JP5434876B2 - 排気浄化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの排気通路に設けられた排気浄化装置に関する。
従来、エンジンの排気中に含まれる粒子状物質(Particulate Matter;以下PMと略す)を除去するための浄化装置として、DPF(Diesel Particulate Filter;以下フィルタと略す)が知られている。排気通路上にフィルタを備えた車両では、フィルタ内に堆積したPMを除去するための制御の一つとして、強制再生制御を実施するものがある。
この強制再生制御とは、フィルタの温度を強制的に上昇させてフィルタ上のPMを焼却する制御である。フィルタの温度を上昇させるための具体的な手法としては、フィルタをヒーター等で加熱する手法や、フィルタの上流側の酸化触媒に炭化水素(未燃燃料,HC)等を供給して酸化熱を発生させることで排気温度を上昇させる手法等がある。
強制再生制御時のPMの燃焼に伴う発熱量は、フィルタ内に堆積しているPM量が多いほど増大する。また、フィルタ温度が上昇するほどPMの酸化反応性が向上し、フィルタの浄化速度が高くなる。一方、その発熱量が過大となりフィルタが過昇温してしまうと溶損,破損のおそれが生じ、好ましくない。そこで、排気温度に基づいて強制再生制御のインターバルを調整,補正することにより、フィルタの溶損等を防止しつつ適切な間隔でフィルタを浄化する技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、通常運転時にフィルタ直上流の排気温度が連続して所定温度以上となった時間の累積値に基づいて強制再生制御のインターバルを調整する排気浄化装置が記載されている。この技術では、累積値が大きいほど強制再生制御のインターバルを長くすることで、通常運転時におけるPMの自然発火による減少を考慮した強制再生を実施できるとされている。
また、特許文献2には、フィルタの前後差圧からPM堆積量の推定値を算出するとともに、フィルタの前後温度差からPM堆積量の実測値を算出し、これらの推定値及び実測値を用いてフィルタの再生タイミングを設定する排気浄化装置が記載されている。この技術では、PM堆積量の推定値を実測値に合わせるようにPM堆積量の推定方法を補正することで、再生頻度の適正化が可能であるとされている。
特開2004−162613号公報 特開2005−307828号公報
ところで、フィルタ内の温度分布は、必ずしもフィルタの中心軸に対して等方的ではなく、フィルタよりも上流側に接続される排気通路の形状や接続位置,フィルタ形状,ケーシング形状,流速分布,流路抵抗といった様々な要因による偏りが生じる。
例えば、車両の走行状態及び強制再生制御を模擬した試験によって得られたフィルタ内の温度分布の推移グラフを図6に示す。この試験では、図6中の凡例に示すように、径方向断面内の複数箇所に温度センサを設けたフィルタを用いて、強制再生制御時にそれぞれの温度センサで検出された最高温度を計測し、各温度センサの最高温度を再生サイクル毎にプロットした。
なお、図7中の白丸プロットMは径方向断面内の中心部(フィルタ中心部)の温度推移である。黒三角で示されたプロットKはフィルタ外周の上端部の温度であり、黒四角で示されたプロットPはフィルタ外周の下端部の温度である。また、白三角で示されたプロットJは排気流の下流に向かって左側部の温度であり、白四角で示されたプロットQは排気流の下流に向かって右側部の温度である。
このグラフには、一回目から三回目までの強制再生時の最高温度がフィルタ中心部(プロットM)で検出されていることが示されている。一方、四回目の強制再生時の最高温度は、フィルタ右測部の(プロットQ)で検出されている。さらに、五回目及び六回目の強制再生時の最高温度は、フィルタ上端部(プロットK)で検出されている。このように、フィルタ内の温度分布はフィルタの中心軸に対して異方的である。
一方、特許文献1,2等のような従来の排気浄化装置では、このようなフィルタ内の温度分布の特性が考慮されていないため、フィルタ内での局所的な過昇温を抑制することができず、必ずしも強制再生制御の頻度を適正化することができないという課題がある。
また、フィルタ内の温度分布は、フィルタの中心軸に対して異方的であるだけでなく、その偏りが動的に変化する。例えば、図6に示すグラフにおいて最高温度が検出された位置(フィルタの径方向断面内での位置)は強制再生制御の回数を重ねるたびに不規則に変化している。つまり、フィルタ内の温度分布の偏りは一定ではなく動的に変化する。このような温度分布の特性も、強制再生制御の頻度の適正化を難しくする要因の一つとなっている。
さらに、フィルタ外周部の温度分布は、長周期的に変動する特性を持つ。すなわち、図6に示すように、一回目から七回目までと九回目の強制再生時には、フィルタ中心部の温度と最高温度との差が比較的小さいが、八回目の強制再生時にはフィルタ中心部の温度と最高温度との差が著しく増大している。このようなフィルタ外周部における過昇温は、必ずしも全ての強制再生時に発現するものではないため、その発生の予測が困難であるという課題がある。
これらのような課題に対し、例えば強制再生制御の実施間隔を短縮し、頻繁にPMを焼却除去することでフィルタの過昇温を抑制することも考えられる。しかし、強制再生制御の実施頻度を高めるほど、フィルタの昇温に係るエネルギーが増大し燃費が悪化する。
本件の目的の一つは、上記のような課題に鑑み創案されたもので、排気浄化装置に関し、強制再生制御のインターバルの適正化によって、過昇温を抑制しつつ燃費を改善することである。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
