JP5435628B2 - 燃料電池用セルスタック - Google Patents

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Description

本発明は、単セルを高さ方向に積層配置して構成された縦型の燃料電池用セルスタックに関し、更に詳しくは、複数のセルスタックを電気的に直列接続して高電圧の燃料電池モジュールを構成したときに特に問題となるセルスタックの電気的絶縁性の低下を効果的に防止できる燃料電池用セルスタックに関する。
燃料電池型式の一つとして固体電解質型がある。これは、イットリア安定化ジルコニアなどからなる固体電解質板の一方の表面にアノード電極を形成し、他方の表面にカソード電極を形成した平板型の単セルをインターコネクタを介して高さ方向に積層した単セル積層体を主要構成部材としており、その単セル積層体は、積層方向両端側に位置する上下一対の押さえ板の間に、積層方向に加圧された状態で保持されて縦型のセルスタックを構成している。
固体電解質型燃料電池の縦型セルスタックの全体構造を図4により説明する。前述した単セル積層体10が上下一対の押さえ板20H,20Lの間に積層方向に加圧された状態で配置されている。単セル積層体10の正極側(図では上側)及び負極側(図では下側)には電流取り出し板30H,30Lがそれぞれ配置されており、電流取り出し板30H,30Lと押さえ板20H,20Lとの各間には、各間を電気的に絶縁するためにマイカ板40H,40Lがそれぞれ介装されている。
押さえ板20H,20Lに対して単セル積層体10を電気的に絶縁するために、電流取り出し板30H,30Lと押さえ板20H,20Lとの各間に介装されたマイカ板40H,40Lを使用するのは、絶縁部材の構造上、孔あけ加工が必要であること、セルスタックの運転温度が800℃程度の高温となり、絶縁部材に大きな熱応力が加わること、孔あけ加工を受けた状態で大きな熱応力を受けてもマイカ板は割れを生じないこと、マイカ板は薄く大きなスペースを必要としないことなどによる。セルスタックの下部ではスペース的な制約が大きいのに対し、セルスタックの上部ではスペース的な制約が小さく、設計の自由度が大きい。このためマイカ板による絶縁構造は、セルスタックの下部では不可欠でさえある。
また、マイカ板40H,40Lを使用するのと同様の理由から、押さえ板20H,20Lの素材としては、クロム含有耐熱鋼の一種であるオーステナイト系ステンレス鋼(SUS310Sなど)が一般に使用されている。
そして実際の燃料電池では、複数のセルスタックが電気的に直列接続されて高電圧の燃料電池モジュールを構成し、更に複数の燃料電池モジュールが電気的に並列接続されて大容量の燃料電池を構成する(特許文献1参照)。
すなわち、単セルの起電力は1V程度であるから、例えばその単セルを50枚積層することにより、50Vのセルスタックが構成される。実際は更に高い起電力が必要であるので、複数のセルスタックが電気的に直列接続されて一つの燃料電池モジュールが構成される。例えば50Vのセルスタックが5個直列に接続されて250Vの燃料電池モジュールが構成される。そして更に実際的な設備では、この燃料電池モジュールが複数並列に接続されて大容量化が図られている。
このような燃料電池用セルスタックにおける問題の一つとして、単セル積層体10の絶縁性低下による漏洩電流の増加がある。漏洩電流とは、単セル積層体10から接地されている押さえ板20H,20Lへ電流が漏出する現象である。マイカ板40H,40Lは単セル積層体10を押さえ板20H,20Lから電気的に絶縁し、漏洩電流の発生を防止するためのものであるが、マイカ板40H,40Lの使用にもかかわらず、セルスタックの運転時間の経過と共にこの漏洩電流が増加し、この現象がセルスタックの使用寿命を阻害する大きな原因の一つとなっている。
特開2008−251495号公報
本発明の目的は、単セル積層体の絶縁部材としてマイカ板を使用しつつ、そのマイカ板を使用したときに問題となる絶縁性の経時的低下を効果的に防止できる小型で長寿命の燃料電池用セルスタックを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明者らはセルスタックにおける単セル積層体の絶縁性低下の原因を解明するめに様々な調査解析を行った。その結果、以下の事実が新たに判明した。
