従来の1次側の検出回路では、送電電力を複数の送電電力レベルに切り換える技術に関する検討がなされていない。例えば、特許文献2では、仮送電の送電電力レベル(通常送電前の連続送電)と通常送電の電力レベルとの間に差が生じる場合における1次側の検出回路の対応については検討されておらず、また、マルチ電圧伝送(可変電圧出力型伝送)についても考慮されていない。
マルチ電圧伝送(可変電圧型伝送)とは、送電装置が、送電電力レベルを可変に制御することによって、例えば、一台の充電器で、電力定格の異なる複数の2次側機器のバッテリーを充電できるようにする無接点電力伝送技術である。送電装置が受電装置に送電する送電電力のレベルが変化すれば、1次コイルのコイル電圧の直流レベルも変化するため、従来の1次側の検出回路では、マルチ電圧伝送に対応することは困難である。
また、マルチ電圧伝送を実現する場合、送電装置は、電力定格が大きな2次側機器(受電装置を含む)にも送電が可能でなければならず、また、バッテリーの急速充電も要求されることから、送電装置は、高いレベルの送電電力を送電する能力を備える必要がある。
送電装置による送電電力のレベルが上昇すると、1次コイルのコイル電圧の直流レベルも上昇するため、1次側の検出回路の設計に際しては、高電圧に耐えることができる回路設計が要求される。また、高耐圧の回路を設計する場合には、電圧を分圧するための抵抗数が増えたり、あるいは、トランジスター等の素子のサイズが大型化したりして、回路の専有面積の増大が問題となる場合が多い。したがって、1次側の検出回路の回路設計に際しては、回路の簡素化、小型化が要求される。従来技術では、上述の観点からの検討はなされていない。
本発明の少なくとも一つの態様によれば、例えば、送電電力レベルを可変に制御できる無接点電力伝送システムに対応した検出回路を実現することができる。
(1)本発明の検出回路の一態様は、電磁結合した1次コイルと2次コイルを経由して、送電装置が受電装置に電力を伝送し、かつ、前記送電装置は、送電電力レベルを第1送電電力レベルまたは前記第1送電電力レベルよりも高いレベルの第2送電電力レベルに制御することができる無接点電力伝送システムの、前記1次コイルまたは前記2次コイルに誘起される電圧に基づいて、前記受電装置の着地、取り去り、および前記送電装置と前記受電装置との位置関係の少なくとも1つを検出する検出回路であって、前記1次コイルまたは前記2次コイルに誘起されるコイル電圧に基づく信号の振幅を検出する振幅検出部と、前記振幅検出部から出力される振幅検出信号と閾値とを比較する判定部と、を含み、前記閾値は、前記第1送電電力レベルに対応した第1閾値と、前記第2送電電力レベルに対応した第2閾値と、を含む。
本態様の検出回路は、送電電力レベルの可変制御が可能な無接点電力伝送システムに対応した検出回路である。検出回路は、コイルの誘起電圧に基づく信号の振幅を検出する振幅検出回路と、振幅検出信号と閾値とを比較して判定結果を出力する判定部と、を有する。検出回路が一つの事象(例えば、受電装置の取り去り)を検出する場合であっても、送電電力レベルが異なれば、コイルの誘起電圧の電圧レベルが変動するため、一つの閾値では正確な判定ができない。そこで、本態様では、第1送電電力レベルに対応した第1判定閾値と、第2送電電力レベルに対応した第2判定閾値とを用意し、実際の(現状の)送電電力レベルに応じて、判定閾値を使い分けるようにした。これによって、送電電力レベルに対応した適切な値の判定閾値を用いて、検出対象の事象の正確な検出が可能となる。
例えば、送電電力レベルが第1電力レベルのときは、第1判定閾値が有効であり、したがって、第1判定閾値を用いて得られる判定結果のみが有効となる(仮に、第2判定閾値を用いた判定が同時に実行される場合でも、その判定結果は無効である)。判定閾値の使い分けの具体的な態様としては、いずれか一方の判定閾値のみを用いて判定を実行する態様と、2つの判定閾値の各々を用いた判定を並行して実行して2つの判定結果を得た後、いずれか一方の判定結果のみを有効とする態様とがある。
(2)本発明の検出回路の一態様では、前記受電装置の着地が前記検出回路の検出対象である場合には、前記閾値として着地判定閾値が使用され、かつ、前記着地判定閾値として、前記第1送電電力レベルに対応した第1着地判定閾値と、前記第2送電電力レベルに対応した第2着地判定閾値とが用意され、前記受電装置の取り去りが前記検出回路の検出対象である場合には、前記閾値として取り去り判定閾値が使用され、かつ、前記取り去り判定閾値として、前記第1送電電力レベルに対応した第1取り去り判定閾値と、前記第2送電電力レベルに対応した第2取り去り判定閾値とが用意され、前記送電装置と受電装置の位置関係が前記検出回路の検出対象である場合には、前記閾値として位置関係判定閾値が使用され、かつ、前記位置関係判定閾値として、前記第1送電電力レベルに対応した第1位置関係判定閾値と、前記第2送電電力レベルに対応した第2位置関係判定閾値とが用意される。
本態様の検出回路の検出対象である事象としては、例えば、受電装置(受電装置を含む2次側機器)の着地、受電装置(受電装置を含む2次側機器)の取り去り、送電装置と受電装置との位置関係の適否(換言すれば、1次コイルと2次コイルの位置関係:具体的には、両コイルの位置関係の適否、送電装置と受電装置との近接/非近接等)があげられる。本態様では、受電装置の着地、受電装置の取り去り、受電装置と送電装置との位置関係の少なくとも一つの事象が検出されることになる。
着地検出のためには第1および第2の着地判定閾値が用意され、取り去り検出のためには第1および第2の取り去り判定閾値が用意され、位置関係検出のためには第1および第2の位置関係判定閾値が用意され、実際の送電電力レベルに応じて第1および第2の判定閾値のいずれかが選択される。なお、上述の例では、第1送電電力レベルに対応する第1閾値と第2送電電力レベルに対応する第2閾値とを使用しているが、これに限定されるものではない。送電電力レベル数が3以上の場合には、各送電電力レベルに対応する閾値を用意すればよい。
なお、受電装置の着地検出は、仮送電を受けた受電装置からの応答の有無によっても検出することができるが、この場合、受電装置の応答遅延があることから、着地が検出されるまでの時間の短縮には限界があるのは否めない。これに対して、本態様のように、受電装置(2次側機器)の着地をコイル電圧に基づく信号の振幅検出によって実行すると、着地検出に要する時間を大幅に短縮することができる。つまり、1次コイルの誘起電圧の変動は、受電装置が所定の位置にセットされて、送電装置による間欠送電が実行されるとすぐに生じる。つまり、受電装置からの応答を待つ必要がないことから、送電装置は、受電装置の着地をより早期に検出することができる。また、上述の待ち時間に生じていた無駄な電力伝送がなくなるため、送電装置の消費電力の低減が実現される。
(3)本発明の検出回路の他の態様では、前記判定部は、給電対象の負荷への給電のための連続送電である通常送電が実行される通常送電期間において、前記1次コイルの誘起電圧に基づいて前記受電装置の取り去りを検出する場合、送電電力レベルが前記第1送電電力レベルであるときは、前記第1取り去り判定閾値を用いて前記受電装置の取り去りを検出し、前記送電電力レベルが前記第2送電電力レベルであるときは、前記第2取り去り判定閾値を用いて前記受電装置の取り去りを検出する。
本態様の検出回路では、受電装置の取り去り検出を実行する場合に、通常送電期間における送電電力レベルに応じて、取り去り判定閾値(第1送電レベル用の第1取り去り判定閾値および第2送電レベル用の第2取り去り判定閾値)を使い分ける点を明確化した。通常送電の電力レベルは、例えば、仮送電期間(連続送電前の連続送電期間)における情報交換時(ネゴシエーションおよびセットアップ処理時)において受電装置から送られてきた情報(例えば、電力定格情報)に基づいて切り換えることができる。そして、この送電電力レベルの切り換えに合わせて、第1および第2の取り去り判定閾値のいずれを使用するかが決定される。
無接点電力伝送システムにおいて、受電装置(2次側機器)が取り去られた後も連続送電が継続することは、安全上あるいは省電力化の観点から好ましくない。送電電力のレベルの可変制御が可能となって送電電力のレベルが上昇した場合には、確実な取り去り検出の必要性がさらに高まる。よって、送電装置は、送電電力レベルに関係なく、検出回路によって受電装置の取り去りを確実に検出し、取り去りが検出されるとただちに連続送電を停止することが好ましい。取り去り検出を確実に行うことは、無駄な送電防止や安全性の確保の観点から重要である。
1次コイルと2次コイルとが結合している状態から2次コイルが無い状態に移行すると、相互誘導による磁束の打ち消しがなくなることから、漏れインダクタンスが変化し、共振回路の共振特性が変化し、1次コイルのコイル電圧が変化する。よって、そのコイル電圧の変化を、取り去り判定閾値を用いて検出することによって、受電装置の取り去り検出が可能である。
本態様では、送電電力レベルに対応した複数の取り去り判定閾値が予め用意されている。判定部は、送電電力レベルが選択されると、その送電電力レベルに対応した取り去り判定閾値を用いて受電装置の取り去りを判定する。例えば、一つの判定部が設けられていて、予め用意されている複数の取り去り判定閾値の中から、現状の送電電力レベル(検出時点における送電電力レベル、あるいは、判定時における送電電力レベルと言い換えることができる)に対応した取り去り判定閾値が選択されて取り去り判定を実行するという方法を採用することができる。あるいは、複数の取り去り判定部が同時に動作して判定結果を並列に出力し、その判定結果のうちの、実際の送電電力レベルに対応した取り去り判定閾値を用いて得られた判定結果のみを有効化する方法を採用してもよい。このような回路構成を採用することによって、検出回路における回路構成の簡素化、回路の専有面積の削減を図ることができる。
