JP5436343B2 - スパッタリングターゲット及び透明導電膜及び透明導電ガラス基板 - Google Patents

スパッタリングターゲット及び透明導電膜及び透明導電ガラス基板 Download PDF

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Description

本発明はアモルファスシリコン薄膜トランジスタ(α−SiTFT)又はポリシリコン薄膜トランジスタ(p−SiTFT)を用いた液晶表示装置の製造方法に関する。更に詳しくは、画素電極パターンとソース・ドレイン配線との接触抵抗、及びゲート配線取り出し部、ソース・ドレイン電極取り出し部の配線金属と透明電極との接触抵抗を低減できる液晶表示装置及びその製造方法に関する。
液晶表示装置は低消費電力、フルカラー化が容易等の特徴を有することから薄型ディスプレイの中で有望視され、近年表示画面の大型化に関する開発が活発である。中でも、各画素毎にα−SiTFT(TFT:Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)又はp−SiTFTをスイッチング素子としてマトリックス状に配列し、駆動するアクティブマトリックス方式液晶平面ディスプレイは、800×600画素以上の高精細化を行っても、コントラスト比が劣化せず、高性能カラー表示用平面ディスプレイとして注目されている。このようなアクティブマトリックス方式液晶平面ディスプレイでは、画素電極として、ITO(Indium Tin Oxide)のような透明電極、ソース電極としては、Al系合金薄膜を用いることが多いこれは、ITOがシート抵抗が低く透過率が高く、また、Alは、容易にパターニングできる上に低抵抗で密着性が高いためである。
図1は本発明に係る液晶平面ディスプレイの製造工程において、画素電極のパターン形成が終了した段階のアモルファス−SiTFT近傍の断面を示したものであるが、従来の液晶ディスプレイも画素電極の素材を除いて、基本的構造は同様であるので、これを用いて説明する。
図1において、透光性ガラス基板1上にゲート電極2のパターンを形成し、次にプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、SiNゲート絶縁膜3、アモルファス−Si:H(i)膜4、チャンネル保護膜5及びアモルファス−Si:H(n)膜6を連続的に形成し、所望の形状パターン化する。
更に、Alを主体とする金属膜を真空蒸着法又はスパッタ法により堆積し、フォトリソグラフィ技術によりソース電極7のパターン及びドレイン電極8のパターン8をそれぞれ形成し、α−SiTFT素子部分が完成する。
この上に、ITO膜をスパッタリング法にて唯積し、フォトリソグラフィ技術によりソース電極7と電気的に接続した画素電極9のパターンが形成される。ITO膜をAl膜の後に堆積する理由は、アモルファス−Si:H膜4(及び6)とソース電極7及びドレイン電極8との電気的なコンタクト特性を劣化させないためである。また、Alは安価で比抵抗が低く、ゲート電極2及びソース電極7・ドレイン電極8の配線の抵抗増大による液晶ディスプレイの表示性能の低下を防ぐ意味で必須の材料である。
上記の製造工程において、Alを主体とするソース電極7・ドレイン電極8のパターンを形成した後、ITO画素電極9のパターンをHCl−HNO−HO系エッチング液で加工すると、しばしば、加工終了時点でAlパターンが溶出するという事態が生じることがある。
これは、本来、AlもITOエッチング液であるHCl−HNO−HO系エッチング液に溶解する性質を持っていることに起因する。エッチング液中のHNOはAl表面に薄いAl酸化膜を形成し、Alの溶出を防止する意味で添加されているが、ITO膜のエッチング時間が長かったり、Al堆積中に混入したAl膜中の不純物、異物などの欠陥部分が存在すると、局部電池反応により、上記のAlの酸化効果が十分に作用しないものと考えられる。
このようなAlの溶出を防止するために、ITO膜を非晶質にすることで、HCl−HNO−HO系のエッチング液に対するITO/Alエッチングレート比を大きくすることが知られている。このことは例えば、後述する特許文献1に記載されている。なお、エッチングレート比とは、エッチングの速度比を言う。
しかしながら、ITO膜を非晶質にしてもHCl−HNO−HO系のエッチング液を用いるため、Alの溶出は完全には防止されておらず、高精細な液晶ディスプレイを実現するとは困難であった。このような問題に鑑みなされた発明として後述する特許文献2が知られている。この特許文献2には、Alゲート電極、ソース電極・ドレイン電極の各パターン上での透明電極、画素電極9のパターン化を蓚酸系のエッチング液を用いることによりパターン化を容易にし、高精細な液晶ディスプレイの製造方法を提供することを目的とし、酸化インジウム−酸化亜鉛からなる組成の透明電極を用いることが提案されている。
このような構成では、Alゲート線/透明電極、Alソース・ドレイン電極/画素電極との問で接触抵抗が発生することが知られており、通常Al線をTi、Cr、Moなどのバリヤーメタルで覆うことが一般的である。このようなバリヤーメタルについては、後述する特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6に記載されている。
特開昭63−184726号公報 特開平11−264996号公報 特開平10−65174号公報 特開平11−184195号公報 特開平11−258625号公報 特開平11−253976号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、特定の金属を含有する透明導電材料を画素電極、透明電極に使用することにより、TFT(薄膜トランジスタ)基板の製造方法を簡略化することである。換言すれば、バリヤーメタル等を堆積するための工程が不要な製造方法を提供することが、本発明の目的である。
同様に、本発明は、そのような画素電極、透明電極をスパッタ法で成膜するためのスパッタリングターゲットを提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、特定の金属を含有する透明導電材料を画素電極、透明電極に使用することにより、Alゲート/透明電極、Alソース・ドレイン/画素電極を(バリヤーメタルなしで)直接接触させた場合でもその問の接触抵抗を小さくすることを目的とする。このような小さい値の接触抵抗を実現することによって、この透明導電材料を画素電極として用いた基板を利用した、中間調の表示が可能な液晶表示装置を提供することが、本発明の目的である。
A.スパッタリングターゲット
(1)本発明は、上記課題を解決するために、酸化インジウムを主或分とし、W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdからなる第1金属群M1から選ばれた1種又は2種以上の金属又はその金属の酸化物と、ランタノイド系金属からなる第2金属群M2から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物と、を含むスパッタリングターゲットである。
このように、本発明では、ランタノイド系金属から成る第2金属群M2から選ばれた1種又は2種以上の金属酸化物と、第1金属群M1のW、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdから選ばれた1種又は2種以上の金属又は金属酸化物と、を、同時に添加していることが特徴的な点である。
このような構成によって、本発明のスパッタリングターゲットを用いてスパッタ法で透明導電膜を成膜すれば、その透明導電膜と他のAl部材との間の接触抵抗を小さな値に保持することができる。
具体的に言えば、本発明のスパッタリングターゲットを用いてスパッタ法で透明電極や画素電極を形成した場合、
・Alゲート線/透明電極の間
・Alソース・ドレイン電極/画素電極の間
・Alソース・ドレイン配線/透明電極の間
に発生する接触抵抗の値を、従来発生していた接触抵抗の値に比べて小さくすることが可能である。
なお、本特許において、「主成分」とは、その材料中の主要な成分を言い、概ね50%以上の組成比率を有する成分を言う。
(2)また、本発明は、上記課題を解決するために、W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdからなる前記第1金属群M1から選ばれた1種又は2種以上の金属又は金属酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M1]/([M1]+[In])の値が、0.005〜0.2であり、ランタノイド系金属からなる前記第2金属群M2から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M2]/([M2]+[In])の値が、0.005〜0.2であることを特徴とする請求項1記載のスパッタリングターゲットである。ここで、前記[M1]は、前記第1金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、前記[M2]は、前記第2金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、前記[In]は、インジウムの原子の数を表す。
ランタノイド系金属酸化物の組成
このように、本発明では、ランタノイド系金属酸化物の組成は、酸化インジウムに対して、
「式1」
[M2]/([M2]+[In])=0.005〜0.2
である。この値は好ましくは、0、01〜0.15である。また、より好ましくは0.01〜0.1である。
なお、本特許では、ランタノイド系金属群を、第2金属群と呼び、「M2」と総称している。また、このM2は、いずれかのランタノイド系金属を表す記号としても用いられている。
更に、本特許では、[ ]の記号を、その原子の単位重量・体積あたりの原子の数を表す記号として用いている。例えば、[セリウム]や[Ce]は、セリウムの原子の数を表す。[インジウム]や[In]はインジウムの原子の数を表すのである。
更に、[ ]中に上記金属群の総称であるM2を挿入した[M2]なる記述法も用いている。[M2]は、第2金属群中から適宜選択された金属の原子の数を表す。
この式の値が、0.005未満では、その添加効果が現れにくく、そのようなスパッタリングターゲットで透明電極や画素電極を製造した場合に、Alとその透明電極の間、Alとその画素電極との間、に大きな値の接触抵抗が発生してしまう場合がある。
一方、上記式の値が0.2超では、そのようなスパッタリングターゲットで透明電極や画素電極を製造した場合に、その透明電極・画素電極自体の比抵抗が大きな値となってしまう場合がある。また、同じく上記式の値が0.2超の場合は、その透明電極や画素電極自体のエッチングが困難になる場合があり、その結果、液晶表示装置用の基板の製造が困難になる可能性がある。
W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pd金属又は金属酸化物の組成
また、本発明では、W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pd金属又は金属酸化物の組成(比率)が酸化インジウムに対して、
「式2」
[M1]/([M1]+[In])=0.005〜0.2
である。この式のより好ましい値は、0.01〜0.15であり、更により好ましくは、0.01〜0.1である。また、これらW、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdは、金属の状態で添加されても、金属酸化物の状態で添加されてもよい。
上述した第2金属群M2と同様に、W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdから成る金属群を第1金属群M1と呼んでいる。また、上記[M2]と同様に、[M1]は、第1金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の(単位体積・単位重量あたりの)原子の数を表す。
なお、上記式2の値が0.005未満では、その添加効果が現れにくい。すなわち、Alと透明電極又はAlと画素電極との間で接触抵抗が大きくなってしまう場合がある。一方、上記式2の値が、0.2超では、透明電極、画素電極の比抵抗が大きくなってしまう場合があり、更にこれら透明電極・画素電極のエッチングが困難になる場合がある。
(3)また、本発明は、ランタノイド系金属からなる前記第2金属群M2から選ばれた金属の酸化物が、La、Ce、Ho、Er中から選ばれたいずれか1種以上の金属の酸化物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスパッタリングターゲットである。
このように、ランタノイド系金属酸化物の中でも、特にCe、Ho、Erのいずれか1種以上の金属酸化物を添加した場合、上述した作用・効果が一層顕著なものとなる。なお、1種以上であるから、上記金属から2種の金属を選択してもよいし、3種全部の金属酸化物を添加してもよい。
(4)また、本発明は、酸化インジウムを主成分とし、W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdからなる第1金属群M1から選ばれた1種又は2種以上の金属又はその金属の酸化物と、ランタノイド系金属からなる第2金属群M2から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物と、更に、Zn、Sn、Zr、Ga、Geからなる第3金属群M3から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物と、を含むことを特徴とするスパッタリングターゲットである。
このように、本発明では、ランタノイド系金属から成る第2金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属酸化物のと、W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdから成る第1金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属又はその金属の酸化物を、同時に添加する構成を採用している。
