以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。
〈実施形態1〉
図1は、本発明の実施形態1に係るリレー故障診断装置を電動車両(本実施形態では電気自動車)の駆動系に適用した際の概略構成を示す図である。
図1に示すように、この電気自動車の駆動系は、走行駆動用のモータ(例えば、3相交流モータ)1を駆動する第1の負荷としてのインバータ2と、インバータ2に電力供給するためのリチウムイオン電池等の強電バッテリ(直流電源)3と、インバータ2と強電バッテリ3間の負極側電力ライン4に接続された負極側メインリレー(以下、「(−)側メインリレー」という)5と、インバータ2と強電バッテリ3間の正極側電力ライン6に接続された正極側メインリレー(以下、「(+)側メインリレー」という)7と、(−)側メインリレー5に並列に接続されたプリチャージリレー8、及び負極側電力ライン4と正極側電力ライン6間に入力側が接続された第2の負荷としてのDC/DCコンバータ9を有している。インバータ2とDC/DCコンバータ9は並列に接続されている。
インバータ2は、強電バッテリ3から供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力をモータ1に供給する。インバータ2には、モータ1を所望の回転数で回転させるためのスイッチング素子(不図示)をスイッチング制御するための制御装置(不図示)が接続されている。
正極側電力ライン6を接続/遮断する(+)側メインリレー7、負極側電力ライン4を接続/遮断する(−)側メインリレー5、及びプリチャージリレー8は、リレー制御部10からのON/OFF信号に基づいてそれぞれ接続/遮断制御される。なお、プリチャージリレー8は、強電バッテリ3とインバータ2とを接続する起動時に(−)側メインリレー5に急激に高電圧が印加されるのを防止するために、(−)側メインリレー5を接続する前に接続されるリレーである。また、(−)側メインリレー5、(+)側メインリレー7、及びプリチャージリレー8には、各メインリレー((−)側メインリレー5、(+)側メインリレー7)が溶着故障しているか否かを診断するリレー故障診断部11が接続されている。
DC/DCコンバータ9は、コンバータ駆動制御部12からの駆動指令信号に基づいて強電バッテリ3から供給される直流電力を降圧して、車両電装系などの補機類(不図示)に供給する。本実施形態では、前記リレー制御部10、リレー故障診断部11、コンバータ駆動制御部12とでリレー故障診断装置13が構成されている。リレー故障診断装置13は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェースを主体に構成されているマイクロコンピュータを用いることができる。
リレー故障診断装置13には、この装置の電源用バッテリ(2次電池)14が接続されている。電源用バッテリ14の電源電圧は、例えば14Vである。また、DC/DCコンバータ9の出力側と電源用バッテリ14間は接続されており、その間には、DC/DCコンバータ9の駆動時に電源用バッテリ14へのバッテリ充電電流(以下、「充電電流」という)を計測する電流計15が接続されている。
リレー故障診断部11は、図2に示すように、前記各メインリレー((−)側メインリレー5、(+)側メインリレー7)の診断許可の可否を判定する診断許可判定部20と、この診断許可判定部20で診断許可の判定時に前記コンバータ駆動制御部12に駆動指令信号を出力する駆動指令部21と、診断許可判定部20で診断許可の判定時に各メインリレー((−)側メインリレー5、(+)側メインリレー7)の故障診断に用いるパラメータを算出するパラメータ算出部22と、このパラメータ算出部22で算出したパラメータに基づいてリレーが溶着しているか否かの判定を行なう判定部23を有している(詳細は後述する)。
次に、リレー故障診断部11による各メインリレー((−)側メインリレー5、(+)側メインリレー7)の故障診断処理について説明する。本実施形態の故障診断処理は、インバータ2に異常(故障)が生じて、接続保持されていた各メインリレー((−)側メインリレー5、(+)側メインリレー7)が、リレー制御部10とは別系統の制御部(不図示)からの遮断信号により強制的に遮断処理された後に行われる。
各メインリレー((−)側メインリレー5、(+)側メインリレー7)の接続(ON)時には、所定アンペアの電流が流れているので、各メインリレーが強制的に遮断された瞬間に大気放電による火花の発生により、各メインリレーに溶着故障が生じる虞がある。このため、各メインリレーが強制的に遮断された場合に、各メインリレーの故障診断処理を行うことは、電気自動車の駆動系全体の信頼性を高めるためにも有益である。
図3は、本実施形態の各メインリレーの故障診断処理時における各信号のON/OFFタイミングと、バッテリ充電電流及び電源電圧(リレー故障診断装置13への供給される電源電圧)の変化を示す図、図4は、本実施形態における(−)側メインリレー5の故障診断処理を示すフローチャート、図5は、本実施形態における(+)側メインリレー7の故障診断処理を示すフローチャートである。なお、図3において、時刻t1以前(図3の左側)が、インバータ2に異常(故障)が生じてなく各メインリレーが接続保持されているとき、時刻t1以降(図3の右側)が、インバータ2に異常(故障)が生じて各メインリレーが強制的に遮断された後の各メインリレーの故障診断処理時を示している。
〈(−)側メインリレー5の故障診断処理〉
インバータ2に異常(故障)が生じて、接続保持されていた各メインリレー((−)側メインリレー5、(+)側メインリレー7)が強制的に遮断処理された後において、図3、図4に示すように、時刻t1で、リレー制御部10から(−)側メインリレー5にOFF(遮断)信号を出力するとともに、コンバータ駆動制御部12からDC/DCコンバータ9に駆動停止信号(OFF信号)を出力する(図4のステップS1)。なお、時刻t1では、(+)側メインリレー7にON(接続)信号が、プリチャージリレー8にOFF(遮断)信号が出力されている。
そして、リレー故障診断部11の診断許可判定部20は、このときにリレー制御部10から出力されているON/OFF信号に基づき、(+)側メインリレー7にON信号、(−)側メインリレー5にOFF信号、プリチャージリレー8にOFF信号が出力されている場合に、(−)側メインリレー5の診断許可の条件が成立したと判定し(ステップS2:YES)、駆動指令部21に故障診断開始信号を出力する。駆動指令部21は、入力された故障診断開始信号に基づいてコンバータ駆動制御部12へ駆動指令信号(ON信号)を出力し(図3の時刻t2)、DC/DCコンバータ9を駆動する(ステップS3)。
この際、リレー故障診断部11のパラメータ算出部22には、DC/DCコンバータ9の駆動時に電流計15で計測される充電電流値(故障診断時の充電電流値)が入力される。なお、パラメータ算出部22には、各メインリレー((−)側メインリレー5、(+)側メインリレー7)に溶着が発生していない正常時に、DC/DCコンバータ9が駆動されていたときの充電電流値(正常時の充電電流値)が記憶されている。このように、本実施形態では、DC/DCコンバータ9の駆動時におけるDC/DCコンバータ9からの出力電流の変化は、電流計15で計測される充電電流値によって把握することができる。