すなわち、本態様では、例えば、1次コイルのコイル電圧を許容範囲の電圧レベルにレベルシフトした後、レベルシフト後の信号を振幅検出部に入力する。この振幅検出部を構成する第1素子(トランジスター)は、例えば、後段の判定部を構成する第2素子(トランジスター)よりも耐圧の高い素子で構成することができる。この場合、耐圧の高い第2素子で構成された振幅検出部を共通化することによって、回路の専有面積および消費電力の効果的な削減が可能である。振幅検出部から出力される振幅検出信号は判定部に入力される。判定部においては、送電電力レベルに対応する取り去り判定閾値を用いて、受電装置の取り去り判定を実行する。この回路構成によれば、判定部を、複数の判定閾値を用いた判定処理が可能な構成に変更するだけで、送電電力レベルの可変制御に柔軟に対応できる。また、上述したとおり、例えば、一つの振幅検出部を、2つ以上の送電電力レベルに対応した取り去り検出のために、共通に使用することもでき、この場合には、回路の簡素化や小型化が可能である(但し、これに限定されるものではなく、例えば、切り換え可能な送電電力レベルの数が増大した場合等においては、複数の振幅検出部を設ける構成を採用することも可能であり、このような例を排除するものではない)。
これに対して、送電レベルが多段階に変更可能である場合に、一組の振幅検出部および判定部を、その送電レベルの数だけ設ける構成を採用したとすると、回路構成の複雑化を招く。特に、送電電力のレベルが上昇すると、1次コイルのコイル電圧の直流レベルも上昇するため、1次側の検出回路の設計に際しては、高電圧に耐えることができる回路設計が要求され、高耐圧の回路を設計する場合には、電圧を分圧するための抵抗数が増えたり、あるいは、トランジスター等の素子のサイズが大型化したりして、回路の専有面積の増大が問題となる。本態様の回路構成を採用すれば、送電電力レベルの切り換えに柔軟に対応し、かつ回路の簡素化、小型化を達成することができ、マルチ電圧伝送にも対応した、実用性のある1次側検出回路が実現される。
送電電力レベルに応じて取り去り判定閾値を使い分けする例としては、本態様のように、「通常送電(2次側の負荷に給電するための連続送電)の電力レベルが切り換えられる場合(つまり、マルチ電圧伝送方式の場合)に、その通常送電の電力レベルの切り換えに応じて、取り去り判定閾値を使い分ける」という第1例と、次の(3)で説明するように、「仮送電(通常送電前の一時的な連続送電であり、2次側の負荷への給電を目的とせず、例えば、受電装置側の制御部に必要な電力を供給することを主目的とした送電)の送電電力レベルと、通常送電の送電電力レベルとが異なる場合に、仮送電時であるか通常送電時であるかに応じて、取り去り判定閾値を使い分ける」という第2例と、第1例と第2例とを組み合わせた第3例(つまり、仮送電時と通常送電時とで取り去り判定閾値を使い分け、かつ、通常送電時における取り去り判定閾値は、複数の送電電力レベルの中から選択された一つの送電電力レベルに対応して選択されるという例)がある。
(4)本発明の検出回路の他の態様では、前記判定部は、給電対象の負荷への給電のための連続送電である通常送電が実行される通常送電期間、および前記通常送電が開始される以前の連続送電である仮送電が実行される仮送電期間、の双方において前記受電装置の取り去りを検出し、前記仮送電期間においては、前記第1取り去り判定閾値を用いて前記受電装置の取り去りを検出し、前記通常送電期間においては、前記第2取り去り判定閾値を用いて前記受電装置の取り去りを検出する。
本態様では、仮送電時および通常送電時の双方において取り去り検出が実行され、かつ、仮送電時であるか通常送電時であるかに対応して取り去り判定閾値(仮送電用の取り去り判定閾値と通常送電用の取り去り判定閾値)を使い分ける点(上記(1)の後半で説明した第2例)を明確化した。仮送電は、例えば、「通常送電前の一時的な連続送電であり、2次側の負荷への給電を目的とせず、例えば、受電装置側の制御部に必要な電力を供給することを主目的とした送電」である。
2次側機器(受電装置)の電力定格が大きい場合には大電力の送電がなされる場合もあり得る。よって、仮送電から通常送電に移行する前においても受電装置の取り去りを検出し、慎重を期すことは、安全性を向上させる観点からも重要である。つまり、仮送電期間中に、何らかの理由で、セットされていた2次側機器(受電装置)が取り去られた場合には、通常送電に移行することなく、例えば、間欠的に送電する初期待機状態に戻る等の処理を行うのが好ましい。したがって、本態様では、仮送電時および通常送電時の双方において、受電装置の取り去り検出が実行される。
そして、例えば、仮送電では、最低限の送電電力レベルが設定され、通常送電では、仮送電よりも高い送電電力レベルが設定されているような場合では、1次コイルのコイル電圧の直流レベルにかなりの差が生じる場合がある。そこで、本態様では、取り去り判定閾値として、仮送電時に使用される第1取り去り判定閾値と通常送電時に使用される第2取り去り判定閾値の2種類を用意し、それらの判定閾値を、送電のフェーズ(つまり、仮送電と通常送電と)に応じて使い分けする。
(5)本発明の検出回路の他の態様では、前記判定部は、前記通常送電が停止された後の待機期間においても、前記受電装置の取り去りを、前記第1取り去り判定閾値を用いて検出する、
本態様では、通常送電が終了した後に待機期間が設けられる場合に、その通常送電停止後の待機期間においても、受電装置の取り去り検出を実行し、かつ、そのときに使用する取り去り判定閾値として、仮送電時に使用される第1取り去り判定閾値を用いる点を明確化した。
例えば、2次側機器に設けられているバッテリーが満充電となって通常送電が停止された後においても、2次側機器が充電台(1次側機器)上に置かれている状態が長時間にわたって継続したときは、バッテリーの経時的な放電によって、再び通常送電による再充電が必要な状態となる場合がある。再充電の要否判定に基づく再充電の開始(通常送電の再開)を可能とするためには、通常送電の停止後においても、1次側から2次側に、例えば間欠的な送電を実行する(あるいは、通常送電よりも弱い連続送電を継続する)必要があり、このような通常送電後の送電が実行される期間が、「通常送電停止後の待機期間」である。
送電装置は、この通常送電停止後の待機期間においても、受電装置の取り去りを監視し、取り去りが検出された場合には、通常送電停止後の待機期間を終了して、送電装置の状態を初期状態(初期待機状態)に戻すのが好ましい。通常送電停止後の待機期間における送電電力レベルは、再充電の要否の判定や取り去り検出が可能となる最小限の電力レベルでよく、この電力レベルは仮送電の電力レベルと同一とすることができるため、取り去り判定時における判定閾値としては、仮送電時に使用される第1取り去り判定閾値を用いることができる。この場合、通常送電停止後の待機期間用の判定閾値を別途、用意する必要がないことから、判定部の構成が簡素化される(但し、通常送電停止後の待機期間における送電電力レベルが、仮送電の送電電力レベルとは異なる場合には、通常送電停止後の待機期間に対応した、別の取り去り判定閾値を使用することもできる)。
(6)本発明の検出回路の他の態様では、前記受電装置の着地を検出する着地検出期間においては、前記振幅検出部および前記判定部の少なくとも一方が間欠的にイネーブル状態とされ、前記受電装置の着地が検出されると、前記振幅検出部および前記判定部の少なくとも一方がイネーブル状態に維持される。
着地検出は、例えば、送電装置が初期待機状態であるときに間欠的に(例えば0.3秒に1回程度)実行される。したがって、初期待機状態が継続している期間(すなわち着地検出期間)においては、振幅検出部(の少なくとも一部)および判定部(の少なくとも一部)の、少なくとも一方は、常時オンしている必要がなく、着地検出が間欠的に行われるタイミングでオンすればよい。そして、このようにすれば、振幅検出部および判定部の少なくとも一方の消費電力の削減も可能である。一方、着地が検出された後は、受電装置の取り去りが常時、生じる可能性があることから、振幅検出部および判定部は常時、動作させて取り去りを監視させるのが好ましい。
このような点に着目して、本態様では、着地検出期間においては、振幅検出部および判定部を間欠的にイネーブル状態とし、受電装置の着地が検出されると、振幅検出部および判定部をイネーブル状態に維持する。
(7)本発明の検出回路の他の態様では、前記判定部は、一つの前記振幅検出部から出力される前記振幅検出信号に基づいて、前記受電装置の取り去りの検出を実行する。
本態様では、一つの振幅検出部が、複数の送電電力レベルに対応して共通に使用される点を明記した。振幅検出部の共用化によって、送電レベルの数だけ振幅検出部を並列に設ける必要がなくなり、検出回路の回路構成が簡素化され、消費電力も低減される。
(8)本発明の検出回路の他の態様では、前記判定部は、一つの前記振幅検出部から出力される前記振幅検出信号に基づいて前記受電装置の着地を検出し、着地が検出された後、前記一つの前記振幅検出部から出力される前記振幅検出信号に基づいて、前記受電装置の取り去りの検出を実行する。
本態様では、共通の振幅検出部を用いて着地検出および取り去り検出の双方を実行し、判定部は、まず、着地判定閾値を用いた着地判定を実行し、着地が検出された場合には、共通の振幅検出部から出力される振幅検出信号に基づいて、取り去り判定閾値を用いた取り去り判定を実行する点を明確化した。
(9)本発明の検出回路の他の態様では、前記振幅検出部は、前記コイル電圧に基づく信号のピーク値を保持するピークホールド回路を有し、前記判定部は、前記複数の取り去り判定閾値の少なくとも一つと、前記ピークホールド回路から出力される前記ピーク値とを比較する、少なくとも一つのアナログ比較器と、を有する。
本態様では、振幅検出部がピークホールド回路を有し、かつ、判定部がアナログ比較器を有する点を明確化した(アナログ検出方式)。一つのアナログ比較器に、選択的に判定閾値を供給する回路構成を採用してもよく、また、異なる判定閾値がセットされた複数のアナログ比較器を並行的に動作させ、各アナログ比較器から比較結果を並列に出力させ、その複数の比較結果の中から、必要な判定閾値を使用した比較結果のみを有効化する回路構成を採用することもできる。
また、受電装置の取り去り検出(および着地検出)は、取り去り(着地)の有無を判定すればよく、2値判定である。また、送電装置(1次コイル)と受電装置(2次コイル)の位置関係の適/不適、近接/非近接を検出する場合には2値判定である。よって、本態様では、振幅検出部として、構成が簡単なピークホールド回路を用い、ホールドされたピーク値と判定閾値とを比較して、判定結果(2値)を得る方式を採用している。
(10)本発明の検出回路の他の態様では、前記振幅検出部は、前記コイル電圧に基づく信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路を有し、前記判定部は、A/D変換回路から出力されるデジタルデータと、デジタルデータ化された前記複数の取り去り判定閾値の少なくとも一つとを比較する、少なくとも一つのデジタル比較器と、を有する。
