気は、加圧リアクター27中の水分コントロールと、加熱の目的で加えられる。加圧リアクター27中に、蒸気と同時にあるいは蒸気に代って水が注入されることがある。
バーナー41の出口47からの燃焼ガスは、燃焼ガスライン48と燃焼ガスライン49に分割される。燃焼ガスライン49の燃焼ガスは、加圧リアクター底部入口32に向けられ、このとき追加のコントロールバルブ51を経るようにしてもよい。
バーナーから別の流れである燃焼ガスライン48の燃焼ガスは、熱交換器52に向い、流動床を加熱するに使用される。途中にコントロールバルブ53が設けられ、バーナー41からの加熱燃焼ガスの流量により熱交換器52への熱の流れをコントロールする。
加圧リアクター27内には、ブロワー出口ライン35からの加圧空気、蒸気出口ライン55からの蒸気、および燃焼ガスライン56からの燃焼ガスのいずれか1つ以上を用いて加圧リアクター27内に加圧上昇流が形成され、加圧リアクターの入口28から投入された石膏と一緒になって流動床を形成する。熱交換器52は、加圧リアクター27内の中間部54で、流動床の中間に配置することが好ましい。
熱交換器52の使用は、流動床を間接的に加熱する点で好ましいが、直接または間接タイプのその他熱源を用いて、流動床の温度を以下に検討する所望温度範囲に高めることも考えられる。例えば、燃焼ガスおよび/または蒸気は,流動床を直接に加熱することができる。
加圧リアクター27内部で、底部入口32のすぐ上には、穿孔された平面をもつ空気ディストリビュータ57が設置され、底部入口32からの流体を均一に分散して加圧リアクター27内部上昇流を均一にし、流動床の形成および保持を容易にしている。
好ましい実施形態で、空気ディストリビュータ57は、2枚の穿孔された平板59、61の間に挟まれて任意にファイバーマット62を備えている。空気ディストリビュータ57の詳細は、この開示に直接関係していないので、詳細は説明しない。当業熟練者であれば、焼成リアクターおよび流動床リアクター中で使用される種々の空気ディストリビュータを使用して実施できる。例えば、参考に示す米国特許No.7,175,426を参照されたい。ファイバーマット62を使用するとき、好ましいマットは、熱に耐える能力の点で選ばれるシリカファイバーである。
空気ディストリビュータ57は、示しているように加圧リアクター27に一様に拡げられ、あるいはそれぞれ穿孔された板の間に挟まれたマットであるパッドを複数枚用いてもよい。
好ましい実施形態で、熱交換器52は、1つの縦管63と2つ以上の横管64を有して構成されて、加圧リアクター27内部の上昇流の中に置かれる。熱交換器52からの出口は、排気管65に連通している。
このようにして、計量された石膏が、上部にある加圧リアクター入口28から加圧リアクター27に入り、下方に落ち、図面に示すような空気ディストリビュータ57を通り抜けた上昇加熱流と一緒になる。熱は、熱交換器52の様々の配管63、64、および底部入口32からの燃焼ガスと蒸気を含む上昇流から供給される。
上に議論したように、熱は、バーナー41から燃焼ガスライン48で供給される。バーナー41の出口47の温度は、典型的に約1482から約1760℃(約2700から約3200°F)である。熱交換器排気65を通る熱交換器排出ガスの温度は、約232から約316℃(約450から約600°F)である。
加圧リアクター27内の温度は、約121から約177℃(約250から約350°F)、より好ましくは約138から約149℃(約280から約300°F)である。
蒸気は、好ましい水分源であり、蒸気入口37から蒸気ライン55を通って供給される。しかしながら、水を、コントロールバルブ67を有する水導入路66を経て加圧リアクター27に加えてもよい。
水導入路66は、当業熟練者にとって明かであるように、アトマイザー(図示してない)に連結すべきである。加圧リアクター27内の全圧力は、約14.7psiaから55.3psia(約1.0から約3.8気圧)(ゲージ)である。
加圧リアクター27の頂部29は、典型的に多くの垂直に並んだバッグ69でなるダストコレクター68を有するのが好ましい。ダストコレクター68は、焼成石膏ダストの微粒子を捕捉し、加圧リアクター27の中間部54に戻すことができる
加圧リアクター27からの排出ガスは、ダストコレクター68でろ過され、加圧リアクター出口70からコントロールバルブ71を経て放出している。