例えば、起電力が50Vのセルスタックを1個単独で使用する場合、絶縁性の低下は殆ど生じない。複数個、例えば5個のセルスタックを直列に接続した250Vの燃料電池モジュールではこの絶縁性低下が生じ、使用開始から短時間で漏洩電流が急増する。この絶縁性の低下は燃料電池モジュールにおける複数のセルスタックで均等に生じるわけではなく、高電位側のセルスタックで顕著に発生する。絶縁性の低下が顕著に発生する高電位側のセルスタックでは、マイカ板と押さえ板の接触面付近にクロム酸カリウムが発生していた。このクロム酸カリウムは、マイカ板中に含まれるカリウムと、押さえ板の素材であるステンレス鋼中のクロムとが反応して生成したものと考えられる。
これらの事実から、本発明者はセルスタックの絶縁性低下の原因について、以下の結論に到達した。この結論を図5を参照して説明する。
5個の50Vセルスタックを直列接続した場合、1段目の負極側電位は0V、正極側電位でも50Vであるが、5段目になると負極側の電位でも200V、正極側の電位は250Vに達する。5段目のセルスタックに注目するならば、単セル積層体10の電流取り出し板30H,30Lと上下の接地された押さえ板20H,20Lとの間の電位差は200V以上であり、このような状況下では、電流取り出し板30H,30Lと押さえ板20H,20Lの間に挟まれたマイカ板40H,40Lに含まれるカリウムイオン(+)が、マイカ板40H,40Lに接触する接地された押さえ板20H,20Lの側にそれぞれ移動し、押さえ板20H,20L中のクロムと反応してクロム酸カリウムが生成する。クロム酸カリウムは高温での蒸気圧が高く、周囲に飛散し、単セル積層体10の正極側及び負極側(電流取り出し板30H,30L)とその上下の接地された押さえ板20H,20Lとの間の電気的絶縁性を低下させる。その絶縁性の低下は、単セル積層体10と押さえ板20H,20Lとの間の電位差が大きいほど顕著となる。
これらの結論から、本発明者は単セル積層体10の正極側及び負極側に配置されたマイカ板40H,40L中のカリウムイオンに起因する電気的絶縁性の低下を防止するためには、カリウムイオンを生じるマイカ板40H,40Lとクロムを含む押さえ板20H,20Lとを接触させないことが不可欠であると考え、これらの間にスペーサーを介在させることの有効性に到達した。そして、そのスペーサーの材質について検討した結果、純ニッケルが有効であるとの知見を得た。すなわち、マイカ板と押さえ板との間に配置されるスペーサーには800℃程度の高温に耐えること、熱応力に対して優れた耐性を示すこと、自身が化合物を生成しないのは勿論、マイカと接触しても化合物を生成しないこと、クロム含有耐熱鋼からなる押さえ板と接触しても化合物を生成しないことなどが求められるところ、純ニッケルはこれらの要求を全て満たすことが判明したのである。
本発明の燃料電池用セルスタックは、かかる知見を基礎として開発されたものであり、縦型の単セル積層体がクロム含有耐熱鋼からなる上下一対の接地部材の間に積層方向に加圧された状態で配置された燃料電池用セルスタックにおいて、上下一対の接地部材のうちの少なくとも下側の接地部材と単セル積層体との間が、マイカ板により電気的に絶縁されると共に、そのマイカ板と接地部材の間に、純ニッケルからなるスペーサーが介装されていることを技術的特徴点とする。
積層体の上部については前述したようにスペース的な余裕があり、上側の接地部材を単セル積層体から電気的に絶縁するために、必ずしもマイカ板は必要ないが、マイカ板が使用される場合は、そのマイカ板と上側の接地部材の間に、純ニッケルからなるスペーサーを介装するのが好ましい。
本発明の燃料電池用セルスタックにおいては、縦型の単セル積層体を挟持する上下一対の接地部材のうちの少なくとも下側の接地部材を単セル積層体からマイカ板により電気的に絶縁するので、絶縁構造がコンパクトで簡単である。そのマイカ板を使用したときに問題となる絶縁性の低下が、マイカ板と接地部材の間に介装された、純ニッケルからなるスペーサーにより阻止される。純ニッケルからなるスペーサーも構造がコンパクトで簡単であるので、スペース上の余裕が少ない下側の接地部材に対する漏洩電流防止策として好適である。