本態様では、振幅検出部がA/D変換器を有し、かつ、判定部がデジタル比較器を有する点を明確化した(デジタル検出方式)。すなわち、本態様では、1次コイルのコイル電圧に基づく信号をデジタル信号に変換し、デジタル比較器が、変換されたデジタルデータとデジタル閾値とを比較して判定結果を出力する。デジタル検出技術を用いることによって、広範囲の入力信号に対して柔軟に対応でき、また、高精度の判定が可能である。
(11)本発明の送電制御装置の一態様は、送電装置の動作を制御する送電制御装置であって、上記いずれかの検出回路を含む。
これによって、送電電力レベルの切り換えに柔軟に対応可能な検出回路を有する送電制御装置が得られる。送電制御装置は、例えば、送電側制御回路(送電側の制御部)を有している。判定閾値の適応的な切り換えが必要な場合には、送電側制御回路(送電側の制御部)が、その切り換え処理を実行することができる。また、送電制御装置は、例えば、一つのICとして構成することができる。
(12)本発明の送電制御装置の他の態様は、通常送電が開始される以前の連続送電である仮送電が実行される仮送電期間において受電装置から送られてくる情報に基づいて、前記通常送電の電力レベルの切り換えを実行する。
本態様では、送電制御装置が、仮送電期間において受電装置から送られてくる情報(例えば定格電力情報)に基づいて、通常送電の電力レベルを切り換える点(1次側と2次側の情報交換に基づくマルチ電圧伝送方式)を明確化した。
(13)本発明の送電装置の一態様は、上記いずれかの送電制御装置と、1次コイルを駆動する送電部と、前記1次コイルと前記送電制御装置との間に設けられる波形モニター回路と、を含む。
本態様の送電装置は、上記の検出回路を含む送電制御装置と、送電部と、波形モニター回路と、を含む。波形モニター回路は、例えば、1次コイルのコイル電圧を分圧抵抗によって分圧することができ、また、例えば、1次コイルのコイル電圧の振幅を制限することができる。
(14)本発明の無接点電力伝送システムの一態様は、上記の送電装置と、1次コイルと、2次コイルと、受電装置と、を含む。
送電装置は、1次コイルと、送電制御装置と、波形モニター回路等を含む。受電装置は、例えば、2次コイルと、給電対象の負荷に給電する回路およびその給電を制御する回路と、を含む。本態様によれば、送電電力レベルを複数段階に切り換えることができ、かつ、どの送電電力レベルが選択された場合においても、受電装置の取り去りや着地、送電装置と受電装置の位置関係等を確実に検出でき、実用性の高い無接点電力伝送システムが実現される。
(15)本発明の電子機器の一態様は、上記の送電装置を含む。
本発明の送電装置は、内蔵する検出回路が小型かつ低消費電力であることから、同様の効果を享受し、その送電装置を含む電子機器もまた、同様の効果を享受する。
次に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成のすべてが、本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
(第1の実施形態)
(検出回路の構成例)
図1は、本発明の検出回路の一例(送電電力レベルに対応して判定閾値を切り換える例)を示す図である。
検出回路1は、無接点電力伝送システムの送電装置に設けることができ、用途によっては、受電装置に設けることもできる。送電装置は、送電電力レベルを可変に制御して、例えば、送電電力レベルを第1送電電力レベルまたは前記第1送電電力レベルよりも高いレベルの第2送電電力レベルに切り換えることができる。
検出回路1は、コイル(1次コイルまたは2次コイル)に誘起されるコイル電圧に基づいて、受電装置の着地、取り去り、送電装置と受電装置との位置関係(1次コイルと2次コイルとの位置関係,例えば、近接/非近接、位置の適否等)の少なくとも一つを検出するために使用される。より一般的にいえば、検出回路1は、「検出対象である所定の事象(着地、取り去り、近接/非近接、位置の適/不適等:但し、これらは例示であり、これらに限定されるものではない)を検出する」ということができる。
検出回路1は、コイル(1次コイルまたは2次コイル)に誘起されるコイル電圧に基づく信号の振幅(電圧振幅)を検出する振幅検出部5(ピーク検出回路7を含む)と、判定部6と、を含む。判定部6は、振幅検出部5から出力される振幅検出信号と、検出対象の事象毎(かつ、送電電力レベル毎)に用意されている閾値(判定閾値)とを比較して、検出信号(検出結果:例えば2値信号)DEToutを出力する。
判定に用いられる閾値(判定閾値)は、上述のとおり、検出対象の事象毎かつ、送電電力レベル毎に用意されている。ここでは、受電装置(2次側機器)の着地を判定するための着地判定閾値を「A」と表記し、受電装置(2次側機器)の取り去りを判定するための取り去り判定閾値を「B」と表記し、送電装置と受電装置(1次コイルと2次コイル)の位置関係を判定するための位置関係判定閾値を「C」と表記する。また、第1送電電力レベルに対応する閾値には「1」を付加して表記し、第1送電電力レベルよりも高い第2送電電力レベルに対応する閾値には「2」を付加して表記する。
したがって、例えば、「受電装置の着地」が検出回路1の検出対象である場合には、閾値として着地判定閾値Aが使用され、かつ、着地判定閾値Aとして、第1送電電力レベルに対応した第1着地判定閾値A1と、第2送電電力レベルに対応した第2着地判定閾値A2とが用意されており、実際の(現状の)送電電力レベルに応じて、第1着地判定閾値A1および第2着地判定閾値A2のいずれか一方のみが有効となる。例えば、送電電力レベルが第1電力レベルのときは、第1判定閾値が有効であり、したがって、第1着地判定閾値A1を用いて得られる判定結果のみが有効となる(仮に、第2着地判定閾値A2を用いた判定が同時に実行される場合でも、その判定結果は無効である)。なお、判定閾値の使い分けの具体的な態様としては、いずれか一方の判定閾値のみを用いて判定を実行する態様と、2つの判定閾値の各々を用いた判定を並行して実行して2つの判定結果を得た後、いずれか一方の判定結果のみを有効とする態様とがある。
同様に、「受電装置の取り去り」が検出回路1の検出対象である場合には、閾値として取り去り判定閾値Bが使用され、かつ、取り去り判定閾値Bとして、第1送電電力レベルに対応した第1取り去り判定閾値B1と、第2送電電力レベルに対応した第2取り去り判定閾値B2とが用意され、送電電力レベルに応じて、第1取り去り判定閾値および第2取り去り判定閾値のいずれか一方のみが有効とされる。
同様に、「送電装置(1次コイル)と受電装置(2次コイル)の位置関係」が検出回路1の検出対象である場合には、閾値として位置関係判定閾値Cが使用され、かつ、位置関係判定閾値Cとして、第1送電電力レベルに対応した第1位置関係判定閾値C1と、第2送電電力レベルに対応した第2位置関係判定閾値C2とが用意され、送電電力レベルに応じて、第1位置関係判定閾値および前記第2位置関係判定閾値のいずれか一方のみが有効とされる。
また、図1の例では、第1位置関係判定閾値C1には、第1近接/非近接判定閾値C1aと、第1位置ずれ判定閾値C1bとが含まれており、これらは用途に応じて使い分けされる。同様に、第2位置関係判定閾値C2には、第2近接/非近接判定閾値C2aと、第2位置ずれ判定閾値C2bとが含まれており、これらは用途に応じて使い分けされる。
また、図1の例では、第1送電電力レベルに対応する第1閾値と第2送電電力レベルに対応する第2閾値とを使用しているが、これに限定されるものではない。送電電力レベル数が3以上の場合には、各送電電力レベルに対応する閾値を用意すればよい。
(着地検出および取り去り検出の原理)
受電装置が所定の位置にセットされ(つまり、受電装置が着地し)、送電装置による間欠送電が実行されると、1次コイルと受電装置に設けられるコイル(2次コイル)とが電磁結合して、共振回路(例えば、1次コイルに接続される共振コンデンサーと、1次コイルおよび2次コイルの漏れインダクタンスと、2次コイルのインピーダンス等により構成される)の共振特性が変化して、1次コイルに誘起される電圧が変化する(例えば、減少する)。よって、1次コイルに誘起される電圧の電圧振幅の変化に基づいて、受電装置の取り去りを検出することができる。また、受電装置が取り去られると、1次コイル側単独の共振回路となり、共振回路の共振特性が変化し、1次コイルのコイル端電圧が、着地の場合とは逆に変化する(例えば、上昇する)。よって、受電装置(2次側機器)の取り去りを検出することができる。
なお、受電装置の着地検出は、仮送電を受けた受電装置からの応答の有無によっても検出することができるが、この場合、受電装置の応答遅延があることから、着地が検出されるまでの時間の短縮には限界があるのは否めない。これに対して、本態様のように、受電装置(2次側機器)の着地をコイル電圧に基づく信号の振幅検出によって実行すると、着地検出に要する時間を大幅に短縮することができる。つまり、1次コイルの誘起電圧の変動は、受電装置が所定の位置にセットされて、送電装置による間欠送電が実行されるとすぐに生じる。つまり、受電装置からの応答を待つ必要がないことから、送電装置は、受電装置の着地をより早期に検出することができる。また、上述の待ち時間に生じていた無駄な電力伝送がなくなるため、送電装置の消費電力の低減が実現される。
(位置関係検出の原理と用途)
例えば、送電装置(1次コイル)に対して受電装置(2次コイル)が近接した位置にある場合と、非近接位置にある場合とでは、1次コイルと2次コイルとの結合度が異なり、漏れインダクタンスが異なることから共振回路の共振特性が変化し、送電装置に設けられる検出回路1のピーク検出回路7から出力されるピーク電圧のレベルが変動する。よって、例えば、送電装置に設けられる検出回路1の出力信号によって、送電装置と受電装置との近接/非近接の検出が可能である。このような近接/非近接の検出は、例えば、自動位置調整機構をもつ無接点電力伝送システムにおいて使用することができる。例えば、送電装置が可動ステージ上に位置しており、受電装置が近接すると、可動ステージが自動的に移動して、送電装置の1次コイルが、受電装置の2次コイルに対応する最適な位置になるように自動的に調整する場合に、可動ステージを動作させる契機となるトリガー信号として、検出回路1により得られる近接検出信号を用いることができる(この例は一例であり、この例に限定されるものではない)。
