JP5437829B2 - ウエットブラスト装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば表面を研磨したい或いは荒らしたい被処理物に対してウエットブラスト処理を行うウエットブラスト装置に関するものである。
本出願人は、例えば特開2004−230535号に開示されるような砥粒と液体とを混合したスラリを被処理物に噴射して該被処理物の表面処理を行うウエットブラスト装置を提案している。
特開2004−230535号公報
本出願人は、これまで主に機械部品等の研磨・洗浄といった特殊分野で使用されてきたウエットブラスト処理の汎用性に着目し、例えば歯科技工における義歯の研磨、ジュエリー加工における表面処理、ネールアートにおける爪の洗浄などの分野においてもウエットブラスト処理を手軽に利用できるウエットブラスト装置を開発した。
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
砥粒2と液体3とを混合したスラリ4を被処理物1に噴射するウエットブラスト装置であって、前記被処理物1を収納する処理ケース5内に手を挿入する手挿入部6が設けられ、前記処理ケース5内には手持ち式のノズル体7が設けられ、このノズル体7は圧搾空気供給部20から供給される圧搾空気とともに、この圧搾空気によりスラリ収納容体10内から吸引された前記スラリ4が噴射されるように設けられており、前記処理ケース体5の下部には噴射済みスラリ4'を排出するスラリ排出部8が設けられ、このスラリ排出部8には該スラリ排出部8から排出される噴射済みスラリ4'を回収するスラリ回収容体9が設けられ、このスラリ回収容体9は前記ノズル体7へ前記スラリ4を供給する前記スラリ収納容体10と取り換え可能に設けられていることを特徴とするウエットブラスト装置に係るものである。
また、請求項1記載のウエットブラスト装置において、前記スラリ収納容体10と前記スラリ回収容体9とは互いに取り換え可能な同一形態の容器であることを特徴とするウエットブラスト装置に係るものである。
また、請求項1,2いずれか1項に記載のウエットブラスト装置において、前記スラリ収納容体10は複数個用意され、各スラリ収納容体10には、材質,粒径などが異なる砥粒2が収納されていることを特徴とするウエットブラスト装置に係るものである。
また、請求項3記載のウエットブラスト装置において、前記ノズル体7は前記処理ケース5内に複数設けられ、この各ノズル体7には夫々異なる前記スラリ収納容体10に連結されていることを特徴とする特徴とするウエットブラスト装置に係るものである。
また、請求項1〜4いずれか1項に記載のウエットブラスト装置において、前記処理ケース5内には前記ノズル体7を保持する保持部12が設けられていることを特徴とするウエットブラスト装置に係るものである。
また、請求項1〜5いずれか1項に記載のウエットブラスト装置において、卓上に載置し得る基体13の上部に前記処理ケース5が設けられ、前記基体13の下部に前記スラリ回収容体9を配設する容体配設部15が設けられ、この容体配設部15には前記スラリ回収容体9の上部開口部9aを前記スラリ排出部8に押圧付勢する付勢体16が設けられていることを特徴とするウエットブラスト装置に係るものである。
また、請求項1〜6いずれか1項に記載のウエットブラスト装置において、前記処理ケース5は、一対の中空半体5A,5Bを開閉自在に設けて構成されていることを特徴とするウエットブラスト装置に係るものである。
本発明は上述のように構成したから、ウエットブラスト処理を手元で行う細かい作業にも確実に適用でき、しかも、従来にない構成からコンパクト化及び低コスト化を実現して、従来からウエットブラスト処理が利用されている特殊分野以外の分野に確実に適用でき、その普及が期待される従来にない画期的なウエットブラスト装置となる。
本実施例を示す斜視図である。 本実施例を示す側断面図である。 本実施例の概略説明図である。 本実施例に係る要部の説明断面図である。 本実施例に係る要部の説明断面図である。 本実施例に係る要部の説明断面図である。 本実施例に係る要部の説明図である。 本実施例の使用状態説明図である。 本実施例の概略動作説明図である。