接地部材は通常は、接地された押さえ板であるが、押さえ板の内側(単セル積層体側)に配置された導電板なども含む。
スペーサーは、マイカ板と接地部材との直接接触を阻止するためのものであるから、大きな厚みは必要でない。自身の耐久性の点から0.2mm以上あればよく、0.5mm以上あれば十分である。厚さの上限についてはコストの抑制、セルスタックの高さの抑制などの点から2.0mm以下が望ましい。
マイカ板の反接地部材側、すなわち高電位側の部材(図5中では電流取り出し板30H,30L)とマイカ板との間にはスペーサーは不要である。なぜなら、絶縁不良の原因であるマイカ板中のカリウムイオンは+イオンであるため、接地部材側へは移動するが、反対の高電位側へは移動せず、クロム酸カリウムなどの絶縁阻害物質を生成する危険性がないので、高電位側の部材とマイカ板との間にスペーサーは不必要である。
マイカ板は単独又は低電位側に配置されたスペーサー及び接地部材などと共に、マイカ板の高電位側に配置され且つそのマイカ板と接する高電位側の部材(図5中では電流取り出し板30H,30L)に対して周囲へ突出させるのがよい。この突出により、高電位側の部材から低電位側の部材までの沿面距離も大きくなり、マイカ板による絶縁性がより向上する。ここにおける突出量は1.0〜5.0mmが好ましい。1.0mm未満では絶縁性向上の効果が少ない。5.0mm超ではその効果は飽和し、マイカ板や接地部材の必要以上の大型化を招く。
スペーサーの構成材料である純ニッケルとは純度99%以上のものをいう。不純物が多いと耐酸化性の低下による酸化スケールの発生、剥離、これによる機能低下等の問題が生じる危険がある。
セルスタックは複数が電気的に直列接続されて燃料電池モジュールを構成する。本発明の燃料電池用セルスタックは、燃料電池モジュールを構成する複数のセルスタックのうちの高電位側のセルスタックに適し、具体的にはマイカ板と接地部材との間の電位差が100V以上となるセルスタックに適する。セルスタックの電位が低いと、接地された押さえ板との間の電位差が小さく、絶縁性低下による漏洩電流の増加が問題になり難いので、スペーサーの使用は必ずしも必要でない。
押さえ板の構成材料は、高級耐熱鋼として一般的なSUS310S等のオーステナイト系ステンレス鋼が本発明でも望ましいが、Alを含むようなAl含有フェライト系ステンレス鋼などの他のクロム含有耐熱鋼の場合でも、マイカ板と接触することによる絶縁性の低下は問題になるので、本発明は有効である。
マイカ板の厚さは1.0〜5.0mmが好ましい。マイカ板が薄すぎると電気抵抗の低下が問題になり、厚すぎる場合はスタックの高さ増大が問題になる。
なお、各部材の実際の厚みは、セルスタックの出力等を考慮して、前述した範囲内で適宜選択される。
本発明の燃料電池用セルスタックは、縦型の単セル積層体の両極側に配置された上下一対のクロム含有耐熱鋼からなる接地部材のうちの少なくとも下側の接地部材と単セル積層体との間をマイカ板により電気的に絶縁するので、熱応力による絶縁部材の破損等を生じない上に、スペースが限られたセルスタック下部の絶縁構造に関してもスペース上の問題を生じない。そして、そのマイカ板を使用したときに問題となる絶縁性の経時的低下を、そのマイカ板と接地部材の間に純ニッケルからなるスペーサーを介装することにより阻止するので、スペース上の問題を生じることなく燃料電池の使用期間延長を可能にする。
本発明の一実施形態を示す燃料電池用セルスタックの構成図である。 本発明の有効性を確認するための実験装置の構成図である。 本発明の有効性を示すグラフで、漏洩電流の経時的変化を従来例と本発明例とについて示している。 従来の燃料電池セルスタックの構成図である。 従来の燃料電池用セルスタックにおける絶縁性低下の原因を示すイメージ図である。
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態の燃料電池用セルスタックは、図1に示すように、固体電解質型燃料電池の最小構成単位である平坦な円板状の単セルを水平状態で厚み方向に積層して形成された縦型で円柱形状の単セル積層体10と、単セル積層体10を積層方向に加圧して保持する上下一対の押さえ板20H,20Lとを備えている。