そして、パラメータ算出部22は、前記故障診断時の充電電流値と前記正常時の充電電流値から、DC/DCコンバータ9の駆動時(時刻t2)における充電電流の上昇値(又は上昇率)をパラメータとして算出する(ステップS4)。そして、リレー故障診断部11の判定部23は、ステップS4で算出したパラメータとしての充電電流の上昇値(又は上昇率)が予め設定している閾値以上か否かを判定する(ステップS5)。
そして、ステップS5でパラメータとしての充電電流の上昇値(又は上昇率)が閾値以上である場合には(ステップS5:YES)、(−)側メインリレー5に溶着が生じて故障していると判定する(ステップS6)。また、ステップS5でパラメータとしての充電電流の上昇値(又は上昇率)が閾値未満である場合には(ステップS5:NO)、(−)側メインリレー5に溶着が生じていなく正常であると判定する(ステップS7)。
なお、ステップS6で、(−)側メインリレー5が溶着(故障)していると判定した後は、図3の時刻t3でリレー制御部10から(+)側メインリレー7にOFF信号を出力するととともに、コンバータ駆動制御部12からDC/DCコンバータ9に駆動停止信号(OFF信号)を出力する。よって、図3の時刻t2〜t3の期間(前記ステップS5)では、(−)側メインリレー5が故障(溶着)している場合に、充電電流の値が正常時から閾値以上に上昇する。
〈(+)側メインリレー7の故障診断処理〉
図3に示すように、前記(−)側メインリレー5の故障診断処理後に行う(+)側メインリレー7の故障診断の開始時においては、時刻t4でリレー制御部10からプリチャージリレー8にON(接続)信号を出力する(図5のステップS11)。
そして、リレー故障診断部11の診断許可判定部20は、このときにリレー制御部10から出力されているON/OFF信号に基づき、(+)側メインリレー7にOFF信号、(−)側メインリレー5にOFF信号、プリチャージリレー8にON信号が出力されている場合に、(+)側メインリレー7の診断許可の条件が成立したと判定し(ステップS12:YES)、駆動指令部21に故障診断開始信号を出力する。駆動指令部21は、入力された故障診断開始信号に基づいてコンバータ駆動制御部12へ駆動指令信号(ON信号)を出力し(図3の時刻t5)、DC/DCコンバータ9を駆動する(ステップS13)。
この際、リレー故障診断部11のパラメータ算出部22には、DC/DCコンバータ9の駆動時に電流計15で計測される故障診断時の充電電流値が入力される。なお、パラメータ算出部22には、前記正常時の充電電流値が記憶されている。
そして、パラメータ算出部22は、前記故障診断時の充電電流値と前記正常時の充電電流値から、DC/DCコンバータ9の駆動時(時刻t5)における充電電流の上昇値(又は上昇率)をパラメータとして算出する(ステップS14)。そして、リレー故障診断部11の判定部23は、ステップS14で算出したパラメータとしての充電電流の上昇値(又は上昇率)が予め設定している閾値以上か否かを判定する(ステップS15)。
そして、ステップS15でパラメータとしての充電電流の上昇値(又は上昇率)が閾値以上である場合には(ステップS15:YES)、(+)側メインリレー7に溶着が生じて故障していると判定する(ステップS16)。また、ステップS15でパラメータとしての充電電流の上昇値(又は上昇率)が閾値未満である場合には(ステップS15:NO)、(+)側メインリレー7に溶着が生じていなく正常であると判定する(ステップS17)。
なお、ステップS16で、(+)側メインリレー7が故障(溶着)していると判定した後は、図3の時刻t6でリレー制御部10からプリチャージリレー8にOFF信号を出力するととともに、コンバータ駆動制御部12からからDC/DCコンバータ9に駆動停止信号(OFF信号)を出力する。よって、図3の時刻t5〜t6の期間(前記ステップS16)では、(+)側メインリレー7が故障(溶着)している場合に、充電電流の値が正常時から閾値以上に上昇する。
このように、本実施形態では、インバータ2に異常(故障)が生じて、接続保持されていた各メインリレー((−)側メインリレー5、(+)側メインリレー7)が強制的に遮断処理された後においても、DC/DCコンバータ9を駆動したときの充電電流の上昇値(又は上昇率)が閾値以上であるか否かを判定することで、(−)側メインリレー5と(+)側メインリレー7に対して個別に溶着故障しているかを診断することができる。よって、電気自動車の駆動系全体の信頼性を高めることができる。
〈実施形態2〉
前記実施形態1では、DC/DCコンバータ9を駆動したときの充電電流の上昇値(又は上昇率)が閾値以上であるか否かを判定することで、(−)側メインリレー5と(+)側メインリレー7に対して溶着(故障)診断する構成であったが、本実施形態では、DC/DCコンバータ9を駆動したときに電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧の上昇値(又は上昇率)が閾値以上であるか否かを判定することで、(−)側メインリレー5と(+)側メインリレー7に対して溶着(故障)診断する構成である。その他に関しては実施形態1と同様である。以下、本実施形態における(−)側メインリレー5と(+)側メインリレー7の故障診断処理を、図6、図7のフローチャートを参照して説明する。
〈(−)側メインリレー5の故障診断処理〉
図6は、本実施形態における(−)側メインリレー5の故障診断処理を示すフローチャートである。
本実施形態のステップS21〜S23までの処理動作は、図4に示した前記実施形態1のステップS1〜S3までの処理動作と同様であり、重複する説明は省略する。
ステップS23において、リレー故障診断部11のパラメータ算出部22には、DC/DCコンバータ9の駆動時に電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧値(故障診断時の電源電圧値)が入力される。電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧値は、不図示の電圧計によって計測される。
なお、パラメータ算出部22には、各メインリレー((−)側メインリレー5、(+)側メインリレー7)に溶着が発生していない正常時に、DC/DCコンバータ9が駆動されていたときに電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧値(正常時の電源電圧値)が記憶されている。このように、本実施形態では、DC/DCコンバータ9の駆動時におけるDC/DCコンバータ9からの出力電流の変化は、DC/DCコンバータ9が駆動されたときに電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧値によって把握することができる。
