JP5438568B2 - ダンパ装置 - Google Patents
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Description
逆に、車高を低くする際には、切換弁により作動油の流れが制御されて、作動液がシリンダからタンクに供給される。しかしながら、シリンダから供給される作動液によりタンクでの加圧ガスの圧力が増加するので、シリンダでの作動液の最高圧力およびタンクでの加圧ガスの圧力が平衡状態になると、タンクからシリンダへ作動液を供給することができない。このため、車高の低下調整が加圧ガスの圧力に制約されて、制限されたものとなる。
このように、車高の上昇調整および低下調整は、いずれも限定的に行われるだけで、大きな調整量での車高調整は困難である。
そして、本発明は、さらに、車両の高速走行時に車高を低下させることで、車両の走行安定性、操縦安定性および燃費性能の向上を図ることを目的とする。
前記ポンプ機構(40)は、前記ピストンロッド(16)に挿入されると共に前記ピストンロッド(16)との協働によりポンプ室(50)を形成するポンプロッド(41)、前記ポンプ室(50)への作動液の流入のみを許容する吸入弁(42i)、及び、前記ポンプ室(50)からの作動液の流出のみを許容する吐出弁(42o)を備える。前記ポンプ機構(40)には、前記タンク(30)と前記ポンプ室(50)とを連通させるタンク用通路(55)と、前記制御流体室(21)と前記ポンプ室(50)とを連通させるシリンダ用通路(56)とが設けられる。
前記連通状態は、前記タンク(30)の作動液が前記ポンプ室(50)を介して前記制御流体室(21)に導かれる第1連通状態と、前記制御流体室(21)の作動液が前記ポンプ室(50)を介して前記タンク(30)に導かれる第2連通状態とである。
前記第1連通状態は、前記タンク用通路(55)と前記ポンプ室(50)とが前記吸入弁(42i)を介して連通すると共に前記シリンダ用通路(56)と前記ポンプ室(50)とが前記吐出弁(42o)を介して連通する状態であり、前記第2連通状態は、前記シリンダ用通路(56)と前記ポンプ室(50)とが前記吸入弁(42i)を介して連通すると共に前記タンク用通路(55)と前記ポンプ室(50)とが前記吐出弁(42o)を介して連通する状態である。
また、タンクと制御流体室との間の作動液の移送は、共通のポンプ室を介して行われるので、第1,第2連通状態で別々のポンプ室を介して作動液が移送される場合に比べて、ポンプ機構を小型化でき、ひいてはダンパ装置を小型化できる。
特に、連通状態が設定部材により第1,第2連通状態に設定されたとき、タンクおよび制御流体室からポンプ室への作動液の移送が同じ吸入弁を通じて行われ、ポンプ室からタンクおよび制御流体室への作動液の移送が同じ吐出弁を通じて行われるので、タンクおよび制御流体室からポンプ室への作動液のそれぞれの移送が異なる吸入弁を介して行われ、ポンプ室からタンクおよび制御流体室への作動液のそれぞれの移送が異なる吐出弁を介して行われる場合に比べて、吸入弁および吐出弁を備えるポンプ機構を小型化でき、ひいてはダンパ装置を小型化できる。
これによれば、吸入通路および吐出通路が、該両通路に共通の共用通路部を有することから、吸入通路の全体および吐出通路の全体が別々である場合に比べて、吸入通路および吐出通路をコンパクトに配置することができるので、ポンプ機構を小型化できる。
これによれば、第3連通状態では、制御流体室とタンクとの間での作動液の増減がないので、ピストンロッドの位置調整が行われることなく、ピストンロッドの位置が維持される。
そして、前記減衰力により、ピストンロッドの往復運動が減衰するダンパ機能が奏される。
また、ポンプ室とタンクおよび制御流体室との間の連通状態が切換弁により第1,第2,第3連通状態を択一的に切り換えられることで、ピストンロッドの位置の維持、上昇調整および低下調整の切換ができる。
これによれば、制御装置により制御されるダンパ装置により、車両の走行状態に応じて車高が制御されて、高速道路走行時または所定車速以上での高速走行時に車高が低下する。この結果、高速道路走行時または高速走行時に車両の重心を下げることができるので、車両の走行安定性および操縦安定性の向上が可能になり、さらに、車両の空気抵抗が減少するために空力性能が向上し、燃費性能の向上が可能になる。また、車高を下げることにより、車両の外観性を向上させることができる。