また、送電装置(1次コイル)に対する受電装置(2次コイル)の位置のずれ量が、許容範囲内であれば、受電装置に設けられた検出回路1のピーク検出回路7から出力されるピーク電圧のレベルが所定レベル以上となり、位置のずれ量が許容範囲を超えている場合には、ピーク電圧のレベルが所定レベル未満となる。よって、受電装置に設けられる検出回路1によって、許容範囲外の位置ずれが生じているか否かを検出することができる。なお、許容範囲外の位置ずれが検出された場合、例えば、受電装置は送電装置に対して何らの通信を行わない。これによって、送電装置側にてタイムアウトが生じ、送電装置は例えば、初期待機状態に戻ることになる。
(本発明の検出回路の、主要な使用態様の例)
図2(A)〜図2(D)は、本発明の検出回路の、主要な使用態様の例を示す図である。図2(A)〜図2(C)は、1次コイルのコイル電圧CGに基づく信号CGLの振幅を検出する例を示し、図2(D)は、2次コイルのコイル電圧QGに基づく信号QGLの振幅を検出する例を示す。
図2(A)では、検出回路1に含まれる判定部6は、1次コイルのコイル電圧CGに基づく信号CGLの振幅を検出することによって、受電装置の着地、取り去り、送電装置と受電装置との近接/非近接(位置関係の一例)の少なくとも一つを検出する。図1を用いて説明したように、判定部6が使用する閾値としては、第1および第2着地判定閾値A1,A2と、第1および第2の取り去り判定閾値B1,B2と、第1および第2の近接/非近接判定閾値C1a,C2aのうちの、少なくとも一組が用意される。
図2(B),図2(C)は、取り去り検出の具体例を示している。図2(B)および図2(C)の例では、第1および第2の取り去り判定閾値B1,B2が使用される。但し、図2(A)は、通常送電の送電電力レベルが第1および第2送電電力レベルのいずれにもなり得ることから、実際の通常送電電力レベルに応じて、第1および第2の取り去り判定閾値B1,B2を使い分け(選択的に使用)する(マルチ電圧送電に対応)。一方、図2(C)では、仮送電(通常送電前に実行されるの連続送電)と通常送電の電力レベルが異なることがあり得ることから(仮送電の送電電力レベル=第1送電電力レベル>通常送電の送電電力レベル=第2送電電力レベル)、仮送電時には、第1取り去り判定閾値B1を使用し、通常送電時には、第2取り去り判定閾値B2を使用する。
図2(D)の例では、2次コイルに誘起されるコイル電圧QGに基づく信号QGLの電圧振幅に基づいて、送電装置(1次コイル)と受電装置(2次コイル)との位置関係の適否(位置ずれが許容範囲内か否か)を検出する。この例では、第1位置ずれ判定閾値C1bと第2位置ずれ判定閾値C2bとが使用される。例えば、受電装置が着地すると、その受電装置は送電装置からの間欠送電を受けて動作し、受電装置に設けられる検出回路1が、位置の適否を判定する。例えば、許容範囲外の位置ずれが検出された場合には、受電装置は送電装置に対して何らの通信を行わない。これによって、送電装置側にてタイムアウトが生じ、送電装置は例えば、初期待機状態に戻る。
このように、判定部用の閾値を、検出対象の事象毎かつ送電電力レベル毎に使い分けすることによって、送電電力レベルに関係なく、検出対象の各事象を(最適な閾値を用いて)、確実に検出することができる。
以降の実施形態では、検出対象の事象として「受電装置の取り去り(あるいは着地)」を例にとって説明する。
(第2の実施形態)
図3(A)〜図3(C)は、本発明の検出回路(ここでは受電装置の取り去りを検出するものとする)の、送電電力レベルの可変制御に対応した構成例を説明するための図である。本実施形態の検出回路1は、無接点電力伝送システムの構成要素である送電装置10に設けられ、1次コイルL1のコイル電圧CGに基づいて取り去りを検出する機能を有し、さらに、送電電力の切り換え(可変制御)に対応している。
2次側機器(例えば、2次コイルL2および受電装置40を有する)の取り去り検出は、例えば、仮送電期間、通常送電期間、通常送電停止後(満充電検出後)の待機期間等において実行される。無接点電力伝送システムにおいて、受電装置(2次側機器)が取り去られた後も連続送電が継続することは、安全上あるいは省電力化の観点から好ましくない。特に、マルチ電圧伝送によって、送電電力のレベルが可変となり、送電電力のレベルが上昇した場合には、確実な取り去り検出の必要性がさらに高まる。よって、マルチ電圧伝送に対応した送電装置には、送電電力レベルに関係なく、検出回路1によって受電装置の取り去りを確実に検出し、取り去りが検出されるとただちに連続送電を停止するのが好ましい。
図3(A)〜図3(C)に示される送電装置10は、送電電力を複数のレベルに切り換えることができる。また、複数の送電電力レベルの各々に対応して、異なる値の複数の取り去り判定閾値が予め用意されている。送電装置10は、送電装置10の動作を統括的に制御する送電制御装置20(例えばIC)を有し、本発明の検出回路1は、例えば、送電制御装置20内に設けられる。検出回路1は、1次コイルL1のコイル電圧CGに基づく信号(ここでは、波形モニター回路28によって分圧された電圧信号CGLとする)の振幅を検出する振幅検出部5と、振幅検出部5から出力される振幅検出信号が入力される判定部6と、を含み、判定部6は、送電電力レベルに対応した第1および第2の取り去り判定閾値B1,B2を用いて、受電装置40の取り去りを検出する。
1次コイルL1と2次コイルL2とが結合している状態から2次コイルL2が無い状態に移行すると、相互誘導による磁束の打ち消しがなくなることから、漏れインダクタンスが変化し、共振回路の共振特性が変化し、1次コイルL1のコイル電圧(コイル端電圧)CGが変化する。よって、そのコイル電圧CGと取り去り判定閾値とを比較することによって、受電装置の取り去りを検出することができる。
送電電力レベルに応じて取り去り判定閾値を使い分けする例としては、第1例〜第3例があげられる。以下、順に説明する。
(第1例:図3(A))
図3(A)は、送電電力レベルに応じて取り去り判定閾値を使い分けする第1の例を示している。すなわち、図3(A)では、通常送電(2次側の負荷に給電するための連続送電)の電力レベルが切り換えられる場合(つまり、マルチ電圧伝送方式の場合)に、その通常送電の電力レベルの切り換えに応じて、取り去り判定閾値が使い分けされる。図3(A)の場合、仮送電(例えば、通常送電前の一時的な連続送電であり、2次側の負荷への給電を目的とせず、例えば、受電装置側の制御部に必要な電力を供給することを主目的とした送電)が行われる期間(仮送電期間)において、ネゴシエーションおよびセットアップと呼ばれる情報交換フェーズが実行され(この点については、図15および図16を用いて後述する)、例えば、受電装置40から、負荷変調によって2次側機器の電力定格情報等が送電装置10に送信される。送電制御装置20は、送電側制御回路(送電側の制御部:不図示)を有しており、送電側制御回路(送電側の制御部)は、受信した電力定格情報等に基づいて、送電電力レベルを、例えば、第1送電電力レベルおよび第2送電電力レベルのいずれかに切り換える。
波形モニター回路28は、分圧抵抗(不図示)によって、1次コイルL1のコイル電圧CGを分圧し(さらに、振幅制限を行ってもよい)、コイル電圧CGを許容範囲の電圧レベルの電圧信号CGLにレベルシフトする。波形モニター回路28から出力される電圧信号CGLは、振幅検出部5に入力され、その結果、振幅検出部5から振幅検出信号が出力される。振幅検出信号は判定部6に入力される。判定部6は、送電電力レベルに対応する取り去り判定閾値(X1,X2のいずれか)を用いて、受電装置40の取り去り判定を実行する。
振幅検出部5を構成する第1素子(トランジスター等)は、例えば、判定部6を構成する第2素子(トランジスター等)よりも耐圧の高い素子(例えば、サイズの大きな素子、ゲート絶縁膜の厚みが厚いMOSトランジスター等)で構成することができる(但し、この例に限定されるものではない)。この場合、耐圧の高い第2素子で構成された振幅検出部5を、複数の送電電力レベルに対して共通使用することによって、検出回路の専有面積および消費電力の効果的な削減が可能である。振幅検出部5から出力される振幅検出信号は判定部6に入力され、判定部6は、送電電力レベルに対応する取り去り判定閾値を用いて(つまり、送電フェーズに応じて異なる送電電力レベルに対応する判定閾値を使い分けして)、受電装置の取り去り判定を実行する。このような回路構成によれば、判定部6を、複数の判定閾値を用いた判定処理が可能な構成に変更するだけでマルチ電圧伝送に柔軟に対応できる。また、上述したとおり、例えば、一つの振幅検出部5を、2つ以上の送電電力レベルに対応した取り去り検出のために、共通に使用することもでき、この場合には、回路の効果的な簡素化や小型化が可能である(但し、これに限定されるものではなく、例えば、切り換え可能な送電電力レベルの数が増大した場合等においては、複数の振幅検出部を設ける構成を採用することも可能であり、このような例を排除するものではない)。
具体的には、図3(A)の判定部6は、送電電力レベルが第1レベルであるときは、通常送電用の第1の取り去り判定閾値1を用いて受電装置40の取り去りの有無を判定し、送電電力レベルが第2レベルであるときは、通常送電用の第2の取り去り判定閾値2を用いて受電装置40の取り去りを検出する。例えば、一つの判定部6が設けられていて、予め用意されている第1および第2の取り去り判定閾値B1,B2の中から、実際の送電電力レベルに対応した取り去り判定閾値が選択されて取り去り判定を実行するという方法を採用することができる。この場合の判定閾値の切り換えは、例えば、送電側制御回路(送電側の制御部)が行うことができる。また、複数の取り去り判定部6が同時に動作して判定結果を並列に出力し、その判定結果のうちの、実際の送電電力レベルに対応した取り去り判定閾値を用いて得られた判定結果のみを有効化する(つまり、その判定結果のみを採用する)方法を採用してもよい。
(第2例:図3(B))
図3(B)の判定部6は、仮送電時の送電電力レベルと、通常送電の送電電力レベルとが異なる場合に、仮送電時であるか通常送電時であるかに応じて、取り去り判定閾値を使い分けして、取り去りを判定する。例えば、通常送電時の送電レベルが第2送電レベルに固定されており、一方、仮送電時の電力レベルは、安全上の理由や消費電力の低減のために、最小限の電力レベルである第1送電レベル(例えば、受電装置に含まれる受電制御装置に所定電力を供給できる最小の電力レベル)に設定されているような場合が、第2例に相当する。
