JP5437226B2 - ハイブリッド駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンと、第1モータ・ジェネレータと、トランスミッションとを備えるハイブリッド駆動装置に関する。
遊星歯車機構のキャリヤにエンジンのクランクシャフトを接続し、サンギヤに発電用のモータ・ジェネレータを接続し、リングギヤにトラクション用のモータ・ジェネレータおよび駆動輪を接続したハイブリッド車両が、下記特許文献1により公知である。
WO 2009/011328 A1
ところでモータ・ジェネレータを発電機として機能させるときには、その回転が高い方が効率の良い発電を行うことができる。上記特許文献1に記載された発明は、エンジンのクランクシャフトの回転を遊星歯車機構で増速して発電用のモータ・ジェネレータを駆動することができるので、効率の高い発電を行うことが可能である。
しかしながら上記特許文献1に記載された発明は、トラクション用のモータ・ジェネレータを減速に配置するためだけに別軸を新規に設けており、部品点数やコストの増加が懸念されるだけでなく、トラクション用のモータ・ジェネレータを別軸配置したことでギヤの噛み合い数が増えて伝達効率が低下する問題があり、しかもトラクション用のモータ・ジェネレータを別軸配置したことによるエンジンの出力回転数の増速作用は持ち合わせていない。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、ハイブリッド動力装置において、トランスミッションにおける適切な変速比の確保とモータ・ジェネレータの増速駆動とを両立させることを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、エンジンと、第1モータ・ジェネレータと、トランスミッションとを備えるハイブリッド駆動装置において、前記トランスミッションは、入力軸と、前記入力軸に対して平行に配置された出力軸と、前記出力軸の外周に相対回転自在に嵌合する第1中間軸と、前記入力軸の外周に相対回転自在に嵌合する第2中間軸とを備え、前記入力軸には前記エンジンの駆動力が入力され、前記入力軸に設けた第1ギヤが前記第1中間軸に相対回転自在に支持した第2ギヤに噛合することで該入力軸の回転は増速して該第2ギヤに伝達され、前記第2中間軸の外周には遊星歯車機構が配置され、前記遊星歯車機構の第1要素は前記第1中間軸に設けた第3ギヤに接続され、前記遊星歯車機構の第2要素は前記第2中間軸に接続され、前記遊星歯車機構の第3要素は前記出力軸に接続され、前記入力軸は第1クラッチを介して前記第2中間軸に結合可能であり、前記第2ギヤは第2クラッチを介して前記第1中間軸に結合可能であり、かつ前記第1モータ・ジェネレータと一体に回転可能であることを特徴とするハイブリッド駆動装置が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記遊星歯車機構の前記第1要素は、第3クラッチを介して前記第2中間軸に結合可能であり、かつブレーキを介してケーシングに結合可能であることを特徴とするハイブリッド駆動装置が提案される。
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1または請求項2の構成に加えて、前記第2中間軸と一体に回転可能な第2モータ・ジェネレータを備えることを特徴とするハイブリッド駆動装置が提案される。
また請求項4に記載された発明によれば、請求項1〜請求項3の何れか1項の構成に加えて、前記第1モータ・ジェネレータは前記第1中間軸の外周側に配置され、前記第1モータ・ジェネレータの軸方向一方側に前記第2ギヤが配置されるとともに軸方向他方側に前記第3ギヤが配置され、前記第1モータ・ジェネレータの同軸上の内周側であって軸方向に重なる位置に前記第2クラッチが配置されることを特徴とするハイブリッド駆動装置が提案される。