図1を参照すると、本発明が適用されたダンパ装置1は、機械である車両(図示されず)としての4輪車のサスペンション装置に備えられて、左右の前輪および左右の後輪のそれぞれに対して配置される。車両は、エンジンとして、内燃機関または電動機を備える。
ここで、車体2はばね上重量に含まれる部材であり、サスペンションアーム3はばね下重量に含まれる部材である。
また、ピストンロッド16は、内部空間26が設けられた中空のピストンロッドであり、該内部空間26に挿入されて配置された後記ポンプロッド41と協働して、ポンプ機構40の1つのポンプ室50を形成する。
また、この実施形態において、第1流体室21は、シリンダ室20を構成する第1流体室21および第2流体室22の一方で構成される制御流体室であり、該制御流体室には、ポンプ室50に対して吸入および吐出される作動液が充填されている。
外側シリンダ12および内側シリンダ13の少なくとも一方に固定されて設けられる各導管43〜46は、各通路53〜56を形成する通路形成部材を構成する。なお、各通路53〜56の少なくとも一部は、前記通路形成部材として、ブロック状の部材、またシリンダ11自体または該シリンダ11と一体成形された部材により形成されてもよい。
そして、ピストンロッド16の往復運動によるピストンロッド16の変位量に応じてポンプ室50内に位置するポンプロッド41の体積が変化することにより、ポンプ室50の容積が変化して、作動油の吸入および吐出、すなわち作動油の移送が行われる。
流出入制御部材42は、独立吸入通路部53aに配置されてポンプ室50への作動液の流入のみを許容する吸入弁42iと、独立吐出通路部54aに配置されてポンプ室50からの作動液の流出のみを許容する吐出弁42oとを有する。吸入弁42iおよび吐出弁42oは、一方向弁から構成される。
なお、別の例として、吸入通路53および吐出通路54が、その全体で互いに独立の通路から構成されてもよい。
切換弁60は、切換位置に応じて、前記連通状態を切り換える第1〜第3通路切換部61〜63を有する弁部64と、弁部64を駆動して各通路切換部61〜63と独立吸入通路部53a、独立吐出通路部54a、タンク用通路55およびシリンダ用通路56との接続状態を切り換える駆動部65とを有する。
前記状態検出手段は、例えばナビゲータやETC(自動料金収受システム)により高速道路に進入したと判定されたときに高速道路走行時を検出する高速道路走行検出手段72と、車速を検出する車速検出手段73とから構成される。
モード設定スイッチ71により車高維持モードが設定されている場合。
電子制御ユニット77により制御された切換弁60は、第3通路切換部63によりシリンダ用通路56とポンプ室50とが、吸入通路53および吸入弁42iと吐出通路54および吐出弁42oとを通じて連通する第3連通状態となる第3切換位置を占めて、ダンパ装置1が車高を維持し、車体2の振動を抑制する第3作動モードとしての車高維持モードに設定される。
このとき、ピストンロッド16の往復運動である上下運動により、第1流体室21の作動液が、ポンプ機構40により吸入通路53および吸入弁42iを通じてポンプ室50に吸入された後、ポンプ室50から吐出通路54および吐出弁42oを通じて第1流体室21に吐出される。そして、ポンプ機構40により第1流体室21から吸入された作動液は第1流体室21に吐出されるので、車高維持モードが設定された時点(すなわち、切換弁60が第3切換位置に切り換えられた時点)での車高が維持される。
そして、減衰力発生部23,24により、ピストンロッド16の往復運動が減衰して車体2の振動が抑制されるダンパ機能が奏される。
(1)モード設定スイッチ71により車高自動調整モードに設定されている場合であって、高速道路走行検出手段72により高速道路走行が検出されず、かつ車速検出手段73により所定車速未満の低車速状態が検出されたとき。
(2)モード設定スイッチ71により強制車高上昇モードが設定されている場合。
このとき、ピストンロッド16の往復運動により作動するポンプ機構40により、タンク30の作動液が、吸入通路53を通じてポンプ室50に吸入された後、ポンプ室50から吐出通路54を通じて第1流体室21に吐出される。この動作が繰り返されることで、タンク30の作動液が第1流体室21に供給されて、車高が上昇する。
(1)モード設定スイッチ71により車高自動調整モードに設定されている場合であって、高速道路走行検出手段72により高速道路走行が検出されたとき、または車速検出手段73により所定車速以上の高車速状態が検出されたとき。