そして、パラメータ算出部22は、前記故障診断時の充電電流値と前記正常時の電源電圧値から、DC/DCコンバータ9の駆動時(時刻t2:図3参照)における故障診断時の電源電圧の上昇値(又は上昇率)をパラメータとして算出する(ステップS24)。そして、リレー故障診断部11の判定部23は、ステップS24で算出したパラメータとしての電源電圧の上昇値(又は上昇率)が予め設定している閾値以上か否かを判定する(ステップS25)。
そして、ステップS25でパラメータとしての電源電圧の上昇値(又は上昇率)が閾値以上である場合には(ステップS25:YES)、(−)側メインリレー5に溶着が生じて故障していると判定する(ステップS26)。また、ステップS25でパラメータとしての電源電圧の上昇値(又は上昇率)が閾値未満である場合には(ステップS25:NO)、(−)側メインリレー5に溶着が生じていなく正常であると判定する(ステップS27)。
なお、ステップS26で、(−)側メインリレー5が故障(溶着)していると判定した後は、図3の時刻t3でリレー制御部10から(+)側メインリレー7にOFF信号を出力するととともに、コンバータ駆動制御部12からDC/DCコンバータ9に駆動停止信号(OFF信号)を出力する。よって、図3の時刻t2〜t3の期間(前記ステップS26での故障判定時)では、(−)側メインリレー5が故障(溶着)している場合に、故障診断時の電源電圧の値が正常時から閾値以上に上昇する。
〈(+)側メインリレー7の故障診断処理〉
図7は、本実施形態における(+)側メインリレー7の故障診断処理を示すフローチャートである。
本実施形態のステップS31〜S33までの処理動作は、図5に示した前記実施形態1のステップS11〜S13までの処理動作と同様であり、重複する説明は省略する。
ステップS23において、リレー故障診断部11のパラメータ算出部22には、DC/DCコンバータ9の駆動時に電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧値(故障診断時の電源電圧値)が入力される。電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧値は、不図示の電圧計によって計測される。
なお、パラメータ算出部22には、各メインリレー((−)側メインリレー5、(+)側メインリレー7)に溶着が発生していない正常時に、DC/DCコンバータ9が駆動されていたときの電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧値(正常時の電源電圧値)が記憶されている。
そして、パラメータ算出部22は、前記故障診断時の充電電流値と前記正常時の電源電圧値から、DC/DCコンバータ9の駆動時(時刻t2:図3参照)における故障診断時の電源電圧の上昇値(又は上昇率)をパラメータとして算出する(ステップS34)。そして、リレー故障診断部11の判定部23は、ステップS34で算出したパラメータとしての電源電圧の上昇値(又は上昇率)が予め設定している閾値以上か否かを判定する(ステップS35)。
そして、ステップS35でパラメータとしての電源電圧の上昇値(又は上昇率)が閾値以上である場合には(ステップS35:YES)、(+)側メインリレー7に溶着が生じて故障していると判定する(ステップS36)。また、ステップS35でパラメータとしての電源電圧の上昇値(又は上昇率)が閾値未満である場合には(ステップS35:NO)、(+)側メインリレー7に溶着が生じていなく正常であると判定する(ステップS37)。
なお、ステップS36で、(+)側メインリレー7が故障(溶着)していると判定した後は、図3の時刻t6でリレー制御部10からプリチャージリレー8にOFF信号を出力するととともに、コンバータ駆動制御部12からDC/DCコンバータ9に駆動停止信号(OFF信号)を出力する。よって、図3の時刻t5〜t6の期間(前記ステップS35)では、(+)側メインリレー7が故障(溶着)している場合に、故障診断時の電源電圧値が正常時から閾値以上に上昇する。
このように、本実施形態では、インバータ2に異常(故障)が生じて、接続保持されていた各メインリレー((−)側メインリレー5、(+)側メインリレー7)が強制的に遮断処理された後においても、DC/DCコンバータ9を駆動したときに電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧の上昇値(又は上昇率)が閾値以上であるか否かを判定することで、(−)側メインリレー5と(+)側メインリレー7に対して個別に故障(溶着)しているかを診断することができる。
なお、実施形態1におけるDC/DCコンバータ9を駆動したときの充電電流の上昇値(又は上昇率)と、実施形態2におけるDC/DCコンバータ9を駆動したときに電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧の上昇値(又は上昇率)の両方がそれぞれ閾値以上であるか否かを判定することで、(−)側メインリレー5と(+)側メインリレー7に対して故障(溶着)診断する構成でもよい。
〈実施形態3〉
図8は、本発明の実施形態3に係るリレー故障診断装置のリレー故障診断部の構成を示すブロック図である。
図8に示すように、本実施形態のリレー故障診断部11aは、各メインリレー((−)側メインリレー5、(+)側メインリレー7)の故障診断を許可するか否かの判定を行なう診断許可判定部20と、この診断許可判定部20で故障診断を許可すると判定された場合に、前記コンバータ駆動制御部12に駆動指令を出力する駆動指令部21と、診断許可判定部20で故障診断を許可すると判定された場合に、DC/DCコンバータ9を駆動したときの充電電流値に基づいてリレー故障の判定を行なう判定部23を有している。他の構成は実施形態1と同様であり、重複する説明は省略する。
以下、本実施形態における(−)側メインリレー5と(+)側メインリレー7の故障診断処理を、図9、図10のフローチャートを参照して説明する。
〈(−)側メインリレー5の故障診断処理〉
図9は、本実施形態における(−)側メインリレー5の故障診断処理を示すフローチャートである。
本実施形態のステップS41〜S43までの処理動作は、図4に示した前記実施形態1のステップS1〜S3までの処理動作と同様であり、重複する説明は省略する。
ステップS43において、リレー故障診断部11aの判定部23には、DC/DCコンバータ9の駆動時に電流計15で計測される充電電流値(故障診断時の充電電流値)が入力される。なお、判定部23には、各メインリレー((−)側メインリレー5、(+)側メインリレー7)に溶着が発生していない正常時に、DC/DCコンバータ9が駆動されていたときの充電電流値(正常時の充電電流値)が記憶されている。
そして、判定部23は、前記故障診断時の充電電流値が予め設定している閾値以上か否かを判定する(ステップS44)。
そして、ステップS44で故障診断時の充電電流値が閾値以上である場合には(ステップS44:YES)、(−)側メインリレー5に溶着が生じて故障していると判定する(ステップS45)。また、ステップS45で故障診断時の充電電流値が閾値未満である場合には(ステップS44:NO)、(−)側メインリレー5に溶着が生じていなく正常であると判定する(ステップS46)。