従来は、Alゲート線/透明電極、Alソース・ドレイン電極/画素電極間及びAlソース・ドレイン配線/透明電極間に、大きな接触抵抗が発生していた。
これに対して、上記本発明によれば、上述した構成によって、従来発生していた大きな接触抵抗の値を小さくすることができる。いわば、接触抵抗が事実上無視できる程度まで小さくすることができるのである。
更に、Zn Sn、Zr、Ga、Geからなる第3金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属酸化物を加えることにより、スパッタリングターゲット自体の抵抗値を改善し、また、ノジュールの発生を抑制することができる。ここで、抵抗値の改善とは、抵抗値の値を小さな値にすることである。更に、このスパッタリングターゲットを用いてスパッタ法で作成した透明導電膜にも、下記に示すような有益な影響を及ぼす。
・作成した透明導電膜の比抵抗を改善できる
・作成した透明導電膜のエッチング特性を改善できる
・作成した透明導電膜の透明性を改善できる
ここで、比抵抗の改善とは、比抵抗値の低減を意味する。また、エッチング特性の改善とは、エッチングに用いるエッチャントによってより容易に溶解することを意味する。また、透明性の改善とは、透明度の向上、ひいては光透過率の値が100%に近づくことを意味する。
(5)また、本発明は、W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdからなる前記第1金属群M1から選ばれた1種又は2種以上の金属又は金属酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M1]/([M1]+[In])の値が、0.005〜0.2であり、ランタノイド系金属からなる前記第2金属群M2から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M2]/([M2]+[In])の値が、0.005〜0.2であり、Zn、Sn、Zr、Ga、Geからなる前記第3金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M3]/([M3]+[In])の値が0.005〜0.2であることを特徴とする請求項4記載のスパッタリングターゲットである。ここで、前記[M1]は、前記第1金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、前記[M2]は、前記第2金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、前記[M3]は、前記第3金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、前記[In]は、インジウム金属の原子の数を表す。
ランタノイド系金属酸化物
このように、本発明においては、ランタノイド系金属酸化物の組成が酸化インジウムに対して、[In]/([In]+[M2])=0.005〜0.2である。ここで、[M2]は、[ランタノイド系金属]と記載することもあるが、いずれ、ランタノイド系の金属酸化物の原子の数を表す。
なお、本発明で述べた原子の数の比の値の範囲「0.005〜0.2」は、好ましくは、0.01〜0.15であり、更により好ましくは0.01〜0.1である。
酸化インジウムに対するランタノイド系金属酸化物の組成を表す上記式の値が、0.005未満では、その添加効果が現れない場合も考えられる。すなわち、Alと透明電極、画素電極との間で無視できない接触抵抗が発生してしまう場合もある。
一方、上記値が0、2超では、透明電極、画素電極の比抵抗が大きくなる場合や、製造工程において、透明電極・画素電極のエッチングが困難になる場合、等が生じてしまうおそれがある。
W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pd金属又は金属酸化物
また、本発明においては、W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pd金属又は金属酸化物の組成が酸化インジウムに対して、[In]/([In]+[M1])=0.005〜0.2という構成を採用している。この式の値は、より好ましくは、0.01〜0.15であり、更により好ましくは、0.01〜0.1である。[M1]は、第1金属群W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pd中から選ばれた1種又は2種以上の金属の数を表す。
第1金属群M1中のW、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdは、金属の状態で添加されてもよいし、金属酸化物の状態で添加されてもよい。
なお、上記式の値が0.005未満では、上記W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdを添加する効果が現われない場合がある。具体的には、本発明のスパッタリングターゲットを用いてスパッタ法で作成した透明電極・画素電極に関し、Alとその透明電極との間、Alとその画素電極との間、に無視できない接触抵抗が発生する場合がある。
一方、上記式の値が0.2超では、透明電極・画素電極の比抵抗が大きくなってしまう場合がある。更に、製造工程において、透明電極・画素電極のエッチングが困難になる場合もある。
Zn、Sn、Zr、Ga、Ge酸化物
本発明においては、上述したように、第3金属群M3中のZn、Sn、Zr、Ga、Geの酸化物から選ばれた1種又は2種以上の金属酸化物の組成が酸化インジウムに対して[M3]/([In]+[M3])=0.005〜0.2である。ここで、[M3]は、第3金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の単位体積・単位質量あたりの数を表し、上記式は、インジウムに対する第3金属群中の金属の原子組成比を表す。なお、この式の値は、実質的には、酸化インジウムに対する、第3金属群M3中の金属の酸化物の組成比でもある。
この式の値が0.005未満では、その添加効果が現れにくい。具体的には、本発明のスパッタリングターゲットを用いてスパッタ法で作成した透明電極・画素電極に関し、Alと透明電極の間、Alと画素電極の間、に無視できない大きさの接触抵抗が発生する場合がある。
一方、上記式の値が0.2超では、透明電極、画素電極の比抵抗が大きくなってしまう場合や、製造工程において、これら透明電極等のエッチングが困難になる場合もある。
(6)また、本発明は、ランタノイド系金属からなる前記第2金属群M2から選ばれた金属の酸化物が、La、Ce、Ho、Erのいずれか1種以上の金属の酸化物であることを特徴とする(4)又は(5)のスパッタリングターゲットである。
ランタノイド系金属酸化物の中でも、特に、Ce、Ho、Erからなる酸化物が好適であるため、本発明では、これらCe、Ho、Erからなる酸化物を採用する。
(7)また、本発明は、酸化インジウムを主成分とし、W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdからなる第1金属群M1から選ばれた1種又は2種以上の金属又はその金属の酸化物と、ランタノイド系金属からなる第2金属群M2から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物と、からなる透明導電膜である。
このように、本発明は、以下の2種の物質を、酸化インジウムに添加している。
・ランタノイド系金属酸化物から選ばれた1種又は2種以上の金属酸化物
・W 、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdから選ばれた1種又は2種以上の金属又は金属酸化物
本発明ではこれらを、透明導電膜に同時に添加している。したがって、本発明の透明導電膜を用いて透明電極や画素電極を構成した場合に、
・Alゲート線/透明電極間
・Alソース・ドレイン電極/画素電極間
・Alソース・ドレイン配線/透明電極間
等に発生する接触抵抗をほとんど無視できる値に低減することができる。
これに対して、従来の透明導電膜を用いて、透明電極・画素電極を構成した場合は、Alゲート線/透明電極の間、Alソース・ドレイン電極/画素電極の間、及び、Alソース・ドレイン配線/透明電極の間には、無視することができない大きさの接触抵抗が発生していた。
(8)また、本発明は、W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdからなる前記第1金属群M1から選ばれた1種又は2種以上の金属又は金属酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M1]/([M1]+[In])の値が、0.005〜0.2であり、
ランタノイド系金属からなる前記第2金属群M2から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M2]/([M2]+[In])の値が、0.005〜0.2であることを特徴とする(7)記載の透明導電膜である。前記[M1]は、前記第1金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、前記[M2]は、前記第2金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、前記[In]は、インジウムの原子の数を表す。
ランタノイド系金属酸化物
このように、本発明においては、ランタノイド系金属酸化物の組成が酸化インジウムに対して、[M2]/([In]+[M2])=0.005〜0.2となるように設定している。[M2]は、ランタノイド系金属から成る第2金属群M2中の1種又は2種以上の金属の原子の数を表す。ここでこの数は、単位質量・単位体積あたりの数である。[In]は、インジウム原子の単位体積・単位質量あたりの数表す。したがって、上記式は、原子の数からみた、第2金属群M2中の金属のインジウムに対する組成比である。なお、この組成比は、第2金属群M2中の金属の酸化物の、酸化インジウムに対する組成比でもある。
なお、この値は、好ましくは、0.01〜0.15であり、更により好ましくは0.01〜0.1である。
酸化インジウムに対するランタノイド系金属酸化物の組成を表す上記式の値が、0.005未満では、その添加効果が現れない場合も考えられる。すなわち、この透明導電膜を用いた透明電極や画素電極に関し、他の配線のAlとこの透明電極・画素電極との間で無視できない接触抵抗が発生してしまう場合もある。
一方、上記値が0、2超では、本発明の透明導電膜からなる透明電極・画素電極の比抵抗が大きくなる場合や、製造工程において、この透明電極・画素電極のエッチングが困難になる場合、等が生じてしまうおそれがある。
このように、本発明においては、ランタノイド系金属酸化物の組成が酸化インジウムに対して、[M2]/([In]+[M2])=0.005〜0.2であるが、この組成比率は、好ましくは0.01〜0.15である。また、更により好ましくは0.01〜0.1である、
W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pd金属又は金属酸化物
また、本発明においては、W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdから成る第1金属群中の金属又は金属酸化物の組成が酸化インジウムに対して、[M1]/([In]+[M1])=0.005〜0.2という構成を採用している。この式の値は、より好ましくは、0.01〜0.15であり、更により好ましくは、0.01〜0.1である。このW、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdは、金属の状態で添加されてもよいし、金属酸化物の状態で添加されてもよい。
M1は、W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdから成る第1金属群の総称であり、[M1]は、第1金属群中の1種又は2種以上の金属の単位質量・単位体積あたりの数を表す。[In]は、上述したように、単位質量・単位体積あたりのインジウムの原子の数を表す。
なお、上記式の値が0.005未満では、上記W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdを添加する効果が現われない場合がある。具体的には、本発明の透明導電膜を利用した透明電極・画素電極に関し、Alとその透明電極との間、Alとその画素電極との間、に無視できない接触抵抗が発生する場合がある。
一方、上記式の値が0.2超では、本発明の透明導電膜からなる透明電極・画素電極の比抵抗が大きくなってしまう場合がある。更に、製造工程において、この透明電極・画素電極のエッチングが困難になる場合もある。
(9)また、本発明は、ランタノイド系金属からなる前記第2金属群M2から選ばれた金属の酸化物が、La、Ce、Ho、Erのいずれか1種以上の金属の酸化物であることを特徴とする(7)又は(8)記載の透明導電膜である。
このように、ランタノイド系金属酸化物の中でも、Ce、Ho、Erからなる酸化物を採用することが好適である。
(10)また、本発明は、 酸化インジウムを主成分とし、W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdからなる第1金属群M1から選ばれた1種又は2種以上の金属又はその金属の酸化物と、ランタノイド系金属からなる第2金属群M2から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物と、更に、Zn、Sn、Zr、Ga、Geからなる第3金属群M3から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物と、からなることを特徴とする透明導電膜である。