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
例えば処理ケース5内に手挿入部6から手を挿入し、一方の手で被処理物1を持ち、他方の手でノズル体7を持ち、ノズル体7から噴射されるスラリ4を被処理物1の表面に噴射してウエットブラスト処理を行う。ノズル体7はスラリ4を噴射する位置を自在に可変できるから、手作業にて被処理物1の任意の位置にスラリ4を噴射させることができる。
この被処理物1に噴射した噴射済みのスラリ4'は、後述するスラリ排出部8から排出されスラリ回収容体9で回収される。
従って、例えば被処理物1とノズル体7とを手で持って被処理物1の任意の位置にウエットブラスト処理が良好に行えることになるから、例えば歯科技工における義歯の研磨、ジュエリー加工における表面処理、ネールアートにおける爪の洗浄などといった手元で行う細かい作業にウエットブラスト処理を適用できる。
ところで、本発明のノズル体7は、圧搾空気供給部20から供給される圧搾空気とともに、この圧搾空気によりスラリ収納容体10ないから吸引された前記スラリ4が噴射されるように設けられている。つまり、スラリ4の噴射は圧搾空気による吸引(差圧)を利用した構成であり、この構成により、前述した従来からウエットブラスト処理が利用されている特殊分野以外の分野へウエットブラスト装置を適用する上で必要なコンパクト化及び低コスト化を確実に実現することができる。
具体的には、従来から提案されるウエットブラスト装置は、スラリ4と圧搾空気とを混合室で混合した後にノズルからスラリ4を噴射する構造であって、スラリ4を高圧で圧送するための大掛かりな装置(動力)が必要であり、これはウエットブラスト装置のコンパクト化及び低コスト化を阻害している。前述したように、従来からウエットブラスト処理が利用されている特殊分野以外の分野に、該ウエットブラスト処理を適用するには、ウエットブラスト装置のコンパクト化及び低コスト化が必須となるが、この点、本発明は、前述した構成から、スラリ4を高圧で圧送するための大掛かりな装置は不要であり、従って、コンパクト化及び低コスト化を確実に実現することができ、よって、例えば歯科技工における義歯の研磨、ジュエリー加工における表面処理、ネールアートにおける爪の洗浄などといった分野においてもウエットブラスト処理を適用できることになる。
ちなみに、この圧搾空気による吸引(圧搾空気が通過する部位とスラリ4が通過する部位との差圧)を利用してスラリ4を噴射する方式は、前述したスラリ4を混合室まで圧送して混合した後に圧搾空気とともに噴射する噴射方式に比しスラリ4の噴射圧は弱いものの、前述した例えば歯科技工における義歯の研磨、ジュエリー加工における表面処理、ネールアートにおける爪の洗浄などといった、前述した従来からウエットブラスト処理が利用されている特殊分野以外の分野において使用するには、十分な噴射圧と言える。
以上、このスラリ4の噴射構造(スラリ4を高圧で圧送するための大掛かりな装置(動力)を不要とする構造)を採用することで、ウエットブラスト装置を構成する各種部品のサイズや部品点数を必要最小限のものとすることができ、よって、コンパクト化及び低コスト化を確実に実現することができる。
また、本発明は、処理ケース体5の下部には噴射済みスラリ4'を排出するスラリ排出部8が設けられ、このスラリ排出部8には該スラリ排出部8から排出される噴射済みスラリ4'を回収するスラリ回収容体9が設けられ、このスラリ回収容体9は、ノズル体7へスラリ4を供給するスラリ収納容体10と取り換え可能に設けられているから、ウエットブラスト装置内をスラリ4を循環させる構造とした際に必要となる大掛かりな装置(ポンプ等の動力源)は不要となり、この点においてもコンパクト化及び低コスト化が実現でき、しかも、スラリ回収容体9はスラリ収納容体10としても使用でき、この構成によっても低コスト化を実現することができる。