また請求項5に記載された発明によれば、請求項3または請求項4の構成に加えて、前記第2モータ・ジェネレータの同軸上の内周側であって軸方向に重なる位置に前記第1クラッチが配置されることを特徴とするハイブリッド駆動装置が提案される。
尚、実施の形態のメインシャフト13は本発明の入力軸に対応し、実施の形態のサンギヤ15、リングギヤ16およびキャリヤ17はそれぞれ本発明の遊星歯車機構の第2要素、第1要素および第3要素に対応し、実施の形態のカウンタシャフト19は本発明の出力軸に対応し、実施の形態の増速ドライブギヤ21は本発明の第1ギヤに対応し、実施の形態の増速ドリブンギヤ22は本発明の第2ギヤに対応し、実施の形態の増速出力ギヤ23および増速・減速出力ギヤ23′は本発明の第3ギヤに対応する。
請求項1の構成によれば、エンジンの駆動力が入力される入力軸に設けた第1ギヤに噛合する第2ギヤの回転は入力軸の回転に対して増速されるので、第2ギヤと一体に回転する第1モータ・ジェネレータを増速した回転数で駆動して発電効率を高めることができ、しかも入力軸の回転を第1、第2ギヤで増速して第1モータ・ジェネレータに伝達するので、遊星歯車機構で増速して第1モータ・ジェネレータに伝達する場合に比べて、ギヤの噛み合い数を減らして伝達損失を低減することができる。
また出力軸の外周に相対回転自在に嵌合する第1中間軸に第2ギヤが第2クラッチを介して結合され、入力軸の外周に相対回転自在に嵌合して第1クラッチで結合される第2中間軸の外周に遊星歯車機構が設けられ、遊星歯車機構の第1要素は第1中間軸に設けた第3ギヤに接続され、遊星歯車機構の第2要素は第2中間軸に接続され、遊星歯車機構の第3要素は出力軸に接続されるので、第1ギヤ、第2ギヤ、第2クラッチ、第1中間軸および第3ギヤを経て増速された回転数と、第1クラッチを経た等速の回転数とを遊星歯車機構に入力することで、入力軸および出力軸間に複数の変速段を確立することができる。
変速のための増速経路を構成する第2ギヤ、第2クラッチ、第1中間軸および第3ギヤを出力軸と同軸に配置したので、トランスミッションを小型化することができるだけでなく、変速のための増速経路を第1モータ・ジェネレータを増速駆動するために利用してコストダウンを図ることができ、しかも第2クラッチが第2ギヤを第1中間軸に結合可能なので、変速のために増速を必要としない場合に第2クラッチを非係合にしても、第1モータ・ジェネレータを増速回転させて発電効率を高めることができる。
また請求項2の構成によれば、遊星歯車機構の第1要素は、第3クラッチを介して第2中間軸に結合可能であり、かつブレーキを介してケーシングに結合可能であるので、第3クラッチおよびブレーキを選択的に係合することで二つの変速段を確立することができる。
また請求項3の構成によれば、第2中間軸と一体に回転可能な第2モータ・ジェネレータを設けたので、簡単な構造で第2モータ・ジェネレータの駆動力で車両を走行させたり、第2モータ・ジェネレータの駆動力でエンジンの駆動力をアシストしたり、第2モータ・ジェネレータを回生制動して車両の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収したりすることができる。
また請求項4の構成によれば、第1中間軸の外周に配置した第1モータ・ジェネレータの軸方向両側に第2ギヤおよび第3ギヤを振り分けて配置し、かつ第1モータ・ジェネレータの同軸上の内周側であって軸方向に重なる位置に第2クラッチを配置したので、トランスミッションの軸方向の長さを短縮することができる。
また請求項5の構成によれば、第2モータ・ジェネレータの同軸上の内周側であって軸方向に重なる位置に第1クラッチを配置したので、トランスミッションの軸方向の長さを短縮することができる。
ハイブリッド駆動装置のスケルトン図。(第1の実施の形態) 1速変速段の確立状態を示す図。(第1の実施の形態) 2速変速段の確立状態を示す図。(第1の実施の形態) 3速変速段の確立状態を示す図。(第1の実施の形態) 4速変速段の確立状態を示す図。(第1の実施の形態) トランスミッションの速度線図。(第1の実施の形態) トランスミッションの第1〜第3クラッチおよびブレーキの係合表。(第1の実施の形態) ハイブリッド駆動装置のスケルトン図。(第2の実施の形態) 2速変速段の確立状態を示す図。(第2の実施の形態) 3速変速段の確立状態を示す図。(第2の実施の形態) トランスミッションの速度線図。(第2の実施の形態) トランスミッションの第1〜第4クラッチおよびブレーキの係合表。(第2の実施の形態)