なお、ステップS45で、(−)側メインリレー5が故障(溶着)していると判定した後は、図3の時刻t3でリレー制御部10から(+)側メインリレー7にOFF信号を出力するととともに、コンバータ駆動制御部12からDC/DCコンバータ9に駆動停止信号(OFF信号)を出力する。よって、図3の時刻t2〜t3の期間(前記ステップS44)では、(−)側メインリレー5が故障(溶着)している場合に、故障診断時の充電電流の値が正常時から閾値以上に上昇する。
〈(+)側メインリレー7の故障診断処理〉
図10は、本実施形態における(+)側メインリレー7の故障診断処理を示すフローチャートである。
本実施形態のステップS51〜S53までの処理動作は、図5に示した前記実施形態1のステップS11〜S13までの処理動作と同様であり、重複する説明は省略する。
ステップS53において、リレー故障診断部11aの判定部23には、DC/DCコンバータ9の駆動時に電流計15で計測される電源用バッテリ14の充電電流値(故障診断時の充電電流値)が入力される。なお、判定部23には、各メインリレー((−)側メインリレー5、(+)側メインリレー7)に溶着が発生していない正常時に、DC/DCコンバータ9が駆動されていたときの電源用バッテリ14の充電電流値(正常時の充電電流値)が記憶されている。
そして、判定部23は、前記故障診断時の充電電流値が予め設定している閾値以上か否かを判定する(ステップS54)。
そして、ステップS54で故障診断時の充電電流値が閾値以上である場合には(ステップS54:YES)、(+)側メインリレー7に溶着が生じて故障していると判定する(ステップS55)。また、ステップS54で故障診断時の充電電流値が閾値未満である場合には(ステップS54:NO)、(+)側メインリレー7に溶着が生じていなく正常であると判定する(ステップS56)。
なお、ステップS55で、(+)側メインリレー7が故障(溶着)していると判定した後は、図3の時刻t6でリレー制御部10からプリチャージリレー8にOFF信号を出力するととともに、コンバータ駆動制御部12からDC/DCコンバータ9に駆動停止信号(OFF信号)を出力する。よって、図3の時刻t5〜t6の期間(前記ステップS54)では、(+)側メインリレー7が故障(溶着)している場合に、故障診断時の充電電流の値が正常時から閾値以上に上昇する。
このように、本実施形態では、インバータ2に異常(故障)が生じて、接続保持されていた各メインリレー((−)側メインリレー5、(+)側メインリレー7)が強制的に遮断処理された後においても、DC/DCコンバータ9を駆動したときの電源用バッテリ14の充電電流値が閾値以上であるか否かを判定することで、(−)側メインリレー5と(+)側メインリレー7に対して個別に故障(溶着)しているかを診断することができる。
〈実施形態4〉
前記実施形態3では、DC/DCコンバータ9を駆動したときの電源用バッテリ14の充電電流値が閾値以上であるか否かを判定することで、(−)側メインリレー5と(+)側メインリレー7に対して故障(溶着)診断する構成であったが、本実施形態では、DC/DCコンバータ9を駆動したときに電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧値が閾値以上であるか否かを判定することで、(−)側メインリレー5と(+)側メインリレー7に対して故障(溶着)診断する構成である。その他に関しては実施形態3と同様である。以下、本実施形態における(−)側メインリレー5と(+)側メインリレー7の故障診断処理を、図11、図12のフローチャートを参照して説明する。
〈(−)側メインリレー5の故障診断処理〉
図11は、本実施形態における(−)側メインリレー5の故障診断処理を示すフローチャートである。
本実施形態のステップS61〜S63までの処理動作は、図4に示した前記実施形態1のステップS1〜S3までの処理動作と同様であり、重複する説明は省略する。
ステップS63において、リレー故障診断部11の判定部23には、DC/DCコンバータ9の駆動時に電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧値(故障診断時の電源電圧値)が入力される。電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧値は、不図示の電圧計によって計測される。
なお、判定部23には、各メインリレー((−)側メインリレー5、(+)側メインリレー7)に溶着が発生していない正常時に、DC/DCコンバータ9が駆動されていたときの電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧値(正常時の電源電圧値)が記憶されている。
そして、判定部23は、前記故障診断時の電源電圧値が予め設定している閾値以上か否かを判定する(ステップS64)。
そして、ステップS64で故障診断時の電源電圧値が閾値以上である場合には(ステップS64:YES)、(−)側メインリレー5に溶着が生じて故障していると判定する(ステップS65)。また、ステップS64で故障診断時の電源電圧値が閾値未満である場合には(ステップS64:NO)、(−)側メインリレー5に溶着が生じていなく正常であると判定する(ステップS66)。
なお、ステップS65で、(−)側メインリレー5が故障(溶着)していると判定した後は、図3の時刻t3でリレー制御部10から(+)側メインリレー7にOFF信号を出力するととともに、コンバータ駆動制御部12からDC/DCコンバータ9に駆動停止信号(OFF信号)を出力する。よって、図3の時刻t2〜t3の期間(前記ステップS64)では、(−)側メインリレー5が故障(溶着)している場合に、故障診断時の電源電圧の値が正常時から閾値以上に上昇する。
〈(+)側メインリレー7の故障診断処理〉
図12は、本実施形態における(+)側メインリレー7の故障診断処理を示すフローチャートである。
本実施形態のステップS71〜S73までの処理動作は、図5に示した前記実施形態1のステップS11〜S13までの処理動作と同様であり、重複する説明は省略する。
ステップS73において、リレー故障診断部11の判定部23には、DC/DCコンバータ9の駆動時に電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧値(故障診断時の電源電圧値)が入力される。電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧値は、不図示の電圧計によって計測される。
なお、判定部23には、各メインリレー((−)側メインリレー5、(+)側メインリレー7)に溶着が発生していない正常時に、DC/DCコンバータ9が駆動されていたときの電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧値(正常時の電源電圧値)が記憶されている。
