ダンボールや古紙その他の紙(原料)をリサイクル等する際に、パルパー装置が用いられている。
図11は、そのような従来のパルパー装置の一例を模式的に示す一部切欠斜視図である。
また、図12は、図11に示すパルパー装置の概略的な断面図である。
従来のパルパー装置Pcは、図11及び図12の各々に示すように、離解槽(収容槽又はタブとも称される。以下、単に、離解槽という。)102と、ロータ101と、メッシュ板(ストレーナ又はエキストラクション・プレートとも称される。以下、単に、メッシュ板という。))104とを備える。
また、図11中、105a、105b、で示す部材は、ロータ101を回転駆動させた際に、離解槽102内に収容されている、ダンボールや古紙その他の紙(原料)及びこれらの粉砕途中物や粉砕物と水とのスラリーが、離解槽102内において、ロータ101の方向に行くように調製する誘導部材を示している。
ロータ101は、離解槽102の底部の排出口h102b上に、電動モータ等の回転駆動手段(図示せず。)により回転可能に設けられている。
ロータ101は、ロータ本体部101aと、ロータ本体部101aの外方に張り出すように設けられた、複数枚の羽根部101c・・・と、複数枚の羽根部101c・・・の各々の、ロータ101の回転方向の前方側の端部に設けられた、離解刃(原料切削刃とも称される。以下、単に、離解刃という。)109・・・と、離解刃(原料切削刃とも称される。以下、単に、離解刃という。)109・・・の各々の上方に突出するように設けられた、回転流発生部材110・・・とを備える。
メッシュ板104は、ロータ101の下方位置に、且つ、排出口h102b上に、排出口h102bを覆うように設けられる。
離解槽102は、上部に、ダンボールや古紙その他の紙(原料)を投入する、原料投入口h102aを備える。
また、離解槽102は、下部に、再生材(スラリー)を排出する排出口h102bを備える。
また、離解槽102は、上部収容槽部102aと、上部収容槽部102aの下方に接続された下部収容槽部102bとを備える。
離解槽102は、再生材(スラリー)の排出効率を考慮して、上部収容槽部102aが、円柱体形状又は概ね円柱体形状を有しており、下部収容槽部102bが、円錐体形状又は概ね円錐体形状を有しており、全体として、ホッパー形状になっている。
メッシュ板(エキストラクション・プレート)104のメッシュ孔(貫通孔)は、製造する再生材(スラリー)中に含まれる繊維の大きさ(規格)に合った、大きさにされる。
次に、パルパー装置Pcを用いて、ダンボールや古紙その他の紙(原料)から再生材(スラリー)を製造する方法を説明する。
ここでは、バッチ式の再生材(スラリー)の製造方法について説明する。
まず、離解槽102の排出口h102bを閉じた状態にする。
次に、原料投入口h102aから、ダンボールや古紙その他の紙(原料)と水を収容する。
次に、パルパー装置Pcに電源を供給し、ロータ101を回転駆動する。
すると、ダンボールや古紙その他の紙(原料)は、離解刃109・・・により切断されたり粉砕されたりする。
また、ダンボールや古紙その他の紙(原料)は、ロータ本体部101aとメッシュ板104との協働(ロータ本体部101aの下面とメッシュ板104の上面との間における磨り潰しや粉砕)や、離解刃109・・・とメッシュ板104との協働(離解刃109・・・の各の下面とメッシュ板104の上面との間における磨り潰しや粉砕)によって細かくされる。
また、ロータ101を回転駆動すると、離解槽102内に収容されている、ダンボールや古紙その他の紙(原料)及びこれらの粉砕途中物や粉砕物と水とのスラリーが、ロータ101及び回転流発生部材110・・・により、渦巻き流となり、ロータ101及び回転流発生部材110・・・側から、離解槽102の内壁面方向に移動し、水流誘導部材105a、105bの効果により、再び、ロータ101方向に送られるようにされている。
再生材(スラリー)をバッチ式で製造する場合には、所定時間、離解槽102内に収容した、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)を、ロータ101で、攪拌、粉砕、すり潰しを行った後、ロータ101を回転したまま、排出口h102bを開いた状態にする。
これにより、メッシュ板104の目より小さい繊維を含む溶液(スラリー)が、排出口h102bから排出される。
尚、上記では、バッチ式の再生材(スラリー)の製造方法について説明したが、連続式で再生材(スラリー)を製造する場合は、所定の目のメッシュ板104を排出口h102b上に取付け、排出口h102bを開いた状態にし、ロータ101を回転駆動し、原料投入口h102aから離解槽102に、ダンボールや古紙その他の紙(原料)と水を連続的に供給し、排出口h102bから連続的に、メッシュ板104の目より小さい繊維を含む溶液(スラリー)を排出するようにする。
ところで、パルパー装置Pcを用いて、離解槽102に収容した、ダンボールや古紙その他の紙(原料)と水とを、ロータ101を回転駆動させて、攪拌、粉砕、すり潰しを行う際に、離解槽102が振動する。離解槽102が振動すると、騒音が発生したり、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しのエネルギー効率が悪くなる、という問題がある。
パルパー装置Pcの離解槽102の振動を防止し、離解槽102に収容された、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しのエネルギー効率の改善をする技術として、ポンプ羽根部を設けたロータが、既に、提案されている。
図13は、そのようなポンプ羽根部が設けられた、従来のロータの一例を概略的に示す平面図である。
尚、説明を容易とするため、図13中に示す、ロータ201の構成部材中、図11中に示す、ロータ101の構成部材に相当する構成部材には、図9中に示す、ロータ101の構成部材に付した符号に相当する符号を付して、その説明を省略する。
また、図14は、図13に示す、ロータ201の複数枚の羽根部101c・・・の中の1枚の羽根部101c、その一枚の羽根部101bに設けられている離解刃109及びポンプ羽根部を中心に示す斜視図である。
尚、図13及び図14の各々中、符号210で示す部材が、ポンプ羽根部である。
ポンプ羽根部210・・・を有していないロータの離解刃の中、概ね下側半分が、離解刃として機能し、概ね上半分は、離解刃として機能しておらず、単に、ロータ101を回転駆動させて、攪拌、粉砕、すり潰しを行う際に、離解槽102に生じる水の流れに対する抵抗(負荷)になっている。
一方、ポンプ羽根部210を備えるロータ201は、ロータ201を回転駆動し、離解槽102に収容された、ダンボールや古紙その他の紙(原料)と水とを、攪拌、粉砕、すり潰しする際に、ポンプ羽根部210・・・の効果により、ダンボールや古紙その他の紙(原料)と水との攪拌を効率良く行うことができる結果、離解刃109・・・の各々の高さを、ポンプ羽根部210・・・を有していないロータの離解刃の高さに比べ、低くすることができる。