焼成石膏製品は、製品出口72を通ってスタンドパイプ73に出て行く。製品出口72は、流動床の上限で取り出せるように、熱交換器52より上で、かつダストコレクター68より下に位置するのが好ましい。さらに、製品出口72は、典型的にはそれ自身のコントロールバルブ(図示していない)を有している。
製品が適切に乾燥しているようにするため、スタンドパイプ73は、第2熱交換器74中を通っている。第2熱交換器74は、第2の蒸気あるいは加熱媒体入口ライン75から、燃焼ガス、排気ガス、あるいは油などの蒸気または加熱媒体が導入される。第2熱交換器74は、石膏製品と一緒に流れる水蒸気が凝縮するのを防いでいる。
第2熱交換器74には、蒸気あるいは加熱媒体が、蒸気あるいは加熱媒体ライン75からコントロールバルブ77を経て導入され、蒸気あるいは加熱媒体出口ライン76から出る。焼成された半水和物製品が、第2熱交換器出口78、およびロック80の連続計量装置を通ってスクリューコンベアー79に出ていく。ロック80は、石膏および脱水剤の投入路に設けられたロータリーロックなどの連続計量装置19と同様である。
スクリューコンベアー79は、製品ライン81から製品を排出し、貯蔵コンテナー、容器、列車車両、トラック荷台、あるいは貯蔵エリア82に送り出す。スクリューコンベアー79は、図に示したモータ83による回転の他、別のタイプのコンベアーシステムも使用することができ、この開示を読んだ後で当業熟練者には明らかであろう。
追加の連続計量装置84を、スタンドパイプ73の入口に設けて、リアクター27内の圧力シールとするのが好ましい。
図2および3には、第2実施形態に係る第2石膏焼成システム90を示している。図中、第1石膏焼成システム10と共有した部分は、同一の符号を付している。
第2石膏焼成システム90と第1石膏焼成システム10の大きな相違点の1つは、単一のロックである連続計量装置19とL−フィーダー21の代わりに、2連のロックである連続計量装置92、94を採用して、石膏ホッパー12からの石膏の連続の流れを制御し、加圧リアクター96圧力を維持している点にある。好ましい実施形態で、下のロック連続計量装置94は、直接、重力によって加圧リアクター96にフィードしている。
ブロワー34により加圧された空気がコントロールバルブ36を通って加圧リアクター96の穿孔されたハウジング98に入り、加圧リアクター96中の石膏を流動化させ流動床としている。
加熱ガス、加熱油、蒸気の少なくとも1つが、2つの中空のオーガシャフト102,104の端部にある入口100に連続して注入される。オーガシャフト102,104は、互いに噛み合う螺旋形状の中空オーガブレード106、108を有しており、速度調整可能で、セルフクリーニング型二連スクリュー対向回転オーガスクリュー110(図3参照)の一部となって、加圧リアクター96の内部に設置され、石膏流動床を焼成する。
オーガシャフト102,104は、加圧リアクター96内で互いに間隔を置いて、水平な並列に配置されるのが好ましいが、これとは別の配置でもよい。
シャフト102、104がバーナー41によって供給されるボイラーなどの熱交換器112と連通しているので、第1石膏焼成システム10の場合のように、空気または油などの加熱流体は、シャフト102、104の入口100に供給される。
加熱流体は、それぞれのシャフト102、104内、およびそのオーガブレード106、108を循環し、加圧リアクター96内の石膏を加熱する。好ましい実施形態で、加熱流体は、最終的にそれぞれのシャフト102、104の出口114から出て、バーナー41に再循環される。
動力源116、好ましくは可変速度モータが、公知のようにシャフト102、104の少なくとも一方、好ましくは両方に連結されてシャフトを回転させ、オーガブレード106、108を回転させる。オーガブレードが螺旋形状であることから、加圧リアクター96中の石膏は、加圧リアクターの一端から、反対側端にあるリアクター出口120へと移動していく。好ましい実施形態で、オーガブレード106、108は、互いに噛み合わされ、シャフト102、104が回転すると共に、互いのブレードに残る石膏は、隣接したブレードの近接して回転する作用によって除かれていく。
図3から見られるように、ブレード106、108は、全径方向で互いに重なり合っている。このリアクター96の別の態様では、シャフト102、104の回転速度は、適用に合わせて変えることができる。