そして、判定部23は、前記故障診断時の電源電圧値が予め設定している閾値以上か否かを判定する(ステップS74)。
そして、ステップS74で故障診断時の電源電圧値が閾値以上である場合には(ステップS74:YES)、(+)側メインリレー7に溶着が生じて故障していると判定する(ステップS75)。また、ステップS74で故障診断時の電源電圧値が閾値未満である場合には(ステップS74:NO)、(+)側メインリレー7に溶着が生じていなく正常であると判定する(ステップS76)。
なお、ステップS75で、(+)側メインリレー7が故障(溶着)していると判定した後は、図3の時刻t6でリレー制御部10からプリチャージリレー8にOFF信号を出力するととともに、コンバータ駆動制御部12からDC/DCコンバータ9に駆動停止信号(OFF信号)を出力する。よって、図3の時刻t5〜t6の期間(前記ステップS74)では、(+)側メインリレー7が故障(溶着)している場合に、故障診断時の電源電圧の値が正常時から閾値以上に上昇する。
このように、本実施形態では、インバータ2に異常(故障)が生じて、接続保持されていた各メインリレー((−)側メインリレー5、(+)側メインリレー7)が強制的に遮断処理された後においても、DC/DCコンバータ9を駆動したときの電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧値が閾値以上であるか否かを判定することで、(−)側メインリレー5と(+)側メインリレー7に対して個別に故障(溶着)しているかを診断することができる。
なお、実施形態3におけるDC/DCコンバータ9を駆動したときの充電電流値と、実施形態4におけるDC/DCコンバータ9を駆動したときに電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧値の両方がそれぞれ閾値以上であるか否かを判定することで、(−)側メインリレー5と(+)側メインリレー7に対して故障(溶着)診断する構成でもよい。
前記した実施形態1〜4では、インバータ2に異常(故障)が生じて、接続保持されていた各メインリレー((−)側メインリレー5、(+)側メインリレー7)が強制的に遮断処理された後に、各メインリレーの故障診断を行なう例であったが、電動車両(本実施形態では電気自動車)のイグニッションスイッチ(ING)をONして、走行駆動用のモータ1を駆動する前の起動処理中に各メインリレーの故障診断を行なうようにしてもよい。
以下の実施形態5〜8では、この起動処理中での各メインリレーの故障診断処理((−)側メインリレー5、(+)側メインリレー7)について説明する。
〈実施形態5〉
図13は、本実施形態の各メインリレーの故障診断処理時における各信号のON/OFFタイミングと、バッテリ充電電流及び電源電圧の変化を示す図、図14は、本実施形態における(−)側メインリレー5の故障診断処理を示すフローチャート、図15は、本実施形態における(+)側メインリレー7の故障診断処理を示すフローチャートである。
〈(−)側メインリレー5の故障診断処理〉
図13、図14に示すように、時刻t1でイグニッションスイッチ(ING)をONし(ステップS101)、モータ1を駆動する前の起動処理中において、時刻t2でリレー制御部10から(−)側メインリレー5にON(接続)信号を出力するとともに、コンバータ駆動制御部12からDC/DCコンバータ9に駆動信号(ON信号)を出力する(ステップS102)。なお、(+)側メインリレー7とプリチャージリレー8には、OFF(遮断)信号が出力されている。
そして、リレー故障診断部11の診断許可判定部20は、時刻t2にリレー制御部10から出力されているON/OFF信号に基づき、(+)側メインリレー7にOFF信号、(−)側メインリレー5にON信号、プリチャージリレー8にOFF信号が出力されている場合に、(−)側メインリレー5の診断許可の条件が成立したと判定し(ステップS103:YES)、駆動指令部21に故障診断開始信号を出力する。駆動指令部21は、入力された故障診断開始信号に基づいてコンバータ駆動制御部12へ駆動指令信号(ON信号)を出力し、DC/DCコンバータ9を駆動する(ステップS104)。
この際、リレー故障診断部11のパラメータ算出部22には、DC/DCコンバータ9の駆動時に電流計15で計測される電源用バッテリ14の充電電流値(故障診断時の充電電流値)が入力される。なお、パラメータ算出部22には、前回の起動処理時において各メインリレー((−)側メインリレー5、(+)側メインリレー7)に溶着が発生していない正常時に、DC/DCコンバータ9が駆動されていたときの充電電流値(正常時の充電電流値)が記憶されている。
そして、パラメータ算出部22は、前記故障診断時の充電電流値と前記正常時の充電電流値から、DC/DCコンバータ9の駆動時(時刻t2)における充電電流値の上昇値(又は上昇率)をパラメータとして算出する(ステップS105)。そして、リレー故障診断部11の判定部23は、ステップS105で算出したパラメータとしての充電電流の上昇値(又は上昇率)が予め設定している閾値以上か否かを判定する(ステップS106)。
そして、ステップS106でパラメータとしての充電電流の上昇値(又は上昇率)が閾値以上である場合には(ステップS106:YES)、(−)側メインリレー5に溶着が生じて故障していると判定する(ステップS107)。また、ステップS106でパラメータとしての充電電流の上昇値(又は上昇率)が閾値未満である場合には(ステップS106:NO)、(−)側メインリレー5に溶着が生じていなく正常であると判定する(ステップS108)。
なお、ステップS107で、(−)側メインリレー5が故障(溶着)していると判定した後は、図13の時刻t3でリレー制御部10から(−)側メインリレー5にOFF信号を出力するととともに、コンバータ駆動制御部12からDC/DCコンバータ9に駆動停止信号(OFF信号)を出力する。よって、図13の時刻t2〜t3の期間(前記ステップS106)では、(−)側メインリレー5が故障(溶着)している場合に、充電電流の値が正常時から閾値以上に上昇する。
〈(+)側メインリレー7の故障診断処理〉
図15に示すように、前記(−)側メインリレー5の故障診断処理後に行う(+)側メインリレー7の故障診断の開始時においては、時刻t4でリレー制御部10から(+)側メインリレー7にON信号を出力するととともに、コンバータ駆動制御部12からDC/DCコンバータ9に駆動指令信号(ON信号)を出力する(図15のステップS111)。
そして、リレー故障診断部11の診断許可判定部20は、このとき(時刻t4)にリレー制御部10から出力されているON/OFF信号に基づき、(+)側メインリレー7にON信号、(−)側メインリレー5にOFF信号、プリチャージリレー8にOFF信号が出力されている場合に、(+)側メインリレー7の診断許可の条件が成立したと判定し(ステップS112:YES)、駆動指令部21に故障診断開始信号を出力する。駆動指令部21は、入力された故障診断開始信号に基づいてコンバータ駆動制御部12へ駆動指令信号(ON信号)を出力し、DC/DCコンバータ9を駆動する(ステップS113)。