以上のように、本発明は、前述した構成を具備することで、ウエットブラスト処理を手元で行う細かい作業に確実に適用でき、しかも、従来にない構成からコンパクト化及び低コスト化を実現して、従来からウエットブラスト処理が利用されている特殊分野以外の分野に確実に適用し得ることになる。
本発明の具体的な一実施例について図面に基づいて説明する。
本実施例は、砥粒2と液体3とを混合したスラリ4を被処理物1に噴射するウエットブラスト装置である。尚、本実施例では、ウエットブラスト処理を行う作業として、例えば歯科技工における義歯の研磨やクラウン(金属製歯)の表面処理、ジュエリー加工における表面処理、ネールアートにおける爪の洗浄などを例示としているが、これらに限られるものではない。
具体的には、本実施例は、ウエットブラスト処理部と、スラリ収納部と、スラリ供給部11と、圧搾空気供給部20を具備している。
ウエットブラスト処理部は、卓上に載置し得る大きさの基体13の上部に処理ケース5を設けるとともに、基体13の下部にスラリ回収容体9を配設し得る容体配設部15を設けて構成されている。尚、基体13は高さ約26cm,幅約28cm,奥行き約29cmであり、処理ケース5は直径約30cmである。
基体13は、図1〜3に図示したように適宜な金属製の部材で形成されており、平面視U字状の接地部13Aの後方に支柱部13Bを立設して構成されている。
支柱部13Bは、背板13aと該背板13aの左右に連設する側板13b・13bとからなる平断面視コ字状体であり、この支柱部13Bの上方部位にはケース載置部14が設けられている。
このケース載置部14は、図1〜3に図示したように適宜な金属製の部材(パイプ材)で環状体14'を設け、この環状体14'を支柱部13Bに係る側板13b・13b間に水平状態で溶接して構成されている。
このケース載置部14には、後述する処理ケース5に係る下方半体5Aが止着部材14a(螺着ボルト)を介して載置固定される。
また、支柱部13Bには容体配設部15が設けられている。
この容体配設部15は、図1〜3に図示したように適宜な金属製の部材で板状体15'を設け、この板状体15'の基端部を支柱部13Bに枢着して構成されている。
具体的には、板状体15'の基端部左右側縁には連結板15a・15aが立設され、この左右の連結板15a・15a夫々の基端側外面に突設された突部17aを支柱部13Bの左右側板13b・13b夫々に枢着して構成されており、この突部17aは、連結板15a・15a同士間に架設される棒材17の両端部で構成されている。
従って、容体配設部15は、支柱部13Bに対して基端部を支点として上下方向に擺動自在となる。
また、本実施例では、この容体配設部15の上方への移動を阻止する移動阻止部18が設けられている。
この移動阻止部18は、図1,2に図示したように支柱部13Bに係る側板13b・13b夫々の前縁に切欠き凹部18aを設けるとともに、この切欠き凹部18aに貫挿される突部18b'を板状体15'に係る連結板15a・15a夫々の先端側外面に突設して構成されている。
従って、容体配設部15は、後述する付勢体16により上方へ付勢された状態において、移動阻止部18に係る突部18b'が切欠き凹部18aの上縁に係止することで上方への移動が阻止される。
また、この移動阻止部18に係る突部18b'は、連結板15a・15a同士間に架設される棒材18bの両端部で構成されている。また、付勢体16(コイルバネ)は、支柱部13Bに係る側板13b・13bの上方所定位置に架設される架設部19と移動阻止部18に係る棒材18bとの間に設けられている。
この付勢体16は、容体配設部15に配設された後述するスラリ回収容体9の上部開口部9aがスラリ排出部8に対して押圧状態となるように付勢するためのものである。
符号13cは高さ調整自在な接地体である。
処理ケース5は、一対の中空半体5A,5B(下方半体及び上方半体)を開閉自在に枢着して構成されている。
下方半体5Aは、図1〜3に図示したように適宜な合成樹脂製の部材(透明な部材)で形成した中空の球状半体であり、枢着部は奥側であり、ケース載置部14に固着された下方半体5Aに対して上方半体5Bを上方へ擺動させると開口部が上方を向く状態で露出するように構成されている。尚、下方半体5Aの外面には半透明処理が施されている。