(1)ここで開示する排気浄化装置は、エンジンの排気通路に設けられ、排気中の粒子状物質を捕集するフィルタと、前記フィルタの径方向断面の複数箇所での温度を検出する温度検出手段とを備える。また、前記温度検出手段で検出された前記温度に基づき、前記複数箇所のそれぞれの位置毎に、前記フィルタに捕集された前記粒子状物質を除去する再生制御のインターバルの補正量を設定する設定手段と、前記設定手段で設定された前記それぞれの位置毎の前記インターバルの補正量に基づいて前記再生制御を実施する再生制御手段とを備える。また、前記温度検出手段が、前記フィルタの径方向断面の中心部の温度を中心温度として検出するとともに、前記径方向断面の外周部の温度を外周温度として検出し、前記設定手段が、前記温度検出手段で検出された前記中心温度に基づき、前記再生制御手段で実施される前記再生制御のインターバルの前記補正量としての第一補正量を設定する第一補正量設定手段と、前記温度検出手段で検出された前記外周温度に基づき、前記再生制御のインターバルの前記補正量として該補正量の少なくとも一部が前記第一補正量とは異なる第二補正量を設定する第二補正量設定手段とを有し、前記第二補正量設定手段が、任意の前記外周温度に応じて設定される前記第二補正量の値を、該外周温度と同一の前記中心温度に応じて設定される前記第一補正量の値よりも、前記インターバルの短縮方向への補正量が小さい値として設定する。
この場合、前記第一補正量設定手段が、前記温度検出手段で検出された前記中心温度に基づき、前記再生制御手段で実施される前記再生制御のインターバルの補正量としての第一補正量を設定する。また、前記第二補正量設定手段が、前記温度検出手段で検出された前記外周温度に基づき、前記再生制御のインターバルの補正量として該補正量の少なくとも一部が前記第一補正量とは異なる第二補正量を設定する。さらに、任意の中心温度に応じて設定される前記第一補正量の値が、前記中心温度と同一の前記外周温度に応じて設定される前記第二補正量と比較して、前記インターバルをより短縮させる大きさを持つ。
(2)また、前記再生制御手段が、前記第一補正量及び前記第二補正量のうち、前記インターバルの短縮方向への補正量が大きい一方を用いて前記再生制御のインターバルを補正することが好ましい。
)また、前記フィルタの径方向断面の中心部の下流側端面に近接して設けられ、前記中心部を通過した排気の温度を近接温度として検出する近接温度センサと、前記フィルタの径方向断面の外周部及び前記中心部をそれぞれ通過した排気の混合気の温度を全域温度として検出する全域温度センサとを備える。
この場合、前記温度検出手段が、前記近接温度に基づいて前記中心部のフィルタ温度を中心温度として演算する中心温度演算手段と、前記中心温度,前記近接温度及び前記全域温度に基づいて前記外周温度を演算する外周温度演算手段とを有することが好ましい。
前記外周部で局所的な昇温が生じた場合、昇温した位置に関わらずその熱量を含む排気がフィルタ下流で混合され、前記全域温度が上昇する。一方、前記外周部で局所的な昇温が生じていなければ、このような前記全域温度の上昇は見られない。したがって、前記近接温度から前記全域温度への昇温の度合いに基づいて、前記外周部での局所的な昇温の有無やその昇温量を推定することが可能となる。
なお、前記演算手段が、前記近接温度及び前記全域温度の差に基づいて前記外周温度を演算してもよい。また、前記近接温度及び前記全域温度の比に基づいて前記外周温度を演算してもよい。あるいは、前記近接温度,前記全域温度及び前記昇温量の関係が規定されたマップを用いて前記外周温度を演算してもよい。
(4)また、前記再生制御手段が、前記設定手段で設定された前記それぞれの位置毎の前記インターバルの補正量を用いて前記再生制御のインターバルを補正し、上記の補正された再生制御のインターバルに基づいて前記再生制御を実施することが好ましい。
開示の排気浄化装置によれば、フィルタの径方向断面の複数箇所の温度のそれぞれに対応するインターバルを設定することで、過昇温が発生する可能性がある径方向断面の位置に応じて再生制御の実施間隔を相違させることができる。
一実施形態に係る排気浄化装置の構成を例示するブロック図である。 本排気浄化装置のセンサの配置を例示する図であり、(a)はフィルタの断面図、(b)はフィルタの正面図である。 本排気浄化装置での演算に係るグラフの例である。 本排気浄化装置での強制再生制御で用いられるグラフの例である。 本排気浄化装置での制御内容を例示したフローチャートである。 強制再生時のフィルタ内の温度分布の変動を例示するグラフである。
図面を参照して排気浄化装置について説明する。なお、以下に示す実施形態は、あくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。
[1.装置構成]
本実施形態の排気浄化装置は、図1に示す車載のエンジン10に適用される。ここでは、多気筒四サイクル型のエンジン10に設けられた複数のシリンダのうち、一つのシリンダを示す。シリンダの頂部には、空気を燃焼室内に導入するための吸気通路8と、燃焼後の排気を車両の外部に排出するための排気通路9とが接続される。
吸気通路8には、エアフローセンサ4及びスロットルバルブ11が設けられる。スロットルバルブ11はその開度を変更することでシリンダ内に導入される空気の吸気量を変更するための弁である。また、エアフローセンサ4はシリンダ内への吸気量を検出するセンサであり、ここではスロットルバルブ11を通過する吸気流量Vが検出される。ここで検出された吸気流量Vは、後述する制御装置5に伝達される。
排気通路9にはDPF1が介装される。DPF1は、ケーシング内に排気中の粒子状物質を捕集するフィルタ6が固定された濾過装置である。フィルタ6は、排気中に含まれるPMを捕集する機能と、捕集したPMを酸化させて除去する機能とを併せ持つ多孔質体(例えば、炭化ケイ素製やコージェライト製のセラミックフィルタ等)である。フィルタ6の内部は多孔質の壁体によって排気の流通方向に沿って複数に分割され、この壁体にPMの粒径に見合った大きさの多数の細孔が形成される。PMは排気が壁体の近傍や内部を通過する際に壁体内,壁体表面に捕集され、排気中から濾過される。