この結果、ポンプ羽根部210・・・を有するロータ201を備えるパルパー装置(図示せず。)は、ロータ201を回転駆動させた際に、離解刃109に加わる負荷を小さくできるので、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しをする際の離解槽102の振動を防止し、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しのエネルギー効率の改善することができる。
また、図15は、ポンプ羽根部が設けられた、従来のロータの他の一例を概略的に示す平面図である。
説明を容易とするため、図15中に示す、ロータ301の構成部材中、図11中に示す、ロータ101の構成部材に相当する構成部材には、図10中に示す、ロータ101の構成部材に付した符号に相当する符号を付して、その説明を省略する。
図15中、符号310で示す部材が、ポンプ羽根部である。
このロータ301では、ポンプ羽根部310・・・は、複数の羽根部101c・・・に、一つ置きに設けられている。
また、図16は、ポンプ羽根部が設けられた、従来のロータの他の一例を概略的に示す平面図である。
説明を容易とするため、図16中に示す、ロータ401の構成部材中、図15中に示す、ロータ301の構成部材に相当する構成部材には、図15中に示す、ロータ301の構成部材に付した符号に相当する符号を付して、その説明を省略する。
このロータ401は、ポンプ羽根部310・・・の他に、ポンプ羽根部410・・・を備えている。
ポンプ羽部部410・・・を設ける主目的は、大きな材料片が、ポンプ羽根部310・・・で起された渦の中に留まって離解領域に達しなくなることを防止するためである、とされている。
ところで、従来のポンプ羽根部は、例えば、ロータ201に設けられているポンプ羽根部210のように、ポンプ羽根部を平面視した場合、概ね直線状のものか(図13中に示すポンプ羽根部210を参照。)、又は、ロータ301に設けられているポンプ羽根部310や、ロータ401に設けられているポンプ羽根部310、410のように、ポンプ羽根部を平面視した場合、一つの円の一部を切り取った円弧形状になっている(図15中に示すポンプ羽根部310及び図15に示すポンプ羽根部310、410を参照。)。
ところで、例えば、従来のポンプ羽根部を備えるロータ(図13に示すロータ201、図15に示すロータ301又は図16に示すロータ401を参照。)を備えるパルパー装置(図示せず。)を用いて、離解槽(図10に示す離解槽102を参照。)に収容した、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しをする際に、ロータ(図13に示すロータ201、図15に示すロータ301又は図16に示すロータ401を参照。)を回転駆動させると、従来のポンプ羽根部を備えていないロータ(図11に示すロータ101を参照。)を備えるパルパー装置Pcを用いて、離解槽(図11に示す離解槽102を参照。)に収容した、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しをする際に比べて、離解槽(図11に示す離解槽102を参照。)の振動をある低減できるものの、離解槽(図11に示す離解槽102を参照。)の振動を未だ十分に低減できているものではない、という問題があった。
即ち、従来のポンプ羽根部を備えるロータ(図13に示すロータ201、図15に示すロータ301又は図16に示すロータ401を参照。)を備えるパルパー装置(図示せず。)を用いて、離解槽(図11に示す離解槽102を参照。)に収容した、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しをする際に、ロータ(図13に示すロータ201、図15に示すロータ301又は図16に示すロータ401を参照。)を回転駆動させると、離解槽(図11に示す離解槽102を参照。)が振動し、騒音が発生する結果、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しのエネルギー効率の改善が未だ十分ではない、という問題があった。
図17は、従来のロータの羽根部への離解刃の取付け構造として一般的な取付け構造と、図15に示す従来のポンプ羽根部310を備えるロータ301を備えるパルパー装置(図示せず。)を用いて、離解槽(図10に示す離解槽102を参照。)に収容した、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しをするために、ロータ310を回転駆動させた際に生じる問題を模式的に説明する断面図である。
尚、図17中、矢印flは、従来のロータを回転駆動させた際に、離解槽102内に発生する水の流れを模式的に示している。
また、図17中、白抜き矢印は、ロータ(ロータ本体部)の回転方向を示している。
図17を参照しながら説明すると、従来のポンプ羽根部を備えるロータ301では、複数本のポンプ羽根部310・・・の各々のロータ301の回転方向に対して後方位置となる壁面Wbが、縦方向に設けられている。
このことを、より特定的に説明すると、従来のポンプ羽根部310を備えるロータ301では、複数本のポンプ羽根部310・・・の各々のロータ301の回転方向に対して後方位置となる壁面Wbと、羽根部101bの表面S101bとの角度θcが、90℃またはそれ以下の角度(鋭角)(θc担っている≦90度)になっている。
この結果、従来のポンプ羽根部を備えるロータを備えるパルパー装置を用いて、離解槽(図11に示す離解槽102を参照。)に収容した、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しをするために、ロータを回転駆動させると、複数本のポンプ羽根部101c・・・の各々のロータの回転方向に対して後方位置となる壁面の後方に、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)が攪拌・混合されたものに、渦巻き流(乱流)が発生する。
複数本のポンプ羽根部101c・・・の各々のロータの回転方向に対して後方位置となる壁面Wbの後方に、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)が攪拌・混合されたものの渦巻き流(乱流)が発生すると、この渦巻き流(乱流)は、ロータが回転方向に回転するのを阻止する力(負の力)となり、ロータをスムーズに回転させることができなくなり、その結果、離解槽(図11に示す離解槽102を参照。)が振動し、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しのエネルギー効率が悪くなる。