以下、図1〜図7に基づいて本発明の第1の実施の形態を説明する。
図1に示すように、ハイブリッド車両の4速のトランスミッションTは、エンジンEのクランクシャフト11にダンパー12を介して同軸に接続されたメインシャフト13を備えており、メインシャフト13の外周に第2中間軸14が相対回転可能に嵌合する。第2中間軸14は第1クラッチC1を介してメインシャフト13に結合可能であり、かつ第2モータ・ジェネレータMG2のロータに接続される。
メインシャフト13および第2中間軸14の外周に設けられる変速用の遊星歯車機構Pは、サンギヤ15と、リングギヤ16と、キャリヤ17と、キャリヤ17に回転自在に支持されて前記サンギヤ15および前記リングギヤ16に同時に噛合する複数のピニオン18…とを備える。サンギヤ15は第2中間軸14に固定され、リングギヤ16はブレーキB1を介してケーシング30に結合可能であり、かつ第3クラッチC3を介して第2中間軸14に結合可能である。
トランスミッションTのカウンタシャフト19の外周に第1中間軸20が相対回転可能に嵌合する。メインシャフト13に固定した増速ドライブギヤ21が第1中間軸20に相対回転自在に支持した増速ドリブンギヤ22に噛合し、第1中間軸20に固定した増速出力ギヤ23が遊星歯車機構Pのリングギヤ16の外周に一体に形成した変速入力ギヤ24に噛合し、遊星歯車機構Pのキャリヤ17に固定した第1変速出力ギヤ25がカウンタシャフト19に固定した第2変速出力ギヤ26に噛合する。増速ドリブンギヤ22は第1モータ・ジェネレータMG1のロータに接続されるとともに、第2クラッチC2を介して第1中間軸20に結合可能である。
カウンタシャフト19に固定したファイナルドライブギヤ27はディファレンシャルギヤDに固定したファイナルドリブンギヤ28に噛合し、ディファレンシャルギヤDから左右に延びるドライブシャフト29,29に左右の駆動輪W,Wが接続される。
増速ドリブンギヤ22および増速出力ギヤ23は第1モータ・ジェネレータMG1の軸方向両側に振り分けて配置され、第1モータ・ジェネレータMG1の同軸上の内周側に設けられた第2クラッチC2は、第1モータ・ジェネレータMG1に対して軸方向に重なる位置に配置される。また第2モータ・ジェネレータMG2の同軸上の内周側に設けられた第1クラッチC1は、第2モータ・ジェネレータMG2に対して軸方向に重なる位置に配置される。
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用を説明する。
図1および図6から明らかなように、第1クラッチC1を係合すると、メインシャフト13が第2中間軸14に直結されるため、第2中間軸14はメインシャフト13と同一回転数で回転する。また第2クラッチC2を係合すると、メインシャフト13の回転が増速ドライブギヤ21、増速ドリブンギヤ22、第2クラッチC2、第1中間軸20、増速出力ギヤ23および変速入力ギヤ24を介して遊星歯車機構Pのリングギヤ16に伝達される。このとき、増速ドライブギヤ21の歯数は増速ドリブンギヤ22の歯数よりも大きいため、リングギヤ16の回転はメインシャフト13の回転に対して増速される。
尚、増速ドライブギヤ21および増速ドリブンギヤ22の歯数比は必ず増速に設定する必要があるが、増速出力ギヤ23および変速入力ギヤ24の歯数比は等速でも増速でも良く、また増速ドライブギヤ21および増速ドリブンギヤ22による増速を相殺しない程度の減速であっても良い。