(2)モード設定スイッチ71により強制車高低下モードが設定されている場合。
このとき、ピストンロッド16の往復運動である上下運動により、第1流体室21の作動液が、ポンプ機構40により吸入通路53を通じてポンプ室50に吸入された後、ポンプ室50から吐出通路54を通じてタンク30に吐出される。この動作が繰り返されることで、第1流体室21の作動液がタンク30に排出されて、車高が低下する。
シリンダ11に対するピストンロッド16の往復運動による第1流体室21と第2流体室22との間での作動液の流動抵抗により往復運動を減衰させる減衰力が発生するダンパ装置1が、ピストンロッド16の往復運動により、第1流体室21とタンク30との間で作動液を移送するポンプ機構40と、ポンプ機構40とタンク30および第1流体室21との間の連通状態を設定する切換弁60とを備え、ポンプ機構40は、ピストンロッド16に挿入されると共にピストンロッド16との協働によりポンプ室50を形成するポンプロッド41を備え、連通状態は、タンク30の作動液がポンプ室50を介して第1流体室21に導かれる第1連通状態と、第1流体室21の作動液がポンプ室50を介してタンク30に導かれる第2連通状態とである。
この構造により、ダンパ装置1のポンプ機構40が、シリンダ11に対するピストンロッド16の変位量に応じたポンプ室50の容積変化により、タンク30または第1流体室21からポンプ室50に吸入した作動液を第1流体室21またはタンク30に対して吐出することで、ピストンロッド16の位置が調整されて車高が調整される。このように、ピストンロッド16にポンプ室50を設けたことにより、タンク30内に封入されたガスの圧力による作動液の加圧状態およびシリンダ11内に封入されたガスの圧力による影響を大きく受けずに、セルフレベリングによる車高調整を行うことができる。
また、タンク30と第1流体室21との間の作動液の移送は、共通のポンプ室50を介して行われるので、前記第1,第2連通状態で別々のポンプ室を介して作動液が移送される場合に比べて、ポンプ機構40を小型化でき、ひいてはダンパ装置1を小型化できる。
この構造により、連通状態が切換弁60により前記第1,第2連通状態に設定されたとき、タンク30および第1流体室21からポンプ室50への作動液の移送が同じ吸入弁42iを通じて行われ、ポンプ室50からタンク30および第1流体室21への作動液の移送が同じ吐出弁42oを通じて行われるので、タンク30および第1流体室21からポンプ室50への作動液のそれぞれの移送が異なる吸入弁を介して行われ、ポンプ室50からタンク30および第1流体室21への作動液のそれぞれの移送が異なる吐出弁を介して行われる場合に比べて、吸入弁42iおよび吐出弁42oを備えるポンプ機構40を小型化でき、ひいてはダンパ装置1を小型化できる。
この構造により、吸入通路53および吐出通路54が、該両通路53,54に共通の共用通路部57を有することから、吸入通路の全体および吐出通路の全体が別々である場合に比べて、吸入通路53および吐出通路54をコンパクトに配置することができるので、ポンプ機構40を小型化できる。
さらに、共用通路部57がポンプロッド41内に形成されることにより、吸入通路53および吐出通路54の配置の一層のコンパクト化が可能になる。
この構造により、第3連通状態では、第1流体室21とタンク30との間での作動液の増減がないので、ピストンロッド16の位置調整による車高調整が行われることなく、車高が維持される。そして、減衰力発生部23,24により、ピストンロッド16の往復運動が減衰して車体2の振動が抑制されるダンパ機能が奏される。
また、ポンプ室50とタンク30および第1流体室21,22との間の連通状態が切換弁60により第1,第2,第3連通状態を択一的に切り換えられることで、車高の維持、上昇調整および低下調整の切換ができる。そして、車高を低下させることにより、車両の外観性を向上させることができる。
前記制御流体室は、第2流体室22であってもよい。この場合、前記第1連通状態および第2連通状態では、車高低下調整および車高上昇調整がそれぞれ行われる。
設定部材は、複数の開閉弁により構成されてもよい。吸入弁42iおよび吐出弁42oは、一方向弁以外に、ピストンロッド16の上下運動に応じて開閉される電磁弁などの開閉弁により構成されてもよい。