図2(a),(b)に示すように、DPF1のケーシングは、中空円筒状に形成された円筒部1aと、円筒部1aの端面に固定された中空円錐台状のコーン部1bとを有する。円筒部1aは、その内周面にサポート材1cを介して円筒状のフィルタ6を保持する部位である。フィルタ6は、その筒軸が円筒部1aの筒軸に一致する位置で固定される。なお、フィルタ6の断面積(フィルタ6を排気の流通方向に対して垂直に切断したときにフィルタ6の外周面によって囲まれる部位の面積)は、排気通路9の通路断面積や下流排気通路7の通路断面積よりも大きい。
以下、フィルタ6の径方向断面の中心に近い部位のことをフィルタ中心部6aと呼び、外縁に近い部位のことをフィルタ外周部6bと呼ぶ。フィルタ中心部6aとフィルタ外周部6bとの境界は、図2(a),(b)中に二点鎖線で示すように、フィルタ6よりも半径が小さい円筒を、その筒軸がフィルタ6の筒軸に一致するように配置したときの筒面として表現される。
コーン部1bは少なくとも円筒部1aの下流側の端面に設けられ、好ましくは図1に示すように、円筒部1aの上流側及び下流側の両端面に設けられる。円筒部1aは排気通路9や下流排気通路7よりも拡径されており、コーン部1bがこれらの通路径の異なる部位間を接続している。なお、排気の流路抵抗を減少させるべく、コーン部1bをベルマウス形状(円筒の筒面を曲成して滑らかに拡径又は縮径させた中空回転体形状)に形成してもよい。
上流側のコーン部1bは排気通路9と円筒部1aとを接続し、下流側のコーン部1bは円筒部1aと下流排気通路7とを接続している。下流側のコーン部1bにおける流路中心軸は、下流排気通路7の流路中心軸及び円筒部1aの筒軸に一致する位置で固定されている。以下、下流側のコーン部1bにおける流路中心軸のことを単に中心軸と呼ぶ。なお、コーン部1bの中心軸,下流排気通路7の流路中心軸,円筒部1aの筒軸は必ずしも一致させる必要はない。
図2(a)に示すように、下流側のコーン部1bの内側には、近接温度センサ2及び全域温度センサ3が挿入される。近接温度センサ2は、フィルタ中心部6aの下流側端面に近接して設けられた熱電対センサであり、その先端2aでフィルタ中心部6aを通過した排気の温度を検出する。近接温度センサ2による測温点(すなわち、近接温度センサ2の先端2aの位置)はフィルタ6の直下流であって、フィルタ中心部6aの中央である。図2(b)に示すように、近接温度センサ2は、先端2aがコーン部1bの中心軸に接するように配置される。以下、近接温度センサ2で検出された排気温度のことを近接温度tnと呼ぶ。近接温度tnは後述する制御装置5に伝達される。
一方、全域温度センサ3は、フィルタ中心部6aを通過した排気とフィルタ外周部6bを通過した排気とが混合したものの温度を検出する熱電対センサであり、その先端3aで混合気の温度を検出する。全域温度センサ3による測温点(すなわち、全域温度センサ3の先端3aの位置)は、コーン部1bと下流排気通路7との接続部の近傍であって、フィルタ中心部6aの中央である。図2(b)に示すように、全域温度センサ3も、その先端3aがコーン部1bの中心軸に接するように配置される。以下、全域温度センサ3で検出された排気温度のことを全域温度tfと呼ぶ。全域温度tfも近接温度tnと同様に制御装置5に伝達される。
近接温度センサ2の先端2aの位置は、フィルタ外周部6b側の排気温度の影響を受けない程度にフィルタ6に近い位置とすることが好ましい。一方、全域温度センサ3は、フィルタ中心部6aを通過した排気とフィルタ外周部6bを通過した排気とがミキシングされている位置にあればよいが、フィルタ6からの距離が遠く離れるほどコーン部1bや下流排気通路7から外部への熱損失が増大するため、ミキシングされた排気の温度を正確に計測しにくくなる。また、このような外部への熱損失は、コーン部1bや下流排気通路7の外縁側に近いほど大きくなる。したがって、フィルタ中心部6aを通過した排気とフィルタ外周部6bを通過した排気とがミキシングされている位置のうち、可能な限りフィルタ6に近い位置とすることが好ましく、あるいは可能な限り排気流路の中心に近い位置とすることが好ましい。
本実施形態では、円筒部1aから下流排気通路7に向かって縮径形成されたコーン部1bの出口近傍(コーン部1bと下流排気通路7との接続部近傍)に全域温度センサ3を配置することで、上記のような熱損失の影響を抑制しつつ程よくミキシングされた排気の温度を正確に計測している。
本実施形態のDPF1では、車両走行時に所定のインターバル(フィルタ6を再生させる間隔)でフィルタ6の温度を上昇させることによってPMを強制的に燃焼させる強制再生制御が実施される。フィルタ6の温度を上昇させるための具体的な手法は任意であり、例えば、フィルタ6の上流側に酸化触媒を介装させるとともにその酸化触媒に炭化水素(未燃燃料,HC)等の酸化剤を供給して酸化熱を発生させることで昇温させる手法や、フィルタ6をヒーター等で加熱する手法等を採用することができる。強制再生制御のインターバルは、制御装置5によって制御される。
[2.制御構成]
制御装置5は、エンジン10を含む吸排気システムを統括管理する電子制御装置であり、例えばマイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成される。この制御装置5では、上記の強制再生制御のほか、フィルタ中心部6aのフィルタ温度やフィルタ外周部6bのフィルタ温度の推定演算が実施され、これらの温度に基づいて強制再生制御のインターバル(フィルタを再生させる間隔)が調整される。
上記の制御を実施すべく、制御装置5には中心温度演算部5a,外周温度演算部5b及び再生制御部5cが設けられ、さらに、再生制御部5c内には第一補正量設定部5d及び第二補正量設定部5eが設けられる。これらの中心温度演算部5a,外周温度演算部5b,再生制御部5c,第一補正量設定部5d及び第二補正量設定部5eの各機能は、電子回路(ハードウェア)によって実現してもよく、あるいはソフトウェアとしてプログラミングされたものとしてもよいし、あるいはこれらの機能のうちの一部をハードウェアとして設け、他部をソフトウェアとしたものであってもよい。