単セル積層体10の具体的な構成は、周知のとおり、イットリア安定化ジルコニアなどからなる固体電解質板の一方の表面にアノード電極を形成すると共に、他方の表面にカソード電極を形成し、その固体電解質板の両面側に電池反応空間が形成されるように、固体電解質板を挟んで円板状のインターコネクタを板厚方向に積層配置したものである。
上下一対の押さえ板20H,20Lは、円形状の厚板で、代表的なオーステナイト系ステンレス鋼であるSUS310Sからなり、電気的に接地されている。すなわち、ここでは上下一対の押さえ板20H,20Lが接地部材である。押さえ板20H,20Lの板厚は、50セル−50Vのセルスタックの場合で10〜30mmである。
上下一対の押さえ板20H,20Lの間には更に、単セル積層体10の両端側に位置して電流取り出し板30H,30Lが配置されると共に、電流取り出し板30H,30Lの更に両端側に位置して絶縁用のマイカ板40H,40Lが配置されている。そしてマイカ板40H,40Lと押さえ板20H,20Lとの各間には、純ニッケルからなるスペーサー50H,50Lがそれぞれ介装されている。
すなわち、この燃料電池セルスタックは、下から順に押さえ板20L、スペーサー50L、マイカ板40L、電流取り出し板30L、単セル積層体10、電流取り出し板30H、マイカ板40H、スペーサー50H及び押さえ板20Hを積層し、図示されない加圧機構により積層方向に所定の押さえ付け荷重で加圧することにより構成されている。
電流取り出し板30H,30Lは、外径が単セルより若干小さい円形状の薄板であり、その構成材料は押さえ板20H,20Lと同じSUS310Sである。電流取り出し板30H,30Lの板厚は前述した50セル−50Vのセルスタックの場合で1.0〜5.0mmである。
マイカ板40H,40L及びスペーサー50H,50Lは、押さえ板20H,20Lと同じ円形状の薄板である。これらの外径は単セル積層体10の外径と同等である一方、電流取り出し板30H,30Lの外径よりかは若干大きく設定されており、これにより、マイカ板40H,40Lは、スペーサー50H,50L及び押さえ板20H,20Lと共に、正極側の電流取り出し板30H,30Lの外側へ全周にわたって突出している。その突出量は1.0〜5.0mmである。
また、マイカ板40H,40Lの板厚は、前述した50セル−50Vのセルスタックの場合で1.0〜5.0mm、スペーサー50H,50Lの板厚は、同じく50セル−50Vのセルスタックの場合で0.5〜2.0mmである。これらの厚みがセルスタックの出力等により変化することは言うまでもない。
以上に説明した燃料電池用セルスタックは、複数個が電気的に直列接続されて燃料電池モジュールを構成する。図1中の60はセルスタックを直列接続するための導電線を表しており、正極側の電流取り出し板30Hを高電位側のセルスタックにおける負極側の電流取り出し板30Lと接続し、負極側の電流取り出し板30Lを低電位側のセルスタックにおける正極側の電流取り出し板30Hと接続する。
次に、本実施形態の燃料電池用セルスタックの機能について説明する。
セルスタックを所定の予熱温度に加熱した状態で単セル積層体10に燃料ガスとしての水素ガス及び酸化ガスとしての空気を供給することにより、単セル積層体10で発電が行われる。具体的には、固体電解質板のアノード側の電池反応空間に燃料ガスを供給し、カソード側の電池反応空間に酸化ガスを供給することにより単セル毎に発電が行われる。そして単セル積層体10では、この単セルが積層され直列接続状態となっていることによりセルスタックの定格発電電圧が電流取り出し板30Hの端子部31Hと電流取り出し板30Lの端子部31Lとの間に生じる。ちなみに、単セルの発電電圧が1Vでその積層数が50であるセルスタックの定格発電電圧は50Vである。
そして、複数個のセルスタックが直列接続された燃料電池モジュールでは、そのセルスタックの個数に応じた発電電圧が得られる。このとき、セルスタックにおける単セル積層体10の正極電位、負極電位、すなわち電流取り出し板30H,30Lの電位はセルスタック毎に異なる。
