JP5438096B2 - 圧力緩衝器、液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置および圧力緩衝方法 - Google Patents
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Description
このインクジェット記録装置によれば、液体噴射ヘッドの使用状況に応じてインクの圧力を制御することができるので、インクの吐出の安定化およびリフィルの改善を行うことができる。
本発明の圧力緩衝器は、液体を貯留させるための凹部及び前記凹部に開口された管路が形成された本体部と、前記凹部を密封するように配置され前記凹部の周縁部で前記本体部に固定された薄膜と、前記薄膜と接離自在であって、前記凹部の内部に配置された基準部材と、前記凹部に貯留される前記液体の圧力変動に伴う前記基準部材の相対位置の変位を前記基準部材に対して非接触で検出する変位量検出手段とを備えることを特徴としている。
この場合、カバーが備えられているので、圧力緩衝器の周囲の物体からのノイズが遮蔽され、液体の圧力変動が検出される際の検出精度のブレを抑えることができる。
この場合、変位量センサーがカバーの凹部側の面上に配置されているので、変位量センサーと基準部材とがともにカバーと本体部とによって密閉された空間内に位置している。従って、カバー及び本体部の外部からのノイズを好適に抑制できる。また、圧力緩衝器の外部に突出される部材を削減でき、さらに変位量センサーが外部に露出されることがないので、圧力緩衝器の取り付け時や使用時等において意図せずに変位量センサーが破損することを抑制できる。
この場合、付勢部材によって凹部と基準部材との位置関係が定まるので、凹部に対する基準部材の傾きや位置ズレが抑制されている。
また、付勢部材によって基準部材と凹部とは、付勢部材が自然状態にあるとき、あるいは規定の圧力がかけられている際の位置関係を基準にして変動するようになる。このため、液体の圧力に大きな変動が生じた際には付勢部材の復元力によって基準となる位置関係に復元される。従って、圧力変動が生じてから圧力変動を抑制するような力を生じさせるまでのタイムラグが低減され、液体の圧力を精度よく調整することができる。
この場合、圧力緩衝器にセンサー回路部が設けられているので、圧力緩衝器からセンサー回路部までの回路長を短縮することができる。このため、変位量センサーに生じる信号の変化に対する外部のノイズの混入が抑制され、より精度よく信号を検出することができる。
この場合、センサー回路部が本体部とカバーとの間にあることで、基準部材と変位量センサーとの間の変位量を検出する手段がすべて本体部とカバーとの間に配置されている。従って、圧力緩衝器の外部形状を単純化することができ、圧力緩衝器の取り付け等における操作が簡便になる。
この場合、基準部材がループコイル部に対して相対的に移動された際に、その変位量に応じて誘導電流が生じる。すると、この誘導電流に基づいてループコイルに対して基準部材がどの程度変位されたかが定量的に検知される。また、磁性体または導体とループコイルとを有して構成されているので製造コストを抑えることができる。
この場合、カバーと変位量センサーとの間に設けられた磁性体層または導体層がシールドとなり、変位量センサーと基準部材との間に生じる磁界がカバーを透過して拡散されることが抑制されている。従って変位量センサーと基準部材との位置関係の変位を精度よく検出することができる。また、磁性体層または導体層によってカバーの外部からの磁力線の影響を低減する事ができるので変位量センサーへのノイズの混入を抑制することができる。
この場合、カバーが電磁気的なシールドとして機能するので、外部からの磁力線の影響を好適に抑制することができ、変位量センサーへのノイズの混入が抑制される。また、シールドとしてカバーと別の部材を用意する必要が無いので構成を簡略化することができる。
この場合、孔が形成された分だけ基準部材が軽量となるので、液体の圧力変動への追従性が高まる。従って液体の圧力変動に応じて変位量センサーに対して速やかに相対移動される。従って液体の圧力変動が生じてから液体の圧力変動が検知されるまでのタイムラグが低減される。
この発明によれば、圧力緩衝器と噴射部とが組み合わされているので噴射部における液体の圧力と圧力緩衝器にかかる圧力との差が少ない。従って、実際に噴射される液体の圧力との誤差が低減され、噴射口から噴射される液体の圧力を精度よく調整することができる。