ブレーキB1を係合すると、遊星歯車機構Pのリングギヤ16がケーシング30に固定されるため、第2中間軸14からサンギヤ15に入力された回転は、減速されてキャリヤ17、つまり第1変速出力ギヤ25に出力される。また第3クラッチC3を係合すると、リングギヤ16が第2中間軸14を介してサンギヤ15に結合されることで遊星歯車機構Pはロック状態になり、第2中間軸14の回転はそのままキャリヤ17、つまり第1変速出力ギヤ25に出力される。
従って、第1〜第3クラッチC1〜C3およびブレーキB1の係合・非係合を組み合わせることで、メインシャフト13の回転を種々の変速比で変速してカウンタシャフト19に伝達することができる。
以下、図6および図7を参照して1速〜4速の各変速段の個々の確立状態を具体的に説明する。
図2は、第1クラッチC1およびブレーキB1が係合して1速変速段が確立した状態を示すものである。エンジンEの回転は、クランクシャフト11→ダンパー12→メインシャフト13→第1クラッチC1→第2中間軸14→遊星歯車機構Pのサンギヤ15、ピニオン18…およびキャリヤ17→第1変速出力ギヤ25→第2変速出力ギヤ26→カウンタシャフト19→ファイナルドライブギヤ27→ファイナルドリブンギヤ28→ディファレンシャルギヤD→ドライブシャフト29,29の経路で駆動輪W,Wに伝達される。
このとき、遊星歯車機構Pで減速が行われることで、1速変速段が確立する。
図3は、第1クラッチC1および第3クラッチC3が係合して2速変速段が確立した状態を示すものである。第3クラッチC3の係合により遊星歯車機構Pはサンギヤ15およびリングギヤ16が結合されてロック状態になるため、エンジンEの回転は、クランクシャフト11→ダンパー12→メインシャフト13→第1クラッチC1→第2中間軸14→ロック状態の遊星歯車機構P→第1変速出力ギヤ25→第2変速出力ギヤ26→カウンタシャフト19→ファイナルドライブギヤ27→ファイナルドリブンギヤ28→ディファレンシャルギヤD→ドライブシャフト29,29の経路で駆動輪W,Wに伝達される。
このとき、遊星歯車機構Pでは増速も減速も行われず、1速変速段よりも変速比が小さい2速変速段が確立する。
図4は第1クラッチC1および第2クラッチC2が係合して3速変速段が確立した状態を示すものである。第2クラッチC2の係合によりメインシャフト13の回転は増速ドライブギヤ21、増速ドリブンギヤ21、第2クラッチC2、第1中間軸20、増速出力ギヤ23および変速入力ギヤ24よりなる増速経路を介して遊星歯車機構Pのリングギヤ16に伝達され、リングギヤ16の回転はメインシャフト13の回転に対して増速される一方、第1クラッチC1の係合によりメインシャフト13は第2中間軸14を介して遊星歯車機構Pのサンギヤ15に直結される。その結果、エンジンEの回転は、クランクシャフト11→ダンパー12→メインシャフト13→第1クラッチC1→第2中間軸14→遊星歯車機構Pのサンギヤ15、ピニオン18…およびキャリヤ17→第1変速出力ギヤ25→第2変速出力ギヤ26→カウンタシャフト19→ファイナルドライブギヤ27→ファイナルドリブンギヤ28→ディファレンシャルギヤD→ドライブシャフト29,29の経路で駆動輪W,Wに伝達される。
このとき、遊星歯車機構Pで増速が行われることで、2速変速段よりも変速比が小さい3速変速段が確立する。
図5は、第2クラッチC2および第3クラッチC3が係合して4速変速段が確立した状態を示すものである。第3クラッチC3の係合により遊星歯車機構Pはサンギヤ15およびリングギヤ16が結合されてロック状態になるため、エンジンEの回転は、クランクシャフト11→ダンパー12→メインシャフト13→増速ドライブギヤ21→増速ドリブンギヤ22→第2クラッチC2→第1中間軸20→増速出力ギヤ23→変速入力ギヤ24→ロック状態の遊星歯車機構P→第1変速出力ギヤ25→第2変速出力ギヤ26→カウンタシャフト19→ファイナルドライブギヤ27→ファイナルドリブンギヤ28→ディファレンシャルギヤD→ドライブシャフト29,29の経路で駆動輪W,Wに伝達される。
このとき、遊星歯車機構Pでは減速も増速も行われず、増速ドライブギヤ21および増速ドリブンギヤ22で増速が行われることで、3速変速段よりも変速比が小さい4速変速段が確立する。