また、図13及び図14に示す、従来のポンプ羽根部210は、ポンプ羽根部210を平面視した場合、概ね直線状になっている。
また、図15及び図16に示す、従来のポンプ羽根部310、410は、ポンプ羽根部310、410を平面視した場合、一つの円の一部を切り取った円弧形状になっている。
例えば、図15に示す、従来のポンプ羽根部310は、中心点c0を中心として半径R0の円の一部を切り取った円弧形状になっている。
このため、従来のポンプ羽根部を備えるロータを備えるパルパー装置を用いて、離解槽に収容した、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しをするために、ロータを回転駆動させると、ポンプ羽根部の回転速度は、ロータの中心側で遅く、ロータの外周側で速くなり、ポンプ羽根部のロータの外周側の負荷が、ポンプ羽根部のロータの中心側の負荷に比べて大きくなり、ポンプ羽根部のロータの外周側の負荷が大きいため、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しの際に、ロータの回転駆動力を大きくしなければならない、という問題があった。
また、従来のロータは、メッシュ板の上面に対向する側の表面が、平面にされているため、ロータを回転駆動させた際に、メッシュ板の上面に対向する側の表面と、メッシュ板の上面との間に存在する、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の混合物が滞留し、新たな水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の混合物が、メッシュ板の上面に対向する側の表面と、メッシュ板の上面との間に入ってくることを阻止するような事態が発生する結果、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の粉砕、すり潰し効率が悪くなり、その結果、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しのエネルギー効率が悪くなる、という問題があった。
また、従来のパルパー製造装置用のロータでは、使用により、メッシュ板の上面に対向する側の表面に凹所が形成された場合に、メッシュ板の上面に対向する側の表面に凹所が形成されたロータを、新しいロータに交換していた。
本発明者は、長年、離解槽に収容した、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しをする際に、ロータを回転駆動させた場合に、離解槽の振動を著しく低減し、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しのエネルギー効率が高い、パルパー装置の研究・開発に、長年、従事しており、ロータの表面に設ける、ポンプ羽根部の形状を工夫することや、ロータのメッシュ板の表面に対向する表面の形状を工夫すれば、離解槽に収容した、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しをする際に、ロータを回転駆動させた場合に、離解槽の振動を著しく低減でき、ロータの回転駆動力を小さくでき、しかも、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しのエネルギー効率が高くなること、及び/または、ロータの、メッシュ板の上面に対向する側の面を工夫すれば、ロータを新しいロータに交換しなくてもよくなることを知見し、鋭意努力した結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、特に、ロータの表面に設ける、ポンプ羽根部の形状を工夫することや、ロータのメッシュ板の表面に対向する表面の形状を工夫することで、離解槽に収容した、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しをする際に、パルパー製造装置の振動が少なく、ロータの回転駆動力を小さくでき、エネルギー効率の良い、パルパー製造装置用のロータ及びそのようなパルパー製造装置用のロータを備えるパルパー装置を提供することを目的としている。
また、従来のパルパー製造装置用のロータでは、図17に示すように、複数の離解刃109・・・の各々は、複数枚の羽根部101c・・・の各々のロータ301の回転方向に対して前方位置となる壁面Wfに、ボルト手段v1により取り付けられている。
即ち、従来のパルパー製造装置用のロータでは、図17に示すように、離解刃101b・・・の各々が、複数枚の羽根部101c・・・の各々のロータ301の回転方向に対して前方位置となる壁面Wfに、ボルト手段v1により取り付けられているため、離解刃109の交換作業を行う際に、作業者は、壁面Wfに対して、離解刃109の交換作業を行う必要があり、離解刃109の交換作業が難しい、という問題がある。
また、離解刃109の材料としては、耐摩耗性に優れた材料、例えば、コバルト(Co)を主成分とし、30%程度のクロム(Cr)、4%〜15%のタングステン(W)などからなる合金(例えば、ステライト(「ステライト」は、デロロ・ステライト・ホールディングス・コーポレーションの登録商標))が用いられている。
しかしながら、このような材料を用いた離解刃109は、材料コストが高いという問題があり、離解刃109をより一層小型なものにする技術が求められている。
本発明は、離解槽に収容した、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰し作業を行うことで、離解刃が磨耗した場合に、摩耗した離解刃を新しい離解刃に容易に交換することができ、且つ、離解刃の大きさを小さくするようにした、パルパー製造装置用のロータ及びそのようなパルパー製造装置用のロータを備えるパルパー装置を提供することを目的としている。
請求項1に記載のパルパー製造装置用のロータは、パルプ化する紙等と水とを収容する離解槽の排出口を覆うように設けられたメッシュ板の上部に回転軸により回転可能に設けられる、複数枚の羽根部を有するロータ本体部と、前記回転軸を頂点又は概ね頂点とするように、ロータ本体部上に設けられ、上方から下方に末広がり形状の略円錐形状のキャップ部と、前記キャップ部の側周面上に、前記キャップ部の側周面の途中の位置から、前記ロータ本体部の外方に設けられている複数の羽根部の各々に向かうように、前記ロータ本体部の回転方向に対して、凸状に湾曲するように設けられた、複数本のポンプ羽根部とを備え、前記複数本のポンプ羽根部の各々の曲率が、ポンプ羽根部を平面視した場合、ロータ本体部の中心側から外側に向かって、大きくなっている。