この際、リレー故障診断部11のパラメータ算出部22には、DC/DCコンバータ9の駆動時に電流計15で計測される電源用バッテリ14の充電電流値(故障診断時の充電電流値)が入力される。なお、パラメータ算出部22には、前回の起動処理時において各メインリレー((−)側メインリレー5、(+)側メインリレー7)に溶着が発生していない正常時に、DC/DCコンバータ9が駆動されていたときの充電電流値(正常時の充電電流値)が記憶されている。
そして、パラメータ算出部22は、前記故障診断時の充電電流値と前記正常時の充電電流値から、DC/DCコンバータ9の駆動時(時刻t4)における電源用バッテリ14の充電電流の上昇値(又は上昇率)をパラメータとして算出する(ステップS114)。そして、リレー故障診断部11の判定部23は、ステップS114で算出したパラメータとしての充電電流の上昇値(又は上昇率)が予め設定している閾値以上か否かを判定する(ステップS115)。
そして、ステップS115でパラメータとしての充電電流の上昇値(又は上昇率)が閾値以上である場合には(ステップS115:YES)、(+)側メインリレー7に溶着が生じて故障していると判定する(ステップS116)。また、ステップS115でパラメータとしての充電電流の上昇値(又は上昇率)が閾値未満である場合には(ステップS115:NO)、(+)側メインリレー7に溶着が生じていなく正常であると判定する(ステップS117)。
なお、ステップS116で、(+)側メインリレー7が故障(溶着)していると判定した後は、図13の時刻t5でリレー制御部10からプリチャージリレー8にON信号を出力するととともに、コンバータ駆動制御部12からDC/DCコンバータ9に駆動停止信号(OFF信号)を出力する。よって、図13の時刻t4〜t5の期間(図15のステップS115)では、(+)側メインリレー7が故障(溶着)している場合に、充電電流の値が正常時から閾値以上に上昇する。
そして、ステップS117で各メインリレー((−)側メインリレー5、(+)側メインリレー7)に故障(溶着)が生じてなく正常であると診断した場合には、時刻t6でリレー制御部10から(−)側メインリレー5にON信号を出力し、時刻t7でプリチャージリレー8にOFF信号を出力して、負極側電力ライン4と正極側電力ライン6を接続状態に保持することで、前記起動処理を終了する。起動処理の終了後に、インバータ2は、強電バッテリ3から供給される直流電力を交流電力に変換してモータ1を駆動し、更に、DC/DCコンバータ9を駆動して車両電装系などの補機類(不図示)を作動させる。
このように、本実施形態では、モータ1を駆動する前の起動処理中においても、DC/DCコンバータ9を駆動したときの充電電流の上昇値(又は上昇率)が閾値以上であるか否かを判定することで、(−)側メインリレー5と(+)側メインリレー7に対して個別に故障(溶着)しているかを診断することができる。
〈実施形態6〉
前記実施形態5では、DC/DCコンバータ9を駆動したときの充電電流の上昇値(又は上昇率)が閾値以上であるか否かを判定することで、(−)側メインリレー5と(+)側メインリレー7に対して故障(溶着)診断する構成であったが、本実施形態では、DC/DCコンバータ9を駆動したときの電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧の上昇値(又は上昇率)が閾値以上であるか否かを判定することで、(−)側メインリレー5と(+)側メインリレー7に対して故障(溶着)診断する構成である。その他に関しては実施形態5と同様である。以下、本実施形態における(−)側メインリレー5と(+)側メインリレー7の故障診断処理を、図16、図17のフローチャートを参照して説明する。
〈(−)側メインリレー5の故障診断処理〉
図16は、本実施形態における(−)側メインリレー5の故障診断処理を示すフローチャートである。
本実施形態のステップS121〜S124までの処理動作は、図14に示した前記実施形態5のステップS101〜S104までの処理動作と同様であり、重複する説明は省略する。
ステップS124において、リレー故障診断部11のパラメータ算出部22には、DC/DCコンバータ9の駆動時に電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧値(故障診断時の電源電圧値)が入力される。電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧値は、不図示の電圧計によって計測される。
なお、パラメータ算出部22には、前回の起動処理時において各メインリレー((−)側メインリレー5、(+)側メインリレー7)に溶着が発生していない正常時に、DC/DCコンバータ9が駆動されていたときの電源電圧値(正常時の電源電圧値)が記憶されている。
そして、パラメータ算出部22は、前記故障診断時の電源電圧値と前記正常時の電源電圧値から、DC/DCコンバータ9の駆動時(時刻t2)における電源用バッテリ14の電源電圧値の上昇値(又は上昇率)をパラメータとして算出する(ステップS125)。そして、リレー故障診断部11の判定部23は、ステップS125で算出したパラメータとしての電源電圧の上昇値(又は上昇率)が予め設定している閾値以上か否かを判定する(ステップS126)。
そして、ステップS126でパラメータとしての電源電圧の上昇値(又は上昇率)が閾値以上である場合には(ステップS126:YES)、(−)側メインリレー5に溶着が生じて故障していると判定する(ステップS127)。また、ステップS126でパラメータとしての電源電圧の上昇値(又は上昇率)が閾値未満である場合には(ステップS126:NO)、(−)側メインリレー5に溶着が生じていなく正常であると判定する(ステップS128)。
なお、ステップS127で、(−)側メインリレー5が故障(溶着)していると判定した後は、図13の時刻t3でリレー制御部10から(−)側メインリレー5にOFF信号を出力するととともに、コンバータ駆動制御部12からDC/DCコンバータ9に駆動停止信号(OFF信号)を出力する。よって、図13の時刻t2〜t3の期間(前記ステップS126)では、(−)側メインリレー5が故障(溶着)している場合に、故障診断時の電源電圧値が正常時から閾値以上に上昇する。
〈(+)側メインリレー7の故障診断処理〉
図17は、本実施形態における(+)側メインリレー7の故障診断処理を示すフローチャートである。
本実施形態のステップS131〜S133までの処理動作は、図15に示した前記実施形態5のステップS111〜S113までの処理動作と同様であり、重複する説明は省略する。
ステップS133において、リレー故障診断部11のパラメータ算出部22には、DC/DCコンバータ9の駆動時に電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧値(故障診断時の電源電圧値)が入力される。電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧値は、不図示の電圧計によって計測される。