2次側機器の電力定格が大きい場合には大電力の送電がなされる場合もあり得る。よって、仮送電から通常送電に移行する前においても受電装置の取り去りを検出し、慎重を期すことは、安全性を向上させる観点からも重要である。つまり、仮送電期間中に、何らかの理由で、セットされていた2次側機器が取り去られた場合には、通常送電に移行することなく、例えば、間欠的に送電する初期待機状態に戻る等の処理を行うのが好ましい。したがって、図3(A)に示される第2例では、仮送電時および通常送電時の双方において、受電装置の取り去り検出が実行される。
そして、上述のとおり、仮送電では最低限の第1送電電力レベルが設定され、通常送電では、仮送電よりも高い第2送電電力レベルが設定されるような場合には、1次コイルL1のコイル電圧CGの直流レベルにかなりの差が生じる場合がある。そこで、取り去り判定閾値として、仮送電用の第1取り去り判定閾値B1と通常送電用の取り去り判定閾値BB2の2種類を用意しておき、判定部6は、それらの判定閾値を、送電のフェーズ(仮送電であるか通常送電であるか)に応じて使い分けする。
また、通常送電が終了した後に待機期間(具体的には、再充電の可否判定を可能にするために間欠送電が実行される期間)が設けられる場合に、その通常送電停止後の待機期間(間欠送電期間)においても、受電装置の取り去り検出を実行し、かつ、そのときに使用する取り去り判定閾値として、仮送電用の第1取り去り判定閾値B1を用いることができる。
例えば、2次側機器に設けられているバッテリーが満充電となって通常送電が停止された後においても、2次側機器が充電台(1次側機器)上に置かれている状態が長時間にわたって継続したときは、バッテリーの経時的な放電によって、再び通常送電による再充電が必要な状態となる場合がある。再充電の要否判定に基づく再充電の開始(通常送電の再開)を可能とするためには、通常送電の停止後においても、1次側から2次側に、例えば間欠的な送電を実行する(あるいは、通常送電よりも弱い連続送電を継続する)必要があり、このような通常送電後の送電が実行される期間が、「通常送電停止後の待機期間(間欠送電期間)」である。
送電装置は、この通常送電停止後の待機期間(間欠送電期間)においても、受電装置の取り去りを監視し、取り去りが検出された場合には、通常送電停止後の待機期間を終了して、送電装置の状態を初期状態(初期待機状態)に戻すのが好ましい。通常送電停止後の待機期間(間欠送電期間)における送電電力レベル(つまり間欠送電用の電力レベル)は、例えば、2次側の充電管理装置による再充電の要否の判定や取り去り検出が可能となる最小限の電力レベルでよく、この電力レベルは仮送電の電力レベルと同一とすることができるため、取り去り判定時における判定閾値としては、仮送電用の第1取り去り判定閾値B1を用いることができる。
(第3例:図3(C))
図3(C)に示される第3例は、第1例と第2例とを組み合わせた例である。つまり、仮送電時と通常送電時とで取り去り判定閾値を使い分け、かつ、通常送電時における取り去り判定閾値は、複数の送電電力レベルの中から選択された一つの送電電力レベルに対応して選択されるという例である。例えば、仮送電の送電電力レベルは最小限の送電電力レベルに設定されており、通常送電の送電電力レベルは、受電装置40から送られてきた情報(電力定格情報等)に基づいて、仮送電の電力レベルよりも大きな複数の電力レベルの中から、一つの送電電力レベルが選択される場合が該当する。
この例では、仮送電であるか通常送電であるかに応じて、第1および第2の取り去り判定閾値B1、B2のいずれを用いるかが決定される。また、通常送電用の第2取り去り判定閾値B2の値は、例えば、受電装置40から送られてくる電力定格情報等に基づいて決定される。
図3(A)〜図3(C)の例の回路構成によれば、判定部6を、複数の判定閾値を用いた判定処理が可能な構成に変更するだけで、送電電力レベルの可変制御に柔軟に対応できる。また、例えば、一つの振幅検出部5を、2つ以上の送電電力レベルに対応した取り去り検出のために、共通に使用することもでき、これによって、さらなる回路の簡素化や小型化が可能である(但し、これに限定されるものではなく、例えば、切り換え可能な送電電力レベルの数が増大した場合等においては、複数の振幅検出部を設ける構成を採用することも可能である)。
これに対して、送電電力レベルが多段階に変更可能である場合に、一組の振幅検出部および判定部を、その送電レベルの数だけ設ける構成を採用した場合を想定すると、回路規模が増大し、消費電力も増大する。特に、送電電力のレベルが上昇すると、1次コイルL1のコイル電圧CGの直流レベルも上昇するため、1次側の検出回路の設計に際しては、高電圧に耐えることができる回路設計が要求され、高耐圧の回路を設計する場合には、電圧を分圧するための抵抗数が増えたり、あるいは、トランジスター等の素子のサイズが大型化したりして、回路の専有面積の増大が問題となる。図3(A)〜図3(C)に示される回路構成を採用すれば、送電電力レベルの切り換えに柔軟に対応し、かつ回路の簡素化、小型化を達成することができ、送電電力の可変制御(マルチ電圧伝送を含む)にも対応した、実用性のある無接点電力電送システム用の検出回路1が実現される。
(第3の実施形態)
図4(A),図4(B)は、振幅検出部(および波形モニター回路)の構成例を示す図である。図4(A)に示される検出回路1では、一つの振幅検出部5が、通常送電時と、仮送電時(および通常送電停止後の間欠送電時)の双方における、受電装置の取り去り検出のために共通に使用される。振幅検出部5の共通使用によって、回路構成が簡素化され、回路の専有面積が削減され、消費電力も低減される。
また、図4(A)に示される検出回路1では、振幅検出部5がピークホールド回路7を有する。取り去り検出(および着地検出)は、取り去り(着地)の有無を判定すればよく、2値判定である。よって、図4(A)では、振幅検出部5として、構成が簡単なピークホールド回路7を用いている。ピークホールド回路7によってホールドされたピーク値は、判定部6において、第1および第2の取り去り判定閾値B1およびB2のいずれかと比較され、比較結果(判定結果:2値)が出力される。出力された比較結果(検出信号)は、例えば、送電側制御回路(送電側の制御部)22に供給される。
図4(A)の判定部6には、アナログ比較器(不図示)を有する2つの判定部6a,6bが設けられている。判定部6aは、仮送電時および通常送電停止後の間欠送電時における取り去り判定のために用いられ、判定部6bは、通常送電時における取り去り判定のために用いられる。判定部6a,6bは並行的に動作し、判定結果が並列に出力される。その2つの判定結果の中から、必要な判定閾値を使用した判定結果のみが有効化される(つまり、その判定結果のみが有効なものとして採用される(但し、この回路構成は一例であり、一つの判定部に対して、送電フェーズに応じて、選択的に判定閾値を供給する回路構成を採用することもできる)。
図4(B)に示される例では、2つの波形モニター回路28a,28bが設けられている。これに対応して、振幅検出部5において、2つのピーク検出回路7a,7bが設けられており、また、判定部6において、2つの判定部(判定回路)6a,6bが設けられている。送電電力レベルの数が多い場合や、送電電力レベルの切り換えレンジが広い場合等においては、一つの波形モニター回路では対応できない場合があり(つまり、一つの波形モニター回路では、出力電圧のレベルを許容範囲内に収めることができない場合があり)、この場合には、図4(B)の回路構成が有効となる。
(第4の実施形態)
図5は、検出回路の他の例(一つの振幅検出部を共用し、かつ、複数の取り去り判定閾値を用いた取り去り判定と着地判定とを実行する例)の構成を示す図である。図5の検出回路1は、受電装置の取り去り判定だけでなく、受電装置の着地判定(セッティング判定)も実行する。すなわち、本実施形態では、一つの振幅検出部5(ピーク検出回路7を有する)が、受電装置の取り去り判定(例えば、仮送電時および通常送電時の双方)ならびに着地判定(初期待機時)の双方のために使用される。上述のとおり、着地判定のために、第1および第2の着地判定閾値が用意されている。本実施形態では、異なる種類の検出のために一つの振幅検出部5を共用することから、回路の共用化がさらに促進され、検出回路1の回路構成のさらなる簡素化、占有面積の削減、低消費電力化が実現される。
なお、上述のとおり、1次コイルと2次コイルとが結合している状態から2次コイルが無い状態に移行すると、相互誘導による磁束の打ち消しがなくなることから共振回路の共振特性が変化し、1次コイルのコイル電圧が変化する(取り去り検出)。逆に、1次コイル単独の状態から、1次コイルが2次コイルと電磁結合した状態に移行すると、コイル電圧は、上記の場合とは逆に変化する(着地検出)。よって、1次コイルのコイル電圧を用いて、取り去り検出と着地検出の双方が可能である。着地検出は、送電装置が初期待機状態であるときに、間欠的(例えば、0.3秒に1回)に行われる。着地検出期間においては、送電装置10は1次コイルL1を駆動して電力送電を実行する。上述のとおり、着地検出は間欠的に行われることから、この電力送電も間欠的に実行される。
上述のとおり、受電装置40の着地検出は、仮送電を受けた受電装置40からの応答の有無によっても検出することができるが、この場合、受電装置40の応答遅延があることから、着地が検出されるまでの時間の短縮には限界があるのは否めない。これに対して図5の例のように、受電装置40(2次側機器)の着地をコイル電圧CGに基づく信号CGLの振幅検出によって実行すると、着地検出に要する時間を大幅に短縮することができる。つまり、1次コイルL1の誘起電圧の変動は、受電装置40が所定の位置にセットされて、送電装置10による間欠送電が実行されるとすぐに生じる。つまり、受電装置40からの応答を待つ必要がないことから、送電装置10は、受電装置40の着地をより早期に検出することができる。また、上述の待ち時間に生じていた無駄な電力伝送がなくなるため、送電装置の消費電力の低減が実現される。
(第5の実施形態)
図6は、送電装置およびアナログ検出方式を採用した検出回路の構成の一例を示す図である。図6の送電装置10に含まれる検出回路1は、受電装置の着地検出と、2次側機器の仮送電時および通常送電停止後(満充電後)の取り去り検出と、通常送電時における取り去り検出と、を実行する。また、本実施形態では、説明の便宜上、着地検出用の着地判定閾値として、図1に示される第1着地判定閾値A1のみが使用されるものとする。また、図6の検出回路の検出方式としては、ピークホールド回路7とアナログ比較器を用いるアナログ検出方式が採用されている。