また、下方半体5Aの下部には所定径を有する円形の貫通孔5aが設けられ、この貫通孔5aの周縁には筒状部5bが下方に垂設されている。
この筒状部5bは、処理ケース5内で噴射済みのスラリ4'を排出するスラリ排出部8であり、このスラリ排出部8に係る筒状部5bの上方位置にして下方半体5Aの内面部位には目皿21が設けられている。
また、下方半体5Aには手挿入部6が設けられている。
この手挿入部6は、図1,2に図示したように下方半体5Aの正面左右位置に設けた一対の貫通孔5cにゴム製の手袋6Aを設けて構成されている。
この手袋6Aは下方半体5A内に配されており、この下方半体5A内に配された手袋6Aの基端部は貫通孔5cの外側縁部に折り返して係止され固定バンド6Bで固定されている(図4参照)。
従って、手挿入部6から挿入した手を手袋6Aに入れ、この手袋6Aを介した状態でウエットブラスト処理を行うことができる。
また、下方半体5Aの開口縁部には段状部5dが設けられており、この段状部5dに後述する上方半体5Bの開口縁部を載置し得るように構成されている。
従って、処理ケース5を閉塞状態とした際には、下方半体5Aと上方半体5B夫々の開口縁部同士が嵌合状態となり、この縁部同士の重合部位から処理ケース5内で噴射された噴射済みのスラリ4'が漏れることが防止される。
また、下方半体5Aの後方部位には複数の小孔(図示省略)が設けられており、この各小孔は後述するスラリ供給部11及び圧搾空気供給部20に係る各ホースを貫通する部位である。
上方半体5Bは、図1〜3に図示したように適宜な合成樹脂製の部材(透明な部材)で形成した中空の球状半体であり、前述した下方半体5Aの上部に載置されている。尚、上方半体5Bの外面は後述する窓部22を設ける部位を除いた部位に半透明処理が施されている。
また、上方半体5Bの正面位置には円形の透明部が設けられており、この透明部は、処理ケース5の外部から内部を見るための窓部22である。
また、上方半体5Bは、外面後方位置に凹部5eが設けられており、この凹部5eには排気構造部23が設けられている。
この排気構造部23は、図2に図示したように上方半体5Bの凹部5e底面に貫通状態に配される筒状体23Aと、この筒状体23Aの一端部を被覆し上方半体5Bの内面側に配される内側ボックス状体23Bと、この筒状体23Aの他端部を被覆し上方半体5Bの外面側に配される外側ボックス状体23Cとで構成されている。
従って、上方半体5B(処理ケース5)の内部と外部とは、内側ボックス状体23B,筒状体23A及び外側ボックス状体23Cから成る排気通路で連通されている。尚、符号24は排気構造部23を隠蔽するカバー体であり、このカバー体24の一部も排気構造部に係る排気通路を構成する。
また、筒状体23Aにおける上方半体5Bの内面側に配される部位にはフィルター(図示省略)が設けられ、一方、上方半体5Bの外面側に配される部位には排気ファン(図示省略)が設けられており、この排気ファンにより処理ケース5内の空気は、内側ボックス状体23B,筒状体23A及び外側ボックス状体23Cから成る排気通路を通過して外部へ排気されることになる。
また、外側ボックス状体23Cは、前述した支柱部13Bの上部に蝶番25を介して枢着されている。
従って、上方半体5Bはこの枢着部を支点として支柱部13Bの上部で擺動自在となり、下方半体5Aに対して上下方向に擺動して開閉自在となる。
また、内側ボックス状体23Bには、後述するノズル体7を保持する保持部12が複数(3つ)設けられている。
この保持部12は、内側ボックス状体23Bの外面に設けられるリング部材で構成されており、この保持部12にノズル体7に設けられる係止部7eを係止させることで該ノズル体7を係止保持し得ることになる。
符号26は照明部、27は上方半体5Bを開閉する際に摘む摘み部である。
ノズル体7は、図2,3,5,6に図示したように適宜な金属製の部材をペン形状に形成したものであり、内部にスラリ通過路7aと圧搾空気通過路7bが設けられている。