なお、パラメータ算出部22には、前回の起動処理時において各メインリレー((−)側メインリレー5、(+)側メインリレー7)に溶着が発生していない正常時に、DC/DCコンバータ9が駆動されていたときの電源電圧値(正常時の電源電圧値)が記憶されている。
そして、パラメータ算出部22は、前記故障診断時の電源電圧値と前記正常時の電源電圧値から、DC/DCコンバータ9の駆動時(図13の時刻t4)における電源電圧値の上昇値(又は上昇率)をパラメータとして算出する(ステップS134)。そして、リレー故障診断部11の判定部23は、ステップS134で算出したパラメータとしての電源電圧の上昇値(又は上昇率)が予め設定している閾値以上か否かを判定する(ステップS135)。
そして、ステップS135でパラメータとしての電源電圧の上昇値(又は上昇率)が閾値以上である場合には(ステップS135:YES)、(+)側メインリレー7に溶着が生じて故障していると判定する(ステップS136)。また、ステップS135でパラメータとしての電源電圧の上昇値(又は上昇率)が閾値未満である場合には(ステップS135:NO)、(+)側メインリレー7に溶着が生じていなく正常であると判定する(ステップS137)。
なお、ステップS136で、(+)側メインリレー7が故障(溶着)していると判定した後は、図13の時刻t5でリレー制御部10からプリチャージリレー8にON信号を出力するととともに、コンバータ駆動制御部12からDC/DCコンバータ9に駆動停止信号(OFF信号)を出力する。よって、図13の時刻t4〜t5の期間(図15のステップS135)では、(+)側メインリレー7が故障(溶着)している場合に、電源用バッテリ14の電源電圧の値が正常時から閾値以上に上昇する。
そして、ステップS137で各メインリレー((−)側メインリレー5、(+)側メインリレー7)に故障(溶着)が生じてなく正常であると診断した場合には、時刻t6でリレー制御部10から(−)側メインリレー5にON信号を出力し、時刻t7でプリチャージリレー8にOFF信号を出力して、負極側電力ライン4と正極側電力ライン6を接続状態に保持することで、前記起動処理を終了する。起動処理の終了後に、インバータ2は、強電バッテリ3から供給される直流電力を交流電力に変換してモータ1を駆動し、更に、DC/DCコンバータ9を駆動して車両電装系などの補機類(不図示)を作動させる。
このように、本実施形態では、モータ1を駆動する前の起動処理中においても、DC/DCコンバータ9を駆動したときの電源用バッテリ14の電源電圧の上昇値(又は上昇率)が閾値以上であるか否かを判定することで、(−)側メインリレー5と(+)側メインリレー7に対して個別に故障(溶着)しているかを診断することができる。
なお、実施形態5におけるDC/DCコンバータ9を駆動したときの充電電流値の上昇値(又は上昇率)と、実施形態6におけるDC/DCコンバータ9を駆動したときの電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧値の上昇値(又は上昇率)の両方がそれぞれ閾値以上であるか否かを判定することで、(−)側メインリレー5と(+)側メインリレー7に対して故障(溶着)診断する構成でもよい。
〈実施形態7〉
本実施形態では、図8に示したリレー故障診断部11aを有している。
前記実施形態5では、DC/DCコンバータ9を駆動したときの充電電流の上昇値(又は上昇率)が閾値以上であるか否かを判定することで、(−)側メインリレー5と(+)側メインリレー7に対して故障(溶着)診断する構成であったが、本実施形態では、DC/DCコンバータ9を駆動したときの充電電流値が閾値以上であるか否かを判定することで、(−)側メインリレー5と(+)側メインリレー7に対して故障(溶着)診断する構成である。その他に関しては実施形態5と同様である。以下、本実施形態における(−)側メインリレー5と(+)側メインリレー7の故障診断処理を、図18、図19のフローチャートを参照して説明する。
〈(−)側メインリレー5の故障診断処理〉
図18は、本実施形態における(−)側メインリレー5の故障診断処理を示すフローチャートである。
本実施形態のステップS141〜S144までの処理動作は、図14に示した前記実施形態1のステップS101〜S104までの処理動作と同様であり、重複する説明は省略する。
ステップS144において、リレー故障診断部11aの判定部23(図8参照)には、DC/DCコンバータ9の駆動時に電流計15で計測される充電電流値(故障診断時の充電電流値)が入力される。そして、判定部23は、前記故障診断時の充電電流値が予め設定している閾値以上か否かを判定する(ステップS145)。
そして、ステップS145で充電電流値が閾値以上である場合には(ステップS145:YES)、(−)側メインリレー5に溶着が生じて故障していると判定する(ステップS146)。また、ステップS145で充電電流値が閾値未満である場合には(ステップS145:NO)、(−)側メインリレー5に溶着が生じていなく正常であると判定する(ステップS147)。
なお、ステップS146で、(−)側メインリレー5が故障(溶着)していると判定した後は、図13の時刻t3でリレー制御部10から(−)側メインリレー5にOFF信号を出力するととともに、コンバータ駆動制御部12からDC/DCコンバータ9に駆動停止信号(OFF信号)を出力する。よって、図13の時刻t2〜t3の期間(前記ステップS145)では、(−)側メインリレー5が故障(溶着)している場合に、電源用バッテリ14の充電電流の値が正常時から閾値以上に上昇する。
〈(+)側メインリレー7の故障診断処理〉
図19は、本実施形態における(+)側メインリレー7の故障診断処理を示すフローチャートである。
本実施形態のステップS151〜S153までの処理動作は、図15に示した前記実施形態5のステップS111〜S113までの処理動作と同様であり、重複する説明は省略する。
ステップS153において、リレー故障診断部11の判定部23には、DC/DCコンバータ9の駆動時に電流計15で計測される充電電流値(故障診断時の充電電流値)が入力される。そして、判定部23は、前記故障診断時の充電電流値が予め設定している閾値以上か否かを判定する(ステップS154)。
そして、ステップS154で故障診断時の充電電流値が閾値以上である場合には(ステップS145:YES)、(+)側メインリレー7に溶着が生じて故障していると判定する(ステップS155)。また、ステップS154で故障診断時の充電電流値が閾値未満である場合には(ステップS154:NO)、(+)側メインリレー7に溶着が生じていなく正常であると判定する(ステップS156)。
なお、ステップS155で、(+)側メインリレー7が故障(溶着)していると判定した後は、図13の時刻t5でリレー制御部10からプリチャージリレー8にON信号を出力するととともに、コンバータ駆動制御部12からDC/DCコンバータ9に駆動停止信号(OFF信号)を出力する。よって、図13の時刻t4〜t5の期間(図19のステップS154)では、(+)側メインリレー7が故障(溶着)している場合に、充電電流の値が正常時から閾値以上に上昇する。