請求項2に記載のパルパー製造装置用のロータは、請求項1に記載のパルパー製造装置用のロータにおいて、前記ロータ本体部の外方に設けられている複数枚の羽根部の各々の前記メッシュ板の上面に対向する側の表面に、複数本の凹状の溝が設けられており、前記ロータ本体部の外方に設けられている複数枚の羽根部の各々の前記メッシュ板の上面に対向する側の表面に設けられている、複数本の凹状の溝の各々が、前記ロータ本体部の外方に設けられている複数枚の羽根部の各々の、前記ロータ本体部の回転方向の前方面となる面から、前記ロータ本体部に設けられている複数枚の羽根部の各々の、前記ロータ本体部の回転方向の後面となる面に対し、前記複数枚の羽根部の各々の外方向に向かうように傾斜するように設けられている。
請求項3に記載のパルパー製造装置用のロータは、請求項1又は請求項2に記載のパルパー製造装置用のロータにおいて前記ロータ本体部の外方に設けられている複数枚の羽根部の各々の、前記ロータ本体部の回転方向の前方面となる面の各々に、縦方向に設けられる複数の離解刃と、前記複数の離解刃の各々を、ロータ本体部の外方に設けられている複数枚の羽根部の各々の、ロータ本体部の回転方向の前方面となる面の各々に、縦方向に取り付けるための複数のプレートとを更に備え、前記ロータ本体部の外方に設けられている複数枚の羽根部の各々の、前記ロータ本体部の回転方向の前方面となる面の近傍の上面に、上方向に開放され且ロータ本体部の回転方向の前方面方向に開放する、プレートを収容するプレート収容凹部を設け、前記複数のプレートの各々の幅を、前記ロータ本体部に設けられている複数枚の羽根部の各々の、前記ロータ本体部の回転方向の前方面となる面の近傍の上面に設けた、前記複数のプレート収容凹部の各々に取り付けると、前記複数の離解刃の各々の幅と同じ幅又は概ね同じ幅の、離解刃を固定するための張出部が形成する大きさにし、且つ、前記複数の離解刃の各々を、前記ロータ本体部に設けられている複数枚の羽根部の各々のプレート収容凹部の各々に取り付けた複数のプレートの各々の、離解刃を固定するための張出部の下位置に固定するようにした。
請求項4に記載のパルパー装置は、請求項1〜請求項3に記載のパルパー製造装置用のロータを、パルプ化する紙等と水とを収容する離解槽の排出口を覆うように設けられたメッシュ板の上部に回転軸により回転可能に設けた。
請求項1に記載のパルパー装置用のロータでは、ロータ本体部の回転方向に対して、凸状に湾曲するように設けられた、複数本のポンプ羽根部の各々の曲率を、ポンプ羽根部を平面視した場合、ロータ本体部の中心側から外側に向かって、大きくしているので、ポンプ羽根部を平面視した場合、概ね直線状のものや、又は、一つの円の一部を切り取った円弧形状にしているもののように、ポンプ羽根部のロータの外周側の負荷が、大きくならない。
この結果、このパルパー装置用のロータを用いれば、離解槽に収容した、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しをするために、ロータを回転駆動させる際の、ロータの回転駆動力を小さくできる。
請求項2に記載のパルパー装置用のロータでは、ロータ本体部に設けられている複数枚の羽根部の各々のメッシュ板の上面に対向する側の表面に、複数本の凹状の溝を設けている。
この結果、このパルパー装置用のロータを用いれば、離解槽に収容した、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しをするために、ロータを回転駆動させた際に、メッシュ板の上面に対向する側の表面と、メッシュ板の上面との間に存在する、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の混合物が、複数本の凹状の溝と、メッシュ板との協働により、効率よくすりつぶされる。
また、このパルパー装置用のロータでは、ロータ本体部に設けられている複数枚の羽根部の各々のメッシュ板の上面に対向する側の表面に、複数本の凹状の溝を、複数本の凹状の溝の各々が、ロータ本体部に設けられている複数枚の羽根部の各々の、ロータ本体部の回転方向の前方面となる面から、ロータ本体部に設けられている複数枚の羽根部の各々の、ロータ本体部の回転方向の後面となる面に対し、ロータ本体部の外方向に向かうように傾斜するように設けている。
この結果、このパルパー装置用のロータを用いれば、離解槽に収容した、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しをするために、ロータを回転駆動させた際に、メッシュ板の上面に対向する側の表面と、メッシュ板の上面との間に存在する、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の混合物の一部が、ロータを回転駆動させた際に発生する遠心力により、複数本の凹状の溝の各々を通って、複数枚の羽根部の各々の外方向へと排出する結果、ロータを回転駆動させた際に、メッシュ板の上面に対向する側の表面と、メッシュ板の上面との間に存在する、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の混合物の滞留現象が低減する。
即ち、このパルパー装置用のロータを用いて、離解槽に収容した、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しをすれば、ロータを回転駆動させた際に、メッシュ板の上面に対向する側の表面と、メッシュ板の上面との間に存在する、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の混合物の滞留現象が低減する結果、新たな水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の混合物が、メッシュ板の上面に対向する側の表面と、メッシュ板の上面との間にスムーズに入ってくるため、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しのエネルギー効率が向上する。
請求項3に記載のパルパー装置用のロータは、離解刃を、ロータ本体部に設けられている複数枚の羽根部の各々の、ロータ本体部の回転方向の前方面となる面の近傍の上面に、上方向に開放され且ロータ本体部の回転方向の前方面方向に開放する、プレートを収容するプレート収容凹部に取り付けられたプレートに固定するようにし、複数枚の羽根部の各々に取り付けられている離解刃の交換を、複数枚の羽根部の各々の上面側で行えるようにしているので、離解刃の交換作業を容易に行える。
且つ、このパルパー装置用のロータでは、離解刃を、プレートの下方に取り付けるようにしたので、複数の離解刃の各々を、複数枚の羽根部の各々のロータの回転方向に対して前方位置となる壁面に取り付けた場合に比べ、プレートの厚さ分だけ、離解刃の小型化を図ることができる。
