JP5438408B2 - 粘着シートの製造方法 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、基材シート上に、独立した多数の小凸部が散点状に設けられた粘着層を有する粘着シートが開示されている。この粘着シートは、小凸部の先端部のみが他の物体に貼り付くため容易に剥がすことができ、容易に貼り直すことができる。また、粘着層と被着体との間に大きな通気断面積の隙間が生じるので、粘着層と被着体との間に巻き込まれた空気を容易に追い出すことができる。しかしながら、特許文献1記載の粘着シートは、粘着剤層と被着体との間に大きな隙間が設けられているため、粘着シートと被着体との密着性が低い。
また、特許文献2には、基材の少なくとも片面に凹凸部が形成され、その上に両面が平坦な非通気性粘着剤層を、基材の凸部に当接させて積層してなる粘着シートが開示されている。この粘着シートは、被着体に貼着した際に粘着剤層と被着体との間に空気を巻き込んだときには、前記粘着剤層が基材表面の凹部内壁に付着して粘着剤層と被着体との間に空洞を形成し、空気やガスはその空洞から外部に排出される。しかしながら、特許文献2記載の粘着シートは、貼着する際に空気が抜けやすく貼着が容易であるものの、基材と粘着剤層とは接触面積が小さいため密着性が低くなる傾向がある。
また、特許文献3には、シート端縁部に開口する凹条溝が粘着剤層に設けられ、かつ、基材シート及び粘着剤層に貫通孔が設けられた粘着シートが開示されている。この粘着シートは、被着体に貼着した際に粘着剤層と被着体との間に空気を巻き込んだときには、前記の貫通孔及び凹条溝を通って空気やガスが外部に排出される。しかしながら、特許文献3記載の粘着シートは、貼着する際に空気が抜けやすく貼着が容易であるものの、基材にも貫通孔が形成されているため基材表面への印刷性が劣る。
[1]基材の少なくとも一面に、前記基材の端縁部まで連通した凹条溝を有する第1粘着剤層、及び一方の面から他方の面に貫通する貫通孔を複数有する第2粘着剤層がこの順に積層されてなる粘着シートの製造方法であって、
(a1)前記基材の少なくとも一面に、端部にまで連通する凹条溝が形成された第1粘着剤層を設けるステップ、
(a2)剥離シートの剥離面に粘着剤を塗工して粘着剤層を塗設した後に、前記粘着剤層にレーザ光を照射して貫通孔を形成することにより、前記剥離シート上に、貫通孔を有する第2粘着剤層を設けるステップ、及び
(a3)前記ステップ(a1)において第1粘着剤層を設けた基材と前記ステップ(a2)において第2粘着剤層を設けた剥離シートとを、前記第1粘着剤層と前記第2粘着剤層とが接するように貼合するステップ
を含む、粘着シートの製造方法。
[2]前記第1粘着剤層の凹条溝が、前記基材に接している側とは逆側の面に形成されている、[1]に記載の粘着シートの製造方法。
[3]前記第1粘着剤層の凹条溝と前記第2粘着剤層の貫通孔とが連通している、[1]又は[2]に記載の粘着シートの製造方法。
[4]前記凹条溝の幅が30〜300μmであり、前記凹条溝の深さが5〜35μmであり、前記凹条溝間のピッチが200μm〜2mmである、[1]〜[3]のいずれかに記載の粘着シートの製造方法。
[5]前記凹条溝が格子状に形成されている、[1]〜[4]のいずれかに記載の粘着シートの製造方法。
[6]前記貫通孔の孔径が30μm〜2mmであり、前記貫通孔間のピッチが100μm〜12mmである、[1]〜[5]のいずれかに記載の粘着シートの製造方法。
凹条溝31の断面形状は特に限定されず、凹条溝の溝底部と側壁との角度が垂直であるコの字型のほか、凹条溝の溝底部と側壁との角度が垂直ではなく、凹条溝の幅が第1粘着剤層の表面方向に拡大するテーパー型やその逆に縮小する逆テーパー型であってもよい。複数の凹条溝31の形状は互いに異なっていてもよく、大きさが異なっていてもよい。
凹条溝31の幅は、通気性、形状保持性及び製造容易性の観点から、好ましくは30〜300μmであり、より好ましくは50〜200μmである。なお、本発明における凹条溝31の幅とは、第1粘着剤層3表面における凹条溝31の幅をいう。
