JP5437852B2 - 線材切断剥機 - Google Patents

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Description

本発明は、使用済みの線材(ケーブル)を細かく切断すると共に鋼線と外被の分離(外被剥き)を行う線材切断剥機に関する。
例えば、使用済みの線材(ケーブル)を回収してリサイクルするには、線材を細かく切断すると共に、鋼線と外被とを分離する作業が必要となる。特許文献1又は特許文献2には、線材のリサイクル技術ではないが、2本の駆動軸のそれぞれに固定刃と回転刃を交合に複数設け、それら2本の駆動軸を回転させることにより、各駆動軸に取り付けられた固定刃と回転刃とで、プラスチックや金属罐等を切断する破砕機が開示されている。
特開平7−155630号公報 特開平8−117629号公報
ところで、使用済みの線材を切断するには、固定刃及び回転刃の刃先が何れも尖った形状であることが望ましい。しかし、刃先が尖った形状であると、線材の切断により摩耗し、直ぐに刃先が丸まってしまう。また、固定刃及び回転刃の刃先が共に尖った形状であると、切断はできるが鋼材から外被をはぎ取って分離させることが難しい。
この一方、固定刃及び回転刃の刃先を共にR形状とした場合には、鋼材から外被を分離することが容易になるが、逆に線材を切断し難くなる。この他、線材の切断性と分離性を上げるために、刃先を尖った形状にして固定刃と回転刃の刃先間隔(クリアランス)を空けるように設定することも考えられる。しかしながら、この場合は、刃先が丸るまるのが早くなり、固定刃及び回転刃の交換作業と消耗品代で損失が大きくなる。
そこで、本発明は、線材の切断性と分離性を共に満足させると共に刃の交換サイクルを延ばすことのできる線材切断剥機を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、鋼線を外被で被覆してなる線材を固定刃と回転刃により外被を剥きながら切断する線材切断剥機において、前記固定刃と前記回転刃のうち、一方の刃先をR形状とし他方の刃先を尖った形状とし、且つそれら固定刃と回転刃の刃先間隔であるクリアランスを零としたことを特徴としている。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の線材切断剥機であって、前記回転刃と前記固定刃を略同一形状とし、回転刃の刃先をR形状とする一方で固定刃の刃先を尖った形状として、摩耗により刃がR形状となった固定刃を、前記回転刃として再利用することを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の線材切断剥機であって、前記回転刃を、回転体の長手方向に沿って複数取り付けると共に、該回転体に対して周方向にスライド調整自在に取り付けたことを特徴としている。
本発明によれば、一方の刃先をR形状とし他方の刃先を尖った形状とした固定刃と回転刃を用いると、R形状の刃先を持つ刃で鋼線から外被を剥くことができ、尖った刃先を持つ刃で線材を切断することができる。また、固定刃と回転刃の刃先間隔であるクリアランスが広いと、線材を切断することが出来なくなるが、初めからクリアランスを零とすることで、線材を切断することができる。このように、本発明によれば、切断性と分離性の両方を満足させることができる。
図1は本実施形態の線材刃先剥機の断面図である。 図2は本実施形態の線材刃先剥機で切断する線材を示す斜視図である。 図3は図1に示す固定刃の拡大斜視図である。 図4は図1に示す回転体の斜視図である。 図5は図1に示す回転体に取り付けられた固定刃の拡大斜視図である。 図6は図1に示す線材刃先剥機における切断部分の拡大図である。 図7は固定刃及び回転刃の刃先を共に尖った形状とし且つクリアランスを空けた時の切断部分の拡大図である。
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態の線材刃先剥機1は、図1に示すように、使用済みの線材2を投入させるホッパー3と、このホッパー3の内面3aに固定された固定刃4と、ホッパー3内に回転自在に設けられた回転体5に取り付けられた回転刃6と、を有している。
前記線材2は、例えば図2(A)に示すように鋼線2Aを外被2Bで被覆した単心線構造のものや、同じく図2(B)に示すように鋼線2Aと光ファイバ2Cを外被2Bで被覆した複心線構造のドロップ線とされる。もちろん、本発明は、図2に示した線材2の構造に限定されるものではない。
前記ホッパー3は、線材2を投入する投入口7から排出口8に渡ってその開口幅が次第に狭くされている。使用済みの線材2は、投入口7からその内部に投入されるようになっている。そして、固定刃4と回転刃6にて細かく切断された線材2は、鋼線2Aと外被2Bに分離されて排出口8から排出される。