請求項4に記載のパルパー装置では、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のパルパー装置用のロータを、パルプ化する紙等と水とを収容する離解槽の排出口を覆うように設けられたメッシュ板の上部に回転軸により回転可能に設けているので、このパルパー装置は、離解槽に収容した、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しをする際に、パルパー製造装置の振動が少なく、ロータの回転駆動力を小さくでき、エネルギー効率が高く、また、離解刃の交換を、複数枚の羽根部の各々の上面側で行えるようにしているので、離解刃の交換作業を容易に行え、且つ、複数の離解刃の各々を、複数枚の羽根部の各々のロータの回転方向に対して前方位置となる壁面に取り付けた場合に比べ、プレートの厚さ分だけ、離解刃の小型化を図ることができる。
以下、本発明に係るパルパー装置の一例を、図面を参照しながら、更に、詳しく説明する。
図1は、本発明に係るパルパー装置の一例を模式的に示す一部切欠斜視図である。
また、図2は、図1に示すパルパー装置の概略的な断面図である。
このパルパー装置Pは、図10及び図11の各々に示す、従来のパルパー装置Pcとは、ロータの構成が異なる以外は、同様の構成を備える。
即ち、このパルパー装置Pは、図1及び図2の各々に示すように、離解槽(収容槽又はタブとも称される。以下、単に、離解槽という。)2と、ロータ1と、メッシュ板(ストレーナ又はエキストラクション・プレートとも称される。以下、単に、メッシュ板という。))4とを備える。
また、図2中、5a、5bで示す部材は、ロータ1を回転駆動させた際に、離解槽2内に収容されている、ダンボールや古紙その他の紙(原料)及びこれらの粉砕途中物や粉砕物と水とのスラリーが、離解槽2内において、ロータ1の方向に行くように調製する誘導部材を示している。
メッシュ板4は、ロータ1の下方位置に、且つ、排出口h2b上に、排出口h2bを覆うように設けられる。
離解槽2は、上部に、ダンボールや古紙その他の紙(原料)を投入する、原料投入口h2aを備える。
また、離解槽2は、下部に、再生材(スラリー)を排出する排出口h2bを備える。
また、離解槽2は、上部収容槽部2aと、上部収容槽部2aの下方に接続された下部収容槽部102bとを備える。
離解槽2は、再生材(スラリー)の排出効率を考慮して、上部収容槽部2aが、円柱体形状又は概ね円柱体形状を有しており、下部収容槽部2bが、円錐体形状又は概ね円錐体形状を有しており、全体として、ホッパー形状になっている。
このパルパー装置Pは、ロータ1の構成が、従来のパルパー装置Pcで用いられているロータの構成と異なっている。
図3は、本発明に係るロータ(パルパー装置Pで用いられているロータ1)の構成を概略的に示す斜視図である。
尚、図3中、白抜き矢印は、ロータ1の回転方向を示している。
また、図4は、図3に示すロータ1をその上方位置から下方に見た状態を概略的に示す平面図である。
尚、図4中、白抜き矢印は、ロータ1の回転方向を示している。
また、図5(a)は、ロータ1のキャップ部を取り外した状態をその上方位置から下方に見た状態を概略的に示す平面図であり、また、図5(b)は、キャップ部をその上方位置から下方に見た状態を概略的に示す平面図である。
このパルパー装置P用のロータ1は、パルプ化する紙等と水とを収容する離解槽(図1及び図2に示す離解槽2を参照。)の排出口(図1及び図2に示す排出口h2bを参照。)上に、電動モータ等の回転駆動手段(図示せず。)により回転可能に設けられている。
ロータ1は、複数枚の羽根部1c・・・を有するロータ本体部1aと、回転軸axを頂点又は概ね頂点とするように、ロータ本体部1a上に設けられ、上方から下方に末広がり形状の略円錐形状のキャップ部6と、キャップ部6の側周面S6上に、キャップ部6の側周面S6の途中の位置(起端)p1から、ロータ本体部1aの外方に張り出すように設けられた複数の羽根部1c・・・の各々の後方端部e1c・・・の各々に向かうように、ロータ本体部1aの回転方向に対して、凸状に湾曲するように設けられた、複数本のポンプ羽根部10・・・とを備える。
尚、複数枚の羽根部1c・・・の各々の、キャップ部6の側周面S6の途中の位置(起端)p1・・・は、回転軸axを中心として、ある半径の円周上に、同じ間隔を隔てるようにして設けられている。
このロータ1では、図5(a)に示すように、ロータ本体部1aに、複数枚の羽根部1c・・・の各々の一部10a・・・が、ロータ本体部1aに、一体に、形成されている。
また、このロータ1では、図5(b)に示すように、キャップ部6に、複数枚の羽根部1c・・・の各々の一部10b・・・が、キャップ部6に、一体に、形成されている。
そして、このロータ1では、ロータ本体部1a上に、キャップ部6を、ロータ本体部1aに設けられたボルト孔h4・・・と、キャップ部6に設けられたボルト孔h3・・・とを整列させ、ロータ本体部1aに設けられたボルト孔h4・・・と、キャップ部6に設けられたボルト孔h3・・・とを、ボルト手段v2・・・を用いて固定すると、複数枚の羽根部1c・・・の各々の一部10a・・・と、複数枚の羽根部1c・・・の各々の一部10b・・・とが、連続した形状となり、複数本のポンプ羽根部10・・・が形成されるようになっている。
複数本のポンプ羽根部10・・・の各々は、ロータ本体部1aの回転方向に対して後方位置となる壁面Wbは、複数本のポンプ羽根部の各々の上部から下部方向へ、末広がり形状に傾斜している。
また、ロータ1に設けられている複数本のポンプ羽根部10・・・の各々の曲率は、ポンプ羽根部10・・・の各々を平面視した場合、ロータ本体部1aの中心ax側から外側に向かって、大きくなっている。
より詳しく説明すると、この例では、複数本のポンプ羽根部10・・・の各々の中心側の円弧を、中心点c1を中心として半径R2の円の一部を切り取った円弧とし、複数本のポンプ羽根部10・・・の各々の外方側の円弧を、中心点c2を中心として半径R2の長さより短い半径R3(半径R3<半径R2)の円の一部を切り取った円弧とし、これら2つの円弧を、これらが連続した曲線を有するように接続することで、複数本のポンプ羽根部10・・・の各々の曲率は、ポンプ羽根部10・・・の各々を平面視した場合、ロータ本体部1aの中心ax側から外側に向かって、大きくなるようにしている。
また、図6は、ロータ1の概略的な底面図である。
尚、図6中、白抜き矢印は、ロータ1の回転方向を示している。
ロータ1の裏面には、複数本の凹状の溝を有する部材(グラインドプレート又はスラッシングプレートとも称される。以下、単に、複数本の凹状の溝を有する部材という。)7・・・が取り付けられている。
尚、図6中、複数本の凹状の溝を有する部材7・・・には、実際には、ロータ1の裏面にボルト孔及びボルト手段(図7(a)中に示すボルト孔h5及び図7(c)中に示すボルト手段v3を参照。)により取り付けられているが、図6中では、そのようなボルト手段及びボルト孔の図示は、省略する。