中心温度演算部5a(温度検出手段,中心温度演算手段)は、近接温度センサ2で検出された近接温度tnに基づき、フィルタ中心部6aのフィルタ温度を中心温度TCとして推定演算するものである。例えば、近接温度tnと中心温度TCとの対応関係を予め実験,試験等を通して把握しておき、この対応関係を用いて中心温度TCを推定する。あるいは、エアフローセンサ4で検出された吸気流量Vからフィルタ6を通過する排気流量VEXを推定し、近接温度tnと排気流量VEXとに基づいて中心温度TCを推定してもよい。ここで推定された中心温度TCは、外周温度演算部5b及び再生制御部5cに伝達される。
外周温度演算部5b(温度検出手段,外周温度演算手段)は、中心温度演算部5aで演算された中心温度TCと、近接温度センサ2で検出された近接温度tnと、全域温度センサ3で検出された全域温度tfとに基づき、フィルタ外周部6bのフィルタ温度を外周温度TOとして推定演算するものである。ここではまず、以下の式1に従って近接温度センサ2及び全域温度センサ3での検出値(センサ指示値)の偏差Δtが演算される。
Δt=tn−tf ・・・式1
また、外周温度演算部5bは、偏差Δtを引数としたテーブル,マップ等から中心温度TCに対する外周温度TOの相違量ΔTを演算する。例えば、偏差Δtと相違量ΔTとの対応関係を予め実験,試験等を通して把握しておき、この対応関係を用いて相違量ΔTを演算する。図3中に実線で示すグラフは、相違量ΔTを偏差Δtの一次関数として表現したものであり、偏差Δtが0であるときに相違量ΔTが正の値Bをとり、偏差Δtが正の値Aであるときに相違量ΔTが0となるものである。
なお、偏差Δtは、近接温度tnから全域温度tfを減算した値であり、全域温度tfはフィルタ中心部6a及びフィルタ外周部6bをそれぞれ通過した排気の混合気の温度である。そのため、外周温度TOが高いほど偏差Δtが減少し、外周温度TOが低いほど偏差Δtが増大する。つまり、偏差Δtと相違量ΔTとの対応関係は、偏差Δtが小さいほど相違量ΔTが増大し、偏差Δtが大きいほど相違量ΔTが減少するような関係となる。したがって、具体的な偏差Δtと相違量ΔTとの対応関係は、図3に実線で示すような直線的な対応関係のものに限定されず、少なくとも偏差Δtが増大するに連れて相違量ΔTが減少する傾向を持つものであればよい。
続いて、外周温度演算部5bは、エアフローセンサ4で検出された吸気流量Vからフィルタ6を通過する排気流量VEXを推定し、排気流量VEXに応じて外周温度TOを加算補正するための補正量ΔT′を演算する。例えば、フィルタ6のケーシングからの熱損失影響が小さい場合には、排気流量VEXが多いほど偏差Δtが増大する。したがって、排気流量VEXが大きいほど補正量ΔT′を増大させればよい。
なお、ここでは外周温度演算部5bが排気流量VEXを算出する排気流量算出手段としての機能を持つこととしたが、エアフローセンサ4で検出された吸気流量Vから排気流量VEXを算出する演算部を別途設けてもよいし、中心温度演算部5aにそのような機能を持たせてもよい。
相違量ΔTと補正量ΔT′との加算値と偏差Δtとの関係を図3中に示すと、破線で示すようなグラフとなる。実線グラフと破線グラフとの間の縦方向の距離は、排気流量VEXに応じた大きさの補正量ΔT′に対応する。
その後、外周温度演算部5bは、以下の式2に従って中心温度TC,相違量ΔT及び補正量ΔT′を加算し、外周温度TOを演算する。ここで演算された外周温度TOは、再生制御部5cに伝達される。
O=TC+ΔT+ΔT′ ・・・式2
上記の外周温度TOの演算手法とは別の演算手法としては、相違量ΔT及び補正量ΔT′の加算値を総補正量ΔTTとおき、偏差Δt,排気流量VEX及び総補正量ΔTTの相関関係を予め実験,試験等を通して把握しておくことが考えられる。この場合、偏差Δt,排気流量VEX及び総補正量ΔTTの相関関係を三次元マップとして外周温度演算部5bに記憶させておき、これを用いて総補正量ΔTTを取得し、外周温度TOを以下の式3に従って演算すればよい。
O=TC+ΔTT ・・・式3
再生制御部5c(再生制御手段)は、DPF1の強制再生制御を実施するものである。この再生制御部5cは、例えばフィルタ6に堆積したPM量を演算し、そのPM量が所定量を超えた場合に強制再生制御を実施する。あるいは、車両の走行距離を累積的に算出し、前回の強制再生時からの累積走行距離が所定距離を超えた場合に強制再生制御を実施する。強制再生制御の終了条件は、フィルタ6のPMの燃焼量が所定量以上となった(例えば、ほぼ全てのPMが焼却されたと判断された)ことや、フィルタ6の温度が所定温度以上の状態が所定時間継続したこと等である。
また、再生制御部5cは、中心温度演算部5aで演算された中心温度TCと外周温度演算部5bで演算された外周温度TOとに基づいて、フィルタ中心部6a及びフィルタ外周部6bのそれぞれの位置に対応する強制再生制御のインターバルを設定する機能を持つ。ここでいうそれぞれの位置に対応するインターバルとは、それぞれの位置でのPM堆積量(強制再生制御後に残留しているPM堆積量を含む量)に応じたインターバルであり、具体的には、強制再生制御の開始条件に係るPM堆積量の閾値,前回の強制再生制御からの時間間隔,前回の強制再生制御が完了してからの距離間隔等とすることが考えられる。インターバルの設定は、再生制御部5c内の第一補正量設定部5d及び第二補正量設定部5eで行われる。
第一補正量設定部5d(第一補正量設定手段,設定手段)は、中心温度TCに基づいて第一補正量φCを設定するものである。この第一補正量φCの値は、強制再生制御の実施時に中心温度TCが高温であるほど小さく(あるいは、負の値であればその絶対値が大きく)設定され、次回の強制再生制御までのインターバルが短縮される。逆に、中心温度TCが低温であるほど大きく(あるいは、負の値であればその絶対値が小さく)設定され、インターバルが延長される。