前記固定刃4は、ホッパー3の内面3aに固定され、その長手方向を回転体5の軸方向と同一方向に向けて配置されている。かかる固定刃4は、図3に示すように、ホッパー3の内面3aに固定された刃固定用ブロック9に固定されるようになっている。この固定刃4は、1本の長尺状をなす刃でなく、所定長さの長方体形状をなし、それらの複数個を刃固定用ブロック9にそれぞれ着脱自在に取り付けられている。なお、刃固定用ブロック9は、ホッパー3に対して図示を省略するボルトとナット等の締結手段で固定されている。
前記固定刃4には、前記刃固定用ブロック9に対する取り付け位置を調整するための長穴10が形成されている。長穴10は、刃固定用ブロック9の長手方向と直交する方向に形成されており、この長穴10に取り付けられる取付ボルト11のボルト径よりも少し大きな幅を有した、いわゆるばか穴とされている。前記固定刃4は、この長穴10を介して取付ボルト11によって前記刃固定用ブロック9に固定される。そして、前記取付ボルト11によって複数個の固定刃4が刃固定用ブロック9に取り付けられることにより、一本の長尺状をなす固定刃となる。なお、各固定刃4は、ばか穴とされた長穴10によりスライド調整自在とされることによって、後述する回転刃6との刃先間隔であるクリアランス(ギャップ)調整が可能とされる。
前記固定刃4の刃先4Aは、図6(A)に示すように、2つの交差する一面4aと他面4bとがほぼ90度をなし、その交点の形状が尖った形状とされている。固定刃4の刃先4Aを尖った形状とすることで、線材2の切断を可能とする。
前記回転体5は、図4に示すように、図示を省略する回転駆動機構によって回転せしめられる円柱体として形成されている。この回転体5には、その長手方向両端に回転軸12が設けられている。
前記回転刃6は、図4及び図5に示すように、前記回転体5の周面5aに固定された刃固定用ブロック13に着脱自在に固定されるようになっている。この回転刃6は、前記固定刃4と略同一形状をなす所定長さの長方体形状とされている。複数個の回転刃6は、前記回転体5の周面5aに対してその長手方向に沿って所定間隔で且つ周方向に配置位置を少しずつずらしていわゆる螺旋形状に設けられている。なお、刃固定用ブロック13は、回転体5に対して図示を省略するボルト等の締結手段で固定されている。
前記回転刃6には、前記刃固定用ブロック13に対する取り付け位置を調整するための長穴14が形成されている。この長穴14は、回転刃6を回転体5に対して周方向にスライド調整自在なように該回転体5の周方向と同一向きに形成されており、この長穴14に取り付けられる取付ボルト15のボルト径よりも大きな幅を有した、いわゆるばか穴とされている。前記回転刃6は、この長穴14を介して取付ボルト15によって前記刃固定用ブロック13にその取り付け位置を調整して固定される。
前記回転刃6の刃先6Aは、図6(A)に示すように、2つの交差する一面6aと他面6bとがほぼ90度をなし、その交点の形状が円弧を描くR形状とされている。回転刃6の刃先6AをR形状とすることで、図6(B)に示すように鋼材2Aから外被2Bを剥いてこれらを分離させることを可能とする。前記刃先6AのR形状は、小さいと鋼材2Aから外被2Bを剥き難くなり、大きすぎると刃寿命が短くなる。例えば、この回転刃6の刃先6AのR寸法は、R1.5mm程度とすることが望ましい。
前記固定刃4と前記回転刃6は、その刃先4A、6Aの形状が尖った形状とR形状であることを除いては、同一形状とされている。これら固定刃4及び回転刃6に形成された長穴10、14の大きさ及び穴位置も同じである。
そして本実施形態では、図6(A)に示すように、前記固定刃4と前記回転刃6の刃先間隔であるクリアランスを零としている。つまり、回転刃6が回転した時に、該回転刃6の刃先6Aが固定刃4の刃先4Aに僅かに接触するか否かの刃先間隔とされている。前記クリアランスが大きくなると、線材2を切断することができなくなる。クリアランス調整は、刃固定用ブロック9に対してスライド調整自在とされた各固定刃4の取り付け位置を前後させて行う。
以上のように構成された線材切断剥機1を使用して使用済みの線材2をリサイクルするには、ホッパー3の投入口7から線材2を投入する。線材2は、長さの長いまま投入する。回転駆動機を作動して回転体5を回転させると、この回転体5に取り付けられた回転刃6が回転し、投入された線材2を、前記固定刃4とによって外被2Bを剥きながら切断する。
前記線材2は、前記した図6(B)に示すように、刃先6AがR形状とされた回転刃6で前記固定刃4に押し付けられて擦られることにより、鋼線2Aから外被2Bが剥かれる。また、線材2は、刃先4Aが尖った固定刃4によって切断される。例えば、線材2は、10mm程度の長さに細かく切断される。