このように、本発明では、ランタノイド系金属群(第2金属群)から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物と、W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pd(第1金属群)から選ばれた1種又は2種以上の金属又は金属酸化物を、同時に添加する構成を採用している。
従来の透明導電膜を、透明電極や画素電極として用いると、
・Alゲート線/透明電極間
・Alソース・ドレイン電極/画素電極間
・Alソース・ドレイン配線/透明電極間
等において大きな接触抵抗が発生していた。
これに対して、上記本発明による透明導電膜を用いて透明電極や画素電極を構成すれば、上述した構成によって、従来発生していた大きな接触抵抗の値を小さくすることができる。いわば、接触抵抗を無視できる程度にまで小さくすることができるのである。
更に、Zn Sn、Zr、Ga、Ge(第3金属群M3)から選ばれた1種又は2種以上の金属酸化物を加えることにより、下記に示すような有益な影響を及ぼす。
・作成した透明導電膜の比抵抗を改善できる
・作成した透明導電膜のエッチング特性を改善できる
・作成した透明導電膜の透明性を改善できる
ここで、比抵抗の改善とは、比抵抗値の低減を意味する。また、エッチング特性の改善とは、エッチングに用いるエッチャントによってより容易に溶解することを意味する。また、透明性の改善とは、光透過率の値が100%に近づくことを意味する。
(11)また、本発明は、 W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdからなる前記第1金属群M1から選ばれた1種又は2種以上の金属又は金属酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M1]/([M1]+[In])の値が、0.005〜0.2であり、ランタノイド系金属からなる前記第2金属群M2から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M2]/([M2]+[In])の値が、0.005〜0.2であり、Zn、Sn、Zr、Ga、Geからなる前記第3金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M3]/([M3]+[In])の値が0.005〜0.2であることを特徴とする請求項10記載の透明導電膜である。ここで、前記[M1]は、前記第1金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、前記[M2]は、前記第2金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、前記[M3]は、前記第3金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、前記[In]は、インジウム原子の数を表す。
ランタノイド系金属酸化物
このように、本発明においては、ランタノイド系金属群(第2金属群)の酸化物の組成を酸化インジウムに対して、[M2]/([In]+[M2])=0.005〜0.2に設定している。M2は、ランタノイド系金属からなる第2金属群の総称であり、[M2]は、第2金属群から選択された1種又は2種以上の金属の数を表す。ここで、この[M2]は、単位質量・単位重量あたりの数である。[In]は既に述べたように、単位質量・単位重量あたりのインジウムの原子の数である。したがって、上記式は、第2金属群中に含まれる金属の、インジウムに対する原子の数の比を表す。なお、この式の値は、同時に第2金属群に含まれる金属の酸化物の、酸化インジウムに対する組成比でもある。
なお、この値は、好ましくは、0.01〜0.15であり、更により好ましくは0.01〜0.1である。
酸化インジウムに対するランタノイド系金属酸化物の組成を表す上記式の値が、0.005未満では、その添加効果が現れない場合も考えられる。すなわち、Alと、本発明の透明導電膜からなる透明電極や画素電極との間で無視できない接触抵抗が発生してしまう場合もある。
一方、上記値が0、2超では、本発明の透明導電膜からなる透明電極・画素電極の比抵抗が大きくなる場合や、製造工程において、この透明電極・画素電極のエッチングが困難になる場合、等が生じてしまうおそれがある。
W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pd金属又は金属酸化物
また、本発明においては、W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdからなる第1金属群M1に含まれる金属又はその金属の酸化物の組成が、酸化インジウムに対して、[M1]/([In]+[M1])=0.005〜0.2という構成を採用している。既に述べたように、[M1]は、第1金属群中の金属の原子の数を表す。この数は、単位質量・単位体積あたりの数である。
この式の値は、より好ましくは、0.01〜0.15であり、更により好ましくは、0.01〜0.1である。このW、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdは、金属の状態で添加されてもよいし、金属酸化物の状態で添加されてもよい。
なお、上記式の値が0.005未満では、上記W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdを添加する効果が現われない場合がある。具体的には、本発明の透明導電膜からなる透明電極・画素電極に関し、Alとその透明電極との間、Alとその画素電極との間、に無視できない接触抵抗が発生する場合がある。
一方、上記式の値が0.2超では、本発明の透明導電膜から成る透明電極・画素電極の比抵抗が大きくなってしまう場合がある。更に、製造工程において、この透明電極・画素電極のエッチングが困難になる場合もある。
Zn、Sn、Zr、Ga、Ge酸化物
本発明においては、上述したように、Zn、Sn、Zr、Ga、Geからなる第3金属群M3から選ばれた1種又は2種以上に金属の酸化物の組成が、酸化インジウムに対して[M3]/([In]+[M3])=0.005〜0.2である。[M3]は、第3金属群M3から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表す。そのため、この式は、第3金属群M3中の1種又は2種以上の金属の、インジウムに対する組成比(原子数)である。この値は、同時に、第3金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物の、酸化インジウムに対する組成比をも表す。
この式の値(組成比)が0.005未満では、その添加効果が現れにくい。具体的には、本発明の透明導電膜からなる透明電極・画素電極に関し、Alとその透明電極の間、Alとその画素電極の間、に無視できない大きさの接触抵抗が発生する場合がある。
一方、上記式の値が0.2超では、本発明の透明導電膜を利用した透明電極・画素電極の比抵抗が大きくなってしまう場合や、製造工程において、これら透明電極・画素電極のエッチングが困難になる場合もある。
(12)また、本発明は、ランタノイド系金属からなる前記第2金属群M2から選ばれた金属の酸化物が、La、Ce、Ho、Erのいずれか1種以上の金属の酸化物であることを特徴とする(11)又は(12)記載の透明導電膜。
このように、ランタノイド系金属酸化物の中でも、Ce、Ho、Erからなる酸化物を採用することが好適である。
(13)また、本発明は、ガラス基板と、前記ガラス基板上に設けられ、酸化インジウムを主成分とし、W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdからなる第1金属群M1から選ばれた1種又は2種以上の金属又はその金属の酸化物と、ランタノイド系金属からなる第2金属群M2から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物と、からなる透明導電膜と、前記ガラス基板上に設けられた、Al又はAgを主成分とする金属薄膜と、を有することを特徴とする透明導電ガラス基板である。
このように、本発明では、ランタノイド系金属からなる第2金属群M2から選ばれた選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物と、W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdからなる第1金属群M1から選ばれた1種又は2種以上の金属又は金属酸化物を、同時に添加する構成(同時添加構成と呼ぶ)を採用している。
また、本発明の透明導電ガラスは、透明導電膜を透明電極や画素電極として利用することによって、透明電極や画素電極を備えた基板として利用することが可能である。また、本発明の金属薄膜は、Alを採用する場合、Alゲート線、Alソース・ドレイン電極を構成することができる。そのため、本発明の透明導電ガラス基板は、配線付の基板として利用することが可能である。
さて、このような場合、従来の透明導電ガラスによれば、
・Alゲート線/透明電極間、
・Alソース・ドレイン電極/画素電極間
・Alソース・ドレイン配線/透明電極間
等に、大きな接触抵抗が発生していた。これに対して、本発明の透明導電ガラスによれば、大きな接触抵抗を生じることはない。
なお、金属薄膜にAgを使用する場合は、Agゲート線、Agソース・ドレイン電極を構成することができる。この場合も、Alの場合と同様の作用効果を奏する。
このように、上記本発明によれば、上述した構成(同時添加構成)によって、従来発生していた大きな接触抵抗の値を小さくすることができる。いわば、接触抵抗が事実上無視できる程度まで小さくすることができるのである。
更に、Al又はAgと積層された構造を採用することによって、より低抵抗の透明導電ガラスが得られる。このような透明導電ガラスは積層透明導電ガラスと呼ばれる場合もある。
AlやAl合金の利用
この(13)及び後述する(16)においては、更に、ゲート線、ソース・ドレイン電極又は配線にはAlやAl合金が好適に使用される。この場合は、Alゲート線、Alソース・ドレイン電極と呼んでいるが、Alを主成分とする合金が用いられることも多い。これらに使用されるAl若しくはAl合金は、Alを主成分としているが、周期率表のIIIaからVIIIaの重金属、又は、ランタノイド系金属を含んでいてもよい。例えば、Nd、Ni、Co、Zrなどを含むことが望ましい。その含有量は、求められるAlゲート線、Alソース・ドレイン電極の性能に依存するが、概ね、0.1〜5重量%の範囲が好ましい。より好ましい含有量は、0.5〜2.0重量%である。
含有量が0.1重量%未満では添加効果が現れない場合もあり、更に、0.1重量%の含有量ではAl薄膜上にヒロック等の突起が発生する場合があるからである。
一方、含有量が0.5重量%を超えると、Al自体(Al合金自体)の抵抗値が大きくなる場合がある。
また、本発明において、ゲート線、ソース・ドレイン電極又は配線にはAgやAg合金も好適に使用される。また、光を反射する反射電極が設けられる場合もあるが、この反射電極にもAgやAg合金も好適に使用される場合がある。
さて、Agが用いられる場合は、Agゲート線、Agソース・ドレイン電極等と呼ぶ。これらに使用されるAg又はAg合金は、Agを主成分とし、周期率表のIIIaからVIIIaの重金属、又は、ランタノイド系金属を含んでいてもよい。例えば、Nd、Ni、Co、Zrなどを含むことが望ましい。その含有量は、求められるAlゲート線、Alソース・ドレイン電極、又は配線や反射電極の性能に依存するが、概ね、0.1〜5重量%の範囲が好ましい。より好ましい含有量は、0.5〜2.0重量%である。
含有量が0.1重量%未満では添加効果が現れない場合もあり、更に、0.1重量%の含有量ではAg薄膜上にヒロック等の突起が発生する場合や、Ag薄膜の密着性が低下する場合があるからである。
一方、含有量が0.5重量%を超えると、Ag自体(Ag合金自体)の抵抗値が大きくなる場合がある。
(14)また、本発明は、W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdからなる前記第1金属群M1から選ばれた1種又は2種以上の金属又は金属酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M1]/([M1]+[In])の値が、0.005〜0.2であり、ランタノイド系金属からなる前記第2金属群M2から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M2]/([M2]+[In])の値が、0.005〜0.2であることを特徴とする(13)記載の透明導電ガラス基板である。ここで、前記[M1]は、前記第1金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、前記[M2]は、前記第2金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表す。
ランタノイド系金属酸化物
このように、本発明においては、ランタノイド系金属酸化物の組成が酸化インジウムに対して、In/(In+ランタノイド系金属)=0.005〜0.2としている。
なお、この値は、好ましくは、0.01〜0.15であり、更により好ましくは0.01〜0.1である。
酸化インジウムに対するランタノイド系金属酸化物の組成を表す上記式の値が、0.005未満では、その添加効果が現れない場合も考えられる。すなわち、Al又はAgを主成分とする金属薄膜と、透明導電膜(例えば透明電極や画素電極を構成している)との間で無視できない接触抵抗が発生してしまう場合もある。
一方、上記値が0、2超では、本発明の透明導電膜(例えば、透明電極・画素電極を構成している)の比抵抗が大きくなる場合や、製造工程において、この透明導電膜のエッチングが困難になる場合、等が生じてしまうおそれがある。
W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pd金属又は金属酸化物