第二補正量設定部5e(第二補正量設定手段,設定手段)は、外周温度TOに基づいて第二補正量φOを設定するものである。この第二補正量φOの値も、第一補正量φCと同様に、強制再生制御の実施時に外周温度TOが高温であるほど小さく設定され、低温であるほど大きく設定される。ただし、第二補正量φOは、その値が設定される外周温度TOに等しい中心温度TCに対応する第一補正量φCよりも大きい(負の値であれば絶対値が小さい)値として設定される。
ここで、第一補正量設定部5dで設定される第一補正量φCと中心温度TCとの関係を図4中に実線で例示する。例えば、中心温度TCが第一温度TA未満である場合には、低温であるほど第一補正量φCが増大する特性とされる。ただし、図4のグラフでは、中心温度TCが第一温度TAよりも低い所定値TX未満の範囲で第一補正量φCの上限値を制限し、インターバルが過剰に延長されないようにしている。
また、中心温度TCが第二温度TB(ただし、TA<TB)以上である場合には、高温であるほど第一補正量φCが減少し、中心温度TCが第一温度TA以上かつ第二温度TB未満である場合に第一補正量φCがφC=0となる特性とされている。つまり、中心温度TCが高いほど、フィルタ中心部6aでのPM過堆積や過昇温が生じた可能性があるため、第一補正量φCを減少させてインターバルを短縮し、早めに次回の強制再生制御を実施する。
第二補正量設定部5eで設定される第二補正量φOと外周温度TOとの関係を図4中に破線で表示する。外周温度TOが第二温度TB未満の範囲では、第二補正量φOと外周温度TOとの関係が第一補正量φCと中心温度TCとの関係と同様である。一方、外周温度TOが第二温度TB以上である場合には、外周温度TOに対する第二補正量φOの減少勾配が、中心温度TCに対する第一補正量φCの減少勾配よりも小さくなるような特性とされる。つまり、任意の外周温度TOに応じて設定される第二補正量φOの値は、その外周温度TOと同一の中心温度TCに応じて設定される第一補正量φCよりもインターバルの短縮方向への補正量が小さい。
上記のような特性とする理由は、フィルタ外周部6bでの過昇温の発生周期がフィルタ中心部6aでの過昇温の発生周期よりも長周期であって、同一の中心温度TCに対する第一補正量φCほど大きくインターバルを短縮させる必要がないと考えられるからである。再生制御部5cは、このような対応関係が予め設定されたマップやテーブル等を用いて、フィルタ6の径方向断面の位置に応じて、異なる大きさのインターバルの補正量を設定する。
さらに再生制御部5cは、第一補正量φC及び第二補正量φOのうち、インターバルの短縮方向への補正量が大きい一方の補正量φを用いて、実際の強制再生制御のインターバルを補正する。例えば、図4に示すように、中心温度TCが所定温度TC1であり、かつ外周温度TOが所定温度TO1である場合には、図中の下方側に位置する補正量φO1が選択される。また、中心温度TCが所定温度TC2であり、かつ外周温度TOが所定温度TO1である場合には、補正量φC2が選択される。
ここで選択された補正量φを用いた具体的なインターバルの調整手法は、強制再生制御の具体的な制御開始条件に依存する。例えば、フィルタ6に堆積したPM量が所定量を超えた場合に強制再生制御を実施するものにあっては、強制再生制御の開始条件に含まれる所定量を補正量φ分だけ増加又は減少させることにより、インターバルが延長又は短縮されることになる。また、前回の強制再生時からの累積走行距離が所定距離を超えた場合に強制再生制御を実施するものであれば、条件判定に係る所定距離を補正量φ分だけ増大又は減少させることにより、インターバルが延長又は短縮される。なお、予め設定された標準的なインターバルをI0とおくと、次回の強制再生制御までのインターバルIXは、IX=I0+φで与えられる。
上記の第一温度TA及び第二温度TBは、図4に示すように、フィルタ6の強制再生時の標準的なフィルタ温度TTARGETを挟むようにその大小関係を設定してもよい。例えば、フィルタ6の強制再生時に良好なPM燃焼効率が得られるフィルタ温度TTARGETが800[℃]前後である場合、第一温度TAを600〜750 [℃]程度の範囲内に設定し、第二温度TBを820〜900 [℃]程度の範囲内に設定する。これにより、次回の強制再生時のフィルタ温度が標準的なフィルタ温度TTARGETの近傍に収束しやすくなる。
[3.フローチャート]
図5のフローチャートは、制御装置5での制御内容を例示するものである。このフロー中では、制御用のフラグFが使用されている。フラグFは、強制再生制御が実施中であるか否かを意味するものであり、強制再生制御の実施中にF=1に設定され、強制再生制御の非実施時にF=0に設定される。このフラグFの初期値はF=0である。また、本フローは制御装置5の内部で繰り返し実施される。
ステップA10では、近接温度センサ2で検出された近接温度tn,全域温度センサ3で検出された全域温度tf及びエアフローセンサ4で検出された吸気流量V等の情報が制御装置5に読み込まれる。続くステップA20ではフラグFがF=1であるか否かが判定され、強制再生制御の実施中であるか否かが判定される。ここで、F=1である場合にはステップA50へ進み、F≠1(すなわちF=0)である場合にはステップA30へ進む。
ステップA30では、再生制御部5cにおいて、強制再生制御の開始条件が成立するか否かが判定される。例えば、前回の強制再生時からの累積走行距離Lに基づいて強制再生の制御サイクルが設定される場合には、累積走行距離Lが所定距離L0(例えば、数百[km])に補正量φを加算した値以上であるか否かが判定される。なお、補正量φは強制再生のインターバルを延長,短縮すべくステップA150やステップA160で設定される値である。
ここで開始条件が成立する場合にはステップA40へ進み、フラグFがF=1に設定されて本フローが終了する。この場合、次回の制御周期ではステップA20でF=1であると判定され、ステップA50へと進む。一方、ステップA30で開始条件が成立しない場合には、開始条件が成立するまでフラグFがF=0に保持される。