この発明によれば、液体供給管の内部の液体を押圧移動させることで前記圧力緩衝器で検出された圧力を調整目標となる圧力へと調整することができる。また、ポンプモーターは液体を圧力緩衝器側あるいはその反対側へと適宜の方向へ押圧移動することができるので圧力緩衝器にかかる圧力を好適に増減させることができる。
また、本発明の液体噴射記録装置は前記噴射部を前記液体が噴射される被記録媒体に対向させつつ往復移動させる移動機構と、前記被記録媒体を前記噴射部と一定の距離をもって搬送する搬送機構とをさらに備えてもよい。
この発明によれば、凹部と薄膜とによって、液体が貯留される空間が形成され、液体の圧力変動に伴ってこの空間が伸縮される。薄膜と接離自在であって、前記凹部の内部に配置された基準部材はこの伸縮に連動して凹部に対して相対移動し、圧力変動が生じる前と後でその相対位置関係に変位が生じている。変位量検出手段は、基準部材に対して非接触で液体の圧力変動を検出する。従って、液体の種類によらず所定の検出精度を維持することができる。
この発明によれば、液体の圧力値が所望の範囲に存在するように制御することができる圧力制御手段を備えたことにより、液体噴射記録における液体噴射ヘッドの水頭値を管理することができる。
以下、本発明の第1実施形態の圧力緩衝器、液体噴射ヘッド、および液体噴射記録装置について図1から図10を参照して説明する。
図1は、液体噴射記録装置を示す斜視図である。液体噴射記録装置1は、紙等の被記録媒体Sを搬送する一対の搬送手段2、3と、被記録媒体Sに液体を噴射する液体噴射ヘッド4と、液体噴射ヘッド4に液体を供給する液体供給手段5と、液体噴射ヘッド4を被記録媒体Sの搬送方向(主走査方向)と略直交する方向(副走査方向)に走査させる走査手段6とを備えている。以下、副走査方向をX方向、主走査方向をY方向、そしてX方向およびY方向にともに直交する方向をZ方向として説明する。
ここで、図5及び図7を用いて、カバー92の機能を説明する。カバー92は図5及び図7に示すように、薄膜96を覆うように形成されており、薄膜96を挟んで、凹部91aの反対側に形成されている。このカバー92の役割は、薄膜96と凹部91aとの間に充填される液体に過度の圧力が加えられた場合に発揮される。すなわち、圧力緩衝器90の内部に充填されている液体に圧力が加えられると、薄膜96がカバー92側へ撓み変形する。薄膜96は可撓性を有する膜であるため、撓みの許容範囲では撓み変形することができるが、許容値を超えた過度の圧力が液体に加えられた場合、薄膜96は破損し充填されていた液体は外部に洩出してしまう可能性がある。そこで、カバー92が取り付けられていることによって、薄膜96が所定距離以上撓み変形するのを抑制することができる。
図9は、圧力緩衝器90の使用時における位置関係を図4のA−A線における断面として示した断面図である。
液体噴射記録装置1の使用時は、図1に示すキャリッジユニット62がガイドレール60、61に沿って摺動移動されることで副走査方向に往復直線運動される。また、キャリッジユニット62の動作に従って、液体噴射ヘッド4も同様に往復直線運動される。
このとき、圧力緩衝器90や液体供給管51に伝達される振動によって圧力緩衝器90の空隙Oに貯留された液体には圧力変動が生じている。
従って、液体の圧力変動は、基準部材97の変位としてセンサー回路部83で検出され、本体制御部100における圧力制御回路100aによって、基準部材97が基準線Qに位置している際のインピーダンスとの差分が解消されるようにポンプモーターMが駆動される。その結果、ポンプモーターMの動作によって液体供給管51の内部に流通する液体の圧力が調整され、これにより圧力緩衝器90の空隙Oにおける液体の圧力も調整される。
従来の圧力検知手段では、圧力検知手段と液体とが接触された際に圧力検知手段が腐食されたり動作不良を引き起こしたりする場合があり、液体と圧力検知手段と組み合わせの相性があった。これに対して、本発明では、液体に対して非接触で液体の圧力変動を検出できるので液体の種類によらず所定の検出精度を維持することができる。
また、液体の圧力に大きな変動が生じた際には付勢部材98の復元力によって基準部材97の位置が基準線Qまで戻される。従って、圧力変動が生じてから圧力変動を抑制するような力を生じさせるまでのタイムラグが低減され、液体の圧力を精度よく調整することができる。
次に、本発明の第2実施形態の圧力緩衝器について図11及び図12を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態において、上述した第1実施形態の圧力緩衝器90と構成を共通とする箇所には同一符号を付けて、説明を省略することにする。