50Vのセルスタックを5個直列に接続した250Vの燃料電池モジュールの場合で説明すれば、1段目のセルスタックでは単セル積層体の負極側電位は0V、正極側電位は50V、2段目のセルスタックでは単セル積層体の負極側電位は50V、正極側電位は100V、3段目のセルスタックでは単セル積層体の負極側電位は100V、正極側電位は150V、4段目のセルスタックでは単セル積層体の負極側電位は150V、正極側電位は200V、5段目のセルスタックでは単セル積層体の負極側電位は200V、正極側電位は250Vとなる。
ここで、高電位側のセルスタックに注目すると、例えば4段目のセルスタックでは下側の押さえ板20Lと単セル積層体10、すなわち負極側の電流取り出し板30Lとの間の電位差は、押さえ板20Lが接地されていることにより150Vに達し、上側の押さえ板20Hと単セル積層体10、すなわち正極側の電流取り出し板30Hとの間の電位差は、押さえ板20Hが接地されていることより200Vに達する。5段目のセルスタックでは、これらの電位差が更に大きくなり、それぞれ200V、250Vにもなる。これらの間の電気的絶縁はマイカ板40L,40Hにより行われ、短期的には問題ない。しかし、長期的には、これらの大きな電位差のため、高電位に保持されたマイカ板40L、40H中のカリウムイオン(+イオン)が、接地部材である押さえ板20L,20Hの方へ移動しようとする。
そして、マイカ板40L、40H中のカリウムイオン(+イオン)が押さえ板20L,20Hに達すると、押さえ板20L,20H中のクロムと反応してクロム酸カリウムを界面に生成し、これらの間の絶縁性を低下させ、漏洩電流を増加させるが、本実施形態の燃料電池用セルスタックでは、マイカ板40L、40Hと押さえ板20L,20Hとの各間に純ニッケルからなるスペーサー50L,50Hが介在しているので、大きな電位差が存在するにもかかわらず、マイカ板40L、40H中のカリウムイオン(+イオン)が押さえ板20L,20Hに到達することはなく、クロム酸カリウムの発生による絶縁性の低下が阻止される。
しかも、純ニッケルからなるスペーサー50L,50Hは耐熱性、耐酸化性等に優れ、運転温度である800℃付近でも変形や変質、化合物を生じないので、自らが絶縁性低下の原因になることはない。その上、純ニッケルからなるスペーサー50L,50Hは薄く嵩張らないので、セルスタックの大型化を回避する。特にセルスタックの下部、すなわち単セル積層体10の下側では、スペース的な制約が大きいので、スペーサー50Lの薄さはマイカ板40Lの薄さと共に省スペース上、非常に有効である。
本実施形態の燃料電池用セルスタックでは又、マイカ板40H,40Lが、負極側のスペーサー50H,50L及び押さえ板20H,20Lと共に、正極側の電流取り出し板30H,30Lの外側へ全周にわたって1.0〜5.0mm突出している。この突出により、マイカ板40H,40Lの高電位側と低電位側との間の沿面距離が増大し、この間の絶縁性が一層向上する。
本発明の有効性を確認するために、図2に示す実験装置を作製した。図2に示す実験装置は、上述した本実施形態の燃料電池用セルスタックを想定したものである。
すなわち、接地部材である上下の押さえ板20H,20Lを想定した170mm角、厚さ15mmのSUS310Sからなる押さえ板2H,2Lの間に、単セル積層体10を想定した166mm角、厚さ2.5mmのSUS310Sからなる高圧電極板1を配置すると共に、高圧電極板1と上側の押さえ板2Hとの間に、マイカ板40Hを想定した170mm角、厚さ2.0mmのマイカ板4H、及びスペーサー50Hを想定した170mm角、厚さ1.0mmの純ニッケル板5Hを介在させた。また、高圧電極板1と下側の押さえ板2Lとの間には、マイカ板40Lを想定した170mm角、厚さ2.0mmのマイカ板4L、及びスペーサー50Lを想定した170mm角、厚さ1.0mmの純ニッケル板5Lを介在させた。
この寸法設定により、マイカ板4H,4L、純ニッケル板5H,5L及び押さえ板2H,2Lは、マイカ板4H,4L間に配置された高圧電極板1の外側に周囲全体にわたり2.0mm突出する。