ステップA50では、再生制御部5cにおいて、フィルタ6の温度を強制的に上昇させてフィルタ6上のPMを焼却する強制再生制御が実施される。続くステップA60〜A110では、ステップA10で読み込まれた各種情報に基づいてフィルタ温度に関する推定演算が実施される。まず、ステップA60では、外周温度演算部5bにおいて、エアフローセンサ4で検出された吸気流量Vに基づいてフィルタ6を通過する排気流量VEXが推定される。また、ステップA70では、中心温度演算部5aにおいて、近接温度センサ2で検出された近接温度tnに基づいてフィルタ中心部6aの中心温度TCが推定される。
ステップA80では、外周温度演算部5bにおいて、近接温度tnから全域温度tfを減算した偏差Δtが演算される。そしてステップA90では、例えば図3に示すような対応関係に基づいて、中心温度TCと外周温度TOとの相違量ΔTが演算される。また、ステップA100では、ステップA60で推定された排気流量VEXに応じた大きさの補正量ΔT′が演算される。
ステップA110では、ステップA70,A90及びA100で演算された中心温度TC,相違量ΔT及び補正量ΔT′が加算され、外周温度TOが演算される。ここまでのステップでフィルタ6の内部温度が把握され、これらの情報が図示しない記憶装置に記憶される。なお、このステップにおいて前回の制御周期で得られた中心温度TC及び外周温度TOと、今回の演算周期で得られた中心温度TC及び外周温度TOとをそれぞれ比較し、今回の演算周期で得られた値が前回のものよりも大きい場合にのみ、その値を更新して記憶することとしてもよいし、あるいは、全ての演算周期で得られた値を記憶してもよい。
ステップA120〜A160は、ステップA30での判定に係る次回の強制再生制御までのインターバルの補正量φを設定するステップである。まず、ステップA120では、第一補正量設定部5dにおいて、中心温度TCに基づいて第一補正量φCが設定される。また、続くステップA130では、第二補正量設定部5eにおいて、外周温度TOに基づいて第二補正量φOが設定される。
ステップA140では、再生制御部5cにおいて、第二補正量φOが第一補正量φC未満であるか否かが判定される。ここで、φO<φCであると判定された場合にはステップA150へ進み、インターバルの補正量φが第二補正量φOに設定される。また、φO≧φCであると判定された場合にはステップA160へ進み、インターバルの補正量φが第一補正量φCに設定される。ステップA150,A160で設定されたインターバルの補正量φは、次回の強制再生制御の開始条件として次回以降の演算周期のステップA30で用いられる。
続くステップA170では、強制再生制御の終了条件が成立したか否かが判定される。ここで、終了条件が成立したと判定された場合にはステップA180へ進み、フラグFがF=0に設定される。一方、終了条件が成立しない場合にはフラグFの状態が維持され、次回の制御周期で強制再生制御が継続される。
[4.作用,効果]
上記の構成により、本排気浄化装置では強制再生制御の開始条件に係るインターバルの判定に際し、フィルタ6の中心温度TCと外周温度TOとのそれぞれに対応する第一補正量φC及び第二補正量φOが設定される。これにより、今回の強制再生制御で高温となったフィルタ6の径方向断面の位置に応じて、次回の強制再生制御までのインターバルを変更することができる。
例えば、フィルタ温度が高温になった場合にインターバルを短縮することができるだけでなく、フィルタ外周部6bが高温になった場合には、フィルタ中心部6aが高温になった場合よりもインターバルの短縮量を小さくすることができる。したがって、フィルタ6の径方向断面の位置に依存する過昇温の発生周期やPM堆積量特性,溶損の発生リスク等に応じた最適なインターバルで強制再生制御を実施することができ、過昇温を抑制しつつ燃費を改善することができる。
特に、本排気浄化装置では、図4に示すように、外周温度TOが第二温度TB以上の範囲での外周温度TOに対する第二補正量φOの減少勾配が、中心温度TCに対する第一補正量φCの減少勾配よりも小さくなるような特性となっている。これにより、長周期的に発生するフィルタ外周部6bでの過昇温を確実に抑制しながら、必要以上にインターバルを短縮することがなくなり、燃費を大幅に改善することができる。
また、本排気浄化装置では、第一補正量φC及び第二補正量φOのうち、インターバルの短縮方向への補正量が大きい一方の補正量を用いて実際の強制再生制御のインターバルを補正している。これにより、図5のステップA30で判定されるような強制再生制御の開始条件が、より安全側(過昇温が生じにくくなると考えられるインターバルの短縮側)にシフトすることになり、確実に過昇温の発生を抑制することができるというメリットがある。
さらに、本排気浄化装置ではフィルタ外周部6bを通過した排気の温度が反映された全域温度tfと近接温度tnとの差を演算することにより、フィルタ6を通過した後で混合する前の排気温度分布、すなわち、外周温度TOから中心温度TCまでの温度のずれの大きさを正確に把握することができる。また、上述の排気浄化装置で演算される中心温度TCは、フィルタ中心部6aの最高温度であり、外周温度TOはフィルタ外周部6bを代表する最高温度である。つまりここでは、フィルタ中心部6aの中心温度TCとフィルタ外周部6bの外周温度TOとが切り分けられて、それぞれの温度が正確に把握される。
このように、フィルタ内での最高温度が何度であるのか、また、その最高温度が径方向断面のどの領域で生じたのかを正確に推定することができ、上記の温度分布を区別することができる。したがって、フィルタ外周部6bでの部分的な温度上昇をその位置に関わらず把握することができ、排気浄化システムの信頼性を向上させることができる。