凹条溝31同士のピッチは、通気性及び製造容易性の観点から、好ましくは200μm〜2mmであり、より好ましくは300〜1000μmである。なお、本発明における凹条溝31のピッチとは、第1粘着剤層3表面における隣り合う凹条溝31間の距離をいう。
貫通孔41の孔径は、通気性、密着性及び製造容易性の観点から、好ましくは30μm〜2mmであり、より好ましくは50μm〜1mmである。
貫通孔41同士のピッチは、通気性、密着性及び製造容易性の観点から、好ましくは100μm〜12mmであり、より好ましくは200μm〜8mmである。貫通孔41は、規則的なピッチで設ける必要はなく、不規則なピッチで設けてもよい。
本発明で使用される基材2の厚さは特に制限されることはなく、用途などに応じて適宜設定されるが、取り扱い容易性の観点から、一般的には10μm〜1mmであり、特に20〜500μmであることが好ましい。
図1に示すように、基材2の表面には貫通孔が形成されておらず平坦であり、フィルムとしてのバリア性を保持することができ、当該表面にきれいに印刷を施すことができる。
第1粘着剤層3及び第2粘着剤層4に使用される粘着剤は、互いに同一でもよく異なっていてもよい。
図2に示すように、剥離シート5が剥がされた粘着シート1を被着体6に貼着した際に、凹条溝31a及び31cと貫通孔41a及び41bとがそれぞれ連通している部分では、第2粘着剤層4と被着体6との間に空気が巻き込まれても、貫通孔41a及び41b並びに凹条溝31a及び31cを介して空気を逃すことができ、空気溜りの形成を防止することができる。
第2粘着剤層4と被着体6との間に空気が巻き込まれて空気溜り7が形成された場合、粘着シート1は基材側の表面に膨出部(いわゆる「ふくれ」)が生じる。この粘着シート1を、スキージ等を用いて粘着シート1の中央部から周縁部に向かって圧着すると、図3に示すように、巻き込まれた空気は、第1粘着剤層3の凹条溝31bに沿って第2粘着剤層4を押し上げる。空気溜り7の上部に位置する凹条溝31bは、押し上げられた第2粘着剤層42により変形する。その結果、空気溜り7は除去され、その代わりに凹条溝31bに沿って粘着シート1の端部にまで連通する空洞8が形成される。被着体6と第2粘着剤層4との間に存在した空気や、貼着後に被着体から発生するガスは、空洞8を移動して外に排出される。したがって、本発明の粘着シート1は、基材側の表面に形成された膨出部を除去して外観を損ねることなく被着体6に貼着することができる。
貫通孔41や空洞8が形成されていない部分では、第2粘着剤層4と被着体6とが広面積で密着している。したがって、本発明の粘着シート1は、被着体との密着性に優れる。
基材の少なくとも一面に、前記基材の端縁部まで連通した凹条溝を有する第1粘着剤層、及び一方の面から他方の面に貫通する貫通孔を複数有する第2粘着剤層がこの順に積層されてなる粘着シートの製造方法であって、
(a1)前記基材の少なくとも一面に、端部にまで連通する凹条溝が形成された第1粘着剤層を設けるステップ、
(a2)剥離シートの剥離面に粘着剤を塗工して粘着剤層を塗設した後に、前記粘着剤層にレーザ光を照射して貫通孔を形成することにより、前記剥離シート上に、貫通孔を有する第2粘着剤層を設けるステップ、及び
(a3)前記ステップ(a1)において第1粘着剤層を設けた基材と前記ステップ(a2)において第2粘着剤層を設けた剥離シートとを、前記第1粘着剤層と前記第2粘着剤層とが接するように貼合するステップ
を含む、粘着シートの製造方法。
凹条溝31が、第1粘着剤層において、第2粘着剤層に当接する面に形成されている場合、例えば、エンボスロールを使用したエンボス加工やレーザ処理その他の方法により、基材上に直接、凹条溝が形成された粘着剤層を設ける方法、表面に凹凸形状を付与した剥離シート上に流延法等により製膜して凹凸が形成された粘着剤層を設け、この粘着剤層を基材に貼り付けた後に前記剥離シートを除去する方法、基材上に平坦な粘着剤層を塗設した後その上にスジ状に粘着剤層を塗設する方法等が挙げられる。