これらの積層体を積層方向に空気ばねにより0.1MPaの押さえ付け荷重で加圧した状態で、800℃の大気雰囲気中に保持し、高圧電極板1と接地された押さえ板2H,2Lとの間に直流電源7により250Vの直流電圧を印加した。そして直流電源7に対して直列に接続された電流計8により漏洩電流の経時変化を測定した。測定結果を、純ニッケル板5H,5Lを省略した従来仕様の場合と共に図3に示す。
図3から明らかなように、単セル積層体10を想定した高圧電極板1と接地された押さえ板2H,2Lとの間をマイカ板4H,4Lで絶縁しただけの従来仕様の場合、試験開始と共に漏洩電流が急増し、100時間で50mAを超えた。これに対し、押さえ板2H,2Lとマイカ板4H,4Lとの各間に純ニッケル板5H,5Lを介在させた場合は、この間の電位差が250Vもあるにもかかわらず、試験時間が500時間を超えてもなお、漏洩電流は20mA以下に抑制された。前者では押さえ板2H,2Lとマイカ板4H,4Lとの界面近傍に多量のクロム酸カリウムが発生したが、後者ではこれが殆ど認められなかった。
以上の実験から、本実施形態の燃料電池用セルスタックにおいて、押さえ板20H,20Lとマイカ板40H,40Lとの各間に純ニッケルからなるスペーサー50H,50Lを介在させることの有効性は明らかである。
前述した実施形態では、下側の押さえ板20Lとマイカ板40Lとの間にスペーサー50Lを介在させるだけでなく、上側の押さえ板20Hとマイカ板40Hとの間にスペーサー50Hを介在させたが、セルスタックの上部はスペース的な余裕があるので、スペーサー50H以外の絶縁低下対策を施してもよく、マイカ板40Hに代わる絶縁対策を施してもよい。マイカ板40Hに代わる絶縁対策を施した場合は、当然のことながら、スペーサー50Hによる絶縁低下対策は不要となる。
マイカ板40H,40Lの高電位側に配置された電流取り出し板30H,30Lとマイカ板40H,40Lとの各間にスペーサー50H,50Lが不必要であることは前述したとおりである。
前述した実施形態では又、セルスタックにおける単セル積層体10の外径は、電流取り出し板30H,30Lの外径より大きく、マイカ板40H,40L、スペーサー50H,50L及び押さえ板20H,20Lの各外径と同じであるが、電流取り出し板30H,30Lの外径と同じとしてもよい。すなわち、マイカ板40H,40Lが外側に突出するのは、正極側部材で接触部材に対してだけでよい。
セルスタックの形状は、前記実施形態では円柱形状であるが、角柱形状とすることも可能である。セルスタックが角柱形状の場合、構成部材の寸法は対角線の長さ、一辺の長さなどで表される。
10 単セル積層体
20H,20L 押さえ板(接地部材)
30H,30L 電流取り出し板
40H,40L マイカ板
50H,50L スペーサー
60 導電線

Claims (4)

  1. 縦型の単セル積層体がクロム含有耐熱鋼からなる上下一対の接地部材の間に積層方向に加圧された状態で配置された燃料電池用セルスタックにおいて、上下一対の接地部材のうちの少なくとも下側の接地部材と単セル積層体との間が、マイカ板により電気的に絶縁されると共に、そのマイカ板と接地部材の間に、純ニッケルからなるスペーサーが介装されていることを特徴とする燃料電池用セルスタック。
  2. 請求項1に記載の燃料電池用セルスタックにおいて、上側の接地部材と単セル積層体との間が、マイカ板により電気的に絶縁されると共に、そのマイカ板と接地部材の間に、純ニッケルからなるスペーサーが介装されている燃料電池用セルスタック。
  3. 請求項1又は2に記載の燃料電池用セルスタックにおいて、当該燃料電池用セルスタックは、複数のセルスタックが電気的に直列接続されてセルスタックの電位が段階的に高くなった燃料電池モジュール内の少なくとも高電位側のセルスタックである燃料電池用セルスタック。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の燃料電池用セルスタックにおいて、一対の接地部材を構成するクロム含有耐熱鋼が、オーステナイト系ステンレス鋼である燃料電池用セルスタック。
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