本実施形態の圧力緩衝器190は、カバー92とループコイル部99との間に磁性体層199が設けられている点で第1実施形態の圧力緩衝器90と構成が異なっている。
磁性体層199は、カバー92よりも透磁率が高い層であり、例えばフェライトの粉末を含有するシートや、フェライトからなる板、あるいはパーマロイを含有するものを採用することができる。
本実施形態では磁性体層199が設けられていることでループコイル部99におけるインダクタンスが大きくなり、基準部材97の位置の変位を検出する際の分解能を高めることができる。
なお、本実施形態では、磁性体を含有する磁性体層199を備える構成として説明したが、磁性体層199に代えて導体を含有する導体層を備える構成であっても同様の効果を奏することができる。
以下では、第2実施形態の圧力緩衝器190の変形例について図12を参照して説明する。図12は、本実施形態の圧力緩衝器190の変形例である圧力緩衝器290を示す断面図である。
本変形例では図12に示すように、カバー92に代えてカバー292を備えている。上述の圧力緩衝器190では、カバー92と磁性体層199とはそれぞれ別の部材である構成であるが、圧力緩衝器290においてはカバーは磁性体層を兼ねている。すなわち、カバー92よりも透磁率が高い磁性体層199と同様の素材を含有して形成されたカバー292が本体部91に固定されている。
本変形例でも圧力緩衝器190と同様に基準部材97の位置の変位を検出する際の分解能を高めることができる。
なお、本変形例1では、透磁率が高い磁性体層199と同様の素材を含有して形成されたカバー292として説明したが、このカバー292が導体を含有して形成されていても同様の効果を奏することができる。
次に、本発明の第3実施形態の圧力緩衝器について図13を参照して説明する。
図13は、本実施形態の圧力緩衝器390を示す断面図である。図13に示すように、圧力緩衝器390は、センサー回路部83に代えて、本体部91とカバー92との間に生じる空間の内部に配置されたセンサー回路部383を備える。
センサー回路部383はカバー92とループコイル部99との間に介在された基板382に取り付けられており、薄膜96によって液体との接触が抑制された位置関係にある。
このような構成であっても、センサー回路部83が本体部91とカバー92との間にあることで、基準部材97とループコイル部99との間の変位量を検出する手段がすべて本体部91とカバー92との間に配置されている。従って、圧力緩衝器390の外部形状を単純化することができ、圧力緩衝器の取り付け等における操作が簡便になる。
例えば、上記の各実施形態において説明した特徴的な構成は、各実施形態の間で適宜に組み合わせて実施することができる。
フレキシブル基板の一端は、図5に示すループコイル部99に接続されており、他端はリード線を有するコネクタとして不図示のヘッドに位置する制御回路基板へ接続されている。このように制御回路基板を介して、ループコイル部99から受信した信号を液体噴射記録装置1の制御部へ送信している。
また、図15に示さないが図5に示すカバー92とループコイル部99との間にセンサー回路部を介在した第3実施形態の変形例として、ループコイル部99として示す構成はループコイルとセンサー回路部が一体となった構成をでも良い。そこで、センサー回路部がカバー92に当接しないようにスペーサーを設けても構わない。
また、本発明の第3実施形態では、センサー回路部383が本体部91とカバー92との間に生じる空間の内部に配置されている構成を示した。詳しくは、図13に示すように、本体部91とカバー92との間に生じる空間に、基板382を設け、基板382にセンサー回路部383を配置する構成を示した。さらに、磁性体層199とループコイル部99とは基板382のセンサー回路部383が設けられている反対側の面に形成されている。本発明では、この形態に限らず、カバーの平面に基板を配置し、該基板にセンサー回路部を設け、さらに前記基板における基準部材と対向する位置に磁性体層または導体層とループコイル部とを設け、前記基板の一面側にセンサー回路部、磁性体層または導体層、及びループコイル部がともに配置された構成を採用しても良い。このような形態を採用することによって、圧力緩衝器の省スペース化をはかることができる。