そして、ステップS156で(+)側メインリレー7に故障(溶着)が生じてなく正常であると診断した場合には、時刻t6でリレー制御部10から(−)側メインリレー5にON信号を出力し、時刻t7でプリチャージリレー8にOFF信号を出力して、負極側電力ライン4と正極側電力ライン6を接続状態に保持することで、前記起動処理を終了する。起動処理の終了後に、インバータ2は、強電バッテリ3から供給される直流電力を交流電力に変換してモータ1を駆動し、更に、DC/DCコンバータ9を駆動して車両電装系などの補機類(不図示)を作動させる。
このように、本実施形態では、モータ1を駆動する前の起動処理中においても、DC/DCコンバータ9を駆動したときの電源用バッテリ14の充電電流値が閾値以上であるか否かを判定することで、(−)側メインリレー5と(+)側メインリレー7に対して個別に故障(溶着)しているかを診断することができる。
〈実施形態8〉
前記実施形態7では、DC/DCコンバータ9を駆動したときの充電電流値が閾値以上であるか否かを判定することで、(−)側メインリレー5と(+)側メインリレー7に対して故障(溶着)診断する構成であったが、本実施形態では、DC/DCコンバータ9を駆動したときに電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧値が閾値以上であるか否かを判定することで、(−)側メインリレー5と(+)側メインリレー7に対して故障(溶着)診断する構成である。その他に関しては実施形態7と同様である。以下、本実施形態における(−)側メインリレー5と(+)側メインリレー7の故障診断処理を、図20、図21のフローチャートを参照して説明する。
〈(−)側メインリレー5の故障診断処理〉
図20は、本実施形態における(−)側メインリレー5の故障診断処理を示すフローチャートである。
本実施形態のステップS161〜S164までの処理動作は、図14に示した前記実施形態1のステップS141〜S144までの処理動作と同様であり、重複する説明は省略する。
ステップS164において、リレー故障診断部11aの判定部23(図8参照)には、DC/DCコンバータ9の駆動時に電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧値(故障診断時の電源電圧値)が入力される。電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧値は、不図示の電圧計によって計測される。そして、判定部23は、前記故障診断時の電源電圧値が予め設定している閾値以上か否かを判定する(ステップS165)。
そして、ステップS165で電源電圧値が閾値以上である場合には(ステップS165:YES)、(−)側メインリレー5に溶着が生じて故障していると判定する(ステップS166)。また、ステップS165で電源電圧値が閾値未満である場合には(ステップS165:NO)、(−)側メインリレー5に溶着が生じていなく正常であると判定する(ステップS167)。
なお、ステップS166で、(−)側メインリレー5が故障(溶着)していると判定した後は、図13の時刻t3でリレー制御部10から(−)側メインリレー5にOFF信号を出力するととともに、コンバータ駆動制御部12からDC/DCコンバータ9に駆動停止信号(OFF信号)を出力する。よって、図13の時刻t2〜t3の期間(前記ステップS165)では、(−)側メインリレー5が故障(溶着)している場合に、電源電圧の値が正常時から閾値以上に上昇する。
〈(+)側メインリレー7の故障診断処理〉
図21は、本実施形態における(+)側メインリレー7の故障診断処理を示すフローチャートである。
本実施形態のステップS171〜S173までの処理動作は、図15に示した前記実施形態7のステップS111〜S113までの処理動作と同様であり、重複する説明は省略する。
ステップS173において、リレー故障診断部11の判定部23には、DC/DCコンバータ9の駆動時に電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧値(故障診断時の電源電圧値)が入力される。電源用バッテリ14からリレー故障診断装置13に供給される電源電圧値は、不図示の電圧計によって計測される。そして、判定部23は、前記故障診断時の電源電圧値が予め設定している閾値以上か否かを判定する(ステップS174)。
そして、ステップS174で故障診断時の電源電圧値が閾値以上である場合には(ステップS174:YES)、(+)側メインリレー7に溶着が生じて故障していると判定する(ステップS175)。また、ステップS174で故障診断時の電源電圧値が閾値未満である場合には(ステップS174:NO)、(+)側メインリレー7に溶着が生じていなく正常であると判定する(ステップS176)。
なお、ステップS175で、(+)側メインリレー7が故障(溶着)していると判定した後は、図13の時刻t5でリレー制御部10からプリチャージリレー8にON信号を出力するととともに、駆動指令部21からDC/DCコンバータ9に駆動停止信号(OFF信号)を出力する。よって、図13の時刻t4〜t5の期間(図20のステップS174)では、(+)側メインリレー7が故障(溶着)している場合に、故障診断時の電源電圧の値が正常時から閾値以上に上昇する。
そして、ステップS176で(+)側メインリレー7に故障(溶着)が生じてなく正常であると診断した場合には、時刻t6でリレー制御部10から(−)側メインリレー5にON信号を出力し、時刻t7でプリチャージリレー8にOFF信号を出力して、負極側電力ライン4と正極側電力ライン6を接続状態に保持することで、前記起動処理を終了する。起動処理の終了後に、インバータ2は、強電バッテリ3から供給される直流電力を交流電力に変換してモータ1を駆動し、更に、DC/DCコンバータ9を駆動して車両電装系などの補機類(不図示)を作動させる。
このように、本実施形態では、モータ1を駆動する前の起動処理中においても、DC/DCコンバータ9を駆動したときの電源電圧値が閾値以上であるか否かを判定することで、(−)側メインリレー5と(+)側メインリレー7に対して個別に故障(溶着)しているかを診断することができる。
なお、実施形態7におけるDC/DCコンバータ9を駆動したときの充電電流値と、実施形態8におけるDC/DCコンバータ9を駆動したときの電源電圧値の両方がそれぞれ閾値以上であるか否かを判定することで、(−)側メインリレー5と(+)側メインリレー7に対して故障(溶着)診断する構成でもよい。
なお、前記した各実施形態では、第2の負荷としてDC/DCコンバータ9を有している構成であったが、これに限らず、例えば、エアコンプレッサ等でもよい。また、前記した各実施形態では、電動車両として電気自動車の例を示したが、走行駆動源としてモータとエンジンを備えているハイブリット車両においても、同様に本発明を適用することができる。