平坦な粘着剤層を形成する方法としては特に制限されず、任意の方法によって行うことができる。具体例としては、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、Tダイ押し出し法、カーテン法、転写法、又はロールコータ法等が挙げられる。また、スジ状に粘着剤層を設ける方法としては特に制限されず、任意の方法によって行うことができ、上記に列挙した方法や、櫛形ブレードを用いるロールコータ法、Tダイ押し出し法等が挙げられる。
前記ステップ(a2)において、レーザ光を照射して貫通孔を形成する方法としては特に制限されず、任意の方法によって行うことができる。例えば、特開2005−336249号公報の記載を参照してもよい。
なお、貫通孔は、レーザ加工以外の方法で形成することもでき、例えば、パンチング、熱針、ドリル、フラットダイカット、ロータリーダイカット等を用いた抜き加工により形成することもできる。
本発明の粘着シートは、例えば、装飾用粘着シート、印刷用粘着シート、表面保護用粘着シート等として使用することができ、また、マーキングフィルム等の大型表示ラベルとしても好適に用いることができる。
<粘着シート101の作製>
110g/m2の上質紙にポリエチレンを30μmとなるように溶融押出してラミネートし、前記ポリエチレン側にシリコーン樹脂(信越化学工業社製、商品名:「KS847H」)を塗布することで厚さ0.1μmの剥離処理層を形成して剥離シートAとした。この剥離シートAの剥離処理層側に、金属ロールを用いたエンボスにより、高さ20μm、頂部の幅7μm、底部の幅90μmの直円錐台形の凸部と、200×200μmの格子状に形成されてなる凹部からなる形状転写面を形成した。
次いで、この剥離シートAの剥離処理層上に、アクリル系粘着剤(リンテック社製、商品名:「PK」)で厚さ30μmの粘着剤層を形成したのち、この粘着剤層に、厚さ50μmのポリ塩化ビニル基材シート(リンテック社製、商品名:「FP5011」)を貼合し、格子状凹条溝が設けられた第1粘着剤層を有する剥離シート付き粘着シートAを作製した。
一方、表面に剥離剤を塗布した平坦な剥離処理面を有する剥離シートB(リンテック社製、商品名:「SP−PET3801」)の剥離処理面に、アクリル系粘着剤(リンテック社製、商品名:「PK」)を厚み30μmに塗布し、加熱して架橋させて、粘着剤層を形成した。続いてその粘着剤層に対し、レーザ穴あけ加工機(松下産業機器社製、商品名:「YB−HCS03」)を用いて炭酸ガスレーザを照射し、縦2mm×横3mmピッチで孔径100μmの貫通孔を形成することで、貫通孔が設けられた第2粘着剤層を有する孔空き粘着シートBを得た。なお、レーザ照射条件は、2ショットバースト加工,周波数:3000Hz,パルス幅:50μsec(1ショット目)/40μsec(2ショット目)で行った。
その後、上記の粘着シートAから剥離シートAを剥がして、上記の粘着シートAの第1粘着剤層表面と、粘着シートBの第2粘着剤層とを当接させて積層し、粘着シート101を作製した。
<粘着シート102の作製>
前記剥離シートBの剥離処理層上に形成する粘着剤層の厚さを50μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして粘着シート102を作製した。
<粘着シート103〜105の作製>
前記貫通孔のピッチを、縦、横それぞれ0.5mm×0.5mm、4mm×6mm及び6mm×9mmにそれぞれ変更したこと以外は実施例1と同様にして粘着シート103〜105を作製した。
<粘着シート106の作製>
前記剥離シートBに形成した粘着剤層に対し、フラットダイカット装置(UHT(株)製、商品名:「PFR−S20」)を用いてパンチング加工を行い、3mm×3mmピッチで孔径1mmの貫通孔を形成したこと以外は実施例1と同様にして粘着シート106を作製した。
<粘着シート107及び108の作製>