各ダンパ装置1により、前記実施形態では全車輪が一斉に車高調整されたが、前記状態検出手段により、車両の加速・減速時やカーブ走行時が検出される場合、走行状態車輪毎に互いに独立して、または、前輪毎および後輪毎に互いに独立して、または、右輪毎および左輪毎に独立して調整することも可能である。また、前記状態検出手段により、車両の重量が検出される場合、積載重量に応じてダンパ装置1による車高調整が行われてもよい。
ポンプロッド41は、作動液を導く通路を形成することなく、中実の軸状部材により構成されてもよい。この場合、吸入通路53および吐出通路54は、ポンプロッド41とは別個の部材により形成される。
シリンダ11は、外側シリンダ12と内側シリンダ13との二重構造でなく、単一のシリンダから構成されてもよい。
タンク30の全体またはその一部が、シリンダ11内に内蔵されてもよい。
タンク30内の作動液は、加圧手段により加圧されていなくてもよい。
切換弁60の全部または流出入制御部材42の一部または全部が、シリンダ室20の外部に配置されてもよい。
ポンプロッド41がピストンロッド16の外側に挿入されてポンプ室50が形成されてもよい。
ダンパ装置1は、車両以外の機械に備えられてもよい。
11 シリンダ
16 ピストンロッド
17 ピストン部
21,22 流体室
30 タンク
40 ポンプ機構
41 ポンプロッド
42i 吸入弁
42o 吐出弁
50 ポンプ室
53 吸入通路
54 吐出通路
55 タンク用通路
56 シリンダ用通路
57 共用通路部
60 切換弁
70 制御装置
Claims (4)
- 作動液が充填されたシリンダ室を形成するシリンダと、前記シリンダ室を第1流体室と第2流体室とに区画するピストン部を有すると共に前記シリンダを貫通して外部に延出するピストンロッドと、作動液が貯留されるタンクと、を備え、
前記シリンダに対する前記ピストンロッドの往復運動による前記第1流体室と前記第2流体室との間での作動液の流動抵抗により前記往復運動を減衰させる減衰力が発生するダンパ装置において、
前記ピストンロッドの前記往復運動により、前記第1流体室および前記第2流体室の一方である制御流体室と前記タンクとの間で作動液を移送するポンプ機構と、
前記ポンプ機構と前記タンクおよび前記制御流体室との間の連通状態を設定する設定部材とを備え、
前記ポンプ機構は、前記ピストンロッドに挿入されると共に前記ピストンロッドとの協働によりポンプ室を形成するポンプロッド、前記ポンプ室への作動液の流入のみを許容する吸入弁、及び、前記ポンプ室からの作動液の流出のみを許容する吐出弁を備え、
前記ポンプ機構には、前記タンクと前記ポンプ室とを連通させるタンク用通路と、前記制御流体室と前記ポンプ室とを連通させるシリンダ用通路とが設けられ、
前記連通状態は、前記タンクの作動液が前記ポンプ室を介して前記制御流体室に導かれる第1連通状態と、前記制御流体室の作動液が前記ポンプ室を介して前記タンクに導かれる第2連通状態とであり、
前記第1連通状態は、前記タンク用通路と前記ポンプ室とが前記吸入弁を介して連通すると共に前記シリンダ用通路と前記ポンプ室とが前記吐出弁を介して連通する状態であり、
前記第2連通状態は、前記シリンダ用通路と前記ポンプ室とが前記吸入弁を介して連通すると共に前記タンク用通路と前記ポンプ室とが前記吐出弁を介して連通する状態である
ことを特徴とするダンパ装置。 - 請求項1記載のダンパ装置であって、
前記ポンプ機構には、前記吸入弁が配置される吸入通路と、前記吐出弁が配置される吐出通路とが設けられ、
前記吸入通路および前記吐出通路は、前記ポンプ室に吸入される作動液および前記ポンプ室から吐出される作動液を導くと共に前記ポンプ室に開口する共通の共用通路部を有することを特徴とするダンパ装置。 - 請求項1又は2に記載のダンパ装置であって、
前記設定部材は、前記連通状態を、前記第1連通状態と、前記第2連通状態と、前記タンクと前記ポンプ室とが遮断された状態で前記制御流体室と前記ポンプ室とが連通する第3連通状態とに切り換える切換弁であることを特徴とするダンパ装置。 - 車両の車高を調整可能な請求項1から3のいずれか1項記載のダンパ装置であって、
前記車両の走行状態に応じて前記設定部材を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、高速道路走行時または所定車速以上での走行時に前記車高が減少するように、前記設定部材を制御することを特徴とするダンパ装置。
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