スラリ通過路7aの基端部には後述するスラリ供給部11が連設され、圧搾空気通過路7bの基端部には後述する圧搾空気供給部20が連設され、このスラリ通過路7aと圧搾空気通過路7bとは先端部同士がスラリ噴射孔7cの近傍位置で連設している。
従って、圧搾空気を圧搾空気通過路7bを介してスラリ噴射孔7cから噴射させることでスラリ通過路7aは負圧となり、後述するスラリ収納容体10に収納されたスラリ4は、スラリ供給部11を介して吸引されてスラリ噴射孔7cから噴射されることになる。
また、圧搾空気通過路7bには開閉弁7dが設けられており、この開閉弁7dにはノズル体7の外部に突出した押圧部7d’が設けられ、この押圧部7d’をバネ28の付勢に抗して押圧することで圧搾空気通過路7bは閉塞状態から開放状態となる(図6参照)。
符号7eは前述した保持部12に係止する鉤状の係止部である。
本実施例では、このノズル体7は処理ケース5内に複数(3つ)収納されており、スラリ収納部に収納されたスラリ4が噴射される構成である。
スラリ収納部は、台本体29と、この台本体29の上面に載置されるスラリ収納容体10とで構成されている。
台本体29は、図1,3に図示したように適宜な金属製の部材で形成したものであり、その上面にスラリ収納容体10を複数(3つ)載置し得る載置面が設けられている。
また、台本体29にはスラリ攪拌部30が設けられている。
このスラリ攪拌部30は、図1,3,7に図示したようにスラリ収納容体10の上部開口部を閉塞する閉塞体30aを台本体29に前後方向に擺動自在に枢着し、この閉塞体30aに攪拌羽根30b'が垂設されるモーター30bを設けて構成されており、台本体29の正面に設けたスイッチ30cの操作によりON・OFFする。符号30c'は照明部26をON・OFFするスイッチである。
従って、閉塞体30aを擺動させて台本体29の載置面に載置したスラリ収納容体10に攪拌羽根30b'を出し入れすることができ(図7参照)、また、このスラリ攪拌部30でスラリ収納容体10内に収納されたスラリ4を攪拌することでノズル体7から噴射されるスラリ4の濃度を均一に保つことができる。
また、台本体29の側部には、圧搾空気ノズル20cが設けられており、この圧搾空気ノズル20cには、後述する圧搾空気供給装置20aから圧搾空気を導入する1つの導入部と、この導入部から導入された圧搾空気を導出する複数(3つ)に分岐した導出部とを具備する。
スラリ収納容体10は、図1〜3に図示したように所定容量を有する透明ガラス製の瓶(ポット)で構成されたものであり、前述した閉塞体30aにより閉塞される上部開口部10aを有する。
本実施例では、スラリ収納容体10を複数(3つ)用意しており、この各スラリ収納容体10に収納されるスラリ4は、砥粒2と液体3との混合物であり、各スラリ収納容体10には異なる径の砥粒2が混合されたスラリ4が収納されている。尚、砥粒2としては微粒子のアルミナが採用され、液体3としては水が採用されているが、これに限られるものではない。
スラリ供給部11は、図1,3に図示したように適宜な合成樹脂製のスラリ供給ホース11a,11b,11cで構成されており、この各スラリ供給ホース11a,11b,11cの一端部はスラリ収納容体10内に配され、他端部はノズル体7に接続される。
本実施例では、各スラリ供給ホース11a,11b,11cを色付きとしてその色を異ならせており、各スラリ収納容体10内に収納されるスラリ4の条件(スラリ4を構成する砥粒2の径を異ならせたり、スラリ4の濃度を異ならせたり、また、砥粒2の材質を異ならせたりする。)を異ならせた場合には、このノズル体7に接続されるスラリ供給ホース11a,11b,11cの色を見てスラリ4の条件を簡易に確認することができる。
圧搾空気供給部20は、図1,3に図示したように圧搾空気供給装置20a(コンプレッサー)と、この圧搾空気供給装置20aから供給される圧搾空気をノズル体7まで搬送する圧搾空気搬送ホースとで構成されている。
圧搾空気搬送ホースは、圧搾空気供給装置20aから延設され台本体29の圧搾空気ノズル20cに係る導入部に接続される第一ホース20bと、圧搾空気ノズル20cに係る三つの導出部夫々に接続される第二ホース20b'とで構成されている。尚、圧搾空気搬送ホースとしては前述したスラリ供給部11に係る各スラリ供給ホース11a,11b,11cと異なる色(透明)のホースが採用されている。