また、本発明においては、W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pd金属又は金属酸化物の組成が酸化インジウムに対して、In/(In+(W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pd))=0.005〜0.2という構成を採用している。この式の値は、より好ましくは、0.01〜0.15であり、更により好ましくは、0.01〜0.1である。このW、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdは、金属の状態で添加されてもよいし、金属酸化物の状態で添加されてもよい。
なお、上記式の値が0.005未満では、上記W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdを添加する効果が現われない場合がある。具体的には、本発明の透明導電膜(例えば透明電極・画素電極を構成している)と、Al又はAgを主成分とする金属薄膜との間、に無視できない接触抵抗が発生する場合がある。
一方、上記式の値が0.2超では、本発明の透明導電膜(例えば、透明電極・画素電極)の比抵抗が大きくなってしまう場合がある。更に、製造工程において、この透明導電膜のエッチングが困難になる場合もある。
積層
このように、上記のような組成の透明導電膜と、金属薄膜と、を積層することによって、より低抵抗の透明導電ガラスを提供することができる。
(15)また、本発明は、ランタノイド系金属からなる前記第2金属群M2から選ばれた金属の酸化物が、La、Ce、Ho、Erのいずれか1種以上の金属の酸化物であることを特徴とする(13)又は(14)記載の透明導電ガラス基板である。
このように、ランタノイド系金属酸化物の中でも、特にCe、Ho、Erのいずれか1種以上からなる酸化物を用いるのがより効果的であり、好適に用いることができる。
(16)また、本発明は、ガラス基板と、前記ガラス基板上に設けられ、酸化インジウムを主成分とし、W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdからなる第1金属群M1から選ばれた1種又は2種以上の金属又はその金属の酸化物と、ランタノイド系金属からなる第2金属群M2から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物と、更に、Zn、Sn、Zr、Ga、Geからなる第3金属群M3から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物と、からなる透明導電膜と、前記ガラス基板上に設けられた、Al又はAgを主成分とする金属薄膜と、を有することを特徴とする透明導電ガラス基板である。
このように、本発明では、ランタノイド系金属からなる第2金属群M2から選ばれた選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物と、W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdからなる第1金属群M1から選ばれた1種又は2種以上の金属又は金属酸化物を、同時に添加する構成(同時添加構成と呼ぶ)を採用している。
また、本発明の透明導電ガラスは、透明導電膜を透明電極や画素電極として利用することによって、透明電極や画素電極を備えた基板として利用することが可能である。また、本発明の金属薄膜は、Alを採用する場合、Alゲート線、Alソース・ドレイン電極を構成することができる。そのため、本発明の透明導電ガラス基板は、配線付の基板として利用することが可能である。
さて、このような場合、従来の透明導電ガラスによれば、
・Alゲート線/透明電極間、
・Alソース・ドレイン電極/画素電極間
・Alソース・ドレイン配線/透明電極間
等に、大きな接触抵抗が発生していた。これに対して、本発明の透明導電ガラスによれば、大きな接触抵抗を生じることはない。
なお、金属薄膜にAgを使用する場合は、Agゲート線、Agソース・ドレイン電極を構成することができる。この場合も、Alの場合と同様の作用効果を奏する。
このように、上記本発明によれば、上述した構成(同時添加構成)によって、従来発生していた大きな接触抵抗の値を小さくすることができる。いわば、接触抵抗が事実上無視できる程度まで小さくすることができるのである。
更に、Zn Sn、Zr、Ga、Geから選ばれた1種又は2種以上の金属酸化物を加えることにより透明導電ガラス上の上記透明導電膜に、下記に示すような有益な影響を及ぼす。
・作成した透明導電膜の比抵抗を改善できる
・作成した透明導電膜のエッチング特性を改善できる
・作成した透明導電膜の透明性を改善できる
ここで、比抵抗の改善とは、比抵抗値の低減を意味する。また、エッチング特性の改善とは、エッチングに用いるエッチャントによってより容易に溶解することを意味する。また、透明性の改善とは、光透過率の値が向上することを意味する。更に、Al又はAgと積層された構造を採用することによって、より低抵抗の透明導電ガラスが得られる。
このような透明導電ガラスは積層透明導電ガラスと呼ばれる場合もある。
更に、この(16)においても、上記(13)で説明したように、ゲート線、ソース・ドレイン電極又は配線にはAlやAl合金が好適に使用される。その内容は、上記(13)の場合と同様である。
(17)また、本発明は、W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdからなる前記第1金属群M1から選ばれた1種又は2種以上の金属又は金属酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M1]/([M1]+[In])の値が、0.005〜0.2であり、
ランタノイド系金属からなる前記第2金属群M2から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M2]/([M2]+[In])の値が、0.005〜0.2であり、
Zn、Sn、Zr、Ga、Geからなる前記第3金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M3]/([M3]+[In])の値が0.005〜0.2であることを特徴とする(16)記載の透明導電ガラス基板である。ここで、前記[M1]は、前記第1金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、前記[M2]は、前記第2金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、前記[M3]は、前記第3金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、前記[In]は、インジウム原子の数を表す。
ランタノイド系金属酸化物
このように、本発明においては、ランタノイド系金属酸化物の組成が酸化インジウムに対して、In/(In+ランタノイド系金属)=0.005〜0.2としている。
なお、この値は、好ましくは、0.01〜0.15であり、更により好ましくは0.01〜0.1である。
酸化インジウムに対するランタノイド系金属酸化物の組成を表す上記式の値が、0.005未満では、その添加効果が現れない場合も考えられる。すなわち、Al又はAgを主成分とする金属薄膜と、透明導電膜(例えば透明電極や画素電極を構成している)との間で無視できない接触抵抗が発生してしまう場合もある。
一方、上記値が0、2超では、本発明の透明導電膜(例えば、透明電極・画素電極を構成している)の比抵抗が大きくなる場合や、製造工程において、この透明導電膜のエッチングが困難になる場合、等が生じてしまうおそれがある。
W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pd金属又は金属酸化物
また、本発明においては、W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pd金属又は金属酸化物の組成が酸化インジウムに対して、In/(In+(W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pd))=0.005〜0.2という構成を採用している。この式の値は、より好ましくは、0.01〜0.15であり、更により好ましくは、0.01〜0.1である。このW、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdは、金属の状態で添加されてもよいし、金属酸化物の状態で添加されてもよい。
なお、上記式の値が0.005未満では、上記W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdを添加する効果が現われない場合がある。具体的には、本発明の透明導電膜(例えば透明電極・画素電極を構成している)と、Al又はAgを主成分とする金属薄膜との間、に無視できない接触抵抗が発生する場合がある。
一方、上記式の値が0.2超では、本発明の透明導電膜(例えば、透明電極・画素電極)の比抵抗が大きくなってしまう場合がある。更に、製造工程において、この透明導電膜のエッチングが困難になる場合もある。
Zn、Sn、Zr、Ga、Ge酸化物
本発明においては、上述したように、Zn、Sn、Zr、Ga、Ge酸化物から選ばれた1種又は2種以上の金属酸化物の組成が酸化インジウムに対してIn/(In+(Zn、Sn、Zr、Ga、Ge))=0.005〜0.2である。
この式の値が0.005未満では、その添加効果が現れにくい。具体的には、本発明の透明導電膜(例えば、透明電極・画素電極を構成している)と、Al又はAgを主成分とする金属薄膜との間、に無視できない大きさの接触抵抗が発生する場合がある。
一方、上記式の値が0.2超では、本発明の透明導電膜(又は、透明導電膜を利用した透明電極・画素電極)の比抵抗が大きくなってしまう場合がある。更に、上記式の値が0.2超の場合、製造工程において、これら透明導電膜をエッチングし、透明電極や画素電極を形成しようとした場合に、そのエッチングが困難になる場合もある。
積層
このように、上記のような組成の透明導電膜と、金属薄膜と、を積層することによって、より低抵抗の透明導電ガラスを提供することができる。
(18)また、本発明は、ランタノイド系金属からなる前記第2金属群M2から選ばれた金属の酸化物が、La、Ce、Ho、Erのいずれか1種以上の金属の酸化物であることを特徴とする(16)又は(17)記載の透明導電ガラス基板。
このように、ランタノイド系金属酸化物の中でも、特にCe、Ho、Erのいずれか1種以上からなる酸化物を用いるのがより効果的であり、好適に用いることができる。
積層の具体的な手法
以上(1)〜(18)で述べたように、本発明においては、金属酸化物導電膜と、金属薄膜とを積層する構成が採用される場合がある。以下、この場合について説明する。
この金属酸化物透明導電膜と、Al又はAgを主成分とする金属薄膜とを積層する手法には種々の形態がある。
a.金属酸化物/Al又はAgを主成分とする金属薄膜/金属酸化物
b.金属酸化物/Al又はAgを主成分とする金属薄膜/金属酸化物/Al又はAgを主成分とする金属薄膜/金属酸化物
上記a.は3層であり、上記b.は5層である。このほか、7層構造等を採用することももちろん好ましい。
この場合のAl若しくはAgを主成分とする金属薄膜の膜厚は1から20nmである。膜厚は、好ましくは、5〜15nmであり、より好ましくは、5〜10nmである。膜厚が1nm1以下では、積層した金属の膜が「薄膜」とはならずに、海島構造に成る場合があり、本発明の効果が得られないこともある。一方、金属薄膜の膜厚が20nm以上の場合は、積層した金属薄膜の光線透過率が低下する場合がある。その結果、重畳して設けられている透明導電膜の「透明」性に事実上影響を与えてしまう場合もある。
また、本発明においては、しばしば金属酸化物からなる上記透明導電膜と、Al又はAgを主成分とする金属薄膜とを積層しているが、この「積層」には、金属金属酸化物から成る透明導電膜の(全部ではなく)一部が金属薄膜と接触している場合も含まれる。この場合、電極構成としては、例えば20μm幅の金属薄膜と一部が接触し、かつ、金属薄膜の全体を覆うように透明導電膜が接触している場合等が挙げられる。換言すれば、平面的には両者は重畳しているが、断面図から見ると、一部のみが接触している場合である。
このような場合、金属薄膜の厚みは、20〜500nm、好ましくは30〜300nm、より好ましくは50〜200nmである。膜厚が20nm以下では、抵抗を低減する効果が小さい場合もある。一方、膜厚が500nm以上では、その薄膜の段差が大きく、透明導電膜との接触不良を生じる場合もある。
金属薄膜の幅は、適宜選択することができるが、例えば1μm〜100μmである。この値は、好ましくは5〜50μmであり、より好ましくは10〜30μmである。
金属薄膜の幅が1μm以下では、抵抗低減の効果が小さすぎる場合がある。一方、金属薄膜の幅が100μm以上では、光線透過率(開口率)が低下する場合がある。但し、金属薄膜と透明導電膜とを積層したものを反射電極として使用する場合は、この限りではない。
本発明は、上述した従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、特定の金属を含有する透明導電材料を画素電極・透明電極に使用することにより、バリヤーメタル等を用いなくとも、Alゲート/透明電極、Alソース・ドレイン/画素電極の間の接触抵抗を小さく抑えることができる。
その結果、製造工程の数を減らすことができるので、TFT(薄膜トランジスタ)基板の製造方法を簡略化できる。
また、本発明に透明導電(膜)材料を、直接、Alゲートや、Alソース・ドレイン電極に接触させても、そこに生じる接触抵抗を小さな値にすることができ、中間調の表示が良好に行うことができる液晶表示装置を提供することができる。
なお、これまでの本発明の説明にあたり、Alとの関係から本発明の説明をしている部分がある。この説明部分におけるAlの代わりに、Agを用いてもほぼ同様の作用・効果を奏する。この点については、後の実施例において再び説明する。