次に、本発明の実施の形態の作用効果を説明する。
メインシャフト13、増速ドライブギヤ21、増速ドリブンギヤ22、第1中間軸20および増速出力ギヤ23は平行軸の増速手段を構成し、メインシャフト13の回転を増速して遊星歯車機構Pに伝達するとともに、その増速手段の増速ドリブンギヤ22と一体の第1モータ・ジェネレータMG1を増速した回転数で駆動して発電効率を高めることができる。このとき、メインシャフト13の回転を増速ドライブギヤ21および増速ドリブンギヤ22で増速して第1モータ・ジェネレータMG1に伝達するので、専用の遊星歯車機構で増速して第1モータ・ジェネレータにMG1に伝達する場合に比べて、ギヤの噛み合い数を減らして伝達効率を高めることができる。
尚、第1モータ・ジェネレータMG1をモータとして機能させれば、第1モータ・ジェネレータMG1の駆動力でクランクシャフト11をクランキングしてエンジンEを始動することができる。このとき、第1モータ・ジェネレータMG1の回転が増速ドリブンギヤ22および増速ドライブギヤ21で減速されてエンジンEのクランクシャフト11に伝達されるので、クランクシャフト11を大きなトルクでクランキングして始動性を高めることができる。
また変速用の遊星歯車機構Pには、第1クラッチC1の係合によりメインシャフト13の回転が等速で入力されるとともに、第2クラッチC2の係合によりメインシャフト13の回転が前記増速手段を介して増速して入力されるので、第1クラッチC1および第2クラッチC2を選択的に係合することで複数の変速段を確立することができる。このとき、変速のための増速手段を構成する増速ドライブギヤ21、増速ドリブンギヤ22、第2クラッチC2、第1中間軸20および増速出力ギヤ23をカウンタシャフト19と同軸に配置したのでトランスミッションTを小型化することができる。
しかも変速のための増速手段を第1モータ・ジェネレータMG1を増速駆動するために利用するのでコストダウンを図ることができるだけでなく、第2クラッチC2が増速ドリブンギヤ22を第1中間軸20に結合可能なので、変速のために増速を必要としない場合に第2クラッチC2を非係合にしても、第1モータ・ジェネレータMG1を増速駆動して発電効率を高めることができる。
また変速用の遊星歯車機構Pのリングギヤ16を第3クラッチC3を介して第2中間軸14に結合し、あるいはリングギヤ16をブレーキB1を介してケーシング30に結合して2段の変速を行うことができるので、第3クラッチC3およびブレーキB1の係合・非係合の組合せと、第1クラッチC1および第2クラッチC2の係合・非係合の組合せとで合計4段の変速段を確立することができる。
尚、トランスミッションTの遊星歯車機構Pに増速後の回転しか入力できないと仮定すると、その増速された回転を必要な変速比が得られるまで減速するためには過大な減速比が必要になって伝達効率が低下したりトランスミッションTが大型化したりする虞があるが、本実施の形態によれば過大な減速比が不要であるために、伝達効率の向上およびトランスミッションTの小型化が可能になる。
また第2中間軸14と一体に回転可能な第2モータ・ジェネレータMG2を設けたので、簡単な構造で第2モータ・ジェネレータMG2の駆動力で車両を走行させたり、第2モータ・ジェネレータMG2の駆動力でエンジンEの駆動力をアシストしたり、第2モータ・ジェネレータMG2を回生制動して車両の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収したりすることができる。
また第1中間軸20の外周側に配置した第1モータ・ジェネレータMG1の軸方向両側に増速ドリブンギヤ22および増速出力ギヤ23を振り分けて配置し、かつ第1モータ・ジェネレータMG1の同軸上の内周側であって軸方向に重なる位置に第2クラッチC2を配置したので、トランスミッションTの軸方向の長さを短縮することができる。
また第2モータ・ジェネレータMG2の同軸上の内周側であって軸方向に重なる位置に第1クラッチC1を配置したので、トランスミッションTの軸方向の長さを短縮することができる。