石膏粒子サイズを変えたり、滞留時間を変えることが必要なときには、異なる回転速度のシャフトが必要となる。このように、速度調整可能な二連スクリュー対向回転オーガスクリュー110は、石膏の焼成流動床を、リアクター入口118からリアクター出口120に連続的に移動させていく。
加圧リアクター96中の所望の蒸気圧および相対湿度は、焼成によって発生する蒸気、および蒸気入口37で燃焼ガスと空気と共に注入される蒸気で維持される。蒸気は、また加圧リアクター96中の流動床の温度を上げるためにも使用できる。蒸気を燃焼ガスと一緒にすると、加圧リアクター中での凝縮が避けられる。
穿孔されたハウジング98は、単一壁で示しているが、加圧リアクター96は、石膏の焼成流動床のさらなる加熱ができるように二重壁の蒸気ジャケット113を持つようにしてもよい。リアクターハウジング98は、加圧リアクター96内部で生成する凝縮水を放出する凝縮水放出バルブ122を有するのが好ましい。
さらに、安全弁124が設けられて、リアクター中の圧力が、予め定めたレベルを超えた場合に放出することができる。所望により、同様のバルブは、第1石膏焼成システム10でも考えられる。
上で検討した連続計量装置19、92および94と同様な連続計量装置126は、リアクター圧力を維持することを支援し、焼成石膏を加圧リアクター96から第2熱交換器74に連続的にフィードする。
好ましい実施形態で、第2熱交換器74加圧リアクター96を出る焼成石膏の温度および水分レベルを維持するに使用される。第2熱交換器74を出た後で、第2連続計量装置128は、第2熱交換器74の圧力を維持することを支援し、焼成石膏を貯蔵エリア82に連続的にフィードする。
同様に、第1石膏焼成システム10の第2熱交換器74に、複数の計量装置(126、128)を使用することが考えられる。焼成石膏は、第2熱交換器74を出て、粉砕ミル132へ送られ、焼成半水和物を加熱と同時に粉砕することができる。粉砕ミルは、燃焼ガスによって加熱される。当業者に公知であるように、ボールあるいはチューブミルなどが考えられる。
図4〜7を参照すると、図4の棒グラフは、様々な場所からの石膏原材料について、従来の焼成プロセスおよび加圧焼成を用いた実験室装置での焼成石膏製品の分析結果を示している。
図4と5で、サウサード(Southard)C−ベースとB−ベースの値は、従来の焼成による結果であり、比較的多くのエネルギーが必要である。理想的には、加圧焼成は、焼成されたB−ベース半水和物の値近くであるべきである。
アレゲニィ(Allegheny)とキルン(Killen)の値は、下に述べるケミニア・ラボラトリー・テクニーク(Chemineer laboratory technique)を用いた加圧焼成の結果である。アリキッパ(Aliquippa)およびサウサード(Southard)CKSの値は、ケトルで生産された従来のβ−半水和物スタッコである。
種々のタイプのスタッコについて、手で行ったコンシステンシー測定での水要求量(100gのスタッコに必要な水)の結果であり、約36ccから75ccで変動している。結果は、従来のケトル焼成のβ−半水和物と比較して、加圧焼成を使用したときの水要求量が低いことが示されている。
図5は、結合水のパーセンと(%)が、スタッコのタイプや焼成のタイプに拘わらず、約5.8%から約7.2%にあることを示している。この範囲は、標準の半水和物を生産するに要求されるものである。図6は、リアクター温度が上がると、焼成時間が減ることを示している。図7は、リアクター圧力が、リアクター温度の上昇に伴い高くなることを示している。
Figure 0005439643
表1を参照すると、燃料ガス脱硫(FGD)石膏および天然ロックを用いた一連のバッチ焼成を、実験室サイズのケミニア加圧蒸気リアクター〔ケミニア社(Chemineer Inc)、オハイオ州デイトン(Dayton)〕で行った。
焼成条件は、温度、圧力、湿度、焼成時間、初期の遊離水、攪拌および粉砕を記録した。
焼成時に、結晶変形剤とシーズ(種)を用いた。生成されたスタッコの性状を、粒子サイズ、結合水、結晶構造、水要求量(手によるコンシステンシー、スランプサイズ)および硬化時間について、USG社サウサード(Southard)工場で生産されたB−ベーススタッコと比較した。
図8の(a)〜(f)を参照して、ケミニア(Chemineer)ユニット実験室テストは、生石膏材を用い、水を加えて、遊離または表面水分をFGD材の遊離水分に近い7.5から13%に維持して行った。