本発明の好適な実施の形態における液晶平面ディスプレイの製造工程において、画素電極のパターン形成が終了した段階のアモルファス−SiTFT近傍を表す断面図である。 本実施例9における第一回目成膜の様子を示す説明図である。 本実施例9における第二回目成膜の様子を示す説明図である。 本実施例9における接触抵抗測定の様子を示す説明図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
平均粒径が1μm以下のIn粉末、及び平均粒径が1μm以下のWO粉末、及び平均粒径が1μm以下のCeOを、[タングステン]/([タングステン]+[インジウム])で表される原子数比が0.02となるように、[セリウム]/([セリウム+インジウム])で表される原子数比が0.03の割合となるように調合した。
このような原子数比が、表1に示されている。なお、本特許では、W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdを、第1金属群と呼び、「M1」と総称している。また、このM1は、W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdのうちいずれか1種を意味する記号としても用いている。表1中でも、M1は、W、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdのうちいずれかの金属を表す記号として用いられている。
Figure 0005436343

また、本特許では、ランタノイド系金属群を、第2金属群と呼び、「M2」と総称している。また、このM2は、いずれかのランタノイド系金属を表す記号としても用いられている。表1中でも、M2は、ランタノイド系金属を表しており、具体的なランタノイド系金属としてCe、Ho、Er、Ceが示されている。
なお、本特許では後述するように、Zn、Sn、Zr、Ga、Geを、第3金属群と呼び、「M3」と総称している。また、このM3は、Zn、Sn、Zr、Ga、Geのうち、いずれか1種を意味する記号としても用いている。表1中でも、M3は、Zn、Sn、Zr、Ga、Geのうちいずれかの金属を表す記号として用いられている。
更に、本特許では、[ ]の記号を、その原子の単位重量・体積あたりの原子の数を表す記号として用いている。例えば、[タングステン]や[W]は、タングステンの原子の数を表す。[インジウム]や[In]はインジウムの原子の数を表すのである。従って、上述した[タングステン]/([タングステン]+[インジウム])は、タングステンのインジウムに対する原子数比を表す。これは、[W]/([W]+[In])と記載されていても同内容である。
同様に、上記[セリウム]/([セリウム]+[インジウム])は、インジウムに対するセリウムの原子数比を表す。これも[Ce]/([Ce]+[In])と記載しても同様の意味である。
更に、[ ]中に上記金属群の総称である、M1、M2、M3を挿入した[M1]、[M2]、[M3]なる記述法も用いている。[M1]は、第1金属群中から適宜選択された1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、[M2]は、第2金属群中から適宜選択された1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、[M3]は、第3金属群中から適宜選択された1種又は2種以上の金属の原子の数を表す。
上記の割合で調合後、樹脂製ポットに入れ、更に純水を加えて、硬質ZrOボールミルを用いた湿式ボールミル混合を行った。混合時間は20時間とした。得られた混合スラリーを取り出し、濾過、乾燥及び造粒を行った。得られた造粒物に、294MPa(3t/cm)の圧力をかけて冷間静水圧プレスで成形した。
次に、この成形体を以下のように焼結した。焼結炉内に、炉内容積0.1m当たり5L/minの割合で、酸素を導入する雰囲気で、1500℃で5時間焼結した。この際、1000℃までを1℃/min、1000〜1500℃を3℃/minで昇温した。その後、酸素導入を止め、1500℃〜1300℃を10℃/minで降温した。そして、炉内容積0.1m当たり10L/minの割合でアルゴンガスを導入する雰開気で、1300℃を3時間保持した後、放冷した。これにより、相対密度95%以上のタングステン、セリウム含有In焼結体が得られた。
具体的な相対密度の算出値は表1に示すように、96%であった。なお、この際の理論密度は酸素欠陥のないIn結晶(ビックスバイト型構造)とWの酸化物、Ceの酸化物の重量分率より算出した。
焼結体のスパッタ面をカップ砥石で磨き、直径100mm、厚み5mmに加工し、インジウム系合金を用いてバッキングプレートに貼り合わせて、焼結体ターゲット1とした。
本実施例1では、タングステンが、分散していること、特に、酸化インジウムのインジウムサイトに置換固溶していることが好ましい。すなわち、前記タングステンがターゲット内に含まれる形態は、WO、WOなどの酸化タングステンの形で、酸化インジウム焼結体中に分散している形態でもよいが、In12などの酸化インジウム−酸化タングステン間の複合酸化物の形で、酸化インジウム焼結体中に分散している形態でもよい。
また、セリウムは、酸化セリウムのみ擬集していてもよいし、一部が酸化インジウムのインジウムサイトに置換固溶していてもよい。このように分散することにより、画像処理により求めた平均した酸化セリウム結晶粒子の直径は、2.1μmであった。酸化セリウムの凝集は、5μm以下、好ましくは4μm、より好ましくは3μm以下にするのがよい。分散が不十分で、10μm以上の酸化セリウムが存在する場合、スパッタ放電中に異常放電を誘発する場合や、ノジュールが発生する原因になる場合がある。
また、このように分散することにより、酸化インジウムの平均した結晶粒子の直径は、表1に示すように3.4μmであった。この直径は、画像処理により求めた。
また、タングステン原子は、酸化インジウムのインジウムサイトに置換固溶することにより、タングステンが酸化インジウム焼結体中に原子レベルで分散している方が好ましい。このように分散することによって、スパッタリングにおいて放電が安定し、得られる透明導電性薄膜を低抵抗にする効果を奏する。
平均粒径が1μm以下のIn粉末、及び平均粒径が1μm以下のMoO粉末、及び平均粒径が1μm以下のHoを原料粉末とした。In粉末とMoO粉末とHo粉末を所定の割合で樹脂製ポットに調合して入れ、湿式ボールミルで混合した。その際、硬質ZrOボールを用い、混合時間を20時間とした。混合スラリーを取り出し、濾過、乾燥、造粒した。造粒物を円形の型に充填し、冷間静水圧プレスを用い、3ton/cmの圧力をかけて円盤状に成形した。
この際、第1金属群M1の一つであるMoのインジウムに対する組成比率([Mo]/([Mo]+[In]))は、0.02であり、第2金属群M2の一つであるHoのインジウムに対する組成比率([Ho]/([Ho]+[In]))は、0.04である。同様の内容が表1に示されている。
次に、成形体を雰囲気調整炉に入れ、焼結した。焼結に際して、炉内容積0.1m当たり5リットル/分の割合で炉内に酸素を導入しつつ、1500℃で5時間焼結した。この際、1000℃まで1℃/分、1000℃から1500℃までを3℃/分の昇温速度で昇温した。焼結終了後、酸素の導入を停止し、1500℃から1300℃までを10℃/分の割合で降温した。そして、炉内容積0.1m当たり10リットル/分の割合でArを炉内に導入しつつ、1300℃で3時間保持した後、放冷した。これにより密度90%以上のMoを含有する焼結体ターゲット2を得た。具体的な相対密度の算出値は表1に示すように、96%であった。なお、この際の理論密度は酸素欠陥のないIn結晶(ビックスバイト型構造)とMoの酸化物の重量分率、Hoの酸化物の重量分率より算出した。
次に、得られた焼結体のスパッタ面とする面をカップ砥石で磨き、直径152mm、厚み5mmに加工してターゲット2を得た。
前記モリブデン元素がターゲット内に含まれる形態は、MoOやMoOなどの酸化モリブデンの形で酸化インジウム焼結体中に分散している形態でもよい。しかし、InMoやInMo12、又は、InllMo62などのインジウムとモリブデンの複合酸化物の形態で酸化インジウム焼結体中に分散している形態でもよい。好ましくは、モリブデン原子が酸化インジウムのインジウムサイトに置換固溶してモリブデンが酸化インジウム焼結体中に原子レベルで分散している方が、スパッタリングにおいて放電も安定し、スパッタリングによって製造される(透明導電)膜を低抵抗なものとする効果がある。
また、ホルミウムは、酸化ホルミウムのみ凝集していてもよいし、一部が酸化インジウムのインジウムサイトに置換固溶していてもよい。このように分散することにより、画像処理により求めた平均した酸化ホルミウム結晶粒子の直径は、1.8μmであった。酸化ホルミウムの凝集は、5μm以下、好ましくは4μm以下、より好ましくは3μm以下にするのがよい。十分に分散がなされず、10μm以上の酸化ホルミウムが存在する場合、スパッタ放電中に異常放電を誘発する場合や、ノジュール発生の原因となる場合がある。
このように分散することによって、酸化インジウムの平均した結晶粒子の直径は、表1に示すように3.6μmであった。この直径は画像処理によって求めた。
原料粉末としては、いずれも平均粒径が1μm以下のIn粉末、SnO粉末、Nb粉末及びEr粉末を使用した。まず、所定量のIn粉末、SnO粉末、Nb粉末、Er粉末を秤量、混合した後、樹脂製ポットに入れて水を媒体として湿式ボールミル混合した。その際、硬質ZrOボールを用い、混合時間を20時間とした。その後、混合スラリーを取り出し、濾過、乾燥、造粒した。得られた造粒物を成形型に入れ、冷間静水圧プレスで3ton/cmの圧力をかけて所定形状に成形して成形体を得た。
この際、第1金属群M1の一つであるNbのインジウムに対する組成比率([Nb]/([Nb]+[In]))は、0.03であり、第2金属群M2の一つであるErのインジウムに対する組成比率([Er]/([Er]+[In]))は、0.05であり、第3金属群M3の一つであるSnのインジウムに対する組成比率([Sn]/([Sn]+[In]))は、0.05である。同様の内容が表1に示されている。
なお、本特許では、Zn、Sn、Zr、Ga、Geを、第3金属群と呼び、M3と総称している。また、このM3は、Zn、Sn、Zr、Ga、Geのうち、いずれか1種を意味する記号としても用いている。表1中でも、M3は、Zn、Sn、Zr、Ga、Geのうちいずれかの金属を表す記号として用いられている。
また、本特許では、[ ]の記号を、その原子の単位重量・体積あたりの原子の数を表す記号として用いている。例えば、[ニオブ]や[Nb]は、ニオブの原子の数を表す。[インジウム]や[In]はインジウムの原子の数を表すのである。従って、上述した[Nb]/([Nb]+[In])は、タングステンのインジウムに対する原子数比を表す。これは、[ニオブ]/([ニオブ]+[インジウム])と記載されていても同内容である。
同様に、上記[Sn]/([Sn]+[In])は、インジウムに対するスズの原子数比を表す。これも[スズ]/([スズ]+[インジウム])と記載しても同様の意味である。
更に、本特許では、[M3]を、第3金属群M3中から選択した1種又は2種以上の金属の数を表す記号として利用している。
次に、得られた成形体をそれぞれ次の手順で焼結した。
まず、炉内容積0.1m当たり5リットル/分の割合で焼結炉内に酸素を流入させ、1500℃で5時間保持した。この際、1000℃までは1℃/分で、1000〜1500℃の問は3℃/分で昇温した。その後、酸素の流入を停止し、1500℃から1300℃までを10℃/分で降温した。その後、炉内容積0.1m当たり10リットル/分の割合でArを流入させ、1300℃で3時間保持した後、放冷した。得られた焼結体の密度は、水を用いたアルキメデス法に従って測定し、理論密度から相対密度を算出した。なお、この際の理論密度は、酸素欠陥のないIn結晶(ビックスバイト型構造)SbとNbとErの酸化物の重量分率より算出した。具体的な相対密度の算出値は表1に示すように、97%であった。
また、焼結体中のSnとNbとEr含有量をICP発光分析法で定量分析したところ、原料粉末を混合する際の仕込み組成が維持されていることが確認できた。
次に、得られた焼結体を、そのスパッタ面をカップ砥石で磨き、直径152mm、厚み5mmに加工して透明導電性薄膜用焼結体ターゲットを得た。これを、In系合金を用いてバッキングプレートに貼り合わせてスパッタリング用ターゲット3を構成した。
スズ、ニオブ及びエルビウムがスパッタリングターゲット内に組み込まれる形態は、酸化スズ(SnO、SnO、SnO4)や酸化ニオブ(Nb、Nb、NbO)、酸化エルビウム(ErO、ErO)として分散していることが好ましい。また、酸化インジウム−酸化スズや酸化インジウム−酸化ニオブ、酸化インジウム−酸化エルビウム間の複合酸化物として分散してもよい。
更に、スズやニオブやエルビウム原子が酸化インジウムのインジウムサイトに置換固溶し、酸化インジウム焼結体中に原子レベルで分散している形態が、非常に好ましい。この分散の形態によれば、スパッタリングにおいて放電も安定であり、均質な低抵抗の膜が得られる。このように分散することにより、酸化インジウムの平均した結晶粒子の直径は、表1に示すように3.7μmであった。この直径は画像処理により求めた
原料粉末としては、いずれも平均粒径が1μm以下のIn粉末、ZnO粉末、NiO粉末、CeO粉末を使用した。まず、所定量のIn粉末、ZnO粉末、NiO粉末を秤量、混合した後、樹脂製ポットに入れて水を媒体として湿式ボールミル混合した。その際、硬質ZrOボールを用い、混合時間を20時間とした。その後、混合スラリーを取り出し、濾過、乾燥、造粒した。得られた造粒物を成形型に入れ、冷問静水圧プレスで3ton/cmの圧力をかけて所定形状に成形して成形体を得た。次に、得られた成形体をそれぞれ次の手順で焼結した。
まず、炉内容積0.1m当たり5リットル/分の割合で焼結炉内に酸素を流入させ、1500℃で5時間保持した。この際、1000℃までは1℃/分、1000〜1500℃の間は3℃/分で昇温した。その後、酸素の流入を停止し、1500℃から1300℃までを10℃/分で降温した。その後、炉内容積0.1m当たり10リットル/分の割合でArを流入させ、1300℃で3時間保持した後、放冷した。