また、上記の排気浄化装置では、近接温度tnから全域温度tfを減じた値Δtが小さいほど、外周温度TOの補正値ΔTが大きく見積もられるため、外周温度TOの最高値を正確に演算することができる。
また、上記の排気浄化装置では、エアフローセンサ4で検出された吸気流量Vからフィルタ6を通過する排気流量VEXを推定し、この排気流量VEXが大きいほど補正量ΔT′を増大させているため、排気流量VEXに応じた熱損失やフィルタ6内での温度分布形状の変化を考慮して、正確な外周温度TOを把握することができる。
また、上記の排気浄化装置では、中心温度TCを基準として外周温度TOを演算している。ここで、近接温度センサ2はフィルタ中心部6aの下流側端面に近接して設けられているため、極めて正確な中心温度TCが演算される。このような正確な値を基準として外周温度TOを演算することにより、演算精度を向上させることができる。
さらに、上記の排気浄化装置では、正確に把握した外周温度TOと中心温度TCとの双方を用いてフィルタ6の再生インターバルを調整している。これにより、単にフィルタ6内での過昇温を検出するだけでなく、その過昇温の発生をも抑制することができる。例えば、フィルタ6内の最高温度が一回目の強制再生時に第二温度TB以上であった場合には、二回目の強制再生までのインターバルが短縮される。これにより、たとえPMがフィルタ6内に偏堆積していたとしても、PMが過剰に堆積される前に(PMの堆積量が少なめな状態で)強制再生制御が実施されることになり、確実に過昇温が防止される。したがって、フィルタ6の劣化を防止することができる。
また、上記の排気浄化装置では、全域温度センサ3がコーン部1bと下流排気通路7との接続部の近傍に設けられるため、程よく混合された排気の温度を全域温度tfとして検出することができ、全域温度tfの検出精度を向上させることができる。また、下流排気通路7よりもさらに下流側に全域温度センサ3を配置した場合と比較して、外部への熱損失の影響を小さくすることができ、外周温度TOの演算精度も向上させることができる。
[5.変形例等]
上述した実施形態に関わらず、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
上述の実施形態では、近接温度センサ2及び全域温度センサ3を用いてフィルタ中心部6aの中心温度TCとフィルタ外周部6bの外周温度TOとを推定演算するものを例示したが、少なくともフィルタ6の径断面方向の複数の位置でのフィルタ温度が把握される構成であればよい。例えば、図6に示すように、フィルタ6の複数箇所に温度センサを内蔵させて中心温度TCや外周温度TOに対応する温度を検出させる。これらの温度を用いて第一補正量φC及び第二補正量φOを設定することにより、上述の実施形態と同様に強制再生制御のインターバルの適正化が可能である。
また、上述の実施形態は、図2(a)に示すように、便宜的にフィルタ6の内部をフィルタ中心部6a及びフィルタ外周部6bの二つの部位に区画し、これら二部位の温度に対応するインターバルの補正量を設定しているが、区画される部位は内周部及び外周部以外でもよい。例えば、下流側のコーン部1bにおける流路中心軸が円筒部1aの筒軸に一致していない場合では、コーン部1bにおける流路中心軸の近接側と遠隔側の二つの部位にフィルタ6の内部を区画し、これら二部位の温度に対応するインターバルの補正量を設定してもよい。さらにフィルタ6の内周部と外周部とで区画する場合であっても、フィルタ6の内部を概念的にさらに細分化してそれぞれの部位毎の温度に対応するインターバルの補正量を設定する構成としてもよい。
前述の通り、フィルタ6内の温度分布やPMの堆積量は様々な要因によって偏りが生じうる。したがって、フィルタ6の径方向断面内での位置毎に強制再生制御のインターバルを設定することにより、過昇温が発生する可能性やその頻度が異なる位置毎に、強制再生制御の実施間隔を相違させることが可能となる。つまり、フィルタ6内での位置毎のPM堆積量特性や燃焼量特性等を加味したインターバルの適正化が可能となり、過昇温の発生を抑制しつつ燃費を改善することができる。
例えば、図6に示す径方向断面内の中心部(凡例中の符号Mの位置),外周上端部(符号Kの位置)及びこれらの中間部(符号Lの位置)の三箇所のフィルタ温度を検出し、それぞれの位置毎にインターバルの補正量φを演算することが考えられる。この場合、三種類の温度のそれぞれに対応する補正量φの関係を、図4中に実線,二点鎖線及び破線で示す三種類のグラフのように設定し、三つの補正量φC,φX,φOのうちインターバルの短縮方向への補正量が最も大きいもの(図4上で最も下方に位置するもの)を用いてインターバルを補正すればよい。
なお、三つの補正量φの関係は、図4のグラフにおいて、フィルタ6の中心部に近いほど減少勾配が大きく、フィルタ6の外縁側の部位では減少勾配が小さくなるように設定する。これにより、さらに小さな範囲で生じうる局所的な過昇温を確実に抑制しつつ燃費を改善することが可能となる。また、フィルタ6の径方向断面の温度を複数箇所で把握すれば、それに対応する補正量φの図4上での分布が温度分布を把握した箇所数と同じ数だけ明らかとなり、さらにきめの細かい正確な制御を実施することができる。
また、全域温度センサ3の設置位置を図2(a)に図示された位置よりも排気上流側又は排気下流側とすることも考えられる。全域温度センサ3は、フィルタ中心部6aを通過した排気とフィルタ外周部6bを通過した排気とが混合した位置で排気温度を検出するものであればよく、具体的な配置は上述の実施形態のものに限定されない。
また、上述の実施形態では、再生制御部5cが強制再生制御の実施時に次回の強制再生制御までのインターバルを設定しているが、インターバルを設定する時期に関しては強制再生制御の実施時に限定されない。すなわち、強制再生制御時以外(例えば、車両の通常走行時や連続再生制御時など)にもフィルタ6の中心温度TCと外周温度TOとを随時演算し、これらの温度の高低に応じてインターバルを短縮又は延長させてもよい。これにより、フィルタ6の過昇温をより確実に防止することができる。