尚、図6中、11で示す部材は、ゴミ除去用プレートを示している。
また、図7(a)は、ロータ1の底面に設けられている複数本の凹状の溝を有する部材のメッシュ板の上面に対向する側の表面を概略的に示す平面図であり、図7(b)は、図7(a)中、B−B線に従う概略的な断面図であり、また、図7(c)は、複数本の凹状の溝を有する部材7をロータ1の裏面に取り付ける状態を説明する、図7(a)中、C−C線に従う概略的な断面図である。
このロータ1には、複数枚の羽根部1c・・・の各々のメッシュ板(図1に示すメッシュ板4を参照。)の上面に対向する側の表面に、複数本の凹状の溝7a・・・を有する部材7・・・が設けられている。
このロータ1では、複数本の凹状の溝7a・・・を有する部材7・・・各々は、ボルト孔h5・・・を有しており、ロータ1の裏面に設けられた、複数の部材収容凹所h6・・・の各々内に、ボルト手段v3・・・を用いて取り付けられている。
複数本の凹状の溝7a・・・を有する部材7・・・の各々は、平面視した場合、平行四辺形又は概ね平行四辺形の形状をしている。
そして、複数本の凹状の溝7a・・・の各々は、傾斜するように設けられている。
このことをより具体的に説明すると、複数本の凹状の溝7a・・・の各々は、平行四辺形形状の部材7の対抗配置される一対の辺LS1、LS2に対し、複数の凹状の溝7a・・・の各々と、平行四辺形の対抗配置される一対の辺LS1、LS2の中、一方の辺LS1との交点pc1・・・の各々が、辺SS1の近傍側になり、複数の凹状の溝7a・・・の各々と、平行四辺形の対抗配置される一対の辺LS1との交点pc2・・・の各々が、辺SS2の近傍側になるように、傾斜するように設けられている。
そして、複数本の凹状の溝7a・・・を有する部材7・・・の各々を、ロータ本体部1aに設けられている複数枚の羽根部1c・・・の各々のメッシュ板の上面に対向する側の表面に取り付けた場合、複数本の凹状の溝7a・・・の各々が、ロータ本体部1aに設けられている複数枚の羽根部1c・・・の各々の、ロータ本体部1aの回転方向の前方面となる面Sf・・・から、ロータ本体部1aに外方に張り出すように設けられている複数枚の羽根部1c・・・の各々の、ロータ本体部1aの回転方向の後面となる面Sb・・・に対し、複数枚の羽根部1c・・・の各々の外方向に向かうように傾斜するように設けられている。
また、図8は、ロータ1の羽根部1cへの離解刃の取付け構造と、ロータ1を備えるパルパー装置(図示せず。)を用いて、離解槽(図1及び図2に示す離解槽2を参照。)に収容した、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しをするために、ロータを回転駆動させた際に生じる問題を、中心にして、模式的に説明する断面図である。
尚、図8中、矢印flは、ロータ1を回転駆動させた際に、離解槽2内に発生する水の流れを模式的に示している。
また、図8中、白抜き矢印は、ロータ(ロータ本体部)の回転方向を示している。
このロータ1は、複数枚の羽根部1c・・・の各々の、ロータ本体部1aの回転方向の前方面となる面の各々に、縦方向に設けられた、複数の離解刃9・・・を備える。
また、ロータ1は、複数の離解刃9・・・の各々を、ロータ本体部1aに設けられている複数枚の羽根部1c・・・の各々の、ロータ本体部1aの回転方向の前方面となる面の各々に、縦方向に取り付けるための複数のプレート8・・・を備える。
また、ロータ1には、ロータ本体部1aに設けられている複数枚の羽根部1c・・・の各々の、ロータ本体部1aの回転方向の前方面となる面の近傍の上面の各々に、上方向に開放され且ロータ本体部の回転方向の前方面方向に開放する、プレート8・・・を収容するプレート収容凹部h7・・・が設けられている。
また、このロータ1では、複数のプレート8・・・の各々の幅W8が、ロータ本体部1aに設けられている複数枚の羽根部1c・・・の各々の、ロータ本体部1の回転方向の前方面となる面の近傍の上面に設けた、複数のプレート収容凹部h7・・・の各々に取り付けると、複数の離解刃9・・・の各々の幅W9と同じ幅又は概ね同じ幅の、離解刃9を固定するための張出部8aが形成する大きさにされている。
且つ、このロータ1では、複数の離解刃9・・・の各々を、ロータ本体部1aに設けられている複数枚の羽根部1c・・・の各々のプレート収容凹部h7・・・に取り付けた複数のプレート8・・・の各々の、離解刃9・・・を固定するための張出部8aの下位置に固定するようにしている。
より詳しく説明すると、このロータ1では、ロータ本体部1aに設けられている複数枚の羽根部1c・・・の各々のプレート収容凹部h7・・・の各々に、プレート8・・・の各々をボルト手段v4・・・を用いて固定し、プレート収容凹部h7・・・に取り付けた複数のプレート8・・・の各々の、離解刃9・・・を固定するための張出部8a・・・の各々の下位置に、ボルト手段v5・・・を用いて、離解刃9・・・を固定している。
図9(a)は、ロータ1へのゴミ除去用プレート11の取付け構造を概略的に示す分解斜視であり、また、図9(b)は、ロータ1へゴミ除去用プレート11が取り付けられた状態を、図9(a)中、IX方向に見た概略的な断面図である。
このロータ1では、ロータ本体部1aの裏面に、ゴミ除去用プレート取付け用の凹所h9を形成している。
ゴミ除去用プレート取付け用の凹所h9の高さH1は、ゴミ除去用プレート11の厚さH2よりやや低くされている(H1<H2)。
この結果、ゴミ除去用プレート取付け用の凹所h9に、ボルト手段v6・・・を用いて、ゴミ除去用プレート11を取り付けると、ロータ本体部1aの裏面から、ゴミ除去用プレート11の一部が突出した状態になる。
このパルパー装置用のロータを用いれば、離解槽に収容した、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しをするために、ロータを回転駆動させると、ロータ本体部1aの裏面から突出しているゴミ除去用プレート11の一部にゴミが引っかかる。
また、このロータ1では、キャップ部6に、複数本のポンプ羽根部の一部10b・・・をキャップ部6と一体に成形し、ロータ本体部1及びロータ本体部1から外方に張り出すように設けられた複数の羽根部1c・・・に、複数本のポンプ羽根部の一部10a・・・を、ロータ本体部1及び複数の羽根部1c・・・と一体に形成している(図8を参照。)。
また、このロータ1では、複数本のポンプ羽根部10の寿命を長くするため、複数本のポンプ羽根部10a・・・の各々のロータ1の回転方向に対して前方面となる壁面、及び、複数本のポンプ羽根部10b・・・の各々のロータ1の回転方向に対して前方面となる壁面(図8に示す壁面W10fを参照。)の各々を覆うように、耐摩耗性に優れた板状物12a、12bをボルト手段v7・・・を用いて固定している。