なお、第1金属群M1の一つであるNiのインジウムに対する組成比率([Ni]/([Ni]+[In]))は、0.05であり、第2金属群M2の一つであるCeのインジウムに対する組成比率([Ce]/([Ce]+[In]))は、0.03であり、第3金属群M3の一つであるZnのインジウムに対する組成比率([Zn]/([Zn]+[In]))は、0.10である。同様の内容が表1に示されている。
さて、上述のようにして得られた焼結体の密度は、水を用いたアルキメデス法に従って測定し、理論密度から相対密度を算出した。なお、この際の理論密度は酸素欠陥のないIn結晶(ビックスバイト型構造)とZnとNiとCeの酸化物の重量分率より算出した。具体的な相対密度の算出値は表1に示すように、95%であった。
また、焼結体中のZnとNiとCeの含有量をICP発光分析法で定量分析したところ、原料粉末を混合する際の仕込み組成が維持されていることが確認できた。
次に、得られた焼結体を、そのスパッタ面をカップ砥石で磨き、直径152mm、厚み5mmに加工して透明導電性薄膜用焼結体ターゲットを得た。これを、In系合金を用いてバッキングプレートに貼り合わせてスパッタリングターゲット4を構成した。
亜鉛、ニッケル及びセリウムがスパッタリングターゲット4内に組み込まれる形態は、酸化亜鉛(ZnO)や酸化ニッケル(NiO)、酸化セリウム(CeO、Ce)として分散してもよいく、酸化インジウム−酸化亜鉛の複合酸化物(InZn、InZn、InZn10、InZn、InZn)として分散してもよい。
更に、ニッケルやセリウム原子が、酸化インジウムのインジウムサイトに置換固溶し、酸化インジウム焼結体中に原子レベルで分散している形態が非常に好ましい。この分散の形態によれば、スパッタリング中の放電も安定し、かつ、スパッタリングの結果、均質な低抵抗の膜が得られる
このように分散することによって、酸化インジウムの平均した結晶粒子の直径は、表1に示すように3.4μmであった。この直径は、画像処理により求めた。
一方、本発明の焼結体ターゲット(スパッタリングターゲット)の製造方法としては、所定量の酸化インジウム、酸化亜鉛、及び酸化ニッケル、酸化セリウムを混合した混合物を用いる以外は特に制限されず、公知の方法を用いて、上記4成分を混合、成形、焼結した後、その焼結体を成形することによって、焼結体ターゲット(スパッタリングターゲット)を製造することができる。なお、焼結体ターゲットには、本発明の日的を損なわない範囲で、上記4成分以外の成分が添加されていてもよい。
原料粉末としては、いずれも平均粒径が1μm以下のIn粉末、ZnO粉末、PtO2粉末、CeO粉末を使用した。まず、所定量のIn粉末、ZnO粉末、PtO粉末を秤量、混合した後、樹脂製ポットに入れて水を媒体として湿式ボールミル混合した。その際、硬質ZrOボールを用い、混合時間を20時間とした。その後、混合スラリーを取り出し、濾過、乾燥・造粒した。これによって得られた造粒物を成形型に入れ、冷間静水圧プレスで3ton/cmの圧力をかけて所定形状に成形して成形体を得た。次に、得られた成形体を(それぞれ)次の手順で焼結した。
炉内容積0.1m当たり5リットル/分の割合で焼結炉内に酸素を流入させ、1450℃で5時間保持した、この際、1000℃までは1℃/分、1000〜1450℃の間は3℃/分で昇温した。その後、酸素の流入を停止し、1450℃から1300℃までを10℃/分で降湿した。その後、炉内容積0.1m当たり10リットル/分の割合でArを流入させ、1300℃で3時間保持した後、放冷した。
なお、第1金属群M1の一つであるPtのインジウムに対する組成比率([Pt]/([Pt]+[In]))は、0.02であり、第2金属群M2の一つであるCeのインジウムに対する組成比率([Ce]/([Ce]+[In]))は、0.03であり、第3金属群M3の一つであるZnのインジウムに対する組成比率([Zn]/([Zn]+[In]))は、0.10である。同様の内容が表1に示されている。
さて、上述のように得られた焼結体の密度は、水を用いたアルキメデス法に従って測定し、理論密度から相対密度を算出した。なお、この際の理論密度は、酸素欠陥のないIn結晶(ビックスバイト型構造)とZnとPtとCeの酸化物の重量分率より算出した。具体的な相対密度の算出値は表1に示すように、95%であった。
また、焼結体中のZnとPtとCeの含有量をICP発光分析法で定量分析したところ、原料粉末を混合する際の仕込み組成が維持されていることが確認できた。
次に、得られた焼結体に関し、そのスパッタ面をカップ砥石で磨き、直径152mm、厚み5mmに加工して透明導電性薄膜用焼結体スパッタリングターゲットを得た。このスパッタリングターゲットを、In系合金を用いてバッキングプレートに貼り合わせてスパッタリングターゲット5を形成した。
亜鉛やニッケル、セリウムがスパッタリングターゲット内に組み込まれる形態は、酸化亜鉛(ZnO)や酸化白金(PtO)、酸化セリウム(CeO、Ce)として分散してもよいく、酸化インジウム−酸化亜鉛の複合酸化物(InZn、InZn、InZn10、InZn、InZn)として分散してもよい。
また、白金やセリウム原子が酸化インジウムのインジウムサイトに置換固溶し、酸化インジウム焼結体中に原子レベルで分散している形態が、スパッタリングにおいて放電も安定し、スパッタリングによって均質な低抵抗の膜が得られるので特に好ましい。
これは、酸化セリウムは、酸化インジウムに固溶していることにより、酸化インジウム膜中の原子価が3価であるインジウム位置に原子価4価のセリウムが占有し、これによってキャリア電子を放出して導電率が増加するからである。
また、酸化セリウムの一部は、酸化セリウム単体で存在していてもよい。このように酸化セリウムが単体で存在することにより、酸化インジウムの結晶の異常成長が抑制され、よって、ノジュールの発生や異常放電の発生も抑制される。
なお、このように分散することにより、酸化インジウムの平均した結晶粒子の直径は、表1に示すように3.7μmであった。この平均直径の値は、画像処理により求めた。
一方、本発明の焼結体(スパッタリング)ターゲットの製造方法としては、所定量の酸化インジウム、酸化亜鉛、及び酸化白金、酸化セリウムを混合した混合物を用いる以外は特に制限されず、公知の方法を用いて、上記4成分を混合、成形、焼結した後、焼結体を成形することにより焼結体(スパッタリング)ターゲットを製造することができる。
なお、焼結体(スパッタリング)ターゲットには、本発明の目的を損なわない範囲で、上記4成分以外の成分が添加されていてもよい。
原料粉末として、いずれも平均粒径が1μm以下のIn粉末、ZnO粉末、PdO粉末、CeO粉末を使用する。まず、所定量のIn粉末、ZnO粉末、PdO粉末を秤量、混合した後、樹脂製ポットに入れて水を媒体として湿式ボールミル混合した。その際、硬質ZrOボールを用い、混合時間を20時間とした。その後、混合スラリーを取り出し、濾過、乾燥・造粒した。得られた造粒物を、成形型に入れ、冷問静水圧プレスで3ton/cmの圧力をかけて所定形状に成形して成形体を得た。
次に、得られた成形体をそれぞれ次の手順で焼結した。
炉内容積0.1m当たり5リットル/分の割合で焼結炉内に酸素を流入させ、1450℃で5時間保持した。この際、1000℃までは1℃/分、1000〜1450℃の間は3℃/分で昇温した。その後、酸素の流入を停止し、1450℃から1300℃までを10℃/分で降温した。その後炉内容積0.1m当たり10リットル/分の割合でArを流入させ、1300℃で3時間保持した後、放冷した。
なお、第1金属群M1の一つであるPdのインジウムに対する組成比率([Pd]/([Pd]+[In]))は、0.05であり、第2金属群M2の一つであるCeのインジウムに対する組成比率([Ce]/([Ce]+[In]))は、0.03であり、第3金属群M3の一つであるZnのインジウムに対する組成比率([Zn]/([Zn]+[In]))は、0.10である。同様の内容が表1に示されている。
さて、上述したようにして得られた焼結体の密度は、水を用いたアルキメデス法に従って測定し、理論密度から相対密度を算出した。なお、この際の理論密度は酸素欠陥のないIn結晶(ビックスバイト型構造)とZnとPdとCeの酸化物の重量分率より算出した。具体的な相対密度の算出値は表1に示すように、95%であった。
また、焼結体中のZnとPdとCeの含有量をICP発光分析法で定量分析したところ、原料粉末を混合する際の仕込み組成が維持されていることが確認できた。次に、得られた焼結体のスパッタ面をカップ砥石で磨き、直径152mm、厚み5mmに加工して透明導電性薄膜用焼結体(スパッタリング)ターゲットを得た。この焼結体(スパッタリング)ターゲットを、In系合金を用いて、バッキングプレートに貼り合わせてスパッタリングターゲット6を形成した。
さて、亜鉛やパラジウムやセリウムがスパッタリングターゲット内に組み込まれる形態は、酸化亜鉛(ZnO)や酸化パラジウム(PdO)や酸化セリウム(CeO、Ce)として分散してもよいく、酸化インジウム−酸化亜鉛の複合酸化物(InZn、InZn、InZn10、InZn、InZn)として分散してもよい。パラジウムやセリウム原子が酸化インジウムのインジウムサイトに置換固溶し、酸化インジウム焼結体中に原子レベルで分散している形態が、スパッタリングにおいて放電も安定し、スパッタリングによって均質な低抵抗の膜が得られるので好ましい。
このように酸化セリウムが、酸化インジウムに固溶していることにより、酸化インジウム膜中の原子価が3価であるインジウム位置に原子価4価のセリウムが占有する。これによって(セリウムが)キャリア電子を放出して導電率が増加するからである。
また、一部は、酸化セリウム単体で存在していてもよい。このように酸化セリウムが単体で存在することにより、酸化インジウムの結晶の異常成長が抑制され、よって、ノジュールの発生や異常放電の発生も抑制される。
このように分散することにより、酸化インジウムの平均した結晶粒子の直径は、表1に示すように3.6μmであった。この平均直径は、画像処理により求めた。
一方、本発明の焼結体(スパッタリング)ターゲットの製造方法としては、所定量の酸化インジウム、酸化亜鉛、及び酸化パラジウム、酸化セリウムを混合した混合物を用いる以外は特に制限されず、公知の方法を用いて上記4成分を混合、成形、焼結した後、焼結体を成形することにより焼結体(スパッタリング)ターゲットを製造することができる。
なお、焼結体(スパッタリング)ターゲットには、本発明の目的を損なわない範囲で、上記4成分以外の成分が添加されていてもよい。
平均粒径が1.0μm以下のIn粉末、及び平均粒径が1μm以下のGeO粉末、WO粉末、CeO粉末を原料粉末として用いる。まず、表1に示す[Ge]/[In]原子比、[W]/[In]、[Ce]/[In]の組成の焼結体を得るように、In粉末とGeO粉末、WO粉末、CeO粉末を所定の割合で調合し、樹脂製ポットに入れ、湿式ボールミルで混合した。この際、硬質ZrOボールを用い、混合時間を24時間とした。混合後、スラリーを取り出し、濾過、乾燥、造粒した。この造粒物を冷間静水圧プレスで3ton/cmの圧力をかけて成形した。
次に、この成形体を、炉内容積0.1m当たり5リットル/分の割合で焼結炉内の大気に酸素を導入する雰囲気で、1300℃にて3時間、焼結した。この際、1℃/分で昇温し、焼結後の冷却の際は、酸素導入を止め、1000℃までを10℃/分で降温した。
なお、第1金属群M1の一つであるWのインジウムに対する組成比率([W]/([W]+[In]))は、0.01であり、第2金属群M2の一つであるCeのインジウムに対する組成比率([Ce]/([Ce]+[In]))は、0.03であり、第3金属群M3の一つであるGeのインジウムに対する組成比率([Ge]/([Ge]+[In]))は、0.03である。同様の内容が表1に示されている。
さて、上述したようにして得られた焼結体の破材を粉砕し、粉末X線回折測定を実施したところ、ビックスバイト型構造の酸化インジウム相及び酸化セリウムに起因する回折ピークのみ観察された。したがって、得られた上記焼結体は、本発明の特徴を有する酸化物焼結体である。
得られた焼結体の相対密度の算出値は表1に示すように、97%であった。
また、この焼結体の微細組織のEPMA分析から、酸化インジウム相には、ゲルマニウム及び酸化タングステンが固溶していることが確認された。また、酸化セリウムは、単体で存在する部分と、酸化インジウムに固溶している部分と、の双方が存在することが確認された。このように分散することにより、酸化インジウムの平均した結晶粒子の直径は、表1に示すように3.8μmであった。この平均直径は、画像処理により求めた
この焼結体を、直径101mm、厚さ5mmの大きさに加工し、そのスパッタ面をカップ砥石で磨いて(スパッタリング)ターゲットとした。これを、無酸素銅製のバッキングプレートに金属インジウムを用いてボンデイングし、スパッタリングターゲットを形成した。
ゲルマニウム
さて、スパッタリングターゲット中に、酸化ゲルマニウム粒子が存在すると、酸化ゲルマニウム粒子の比抵抗が高いため、プラズマから照射されるアルゴンイオンで帯電が起こり、アーキングが生じる。この傾向は、ターゲット投入電力を上げ、アルゴンイオンの照射量が増加するほど顕著になる。
これに対して、本発明に従った(本実施例の)スパッタリングターゲットでは、ゲルマニウムがインジウムサイトに置換固溶した酸化インジウムと、ゲルマニウム酸インジウム化合物と、のいずれも比抵抗が低い。つまり高抵抗の粒子がスパッタリングターゲット中に存在しないため、投入パワーを増加させてもアーキングが生じにくいという特徴を有する。このため、本実施例によれば、高投入電力による高速成膜が可能となる。
本発明(本実施例の)酸化物焼結体にゲルマニウム(Ge)元素を含ませる理由は、ゲルマニウム(Ge)元素を含ませたスパッタリングターゲットからスパッタ法によって薄膜を作製した場合、その薄膜中においては、酸化インジウム膜中の原子価が3価であるインジウム位置に原子価4価のゲルマニウムが占有し、これによってキャリア電子を放出するので薄膜の導電率が増加するからである。