次に、図8〜図12に基づいて本発明の第2の実施の形態を説明する。
第2の実施の形態のトランスミッションTは6速であり、第1の実施の形態の4速のトランスミッションTの1速変速段〜4速変速段に対応する1速変速段および4速変速段〜6速変速段に、新たに2速変速段および3速変速段が追加されている。2速変速段および3速変速段を確立するために第1の実施の形態のトランスミッションTに追加された要素は、メインシャフト13に回転自在に支持された減速ドライブギヤ31と、減速ドライブギヤ31をメインシャフト13に結合する第4クラッチC4と、第1中間軸20に固定されて減速ドライブギヤ31に噛合する減速ドリブンギヤ32とである。
1速変速段および4速変速段〜6速変速段の確立状態は、第1の実施の形態の1速変速段〜4速変速段の確立状態(図2〜図5参照)と同一である。また第1の実施の形態の増速出力ギヤ23は、第2の実施の形態では名称が変わって増速・減速出力ギヤ23′となる。
第4クラッチC4を係合すると、メインシャフト13の回転が第4クラッチC4、減速ドライブギヤ31、減速ドリブンギヤ32、第1中間軸20、増速・減速出力ギヤ23′および変速入力ギヤ24を介して遊星歯車機構Pのリングギヤ16に伝達される。このとき、減速ドライブギヤ31の歯数は減速ドリブンギヤ32の歯数よりも小さいため、リングギヤ16の回転はメインシャフト13の回転に対して減速される。つまり第2クラッチC2を係合するとリングギヤ16の回転はメインシャフト13の回転に対して増幅されるが、第4クラッチC4を係合するとリングギヤ16の回転はメインシャフト13の回転に対して減速される。
図9は、第3クラッチC3および第4クラッチC4が係合して2速変速段が確立した状態を示すものである。第3クラッチC3の係合により遊星歯車機構Pはサンギヤ15およびリングギヤ16が結合されてロック状態になるため、エンジンEの回転は、クランクシャフト11→ダンパー12→メインシャフト13→第4クラッチC4→減速ドライブギヤ31→減速ドリブンギヤ32→第1中間軸20→増速・減速出力ギヤ23′→変速入力ギヤ24→ロック状態の遊星歯車機構P→第1変速出力ギヤ25→第2変速出力ギヤ26→カウンタシャフト19→ファイナルドライブギヤ27→ファイナルドリブンギヤ28→ディファレンシャルギヤD→ドライブシャフト29,29の経路で駆動輪W,Wに伝達される。
このとき、遊星歯車機構Pでは減速も増速も行われず、減速ドライブギヤ31および減速ドリブンギヤ32で減速が行われることで、1速変速段よりも変速比が小さい2速変速段が確立する。
図10は第1クラッチC1および第4クラッチC4が係合して3速変速段が確立した状態を示すものである。第4クラッチC4の係合によりメインシャフト13の回転は第4クラッチC4、減速ドライブギヤ31、減速ドリブンギヤ22、第1中間軸20、増速・減速出力ギヤ23′および変速入力ギヤ24よりなる減速経路を介して遊星歯車機構Pのリングギヤ16に伝達され、リングギヤ16の回転はメインシャフト13の回転に対して減速される一方、第1クラッチC1の係合によりメインシャフト13は第2中間軸14を介して遊星歯車機構Pのサンギヤ15に直結される。その結果、エンジンEの回転は、クランクシャフト11→ダンパー12→メインシャフト13→第4クラッチC4→減速ドライブギヤ31→減速ドリブンギヤ32→第1中間軸20→増速・減速出力ギヤ23′→変速入力ギヤ24→遊星歯車機構P→第1変速出力ギヤ25→第2変速出力ギヤ26→カウンタシャフト19→ファイナルドライブギヤ27→ファイナルドリブンギヤ28→ディファレンシャルギヤD→ドライブシャフト29,29の経路で駆動輪W,Wに伝達される。
このとき、遊星歯車機構Pで減速が行われ、減速ドライブギヤ31および減速ドリブ ンギヤ32でも減速が行われることで、2速変速段よりも変速比が小さい3速変速段が確立する。