図6の送電装置10は、発振回路16と、駆動クロック生成回路23(可変電圧源25および分周回路27を有する)と、1次コイルL1を駆動する送電部12(Pチャンネルトランジスタで構成される第1ドライバーDRV1と、Nチャンネルトランジスタで構成される第2ドライバーDRV2とを有する)と、を含む。また、送電装置10の全体の動作は、送電側制御回路(送電側の制御部)22によって統括的に制御される。
送電部12に含まれる第1ドライバーDR1および第2ドライバーDR2はトライステート出力のドライバーであり、1次コイルL1が駆動されない期間においては、第1ドライバーDR1および第2ドライバーDR2の各々の出力ノードは、ハイインピーダンス状態となる。第1ドライバーDR1および第2ドライバーDR2の各々の出力ノードをハイインピーダンス状態とするか否かは、送電側制御回路(送電側の制御部)22から出力される送電イネーブル信号DRP1によって制御される。
また、駆動クロック生成回路23の分周回路27は、発振回路16の出力クロックCLKを分周して、所望の周波数の駆動クロック(ドライバークロック)DRCKを生成する。駆動クロックDRCKの周波数は、送電側制御回路(送電側の制御部)22から出力される周波数制御信号FSEによって制御される。周波数制御信号FSEは、分周回路27の分周比を切り換える制御信号である。駆動クロックDRCKに同期して1次コイルL1が交流駆動される。なお、1次コイルL1およびコンデンサーC1は共振回路の構成要素である。
また、駆動クロック生成回路23に含まれる可変電圧源25は、分周回路27の電源電圧を可変に制御し、これによって、送電装置10による送電電力レベルを複数のレベルに切り換える。すなわち、図6に示される送電装置10では、送電電力レベルの切り換えのために、電圧切り換え方式(駆動クロック生成回路の電源電圧を切り換える方式)が採用される。電圧切り換え方式によれば、送電電力レベルを多段階に(広範囲にわたって)切り換えることも可能である。可変電圧源25が出力する電源電圧のレベルは、送電側制御回路(送電側の制御部)22から出力される電源電圧レベル制御信号VSEによって制御される。上述のとおり、送電側制御回路(送電側の制御部)22は、情報交換フェーズにおいて、受電装置40から送られてくる情報(定格電力情報等)に基づいて、送電電力レベルを切り換える(すなわち、可変電圧源25が出力する電源電圧レベルを切り換える)ことができる。
ここで、図7を参照して送電電力レベルの切り換えについて具体的に説明する。図7は、送電電力レベルの可変制御について説明するための図である。図7には、インダクタンスと容量(およびインピーダンス)で構成される共振回路の共振特性が示されている。f0は共振周波数であり、f1は、例えば通常送電時において使用される周波数である。図6に示される可変電圧源25が出力する電源電圧のレベルが切り換えられると、その電源電圧レベルの切り換えに伴って、例えば共振特性QL1が、QL2あるいはQL3に変化し、これによって、送電周波数f1における送電電力がP1から、P4あるいはP3に変化する。このようにして、送電パワーの切り換えが実現される。
図6に戻って説明を続ける。図6に示される波形モニター回路28は、1次コイルL1のコイル電圧CGを、分圧抵抗R1,R2によって分圧して、分圧された電圧信号CGL(すなわち、コイル電圧CGに基づく信号CGL)を生成する。なお、波形モニター回路28において、さらにダイオードを追加して、振幅制限を行うことも可能である。
振幅検出部5は、ピークホールド回路7を有する。判定部(アナログ判定部)6は、3つの判定回路(第1の取り去り判定回路6a(仮送電および間欠送電用),第2の取り去り判定回路6b(通常送電用),着地判定回路6c)を有する。第1の取り去り判定回路6aは、「仮送電時および通常送電停止後の待機時(満充電後の間欠送電時)」における2次側機器の「取り去り判定」のために設けられており、第2の取り去り判定回路6bは、「通常送電時」における2次側機器の「取り去り判定」のために設けられており、着地判定回路6cは、「初期待機時」における2次側機器の「着地判定」のために、設けられている。
各判定部6a〜6cにおいて使用される判定閾値はすべて異なり、第2の取り去り判定回路6bにおける判定閾値が最も大きな値に設定される(通常送電時において高い送電電力レベルが選択される場合があるため)。また、本実施形態では、第1の取り去り判定回路6aおよび着地判定回路6cは共に仮送電時における判定のために設けられており、仮送電時の送電電力レベルは共通であり、できるだけ低いレベルに設定されるため、使用される判定閾値はどちらも近い値となる。但し、取り去り判定と着地判定とでは、コイル電圧CGの変化の方向が逆である(取り去り検出ではコイル電圧CGはLからHに変化し、着地検出ではコイル電圧はHからLに変化する)ことから、ノイズマージンを、中点電圧を基準として正側に設けるか負側に設けるかが異なる。結果的に、図6の検出回路1においては、例えば、第1の取り去り判定回路6aにおける取り去り判定閾値>着地判定閾値となる。
但し、アナログ回路では、素子耐圧に限界があることから、各比較器CMP1〜CMP3の各々に、直接的に異なる電圧閾値を設定するのがむずかしい場合が多い。そこで、図6の判定回路6a〜6cでは、各コンパレーターCMP1〜CMP3の反転端子には、共通の基準電圧Vrefpを印加し、各コンパレーターCMP1〜CMP3の前段に設けられる分圧回路Q1〜Q3の各々における分圧比を最適化して対応している。分圧回路Q1〜Q3の各々の分圧比を第1の分圧比〜第3の分圧比とした場合、第3の分圧比(例えば1/3)>第1の分圧比(例えば1/4)>第2の分圧比(例えば1/6)という関係が成立する。
各コンパレーターCMP1〜CMP3の判定出力の各々は、レベルシフト回路(LS)9a〜9cによってレベルダウンされ、これによって、低耐圧のロジック回路に適した電圧レベルをもつ検出信号LEAVEP1〜LEAVEP3が得られる。LEAVEP1は、仮送電時および通常送電停止後の間欠送電時の取り去り検出信号であり、LEAVEP2は、通常送電時の取り去り検出信号であり、LEAVEP3は仮送電時における着地検出信号である。検出信号LEAVEP1〜LEAVEP3の各々は、例えば、並行的に送電側制御回路(送電側の制御部)22に入力される。送電側制御回路22は、送電装置10の送電フェーズや送電電力レベルに対応する、望ましい検出信号のみを有効化する(つまり、その検出信号のみを採用する)。
また、図6の送電装置10においては、振幅検出部5に設けられるピークホールド回路7の動作/非動作を、送電側制御回路(送電側の制御部)22から出力されるピークホールドイネーブル信号PHONによって切り換えることが可能である。これによって、受電装置の着地が検出される前においては、電力削減のために、間欠的にピークホールド回路7を構成する主要な回路を非動作とすることができる。また、ピークホールド回路7に含まれるピークホールドコンデンサー(図6では不図示)のリセットのために、送電側制御回路(送電側の制御部)22から出力されるリセット制御信号PHRSTが、ピークホールド回路7に入力される。なお、送電側制御回路(送電側の制御部)22から出力されるピークホールドイネーブル信号PHONおよびリセット制御信号PHRSTの各々は、レベルシフト回路(LS)9dによってレベルシフトされた後、ピークホールド回路7に入力される。
次に、ピークホールド回路7の具体的な回路構成について説明する。図8(A),図8(B)は、ピーク検出回路の内部構成および動作を説明するための図である。図8(A)はピークホールド回路の内部構成例を示し、図8(B)はピークホールド回路の動作例を示す。図8(A)に示されるように、ピークホールド回路7は、ピークホールド部PEと、第1バッファーBF1と、ローパスフィルターLPFと、第2バッファーBF2と、を有する。
ピークホールド部PEは、チャージアンプOP1と、第1バッファー(第1ボルテージフォロワー)BF1と、ローパスフィルターLPFと、第2バッファー(第2ボルテージフォロワー)BF2と、を有する。
ピークホールド部PEは、チャージアンプOP1と、ピークホールドコンデンサーCHと、ピークホールドコンデンサーM1をリセットするリセットスイッチ(NMOSトランジスターで構成される)M1と、を含む。チャージアンプOP1の非反転端子には、波形モニター回路28から出力される信号CGLが入力され、反転端子には、信号CGLが入力される時点においてチャージアンプOP1から出力されている信号が入力される。また、リセットスイッチM1のオン/オフは、リセット制御信号PHRSTによって制御される。また、チャージアンプOP1,第1バッファーBF1および第2バッファーBF2の動作/非動作は、ピークホールドイネーブル信号PHONによって制御される。
図8(B)において、時刻t1〜時刻t2の期間は、ピークホールドコンデンサーCHがリセットされている期間(つまり、リセット制御信号PHRSTがHレベルに維持されていて、リセットスイッチM1がオンしている期間)である。時刻t2〜時刻t3の期間が検出期間(ここでは、取り去り検出期間とする)である。時刻t2において、リセット制御信号PHRSTがLとなると、ピークホールド回路7の出力信号PHOUTの電圧レベルは、波形モニター回路28から出力される信号CGLのピーク電圧に追従して、徐々に上昇する。時刻tAにおいて受電装置の取り去りが発生したとする。すると、波形モニター回路28から得られる信号CGLのピーク電圧が上昇し、その結果、ピークホールド回路7の出力信号PHOUTの電圧レベルは、PHOUT(L)からPHOUT(H)に上昇する。したがって、ピークホールド回路7の出力信号PHOUTと取り去り判定閾値vthとの電圧比較によって、“1”(取り去り)、“0”(取り去り無し)の判定が可能である。
図9(A),図9(B)は、取り去り判定閾値および着地判定閾値の設定例を示す図である。図9(A)は、取り去り判定閾値と着地判定閾値の設定の第1例を示す。図9(A)の例では、例えば、仮送電時(あるいは通常送電停止後の間欠送電時)において、コイル電圧CGを、分圧比1/3の分圧回路で分圧し、その分圧によって得られる共通の電圧信号を、異なる値をもつ着地判定閾値VREFXおよび取り去り判定閾値VREFYの各々と比較して、着地と取り去りの各々を判定する。