また、既に述べたように、本発明においては、スパッタリングターゲット中のゲルマニウム元素を、Ge/In原子比で0.005以上0.2以下の範囲に規定している。このような数値範囲に規定する理由は、上記範囲を逸脱した場合、得られる薄膜の抵抗値が増大してしまうからである。
タングステン
また、本実施例のスパッタリングターゲットにおいては、タングステンが分散していることが好ましい。特に、タングステンが酸化インジウムのインジウムサイトに置換固溶していることが好ましい。
すなわち、前記タングステンがターゲット内に含まれる形態は、WO、WOなどの酸化タングステンの形で、酸化インジウム焼結体中に分散している形態でもよい。また、In12などの酸化インジウム−酸化タングステン間の複合酸化物の形で、酸化インジウム焼結体中に分散している形態も好ましい。特に好ましくは、タングステン原子が酸化インジウムのインジウムサイトに置換固溶することによって、タングステンが酸化インジウム焼結体中に原子レベルで分散していることである。このように原子レベルで分散していることによって、スパッタリングにおける放電が安定する。更に、原子レベルで分散していることは、得られる透明導電性薄膜を低抵抗にするために有効である。
セリウム
酸化セリウムは、酸化インジウムに固溶していることにより、酸化インジウム膜中の原子価が3価であるインジウム位置に原子価4価のセリウムが占有している。この結果、本実施例では、原子価4価のセリウムがキャリア電子を放出して薄膜の導電率が増加するのである。
また、酸化セリウムの一部は、酸化セリウム単体で存在していてもよい。このように酸化セリウムが単体で存在することによって、酸化インジウムの結晶の異常成長が抑制され、よって、ノジュールの発生や異常放電の発生も抑制される。
平均粒径が1μm以下のIn粉末、及び平均粒径が1μm以下のGa粉末、WO粉末、Laを原料粉末とした。まず、表1に示すGa/In原子比、W/In、La/Inの組成比率の焼結体を得るために、In粉末とGaO粉末、WO粉末、La粉末を所定の割合で調合し、樹脂製ポットに入れ、湿式ボールミルで混合した。この際、硬質ZrOボールを用い、混合時間を24時間とした。混合後、スラリーを取り出し、濾過、乾燥、造粒した。この造粒物を冷間静水圧プレスで3ton/cmの圧力をかけて成形した。
次に、この成形体を、炉内容積0.1m当たり5リットル/分の割合で焼結炉内の大気に酸素を導入する雰囲気で、1450℃にて3時間、焼結した。この際、1℃/分で昇温し、焼結後の冷却の際は、酸素導入を止め、1000℃までを10℃/分で降温した。
なお、第1金属群M1の一つであるWのインジウムに対する組成比率([W]/([W]+[In]))は、0.02であり、第2金属群M2の一つであるLaのインジウムに対する組成比率([La]/([La]+[In]))は、0.03であり、第3金属群M3の一つであるGaのインジウムに対する組成比率([Ga]/([Ga]+[In]))は、0.03である。同様の内容が表1に示されている。
このようにして得られた焼結体の破材を粉砕し、粉末X線回折測定を実施したところ、ビックスバイト型構造の酸化インジウム相に起因する回折ピークと酸化セリウムに起因する回折ピークとが観察された。
したがって、本実施例の酸化物焼結体は、本発明の特徴を有する酸化物焼結体である。また、焼結体の微細組織のEPMA分析から、酸化インジウム相には、ガリウムが固溶していることが確認された。このように分散することによって、酸化インジウムの平均した結晶粒子の直径は、表1に示すように3.7μmであった。この平均の直径は、画像処理により求めた。
また、本実施例の酸化物焼結体の具体的な相対密度の算出値は表1に示すように、97%であった。
この焼結体を、直径101mm、厚さ5mmの大きさに加工し、そのスパッタ面をカップ砥石で磨いて(スパッタリング)ターゲットとした。これを、無酸素銅製のバッキングプレートに金属インジウムを用いてボンデイングし、スパッタリングターゲットを形成した。
ガリウム
さて、スパッタリングターゲット中に酸化ガリウム粒子が存在すると、酸化ガリウム粒子の比抵抗が高いため、プラズマから照射されるアルゴンイオンで帯電が起こり、アーキングが生じる場合がある。この傾向は、ターゲット投入電力を上げ、アルゴンイオンの照射量が増加するほど大きくなる。
これに対して、本発明に従った(本実施例の)スパッタリングターゲットでは、ガリウムがインジウムサイトに置換固溶した酸化インジウム、ガリウム酸インジウム化合物のいずれも比抵抗が低いので(つまり高抵抗の粒子が存在しないため)、プラズマに投入するパワーを増加させてもアーキングが生じにくいのである。このため、本実施例においては、高投入電力による高速成膜が可能となる。
タングステン
本実施例においては、タングステンはスパッタリングターゲット中で分散している。また特に、タングステンが、酸化インジウムのインジウムサイトに置換固溶していることが
が好ましい。
すなわち、前記タングステンがスパッタリングターゲット内に含まれる形態は、WO、WOなどの酸化タングステンの形で、酸化インジウム焼結体中に分散している形態でもよい。また、In12などの酸化インジウム−酸化タングステン間の複合酸化物の形で、酸化インジウム焼結体中に分散している形態でもよい。
特に好ましくは、タングステン原子が酸化インジウムのインジウムサイトに置換固溶することにより、タングステンが酸化インジウム焼結体中に原子レベルで分散していることである。このように原子レベルで分散していることによって、スパッタリング中の放電が安定し、スパッタリングによって得られる透明導電性薄膜をより低抵抗なものとすることができる。
ランタン
また、ランタンの一部は、酸化ランタン単体で存在していてもよい。このように酸化ランタンが単体で存在することにより酸化インジウムの結晶の異常成長が抑制され、よって、ノジュールの発生や異常放電の発生も抑制される。
本実施例では、接触抵抗の測定結果を示す。
ガラス/Al/透明電極の場合
まず、図2(1)に示すように、スライドガラス100に第一回目成膜用マスク102(カプトンテープ)を施し、Alを200nm厚に成膜した。その後、前述のマスクをリフトオフして、所定のAlパターン104を形成した(図2(2)参照)。
次に、上述した実施例1から実施例8で得られたスパッタリングターゲットをDCスパッタリング装置に装着した。そして、第二回目成膜用マスク106(同じくカプトンテープ)を施した(図3(1)参照)。そして、上記実施例1〜8で得られた各スパッタリングターゲットを用いてスパッタリングし、200nm厚で薄膜(透明電極)108を成膜した。その後、第二回目成膜用マスク106をリフトオフし、第1接触抵抗測定用基板110を得た(図3(2)参照)。この基板は、接触抵抗を測定するために作製されたものであるので、本実施例9では、(第1)接触抵抗測定用基板110と呼ぶ。
当該接触抵抗測定用基板100は略長方形をなしているが、この両端部に端子を設け、ガラス/Al/透明電極のように積層した場合の表面の抵抗を測定した。この様子が図4(1)に示されている。例えば、実施例1で作製したスパッタリングターゲットを用いて透明電極を作製した場合の抵抗値は、32.5Ωであった。他の実施例2〜8を用いた場合の数値が表1に示されている。
なお、本実施例9では、透明導電膜を「電極」として用いたので、これを透明電極と呼んでいる。
ガラス/透明電極/Alの場合
また、成膜順序を透明電極/Alの順にした場合、すなわち、ガラス/透明電極/Alのように積層した場合の接触抵抗を測定するための第2接触抵抗測定用基板120を得た。この第2接触抵抗測定用基板120は、Alパターン104と金属酸化物108の積層順序のみが異なる。この第2接触抵抗測定用基板120の測定結果も同様に表1に示されている。なお、測定手法等は、上記第1接触抵抗測定用基板110と同様であり、その様子が図4(2)に示されている。
さて、Al上に透明電極を成膜した場合、Al表面が酸化されAlを生成するため、測定される抵抗値は一般に大きくなる。
本発明の好ましい実施例10を図1により説明する。
まず、透光性のガラス基板1上に金属Al(99%Al1%Nd)を高周波スパッタにより膜厚1500オングストロームで堆積する。これを燐酸−酢酸−硝酸系水溶液をエッチング液として用いたホトエッチング法によりエッチングし、所望の形状のゲート電極2及びゲート配線を形成する。次にグロー放電CVD法により、ゲート絶縁膜3を形成する窒化シリコン(SiN)膜を膜厚3000オングストローム堆積する。続いて、アモルファス−Si:H(i)膜4を膜厚3500オングストローム堆積する。更にチャンネル保護層となる窒化シリコン(SiN)膜5を3000オングストローム堆積する。
この時、放電ガスとしては、SiN膜3と5はSiH−NH−N系混合ガスを用い、アモルファス−Si:H(i)膜4は、SiH−N系の混合ガスをそれぞれ用いた。このSiN膜5は、CHFガスを用いたドライエッチングにより所望のチャンネル保護層5を形成する。続いてアモルファス−Si:H(n)膜6をSiH−H−PH系の混合ガスを用いて膜厚3000オングストロームで堆積する。
次にこの上に、Cr/Al二層膜を堆積した。この二層膜は、膜厚0.1μmのCrと、0.3μmのAlとを、この順で真空蒸着法、又はスパッタリング法により堆積することによって得る。図1においては、ソース電極7やドレイン電極8がこの2層から成ることが図示されている。
この二層膜中のAlは、HPO−CHCOOH−HNO−HO系エッチング液を用いてホトエッチングし、一方、二層膜中のCrは、硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液を用いて、ホトエッチングした。このようなホトエッチングによって、所望のソース電極7のパターン及びドレイン電極8のパターンを形成した。
更にアモルファス−Si:H膜をCHガスを用いたドライエッチング及びヒドラジン(NHNH・HO)水溶液を用いたウェットエッチングを併用することにより、所望のパターンのアモルファスーSiH(i)膜4のパターン、アモルファス−Si:H(n)膜6のパターンをそれぞれ形成した。
次に、グロー放電CVD法により、絶縁膜10を形成する窒化シリコン(SiN)膜を膜厚3000オングストローム堆積する。この後、CHガスを用いたドライエッチング法にて、ソース電極7及びドレイン電極8間と透明電極、画素電極9とのコンタクトホールを形成する。
さて、この金属Alからなるソース電極7及びドレイン電極8のパターンが形成された基板上に、実施例4で得られた酸化インジウムと酸化亜鉛・酸化ニッケル、酸化セリウムを主成分とする非晶質透明導電膜をスパッタリング法で堆積する。放電ガスは純アルゴンガス又は1vol%程度の微量のOガスを混入させたアルゴンガスを用いた。このような方法で透明電極膜(透明導電膜)9を膜厚1200オングストローム堆積した。このIn−ZnO−NiO−CeO膜はX線回折法で分析するとピークは観察されず非晶質膜であった。また、この膜の比抵抗は6.25×10−4Ω・cm程度であり、十分に電極として使用できる膜である。
この透明導電膜を蓚酸3.5重量%の水溶液をエッチャントに用いたホトエッチング法によってエッチングし、所望の画素電極パターンを有する画素電極9を形成した。この画素電極9のパターンは、画素電極9が、少なくとも所定のパターンを有するソース電極7と電気的に接続するようなパターンである。このようなエッチングによって、所定の画素電極パターンを有する画素電極9が形成された。この画素電極9は所望の非晶質電極である。
この時、Alのソース電極7及びドレイン電極8がエッチング液で溶出してしまうことはなかった。また、ゲート線、ソース・ドレイン線の電極取り出し部も透明電極で覆われている。
なお、この段階における基板は、請求の範囲の透光性ガラス基板の一例に相当する。
この後、所定の遮光膜パターンを有する遮光膜を形成して、アモルファス−SiTFTアクティブマトリックス基板が完成した。
このアモルファス−SiTFTアクティブマトリックス基板を用いてTFT−LCD方式平面ディスプレイを製造した。このTFT−LCD方式平面ディスプレイは、中間調の表示(階調表示)も問題なく可能であり、良好な表示性能を示した。
なお、上述した例では、実施例4で作製したスパッタリングターゲットを利用したが、たの実施例1〜3、5〜8で作製したスパッタリングターゲットを利用しても好ましい結果が得られ、透明電極として十分に利用可能であることが確認された。実施例4以外の他の実施例におけるスパッタリングターゲットを用いた場合の透明導電膜の比抵抗値が表1に示されている。
−比較例−
以下、比較例を説明する。下記の各比較例では、表1に示した組成のスパッタリングターゲットを作成し、実施例9と同じ評価を行っている。
『比較例1』
平均粒径が1μm以下のIn粉末、及び平均粒径が1μm以下のSnO粉末、を原料粉末として上記実施例1〜8と同様にしてスパッタリングターゲットを作製した。
なお、第3金属群M3の一つであるSnのインジウムに対する組成比率([Sn]/([Sn]+[In]))は、0.10である。これは表1にも示されている。
酸化インジウムの平均した結晶粒子の直径は、表1に示すように12.8μmであった。この平均の直径は、画像処理により求めた。また、本比較例の酸化物焼結体の具体的な相対密度の算出値は表1に示すように、99%であった。
Alとの接触抵抗
本比較例においても、上記実施例9と同様の手法で、ガラス/Al/透明電極、ガラス/透明電極/Alの構成においてAlとの接触抵抗を測定した。その結果が表1に示されている。
透明電極の比抵抗
本比較例においても、上記実施例10と同様の手法で液晶表示装置を作成し、その課程で透明電極の比抵抗を測定した。その測定結果も、表1に示されている。
『比較例2』
平均粒径が1μm以下のIn粉末、及び平均粒径が1μm以下のZnO粉末を原料粉末として上記実施例1〜8と同様にしてスパッタリングターゲットを作製した。
なお、第3金属群M3の一つであるZnのインジウムに対する組成比率([Zn]/([Zn]+[In]))は、0.16である。これは表1にも示されている。