以上のように本実施の形態によれば、トランスミッションTの変速段数を4段から6段に増加させながら、第1の実施の形態と同様の作用効果を達成することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施の形態では遊星歯車機構Pのサンギヤ15を入力要素とし、リングギヤ16を固定要素とし、キャリヤ17を出力要素としているが、各要素の機能は適宜入れ換え可能である。
13 メインシャフト(入力軸)
14 第2中間軸
15 サンギヤ(遊星歯車機構の第2要素)
16 リングギヤ(遊星歯車機構の第1要素)
17 キャリヤ(遊星歯車機構の第3要素)
19 カウンタシャフト(出力軸)
20 第1中間軸
21 増速ドライブギヤ(第1ギヤ)
22 増速ドリブンギヤ(第2ギヤ)
23 増速出力ギヤ(第3ギヤ)
23′ 増速・減速出力ギヤ(第3ギヤ)
30 ケーシング
B1 ブレーキ
C1 第1クラッチ
C2 第2クラッチ
C3 第3クラッチ
E エンジン
P 遊星歯車機構
MG1 第1モータ・ジェネレータ
MG2 第2モータ・ジェネレータ
T トランスミッション

Claims (5)

  1. エンジン(E)と、第1モータ・ジェネレータ(MG1)と、トランスミッション(T)とを備えるハイブリッド駆動装置において、
    前記トランスミッション(T)は、入力軸(13)と、前記入力軸(13)に対して平行に配置された出力軸(19)と、前記出力軸(19)の外周に相対回転自在に嵌合する第1中間軸(20)と、前記入力軸(13)の外周に相対回転自在に嵌合する第2中間軸(14)とを備え、
    前記入力軸(13)には前記エンジン(E)の駆動力が入力され、
    前記入力軸(13)に設けた第1ギヤ(21)が前記第1中間軸(20)に相対回転自在に支持した第2ギヤ(22)に噛合することで該入力軸(13)の回転は増速して該第2ギヤ(22)に伝達され、
    前記第2中間軸(14)の外周には遊星歯車機構(P)が配置され、
    前記遊星歯車機構(P)の第1要素(16)は前記第1中間軸(20)に設けた第3ギヤ(23,23′)に接続され、
    前記遊星歯車機構(P)の第2要素(15)は前記第2中間軸(14)に接続され、
    前記遊星歯車機構(P)の第3要素(17)は前記出力軸(19)に接続され、
    前記入力軸(13)は第1クラッチ(C1)を介して前記第2中間軸(14)に結合可能であり、前記第2ギヤ(22)は第2クラッチ(C2)を介して前記第1中間軸(20)に結合可能であり、かつ前記第1モータ・ジェネレータ(MG1)と一体に回転可能であることを特徴とするハイブリッド駆動装置。
  2. 前記遊星歯車機構(P)の前記第1要素(16)は、第3クラッチ(C3)を介して前記第2中間軸(14)に結合可能であり、かつブレーキ(B1)を介してケーシング(30)に結合可能であることを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド駆動装置。
  3. 前記第2中間軸(14)と一体に回転可能な第2モータ・ジェネレータ(MG2)を備えることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のハイブリッド駆動装置。
  4. 前記第1モータ・ジェネレータ(MG1)は前記第1中間軸(20)の外周側に配置され、前記第1モータ・ジェネレータ(MG1)の軸方向一方側に前記第2ギヤ(22)が配置されるとともに軸方向他方側に前記第3ギヤ(23,23′)が配置され、前記第1モータ・ジェネレータ(MG1)の同軸上の内周側であって軸方向に重なる位置に前記第2クラッチ(C2)が配置されることを特徴とする、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のハイブリッド駆動装置。
  5. 前記第2モータ・ジェネレータ(MG2)の同軸上の内周側であって軸方向に重なる位置に前記第1クラッチ(C1)が配置されることを特徴とする、請求項3または請求項4に記載のハイブリッド駆動装置。
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