従って、一つの圧搾空気供給装置20aから3つのノズル体7に圧搾空気が供給されるように構成されており、圧搾空気供給部20から供給される圧搾空気がノズル体7から噴射され、且つ、この圧搾空気によりスラリ収納容体10に収納されたスラリ4が吸引されて該圧搾空気とともにノズル体7から噴射されることになる。
尚、圧搾空気供給部20は、例えば歯科医などに既に設置されるコンプレッサーを使用するようにしても良い。
スラリ回収容体9は、図1〜3に図示したように所定容量を有する透明ガラス製の瓶(ポット)で構成されたものであり、前述したスラリ収納容体10と同形態(同構造)である。
このスラリ回収容体9は、容体配設部15に載置した際、付勢体16により付勢されて上部開口部9aがスラリ排出部8(筒状部5b)の周囲に被嵌し得るように構成されている。
従って、スラリ回収容体9は、スラリ排出部8から排出される噴射済みのスラリ4'を回収することができ、また、スラリ収納容体10と取り換えて該スラリ収納容体10として使用することができる。一方、スラリ収納容体10は、スラリ回収容体9と取り換えて該スラリ回収容体9として使用することができる。
以上の構成から成るウエットブラスト装置によるウエットブラスト処理について説明する。
先ず、処理ケース5内に左右の手挿入部6から両手を挿入し、一方の手で被処理物1を持ち、他方の手でノズル体7を持つ。ノズル体7はスラリ4を構成する砥粒2の種類やスラリ4の濃度等を考慮してウエットブラスト処理に適したノズル体7を選択する。例えば荒削り、中仕上げ、仕上げといった3種類のスラリ4が用意される。
続いて、ノズル体7の押圧部7dを押圧して、スラリ4を噴射させて該スラリ4を被処理物1の表面に噴射してウエットブラスト処理を行う(図8参照)。ノズル体7はスラリ4を噴射する位置を自在に可変して、被処理物1の任意の位置にスラリ4を噴射させる。
この被処理物1に衝突した噴射済みのスラリ4'は、後述するスラリ排出部8から排出されスラリ回収容体9で回収される(図9参照)。
スラリ収納容体10のスラリ4が無くなった後も同じスラリ4で処理する場合には、この同一形態であるスラリ収納容体10とスラリ回収容体9とを取り替えて、引き続きウエットブラスト処理を続ける。このことから、スラリ4の移し替え等の煩わしい作業がなくなる。
尚、スラリ収納容体10のスラリ4を全て同一のスラリ4としても良く、この場合、同一のスラリ4を多量に噴射させることができる(例えば複数人に対して行われ衛生が要求されるネイル処理に適することになる。)。
本実施例は上述のように構成したから、被処理物1とノズル体7とを手で持って被処理物1の任意の位置にウエットブラスト処理が良好に行えることになるから、例えば歯科技工における義歯の研磨、ジュエリー加工における表面処理、ネールアートにおける爪の洗浄などといった手元で行う細かい作業にウエットブラスト処理を適用できる。
また、本実施例は、スラリ4の噴射構造(スラリ4を高圧で圧送するための大掛かりな装置(動力)を不要とする構造)を採用することで、ウエットブラスト装置を構成する各種部品のサイズや部品点数を必要最小限のものとすることができ、よって、コンパクト化及び低コスト化を確実に実現することができる。
また、本実施例は、スラリ回収容体9はノズル体7へスラリ4を供給するスラリ収納容体10と取り換え可能に設けられているから、ウエットブラスト装置内をスラリ4を循環させる構造とした際に必要となる大掛かりな装置(ポンプ等の動力源や削り屑を除去する装置)は不要となり、この点においてもコンパクト化及び低コスト化が実現でき、しかも、スラリ回収容体9はスラリ収納容体10としても使用でき、この構成によっても低コスト化を実現することができる。
また、ウエットブラスト装置内をスラリ4を循環させる構造とした場合には、複数のスラリ4を使用しようとすると、別のスラリ4による処理へ移行する際には、洗浄作業が必要となるが、この点、本実施例であれば前述した問題が生じることはない。