着地判定閾値VREFXおよび取り去り判定用閾値VREFYは近い値をもつが、上述のとおり、取り去り判定と着地判定とでは、波形モニター回路28から出力される信号CGLの電圧変化の方向が逆であることから、ノイズマージンを、中点電圧を基準として正側に設けるか負側に設けるかが異なる。結果的に、取り去り判定閾値VREFY>着地判定閾値VREFXとなる。つまり、図9(A)において、取り去り検出では、信号CGLはVL(2次側機器あり)からVH(2次側機器無)に変化し、着地検出では信号CGLはVH(2次側機器無)からVL(2次側機器)に変化する。中点電圧をVMIDとすると着地検出の場合のノイズマージンΔVM1は負側(低電圧側)に設けられ、取り去り検出の場合のノイズマージンΔVM2は正側(高電圧側)に設けられる(但し、この例に限定されるものではない)。
図9(B)は、仮送電時(あるいは通常送電停止後の間欠送電時)と、通常送電時とで送電電力レベルが切り換えられる場合(通常送電時の送電電力レベルの方が高い)における、具体的な判定閾値の設定例を示している。図9(B)の左側に示されるように、仮送電時や通常送電停止後(満充電後)の間欠送電時においては、送電電力レベルは低いため、波形モニター回路28(例えば、分圧比1/6とする)から出力される信号CGLの電圧レベルも、例えば1.0V〜2.2Vの振幅で変動する。したがって、取り去り判定用第1閾値VREFY1,着地判定閾値VREFX1も、その低めの電圧レベルに合わせて適切な値に設定される。
一方、通常送電時において、かなり高いレベルの送電電力レベルとなったときは、波形モニター回路28(分圧比は1/6)から出力される信号CGLの電圧レベルも、例えば2.0V〜4.2Vの振幅で変動する。したがって、取り去り判定用第2閾値VREFY2は、その高めの電圧レベルに合わせて適切な値に設定される。このように、送電電力レベルに応じて、最適な判定閾値を使い分けることによって、例えば、低電圧から高電圧までの広い範囲で、送電電力を可変することが可能なマルチ電圧伝送方式の無接点電力伝送システムにも柔軟に対応することができる。また、振幅検出部の共用化によって、検出回路1の専有面積の縮小や消費電力の削減が可能である。
なお、着地検出時(つまり、送電装置の初期の間欠送電時)の送電電力レベルが、例えば、ユーザーによる設定によって切り換えられる場合には、図1,図2を用いて説明した
ように、着地判定閾値も、その送電電力レベルに応じて切り換えることができる。
次に、図6に示される送電装置10における検出回路の具体的な動作例について説明する。図10は、図6に示される検出回路の動作例を示すタイミング図である。図10において、期間T3(時刻t1〜時刻t3)および期間T3’(時刻t5〜時刻t7)が、間欠的(例えば、0.3秒に1回)な着地検出期間である。着地検出を間欠的に行うのは、回路の消費電力を削減するためである。また、送電イネーブル信号DRP1も、着地検出期間に合わせて間欠的にアクティブレベルとなる。この点も、初期待機期間中における送電装置10の消費電力の低減に寄与する。
期間T3において、ピークホールドイネーブル信号PHONがアクティブレベルHとなり、期間T3の後半の期間T2(時刻t2〜時刻t3)において、リセット制御信号PHRSTが非アクティブレベル(L)になって、ピークホールドコンデンサーCHのリセットが解除される。この期間T2において着地検出が実行される。図10の上側に示されるように、図6の検出回路における検出信号LEAVEP3が有効であり、この検出信号LEAVEP3を、例えば、時刻tx1〜時刻tx4にわたって4回サンプリングされ(駆動クロックDRCKに同期してサンプリングされる)、そして、4回のサンプリングSP1〜SP4の各々において、4回連続で“1”が検出されたときに、取り去りが検出されたと判定する(4連続一致判定)。図10の例では、期間T2においては、受電装置の着地は検出されない。
次の期間T2’(時刻t6〜t7)における着地判定によって受電装置の着地が検出される(時刻t7)。すると、時刻t7以降、ピークホールドイネーブル信号PHONおよび送電イネーブル信号DRP1の双方がアクティブレベル(H)に維持される。また、着地が検出された時刻t7から所定の遅延時間t4’が経過した時刻t8から、リセット制御信号PHRSTが非アクティブレベル(L)に維持される。期間T5(時刻t8〜t9)が仮送電期間であり、期間T6(時刻t9〜時刻t10)が通常送電期間である。期間T7(時刻t8〜時刻t10)が取り去り検出期間である。仮送電期間T5では、検出信号LEAVEP1が有効化され、検出信号LEAVEP1に基づく所定間隔のサンプリングSP1〜SPmが繰り返され、例えば、4連続一致判定方式による取り去り判定が実行される。通常送電期間T6では、検出信号LEAVEP2が有効化され、検出信号LEAVEP2に基づく所定間隔のサンプリングSPm+1〜SPnが繰り返され、例えば、4連続一致判定方式による取り去り判定が実行される。
時刻t10において、2次側機器における給電対象の負荷であるバッテリーの満充電が検出される。その後は、例えば、時刻t11から、間欠的(例えば5秒に1回)な取り去り検出が開始される。期間T11が満充電後の取り去り検出期間であり、着地検出と同様に、LEAVEP1が有効化され、後半の期間T10において、複数回のサンプリングSP1〜SP4が実行され、例えば、4連続一致判定によって取り去りが検出される。
(第6の実施形態)
本実施形態では、振幅検出部5がA/D変換器を有し、かつ、判定部がデジタル比較器を有する例について説明する。図11は、送電装置およびデジタル検出方式を採用した検出回路の構成の一例を示す図である。
図11に示されるように、振幅検出部5は、A/D変換回路(ADC)901を有する。A/D変換回路(ADC901)の内部には、前段に、図8に示されるピークホールド回路(不図示)が設けられ、後段に、A/D変換器(不図示)が設けられている。また、判定部(デジタル判定部)6には、3つの判定閾値(VREFX1,VREFY1,VREFY2:図9(B)参照)を格納しているメモリー回路(ROM)930と、3つのデジタル比較器6a(d)〜6c(d)が設けられている。この3つのデジタル比較器6a(d)〜6c(d)の各々は、図6に示される判定回路6a〜6cの各々に対応する。
また、A/D変換回路(ADC)901と、判定部(デジタル判定部)6との間には,ADCインターフェース(ADCI/F)907が設けられている。
ADCインターフェース(ADCI/F)907は、シリアル/パラレル変換回路911と、制御回路(ステートマシーン)909と、が設けられている。制御回路(ステートマシーン)909は、A/D変換イネーブル信号ADXCSと、A/D変換用クロックADSCLKとを、A/D変換回路(ADC)901に出力する。また、A/D変換回路(ADC)901から出力されるデジタルデータ(シリアルデータ)ADSDは、シリアル/パラレル変換回路911に入力され、パラレルデータに変換される。
また、制御回路(ステートマシーン)909は、3つのデジタル比較器6a(d)〜6c(d)にタイミングクロックACLKを供給する。また、シリアル/パラレル変換回路911から出力されるパラレルデータADATAは、3つのデジタル比較器6a(d)〜6c(d)の各々に供給される。なお、参照符号903,905は、レベルシフト回路を示す。
図11に示される検出回路では、1次コイルL1のコイル電圧CGLに基づく信号CGLは、A/D変換回路(ADC)901によってデジタル信号に変換され、レベルシフト回路903によってレベルダウンされた後、ADCインターフェース(ADCI/F)907内のシリアル/パラレル変換回路911に入力される。シリアル/パラレル変換回路911から出力されるパラレルデータADATAは、3つのデジタル比較器6a(d)〜6c(d)の各々に供給される。
3つのデジタル比較器6a(d)〜6c(d)の各々は同時並行的に動作し、3つの判定閾値(3つのデジタル判定閾値であるVREFY1,VREFY2,VREFX1)の各々と、デジタルデータADATAとを比較して判定結果(LEAVEP1,LEAVEP2,LEAVEP3)を出力する。デジタル検出技術を用いることによって、広範囲の入力信号に対して柔軟に対応でき、また、高精度の判定が可能である。
図12は、図11に示されるデジタル検出方式の検出回路の動作例を示すタイミング図である。デジタル回路を用いた検出動作は、基本的には、図10を用いて説明したアナログ回路による検出動作と同じである。図12において、期間T5が仮送電期間であり、期間T6が通常送電期間であり、期間T7が取り去り検出期間であり、期間T11が満充電後の間欠的な取り去り検出期間である。時刻t0〜時刻t7の期間においては検出信号LEAVEP3が有効であり、時刻t7〜時刻t9の期間においては検出信号LEAVEP1が有効であり、時刻t9〜時刻t10の期間においては検出信号LEAVEP2が有効であり、満充電が検出される時刻t10以降の期間(通常送電停止後の間欠送電期間)においては、再び検出信号LEAVEP1が有効となる。
期間T3および期間T3’が着地検出期間である。着地検出期間T3では受電装置40(2次側機器)の着地(セッティング)が検出されず、着地検出期間T3’において受電装置40(2次側機器)の着地が検出される(時刻t7)。
例えば、期間T3において、ピークホールドイネーブル信号PHONがアクティブ(H)となり、期間T3の後半の期間(時刻t2〜t3)において、A/D変換イネーブル信号ADXCSがアクティブ(L)となり、A/D変換用クロックADSCLKがアクティブとなる。時刻t2〜時刻t3の間に得られたシリアルのデジタルデータは、タイミングクロックACLKがアクティブとなる時刻t3において、パラレルデータに変換され、そのパラレルデータとデジタル判定閾値との比較が実行される。時刻t3に、ピークホールドイネーブル信号PHONは非アクティブレベル(L)に戻るが、着地が検出される時刻t7以降、ピークホールドイネーブル信号PHONはアクティブ(H)に維持され、この状態は、2次側機器の負荷であるバッテリーの満充電が検出される時刻t10まで継続される。以下、同様の動作が繰り返される。
(第7の実施形態)