また、上述の実施形態では、全域温度センサ3をコーン部1bの出口近傍(ケーシングの下流端)に挿入したものを例示したが、外部への熱損失の影響を考慮して、コーン部1bの外周面全体に断熱層や遮熱面を設けてもよい。この場合、外部への熱損失を減少させることができ、全域温度tfの検出精度を向上させることができる。これにより、外周温度TOの演算精度を向上させることができ、延いてはフィルタ6の劣化を確実に防止することができる。
なお、コーン部1bの形状(DPF1のケーシングの形状)に関しては多様な変形例が考えられる。すなわち、フィルタ6を通過した後の排気の混合性を高めるべく、排気の流通を規制又は誘導するような形状に流路形状,壁体形状を形成することが考えられる。このような構造を上述の実施形態に適用することにより、外周温度TOの演算精度をさらに向上させることができ、フィルタ6の劣化をより確実に防止することができる。
また、上述の実施形態では、近接温度tnと全域温度tfとの差を演算し、この差を引数として中心温度TCに対する外周温度TOの相違量ΔTを演算しているが、この構成に代えて、あるいは加えて、近接温度tnと全域温度tfとの比を用いてもよい。例えば、全域温度tfの近接温度tnに対する比をk(k=tf/tn)とおき、比kが大きいほど相違量ΔTを増大させることが考えられる。このような制御でも、上述の実施形態と同様の効果を奏するものとなる。
また、上述の実施形態では、図3に示すような対応関係を用いて相違量ΔTを演算するものを例示したが、具体的な演算手法は多様に考えられ、例えば、偏差Δt及び相違量ΔTの相関、又は、偏差Δt,排気流量VEX及び相違量ΔTの相関を予め実験等で把握しておき、これらの相関をマップ化,モデル化して制御装置5内に記憶させておいてもよい。
また、上述の実施形態では、エアフローセンサ4での検出結果を用いて排気流量VEXを演算しているが、排気通路9に流量センサを設けて排気流量VEXを直接的に検出する構成としてもよい。
なお、上述のエンジン10の燃焼形式は任意であり、上記の排気浄化装置はディーゼルエンジンの排気系にもガソリンエンジンの排気系にも適用可能である。したがって、例えばスロットルバルブ11や図示しない点火プラグ,図示しないインジェクタの配設位置といった具体的なエンジンの構造は適宜設定,変更することができる。
1 DPF
2 近接温度センサ
3 全域温度センサ
5 制御装置
5a 中心温度演算部(温度検出手段,中心温度演算手段)
5b 外周温度演算部(温度検出手段,外周温度演算手段)
5c 再生制御部(再生制御手段)
5d 第一補正量設定部(第一補正量設定手段,設定手段)
5e 第二補正量設定部(第二補正量設定手段,設定手段)
6 フィルタ
6a フィルタ中心部
6b フィルタ外周部
n 近接温度
f 全域温度
C 中心温度
O 外周温度
φC 第一補正量
φO 第二補正量

Claims (4)

  1. エンジンの排気通路に設けられ、排気中の粒子状物質を捕集するフィルタと、
    前記フィルタの径方向断面の複数箇所での温度を検出する温度検出手段と、
    前記温度検出手段で検出された前記温度に基づき、前記複数箇所のそれぞれの位置毎に、前記フィルタに捕集された前記粒子状物質を除去する再生制御のインターバルの補正量を設定する設定手段と、
    前記設定手段で設定された前記それぞれの位置毎の前記インターバルの補正量に基づいて前記再生制御を実施する再生制御手段とを備え
    前記温度検出手段が、前記フィルタの径方向断面の中心部の温度を中心温度として検出するとともに、前記径方向断面の外周部の温度を外周温度として検出し、
    前記設定手段が、
    前記温度検出手段で検出された前記中心温度に基づき、前記再生制御手段で実施される前記再生制御のインターバルの前記補正量としての第一補正量を設定する第一補正量設定手段と、
    前記温度検出手段で検出された前記外周温度に基づき、前記再生制御のインターバルの前記補正量として該補正量の少なくとも一部が前記第一補正量とは異なる第二補正量を設定する第二補正量設定手段とを有し、
    前記第二補正量設定手段が、任意の前記外周温度に応じて設定される前記第二補正量の値を、該外周温度と同一の前記中心温度に応じて設定される前記第一補正量の値よりも、前記インターバルの短縮方向への補正量が小さい値として設定する
    ことを特徴とする、排気浄化装置。
  2. 前記再生制御手段が、前記第一補正量及び前記第二補正量のうち、前記インターバルの
    短縮方向への補正量が大きい一方を用いて前記再生制御のインターバルを補正する
    ことを特徴とする、請求項記載の排気浄化装置。
  3. 前記フィルタの径方向断面の中心部の下流側端面に近接して設けられ、前記中心部を通
    過した排気の温度を近接温度として検出する近接温度センサと、
    前記フィルタの径方向断面の外周部及び前記中心部をそれぞれ通過した排気の混合気の
    温度を全域温度として検出する全域温度センサとを備え、
    前記温度検出手段が、前記近接温度に基づいて前記中心部のフィルタ温度を中心温度と
    して演算する中心温度演算手段と、前記中心温度,前記近接温度及び前記全域温度に基づ
    いて前記外周温度を演算する外周温度演算手段とを有する
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の排気浄化装置。
  4. 前記再生制御手段が、前記設定手段で設定された前記それぞれの位置毎の前記インターバルの補正量を用いて前記再生制御のインターバルを補正し、上記の補正された再生制御のインターバルに基づいて前記再生制御を実施する
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の排気浄化装置。
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