結晶変形剤としてのコハク酸は、水に溶解し、結晶のシードとしてのC−ベーススタッコは、焼成する前に生石膏と一緒にして加えた。粉砕時にステンレス鋼のボールと攪拌を適用し、粒子が分離するのを防いだ。
焼成した後、スタッコは、大気圧下のケミニアユニット中で乾燥した。生成したスタッコを、50メッシュ篩を通し、結合水を測定し、結晶構造を走査電子顕微鏡(SEM)で確認した。
適切な焼成条件下では、天然石膏とFGD合成石膏の両方が、非スラリープロセスを用いてα−半水和物結晶構造の低水要求量スタッコを生産した。前後の結晶特性を、図8(a)〜(f)に描いている。
図8(a)はB−ベーススタッコの結晶構造である。図8(b)〜(c)はフィード材料を見ており、図8(d)〜(f)は焼成された結晶を見ていて、α−半水和物結晶の所望の塊状構造を示している。
石膏を焼成する例示方法は、1)石膏を加圧リアクターの上部に導入し、2)加熱空気、蒸気、およびバーナーからの燃焼ガスの一部を加圧リアクターの底部に入れて、リアクター内に石膏の流動床を作る、3)石膏の流動床の中を横切る熱交換器とバーナーからの燃焼ガスの残りの部分を用いて加圧リアクターを約121から約149℃(約250から約300°F)の温度に加熱し、4)加圧リアクター内の蒸気圧を1.01×10から3.85×10Pa(1.0から3.8気圧)に保持し、5)加圧リアクター内の温度を約121から約149℃(250から300°F)に保持する、ことである。
上記した装置および技術を用いて、α−タイプ半水和物が高い割合で、β−半水和物が低い割合でなる改善された硫酸カルシウム製品とすることができる。
要するに、開示した装置を用い、開示したパラメーターと方法を採用して、低水要求量で、改善された特性を備えた硫酸カルシウム製品となる。更に、脱水剤を使用は、任意であり、必ずしも必要でない。
さらに、石膏材料の平均粒子サイズは、流動化パラメーターとして重大でなく、種々の粒子サイズに合わせて変更できる。
一般に、50μmから1mmの範囲の平均粒子サイズを持つ石膏材料も使用できる。そして得られた半水和物製品は、所望の最終生産物または適用により後で粉砕できる。
バーナー41からの燃焼ガスを蒸気と一緒にして使用することは、入口32での流体を充分高い温度にして、リアクター容器27内または空気ディストリビュータ57近くでの凝縮を防ぐことができる。
このように、導管56からの燃焼ガス、導管35からの加圧空気および導管55からの蒸気を結合した入口32で一緒にすることの1つの利点は、蒸気での水分上昇がリアクター27内で起きる凝縮の悪影響を及ぼさないことにある。底部入口32に水を加えることもできるが凝縮する危険性がある故に、蒸気が好ましい。
ある実施形態だけが述べてきたが、別の形態および修正は、当業熟練者にとって上記の記述から明かであろう。これら別の形態および修正は、この開示の範囲および請求の範囲と等価物である。
10;第1石膏焼成システム
11;石膏入口
12;石膏ホッパー
13:脱水剤入口
14;脱水剤ホッパー
15;石膏ホッパー出口
16;脱水剤ホッパー出口
17;(石膏ホッパー出口の)コントロールバルブ
18;(脱水剤ホッパー出口の)コントロールバルブ
19;連続計量装置
20;空気ライン
21;L−フィーダー
22;コントロールバルブ
27;加圧リアクター
28;加圧リアクター入口
29;(加圧リアクターの)頂部
31;(加圧リアクターの)底部
32;(加圧リアクターの)底部入口
33;空気入口
34;ブロワー
35;ブロワー出口ライン
36;(ブロワー出口ラインの)コントロールバルブ
37;蒸気入口
38;(蒸気入口の)コントロールバルブ
41;バーナー
42;燃料入口
43;(バーナー用)空気入口
44;ブロワー
45;(燃料入口の)コントロールバルブ
46;(空気入口の)コントロールバルブ
47;(バーナーの)出口
48;(バーナーから熱交換器に向う)燃焼ガスライン
49;(加圧リアクターの底部入口に向う)燃焼ガスライン
51;(加圧リアクターの底部入口に向う燃焼ガスラインの)コントロールバルブ
52;熱交換器
53;(熱交換器に向う燃焼ガスラインの)コントロールバルブ
54;(加圧リアクターの)中間部
55;蒸気ライン
56;(加圧リアクター底部入口に向う)燃焼ガスライン
57;空気ディストリビュータ
59、61;(空気ディストリビュータを形成する)穿孔された平板