尚、図8では、複数本のポンプ羽根部10・・・の寿命を長くするため、複数本のポンプ羽根部10a・・・の各々のロータ1の回転方向に対して前方面となる壁面、及び、複数本のポンプ羽根部10b・・・の各々のロータ1の回転方向に対して前方面となる壁面(図8に示す壁面W10fを参照。)の各々を覆うように、耐摩耗性に優れた板状物12をボルト手段v7・・・を用いて、複数本のポンプ羽根部10b・・・の各々のロータ1の回転方向に対して前方面となる壁面に固定した例を示したが、複数本のポンプ羽根部10・・・の寿命を長くするため、ダンボールや古紙その他の紙(原料)を再生材(スラリー)にする際に、ロータ1を回転駆動させる際の抵抗を低減するため、且つ、耐摩耗性に優れた部材12の各々の交換を容易とするために、耐摩耗性に優れた板状物12の代わりに、図10に示すように、側面視した場合、逆L字形状の耐摩耗性に優れた部材12Aの各々を使用し、逆L字形状の耐摩耗性に優れた部材の辺p12Aの各々を、ボルト手段v7・・・を用いて、複数本のポンプ羽根部10b・・・の各々の上面p10b・・・の各々に固定するようにして、逆L字形状の耐摩耗性に優れた部材12Aをボルト手段v7・・・を用いて、複数本のポンプ羽根部10b・・・の各々のロータ1の回転方向に対して前方面となる壁面に固定するようにしてもよい。
また、図10に示すように、耐摩耗性に優れた部材12Aは、複数本のポンプ羽根部10b・・・の各々のロータ1の回転方向に対して前方面となる壁面の全面を覆う必要はなく、ポンプ羽根部10b・・・の各々の上面から所定の位置(ポンプ羽根部10b・・・の各々の上面から約1/2)まで設ければ良い。
このことは、図8に示すロータ1で用いる、耐摩耗性に優れた板状物12の場合も同様である。
即ち、図8では、耐摩耗性に優れた部材12が、複数本のポンプ羽根部10b・・・の各々のロータ1の回転方向に対して前方面となる壁面の全面を覆っている例を示しているが、耐摩耗性に優れた部材12は、複数本のポンプ羽根部10b・・・の各々のロータ1の回転方向に対して前方面となる壁面の全面を覆う必要はなく、ポンプ羽根部10b・・・の各々の上面から所定の位置(ポンプ羽根部10b・・・の各々の上面から約1/2)まで設ければ良い。
また、図8に示すロータ1では、複数本のポンプ羽根10・・・のコーナ部c10a、c10bの各々に、所定の角度が設けられた例を示したが、複数本のポンプ羽根10・・・のコーナ部c10a、c10bの各々に、所定の長さの半径(1mm以上5mm以下)の丸み(R)を設けるようにしてもよい。
複数本のポンプ羽根10・・・のコーナ部c10a、c10bの各々に、所定の長さの半径(1mm以上5mm以下)の丸み(R)を設けた場合には、ロータを新しいものに交換した際に、一時的に、消費電力量が上がるのを低減したり、また、ダンボールや古紙その他の紙(原料)中に、樹脂製の紐や帯状部材が含まれていても、ダンボールや古紙その他の紙(原料)を再生材(スラリー)にした後において、樹脂製の紐や帯状部材が細かく切断されることが防止されているので、例えば、ダンボールや古紙その他の紙(原料)を再生材(スラリー)にした後において、ロープ部材を用いて、離解槽2内の樹脂製の紐や帯状部材の除去を容易に行うことができる。
次に、パルパー装置Pを用いて、ダンボールや古紙その他の紙(原料)から再生材(スラリー)を製造する方法を説明する。
ここでは、バッチ式の再生材(スラリー)の製造方法について説明する。
まず、離解槽2の排出口h2bを閉じた状態にする。
次に、原料投入口h2aから、ダンボールや古紙その他の紙(原料)と水を収容する。
次に、パルパー装置Pに電源を供給し、ロータ1を回転駆動する。
すると、ダンボールや古紙その他の紙(原料)は、離解刃1b・・・により切断されたり粉砕されたりする。
また、ダンボールや古紙その他の紙(原料)は、ロータ本体部1aとメッシュ板4との協働(ロータ本体部1aの下面とメッシュ板4の上面との間における磨り潰しや粉砕)や、離解刃9・・・とメッシュ板104との協働(離解刃9・・・の各々の下面とメッシュ板4の上面との間における磨り潰しや粉砕)や、ロータ本体部に設けられている複数枚の羽根部の各々のメッシュ板の上面に対向する側の表面に、複数本の凹状の溝7a・・・と、メッシュ板4との協働によって細かくされる。
また、ロータ1を回転駆動すると、離解槽2内に収容されている、ダンボールや古紙その他の紙(原料)及びこれらの粉砕途中物や粉砕物と水とのスラリーが、ロータ1及び複数本のポンプ羽根部10・・・により、渦巻き流となり、ロータ1の中心ax側から、離解槽2の内壁面方向に移動し、水流誘導部材5a、5bの効果により、再び、ロータ1方向に送られるようにされている。
再生材(スラリー)をバッチ式で製造する場合には、所定時間、離解槽2内に収容した、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)を、ロータ1で、攪拌、粉砕、すり潰しを行った後、ロータ1を回転したまま、排出口h2bを開いた状態にする。
これにより、メッシュ板4の目より小さい繊維を含む溶液(スラリー)が、排出口h2bから排出される。
尚、上記では、バッチ式の再生材(スラリー)の製造方法について説明したが、連続式で再生材(スラリー)を製造する場合は、所定の目のメッシュ板4を排出口h2b上に取付け、排出口h2bを開いた状態にし、ロータ1を回転駆動し、原料投入口h2aから離解槽2に、ダンボールや古紙その他の紙(原料)と水を連続的に供給し、排出口h2bから連続的に、メッシュ板4の目より小さい繊維を含む溶液(スラリー)を排出するようにする。
このパルパー装置P用のロータ1は、図8に示すように、複数本のポンプ羽根部10・・・の各々のロータ本体部1aの回転方向に対して後方位置となる壁面Wbを、複数本の内側ポンプ羽根部10・・・の各々の上部から下部方向へ、末広がり形状の傾斜面にした。
即ち、図8に示すように、このロータ1では、図8に示すように、複数本のポンプ羽根部10・・・の各々のロータ本体部1aの回転方向に対して後方位置となる壁面Wbの各々と、複数本の内側ポンプ羽根部10・・・の各々とのなす角度を鈍角(θi>90度)にしている。
その結果、このロータ1を用いたパルパー装置Pでは、離解槽2に収容した、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しをするために、ロータ1を回転駆動させた際に、複数本のポンプ羽根部10・・・の各々のロータ1の回転方向に対して後方位置となる壁面Wbの後方に位置する、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)が攪拌・混合されたものに、渦巻き流(乱流)の発生が著しく低減する。