酸化インジウムの平均した結晶粒子の直径は、表1に示すように3.8μmであった。この平均の直径は、画像処理により求めた。また、本比較例の酸化物焼結体の具体的な相対密度の算出値は表1に示すように、98%であった。
Alとの接触抵抗
本比較例においても、上記実施例9と同様の手法で、「ガラス/Al/透明電極」、「ガラス/透明電極/Al」の両構成においてAlとの接触抵抗を測定した。その結果が表1に示されている。
透明電極の比抵抗
本比較例においても、上記実施例10と同様の手法で液晶表示装置を作成し、その過程で透明電極の比抵抗を測定した。その測定結果も、表1に示されている。
『比較例3』
平均粒径が1μm以下のIn粉末、及び平均粒径が1μm以下の、WO粉末、CeO粉末を原料粉末として用いて上記実施例1〜8と同様にしてスパッタリングターゲットを作製した。
なお、第1金属群M1の一つであるWのインジウムに対する組成比率([W]/([W]+[In]))は、0.25である。また、第2金属群M2の一つであるCenのインジウムに対する組成比率([Ce]/([Ce]+[In]))は、0.25である。これらは表1にも示されている。
酸化インジウムの平均した結晶粒子の直径は、表1に示すように15μmであった。この平均の直径は、画像処理により求めた。また、本比較例の酸化物焼結体の具体的な相対密度の算出値は表1に示すように、84%であった。
Alとの接触抵抗
本比較例においても、上記実施例9と同様の手法で、「ガラス/Al/透明電極」、「ガラス/透明電極/Al」の両構成においてAlとの接触抵抗を測定した。その結果は表1に示されているように、いずれも1MΩ以上であった。
透明電極の比抵抗
本比較例においても、上記実施例10と同様の手法で液晶表示装置を作成し、その過程で透明電極の比抵抗を測定した。その測定結果は表1に示されているように1MΩcm以上であった。
『比較例4』
平均粒径が1μm以下のIn粉末、及び平均粒径が1μm以下の、WO粉末、CeO粉末、SnO粉末、を原料粉末として上記実施例1〜8と同様にしてスパッタリングターゲットを作製した。
なお、第1金属群M1の一つであるWのインジウムに対する組成比率([W]/([W]+[In]))は、0.25であり、第2金属群M2の一つであるCeのインジウムに対する組成比率([Ce]/([Ce]+[In]))は、0.25であり、第3金属群M3の一つであるSnのインジウムに対する組成比率([Sn]/([Sn]+[In]))は、0.4であった。これらは表1にも示されている。
また、本比較例の酸化物焼結体の具体的な相対密度の算出値は表1に示すように、60%であった。
Alとの接触抵抗
本比較例においても、上記実施例9と同様の手法で、「ガラス/Al/透明電極」、「ガラス/透明電極/Al」の両構成においてAlとの接触抵抗を測定した。その結果は表1に示されているように、いずれも1MΩ以上であった。
透明電極の比抵抗
本比較例においても、上記実施例10と同様の手法で液晶表示装置を作成し、その過程で透明電極の比抵抗を測定した。その測定結果は表1に示されているように1MΩcm以上であった。
−変形例1−
上で述べた実施例においては、第1金属群M1のW、Mo、Nb、Ni、Pt、Pdの酸化物を構成要素とする例について説明したが、第1金属群の金属そのもの(酸化物ではない)をそのまま使用することも好ましく、上記各実施例と同様の作用効果が得られる。
−変形例2−
上で述べた実施例9、10においては、Alを用いた例を示している。しかしながら、Alの代わりにAgを用いることももちろん好ましい。Agを用いた場合も、Alの場合と同様の作用・効果が得られる。
まとめ
以上、本発明の好適な実施例1〜12、及び、比較例1〜4について説明した。
このように、本実施の形態による透明導電膜を透明電極や画素電極として用いれば、Alゲート電極と透明電極の間、Alソース・ドレイン電極と画素電極との間、の接触抵抗を小さく抑えることができる。その結果、この透明電極や画素電極を用いれば、中間調を良好に表示可能な液晶表示装置が得られる。
1 透光性ガラス基板
2 ゲート電極
3 SiNゲート絶縁膜
4 アモルファス−Si:H(i)膜
5 チャンネル保護膜
6 アモルファス−Si:H(n)膜
7 ソース電極
8 ドレイン電極
9 画素電極
10 絶縁膜
100 スライドガラス
102 第一回目成膜用マスク
104 Alパターン
106 第二回目成膜用マスク
108 金属酸化物
110 第1接触抵抗測定用基板
120 第2接触抵抗測定用基板

Claims (12)

  1. 酸化インジウムを主成分とし、
    Mo及びNbからなる第1金属群M1から選ばれた1種又は2種の金属の酸化物と、
    ランタノイド系金属からなる第2金属群M2から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物と、
    を含み、ランタノイド系金属からなる前記第2金属群M2から選ばれた金属の酸化物が、La、Ho、Er中から選ばれたいずれか1種以上の金属の酸化物であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  2. Mo及びNbからなる前記第1金属群M1から選ばれた1種又は2種の金属の酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M1]/([M1]+[In])の値が、0.005〜0.2であり、
    ランタノイド系金属からなる前記第2金属群M2から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M2]/([M2]+[In])の値が、0.005〜0.2であることを特徴とする請求項1記載のスパッタリングターゲット。ここで、前記[M1]は、前記第1金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、前記[M2]は、前記第2金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、前記[In]は、インジウムの原子の数を表す。
  3. 更に、Zn、Sn、Zr、Ga、Geからなる第3金属群M3から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物と、
    を含むことを特徴とする請求項1記載のスパッタリングターゲット。
  4. Mo及びNbからなる前記第1金属群M1から選ばれた1種又は2種の金属の酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M1]/([M1]+[In])の値が、0.005〜0.2であり、
    ランタノイド系金属からなる前記第2金属群M2から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M2]/([M2]+[In])の値が、0.005〜0.2であり、
    Zn、Sn、Zr、Ga、Geからなる前記第3金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M3]/([M3]+[In])の値が0.005〜0.2であることを特徴とする請求項記載のスパッタリングターゲット。ここで、前記[M1]は、前記第1金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、前記[M2]は、前記第2金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、前記[M3]は、前記第3金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、前記[In]は、インジウム金属の原子の数を表す。
  5. 酸化インジウムを主成分とし、
    Mo及びNbからなる第1金属群M1から選ばれた1種又は2種の金属の酸化物と、
    ランタノイド系金属からなる第2金属群M2から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物と、
    からなり、ランタノイド系金属からなる前記第2金属群M2から選ばれた金属の酸化物が、La、Ho、Erのいずれか1種以上の金属の酸化物であることを特徴とする透明導電膜。
  6. Mo及びNbからなる前記第1金属群M1から選ばれた1種又は2種の金属酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M1]/([M1]+[In])の値が、0.005〜0.2であり、
    ランタノイド系金属からなる前記第2金属群M2から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M2]/([M2]+[In])の値が、0.005〜0.2であることを特徴とする請求項記載の透明導電膜。ここで、前記[M1]は、前記第1金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、前記[M2]は、前記第2金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、前記[In]は、インジウムの原子の数を表す。
  7. 更に、Zn、Sn、Zr、Ga、Geからなる第3金属群M3から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物と、
    からなることを特徴とする請求項5記載の透明導電膜。
  8. Mo及びNbからなる前記第1金属群M1から選ばれた1種又は2種の金属の酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M1]/([M1]+[In])の値が、0.005〜0.2であり、
    ランタノイド系金属からなる前記第2金属群M2から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M2]/([M2]+[In])の値が、0.005〜0.2であり、
    Zn、Sn、Zr、Ga、Geからなる前記第3金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M3]/([M3]+[In])の値が0.005〜0.2であることを特徴とする請求項記載の透明導電膜。ここで、前記[M1]は、前記第1金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、前記[M2]は、前記第2金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、前記[M3]は、前記第3金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、前記[In]は、インジウム原子の数を表す
  9. ガラス基板と、
    前記ガラス基板上に設けられ、酸化インジウムを主成分とし、Mo及びNbからなる第1金属群M1から選ばれた1種又は2種の金属の酸化物と、
    ランタノイド系金属からなる第2金属群M2から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物と、からなる透明導電膜と、
    前記ガラス基板上に設けられた、Al又はAgを主成分とする金属薄膜と、
    を有し、ランタノイド系金属からなる前記第2金属群M2から選ばれた金属の酸化物が、La、Ho、Erのいずれか1種以上の金属の酸化物であることを特徴とする透明導電ガラス基板。
  10. Mo及びNbからなる前記第1金属群M1から選ばれた1種又は2種の金属の酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M1]/([M1]+[In])の値が、0.005〜0.2であり、
    ランタノイド系金属からなる前記第2金属群M2から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M2]/([M2]+[In])の値が、0.005〜0.2であることを特徴とする請求項記載の透明導電ガラス基板。ここで、前記[M1]は、前記第1金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、前記[M2]は、前記第2金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表す。
  11. 前記透明導電膜は、
    更に、Zn、Sn、Zr、Ga、Geからなる第3金属群M3から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物と、
    からなる透明導電膜であることを特徴とする請求項9記載の透明導電ガラス基板。
  12. Mo及びNbからなる前記第1金属群M1から選ばれた1種又は2種の金属の酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M1]/([M1]+[In])の値が、0.005〜0.2であり、
    ランタノイド系金属からなる前記第2金属群M2から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M2]/([M2]+[In])の値が、0.005〜0.2であり、
    Zn、Sn、Zr、Ga、Geからなる前記第3金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物の、酸化インジウムに対する組成である[M3]/([M3]+[In])の値が0.005〜0.2であることを特徴とする請求項11記載の透明導電ガラス基板。ここで、前記[M1]は、前記第1金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、前記[M2]は、前記第2金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、前記[M3]は、前記第3金属群から選ばれた1種又は2種以上の金属の原子の数を表し、前記[In]は、インジウム原子の数を表す。
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