62;(空気ディストリビュータを形成する)ファイバーマット
63;(熱交換器の)縦管
64;(熱交換器の)横管
65;排気管
66;水導入路
67;(水導入路の)コントロールバルブ
68;ダストコレクター
69;バッグ
70;加圧リアクター出口
71;(加圧リアクター出口の)コントロールバルブ
72;製品出口
73;スタンドパイプ
74;第2熱交換器
75;(第2熱交換器の)蒸気あるいは加熱媒体入口ライン
76;蒸気あるいは加熱媒体出口ライン
77;(蒸気あるいは加熱媒体出口ラインの)コントロールバルブ
78;第2熱交換器製品出口
79;スクリューコンベアー
80;連続計量装置
81;製品ライン
82;(製品の)貯蔵エリア
83;(スクリューコンベアーの)モータ
84;(追加の)連続計量装置
90;第2石膏焼成システム
92;連続計量装置
94;連続計量装置
96;加圧リアクター
98;(加圧リアクターの)ハウジング
100;(加圧リアクターへの加熱ガス、加熱油、蒸気の)入口
102;,104;オーガシャフト
106;108;中空オーガブレード
110;(セルフクリーニング型)二連スクリュー対向回転オーガスクリュー
112;熱交換器
113;蒸気ジャケット
114;(シャフト102、104の)出口
116;動力源
118;リアクター入口
120;リアクター出口
122;凝縮水放出バルブ
124;安全弁
126;連続計量装置
128;連続計量装置
132;粉砕ミル

Claims (9)

  1. 石膏を焼成して半水和物とする石膏の焼成方法であって、
    石膏を連続計量装置を通して加圧リアクターに連続的にフィードするステップと、
    燃焼ガスと空気を前記加圧リアクターの底部から注入して、前記加圧リアクター中に石膏の流動床を作るステップと、
    前記流動床中に設けられた熱交換器に燃焼ガスを送って前記流動床を加熱するステップと、を有してなり、
    前記燃焼ガスは、燃料と空気をバーナーで燃焼して生成され、前記燃焼ガスの一部が前記加圧リアクターに送られて前記流動床を作り、前記燃焼ガスの残部が前記熱交換器に送られて流動床の加熱に使用されることを特徴とする石膏の焼成方法。
  2. 前記加圧リアクターのゲージ圧を18〜39psig(1.22〜2.65気圧)とすることを特徴とする請求項1に記載の石膏の焼成方法。
  3. 前記空気は、加圧されて前記加圧リアクターに入れられることを特徴とする請求項1に記載の石膏の焼成方法。
  4. 前記加圧リアクターは、
    石膏が、石膏ホッパーから連続計量装置を介して連続フィードされ、
    燃焼ガスと空気、さらに蒸気が、底部から入りディストリビュータにより均一化されて上昇して石膏の流動床を形成し、
    前記石膏の流動床が、前記ディストリビュータ上部に位置する前記熱交換器によりさらに加熱され、
    排出ガスが、前記流動床の上部に設けられたダストコレクターを通して出され、
    焼成石膏が、前記ダストコレクターに隣接して設けられた出口から出される、構造であることを特徴とする請求項1に記載の石膏の焼成方法。
  5. 前記加圧リアクターは、
    中空シャフトと中空ブレードを有する速度調整可能な二連スクリュー対向回転オーガスクリューが内部に配置され、
    石膏が、石膏ホッパーから連続計量装置を介して連続フィードされ、
    前記二連スクリュー対向回転オーガスクリューにより、石膏が入口から出口に移動すると共に、底部入口から導入された蒸気、燃焼ガス、および空気により流動床を作り、
    前記流動床が、前記オーガスクリューの中空シャフトに導入された燃焼ガスにより加熱されて焼成される、構造であることを特徴とする請求項1に記載の石膏の焼成方法。
  6. 前記加圧リアクターから出た焼成石膏が、さらに第2の熱交換器で加熱されることを特徴とする請求項4または5に記載の石膏の焼成方法。
  7. 前記第2熱交換器から出た焼成石膏は、排出バルブを通してスクリューコンベアに送られることを特徴とする請求項6に記載の石膏の焼成方法。
  8. 前記第2熱交換器から出た焼成石膏は、加熱と粉砕を同時に行う加熱ミルに送られることを特徴とする請求項6に記載の石膏の焼成方法。
  9. 前記加熱ミルは、焼成ガスで加熱されることを特徴とする請求項8に記載の石膏の焼成方法。
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