前記固定刃4と前記回転刃6とにより鋼線2Aと外被2Bに分離され且つ細かく切断された線材2は、ホッパー3の排出口8から排出される。前記固定刃4及び回転刃6は、線材2の切断を繰り返すと刃先4A、6Aが摩耗してくる。固定刃4の刃先4Aは、摩耗により尖った形状から次第に円弧を描くR形状となる。摩耗によりR形状となった刃先4Aを有した固定刃4は、前記回転刃6として再利用する。回転刃6は、最初から刃先6Aが丸まっているので、ある程度摩耗するまで交換する必要がない。摩耗した固定刃4は、取付ボルト11を緩めることで刃固定用ブロック9から簡単に外すことができる。
ここで実際に、本実施形態の線材切断剥機を使用して線材を切断した場合(以下、実施例という)と、図7に示すように固定刃4及び回転刃6の刃先4A、6Aを共に尖った形状とし且つクリアランスを設けた線材切断剥機で線材を切断した場合(以下、比較例という)を比較した。
実施例では、線材の切断及び分離ともにうまくいったが、比較例では、線材を切断することはできるものの外被を鋼材から剥いて分離することができない。また、同じ量の線材を切断した場合において、刃先が摩耗して交換しなくてはならなくなった刃交換数は、実施例では固定刃12個であるに対して、比較例では固定刃12個に加えて回転刃24個になった。刃全体の交換個数は、実施例では12個であるが比較例では36個となり、実施例では比較例の1/3になった。
また、実施例では、摩耗した刃の交換作業時間及びクリアランス調整時間は、実施例では交換時間2時間、調整時間1時間であったが、比較例では交換時間4時間、調整時間2時間と実施例に対して2倍も要した。
また、実施例では、固定刃の刃先が摩耗した場合のみ交換となるが、比較例では固定刃だけなく回転刃も摩耗により交換しければならない。実施例では、尖った形状の刃先が摩耗してR形状となった固定刃を回転刃として再利用できるが、比較例では刃先が摩耗するとその摩耗した固定刃は破棄しなけばならない。
以上のように構成された線材切断剥機によれば、一方の刃先6AをR形状とし他方の刃先4Aを尖った形状とした回転刃6と固定刃4を用いると、R形状の刃先6Aを持つ刃で鋼線2Aから外被2Bを剥くことができ、尖った刃先4Aを持つ刃で線材2を切断することができる。また、固定刃4と回転刃6の刃先間隔であるクリアランスが広いと、線材2を切断することが出来なくなるが、初めからクリアランスを零とすることで、線材2を切断することができる。このように、本発明によれば、線材2の切断性と分離性の両方を満足させることができる。
また、本実施形態の線材切断剥機によれば、回転刃6と固定刃4を略同一形状とし、回転刃6の刃先6AをR形状とする一方で固定刃4の刃先4Aを尖った形状としたので、摩耗により固定刃4の刃先4AがR形状になった場合でも、摩耗してR形状となった固定刃4を前記回転刃6として再利用することができる。つまり、固定刃4をそのままの形状でリサイクルすることが可能となる。
また、本実施形態の線材切断剥機によれば、回転刃6の刃先6Aを最初からR形状としているので、該回転刃6を交換する必要がなく、刃全体の交換サイクルを延ばすことができる。このため、刃交換作業を短縮することができると共にクリアランス調整も短縮できる。
また、本実施形態の線材切断剥機によれば、回転体5の長手方向に沿って複数取り付けた回転刃6を、該回転体5に対して周方向にスライド調整自在としたので、摩耗した固定刃4を回転刃6として再利用する場合に該固定刃4を回転体5に取り付け易くなる。
本発明は、使用済みの線材を細かく切断すると共に鋼線と外被の分離を行うための線材切断剥機に利用することができる。
1…線材切断剥機
2…線材(ケーブル)
2A…鋼線(線材)
2B…外被(線材)
3…ホッパー
4…固定刃
5…回転体
6…回転刃
9、13…刃固定用ブロック
10、14…長穴
11、15…取付ボルト

Claims (3)

  1. 鋼線を外被で被覆してなる線材を固定刃と回転刃により外被を剥きながら切断する線材切断剥機において、
    前記固定刃と前記回転刃のうち、一方の刃先をR形状とし他方の刃先を尖った形状とし、且つそれら固定刃と回転刃の刃先間隔であるクリアランスを零とした
    ことを特徴とする線材切断剥機。
  2. 請求項1に記載の線材切断剥機であって、
    前記回転刃と前記固定刃を略同一形状とし、回転刃の刃先をR形状とする一方で固定刃の刃先を尖った形状として、摩耗により刃がR形状となった固定刃を、前記回転刃として再利用する
    ことを特徴とする線材切断剥機。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の線材切断剥機であって、
    前記回転刃を、回転体の長手方向に沿って複数取り付けると共に、該回転体に対して周方向にスライド調整自在に取り付けた
    ことを特徴とする線材切断剥機。
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