この結果、このパルパー装置P用のロータ1を用いて、離解槽2に収容した、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しをすれば、離解槽2が振動し難く、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しのエネルギー効率が向上する。
また、このパルパー装置P用のロータ1では、ロータ本体部1aの回転方向に対して、凸状に湾曲するように設けられた、複数本のポンプ羽根部10・・・の各々の曲率を、ポンプ羽根部10・・・の各々を平面視した場合、ロータ本体部1aの中心側から外側に向かって、大きくしているので、ポンプ羽根部を平面視した場合、概ね直線状のもの(図13及び図14に示すロータ201を参照。)や、又は、一つの円の一部を切り取った円弧形状にしているもの(図15に示すロータ301のポンプ羽根部310及び図16に示すロータ401のポンプ羽根部310、410を参照。)のように、ポンプ羽根部のロータの外周側の負荷が、大きくならない。
この結果、このパルパー装置P用のロータ1を用いれば、離解槽2に収容した、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しをするために、ロータを回転駆動させる際の、ロータの回転駆動力を小さくできる。
また、このパルパー装置P用のロータ1では、ロータ本体部1aに設けられている複数枚の羽根部1c・・・の各々のメッシュ板4の上面に対向する側の表面に、複数本の凹状の溝7a・・・を設けている。
この結果、このパルパー装置P用のロータ1を用いれば、離解槽2に収容した、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しをするために、ロータ1を回転駆動させた際に、メッシュ板4の上面に対向する側の表面と、メッシュ板4の上面との間に存在する、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の混合物が、複数本の凹状の溝7a・・・と、メッシュ板4との協働により、効率よくすりつぶされる。
また、このパルパー装置P用のロータ1では、ロータ本体部1aに設けられている複数枚の羽根部1c・・・の各々のメッシュ板4の上面に対向する側の表面に、複数本の凹状の溝7a・・・を、複数本の凹状の溝7a・・・の各々が、ロータ本体部1aに設けられている複数枚の羽根部1c・・・の各々の、ロータ本体部1の回転方向の前方面となる面Sf・・・の各々から、ロータ本体部1aに設けられている複数枚の羽根部1c・・・の各々の、ロータ本体部1aの回転方向の後面となる面Sbに対し、複数枚の羽根部1c・・・の外方向に向かうように傾斜するように設けている。
この結果、このパルパー装置P用のロータ1を用いれば、離解槽2に収容した、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しをするために、ロータ1を回転駆動させた際に、メッシュ板4の上面に対向する側の表面と、メッシュ板4の上面との間に存在する、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の混合物の一部が、ロータ1を回転駆動させた際に発生する遠心力により、複数本の凹状の溝7a・・・の各々を通って、複数枚の羽根部1c・・・の各々の外方向へと排出する結果、ロータ1を回転駆動させた際に、メッシュ板の上面に対向する側の表面と、メッシュ板の上面との間に存在する、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の混合物の滞留現象が低減する。
即ち、このパルパー装置P用のロータ1を用いて、離解槽2に収容した、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しをすれば、ロータを回転駆動させた際に、メッシュ板の上面に対向する側の表面と、メッシュ板の上面との間に存在する、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の混合物の滞留現象が低減する結果、新たな水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の混合物が、メッシュ板4の上面に対向する側の表面と、メッシュ板4の上面との間にスムーズに入ってくるため、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しのエネルギー効率が向上する。
また、このパルパー装置P用のロータ1では、ロータ1の裏面に設けられた、複数の部材収容凹所h6・・・の各々内に、複数本の凹状の溝7a・・・を有する部材7・・・の各々を、交換可能に取り付けるようにしたので、パルパー装置P用のロータ1の使用により、複数本の凹状の溝7a・・・を有する部材7・・・のいずれかに、磨耗等が生じた場合、磨耗した凹状の溝7a・・・を有する部材7を新しい凹状の溝7a・・・を有する部材7に交換すれば良いので、従来のロータのように、使用により、メッシュ板の上面に対向する側の表面に凹所が形成された場合に、メッシュ板の上面に対向する側の表面に凹所が形成されたロータを、新しいロータに交換する必要がなくなる。
また、このパルパー装置P用のロータ1は、離解刃9・・・を、ロータ本体部1aに設けられている複数枚の羽根部1c・・・の各々の、ロータ本体部1aの回転方向の前方面となる面Sfの近傍の上面に、上方向に開放され且ロータ本体部1aの回転方向の前方面方向に開放する、プレート8・・・を収容するプレート収容凹部h7・・・に取り付けられたプレート8・・・に固定するようにし、複数枚の羽根部1c・・・の各々に取り付けられている離解刃9・・・の交換を、複数枚の羽根部1c・・・の各々の上面側で行えるようにしているので、離解刃9・・・の交換作業を容易に行える。
且つ、このパルパー装置P用のロータ1では、離解刃9・・・の各々を、プレート8・・・の各々の下方に取り付けるようにしたので、複数の離解刃9・・・の各々を、複数枚の羽根部の各々のロータの回転方向に対して前方位置となる壁面に取り付けたもの(図17に示す従来のロータを参照。)に比べ、プレート8の厚さ分だけ、離解刃9の小型化を図ることができる。
即ち、このパルパー装置P用のロータ1では、材料コストが高い離解刃9を小型化した結果、ロータ1の製造コストを低く抑えることができる。
また、このロータ1では、ポンプ羽根部10・・・の各々の外周側部分を外方向に向かって次第に薄くした傾斜面We・・・を有するので、ポンプ羽根部10・・・の各々の外周側部分を外方向に向かって次第に薄くした傾斜面We・・・を有していないポンプ羽根部を有するロータに比べ、ポンプ羽根部10・・・の外周側に加わる負荷を小さくできる。
この結果、このパルパー装置P用のロータ1を用いれば、離解槽2に収容した、水及びダンボールや古紙その他の紙(原料)の攪拌、粉砕、すり潰しをする際の、ロータを回転駆動力を低くすることができる。