よって、本実施例によれば、前述した構成を具備することで、ウエットブラスト処理を手元で行う細かい作業に確実に適用でき、しかも、従来にない構成からコンパクト化及び低コスト化を実現して、従来からウエットブラスト処理が利用されている特殊分野以外の分野に確実に適用できることになる。
また、本実施例は、ノズル体7は処理ケース5内に複数設けられ、この各ノズル体7には夫々異なるスラリ収納容体10に連結されているから、簡易且つ迅速に最適な条件のスラリ4を選択してウエットブラスト処理することができる。
また、本実施例は、処理ケース5内にはノズル体7を保持する保持部12が設けられているから、処理ケース5内が乱雑にならず、この点においても簡易且つ迅速に最適な条件のスラリ4を選択してウエットブラスト処理することができる。
また、本実施例は、容体配設部15にはスラリ回収容体9の上部開口部9aをスラリ排出部8に押圧付勢する付勢体16が設けられているから、処理ケース5内で噴射された噴射済みスラリ4が漏れるのを可及的に防止して良好に回収することができる。
また、本実施例は、処理ケース5は、一対の中空半体5A,5Bを開閉自在に設けて構成されているから、簡易構造にしてコスト安にして量産性に秀れることになる。
本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
1 被処理物
2 砥粒
3 液体
4 スラリ
4' スラリ
5 処理ケース
5A 中空半体
5B 中空半体
6 手挿入部
7 ノズル体
8 スラリ排出部
9 スラリ回収容体
9a 上部開口部
10 スラリ収納容体
12 保持部
13 基体
15 容体配設部
16 付勢体
20 圧搾空気供給部

Claims (7)

  1. 砥粒と液体とを混合したスラリを被処理物に噴射するウエットブラスト装置であって、前記被処理物を収納する処理ケース内に手を挿入する手挿入部が設けられ、前記処理ケース内には手持ち式のノズル体が設けられ、このノズル体は圧搾空気供給部から供給される圧搾空気とともに、この圧搾空気によりスラリ収納容体内から吸引された前記スラリが噴射されるように設けられており、前記処理ケース体の下部には噴射済みスラリを排出するスラリ排出部が設けられ、このスラリ排出部には該スラリ排出部から排出される噴射済みスラリを回収するスラリ回収容体が設けられ、このスラリ回収容体は前記ノズル体へ前記スラリを供給する前記スラリ収納容体と取り換え可能に設けられていることを特徴とするウエットブラスト装置。
  2. 請求項1記載のウエットブラスト装置において、前記スラリ収納容体と前記スラリ回収容体とは互いに取り換え可能な同一形態の容器であることを特徴とするウエットブラスト装置。
  3. 請求項1,2いずれか1項に記載のウエットブラスト装置において、前記スラリ収納容体は複数個用意され、各スラリ収納容体には、材質,粒径などが異なる砥粒が収納されていることを特徴とするウエットブラスト装置。
  4. 請求項3記載のウエットブラスト装置において、前記ノズル体は前記処理ケース内に複数設けられ、この各ノズル体には夫々異なる前記スラリ収納容体に連結されていることを特徴とする特徴とするウエットブラスト装置。
  5. 請求項1〜4いずれか1項に記載のウエットブラスト装置において、前記処理ケース内には前記ノズル体を保持する保持部が設けられていることを特徴とするウエットブラスト装置。
  6. 請求項1〜5いずれか1項に記載のウエットブラスト装置において、卓上に載置し得る基体の上部に前記処理ケースが設けられ、前記基体の下部に前記スラリ回収容体を配設する容体配設部が設けられ、この容体配設部には前記スラリ回収容体の上部開口部を前記スラリ排出部に押圧付勢する付勢体が設けられていることを特徴とするウエットブラスト装置。
  7. 請求項1〜6いずれか1項に記載のウエットブラスト装置において、前記処理ケースは、一対の中空半体を開閉自在に設けて構成されていることを特徴とするウエットブラスト装置。
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