前記剥離シートAの剥離処理層側に、金属ロールを用いたエンボスにより、高さ18μm、頂部の幅25μm、底部の幅75μmの直円錐台形の凸部と、550μm×550μmの格子状に形成されてなる凹部からなる形状転写面を形成したこと以外は実施例1及び6とそれぞれ同様にして粘着シート107及び108を作製した。
<粘着シート109〜110の作製>
前記剥離シートAの剥離処理層側に、金属ロールを用いたエンボスにより、高さ20μm、頂部の幅200μm、底部の幅300μmの直円錐台形の凸部と、1000μm×1000μmの格子状に形成されてなる凹部からなる形状転写面を形成したこと以外は実施例1及び6とそれぞれ同様にして粘着シート109〜110を作製した。
実施例1〜10で作製した粘着シート101〜110の粘着剤層面を顕微鏡で観察したところ、凹条溝と貫通孔とが連通している部分があることが確認できた。
上記で得られた粘着シート101〜110につき、第1粘着剤層及び第2粘着剤層の厚さ、凹条溝の深さ、幅、ピッチ及び形状、並びに貫通孔のピッチ、孔径及びその形成手段をそれぞれ表1及び2に示す。
また、上記で得られた粘着シート101〜110につき、エア抜け性について下記の方法でそれぞれ評価を行った。結果を表1及び2に示す。
(エア抜け性)
メラミン塗装鉄板(縦7cm×横15cm)の上に、5cm×5cmの剥離シート付粘着シートから剥離シートを剥がした粘着シートの粘着剤層面を載せ、周辺を指でなぞりながら圧着し、中央部に空気溜まりができるように貼り付けた。スキージーで空気溜まり部分を押し出すようにこすり、空気抜けの状態を目視で以下のように評価した。
○:空気溜まりが消失した。
×:空気溜まりが残った。
また、JIS Z 0237に準じて、剥離角度180度、剥離速度300mm/minの条件で被着体貼付24時間後の粘着力を測定したところ、実施例1〜10の粘着シートは、いずれも基材と粘着剤層との間で剥離が生じることもなく、被着体との密着性にも優れるものであった。さらに、実施例1〜10の粘着シートの基材表面に印刷を施したところ、いずれも基材表面への印刷性に優れるものであった。
2 基材
3 第1粘着剤層
31(31a、31b及び31c) 凹条溝
4 第2粘着剤層
41(41a及び41b) 貫通孔
42 第2粘着剤層の変形部
5 剥離シート
6 被着体
7 空気溜り
8 空洞
Claims (6)
- 基材の少なくとも一面に、前記基材の端縁部まで連通した凹条溝を有する第1粘着剤層、及び一方の面から他方の面に貫通する貫通孔を複数有する第2粘着剤層がこの順に積層されてなる粘着シートの製造方法であって、
(a1)前記基材の少なくとも一面に、端部にまで連通する凹条溝が形成された第1粘着剤層を設けるステップ、
(a2)剥離シートの剥離面に粘着剤を塗工して粘着剤層を塗設した後に、前記粘着剤層にレーザ光を照射して貫通孔を形成することにより、前記剥離シート上に、貫通孔を有する第2粘着剤層を設けるステップ、及び
(a3)前記ステップ(a1)において第1粘着剤層を設けた基材と前記ステップ(a2)において第2粘着剤層を設けた剥離シートとを、前記第1粘着剤層と前記第2粘着剤層とが接するように貼合するステップ
を含む、粘着シートの製造方法。 - 前記第1粘着剤層の凹条溝が、前記基材に接している側とは逆側の面に形成されている、請求項1に記載の粘着シートの製造方法。
- 前記第1粘着剤層の凹条溝と前記第2粘着剤層の貫通孔とが連通している、請求項1又は2に記載の粘着シートの製造方法。
- 前記凹条溝の幅が30〜300μmであり、前記凹条溝の深さが5〜35μmであり、前記凹条溝間のピッチが200μm〜2mmである、請求項1〜3のいずれかに記載の粘着シートの製造方法。
- 前記凹条溝が格子状に形成されている、請求項1〜4のいずれかに記載の粘着シートの製造方法。
- 前記貫通孔の孔径が30μm〜2mmであり、前記貫通孔間のピッチが100μm〜12mmである、請求項1〜5のいずれかに記載の粘着シートの製造方法。
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