図13は、検出回路の変形例(ピークホールド回路を2個設ける例)の構成を示す図である。図13の例では、2つの波形モニター回路28a,28bが設けられている。これに対応して、振幅検出部5において、2つのピーク検出回路7a,7bが設けられている。ピークホールド回路7aから出力されるピークホールド信号は、判定回路6b(通常送電時の取り去り判定用)に入力される。また、ピークホールド回路7bから出力されるピークホールド信号は、判定回路6a(仮送電時および満充電後の間欠送電時における取り去り判定用)および判定回路6c(着地判定用)の各々に入力される。
送電電力レベルの数が多い場合や、送電電力レベルの切り換えレンジが広い場合等においては、一つの波形モニター回路28では対応できない場合があり(つまり、一つの波形モニター回路では、出力電圧のレベルを許容範囲内に収めることができない場合があり)、この場合には、図13の回路構成が有効となる。
(第8の実施形態)
本実施形態では、前掲の実施形態で説明した検出回路(ならびに送電制御装置)を用いた無接点電力伝送システムおよび電子機器について説明する。
図14は、送電装置と本発明を用いた受電装置とによって構成された無接点電力伝送システムの構成、および送電装置と受電装置との間のデータ通信について説明するための図である。図14に示すように、送電装置10は、送電側制御回路(送電側の制御部)22を内蔵する送電制御装置20と、駆動クロック生成回路23と、送電部(送電ドライバー)12と、波形モニター回路28と、1次コイルL1と、1次コイルL1に直列に接続される共振コンデンサーC1と、を有する。送電制御装置20は、送電装置の動作を統括的に制御する。送電制御装置20に含まれる送電側制御回路22は、各種の判断処理を実行し、その結果に基づき、ドライバー制御回路26の動作を制御し、また、受電装置から送られてくるデータの判定処理を実行する。送電部12(図6の第1および第2ドライバーDRV1,DRV2)は、1次コイルL1の駆動クロックDRCKに基づいて、1次コイルL1を交流駆動する。送電装置10から受電装置40への通信は、周波数変調(駆動クロックの周波数をf1とf2の間で切り換えること)によって行われる。
送電制御装置20には、検出回路1が設けられている。検出回路1は、先に説明したように、例えば、取り去り、着地、位置関係(近接/非近接あるいは位置ずれ等)の少なくとも一つの検出回路として機能することができる。この検出回路1の検出信号DEToutは、送電側制御回路(送電側制御部)22に供給される。
一方、受電装置40は、2次コイルL2と、受電部42(整流部43を有する)と、平滑コンデンサーCB1と、負荷変調部46と、給電制御部48と、受電制御装置50(周波数検出回路60および受電側制御回路52をもつ)と、を有する。また、上述したとおり、受電装置40には、必要に応じて、検出回路1を設けることができる。この場合、検出回路1は、先に説明したように、例えば、位置関係(1次コイルと2次コイルの位置ずれ等)の検出回路として機能することができる。
また、給電対象の負荷90は、例えば充電可能なバッテリーである。整流部43および平滑コンデンサーCB1によって全波整流回路45が構成される。受電制御装置50に含まれる周波数検出回路60は、駆動クロック(DRCK)再生部61を有する。また、受電装置40から送電装置10への通信は、負荷変調(受電装置の負荷を強制的に変化させること)によって実行される。
受電部42は、2次コイルL2のコイル端電圧を、分圧抵抗RB1,RB2によって分圧する。分圧抵抗RB1,RB2の共通接続点からは、駆動クロックDRCKの周波数と同じ周波数をもつ正弦波が得られ、その正弦波は、DRCK再生部61によって波形整形され、これによって駆動クロックが再生される。図14中、再生された駆動クロックは、DRCK(RE)と表記されている。
受電側制御回路(受電側の制御部)52は、再生された駆動クロックDRCK(RE)のエッジタイミングに同期して、負荷変調部46の負荷変調トランジスター(NMOSトランジスター)M5をオン/オフさせる。負荷変調トランジスターM5がオンすると、抵抗RB3および負荷変調トランジスターM5を経由して電流が流れ、受電装置40の負荷状態が重くなる。負荷変調トランジスターM5がオフすると、電流が遮断され、受電装置の負荷状態は軽くなる。
受電装置が低負荷状態から高負荷状態となると、例えば、1次コイルL1のコイル端電圧CGの電圧振幅が増大する。送電制御装置20は、波形モニター回路14を経由して得られる、1次コイルL1のコイル電圧CGに基づく信号CGLと、負荷状態判定閾値Vthとを比較することによって、受電装置40の負荷状態を検出することができる。例えば、受電装置の低負荷状態をデータ“0”に対応させ、高負荷状態をデータ“1”に対応させれば、受信したデータの“0”,“1”の判定が可能である。但し、1次コイルL1のコイル電圧のピーク電圧を検出する検出方式の他、位相差に着目した検出方式、あるいはパルス幅検出方式を採用することもできる。前掲の実施形態で説明した、1次コイルL1のコイル電圧のピーク電圧を検出する回路を、負荷変調によって受電装置から送られてくる信号の復調のためにも共通に使用すれば、回路の共有化がさらに促進される。この場合、送電電力レベルに応じてデータ復調用の判定閾値を使い分けることによって、送電電力レベルに関係なく、正確な信号の復調が可能である。
図15は、無接点電力伝送システムの動作の一例(携帯端末に備わる給電対象の負荷を、クレードルからの送電によって充電する例)を示す図である。図15に示されるように、初期待機状態においては、送電側機器(1次側機器:ここでは充電台(クレードル)とする)500に内蔵される送電装置10は、受電側機器(2次側機器:ここでは携帯電話機とする)510の着地(セッティング)を、例えば、0.3秒に1回、検出し(ステップS1)、これによって、受電側機器510の着地(セッティング)が検出される(ステップS2)。
次に、送電装置10から仮送電が開始され、送電装置10と受電装置40との間で、種々の情報の交換(ネゴシエーションおよびセットアップ処理)が実行される(ステップS3)。ID認証によって、受電装置40が適切な送電対象であることが確認された後に、通常送電(充電送電)が開始される。通常送電が開始されると、受電側機器(携帯電話機)510に設けられているLEDが点灯する。上述のとおり、通常送電前の仮送電期間において、送電装置10は、2次側機器510の取り去り検出(少なくとも1回の検出、また常時行ってもよい)を実行することができる(ステップS8)。同様に、通常送電期間中において、2次側機器510の取り去り検出を、例えば常時(あるいは所定間隔で定期的)に実行することができる(ステップS9)。
通常送電中において、満充電が検出されると、満充電通知が受電装置40から送電装置10に送信され、これを受信した送電装置10は、通常送電を停止する(ステップS4)。通常送電が停止されると、受電側機器(携帯電話機)510に設けられているLEDが消灯する。そして、満充電検出後の待機フェーズ(通常送電停止後の間欠送電期間)に移行する(ステップS5)。
満充電検出後の待機状態では、例えば、5秒に1回の取り去り検出が実行され、また、10分に1回、再充電の要否の確認が実行される。満充電後に受電側機器(携帯電話機)510が取り去られると、初期の待機フェーズに戻る(ステップS6)。また、満充電後に再充電が必要と判定されると、ステップS3に復帰する(ステップS7)。また、ステップ3の状態において、受電側機器(携帯電話機)510の取り去りが検出された場合には、初期の待機状態に復帰する(ステップS8,ステップS9)。
図16は、マルチ電圧伝送に対応した無接点電力伝送システムの動作手順例を示すフロー図である。送電装置10は、電源の立ち上がりと共にリセット状態Q1となり、所定期間後に待機フェーズQ2に移行する。送電装置10は、受電側機器の着地を検出すると仮送電(通常送電前の、認証処理等を可能とするための連続送電)を開始し、ネゴシエーションフェーズ(第1認証処理)Q3に移行し、先に説明したようにID情報の交換等を実行する。ネゴシエーション処理に成功すると、送電装置10は、セットアップフェーズ(第2認証処理)Q4に移行する。セットアップフェーズでは、対応機能の情報交換等が実行される。このセットアップフェーズにて、2次側機器の定格電力情報等が受電装置40から送電装置10に送られる。
認証処理(ネゴシエーションフェーズQ3およびセットアップフェーズQ4)にパスすると、送電装置10は、コマンドフェーズQ8に移行する。コマンドフェーズQ8では、セットアップフェーズQ4で得た情報に基づく対応コマンドの発行処理等が行われる。例えば、上述のとおり、通常送電の電力レベルが、2次側機器から送られてきた定格電力情報等に基づいて決定され、その決定された電力レベルによる通常送電が開始される(ステップQ9)。
また、ネゴシエーションフェーズQ3において、規格/コイル/システム等の不一致が検出された場合、異物が検出された場合、取り去りが検出された場合、タイムアウトエラーになった場合には(状態Q5)、送電装置10はリセット状態Q1に復帰する。また、ネゴシエーションフェーズQ3において、通信エラーが生じた場合には(状態Q7)には、送電装置10は、待機フェーズQ2に復帰する。
また、セットアップフェーズQ4において、取り去りやタイムアウトエラーが検出された場合には(状態Q6)、送電装置10は、リセット状態Q1に復帰する。また、コマンドフェーズQ8において、異物検出や取り去りが検出された場合には(状態Q10)、送電装置10はリセット状態Q1に復帰する。また、また、コマンドフェーズQ8において、バッテリー(給電対象の負荷)の満充電等が検出された場合には(状態Q11)、送電装置10は待機フェーズ状態Q2に復帰する。
このように、本発明の少なくとも一つの実施形態によれば、例えば、送電電力レベルを可変に制御できる無接点電力伝送システムに対応した検出回路を実現することができる。また、送電電力レベルを複数段階に切り換えることができ、かつ、どの送電電力レベルが選択された場合においても、受電装置の取り去りや着地、送電装置と受電装置との位置関係等を確実に検出できる、実用性の高い無接点電力伝送システムを実現することができる。また、本発明の送電装置は、内蔵する検出回路が小型かつ低消費電力であることから、同様の効果を享受し、その送電装置を含む電子機器もまた、同様の効果を享受する。
本発明は、例えば、検出回路、送電制御装置、無接点電力伝送システム(例えば携帯端末の無接点充電システム)および電子機器(携帯端末等)等として有用である。