また、本発明の実施形態においては、液体の充填に関して、ポンプモーターMを用いて加圧充填する方式を説明したが、この構成に限られるものではない。すなわち、液体噴射記録装置1に備えられているポンプであって、液体噴射ヘッド4が液体を噴射する噴射面に対向する位置に設けられている吸引キャップと、該吸引キャップに接続される吸引ポンプを使用しても構わない。このような構成では、該吸引キャップを前述の噴射面に当接させ、吸引ポンプによって吸引することで液体を液体噴射ヘッド4に充填する。
4 液体噴射ヘッド
51 液体供給管
83、383 センサー回路部(変位量検出手段)
90、190、290、390 圧力緩衝器
91 本体部
91a 凹部
92、292、492 カバー
93 接続部(管路)
94 接続部(管路)
96 薄膜
97 基準部材
98 付勢部材
99、499 ループコイル部(変位量センサー)
199 磁性体層
M ポンプモーター
Claims (14)
- 液体を貯留させるための凹部及び前記凹部に開口された管路が形成された本体部と、前記凹部を密封するように配置され前記凹部の周縁部で前記本体部に固定された薄膜と、前記薄膜と接離自在であって、前記凹部の内部に配置された基準部材と、前記凹部に貯留される前記液体の圧力変動に伴う前記基準部材の相対位置の変位を前記基準部材に対して非接触で検出する変位量検出手段と、を備える圧力緩衝器であって、
前記基準部材が磁性体または導体を含有し、前記変位量検出手段が前記基準部材に平行な面内で線材がループ状に巻かれたループコイル部を有する圧力緩衝器。 - 前記本体部に固定され少なくとも前記凹部を覆うカバーをさらに備える請求項1に記載の圧力緩衝器。
- 前記ループコイル部が、前記カバーの前記凹部側の面上で前記基準部材に対向するように固定されている請求項2に記載の圧力緩衝器。
- 前記カバーと前記ループコイル部との間に磁性体または導体を含有する磁性体層または導体層を有する請求項2または3に記載の圧力緩衝器。
- 前記カバーが、磁性体または導体を含有する請求項2または3に記載の圧力緩衝器。
- 前記凹部の内部で前記基準部材と前記本体部との間に介在され、前記基準部材の厚さ方向に弾性変形可能な付勢部材をさらに備える請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧力緩衝器。
- 前記ループコイル部に電気的に接続されて前記ループコイル部に生じる信号の変化を検出して外部へ送信するセンサー回路部をさらに備える請求項1〜6のいずれか一項に記載の圧力緩衝器。
- 前記ループコイル部に電気的に接続されて前記ループコイル部に生じる信号の変化を検出して外部へ送信するセンサー回路部が前記本体部と前記カバーとの間に生じる空間の内部に配置されている請求項2に記載の圧力緩衝器。
- 前記基準部材が、少なくとも1つの孔を有する請求項1〜8のいずれか一項に記載の圧力緩衝器。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の圧力緩衝器と、
前記液体を噴射する複数の噴射口を有し前記管路のいずれかに接続された噴射部と、
を備える液体噴射ヘッド。 - 請求項10に記載の液体噴射ヘッドと、
前記液体を収容する液体収容体と、
前記液体収容体と前記圧力緩衝器との間に接続され前記液体を流通させる液体供給管と、
前記管路の一部に接続されて前記圧力緩衝器によって検出された圧力値に基づいて前記管路の内部の液体を押圧移動または吸引移動させるポンプモーターと、
備える液体噴射記録装置。 - 前記噴射部を前記液体が噴射される被記録媒体に対向させつつ往復移動させる移動機構と、
前記被記録媒体を前記噴射部と一定の距離をもって搬送する搬送機構と、
をさらに備える請求項11に記載の液体噴射記録装置。 - 液体を貯留させるための凹部及び前記凹部に開口された管路が形成された本体部と、前記凹部を密封するように配置され前記凹部の周縁部で前記本体部に固定された薄膜と、前記薄膜と接離自在であって、前記凹部の内部に配置された基準部材と、前記凹部に貯留される前記液体の圧力変動に伴う前記基準部材の相対位置の変位を前記基準部材に対して非接触で検出する変位量検出手段と、を備える圧力緩衝器であって、
前記基準部材が磁性体または導体を含有し、前記変位量検出手段が前記基準部材に平行な面内で線材がループ状に巻かれたループコイル部を有する圧力緩衝器を用いたことを特徴とする圧力緩衝方法。 - 請求項13に記載の圧力緩衝方法であって、
前記変位量検出手段に具備する該変位に基づいて圧力値を算出する変位圧力算出手段と、
前記圧力値が0kPaから−2kPaの範囲となるように制御する圧力制御手段と、
を備えることを特徴とする圧力緩衝方法。
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